(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20221101BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221101BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
G03G15/01 J
G03G15/01 R
G03G21/00 384
G03G15/00 471
(21)【出願番号】P 2018202398
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】束村 慎一
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-299254(JP,A)
【文献】特開2006-011229(JP,A)
【文献】特開2015-206951(JP,A)
【文献】特開2015-102574(JP,A)
【文献】特開2010-095341(JP,A)
【文献】特開2007-034039(JP,A)
【文献】特開2000-330413(JP,A)
【文献】特開2012-022093(JP,A)
【文献】特開2008-158128(JP,A)
【文献】特開2007-093664(JP,A)
【文献】特開2018-097139(JP,A)
【文献】特開平10-333378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色のプロセスカラートナーでカラー画像を形成するカラー画像形成部と、
前記複数の色のそれぞれと異なる色の特色トナーで特色画像を形成する特色画像形成部と、
前記形成されたカラー画像及び特色画像を記録部材に転写する転写部と、
前記転写されたカラー画像及び特色画像を記録部材に定着させる定着部と、
記録部材の種類及び記録部材に対するトナー付着量が所定条件を満たすか否かに応じて、記録部材の同一面に対する転写及び定着を2以上の所定回数に分けて実行する第1モード、又は、記録部材の同一面に対する転写及び定着を前記所定回数未満の回数で実行する第2モードのいずれかを選択する制御部と、
を備える画像形成装置であって、
記録部材の両面に画像を形成する際の記録部材の一方の面と他方の面とで、前記所定条件が異な
り、
前記制御部は、記録部材の坪量が所定値より大きい場合、又は、前記トナー付着量が所定量より多い場合に、前記第1モードを実行させ、前記記録部材の坪量が前記所定値以下であり、かつ、前記トナー付着量が前記所定量以下である場合に、前記第2モードを実行させるものであり、
前記一方の面を先に転写及び定着が行われる面とし、
前記他方の面を後から転写及び定着が行われる面として、
前記一方の面に対する前記所定値の方が、前記他方の面に対する前記所定値より小さく、
前記一方の面に対する前記所定量の方が、前記他方の面に対する前記所定量より少ない画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1モード選択時には、記録部材の同一面に前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させ、前記第2モード選択時には、記録部材の同一面に前記特色画像と前記カラー画像とを一括して転写及び定着させる請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記特色画像を転写及び定着させた後、前記カラー画像を転写及び定着させる請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記カラー画像を転写及び定着させた後、前記特色画像を転写及び定着させる請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記特色画像と前記カラー画像とを転写及び定着させる順番を指定するための指定部を備える請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記特色画像と前記カラー画像とを転写及び定着させる順番を、記録部材の種類によって特定する請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記特色画像と前記カラー画像とを転写及び定着させる順番を、前記特色画像形成部に係る特色の種類によって特定する請求項
2又は6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等のプロセスカラーに加えて、ホワイト(白色)やクリア(透明)等の特色を扱うことができる装置が知られている。
例えば、色用紙にカラー画像を作成する場合、色用紙の色がカラー画像に影響してしまうため、特色として白色を用い、カラー画像層の下に白色画像層を形成することで、カラー画像の発色を良くする技術が用いられている。この時、カラー画像の下地となる白色トナーの付着量をある程度多くしないと、色用紙の色の影響が残ってしまう。
【0003】
通常のプロセスカラーに加え、特色を用いることで、用紙等の記録部材上のトナーの付着量が多くなると、定着不良が発生しやすくなる。このため、高付着量モードの場合には、記録部材の同一面に対する転写及び定着を2回に分けて行う画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、有色トナーと透明トナーとを用いて画像形成を行う画像形成装置において、有色トナー像のトナー量に応じて、有色トナーと透明トナーの両方に対する定着(加熱処理)を一括して行う1パス方式と、有色トナーに対する定着を終えた後に透明トナーに対する定着を行う2パス方式と、を切り替える技術が利用されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-206951号公報
【文献】特開2012-155029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録部材の同一面に対する転写及び定着を2回に分けて行う2パス方式の場合、1回ごとのトナー付着量は少なくて済むので、定着性は確保できるが、2回の画像形成プロセスが必要となるため、生産性が低下するという問題があった。また、画像形成装置が備える各ユニットの使用時間が長くなるため、耐久性やコスト面で不利であった。
【0007】
特に、記録部材の両面に画像を形成する場合、両面に対して2パス方式を用いると、片面ごとに2回ずつ、両面で合計4回の画像形成(転写及び定着)を行うこととなり、生産性が低下するとともに、耐久性やコスト面における問題も顕著なものとなっていた。
【0008】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、特色を用いる画像形成において、画質と定着性を確保しつつ、両面画像形成時の生産性低下を抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の色のプロセスカラートナーでカラー画像を形成するカラー画像形成部と、前記複数の色のそれぞれと異なる色の特色トナーで特色画像を形成する特色画像形成部と、前記形成されたカラー画像及び特色画像を記録部材に転写する転写部と、前記転写されたカラー画像及び特色画像を記録部材に定着させる定着部と、記録部材の種類及び記録部材に対するトナー付着量が所定条件を満たすか否かに応じて、記録部材の同一面に対する転写及び定着を2以上の所定回数に分けて実行する第1モード、又は、記録部材の同一面に対する転写及び定着を前記所定回数未満の回数で実行する第2モードのいずれかを選択する制御部と、を備える画像形成装置であって、記録部材の両面に画像を形成する際の記録部材の一方の面と他方の面とで、前記所定条件が異なり、前記制御部は、記録部材の坪量が所定値より大きい場合、又は、前記トナー付着量が所定量より多い場合に、前記第1モードを実行させ、前記記録部材の坪量が前記所定値以下であり、かつ、前記トナー付着量が前記所定量以下である場合に、前記第2モードを実行させるものであり、前記一方の面を先に転写及び定着が行われる面とし、前記他方の面を後から転写及び定着が行われる面として、前記一方の面に対する前記所定値の方が、前記他方の面に対する前記所定値より小さく、前記一方の面に対する前記所定量の方が、前記他方の面に対する前記所定量より少ない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記第1モード選択時には、記録部材の同一面に前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させ、前記第2モード選択時には、記録部材の同一面に前記特色画像と前記カラー画像とを一括して転写及び定着させる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記特色画像を転写及び定着させた後、前記カラー画像を転写及び定着させる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記カラー画像を転写及び定着させた後、前記特色画像を転写及び定着させる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記特色画像と前記カラー画像とを転写及び定着させる順番を指定するための指定部を備える。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記特色画像と前記カラー画像とを転写及び定着させる順番を、記録部材の種類によって特定する。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項2又は6に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記特色画像と前記カラー画像とを別々に転写及び定着させる面に対して、前記特色画像と前記カラー画像とを転写及び定着させる順番を、前記特色画像形成部に係る特色の種類によって特定する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、特色を用いる画像形成において、画質と定着性を確保しつつ、両面画像形成時の生産性低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】画像形成装置の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】(a)は、両面画像形成時の第1面について、特色トナー付着量と用紙坪量とを変化させた場合の定着性の評価結果である。(b)は、両面画像形成時の第2面について、特色トナー付着量と用紙坪量とを変化させた場合の定着性の評価結果である。
【
図4】第1の実施の形態の画像形成装置により実行される第1の画像形成モード選択処理を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施の形態の画像形成装置により実行される第2の画像形成モード選択処理を示すフローチャートである。
【
図6】第3の実施の形態の画像形成装置により実行される第3の画像形成モード選択処理を示すフローチャートである。
【
図7】第4の実施の形態の画像形成装置により実行される第4の画像形成モード選択処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0022】
図1は、第1の実施の形態における画像形成装置100の概略構成を示す図である。画像形成装置100は、電子写真方式により、フルカラーの画像を形成するタンデム型のカラー画像形成装置である。
画像形成装置100は、プリンター部10、用紙搬送部20、原稿読取部30、制御部11等を備えて構成され、これらが一つの筐体内に収められている。
【0023】
プリンター部10は、画像データに基づいて、記録部材としての用紙Pに画像を形成する。プリンター部10は、4組の通常カラー(プロセスカラー)の画像形成部1Y,1M,1C,1K、1組の特色の画像形成部1W、中間転写ベルト7、二次転写ローラー8、定着部9等を備えて構成されている。
【0024】
画像形成部1Yは、イエロー(Y)の画像を形成する。画像形成部1Mは、マゼンタ(M)の画像を形成する。画像形成部1Cは、シアン(C)の画像を形成する。画像形成部1Kは、ブラック(K)の画像を形成する。画像形成部1Y,1M,1C,1Kは、複数の色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のプロセスカラートナーでカラー画像を形成するカラー画像形成部である。
画像形成部1Wは、ホワイト(W)の画像を形成する。画像形成部1Wは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色のそれぞれと異なる色の特色トナーで特色画像を形成する特色画像形成部である。ここでは、特色として白色を用いる。
【0025】
画像形成部1Yは、感光体ドラム2Y、帯電部3Y、露光部4Y、現像部5Y、一次転写ローラー6Yを備えて構成されている。帯電部3Yは、感光体ドラム2Yの表面を一様に帯電させる。露光部4Yは、感光体ドラム2Y上を走査露光し、静電潜像を形成する。現像部5Yは、感光体ドラム2Y上の静電潜像にイエロー色のトナーを供給して現像する。一次転写ローラー6Yは、感光体ドラム2Y上に形成されたイエロー色のトナー画像を中間転写ベルト7上に転写(一次転写)する。
【0026】
同様に、画像形成部1M,1C,1K,1Wは、感光体ドラム2M,2C,2K,2W、帯電部3M,3C,3K,3W、露光部4M,4C,4K,4W、現像部5M,5C,5K,5W、一次転写ローラー6M,6C,6K,6Wを備えて構成されている。
画像形成部1M,1C,1K,1Wの構成についても、扱うトナーの色が異なるだけで、画像形成部1Yと同様である。
【0027】
中間転写ベルト7上には、画像形成部1Y,1M,1C,1K,1Wにより、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ホワイトの少なくとも1色以上のトナー画像が形成される。中間転写ベルト7には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ホワイトの1色ずつ画像を載せてもよいし、全5色分を積層することも可能である。
【0028】
二次転写ローラー8は、中間転写ベルト7上に形成された各色よりなるトナー画像を、用紙搬送部20により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して転写する。すなわち、二次転写ローラー8は、画像形成部1Y,1M,1C,1Kにより形成されたカラー画像及び画像形成部1Wにより形成された特色画像を記録部材に転写する転写部である。二次転写ローラー8は、中間転写ベルト7と圧接して配置されることによりニップ部(転写ニップ部)を形成する。
【0029】
定着部9は、用紙Pに転写されたトナー画像を加熱及び加圧することにより、用紙Pに定着させる。すなわち、定着部9は、二次転写ローラー8により転写されたカラー画像及び特色画像を記録部材に定着させる。
【0030】
用紙搬送部20は、用紙Pの搬送経路に従って用紙Pを搬送する。
用紙搬送部20は、用紙Pをプリンター部10に搬送する画像形成経路R1、切替ゲートG、画像形成後の用紙Pを外部に排出する排紙経路R2、画像形成後の用紙Pを循環させるループ経路R3、用紙Pの両面に画像形成を行うための反転経路R4を備えている。
【0031】
各搬送経路には、用紙Pを搬送する複数のローラー対が設けられている。個々のローラー対は、ローラー同士が圧接されており、電動モーター等の駆動機構により少なくとも一方のローラーが回転駆動されることにより、用紙Pを搬送する。
【0032】
画像形成経路R1は、給紙トレイ21から切替ゲートGに至るまで、用紙Pを搬送する経路である。給紙トレイ21に収容されている用紙Pは、給紙部22により取り込まれ、画像形成経路R1へと送り出される。
【0033】
画像形成経路R1上には、プリンター部10(特に、中間転写ベルト7と二次転写ローラー8により形成される転写ニップ部、定着部9)が設けられている。
用紙Pは、順次搬送されて、画像形成経路R1を進行する。用紙Pは、その先端がレジストローラー23に突き当たる位置で、転写ニップ部に向けて搬送されるタイミングが調整される。
中間転写ベルト7が担持するトナー画像と同期するように所定のタイミングでレジストローラー23が回転を開始すると、用紙Pは、プリンター部10の転写ニップ部へと搬送され、さらに、定着部9へと搬送される。定着部9において定着処理が施された用紙Pは、切替ゲートGまで搬送される。
【0034】
切替ゲートGは、用紙搬送方向において定着部9の下流側に設けられ、画像形成経路R1を搬送されてきた用紙Pの搬送先を切り替える。具体的に、切替ゲートGは、定着部9を通過した用紙Pを排紙経路R2に搬送する場合、用紙Pを直進させる。また、切替ゲートGは、定着部9を通過した用紙Pをループ経路R3又は反転経路R4に搬送する場合、用紙Pを下方に案内する。
【0035】
排紙経路R2は、定着部9により定着処理が施された用紙Pを、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ24に排出させる搬送経路である。
【0036】
ループ経路R3は、定着部9により定着処理が施された用紙Pを、画像形成面を変更することなく(すなわち、表裏を入れ替えることなく)、再度、画像形成経路R1に回帰させるための搬送経路である。
ループ経路R3は、画像形成経路R1のプリンター部10よりも用紙搬送方向における下流(切替ゲートGの位置)から分岐し、画像形成経路R1の途中に設けられた合流点25に至るように設けられている。ループ経路R3に供給された用紙Pは、ループ経路R3の途中の反転ローラー26を通過し、合流点25に到達する。合流点25に到達した用紙Pは、再度、画像形成経路R1へと送り出されることとなる。
【0037】
反転経路R4は、定着部9により定着処理が施された用紙Pの表裏を反転させて画像形成経路R1に回帰させるための搬送経路であり、ループ経路R3の途中(用紙搬送方向において反転ローラー26の上流の位置)から分岐し、画像形成経路R1の途中に設けられた合流点27に至るように設けられている。
用紙Pの裏面にも画像形成する場合において、ループ経路R3に搬送された用紙Pは、反転ローラー26が用紙Pの後端を挟持したタイミングで当該反転ローラー26が反転することで逆送され、その後端から反転経路R4に搬送され、画像形成経路R1の合流点27に到達する。合流点27に到達した用紙Pは、再度、画像形成経路R1へと送り出されることとなる。
【0038】
原稿読取部30は、原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、画像信号を得る。原稿読取部30は、この画像信号にA/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理を施した後、画像データとして制御部11に出力する。
【0039】
画像形成装置100では、色用紙等の用紙Pにカラー画像を形成する場合、カラー画像の発色を良くするために、カラー画像層の下(用紙Pとの間)に白色画像層を形成する。
画像形成装置100では、中間転写ベルト7の回転方向において、カラー画像形成部(画像形成部1Y,1M,1C,1K)の下流に特色画像形成部(画像形成部1W)が設けられているので、各画像形成部1Y,1M,1C,1K,1Wから各色の画像を中間転写ベルト7に重ねていき、中間転写ベルト7から用紙Pに一括して画像を転写し、その後、定着させることができる(1パス通紙)。
【0040】
一方、先に白色画像のみを中間転写ベルト7に形成し、白色画像を中間転写ベルト7から用紙Pに転写し、定着させた後、ループ経路R3により再給紙することで、用紙Pの同一面にカラー画像を形成することもできる(2パス通紙)。特色画像とカラー画像を2回に分けて形成する2パス通紙では、カラー画像4色分のみの画像を形成する際には、画像形成部1Wの動作を停止させ、一次転写ローラー6Wの圧接を解除させる。この場合、画像形成部1Wの不要な動作が抑えられ、耐久性が向上する。また、逆に、白色画像のみを形成する際には、画像形成部1Y,1M,1C,1Kの動作を停止させる。
【0041】
図2は、画像形成装置100の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置100は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、表示部15、プリンター部10、用紙搬送部20、原稿読取部30等を備える。
【0042】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。制御部11のCPUは、記憶部12に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置100の各部の動作を集中制御する。
例えば、制御部11は、通信部13により受信された画像データ、又は、原稿読取部30により得られた画像データに基づいて、用紙Pに画像を形成させる制御を行う。
【0043】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、制御部11で実行される各種プログラムの他、各部で必要なパラメーターやデータ等を記憶している。
【0044】
通信部13は、NIC(Network Interface Card)、MODEM(Modulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備え、パーソナルコンピューター等の外部装置と接続し、外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部13は、外部装置から、画像を形成する指示内容が記述されたジョブ情報を受信する。ジョブ情報には、画像形成対象の画像データの他、各種設定情報が含まれる。
【0045】
操作部14は、表示部15の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を制御部11に出力する。
【0046】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0047】
ここで、両面画像形成時の用紙Pの第1面(先に転写及び定着が行われる面)と第2面(後から転写及び定着が行われる面)における定着性の差について説明する。
図3(a)は、両面画像形成時の第1面について、特色トナー付着量(g/m
2)と用紙坪量(g/m
2)とを変化させた場合の定着性の評価結果である。また、
図3(b)は、両面画像形成時の第2面について、特色トナー付着量(g/m
2)と用紙坪量(g/m
2)とを変化させた場合の定着性の評価結果である。
図3(a)及び(b)において、「〇」は「画像が剥がれない」、「△」は「擦ると画像が剥がれる」、「×」は「画像が剥がれる」という結果を表している。
【0048】
図3(a)に示すように、第1面では、特色トナー付着量がX1以下であって、かつ、用紙坪量がY1以下の場合に、「〇」という結果となっており、この範囲では、定着性の問題はないことがわかる。
また、第1面では、特色トナー付着量がX1より多い場合、又は、用紙坪量がY1より大きい場合に、「△」又は「×」という結果となっており、定着不良が発生している。特色トナー付着量がX1より多い場合、又は、用紙坪量がY1より大きい場合には、第1面に対する転写及び定着を2回以上に分けて実行する必要がある。
【0049】
一方、
図3(b)に示すように、第2面では、特色トナー付着量がX2(X2>X1)以下であって、かつ、用紙坪量がY2(Y2>Y1)以下の場合に、「〇」という結果となっており、この範囲では、定着性の問題はないことがわかる。
また、第2面では、特色トナー付着量がX2より多い場合、又は、用紙坪量がY2より大きい場合に、「△」又は「×」という結果となっており、定着不良が発生している。特色トナー付着量がX2より多い場合、又は、用紙坪量がY2より大きい場合には、第2面に対する転写及び定着を2回以上に分けて実行する必要がある。
【0050】
なお、
図3(a)及び(b)は、特色画像及びカラー画像を重ねて形成した場合の定着性を評価した結果であり、評価結果が「△」又は「×」の範囲においても、特色画像のみを形成した場合には、定着不良は生じないことを前提としている。
【0051】
用紙Pの種類(用紙坪量等)及びトナー付着量によって定着性が変わるため、定着性が良ければ1パス通紙で定着可能な場合もあるし、2パス通紙でないと定着性を確保できない場合もある。
【0052】
また、第1面と第2面とで定着性が異なるため、1パス通紙で定着できる範囲も異なる。具体的には、特色画像とカラー画像の画像形成において、1パス通紙で定着できる範囲は、一般的に、第2面の方が第1面より広い。
このように、第1面と第2面とで定着性に差が生じるのは、第2面の画像形成時には、第1面に対する定着(加熱)によって用紙Pの温度が上昇しており、第2面の方が第1面と比較して定着性が良い(トナー付着量がより多くても定着可能、用紙Pがより厚くても定着可能)ことが原因である。
【0053】
制御部11は、用紙Pの種類及び用紙Pに対するトナー付着量が所定条件を満たすか否かに応じて、用紙Pの同一面に対する転写及び定着を2以上の所定回数に分けて実行する第1モード、又は、用紙Pの同一面に対する転写及び定着を所定回数未満の回数で実行する第2モードのいずれかを選択する。ここでは、「所定回数」が2回、「所定回数未満の回数」が1回である場合を例にして説明する。
用紙Pの両面に画像を形成する際の用紙Pの一方の面と他方の面とで、所定条件が異なる。
【0054】
用紙Pの両面のうち、一方の面を先に転写及び定着が行われる面(第1面)とし、他方の面を後から転写及び定着が行われる面(第2面)とする。
制御部11は、トナー付着量が所定量より多い場合に、2パス通紙モード(第1モード)を実行させ、トナー付着量が所定量以下である場合に、1パス通紙モード(第2モード)を実行させる。2パス通紙モードとは、用紙Pの同一面に対する転写及び定着を2回に分けて実行する通紙方法である。また、1パス通紙モードとは、用紙Pの同一面に対する転写及び定着を1回で実行する通紙方法である。一方の面(第1面)に対する所定量(X1)の方が、他方の面(第2面)に対する所定量(X2)より少ない。
【0055】
ただし、制御部11は、トナー付着量が所定量以下であっても、用紙坪量が所定値より大きい場合には、2パス通紙モードを実行させる。一方の面(第1面)に対する所定値(Y1)の方が、他方の面(第2面)に対する所定値(Y2)より小さい。
【0056】
制御部11は、2パス通紙モード(第1モード)選択時には、用紙Pの同一面に特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させ、1パス通紙モード(第2モード)選択時には、用紙Pの同一面に特色画像とカラー画像とを一括して転写及び定着させる。
【0057】
次に、画像形成装置100における動作について説明する。
図4は、画像形成装置100により実行される第1の画像形成モード選択処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0058】
まず、制御部11は、特色モードに設定されているか否かを判断する(ステップS1)。具体的には、制御部11は、ジョブ情報において、画像形成の対象となる画像に対し、特色で色が指定されているか否かを判断する。
【0059】
特色モードに設定されている場合には(ステップS1;YES)、制御部11は、第1面に係る画像形成であるか否かを判断する(ステップS2)。具体的には、制御部11は、両面画像形成時の先に転写及び定着が行われる面に対する画像形成である場合、又は、片面画像形成である場合に、第1面に係る画像形成であると判断する。また、制御部11は、両面画像形成時の後から転写及び定着が行われる面に対する画像形成である場合に、第1面に係る画像形成でない(第2面に係る画像形成である)と判断する。
【0060】
第1面に係る画像形成である場合には(ステップS2;YES)、制御部11は、用紙坪量がY1より大きいか否かを判断する(ステップS3)。具体的には、制御部11は、ジョブ情報において指定されている用紙Pの種類又は給紙トレイ21に基づいて、用紙坪量を取得し、取得した用紙坪量がY1より大きいか否かを判断する。例えば、制御部11は、ジョブ情報において用紙Pの種類が指定されている場合には、用紙Pの種類に含まれる用紙坪量を取得する。また、記憶部12には、給紙トレイ21ごとに、給紙トレイ21に収容されている用紙Pの種類(紙種、サイズ、用紙坪量等)が対応付けられて記憶されており、制御部11は、ジョブ情報において給紙トレイ21が指定されている場合には、指定された給紙トレイ21に対応付けられている用紙坪量を取得する。
【0061】
用紙坪量がY1以下である場合には(ステップS3;NO)、制御部11は、特色トナー付着量がX1より多いか否かを判断する(ステップS4)。具体的には、制御部11は、ジョブ情報において指定されている特色の濃度と、画像形成装置100に対して予め設定されているベタ濃度設定と、に基づいて、特色トナー付着量を算出し、X1と比較する。
【0062】
ステップS3において、用紙坪量がY1より大きい場合(ステップS3;YES)、又は、ステップS4において、特色トナー付着量がX1より多い場合には(ステップS4;YES)、制御部11は、2パス通紙モードを選択する(ステップS5)。すなわち、制御部11は、第1面に対しては、「用紙坪量>Y1、又は、特色トナー付着量>X1」という条件を満たす場合に、2パス通紙モードを選択する。
【0063】
制御部11は、2パス通紙において、まず、画像形成部1Wを制御して特色画像(白色画像)を中間転写ベルト7上に形成させ、二次転写ローラー8により中間転写ベルト7から用紙Pの第1面に特色画像を転写させ、定着部9により特色画像を定着させる(ステップS6)。
次に、制御部11は、用紙搬送部20を制御して、ループ経路R3により用紙Pの画像形成面を変更させずに再給紙させる。次に、制御部11は、画像形成部1Y,1M,1C,1Kを制御してカラー画像を中間転写ベルト7上に形成させ、二次転写ローラー8により中間転写ベルト7から用紙Pの第1面(同一面)にカラー画像を転写させ、定着部9によりカラー画像を定着させる(ステップS7)。
ただし、第1面に対する画像形成の順番は、先にカラー画像を転写及び定着させ、後から特色画像を転写及び定着させる順番であってもよい。
【0064】
ステップS4において、特色トナー付着量がX1以下である場合には(ステップS4;NO)、制御部11は、1パス通紙モードを選択する(ステップS8)。すなわち、制御部11は、第1面に対しては、「用紙坪量>Y1、又は、特色トナー付着量>X1」という条件を満たさない場合に、1パス通紙モードを選択する。
【0065】
制御部11は、1パス通紙において、画像形成部1Y,1M,1C,1K,1Wを制御して特色画像(白色画像)及びカラー画像を中間転写ベルト7上に形成させ、二次転写ローラー8により中間転写ベルト7から用紙Pの第1面に特色画像及びカラー画像を転写させ、定着部9により特色画像及びカラー画像を定着させる(ステップS9)。
【0066】
ステップS2において、第1面に係る画像形成でない場合(ステップS2;NO)、すなわち、第2面に係る画像形成である場合には、制御部11は、用紙坪量がY2より大きいか否かを判断する(ステップS10)。
【0067】
用紙坪量がY2以下である場合には(ステップS10;NO)、制御部11は、特色トナー付着量がX2より多いか否かを判断する(ステップS11)。
【0068】
ステップS10において、用紙坪量がY2より大きい場合(ステップS10;YES)、又は、ステップS11において、特色トナー付着量がX2より多い場合には(ステップS11;YES)、制御部11は、2パス通紙モードを選択する(ステップS12)。すなわち、制御部11は、第2面に対しては、「用紙坪量>Y2、又は、特色トナー付着量>X2」という条件を満たす場合に、2パス通紙モードを選択する。
制御部11は、用紙Pの第2面に対して特色画像を転写及び定着させた後(ステップS13)、ループ経路R3により再給紙させ、第2面(同一面)に対してカラー画像を転写及び定着させる(ステップS14)。
ただし、第2面に対する画像形成の順番は、先にカラー画像を転写及び定着させ、後から特色画像を転写及び定着させる順番であってもよい。
【0069】
ステップS11において、特色トナー付着量がX2以下である場合には(ステップS11;NO)、制御部11は、1パス通紙モードを選択する(ステップS15)。すなわち、制御部11は、第2面に対しては、「用紙坪量>Y2、又は、特色トナー付着量>X2」という条件を満たさない場合に、1パス通紙モードを選択する。
制御部11は、用紙Pの第2面に対して特色画像及びカラー画像を一括して転写及び定着させる(ステップS16)。
【0070】
ステップS1において、特色モードに設定されていない場合には(ステップS1;NO)、制御部11は、1パス通紙モードを選択する(ステップS17)。
制御部11は、画像形成部1Y,1M,1C,1Kを制御してカラー画像を中間転写ベルト7上に形成させ、二次転写ローラー8により中間転写ベルト7から用紙Pにカラー画像を転写させ、定着部9によりカラー画像を定着させる(ステップS18)。
ステップS7、ステップS9、ステップS14、ステップS16又はステップS18の後、第1の画像形成モード選択処理が終了する。
【0071】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、2パス通紙モード/1パス通紙モードを選択するための用紙Pの種類及びトナー付着量における条件として、用紙Pの一方の面と他方の面とで異なる条件を用いることで、特色を用いる画像形成において、画質と定着性を確保しつつ、両面画像形成時の生産性低下を抑えることができる。
具体的には、1パス通紙で定着性を確保できる用紙坪量及びトナー付着量の範囲では、できるだけ1パス通紙を用いることで、生産性が向上するとともに、耐久性やコスト面においても有利となる。また、1パス通紙では定着不良が発生する用紙坪量及びトナー付着量の範囲では、2パス通紙を用いることで、定着不良を防止することができる。
【0072】
また、後から転写及び定着が行われる面(第2面)の画像形成時には、先に転写及び定着が行われる面(第1面)に対する定着により用紙Pの温度が上昇しているため、第2面に対する特色トナー付着量の閾値X2の方が、第1面に対する特色トナー付着量の閾値X1より大きい値に設定されている。したがって、第1面、第2面のそれぞれに適した条件に基づいて、2パス通紙モード/1パス通紙モードを使い分けることができる。
【0073】
特に、第1面(
図3(a)参照)では「△」又は「×」の評価であるが、第2面(
図3(b)参照)では「〇」の評価が得られている領域(X1<特色トナー付着量≦X2、かつ、Y1<用紙坪量≦Y2の範囲)において、第1面を2パス通紙、第2面を1パス通紙とすることで、画質と定着性を確保しつつ、両面画像形成時の生産性低下を抑えることができる。
【0074】
なお、第1の実施の形態では、用紙坪量と特色トナー付着量のそれぞれについて、2パス通紙モード/1パス通紙モードを選択するための閾値(Y1,Y2,X1,X2)が設定されている場合について説明したが、
図3(a)及び(b)において、2パス通紙モード/1パス通紙モードを選択する境界が曲線で表されるような条件が設定されていることとしてもよい。
【0075】
第1の実施の形態では、2パス通紙モード/1パス通紙モードを選択する際に用いるトナー付着量として、特色トナー(白色トナー)の付着量を用いたが、定着時に用紙P上に載っている白色トナーとYMCKトナーの最大付着量を合わせた値に基づいて、2パス通紙モード/1パス通紙モードを選択することとしてもよい。
また、カラー画像に関しては、画像パターンによってトナー付着量が様々に変化するため、その都度画像データから2パス通紙モード/1パス通紙モードを判定するのは困難である。そこで、通常1ジョブ内では変化しない白色トナーの付着量を用いることで、処理が容易になる。
白色トナーの付着量は、ユーザーの好みで決定する場合もあるが、特開2017-182032号公報に記載されているように、用紙Pの色(明度)によって変えることとしてもよい。
【0076】
また、第1の実施の形態では、2パス通紙モード/1パス通紙モードを選択する際に用いる用紙Pの種類として、用紙坪量を用いたが、1パス通紙で定着可能な条件は、用紙Pの紙種、用紙Pの色等によって変わるため、これらのパラメーターによって、2パス通紙モード/1パス通紙モードを選択することとしてもよい。
【0077】
また、用紙Pの種類や画像(トナー付着量)によって、定着性に余裕がある場合は、第1面/第2面ともに1パス通紙とすることも可能であるし、定着性が厳しい場合は、第1面/第2面ともに2パス通紙にする必要がある。
また、ある用紙Pに対して、第1面のトナー付着量が少なく、第2面のトナー付着量が多いという条件では、第1面が1パス通紙で第2面は2パス通紙となる場合もある。
【0078】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における画像形成装置は、第1の実施の形態に示した画像形成装置100と同様の構成であるため、
図1及び
図2を援用し、共通する部分については説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0079】
第1の実施の形態のように、用紙坪量及びトナー付着量に応じて、1ページごとに1パス通紙モードか2パス通紙モードかを判断すると、用紙の搬送制御が複雑になってしまう。そこで、第2の実施の形態では、搬送制御簡略化のために、第1面は2パス通紙モード、第2面は1パス通紙モードで画像形成を行う。
【0080】
制御部11は、用紙Pの両面に画像を形成する際に、用紙Pの一方の面に対して転写及び定着を2以上の所定回数に分けて実行させ、その後、用紙Pの他方の面に対して転写及び定着を所定回数未満の回数で実行させる。第2の実施の形態においても、「所定回数」が2回、「所定回数未満の回数」が1回である場合を例にして説明する。
【0081】
制御部11は、一方の面に特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させ、他方の面に特色画像とカラー画像とを一括して転写及び定着させる。
【0082】
操作部14は、特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させる面(第1面)に対して、特色画像とカラー画像とを転写及び定着させる順番をユーザーが指定する際に用いられる。すなわち、操作部14は、指定部として機能する。制御部11は、指定された順番を記憶部12に記憶させる。
制御部11は、指定された順番に応じて、特色画像の順番が先に指定されている場合に、第1面に特色画像を転写及び定着させた後、第1面にカラー画像を転写及び定着させる。
制御部11は、カラー画像の順番が先に指定されている場合に、第1面にカラー画像を転写及び定着させた後、第1面に特色画像を転写及び定着させる。
【0083】
次に、第2の実施の形態の画像形成装置における動作について説明する。
図5は、第2の実施の形態の画像形成装置により実行される第2の画像形成モード選択処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0084】
まず、制御部11は、特色モードに設定されているか否かを判断する(ステップS21)。
特色モードに設定されている場合には(ステップS21;YES)、制御部11は、第1面に係る画像形成であるか否かを判断する(ステップS22)。
ステップS21,S22の処理は、第1の画像形成モード選択処理(
図4参照)におけるステップS1,S2の処理と同様である。
【0085】
第1面に係る画像形成である場合には(ステップS22;YES)、制御部11は、2パス通紙モードを選択する(ステップS23)。
【0086】
ここで、制御部11は、記憶部12からユーザーが指定した順番を読み出し、この順番に基づいて、特色画像の順番が先に指定されているか否かを判断する(ステップS24)。
特色画像の順番が先に指定されている場合には(ステップS24;YES)、制御部11は、用紙Pの第1面に対して特色画像を転写及び定着させた後(ステップS25)、ループ経路R3により再給紙させ、第1面(同一面)に対してカラー画像を転写及び定着させる(ステップS26)。
【0087】
ステップS24において、カラー画像の順番が先に指定されている場合には(ステップS24;NO)、制御部11は、用紙Pの第1面に対してカラー画像を転写及び定着させた後(ステップS27)、ループ経路R3により再給紙させ、第1面(同一面)に対して特色画像を転写及び定着させる(ステップS28)。
【0088】
ステップS22において、第1面に係る画像形成でない場合(ステップS22;NO)、すなわち、第2面に係る画像形成である場合には、制御部11は、1パス通紙モードを選択する(ステップS29)。
制御部11は、用紙Pの第2面に対して特色画像及びカラー画像を一括して転写及び定着させる(ステップS30)。
【0089】
ステップS21において、特色モードに設定されていない場合には(ステップS21;NO)、制御部11は、1パス通紙モードを選択する(ステップS31)。
制御部11は、用紙Pに対してカラー画像を転写及び定着させる(ステップS32)。
ステップS26、ステップS28、ステップS30又はステップS32の後、第2の画像形成モード選択処理が終了する。
【0090】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、用紙Pの第1面に対して転写及び定着を2回に分けて実行させ、その後、第2面に対して転写及び定着を1回で実行させるので、特色を用いる画像形成において、画質と定着性を確保しつつ、両面画像形成時の生産性低下を抑えることができる。
【0091】
用紙Pの第2面に対する画像形成時には、第1面に対する画像形成で用紙Pが定着部9を通っていることで、用紙Pが加熱されており、定着性が良いため、特色画像とカラー画像を1パス通紙にて画像形成を行うことができる。
この時、第1面及び第2面の定着性を適正化するために、第1面及び第2面のそれぞれにおける定着条件を変更することもできる。定着条件としては、例えば、定着ニップ幅、定着速度、定着温度等が挙げられる。
【0092】
第2の実施の形態では、第1面に対しては2パス通紙、第2面に対しては1パス通紙としたが、用紙坪量が所定値(例えば、
図3(b)に示すY2)より大きい場合には、第2面であっても2パス通紙としてもよい。同様に、特色トナー付着量が所定量(例えば、
図3(b)に示すX2)より多い場合には、第2面であっても2パス通紙としてもよい。
【0093】
また、第2の実施の形態において、特色画像の順番が先に指定されている場合には、第1面に対して白色画像(特色画像)を転写及び定着させ、ループ経路R3により再給紙させ、第1面に対してカラー画像を転写及び定着させ、その後、反転経路R4により表裏を反転させ、第2面に対して白色画像及びカラー画像を一括して転写及び定着させることになる。
連続通紙の場合、1枚ずつこの動作を行うと効率が悪いため、複数枚まとめて第1面に白色画像を形成し、その後複数枚まとめて第1面(同一面)にカラー画像を形成し、複数枚まとめて第2面に白色画像とカラー画像を形成するようにしてもよい。
この場合、なるべく白色画像同士、又は、カラー画像同士が連続するように通紙順を決定すると、カラー画像のみを形成する際の画像形成部1Wの動作の停止や、白色画像のみを形成する際の画像形成部1Y,1M,1C,1Kの動作の停止等の切り替えが容易になる。
【0094】
[第3の実施の形態]
次に、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態における画像形成装置は、第1の実施の形態に示した画像形成装置100と同様の構成であるため、
図1及び
図2を援用し、共通する部分については説明を省略する。以下、第3の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0095】
第2の実施の形態では、第1面に対する2パス通紙における特色画像とカラー画像の転写及び定着の順番を、ユーザーが指定することとしたが、第3の実施の形態では、用紙Pの種類によって特定する。
【0096】
制御部11は、用紙Pの両面に画像を形成する際に、用紙Pの一方の面に対して転写及び定着を2以上の所定回数に分けて実行させ、その後、用紙Pの他方の面に対して転写及び定着を所定回数未満の回数で実行させる。第3の実施の形態においても、「所定回数」が2回、「所定回数未満の回数」が1回である場合を例にして説明する。
【0097】
制御部11は、一方の面に特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させ、他方の面に特色画像とカラー画像とを一括して転写及び定着させる。
制御部11は、特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させる面(第1面)に対して、特色画像とカラー画像とを転写及び定着させる順番を、用紙P(記録部材)の種類によって特定する。
【0098】
例えば、制御部11は、用紙Pが色用紙であるか、透明用紙であるかに応じて、順番を特定する。
制御部11は、用紙Pが色用紙である場合には、第1面に特色画像を転写及び定着させた後、第1面にカラー画像を転写及び定着させる。
制御部11は、用紙Pが透明用紙である場合には、第1面にカラー画像を転写及び定着させた後、第1面に特色画像を転写及び定着させる。
【0099】
次に、第3の実施の形態の画像形成装置における動作について説明する。
図6は、第3の実施の形態の画像形成装置により実行される第3の画像形成モード選択処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0100】
ステップS41~ステップS43、ステップS49~ステップS52の処理は、第2の画像形成モード選択処理(
図5参照)のステップS21~ステップS23、ステップS29~ステップS32の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
ステップS43の後、制御部11は、画像形成の対象となる用紙Pが色用紙であるか、透明用紙であるかを判断する(ステップS44)。具体的には、制御部11は、ジョブ情報において指定されている用紙Pの種類を取得し、取得した用紙Pの種類が色用紙であるか、透明用紙であるかを判断する。あるいは、用紙Pの色や透過率を検知して用紙Pの種類を自動的に判断する手段を備えることとしてもよい。また、制御部11は、ユーザーが操作部14から選択し、記憶部12に記憶されている用紙Pの種類を取得してもよい。
【0102】
用紙Pが色用紙である場合には(ステップS44;色用紙)、制御部11は、用紙Pの第1面に対して特色画像を転写及び定着させた後(ステップS45)、ループ経路R3により再給紙させ、第1面(同一面)に対してカラー画像を転写及び定着させる(ステップS46)。
【0103】
ステップS44において、用紙Pが透明用紙である場合には(ステップS44;透明用紙)、制御部11は、用紙Pの第1面に対してカラー画像を転写及び定着させた後(ステップS47)、ループ経路R3により再給紙させ、第1面(同一面)に対して特色画像を転写及び定着させる(ステップS48)。
【0104】
ステップS46、ステップS48、ステップS50又はステップS52の後、第3の画像形成モード選択処理が終了する。
【0105】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、用紙Pの第1面に対して転写及び定着を2回に分けて実行させ、その後、第2面に対して転写及び定着を1回で実行させるので、特色を用いる画像形成において、画質と定着性を確保しつつ、両面画像形成時の生産性低下を抑えることができる。
【0106】
また、第1面に対する2パス通紙における特色画像とカラー画像の転写及び定着の順番を、用紙Pの種類によって特定することができる。例えば、用紙Pの種類ごとの白色トナーの用途に応じて、画像の積層順を変えることができる。
具体的には、色用紙に対しては、白色画像を形成した後にカラー画像を形成することで、カラー画像の発色が良くなり、色用紙の色の影響を防ぐことができる。
また、透明用紙に対しては、カラー画像を形成した後に白色画像を形成することで、透明用紙の画像が形成されていない側から見た場合の画質を向上させることができる。
【0107】
[第4の実施の形態]
次に、本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態における画像形成装置は、第1の実施の形態に示した画像形成装置100と同様の構成であるため、
図1及び
図2を援用し、共通する部分については説明を省略する。以下、第4の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0108】
第4の実施の形態では、第1面に対する2パス通紙における特色画像とカラー画像の転写及び定着の順番を、特色の種類によって特定する。
第4の実施の形態における画像形成装置は、画像形成部1W(特色画像形成部)として、白色トナーで白色画像を形成する画像形成部、又は、透明トナーで透明画像を形成する画像形成部のいずれかを備えている。透明トナーは、主にカラー画像の光沢を調整するために用いられる。
【0109】
制御部11は、用紙Pの両面に画像を形成する際に、用紙Pの一方の面に対して転写及び定着を2以上の所定回数に分けて実行させ、その後、用紙Pの他方の面に対して転写及び定着を所定回数未満の回数で実行させる。第4の実施の形態においても、「所定回数」が2回、「所定回数未満の回数」が1回である場合を例にして説明する。
【0110】
制御部11は、一方の面に特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させ、他方の面に特色画像とカラー画像とを一括して転写及び定着させる。
制御部11は、特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させる面(第1面)に対して、特色画像とカラー画像とを転写及び定着させる順番を、画像形成部1W(特色画像形成部)に係る特色の種類によって特定する。
【0111】
具体的には、制御部11は、特色トナーとして白色トナーを用いるか、透明トナーを用いるかに応じて、順番を特定する。
制御部11は、白色トナーを用いる場合には、第1面に特色画像を転写及び定着させた後、第1面にカラー画像を転写及び定着させる。
制御部11は、透明トナーを用いる場合には、第1面にカラー画像を転写及び定着させた後、第1面に特色画像を転写及び定着させる。
【0112】
次に、第4の実施の形態の画像形成装置における動作について説明する。
図7は、第4の実施の形態の画像形成装置により実行される第4の画像形成モード選択処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0113】
ステップS61~ステップS63、ステップS69~ステップS72の処理は、第2の画像形成モード選択処理(
図5参照)のステップS21~ステップS23、ステップS29~ステップS32の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0114】
ステップS63の後、制御部11は、特色画像を形成する画像形成部1Wが白色トナーを用いるか、透明トナーを用いるかを判断する(ステップS64)。例えば、トナーボトルから色や識別情報(バーコード等)等を読み取り、特色の種類を自動的に検知する手段を備えることとしてもよい。また、制御部11は、ユーザーが操作部14から選択し、記憶部12に記憶されている特色の種類を取得してもよい。
【0115】
画像形成部1Wが白色トナーを用いる場合には(ステップS64;白色トナー)、制御部11は、用紙Pの第1面に対して特色画像(白色画像)を転写及び定着させた後(ステップS65)、ループ経路R3により再給紙させ、第1面(同一面)に対してカラー画像を転写及び定着させる(ステップS66)。
【0116】
ステップS64において、画像形成部1Wが透明トナーを用いる場合には(ステップS64;透明トナー)、制御部11は、用紙Pの第1面に対してカラー画像を転写及び定着させた後(ステップS67)、ループ経路R3により再給紙させ、第1面(同一面)に対して特色画像(透明画像)を転写及び定着させる(ステップS68)。
【0117】
ステップS66、ステップS68、ステップS70又はステップS72の後、第4の画像形成モード選択処理が終了する。
【0118】
以上説明したように、第4の実施の形態によれば、用紙Pの第1面に対して転写及び定着を2回に分けて実行させ、その後、第2面に対して転写及び定着を1回で実行させるので、特色を用いる画像形成において、画質と定着性を確保しつつ、両面画像形成時の生産性低下を抑えることができる。
【0119】
また、第1面に対する2パス通紙における特色画像とカラー画像の転写及び定着の順番を、特色の種類によって特定することができる。
具体的には、特色が白色である場合には、白色画像を形成した後にカラー画像を形成することで、カラー画像の発色が良くなり、画質を向上させることができる。
また、特色が透明である場合には、カラー画像を形成した後に透明画像を形成することで、カラー画像に光沢を付加することができる。
【0120】
なお、画像形成装置が複数の特色画像形成部を備えている場合には、実行されるジョブにおいて使用される特色画像形成部に係る特色の種類によって、2パス通紙における特色画像とカラー画像の転写及び定着の順番を特定すればよい。
【0121】
また、第4の実施の形態では、第1面に特色画像とカラー画像とを転写及び定着させる順番を、特色の種類によって特定することとしたが、第1面に特色画像とカラー画像とを転写及び定着させる順番を、特色の種類と用紙Pの種類との組み合わせによって特定することとしてもよい。
【0122】
上記各実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記各実施の形態における各処理を組み合わせることとしてもよい。
【0123】
上記各実施の形態では、用紙Pの同一面に対する転写及び定着の回数として、「所定回数」が2回、「所定回数未満の回数」が1回である場合について説明したが、「所定回数」は2回に限定されるものではなく、3回以上であってもよい。特に、特色以外の画像を形成する画像形成部の数が増えた場合には、「所定回数」が3回、4回等になることもある。
【0124】
また、第1の実施の形態において、特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させる面(2パス通紙を行う面)に対して、特色画像とカラー画像の順番を、ユーザーが指定可能としてもよい。具体的には、第2の画像形成モード選択処理(
図5参照)のステップS24~ステップS28の処理と同様である。
また、第1の実施の形態において、特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させる面(2パス通紙を行う面)に対して、特色画像とカラー画像の順番を、用紙Pの種類によって特定することとしてもよい。具体的には、第3の画像形成モード選択処理(
図6参照)のステップS44~ステップS48の処理と同様である。
また、第1の実施の形態において、特色画像とカラー画像とを別々に転写及び定着させる面(2パス通紙を行う面)に対して、特色画像とカラー画像の順番を、特色の種類によって特定することとしてもよい。具体的には、第4の画像形成モード選択処理(
図7参照)のステップS64~ステップS68の処理と同様である。また、特色画像とカラー画像の順番を、特色の種類と用紙Pの種類との組み合わせによって特定することとしてもよい。
【0125】
また、上記各実施の形態では、用紙Pへの転写を行う転写部(二次転写ローラー8)、及び、定着部9を一つずつ備える場合を例示したが、複数の転写部及び定着部が用紙搬送方向に沿って直列に配置されている装置において、転写及び定着ごとに、異なる転写部及び定着部を使用することとしてもよい。
【0126】
また、2パス通紙で特色画像及びカラー画像を別々に形成する場合と、1パス通紙で特色画像及びカラー画像を一括して形成する場合とでは、定着時の混色によりカラーの色味が変わってくることがある。このため、2パス通紙時と1パス通紙時での色味変化分をカラー画像の濃度に対して補正するようにしてもよい。
【0127】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体として半導体メモリーやHDDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1Y,1M,1C,1K,1W 画像形成部
7 中間転写ベルト
8 二次転写ローラー
9 定着部
10 プリンター部
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 操作部
15 表示部
20 用紙搬送部
100 画像形成装置
P 用紙
R1 画像形成経路
R2 排紙経路
R3 ループ経路
R4 反転経路