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特許7167617画像形成装置、画像形成システム、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221101BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221101BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221101BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
B41J29/38
G03G21/00 388
G03G21/00 510
G06Q30/02 322
H04N1/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018191662
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2020060937
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177334
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 浩
(72)【発明者】
【氏名】坂口 翔一
(72)【発明者】
【氏名】上西 浩之
【審査官】竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-207718(JP,A)
【文献】特開2013-179690(JP,A)
【文献】特開2011-055339(JP,A)
【文献】特開2017-117307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相異なる特性を有する複数のユーザーに使用される画像形成装置であって、
複数の前記ユーザーの前記特性を示す特性情報を記憶する第1記憶部と、
複数の前記ユーザーに使用される複数のアプリケーションプログラムを記憶可能な第2記憶部と、
複数の前記アプリケーションプログラムのインストールおよび実行を管理する管理部と、
前記特性情報に応じて、複数の前記ユーザーに対しての前記アプリケーションプログラムに関する推薦情報を通知する通知部と、
前記推薦情報に従った前記アプリケーションプログラムのインストールまたは実行に応じて、前記ユーザーに報酬を付与する報酬付与部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記画像形成装置に未だインストールされていない前記アプリケーションプログラムをダウンロードすると前記報酬が付与されることを示す前記推薦情報を表示部に表示させる、ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記画像形成装置に既にインストールされている前記アプリケーションプログラムを実行すると前記報酬が付与されることを示す前記推薦情報を表示部に表示させる、ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記推薦情報が表示される前記アプリケーションプログラムは、前記画像形成装置に既にインストールされているが未だに実行されたことが無い前記アプリケーションプログラムである、ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記報酬付与部は、前記アプリケーションプログラムと前記特性情報とに応じて前記ユーザーごとに前記報酬を相異ならせる、ことを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ユーザーの前記特性情報は、前記画像形成装置にて使用可能な機能ごとの前記ユーザーの使用回数および前記ユーザーが所属する組織に関する所属情報の少なくともいずれかを示す、ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記報酬付与部によって付与される前記報酬は、前記アプリケーションプログラムのダウンロードのため、前記アプリケーションプログラムの従量的な実行のため、および前記画像形成装置にて用いられる消耗品の取得のための少なくともいずれかに前記ユーザーが利用可能な仮想的なポイントである、ことを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項から請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置を複数備える画像形成システムであって、
複数の前記画像形成装置の前記報酬付与部が協働して、前記アプリケーションプログラムのインストールまたは実行がなされた前記画像形成装置の使用頻度が低いほど、前記ユーザーに付与する前記報酬が高くなるように設定する、ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
複数のユーザーの特性を示す特性情報を記憶する第1記憶部と、複数の前記ユーザーに使用される複数のアプリケーションプログラムを記憶可能な第2記憶部と、を備える画像形成装置において実行される制御プログラムであって、
前記画像形成装置を、
複数の前記アプリケーションプログラムのインストールおよび実行を管理する管理部と、
前記特性情報に応じて、複数の前記ユーザーに対しての前記アプリケーションプログラムに関する推薦情報を通知する通知部と、
前記推薦情報に従った前記アプリケーションプログラムのインストールまたは実行に応じて、前記ユーザーに報酬を付与する報酬付与部と、として機能させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザーによって使用されアプリケーションプログラムを実行可能な画像形成装置、画像形成装置を含む画像形成システム、および画像形成装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発展と普及に伴って、情報処理装置以外の電気機器や電子機器においても情報処理技術が活用されている。例えば、複合機等の画像形成装置に対し、種々のアプリケーションプログラムをインストールすることによって、デフォルト状態では存在しないソフトウェア機能を追加的に導入することが可能である。
【0003】
画像形成装置に対するアプリケーションプログラムのインストールは、種々の媒体を介して実行可能である。例えば、USBメモリー等の外部記憶媒体を用いてアプリケーションプログラムをインストールすることが可能である他、インターネット経由でアプリケーションプログラムをダウンロードしてインストールすることも可能である(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-218397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複合機等の画像形成装置は、個人的に使用されることが多い情報処理装置と比較して、複数のユーザーに共有され使用されることが一般的である。そのため、上記のように、あるユーザー(例えば、画像形成装置の管理者)がアプリケーションプログラムを画像形成装置に単にインストールしたのみでは、他のユーザーがそのアプリケーションプログラムを認識するのが困難である。あるユーザーに適したアプリケーションプログラムが画像形成装置にインストールされたとしても、そのユーザーに認識されなければ、そのアプリケーションプログラムが使用されることはなく、その機能が発揮されることもない。
【0006】
以上の事情を考慮して、本発明は、画像形成装置において、アプリケーションプログラムをユーザーに適切に推薦することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、相異なる特性を有する複数のユーザーに使用される画像形成装置であって、複数の前記ユーザーの前記特性を示す特性情報を記憶する第1記憶部と、複数の前記ユーザーに使用される複数のアプリケーションプログラムを記憶可能な第2記憶部と、複数の前記アプリケーションプログラムのインストールおよび実行を管理する管理部と、前記特性情報に応じて、複数の前記ユーザーに対しての前記アプリケーションプログラムに関する推薦情報を通知する通知部と、を備える。
【0008】
好適には、上記した画像形成装置は、前記推薦情報に従った前記アプリケーションプログラムのインストールまたは実行に応じて、前記ユーザーに報酬を付与する報酬付与部と、をさらに備える。
【0009】
好適には、前記通知部は、前記画像形成装置に未だインストールされていない前記アプリケーションプログラムをダウンロードすると前記報酬が付与されることを示す前記推薦情報を表示部に表示させる。
【0010】
好適には、前記通知部は、前記画像形成装置に既にインストールされている前記アプリケーションプログラムを実行すると前記報酬が付与されることを示す前記推薦情報を表示部に表示させる。
【0011】
好適には、前記推薦情報が表示される前記アプリケーションプログラムは、前記画像形成装置に既にインストールされているが未だに実行されたことが無い前記アプリケーションプログラムである。
【0012】
好適には、前記報酬付与部は、前記アプリケーションプログラムと前記特性情報とに応じて前記ユーザーごとに前記報酬を相異ならせる。
【0013】
好適には、前記ユーザーの前記特性情報は、前記画像形成装置にて使用可能な機能ごとの前記ユーザーの使用回数および前記ユーザーが所属する組織に関する所属情報の少なくともいずれかを示す。
【0014】
好適には、前記報酬付与部によって付与される前記報酬は、前記アプリケーションプログラムのダウンロードのため、前記アプリケーションプログラムの従量的な実行のため、および前記画像形成装置にて用いられる消耗品の取得のための少なくともいずれかに前記ユーザーが利用可能な仮想的なポイントである。
【0015】
本発明の画像形成システムは、上記した画像形成装置を複数備え、複数の前記画像形成装置の前記報酬付与部が協働して、前記アプリケーションプログラムのインストールまたは実行がなされた前記画像形成装置の使用頻度が低いほど、前記ユーザーに付与する前記報酬が高くなるように設定する。
【0016】
本発明の制御プログラムは、複数のユーザーの特性を示す特性情報を記憶する第1記憶部と、複数の前記ユーザーに使用される複数のアプリケーションプログラムを記憶可能な第2記憶部と、を備える画像形成装置において実行される制御プログラムであって、前記画像形成装置を、複数の前記アプリケーションプログラムのインストールおよび実行を管理する管理部と、前記特性情報に応じて、複数の前記ユーザーに対しての前記アプリケーションプログラムに関する推薦情報を通知する通知部と、して機能させる。
【0017】
なお、本発明は、上記した制御プログラムを記録したコンピューター読取り可能な非一過性の記録媒体(non-transitory computer readable medium)に係る発明としても特定され得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、画像形成装置において、アプリケーションプログラムをユーザーに適切に推薦することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る複合機を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る複合機の制御装置に関連する電気的構造を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る複合機を含むネットワーク構成図である。
図4】本発明の一実施形態に係る複合機の論理構成を示す説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係る特性情報の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るダウンロード推薦処理のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係るDL可能アプリ一覧画面の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る実行推薦処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係る画像形成装置の構成を、プリント機能、コピー機能、ファックス機能、データ送受信機能等を複合的に備えた複合機1(Multifunction Peripheral,MFP)に適用する場合について説明する。複合機1は、相異なる特性を有する複数のユーザーに使用される。以下では、便宜上、図1の紙面手前側を、複合機1の正面側(前側)として説明する。
【0021】
1.複合機(画像形成装置)の全体構成
図1に示されるように、複合機1は、略箱型形状の装置本体2を備える。装置本体2の下部には、複合機1の内側に用紙を収納する給紙部として給紙カセット3が着脱可能に収容される。装置本体2の右側部には、複合機1の外側に用紙を収納する(用紙が載置される)給紙部として手差しトレイ4が開閉可能に設けられる。装置本体2の上部の排紙空間には排紙トレイが設けられる。給紙カセット3、手差しトレイ4及び排紙トレイは、装置本体2内の後述の画像形成部12で画像が形成される用紙を搬送するために用いられる。
【0022】
装置本体2の上部には、原稿等の読取り対象を読み取ってスキャンデータを出力する画像読取り装置5が設けられる。画像読取り装置5の上方には、画像読取り装置5へと原稿を供給する自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder,ADF)等を備えた原稿搬送部6が設けられる。原稿搬送部6は、画像読取り装置5に対して開閉可能に取り付けられる。
【0023】
更に、装置本体2の上部では、ユーザーの操作に供される操作表示ユニット7(表示部)が正面側に取り付けられる。操作表示ユニット7は、例えば、テンキーやスタートキー、システムメニューキー、送信キー、コピーキー、確認キー等の操作キーと、タッチパネル等の表示器とを備えており、プリント枚数やプリント濃度等の設定についてユーザーからの設定入力を受け付ける。
【0024】
装置本体2の中央部には、中間転写ベルト10が複数のローラー間に架設される。中間転写ベルト10の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(Laser Scanning Unit,LSU)を備えた露光装置11が設けられる。中間転写ベルト10の下側面に沿って、4個の画像形成部12がトナーの色(例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色)毎に設けられる。
【0025】
各画像形成部12は、回転可能な感光体ドラムを備え、更に、感光体ドラムの周囲には、帯電器と、現像器と、一次転写部と、クリーニング装置と、除電器とが、一次転写のプロセス順に配置される。中間転写ベルト10の右端には、二次転写部13が設けられ、二次転写部13は、中間転写ベルト10の右端側の一部と二次転写ローラーとで構成される。また、中間転写ベルト10の左端には、中間転写ベルト10を清掃するためのクリーニング装置が設けられる。各画像形成部12は、用紙等の記録媒体に対する画像形成を実行する要素である。
【0026】
装置本体2の右部には、用紙の搬送経路15が設けられる。搬送経路15の上流部には、給紙ローラー等からなる給紙機構16が給紙カセット3に対応して設けられる。搬送経路15の中流部には、上記した二次転写部13が設けられる。また、搬送経路15は、給紙カセット3よりも下流側、かつ二次転写部13よりも上流側で手差しトレイ4と連絡されている。手差しトレイ4の近傍には、給紙ローラー等からなる給紙機構17が設けられる。搬送経路15の下流部には、定着装置が設けられ、搬送経路15の下流端には排紙口が設けられる。また、装置本体2は、複合機1の各部を制御する制御装置20を備える。
【0027】
2.画像形成動作の概略
次に、上記した複合機1の画像形成動作について説明する。複合機1に電源が投入されると、制御装置20は、各種パラメーターの初期化等を実行する。複合機1では、画像読取り装置5や外部のコンピューター等からプリント用のデータが入力され、プリント開始の指示がなされると、制御装置20による制御の下、以下のように画像形成動作が実行される。
【0028】
まず、制御装置20が、画像形成の対象となる出力画像データを作成する。そして、制御装置20の制御の下、各画像形成部12では、感光体ドラムが、帯電器によって帯電された後、露光装置11によって出力画像データに基づいて露光されることで、感光体ドラム上に静電潜像が形成される。
【0029】
感光体ドラム上の静電潜像は、現像器によって各色のトナー像に現像される。感光体ドラム上のトナー像は、一次転写部によって中間転写ベルト10の表面に一次転写される。以上の動作を4つの画像形成部12が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト10上にフルカラーのトナー像(カラートナー像)が形成される。カラートナー像は、中間転写ベルト10の回転によって、所定の二次転写タイミングで二次転写部13へ供給される。
【0030】
他方、給紙カセット3または手差しトレイ4に収納された用紙は、給紙機構16または給紙機構17によって取り出されて搬送経路15上を搬送される。そして、搬送経路15上の用紙は、上記の所定の二次転写タイミングで二次転写部13へと搬送される。二次転写部13では、中間転写ベルト10上のカラートナー像が用紙に二次転写される。カラートナー像を二次転写された用紙は、搬送経路15を下流側へと搬送されて、定着装置によってカラートナー像が用紙に定着された後、排紙口から排紙トレイへと排出される。
【0031】
3.制御装置
図2を参照して、複合機1が備える制御装置20について説明する。図2は、制御装置20とその関連要素との電気的構造を示すブロック図である。概略的には、制御装置20は、複合機1の各部と電気的に接続して複合機1の機能を制御する。
【0032】
図2に示すように、制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリー等の記憶装置で構成されたメモリー22と、要素間の信号伝送に用いられるバス23と、複合機1の各部との接点となるインターフェイス24と、通信ネットワークCNとの接点となるネットワーク(N/W)アダプター25と、を含む。
【0033】
CPU21は、メモリー22に記憶された制御プログラムおよび制御用データに基づいて演算処理を実行する。メモリー22は、CPU21による演算処理に用いるデータやプログラム等を制御プログラムや制御データ等を記憶すると共に、CPU21の演算結果等を一時的に記憶する。
【0034】
バス23は、CPU21、メモリー22、インターフェイス24、およびN/Wアダプター25を相互に接続している。インターフェイス24には、複合機1の各部(例えば、画像読取り装置5、原稿搬送部6、操作表示ユニット7、露光装置11、画像形成部12等)が電気的に接続されている。N/Wアダプター25は通信ネットワークCNに接続されている。本実施形態のネットワーク構成については後述する。
【0035】
4.ネットワーク構成
図3を参照して、本実施形態のネットワーク構成について説明する。本実施形態の画像形成システムSは、通信ネットワークCNにそれぞれ接続された複数の複合機1および管理サーバーMSを備える。複合機1は、例えば、オフィスのフロアに設置される。管理サーバーMSは、複合機1を管理するサーバー装置である。通信ネットワークCNは、例えば、オフィスをカバーする閉じたネットワーク(企業内ネットワーク)であり、例えば、LAN(Local Area Network)によって構築されている。
【0036】
通信ネットワークCNは、不図示のゲートウェイサーバーを介してインターネットINに接続されており、インターネットINには、アプリケーションプログラムAPを配信する(端末にダウンロードさせる)外部サーバーESが接続されている。なお、本明細書において、以下、「アプリケーションプログラム」を「アプリ」と、「ダウンロード」を「DL」と略記する場合がある。
【0037】
上記した通信ネットワークCNおよびインターネットINは、所定の通信規約、例えばTCP/IPプロトコルスイートに準拠しており、各ノード(複合機1、管理サーバーMS、外部サーバーES等)にはIPアドレス等の識別子が割り当てられている。複合機1は、通信ネットワークCNを介して他の複合機1および管理サーバーMSと接続可能であると共に、インターネットINに接続可能である。
【0038】
5.論理構成
図4を参照して、複合機1(特に、制御装置20)によって実現される論理構成について説明する。複合機1は、制御装置20の動作によってソフトウェア的に構成される機能ブロックである制御部30と、メモリー22によって論理的に構成される記憶部40と、を備える。制御部30は、機能ブロックとして、管理部31と通知部32と報酬付与部33とを備える。
【0039】
管理部31は、複数のアプリケーションプログラムAPのインストールおよび実行を管理する。通知部32は、ユーザーの特性情報CIに応じて、複数のユーザーに対してのアプリケーションプログラムAPに関する推薦情報RIを通知する。報酬付与部33は、推薦情報RIに従ったアプリケーションプログラムAPのインストールまたは実行に応じて、ユーザーに報酬RWを付与する。以上の機能ブロックは、メモリー22に記憶されている制御プログラムをCPU21が実行することによって実現される。
【0040】
記憶部40は、論理的に確保された領域である第1記憶部41および第2記憶部42とを備える。第1記憶部41は、複数のユーザーの特性を示す特性情報CIを記憶する。第2記憶部42は、複数のユーザーに使用される複数のアプリケーションプログラムAPを記憶可能である。
【0041】
図5は、第1記憶部41に記憶される特性情報CIの一例である。特性情報CIは、ユーザーIDをキーとして一意に特定される複数のエントリーを含んだデータ構造を有している。各エントリーが1名のユーザーに対応する。特性情報CIの各エントリーは、ユーザーが所属する組織に関する所属情報(例:図の「所属」欄、「役職」欄、「会議回数」欄)と、複合機1にて使用可能な機能ごとのユーザーの使用回数(例:図の「スキャナー使用回数」欄、「コピー使用回数」欄)とを示す。なお、各エントリーが、上記した所属情報と使用回数とのいずれか一方を示す構成も採用可能である。
【0042】
所属情報は、ユーザーが操作表示ユニット7を操作することによって第1記憶部41に入力されてもよいし、管理サーバーMSに記憶されている所属情報が通信ネットワークCN経由で第1記憶部41に提供されてもよい。使用回数は、各ユーザーが複合機1にて実行した各処理(スキャナー使用、コピー使用等)の回数を、制御部30がカウントして第1記憶部41に記憶すると好適である。なお、会議回数は、管理サーバーMSに登録されている各ユーザーのカレンダーに基づいて制御部30が算定してもよい。
【0043】
6.ユーザーへのアプリケーションプログラムの推薦処理
次いで、本実施形態の推薦処理について説明する。概略的には、複合機1の制御部30が、ユーザーの特性情報CIに応じて、アプリケーションプログラムAPのダウンロードや実行に関する推薦情報RIをユーザーに通知する。より詳細には以下の通りである。
【0044】
6-1.ダウンロード推薦処理
図6は、本実施形態におけるダウンロード推薦処理の処理フローチャートである。ユーザーが複合機1の操作表示ユニット7に触れると、通知部32は、メニュー画面を表示するように操作表示ユニット7(表示部)を制御する(ステップS100)。表示されるメニュー画面には、「DL可能アプリ一覧表示」および「使用可能アプリ一覧表示」を含む複数の選択項目ボタンが含まれる。
【0045】
ユーザーによって「DL可能アプリ一覧表示」ボタンが選択されると、管理部31は、外部サーバーESにアクセスしてダウンロード可能なアプリケーションプログラムAPのリストを取得する。そして、通知部32が、複合機1がダウンロード可能な(すなわち、複合機1に未だにインストールされていない)アプリケーションプログラムAPを操作表示ユニット7に表示させる(ステップS110)。
【0046】
図7は、DL可能アプリ一覧画面の一例である。DL可能アプリ一覧画面には、アプリケーションプログラムAPごとに、その名称(「アプリ名」欄)、料金体系、ダウンロードボタン、および推薦情報RI(「お得情報」欄)が表示される。料金体系は、そのアプリケーションプログラムAPのダウンロードに費用が掛かるか、また、使用する際に費用が掛かるか(課金が生じるか)を示す情報である。操作表示ユニット7の操作によってダウンロードボタンが押下されると、対応するアプリケーションプログラムAPが複合機1にダウンロードされインストールされる。推薦情報RIは、対応するアプリケーションプログラムAPをダウンロードすると、報酬付与部33によって報酬RWが付与されることを示す情報である。
【0047】
本ダウンロード推薦処理のステップS110において、通知部32は、複合機1に未だインストールされていないアプリケーションプログラムAPをダウンロードすると報酬RWが付与されることを示す推薦情報RIを操作表示ユニット7に表示させる。なお、図7から明らかなように、通知部32は、複合機1の操作しているユーザーに関するのみならず、その複合機1に登録されている複数のユーザーに関する推薦情報RIを操作表示ユニット7に表示させる。
【0048】
ユーザーによってダウンロードボタンが押下されると、管理部31は、そのダウンロードボタンに対応したアプリケーションプログラムAPを外部サーバーESからダウンロードして、記憶部40にインストールする(ステップS120)。
【0049】
ステップS120におけるダウンロードおよびインストールが完了すると、報酬付与部33は、ダウンロードを指示したユーザーに対して報酬RWを付与する(ステップS130)。付与される報酬RWは、例えば、ユーザーが利用可能な仮想的なポイントである。仮想的なポイントは、アプリケーションプログラムAPのダウンロードのため、アプリケーションプログラムAPの従量的な実行(すなわち、課金)のため、および複合機1にて用いられる消耗品(例えば、トナーカートリッジ)の取得のために用いることが可能である。ステップS130が終わると図6のフローチャートの処理が完了する。
【0050】
図7に示したアプリケーションプログラムAPについて、具体例を出して説明する。アプリSは、スキャンされた画像データに含まれる文字部分を認識してテキストデータに変換するOCRアプリである。アプリSのインストール自体は無料であるが、文字認識の量に応じて課金が発生する。アプリSのダウンロードが推薦されるユーザーXは、スキャナー使用回数が相対的に多いユーザーである。すなわち、通知部32は、機能の使用回数に応じて通知対象のユーザーを選択し得る。
【0051】
アプリAは、名刺をスキャンして記載情報を登録する名刺登録アプリである。アプリAのインストール自体は無料であるが、名刺の登録枚数に応じて課金が発生する。アプリAのダウンロードが推薦されるユーザーYは、会議回数が相対的に多いユーザーである。
【0052】
アプリBは、入力されたテキストを他言語に翻訳する翻訳アプリである。アプリBのインストール自体は無料であるが、翻訳ワード数に応じて課金が発生する。アプリBのダウンロードが推薦されるユーザーYは、グローバル課の責任者である。なお、過去に翻訳実績のあるユーザーにダウンロードが推薦されてもよい。すなわち、通知部32は、所属情報に応じて通知対象のユーザーを選択し得る。
【0053】
アプリCは、スキャンされた画像データを用いてテスト採点を実行するテスト採点アプリである。アプリCのインストール自体は無料であるが、採点量に応じて課金が発生する。アプリCのダウンロードが推薦されるユーザーZは、研修課の責任者である。
【0054】
なお、ステップS120において、報酬付与部33は、アプリケーションプログラムAPと特性情報CIとに応じてユーザーごとに報酬RWを相異ならせてもよい。例えば、上記のように、アプリケーションプログラムAPのダウンロードが推薦されたユーザー自身がそのアプリケーションプログラムAPをダウンロードした場合に、他のユーザーがそのアプリケーションプログラムAPをダウンロードした場合よりも、高い報酬RWが付与されてもよい。
【0055】
6-2.実行推薦処理
図8は、本実施形態における実行推薦処理の処理フローチャートである。ステップS200は、メニュー画面を表示する図6のステップS100と同様であるから、説明を省略する。
【0056】
ユーザーによってメニュー画面中の「使用可能アプリ一覧表示」ボタンが選択されると、管理部31は、複合機1に既にインストールされているアプリケーションプログラムAPのリストを取得する。そして、通知部32が、インストール済みのアプリケーションプログラムAPを操作表示ユニット7に表示させる(ステップS210)。
【0057】
使用可能アプリ一覧画面は、図7のDL可能アプリ一覧画面と概ね同様であるが、DLボタン欄は、各アプリの実行ボタンが表示される実行ボタン欄に置換されている。また、推薦情報RI(「お得情報」)欄には、複合機1に既にインストールされているアプリケーションプログラムAPを実行すると、報酬RWが付与されることを示す旨の文言が表示されている。例えば、アプリSに関しては、『ユーザーXが実行すると報酬がもらえます』と表示されている。
【0058】
なお、通知部32は、既にインストールされている全てのアプリケーションプログラムAPではなく、既にインストールされているが未だに実行されたことがないアプリケーションプログラムAPのみについて、推薦情報RIを表示してもよい。
【0059】
ユーザーによって実行ボタンが押下されると、管理部31は、その実行ボタンに対応したアプリケーションプログラムAPを実行する(ステップS220)。ステップS220にてアプリケーションプログラムAPが実行されると、報酬付与部33は、実行を指示したユーザーに対して報酬RWを付与する(ステップS230)。ステップS230が終わると図8のフローチャートの処理が完了する。報酬付与部33は、アプリケーションプログラムAPによる課金量に応じてユーザーにポイントを付与してもよい。
【0060】
7.本実施形態の技術的効果
上記したように、本実施形態の複合機1(画像形成装置)は、相異なる特性を有する複数のユーザーに使用される装置であって、複数のユーザーの特性を示す特性情報CIを記憶する第1記憶部41と、複数のユーザーに使用される複数のアプリケーションプログラムAPを記憶可能な第2記憶部42と、複数のアプリケーションプログラムAPのインストールおよび実行を管理する管理部31と、特性情報CIに応じて、複数のユーザーに対してのアプリケーションプログラムAPに関する推薦情報RIを通知する通知部32と、を備える。
【0061】
以上の構成によれば、ユーザーの特性に応じた適切なアプリケーションプログラムAPを複数のユーザーに推薦可能である。複合機1を使用している1人のユーザーに対して複数のユーザーに関する推薦情報RIが提示されるので、提示されたユーザーは他のユーザーに関する推薦情報RIを知ることができる。そのユーザーから他のユーザーへと推薦情報RIの内容が伝えられることによって、結果として、アプリケーションプログラムAPの存在が複数のユーザー間に広く伝達されることが可能である。
【0062】
また、報酬付与部33が、推薦情報RIに従ったアプリケーションプログラムAPのインストールまたは実行に応じてユーザーに報酬RWを付与する構成によれば、ユーザーに対するアプリケーションプログラムAPのインストールまたは実行の動機付けをより高めることができる。
【0063】
また、通知部32が、複合機1に未だインストールされていないアプリケーションプログラムAPをダウンロードすると報酬RWが付与されることを示す推薦情報RIを操作表示ユニット7に表示させる構成によれば、ユーザーにアプリケーションプログラムAPのダウンロードを促すことができる。
【0064】
また、通知部32が、複合機1に既にインストールされているアプリケーションプログラムAPを実行すると報酬RWが付与されることを示す推薦情報RIを操作表示ユニット7に表示させる構成によれば、ユーザーにアプリケーションプログラムAPの実行を促すことができる。
【0065】
また、推薦情報IRが表示されるアプリケーションプログラムAPが、複合機1に既にインストールされているが未だに実行されたことが無いアプリケーションプログラムAPである構成によれば、未使用のアプリケーションプログラムAPの実行をより促進することが可能である。
【0066】
また、報酬付与部33が、アプリケーションプログラムAPと特性情報CIとに応じてユーザーごとに報酬RWを相異ならせる構成によれば、個々のユーザーに適した報酬RWが設定されるので、アプリケーションプログラムAPのダウンロードや実行がより促進される。
【0067】
また、ユーザーの特性情報CIは、複合機1にて使用可能な機能ごとのユーザーの使用回数およびユーザーが所属する組織に関する所属情報の少なくともいずれかを示す構成によれば、ユーザーの特定が適切に提示される。
【0068】
また、報酬付与部33によって付与される報酬RWが、アプリケーションプログラムAPのダウンロードのため、アプリケーションプログラムAPの従量的な実行のため、および複合機1にて用いられる消耗品の取得のための少なくともいずれかにユーザーが利用可能な仮想的なポイントである構成によれば、ポイントを貯蓄するという動機付けによってアプリケーションプログラムAPのダウンロードや実行がより促進される。
【0069】
本実施形態の制御プログラムは、上記した推薦処理を実現するために、複合機1等の画像形成装置において実行されるコンピュータープログラムである。上記した機能が制御プログラムとして提供されることによって、当初は上記の機能を有さない複合機1に対して機能を追加することが可能となる。
【0070】
8.変形例
上記した実施形態は多様に変形される。以下に実施形態の変形例を示す。実施形態および変形例から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない限り適宜に併合することが可能である。
【0071】
上記した実施形態では、報酬付与部33が、アプリケーションプログラムAPをダウンロードまたは実行したユーザーに報酬RWを付与する。しかし、報酬付与部33が、一のユーザーがインストールしたアプリケーションプログラムAPを他のユーザーが実行した場合に、その一のユーザー(インストールしたユーザー)に対して報酬RWを付与してもよい。以上の構成によれば、好適なアプリケーションプログラムAPを複合機1にインストールする動機付けがより高まる。
【0072】
画像形成システムSは複数の複合機1を含むので、複数の複合機1の報酬付与部33が協働して、使用頻度の低い複合機1ほどユーザーに付与する報酬RWを高くなるように設定してもよい。以上の構成によれば、使用頻度が低い複合機1を使用する動機付けが高められるので、複数の複合機1の使用頻度を平準化することが可能である。
【0073】
上記した実施形態では、画像形成装置の一例である複合機1や複合機1を含む画像形成システムSに本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、プリンター、複写機、ファクシミリ等の他の画像処理装置や、このような他の画像処理装置を備える他の画像形成システムに本発明の構成を適用してもよい。
【0074】
上記した実施形態の説明は、本発明に係る複合機1における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術的範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0075】
1 複合機(画像形成装置)
7 操作表示ユニット(表示部)
20 制御装置
21 CPU
30 制御部
31 管理部
32 通知部
33 報酬付与部
40 記憶部
41 第1記憶部
42 第2記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8