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特許7167631工作機械及び工作機械を用いた歯車加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】工作機械及び工作機械を用いた歯車加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23F 5/12 20060101AFI20221101BHJP
   B23F 5/20 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B23F5/12
B23F5/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018203841
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020069555
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健斗
(72)【発明者】
【氏名】大谷 尚
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩之
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0297135(US,A1)
【文献】特開2018-134690(JP,A)
【文献】特開2011-212762(JP,A)
【文献】特開2015-062967(JP,A)
【文献】特開2018-086688(JP,A)
【文献】特開2015-178162(JP,A)
【文献】特開平08-118144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 5/00 - 5/28
B23F 11/00 - 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物が装着される工作物主軸を、第一軸線Aを中心に回転可能に設けられる工作物保持装置と、
前記工作物を加工する工具が装着される工具主軸を、第二軸線O1,O2を中心に回転可能に設けられると共に、前記工作物保持装置に対して相対移動可能な工具保持装置と、
前記工具主軸に着脱可能な前記工具であって前記工作物の荒加工に用いるホブカッタと、
前記工具主軸に着脱可能な前記工具であって前記工作物の仕上加工に用いるスカイビングカッタと、
前記工具を収納可能な工具マガジンと、
前記工具主軸に装着された前記工具と前記工具マガジンに収納された前記工具との交換を行う工具交換装置と、
前記第一軸線Aと前記第二軸線O1とのなす角度を所定の交差角θ1とし、前記工作物主軸装着された前記工作物と前記工具主軸に装着された前記ホブカッタとを同期回転させながら、前記工作物と前記ホブカッタとを相対移動させることにより、前記工作物に対する荒加工を行う荒加工制御部と、
前記スカイビングカッタを装着した前記工具主軸前記第二軸線O2を中心とする回転角度を工具基準回転角度とした状態で、前記第二軸線O2を中心とする回転方向における前記スカイビングカッタの刃の位置を計測する工具計測装置と、
前記工具計測装置の計測結果に基づいて前記工作物の前記第一軸線Aを中心とする回転角度に対する前記スカイビングカッタの前記第二軸線O2を中心とする回転角度を補正し、前記工作物主軸装着された荒加工後の前記工作物に形成された歯溝と前記工具主軸に装着された前記スカイビングカッタの刃先とを対応する位置に配置する角度補正部と、
前記角度補正部による補正を行った後、前記第一軸線Aと前記第二軸線O2とのなす角度を所定の交差角θ2とし、前記工作物と前記スカイビングカッタとを同期回転させながら前記工作物と前記スカイビングカッタとの相対移動を行うことにより、前記工作物に対する仕上加工を行う仕上加工制御部と、
を備える、工作機械。
【請求項2】
前記工作機械は、
前記工作物を装着した前記工作物主軸の前記第一軸線Aを中心とする回転角度工作物基準回転角度とした状態で、前記第一軸線Aを中心とする回転方向における荒加工後の前記工作物のの位置を計測する工作物計測装置と、
前記工作物計測装置の計測結果に基づいて把握される前記工作物の回転方向における歯溝の位置情報を、前記工作物の角度情報として記憶する工作物角度記憶部と、
を更に備え、
前記荒加工制御部は、前記工作物を装着した前記工作物主軸の前記第一軸線Aを中心とする回転角度を前記工作物基準回転角度とし、前記ホブカッタを装着した前記工具主軸前記第二軸線O1を中心とする回転角度を前記工具基準回転角度とし、前記工作物保持装置及び前記工具保持装置荒加工開始位置に配置した後に荒加工を開始し、
前記工作機械は、複数の前記工作物に対し歯車加工を同一の加工条件で連続して行う場合に、初回の歯車加工時において、前記工作物計測装置による計測を行うと共に前記角度情報を前記工作物角度記憶部に記憶し、2回目以降の歯車加工時には、前記工作物計測装置による計測を省略する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記工具は、前記工具主軸に装着された状態で前記工具主軸に設けられた被嵌合部に嵌合する嵌合部を備え、
前記角度補正部は、前記被嵌合部と前記嵌合部との嵌合ガタに起因する回転角度ズレを補正する、請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記荒加工制御部は、前記回転角度ズレを勘案した取り代を残しつつ荒加工を行い、
前記工作機械は、前記工具保持装置に前記ホブカッタを装着した状態での前記回転角度ズレの補正を省略する、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記角度補正部は、
前記工作物主軸装着された荒加工後の前記工作物の歯溝と前記工具主軸装着された前記スカイビングカッタの刃先との回転角度ズレ量に基づき、必要とされる前記工作物又は前記スカイビングカッタの回転角度補正量を演算する第一補正量演算部と、
前記工作物にはすば歯車を創成する場合に、前記はすば歯車の諸元、及び、仕上加工開始位置での前記スカイビングカッタと前記工作物との離間距離に基づき、必要とされる前記工作物又は前記スカイビングカッタの回転角度補正量を演算する第二補正量演算部と、
前記第一補正量演算部による演算で得られた回転角度補正量と前記第二補正量演算部による演算で得られた回転角度補正量とに基づき、前記工作物に対する前記スカイビングカッタの角度を補正する補正実行部と、
を備える、請求項1-4の何れか一項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記工作機械は、
荒加工の前に実行する前加工で用いる前記工具であって前記工具マガジンに収納される前加工用工具と、
仕上加工の後に実行する後加工で用いる前記工具であって前記工具マガジンに収納される後加工用工具と、
の少なくとも何れか一方を備え、
前記工作機械は、前記工作物主軸に前記工作物が装着された状態で、前記工具主軸に装着する前記工具の交換及び前記工具による加工を連続して行う、請求項1-5の何れか一項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記工作機械は、仕上加工中に前記スカイビングカッタを交換した場合に、前記工具計測装置による計測を行うと共に前記角度補正部による補正を行った後、前記仕上加工制御部による仕上加工を再開する、請求項1-6の何れか一項に記載の工作機械。
【請求項8】
第一軸線を中心に回転可能に設けられる工作物主軸を備える工作物保持装置における前記工作物主軸に工作物を装着する工作物装着工程と、
第二軸線O1,O2を中心に回転可能に設けられる工具主軸を備える工具保持装置における前記工具主軸にホブカッタを装着するホブカッタ装着工程と、
前記第一軸線Aと前記第二軸線O1とのなす角度を所定の交差角θ1とし、前記工作物と前記ホブカッタとを同期回転させながら前記工作物と前記ホブカッタとを相対移動させることにより、前記工作物に対する荒加工を行う荒加工工程と、
工具交換装置を用いて、前記工具主軸に装着された前記ホブカッタを取り外して工具マガジンに収納すると共に、前記工具マガジンに収納されたスカイビングカッタを前記工具主軸に装着するスカイビングカッタ装着工程と、
前記スカイビングカッタを装着した前記工具主軸の前記第二軸線O2を中心とする回転角度を工具基準回転角度とした状態で、工具計測装置を用いて、前記第二軸線O2を中心とする回転方向における前記スカイビングカッタの刃の位置を計測する工具計測工程と、
前記工具計測工程での計測結果に基づいて前記工作物の前記第一軸線Aを中心とする回転角度に対する前記スカイビングカッタの前記第二軸線O2を中心とする回転角度を補正し、前記工作物主軸装着された荒加工後の前記工作物に形成された歯溝と前記工具主軸に装着された前記スカイビングカッタの刃先とを対応する位置に配置する角度補正工程と、
前記第一軸線Aと前記第二軸線O2とのなす角度を所定の交差角θ2とし、前記工作物と前記スカイビングカッタとを同期回転させながら前記工作物と前記スカイビングカッタとを相対移動させることにより、前記工作物に対する仕上加工を行う仕上加工工程と、
を備える、工作機械を用いた歯車加工方法。
【請求項9】
前記歯車加工方法は、
前記工作物を装着した前記工作物主軸の前記第一軸線Aを中心とする回転角度工作物基準回転角度とした状態で、工作物計測装置を用いて、前記第一軸線Aを中心とする回転方向における荒加工後の前記工作物のの位置を計測する工作物計測工程と、
前記工作物計測工程の計測結果に基づいて把握される前記工作物の回転方向における歯の位置情報を、前記工作物の角度情報として工作物角度記憶部に記憶する工作物角度記憶工程と、
を備え、
前記歯車加工方法は、複数の前記工作物に対し歯車加工を同一の加工条件で連続して行う場合に、初回の歯車加工時において、前記荒加工工程の終了後且つ前記角度補正工程の開始前に前記工作物計測工程及び前記工作物角度記憶工程を実行し、2回目以降の歯車加工時には、前記工作物計測工程及び前記工作物角度記憶工程を省略する、請求項8に記載の工作機械を用いた歯車加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械及び工作機械を用いた歯車加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホブカッタ又はスカイビングカッタを用いた歯車加工方法が知られている。ホブカッタを用いた歯車加工方法として、例えば、特許文献1には、荒加工ホブを用いて荒加工を行った後に、仕上げ加工ホブを用いて仕上げ加工を行う歯車加工方法が開示されている。特許文献2には、スカイビングカッタを用いた歯車加工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-210817号公報
【文献】特開2014-172112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホブカッタを用いた歯車加工は、スカイビングカッタを用いた歯車加工と比べて、工具寿命が長いものの、十分な加工精度を得られない。また、ホブカッタを用いて高精度な加工を行う場合には、ホブカッタの送り量を小さくする必要がある。従って、ホブカッタを用いて仕上加工を行うと、仕上加工に要する時間が長くなる。これに対し、スカイビングカッタを用いた歯車加工は、高精度な加工ができるものの、スカイビングカッタが早期に摩耗しやすく、切込量を小さくする必要がある。従って、スカイビングカッタを用いて荒加工を行うと、荒加工に要する時間が長くなる。
【0005】
本発明は、工具コストを抑制しつつ、加工時間の短縮と加工精度の向上との両立を図ることができる工作機械及び工作機械を用いた歯車加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
工作物が装着される工作物主軸を、第一軸線Aを中心に回転可能に設けられる工作物保持装置と、
前記工作物を加工する工具が装着される工具主軸を、第二軸線O1,O2を中心に回転可能に設けられると共に、前記工作物保持装置に対して相対移動可能な工具保持装置と、
前記工具主軸に着脱可能な前記工具であって前記工作物の荒加工に用いるホブカッタと、
前記工具主軸に着脱可能な前記工具であって前記工作物の仕上加工に用いるスカイビングカッタと、
前記工具を収納可能な工具マガジンと、
前記工具主軸に装着された前記工具と前記工具マガジンに収納された前記工具との交換を行う工具交換装置と、
前記第一軸線Aと前記第二軸線O1とのなす角度を所定の交差角θ1とし、前記工作物主軸装着された前記工作物と前記工具主軸に装着された前記ホブカッタとを同期回転させながら、前記工作物と前記ホブカッタとを相対移動させることにより、前記工作物に対する荒加工を行う荒加工制御部と、
前記スカイビングカッタを装着した前記工具主軸前記第二軸線O2を中心とする回転角度を工具基準回転角度とした状態で、前記第二軸線O2を中心とする回転方向における前記スカイビングカッタの刃の位置を計測する工具計測装置と、
前記工具計測装置の計測結果に基づいて前記工作物の前記第一軸線Aを中心とする回転角度に対する前記スカイビングカッタの前記第二軸線O2を中心とする回転角度を補正し、前記工作物主軸装着された荒加工後の前記工作物に形成された歯溝と前記工具主軸に装着された前記スカイビングカッタの刃先とを対応する位置に配置する角度補正部と、
前記角度補正部による補正を行った後、前記第一軸線Aと前記第二軸線O2とのなす角度を所定の交差角θ2とし、前記工作物と前記スカイビングカッタとを同期回転させながら前記工作物と前記スカイビングカッタとの相対移動を行うことにより、前記工作物に対する仕上加工を行う仕上加工制御部と、
を備える、工作機械にある。
【0007】
また、本発明の他の態様は、
第一軸線を中心に回転可能に設けられる工作物主軸を備える工作物保持装置における前記工作物主軸に工作物を装着する工作物装着工程と、
第二軸線O1,O2を中心に回転可能に設けられる工具主軸を備える工具保持装置における前記工具主軸にホブカッタを装着するホブカッタ装着工程と、
前記第一軸線Aと前記第二軸線O1とのなす角度を所定の交差角θ1とし、前記工作物と前記ホブカッタとを同期回転させながら前記工作物と前記ホブカッタとを相対移動させることにより、前記工作物に対する荒加工を行う荒加工工程と、
工具交換装置を用いて、前記工具主軸に装着された前記ホブカッタを取り外して工具マガジンに収納すると共に、前記工具マガジンに収納されたスカイビングカッタを前記工具主軸に装着するスカイビングカッタ装着工程と、
前記スカイビングカッタを装着した前記工具主軸の前記第二軸線O2を中心とする回転角度を工具基準回転角度とした状態で、工具計測装置を用いて、前記第二軸線O2を中心とする回転方向における前記スカイビングカッタの刃の位置を計測する工具計測工程と、
前記工具計測工程での計測結果に基づいて前記工作物の前記第一軸線Aを中心とする回転角度に対する前記スカイビングカッタの前記第二軸線O2を中心とする回転角度を補正し、前記工作物主軸装着された荒加工後の前記工作物に形成された歯溝と前記工具主軸に装着された前記スカイビングカッタの刃先とを対応する位置に配置する角度補正工程と、
前記第一軸線Aと前記第二軸線O2とのなす角度を所定の交差角θ2とし、前記工作物と前記スカイビングカッタとを同期回転させながら前記工作物と前記スカイビングカッタとを相対移動させることにより、前記工作物に対する仕上加工を行う仕上加工工程と、
を備える、工作機械を用いた歯車加工方法にある。
【0008】
本発明の工作機械、及び、工作機械を用いた歯車加工方法によれば、荒加工は、ホブカッタを用いて行われるので、荒加工に要する時間を短縮できる。つまり、工作物を切削する際の取り代が大きい荒加工において、工作機械及び歯車加工方法は、ホブカッタを用いることにより、スカイビングカッタを用いる場合と比べて、工具の摩耗を抑制しつつ、切込量を大きくすることができる。一方、工作物を切削する際の取り代が小さい仕上加工において、工作機械及び歯車加工方法は、スカイビングカッタを用いることにより、ホブカッタを用いる場合と比べて、高精度な加工を行うことができる。従って、本発明の工作機械及び歯車加工方法は、工具コストを抑制しつつ、加工時間の短縮と加工精度の向上との両立を図ることができる。
【0009】
これに加え、角度補正部は、仕上加工準備状態において、工作物に対するスカイビングカッタの角度を補正し、工作物保持装置に保持された荒加工後の工作物に形成された歯溝と工具保持装置に装着されたスカイビングカッタの刃先とが対応する位置に配置する。よって、工作機械及び歯車加工方法は、仕上加工後に形成される歯車を所望の形状に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における工作機械の平面図である。
図2A】工作機械の正面図である。
図2B】工作機械の正面図であり、装置本体のコラム側への移動及び交換アームの回転が開始された後の状態を示す。
図3】荒加工準備状態におけるホブカッタ及び工作物の配置を示す図である。
図4】仕上加工準備状態におけるスカイビングカッタ及び工作物の配置を示す図である。
図5】制御装置のブロック図である。
図6】荒加工後の工作物に残存する取り代を模式的に示した図である。
図7A】制御装置により実行される工作物加工処理を示すフローチャートである。
図7B】制御装置により実行される工作物加工処理を示すフローチャート2である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1.工作機械1の概略構成)
以下、本発明に係る工作機械及び工作機械を用いた歯車加工方法を適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。最初に、図1から図2Bを参照しながら、工作機械1の概略構成を説明する。
【0012】
図1に示すように、工作機械1は、主として、工作物Wに外歯車を形成する際に用いられる。工作機械1は、ベッド10と、工作物保持装置20と、工具保持装置30と、複数の工具40と、工具マガジン50と、工具交換装置60と、工具計測装置70と、工作物計測装置80(図2A参照)と、制御装置100とを主に備える。
【0013】
ベッド10は、略矩形状に形成される。工作物保持装置20は、移動テーブル21と、旋回テーブル22と、工作物主軸台23とを主に備える。移動テーブル21は、ベッド10に対して移動可能に設けられる。具体的に、ベッド10には、X軸方向(図1左右方向)へ延びる一対のX軸ガイドレール11が設けられ、移動テーブル21は、図示しないねじ送り機構に駆動されることにより、一対のX軸ガイドレール11に案内されながらX軸方向へ往復移動する。
【0014】
旋回テーブル22は、移動テーブル21に設置され、移動テーブル21と一体的にX軸方向へ往復移動する。また、旋回テーブル22は、移動テーブル21に対し、Y軸方向に平行なB軸周りに旋回可能に設けられる。旋回テーブル22には、図示しない旋回モータが収納され、旋回テーブル22は、旋回モータに駆動されることでB軸周りに旋回する。
【0015】
工作物主軸台23は、旋回テーブル22に設置され、旋回テーブル22と一体的にB軸周りに旋回する。工作物主軸台23には、B軸に直交するA軸周りに回転可能に保持された工作物主軸24が設けられる。そして、工作物主軸24には、工作物Wが着脱可能に装着される。工作物主軸台23の内部には、工作物主軸24を回転させる工作物回転モータ(図示せず)と、工作物主軸24の回転角度を検出するエンコーダ(図示せず)が設けられる。このように、工作物保持装置20は、ベッド10に対して移動可能に設置され、工作物Wを回転可能に保持する。
【0016】
工具保持装置30は、コラム31と、サドル32と、工具主軸台33とを主に備える。コラム31は、ベッド10に対して移動可能に設けられる。具体的に、ベッド10には、Z軸方向(図1上下方向)へ延びる一対のZ軸ガイドレール12が設けられ、コラム31は、図示しないねじ送り機構に駆動されることにより、一対のZ軸ガイドレール12に案内されながらZ軸方向へ往復移動する。
【0017】
サドル32は、コラム31の側面であって、Z軸方向に直交する平面に平行な一側面に配置される。このコラム31の側面には、Y軸方向(図1紙面垂直方向)へ延びる一対のY軸ガイドレール34が設けられ、サドル32は、図示しないねじ送り機構に駆動されることで、Y軸方向へ往復移動する。
【0018】
工具主軸台33は、サドル32に設置されると共に、サドル32と一体的にY軸方向へ移動する。工具主軸台33には、Z軸に平行な軸線周りに回転可能に設けられた工具主軸35が設けられる。工具主軸35には、工具40が着脱可能に装着される。工具主軸台33の内部には、工具主軸35を回転させる工具回転モータ(図示せず)と、工具主軸35の回転角度を検出するエンコーダ(図示せず)とが設けられる。このように、工具保持装置30は、工作物保持装置20に対して相対移動可能に設けられ、工具40を回転可能に保持する。
【0019】
工具40は、工作物Wの加工に用いる回転工具である。複数の工具40は、不使用時には工具マガジン50に収納され、使用時に工具主軸35に装着される。なお、図1では、図面を簡素化するため、2つの工具40のみを図示する。
【0020】
工具マガジン50には、複数の工具40を収納可能である。工具マガジン50は、ベッド10に固定された板状の支持板13に対し、X軸に平行な軸線周りに回転可能に支持される。工具マガジン50には、複数のソケット51が着脱可能に装着され、複数の工具40は、1つのソケット51に対し1つずつ収納される。
【0021】
工具交換装置60は、X軸方向における工具マガジン50と工具保持装置30との間に配置される。そして、工具交換装置60は、工具主軸35に装着された工具40と、工具マガジン50に収納された工具40との交換を行う。なお、工具交換装置60の詳細については、後述する。
【0022】
工具計測装置70は、スカイビングカッタ3が工具主軸35に装着された状態で、スカイビングカッタ3に形成された刃先の回転方向における位置を計測する。工具計測装置70は、工作物主軸台23に固定され、工作物主軸台23と一体的に移動及び旋回する。工作物計測装置80(図2A参照)は、工作物Wに形成された歯溝の回転方向における位置を計測する。工作物計測装置80は、工具主軸35に着脱可能であって、不使用時には工具マガジン50に収納される。
【0023】
制御装置100は、工作機械1に関する全般的な制御を行う。例えば、制御装置100は、工作機械1に設けられた各種モータの駆動制御を通して、移動テーブル21、コラム31及びサドル32の位置制御や旋回テーブル22の旋回制御、工作物主軸24及び工具主軸35の回転制御、工具マガジン50及び工具交換装置60の動作に関する制御等を行う。なお、制御装置100の詳細については、後述する。
【0024】
(2.工具交換装置60)
次に、図1及び図2Aを参照しながら、工具交換装置60の構成について説明する。図1及び図2Aに示すように、工具交換装置60は、装置本体61と、交換アーム62と、枠部63と、扉64と、移動体65と、工具保持部66とを主に備える。
【0025】
装置本体61は、交換アーム62を、Z軸に平行な軸線まわりに回転可能に支持する。そして、交換アーム62は、アーム用モータ67に駆動されることで、Z軸に平行な軸線まわりに回転する。また、交換アーム62の長手方向両側には、フック状に形成された略S字状の把持部62aが形成され、交換アーム62は、把持部62aを用いて工具40を把持する。
【0026】
枠部63は、支持板13よりも工具保持装置30に近接した位置であって、X軸方向における工具マガジン50と工具保持装置30との間に配置される。枠部63には、X軸方向において交換アーム62と対向する位置に開口部68が形成される。
【0027】
扉64は、枠部63に設けられ、開口部68を開閉する。枠部63には、図示しないスプリングが設けられ、扉64がスプリングの付勢力によって巻き取られることにより、開口部68を開放する。また、枠部63には、扉64に連結されたアクチュエータ(図示せず)が設けられる。扉64は、アクチュエータを駆動させることにより、スプリングの付勢力に反して広げられ、開口部68を閉鎖する。
【0028】
ここで、工作物Wの加工時において、工具交換装置60は、コラム31と干渉しない位置に配置される。そして、工具交換装置60は、扉64により開口部68を閉鎖し、工具保持装置30側の領域と工具マガジン50側の領域とを区画する。これにより、工具交換装置60は、工作物Wの加工中に、切粉やクーラント等が開口部68を通過して工具マガジン50側の領域へ飛散することを防止できる。
【0029】
移動体65は、支持板13に対し、装置本体61とは反対側に設けられる。支持板13には、工具マガジン50が装着される側とは反対側の面に、図示しないねじ送り機構が設けられており、そのねじ送り機構により、移動体65が支持板13に対してX軸方向へ相対移動可能に設けられる。また、移動体65は、枠部63に一体形成され、装置本体61は、ブラケット69を介して枠部63に連結される。つまり、装置本体61及び枠部63は、移動体65の移動に伴い、X軸方向へ一体的に移動可能に設けられる。
【0030】
工具保持部66は、装置本体61に設けられ、装置本体61と一体的に移動する。そして、工具保持部66は、工具主軸35に装着された工具40と交換する1つの工具40を保持する。なお、装置本体61には、図示しないアクチュエータが設けられ、そのアクチュエータにより工具マガジン50から取り出された工具40が、工具保持部66に保持される。
【0031】
(3.工具40の交換時における工作機械1の動作)
続いて、図2A及び図2Bを参照しながら、工具40を交換する際の工作機械1の動作を説明する。なおここでは、工具主軸35に装着された工具40を取り外し、工具マガジン50に収納された工具40を工具主軸35に装着する場合を例に挙げて説明するが、工作物計測装置80を工具主軸35に着脱する際も同様である。
【0032】
図2Aに示すように、工具マガジン50は、工具交換装置60による工具40を開始するにあたり、工具主軸35に装着する工具40を、工具保持部66と対向する位置に配置する。その後、工具マガジン50は、工具保持部66と対向する位置に配置された工具40及びソケット51を、図示しないアクチュエータを用いて工具保持部66に移送する。これにより、工具主軸35に装着する工具40は、交換アーム62の把持部62aによって把持可能な位置に配置される。
【0033】
一方、工具保持装置30は、工具交換装置60と干渉しない位置にコラム31を移動させると共に、工具主軸35に装着された工具40を、交換アーム62の把持部62aによって把持可能な位置に配置する。また、工具交換装置60は、扉64を開けて開口部68を開放し、装置本体61を工具保持装置30側へ移動させる。
【0034】
図2Bに示すように、コラム31及び装置本体61の移動が終了すると、交換アーム62は、工具主軸35に装着された工具40と工具保持部66に保持された工具40とを交換する。具体的に、交換アーム62は、工具主軸35に装着された工具40と工具保持部66に保持された工具40との双方を把持部62aによって把持し、各々の工具40,40を工具主軸35及び工具保持部66から取り外す。その後、工具交換装置60は、交換アーム62を回転させることで、工具保持部66から取り外した工具40を工具主軸35の前に配置すると共に、工具主軸35から取り外した工具40を工具保持部66の前に配置する。そして、交換アーム62は、各々の工具40,40を工具主軸35及び工具保持部66に装着する。
【0035】
交換アーム62による工具40の交換が終了すると、工具交換装置60は、装置本体61を工具マガジン50側へ移動させると共に、交換アーム62の長手方向をY軸方向へ向け、扉64により開口部68を閉鎖する。一方、工具保持装置30は、工具交換装置60がコラム31と干渉しない位置まで工具交換装置60が移動したところで、コラム31を工作物保持装置20側へ前進させ、所定の加工開始位置に工具40を配置する。
【0036】
(4.工具40)
次に、工具マガジン50に収納される工具40について説明する。図2A及び図2Bに示すように、工具マガジン50には、工作物Wに歯を形成する工具40として、ホブカッタ2及びスカイビングカッタ3が収納される。後述するように、工作機械1は、工作物Wに外歯を形成する際、ホブカッタ2を用いて荒加工を行った後、スカイビングカッタ3を用いて仕上加工を行う。
【0037】
また、工具マガジン50には、工作物Wに歯を形成する前に行う加工で用いる工具40(前加工用工具)として、工作物Wを旋削する旋削工具4が収納される。さらに、工具マガジン50には、工作物Wに歯を形成した後に行う加工で用いる工具40(後加工用工具)として、面取り加工に用いる面取り工具5や、穴あけ加工に用いる穴あけ工具6等が収納される。
【0038】
図3及び図4に示すように、複数の工具40の各々は、刃部41と、ホルダ部42とを備える。刃部41は、工作物Wを加工する部位である。そして、刃部41には、各々の工具40の用途に応じた刃が形成される。
【0039】
例えば、図3に示すホブカッタ2の刃部41には、複数条の刃が形成される。なお、これら複数条の刃は、つるまき線に沿って延びるねじ山を、ホブカッタ2の回転軸線に対して傾斜するねじ溝が横切ることにより形成される。一方、図4に示すスカイビングカッタ3の刃部41には、工具40の中心軸線O1に対してねじれ角を有する複数の刃が形成される。また、スカイビングカッタ3に形成された各々の刃の径方向外面は、工具40の中心軸線O2に対して逃げ角を有し、各々の刃の端面は、工具40の中心軸線O2に直交する面に対してすくい面を有する。
【0040】
ホルダ部42は、刃部41に一体形成される部位であって、各々の工具40に設けられるホルダ部42は、概ね同一形状に形成される。また、工作物計測装置80には、工具40と同様のホルダ部42が設けられている。ホルダ部42は、フランジ部43と、接続部44と、シャンク部45とを備える。
【0041】
フランジ部43は、工具交換時において工具交換装置60の交換アーム62に把持される部位である。フランジ部43は、接続部44及びシャンク部45よりも径方向外方へ張り出して形成されており、フランジ部43の外周面には、周方向に延びる把持溝43aが形成される。交換アーム62に形成された把持部62a(図2A参照)は、把持溝43aに挿入可能であって、工具交換装置60は、交換アーム62を回転させて把持部62aを把持溝43aに挿入し、工具40を把持する。
【0042】
接続部44は、刃部41とフランジ部43との間に位置する部位であって、刃部41及びフランジ部43よりも小径に形成される。なお、スカイビングカッタ3の接続部44には、工具計測装置70に設けられたセンサ(図示せず)により検出可能な被検出部46が設けられている。被検出部46は、接続部44の外周面から径方向外方へ突出する部位であって、スカイビングカッタ3の回転方向において、スカイビングカッタ3の刃先の位置に関連付けられた位置に配置される。つまり、被検出部46は、刃部41に形成された刃の回転方向における位置を把握する際の基準となる。
【0043】
シャンク部45は、フランジ部43に対して接続部44とは反対側に位置するテーパ状の部位である。シャンク部45は、工具主軸35に形成された挿入孔36に挿入可能に形成され、工具40は、シャンク部45が挿入孔36に挿入された状態で工具主軸35に保持される。
【0044】
また、工具保持装置30には、工具主軸35の挿入孔36が形成される面からZ軸方向に突出する被嵌合部37が設けられる。一方、フランジ部43には、被嵌合部37に嵌合する溝状の嵌合部47が形成され、嵌合部47は、工具主軸35に装着された状態で被嵌合部37に嵌合する。工作機械1は、嵌合部47を被嵌合部37に嵌合させた状態で工具40を工具主軸35に装着することにより、工具主軸35に対する工具40の回転方向における大まかな位置決めを行うことができる。
【0045】
なお、工具主軸35の回転方向における被嵌合部37の幅寸法w1は、工具40の回転方向における嵌合部47の幅寸法w2よりも大きな寸法に設定される。従って、嵌合部47が被嵌合部37に嵌合した状態で工具40が工具主軸35に装着されていたとしても、一定の範囲内において、工具主軸35の回転方向における嵌合ガタが発生し得る。そのため、工作機械1は、スカイビングカッタ3を工具主軸35に装着した後、スカイビングカッタ3による加工を開始する前に、工具計測装置70を用いて、スカイビングカッタ3の回転方向における刃先の位置を計測する。これにより、工作機械1は、工具主軸35に装着された状態でのスカイビングカッタ3の刃先の位置を正確に把握することができる。
【0046】
(5.制御装置100の概要)
次に、図5を参照して、制御装置100について説明する。図5に示すように、制御装置100は、荒加工制御部110と、仕上加工制御部120と、角度補正部130とを主に備える。
【0047】
工作機械1は、工作物Wに外歯を創成する際、ホブカッタ2を用いて荒加工を行った後に、スカイビングカッタ3を用いて仕上加工を行う。そして、荒加工制御部110は、工作物Wに荒加工を行う際に各種制御を行い、仕上加工制御部120は、工作物Wに仕上加工を行う際に各種制御を行う。角度補正部130は、仕上加工を開始するにあたり、工作物主軸24に装着された荒加工後の工作物Wと、工具主軸35に装着されたスカイビングカッタ3との回転角度ズレを補正する。以下に、荒加工制御部110、仕上加工制御部120及び角度補正部130が行う一連の制御について、図1から図4に示す図面を参照しながら具体的に説明する。
【0048】
(5-1:荒加工制御部110)
次に、荒加工制御部110が行う一連の荒加工制御を説明する。図1から図2Aに示すように、荒加工制御部110は、まず工具マガジン50及び工具交換装置60を制御し、工具マガジン50に収納されたホブカッタ2を工具主軸35に装着する。
【0049】
続いて、荒加工制御部110は、工作物保持装置20及び工具保持装置30を制御し、荒加工の開始準備を行う。具体的に、荒加工制御部110は、コラム31及びサドル32をZ軸方向及びY軸方向へ移動させることで、工具主軸35に装着されたホブカッタ2を所定の荒加工開始位置に配置する。同様に、荒加工制御部110は、移動テーブル21をX軸方向へ移動させることで、工作物主軸24に装着された工作物Wを所定の荒加工開始位置に配置する。これに加え、荒加工制御部110は、ホブカッタ2の中心軸線O1に対するA軸の傾斜角度が所定の交差角θ1となるように、旋回テーブル22をB軸周りに旋回させる(図3参照)。このとき、ホブカッタ2と工作物Wとの間には、所定の間隔が設けられる。
【0050】
また、荒加工制御部110は、工作物回転モータ(図示せず)を駆動制御し、工作物Wが装着された工作物主軸24を所定の回転開始角度に設定すると共に、工具回転モータ(図示せず)を駆動制御し、ホブカッタ2が装着された工具主軸35を所定の回転開始角度に設定する。このように、荒加工制御部110は、工作物W及びホブカッタ2の位置及び回転角度を、図3に示す荒加工準備状態とする。
【0051】
その後、荒加工制御部110は、工作物Wとホブカッタ2とを同期回転させながら、工作物Wに対してホブカッタ2を中心軸線O1方向へ相対移動させる。つまり、荒加工制御部110は、工作物Wが装着された工作物主軸24とホブカッタ2が装着された工具主軸35とを同期回転させながら、移動テーブル21に対してコラム31をZ軸方向へ相対移動させる。これにより、工作物Wに荒加工された歯が形成される。そして、荒加工後の工作物Wには、仕上加工で切削する取り代Mが残される(図6参照)。
【0052】
(5-2:仕上加工制御部120)
続いて、仕上加工制御部120が行う一連の仕上加工制御について説明する。図1から図2Bに示すように、仕上加工制御部120は、まず工具マガジン50に収納されたスカイビングカッタ3を工具主軸35に装着する。その後、仕上加工制御部120は、工作物保持装置20及び工具保持装置30を制御し、仕上加工の開始準備を行う。
【0053】
具体的に、仕上加工制御部120は、コラム31及びサドル32をZ軸方向及びY軸方向へ移動させることで、工具主軸35に装着されたスカイビングカッタ3を所定の仕上加工開始位置に配置する。また、仕上加工制御部120は、スカイビングカッタ3の中心軸線O2に対するA軸の傾斜角度が所定の交差角θ2となるように、旋回テーブル22をB軸周りに旋回させる(図4参照)。このとき、ホブカッタ2と工作物Wとの間には、所定の間隔(離間距離L)が設けられる。
【0054】
さらに、仕上加工制御部120は、工作物モータ(図示せず)及び工具モータ(図示せず)を駆動制御し、スカイビングカッタ3の刃先の位置を、荒加工後の工作物Wに形成された歯溝の位置と対応する位置に配置する。
【0055】
そして、仕上加工制御部120は、工作物Wとスカイビングカッタ3とを同期回転させながら、工作物Wに対してスカイビングカッタ3を中心軸線O2方向へ相対移動させる。つまり、仕上加工制御部120は、工作物Wが装着された工作物主軸24とスカイビングカッタ3が装着された工具主軸35とを同期回転させながら、移動テーブル21に対してコラム31をZ軸方向へ相対移動させる。これにより、工作物Wに装着された工作物Wに仕上加工された歯が形成され、荒加工後の工作物Wに残存していた取り代Mが、スカイビングカッタにより切削される。
【0056】
(5-3:角度補正部130)
次に、角度補正部130について説明する。工作機械1は、荒加工が終了すると、工作物主軸24に工作物Wを装着したままの状態で、工具主軸35に装着されているホブカッタ2を取り外し、スカイビングカッタ3を工具主軸35に装着する。このとき、工作機械1は、工具主軸35に装着されたスカイビングカッタ3の刃先を、荒加工後の工作物Wに形成された歯溝と対応する位置に配置する必要がある。さらに、工作機械1は、工作物Wにはすば歯車を形成する場合に、形成するはすば歯車の諸元に応じて、工具主軸35に装着されたスカイビングカッタ3の回転方向における刃先の位置を調整する必要がある。
【0057】
そこで、角度補正部130は、工作物W及びスカイビングカッタ3を仕上加工開始位置に配置された後、工具主軸35に装着されたスカイビングカッタ3の刃先が、工作物主軸24に装着された荒加工後の工作物Wの歯溝と対応する位置に配置されるように、工作物Wに対するスカイビングカッタ3の回転角度を補正する。
【0058】
角度補正部130は、第一補正量演算部131と、第二補正量演算部132と、補正実行部133と、第二補正量記憶部134と、工作物角度記憶部135とを備える。第一補正量演算部131は、工作物保持装置20に保持された荒加工後の工作物Wの歯溝と工具保持装置30に保持されたスカイビングカッタ3の刃先との回転角度ズレ量に基づき、必要とされる工作物Wの回転角度補正量を演算する。以下において、第一補正量演算部131による演算で求めた回転角度補正量を「第一補正量α」と称す。
【0059】
ここで、スカイビングカッタ3は、ホルダ部42に設けられた嵌合部47が工具主軸35に設けられた被嵌合部37に嵌合した状態で工具主軸35に装着される。よって、スカイビングカッタ3が工具主軸35に装着された時点で、スカイビングカッタ3の刃先は、概ね、工作物主軸24に装着された荒加工後の工作物Wの歯溝と対応する位置に配置される。
【0060】
しかしながら上記したように、嵌合部47が被嵌合部37に嵌合した状態であっても嵌合ガタが発生し得るため、一定の範囲内で、工具主軸35に対するスカイビングカッタ3の回転角度ズレが生じる。そこで、第一補正量演算部131は、スカイビングカッタ3が工具主軸35に装着された状態で、工作物Wとスカイビングカッタ3との回転角度ズレ量を演算する。
【0061】
具体的に、仕上加工制御部120は、工作物主軸24に装着された工作物W及び工具主軸35に装着されたスカイビングカッタ3を所定の仕上加工開始位置に配置する。次に、仕上加工制御部120は、工具主軸35を回転開始角度に設定し、スカイビングカッタ3を回転開始角度に向ける。また、仕上加工制御部120は、工作物主軸24を回転開始角度に設定し、工作物Wを回転開始角度に向ける。
【0062】
このように、仕上加工制御部120は、工作物W及びスカイビングカッタ3の位置及び回転角度を、図4に示す仕上加工準備状態とする。このとき、工作機械1は、仕上加工準備状態での工作物主軸24及び工具主軸34の回転角度を、荒加工準備状態での工作物主軸24及び工具主軸34の回転開始角度と一致させることができる。
【0063】
次に、角度補正部130は、工具計測装置70に設けられたセンサをよって被検出部46の位置を検出し、検出した被検出部46の位置に基づいてスカイビングカッタ3の刃先の位置を計測する。同様に、角度補正部130は、工作物計測装置80に設けられたセンサを用いて、荒加工後の工作物Wに形成された歯溝の回転方向における位置を計測する。その後、第一補正量演算部131は、工具計測装置70及び工作物計測装置80の計測結果に基づき、スカイビングカッタ3の刃先と荒加工後の工作物Wに形成された歯溝との回転角度ズレ量を演算する。
【0064】
このように、角度補正部130は、被嵌合部37と嵌合部47との嵌合ガタに起因する回転角度ズレを補正するので、仕上加工後の工作物Wに形成される歯を所望の形状に形成することができる。
【0065】
なお、工具計測装置70に設けられたセンサは、例えば、渦電流センサであり、工作物計測装置80に設けられたセンサは、例えば、タッチセンサであるが、上記以外のセンサを工具計測装置70及び工作物計測装置80に設けるセンサとして使用してもよい。
【0066】
ここで、工作機械1は、ホブカッタ2を工具主軸35に装着した際に、ホブカッタ2の刃先の位置を検出せずに荒加工を行う。その代わりに、荒加工制御部110は、嵌合ガタを勘案した取り代M2を工作物Wに残しつつ、荒加工を行う。即ち、図6に示すように、荒加工制御部110は、荒加工後の工作物Wに残す取り代Mとして、仕上加工においてスカイビングカッタ3が切削する分の取り代M1に加えて、嵌合ガタに起因する角度ズレ分の取り代M2を残す。この取り代M2は、例えば、嵌合部47の幅寸法w1と被嵌合部37の幅寸法w2との寸法差に基づいて導出される。そして、荒加工制御部110は、取り代M2を残しながら、荒加工を行う。
【0067】
これにより、工作機械1は、仕上加工後に残すべき部位が、荒加工時に誤って切削されることを回避できる。またその結果、工作機械1は、工具保持装置30にホブカッタ2を装着した状態での回転角度ズレの補正を省略することにより、サイクルタイムを短縮することができる。
【0068】
その一方、工作機械1は、仕上加工開始時において、工作物Wに対するスカイビングカッタ3の回転角度ズレ量を計測し、回転角度ズレが解消されるように工作物Wに対するスカイビングカッタ3の回転角度を補正する。よって、工作機械1は、荒加工において嵌合ガタに起因する回転角度ズレが生じたとしても、その後に行う仕上加工において、荒加工後の工作物Wに残された取り代Mを確実に切削することができる。その結果、工作機械1は、複数の工作物Wに対し同一条件で加工を行う場合において、2回目以降の歯車加工におけるサイクルタイムを短縮しつつ、歯車加工の加工精度の向上を図ることができる。
【0069】
第二補正量演算部132は、工作物Wにはすば歯車を形成する場合に、形成するはすば歯車の諸元、及び、仕上加工開始位置でのスカイビングカッタ3と工作物Wとの離間距離に基づいて、必要とされる工作物W又はスカイビングカッタ3の回転角度補正量を演算する。以下において、第二補正量演算部132による演算で求めた回転角度補正量を「第二補正量β」と称す。
【0070】
第二補正量演算部132は、以下の式(1)を用いて第二補正量βを演算する。式(1)において、Lは、仕上加工開始位置でのスカイビングカッタ3の送り方向(加工方向)における工作物Wとスカイビングカッタ3との離間距離である。また、aは、形成するはすば歯車のねじれ角であり、mは、形成する歯車のモジュールであり、zは、形成するはすば歯車の歯数である。
【0071】
(数1)
β=L×sin(a)×360/(m×z×π)・・・(1)
【0072】
補正実行部133は、第一補正量演算部131による演算で求めた第一補正量αと第二補正量演算部132による演算で求めた第二補正量βとに基づき、工作物Wに対するスカイビングカッタ3の角度を補正する。具体的に、補正実行部133は、第一補正量α及び第二補正量βを併せた総補正量(α+β)を導出し、導出された総補正量に応じて工作物主軸24を回転させる。これにより、角度補正部130は、工具主軸35にスカイビングカッタ3が装着された状態で嵌合ガタに起因する回転角度ズレが発生していたとしても、スカイビングカッタ3の刃先を、荒加工後の工作物Wに形成された歯溝と対応する位置に配置することができる。
【0073】
第二補正量記憶部134は、第二補正量演算部132による演算で求めた第二補正量βを記憶する。そして、角度補正部130は、複数の工作物Wに対して同一の加工条件で連続して歯車加工を行う場合において、2回目以降の歯車加工を行う際に、第二補正量記憶部134に記憶した第二補正量βを用いて総補正量を導出する。これにより、工作機械1は、2回目以降の歯車加工時において第二補正量演算部132による演算を省略できる。
【0074】
工作物角度記憶部135は、工作物計測装置80の計測結果に基づいて把握される工作物Wの回転方向における歯溝の位置情報を、工作物Wの角度情報として記憶する。角度補正部130は、複数の工作物Wに対して同一の加工条件で連続して歯車加工を行う場合において、2回目以降の歯車加工を行う際に、工作物角度記憶部135に記憶された工作物Wの角度情報を用いる。
【0075】
この点に関し、ホブカッタ2は、嵌合部47が被嵌合部37に嵌合した状態で工具主軸35に装着される。そして、荒加工制御部110は、工作物主軸24に装着された工作物W及び工具主軸35に装着されたホブカッタ2を回転開始角度に設定し、且つ、工作物W及びホブカッタ2を荒加工開始位置に配置した状態から、工作物Wに対するホブカッタ2の相対移動を開始する。そして、工作機械1は、荒加工終了後、工作物主軸24に工作物Wを装着したままの状態で、工具主軸35に装着する工具40をホブカッタ2からスカイビングカッタ3に交換する。従って、複数の工作物Wに対して同一の加工条件で荒加工を行った場合、荒加工後に各々の工作物Wに形成される歯溝の位置は、工作物主軸24を回転開始角度に設定したときに概ね同じとなる。
【0076】
そこで、工作機械1は、複数の工作物Wに対し歯車加工を同一の加工条件で連続して行う場合、初回の歯車加工時において、工作物主軸24の回転角度を回転開始角度に設定した状態で、荒加工後の工作物Wの歯溝の位置を工作物計測装置80で計測する。次に、計測により求めた荒加工後の工作物Wの歯溝の位置情報を、工作物Wの角度情報として工作物角度記憶部135に記憶する。その後、工作機械1は、2回目以降の歯車加工時に、工作物角度記憶部135に記憶された工作物Wの歯溝とスカイビングカッタ3の刃先とが対応する位置に配置されるように、工作物Wに対するスカイビングカッタ3の角度を補正する。
【0077】
これにより、工作機械1は、2回目以上の歯車加工時において、工具主軸35に工作物計測装置80を装着し、工作物Wの歯溝の位置を計測する作業を省略できるので、サイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0078】
ここで、複数の工作物Wに対し歯車加工を同一の加工条件で連続して行う場合であっても、工具主軸35に装着されたホブカッタ2の回転角度には、一定の範囲内で、嵌合ガタに起因する回転角度ズレが発生しうる。そのため、2回目以降の歯車加工において荒加工後の工作物Wに形成される歯溝の位置は、工作物角度記憶部135に記憶された歯溝の位置と一致するとは限らない。
【0079】
この点に関し、工作機械1は、嵌合ガタに起因する回転角度ズレを勘案した取り代M2を残しつつ荒加工を行い、荒加工後の工作物Wに残存する取り代M2を仕上加工で確実に切削するので、仕上加工後の工作物Wに形成される歯を所望の形状に形成することができる。
【0080】
(6.工作物加工処理)
次に、図7A及び図7Bに示すフローチャートを参照しながら、制御装置100により実行される工作物加工処理について説明する。
【0081】
図7Aに示すように、制御装置100は、工作物加工処理として実行する最初の処理として、搬入された工作物Wを工作物主軸24に装着する(S1:工作物装着工程)。次に、制御装置100は、工具マガジン50に収納された旋削工具4を工具主軸35に装着し(S2)、工作物Wに対する旋削加工を行う(S3)。
【0082】
S3の処理後、制御装置100は、旋削工具4を工具主軸35から取り外し、工具マガジン50に収納されたホブカッタ2を工具主軸35に装着する(S4:ホブカッタ装着工程)。そして、荒加工制御部110は、工作物Wに対する荒加工を行う(S5:荒加工工程)。このとき、工作機械1は、工具主軸35に装着されたホブカッタ2の嵌合ガタに起因する回転角度ズレを補正せずに荒加工を開始する。これにより、工作機械1は、ホブカッタ2の刃先の位置の検出及び回転角度ズレの補正を省略できるので、サイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0083】
S5の処理後、制御装置100は、実行中の歯車加工が、前回の歯車加工と同一の加工条件であるか否かを判定する(S6)。その結果、実行中の歯車加工が、前回の歯車加工と同一の加工条件でなければ(S6:No)、制御装置100は、工具主軸35に装着されたホブカッタ2を取り外し、工具マガジン50に収納された工作物計測装置80を工具主軸35に装着する(S7)。
【0084】
そして、制御装置100は、工作物計測装置80を用いて荒加工後の工作物Wに形成された歯溝の位置を計測し(S8:工作物計測工程)、計測により得られた歯溝の位置情報を、工作物Wの角度情報として工作物角度記憶部135に記憶する(S9:工作物角度記憶工程)。
【0085】
続いて、第二補正量演算部132は、第二補正量βを演算し(S10)、演算により求めた第二補正量βの値を第二補正量記憶部134に記憶する(S11)。一方、制御装置100は、実行中の歯車加工が前回の歯車加工と同一の加工条件であれば(S6:Yes)、S7からS11の処理をスキップしてS12の処理へ移行する。
【0086】
S12の処理において、制御装置100は、工具主軸35に装着されたホブカッタ2又は工作物計測装置80を取り外し、工具マガジン50に収納されたスカイビングカッタ3を工具主軸35に装着する(スカイビングカッタ装着工程)。
【0087】
図7Bに示すように、制御装置100は、S12の処理後、工具計測装置70を用いて、工具主軸35に装着されたスカイビングカッタ3の刃先の位置を計測する(S13:工具計測工程)。そして、第一補正量演算部131は、工具計測装置70による計測で求めたスカイビングカッタ3の刃先の位置と工作物角度記憶部135に記憶された工作物Wの歯溝の位置とに基づき、工作物Wとスカイビングカッタ3との回転角度ズレ量を演算する(S14)。
【0088】
続いて、補正実行部133は、第一補正量演算部131が演算した第一補正量αと第二補正量記憶部134に記憶された第二補正量βとに基づいて総補正量を導出し、導出した総補正量に応じて工作物Wに対するスカイビングカッタ3の角度を補正する(S15:角度補正工程)。なお、本実施形態において、角度補正部130は、工作物主軸24を回転させることにより、工作物Wに対するスカイビングカッタ3の角度を補正するが、工具主軸35を回転させることにより、工作物Wに対するスカイビングカッタ3の角度を補正してもよい。
【0089】
S15の処理後、仕上加工制御部120は、工作物Wに対する仕上加工を行う(S16:仕上加工工程)。その後、制御装置100は、スカイビングカッタ3を工具主軸35から取り外すと共に工具マガジン50に収納された面取り工具5を工具主軸35に装着し(S17)、面取り加工を行う(S18)。続いて、制御装置100は、面取り工具5を工具主軸35から取り外すと共に工具マガジン50に収納された穴あけ工具6を工具主軸35に装着し(S19)、穴あけ加工を行う(S20)。これにより、本処理が終了する。そして、工作部加工処理を終了した工作物Wは、図示しない搬送装置より搬出される。
【0090】
以上説明したように、工作機械1による歯車加工において、荒加工は、ホブカッタ2を用いて行われるので、荒加工に要する時間を短縮できる。つまり、工作物Wを切削する際の取り代が大きい荒加工において、工作機械1は、ホブカッタ2を用いることにより、スカイビングカッタ3を用いる場合と比べて、工具40の摩耗を抑制しつつ、切込量を大きくすることができる。
【0091】
一方、工作物Wを切削する際の取り代が小さい仕上加工において、工作機械1は、スカイビングカッタ3を用いることにより、ホブカッタ2を用いる場合と比べて、高精度な加工を行うことができる。従って、工作機械1は、工具コストを抑制しつつ、加工時間の短縮と加工精度の向上との両立を図ることができる。
【0092】
これに加え、角度補正部130は、仕上加工準備状態において、工作物Wに対するスカイビングカッタ3の角度を補正し、工具保持装置30に装着されたスカイビングカッタ3の刃先を、工作物保持装置20に保持された荒加工後の工作物Wに形成された歯溝と対応する位置に配置する。よって、工作機械1は、仕上加工後に形成される歯車を所望の形状に形成することができる。
【0093】
また、工作機械1は、工作物保持装置20に工作物Wが保持されたままの状態で、旋削加工、荒加工、仕上加工、面取り加工及び穴あけ加工を連続して行う。つまり、工作機械1は、工作物Wを工作物保持装置20から取り外すことなく、工具保持装置30に装着する工具40の交換及び工具40による加工を連続して行う。よって、工作機械1は、工作物Wの着脱作業を少なくすることができる。また、工作機械1は、工作物保持装置20に工作物Wが装着されたままの状態で、旋削加工から穴あけ加工を行うことにより、工作物Wに形成された歯溝の検出する工程を少なくすることができる。よって、工作機械1は、サイクルタイムの短縮を図ることができる。
【0094】
さらに、工作機械1は、複数の工作物Wに対し歯車加工を同一の加工条件で連続して行う場合に、初回の歯車加工時において、S5の処理(荒加工工程)の後であってS15の処理(角度補正工程)の開始前に、S8の処理(工作物計測工程)及びS9の処理(工作物角度記憶工程)を実行する。そして、工作機械1は、2回目以降の歯車加工時には、S8及びS9の処理を省略する。これにより、工作機械1は、2回目以降の歯車加工において、サイクルタイムを短縮することができる。
【0095】
ここで、工作機械1は、スカイビングカッタ3を用いた仕上加工中にスカイビングカッタ3が破損した場合に、破損したスカイビングカッタ3を新たなスカイビングカッタ3に交換する必要がある。この点に関して、工作機械1は、仕上加工中にスカイビングカッタ3を交換した場合に、工具計測装置70による計測を行うと共に角度補正部130による補正を行った後、仕上加工制御部120による仕上加工を再開する。つまり、工作機械1は、仕上加工を中断してスカイビングカッタ3を交換した際に、仕上加工準備状態において角度補正部130が実行する手順と同様の手順で、スカイビングカッタ3の刃先を工作物Wに形成された歯溝と対応する位置に配置できる。その結果、工作機械1は、制御装置100による制御を簡素化できる。
【0096】
(7.その他)
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施形態において、工作機械1は、工作物Wに対し、旋削加工、荒加工、仕上加工、面取り加工及び穴あけ加工を実行可能である場合を例に挙げて説明したが、工作機械1は、少なくとも荒加工及び仕上加工を実行可能であればよい。
【0097】
また、上記実施形態において、工作機械1は、荒加工及び仕上加工の前に行う前加工として、旋削加工を行う場合を例に挙げて説明したが、旋削加工以外の加工を前加工として行ってもよい。同様に、工作機械1は、荒加工及び仕上加工の後に行う後加工として、面取り加工及び穴あけ加工を行う場合を例に挙げて説明したが、面取り加工及び穴あけ加工以外の加工を後加工として行ってもよい。
【0098】
上記実施形態において、工作物計測装置80が工作物Wに形成された歯溝の位置を計測し、工具計測装置70がスカイビングカッタ3に形成された刃先の位置を計測する場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。つまり、工作機械1は、工作物計測装置80によって工作物Wに形成された歯先の位置を計測し、工具計測装置70がスカイビングカッタ3に形成された刃溝の位置を計測してもよい。
【0099】
上記実施形態において、スカイビングカッタ3には、ホルダ部42に被検出部46が設けられ、工具計測装置70は、被検出部46を検出することで、スカイビングカッタ3の回転方向における刃先の位置を計測する場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。例えば、工具計測装置70は、スカイビングカッタ3の刃部41を直接検出してもよい。この場合、工具計測装置70は、センサによる刃部41のセンシングを、刃部41の径方向外方から行ってもよく、刃部41の軸線方向から行ってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1:工作機械、 2:ホブカッタ、 3:スカイビングカッタ、 4:旋削工具(前加工用工具の一例)、 5:面取り工具(後加工用工具の一例)、6:穴あけ工具(後加工用工具の一例)、 20:工作物保持装置、 30:工具保持装置、 35:工具主軸、 37:被嵌合部、 40:工具、 47:嵌合部、 50:工具マガジン、 60:工具交換装置、 70:工具計測装置、 80:工作物計測装置、 100:制御装置、 110:荒加工制御部、 120:仕上加工制御部、 130:角度補正部、 131:第一補正量演算部、 132:第二補正量演算部、 133:補正実行部、 135:工作物角度記憶部、 M:取り代、 W:工作物、 α:第一補正量(回転角度補正量)、 β:第二補正量(回転角度補正量)、 S1:工作物装着工程、 S4:ホブカッタ装着工程、 S5:荒加工工程、 S8:工作物計測工程、 S9:工作物角度記憶工程、 S12:スカイビングカッタ装着工程、 S13:工具計測工程、 S15:角度補正工程、 S16:仕上加工工程
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B