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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】画像形成装置及び清掃部材寿命予測方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20221101BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G21/00 512
G03G21/00 318
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018208539
(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2020076816
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川中子 隆
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-198083(JP,A)
【文献】特開2008-139751(JP,A)
【文献】特開2007-178787(JP,A)
【文献】特開2008-299009(JP,A)
【文献】特開2017-037262(JP,A)
【文献】特開2014-106509(JP,A)
【文献】特開2017-102185(JP,A)
【文献】特開2017-049551(JP,A)
【文献】特開2005-202099(JP,A)
【文献】特開2012-233946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
13/14-13/16
13/34
15/00
15/02
15/14-15/16
15/36
21/00-21/04
21/10-21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部と、
前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測部と、
前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測部と、
前記清掃部に突入する入力トナーの量を検知するトナー量検知部を備え、
前記状態予測部は、前記トナー量検知部により検知された入力トナー量及び前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部と、
前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測部と、
前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測部と、
を備え、
前記清掃部は、転写部よりも前記像担持体の進行方向下流側に設けられた上流清掃部と、前記上流清掃部よりも前記像担持体の進行方向下流側に設けられた下流清掃部と、を有し、
前記トルク検知部は、前記下流清掃部の前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知し、
前記状態予測部は、前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記上流清掃部の前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部と、
前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測部と、
前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測部と、
非画像形成時に予め決められたトナー量を前記清掃部に供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、現像剤を交換した際に、前記予め決められたトナー量を前記清掃部に供給し、
前記状態予測部は、前記搬送部材が前記供給部により供給されたトナーの前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知する前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記供給部は、画像形成時よりも多いトナー量を供給することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記供給部は、最も粒径が小さいトナーを供給することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部と、
前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測部と、
前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測部と、
を備え、
前記状態予測部は、清掃部材交換時に前記清掃部に突入する入力トナーがない状態で前記トルク検知部により検知された第1トルク値と、前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際に前記トルク検知部により検知された第2トルク値と、の差分に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
プリント枚数又は前記像担持体の走行距離に基づいて前記清掃部材の寿命を管理する寿命管理部を備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記寿命管理部は、前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の寿命となる閾値を変更することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記寿命管理部は、前記状態予測部による予測結果に基づいて、カウント枚数又は前記走行距離に補正をかけることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記清掃部材は、弾性を有するブレード又は金属の薄板形状のスクレーパーであることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、前記清掃部に突入する入力トナーの量を検知するトナー量検知部と、を備える画像形成装置の清掃部材寿命予測方法であって、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知工程と、
前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測工程と、
前記状態予測工程における予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測工程と、
を含み、
前記状態予測工程は、前記トナー量検知部により検知された入力トナー量及び前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする清掃部材寿命予測方法。
【請求項12】
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部を備える画像形成装置の清掃部材寿命予測方法であって、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知工程と、
前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測工程と、
前記状態予測工程における予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測工程と、
を含み、
前記清掃部は、転写部よりも前記像担持体の進行方向下流側に設けられた上流清掃部と、前記上流清掃部よりも前記像担持体の進行方向下流側に設けられた下流清掃部と、を有し、
前記トルク検知工程は、前記下流清掃部の前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知し、
前記状態予測工程は、前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記上流清掃部の前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする清掃部材寿命予測方法。
【請求項13】
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部を備える画像形成装置の清掃部材寿命予測方法であって、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知工程と、
前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測工程と、
前記状態予測工程における予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測工程と、
非画像形成時に予め決められたトナー量を前記清掃部に供給する供給工程と、
を含み、
前記供給工程は、現像剤を交換した際に、前記予め決められたトナー量を前記清掃部に供給し、
前記状態予測工程は、前記搬送部材が前記供給工程において供給されたトナーの前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知する前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする清掃部材寿命予測方法。
【請求項14】
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部を備える画像形成装置の清掃部材寿命予測方法であって、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知工程と、
前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測工程と、
前記状態予測工程における予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測工程と、
を含み、
前記状態予測工程は、清掃部材交換時に前記清掃部に突入する入力トナーがない状態で前記トルク検知工程において検知された第1トルク値と、前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際に前記トルク検知工程において検知された第2トルク値と、の差分に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする清掃部材寿命予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び清掃部材寿命予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、像担持体(例えば、中間転写ベルトや二次転写ベルト)上の残留トナーを除去する手段として、清掃部材(例えば、弾性を有するゴムブレードや金属の薄板形状のスクレーパー)を像担持体の表面に当接し、これにより像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング装置が知られている。
【0003】
清掃部材を像担持体のクリーニングに用いる構成において、清掃部材の清掃能力を決定する重要な因子として、清掃部材(ブレードB1)の像担持体(中間転写ベルトB2)との当接面における摩耗幅Wが挙げられる(図12参照)。一般に、清掃部材の使用初期は、90度の角(直角)になった部分で像担持体と当接する設計になっているが、使用するに従って外添剤などのすり抜けにより角が摩耗し、摩耗幅(≒摩耗面)が形成されるようになる。摩耗幅が大きくなると、清掃部材によるトナーの回収力が低下するため、一定の摩耗幅に達すると、清掃部材を交換することとなる。しかしながら、清掃部材の摩耗幅を装置内で正確に実測するのは困難であった。
【0004】
また、一般的に、清掃部材のライフ(寿命)は、摩耗幅ではなく、プリント枚数や像担持体の走行距離で決定されている。しかしながら、ユーザーの使用条件は、使用環境や画像パターンなどでバラつきが大きいため、あるユーザーでは想定以上に摩耗が進み、ライフ到達前にクリーニング不良が発生するのに対し、摩耗が少ない使用条件で使用しているユーザーでは、さほど摩耗が進んでいないにもかかわらず交換周期に達してしまい、コストアップやサービスマンの訪問回数増の要因となっていた。
【0005】
ところで、清掃部材の摩耗幅は、ブレードをすり抜けるトナー量と密接に関連する。そこで、ブレードをすり抜けるトナー量を推測する構成として、像担持体(感光体)を回転させるのに必要な駆動トルクに基づいて、ブレードをすり抜けるトナー量を推測する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-72450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載の構成は、像担持体と接触している部材(例えば、摺動しているベルト、ベルトを介して1次転写ローラー及び清掃部材、現像ローラー、ブラシ等)が多く配置されているため、これらの部材により駆動トルクに影響を受けてしまう。また、入力されてくるトナーが使用条件によってさまざまな場合があるため、駆動トルクからブレードをすり抜けるトナー量を推測することは極めて困難である。
また、像担持体(中間転写ベルト)上のトナー量を光学的に検知する構成(センサー)も知られているが、長手方向でどこからどのくらいブレードをトナーがすり抜けてくるかわからないため、長手方向で複数のセンサーが必要となり、装置の大型化やコストアップに繋がるという課題がある。
【0008】
本発明は、清掃部材の寿命をより精度よく、装置構成が複雑化することなく、簡単に、低コストで予測することが可能な画像形成装置及び清掃部材寿命予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
画像形成装置において、
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部と、
前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測部と、
前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測部と、
前記清掃部に突入する入力トナーの量を検知するトナー量検知部を備え、
前記状態予測部は、前記トナー量検知部により検知された入力トナー量及び前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は
像形成装置において、
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部と、
前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測部と、
前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測部と、
を備え、
前記清掃部は、転写部よりも前記像担持体の進行方向下流側に設けられた上流清掃部と、前記上流清掃部よりも前記像担持体の進行方向下流側に設けられた下流清掃部と、を有し、
前記トルク検知部は、前記下流清掃部の前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知し、
前記状態予測部は、前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記上流清掃部の前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、
画像形成装置において、
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部と、
前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測部と、
前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測部と、
非画像形成時に予め決められたトナー量を前記清掃部に供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、現像剤を交換した際に、前記予め決められたトナー量を前記清掃部に供給し、
前記状態予測部は、前記搬送部材が前記供給部により供給されたトナーの前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知する前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、
前記供給部は、画像形成時よりも多いトナー量を供給することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の画像形成装置において、
前記供給部は、最も粒径が小さいトナーを供給することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、
画像形成装置において、
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部と、
前記トルク検知部による検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測部と、
前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測部と、
を備え、
前記状態予測部は、清掃部材交換時に前記清掃部に突入する入力トナーがない状態で前記トルク検知部により検知された第1トルク値と、前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際に前記トルク検知部により検知された第2トルク値と、の差分に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
プリント枚数又は前記像担持体の走行距離に基づいて前記清掃部材の寿命を管理する寿命管理部を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成装置において、
前記寿命管理部は、前記状態予測部による予測結果に基づいて、前記清掃部材の寿命となる閾値を変更することを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成装置において、
前記寿命管理部は、前記状態予測部による予測結果に基づいて、カウント枚数又は前記走行距離に補正をかけることを特徴とする。
【0019】
請求項1に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記清掃部材は、弾性を有するブレード又は金属の薄板形状のスクレーパーであることを特徴とする。
【0021】
請求項1に記載の発明は、
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部と、前記清掃部に突入する入力トナーの量を検知するトナー量検知部と、を備える画像形成装置の清掃部材寿命予測方法であって、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知工程と、
前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測工程と、
前記状態予測工程における予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測工程と、
を含み、
前記状態予測工程は、前記トナー量検知部により検知された入力トナー量及び前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする
請求項12に記載の発明は、
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部を備える画像形成装置の清掃部材寿命予測方法であって、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知工程と、
前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測工程と、
前記状態予測工程における予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測工程と、
を含み、
前記清掃部は、転写部よりも前記像担持体の進行方向下流側に設けられた上流清掃部と、前記上流清掃部よりも前記像担持体の進行方向下流側に設けられた下流清掃部と、を有し、
前記トルク検知工程は、前記下流清掃部の前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知し、
前記状態予測工程は、前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記上流清掃部の前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部を備える画像形成装置の清掃部材寿命予測方法であって、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知工程と、
前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測工程と、
前記状態予測工程における予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測工程と、
非画像形成時に予め決められたトナー量を前記清掃部に供給する供給工程と、
を含み、
前記供給工程は、現像剤を交換した際に、前記予め決められたトナー量を前記清掃部に供給し、
前記状態予測工程は、前記搬送部材が前記供給工程において供給されたトナーの前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知する前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、
像担持体上の残トナーを清掃する清掃部材と、前記清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材と、を有する清掃部を備える画像形成装置の清掃部材寿命予測方法であって、
前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知工程と、
前記トルク検知工程における検知結果に基づいて、前記清掃部材の状態を予測する状態予測工程と、
前記状態予測工程における予測結果に基づいて、前記清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測工程と、
を含み、
前記状態予測工程は、清掃部材交換時に前記清掃部に突入する入力トナーがない状態で前記トルク検知工程において検知された第1トルク値と、前記搬送部材が前記廃トナーを搬送する際に前記トルク検知工程において検知された第2トルク値と、の差分に基づいて、前記清掃部材の状態を予測することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、清掃部材の寿命をより精度よく、装置構成が複雑化することなく、簡単に、低コストで予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す正面図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
図3】清掃装置の構成の一例を示す図である。
図4】上流清掃部を通過したトナー量と上流清掃部材の寿命との対応関係を示す図である。
図5】清掃部材の寿命となる閾値を変更する様子の一例を示す図である。
図6】使用プリント枚数のカウントアップに補正をかける様子の一例を示す図である。
図7】搬送部材の駆動トルクが上昇する様子の一例を示す図である。
図8】第2トルク値と第1トルク値との差分に対応する閾値の変更例を示す図である。
図9】第2トルク値と第1トルク値との差分に対応するカウントアップ方法の変更例を示す図である。
図10】1つの清掃装置とトナー量検知部とを備える構成の一例を示す図である。
図11】2つの清掃装置とトナー量検知部とを備える構成の一例を示す図である。
図12】清掃部材の摩耗幅の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
本実施形態に係る画像形成装置10は、プリンター機能、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナー機能等の複数の機能を備えたMFPである。画像形成装置10は、原稿から画像を読み取って得られた画像データ又は外部機器から受信した画像データ(プリントデータ)に基づいて、用紙上に画像を形成する。
【0026】
画像形成装置10は、図1及び図2に示すように、制御部11と、画像読取部12と、画像形成部13と、記憶部14と、操作パネル15(表示部151、操作部152)と、通信部16と、を備えて構成されている。
【0027】
制御部11は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。CPUは、操作部152から入力される操作信号又は通信部16により受信される指示信号に応じて、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、画像形成装置10の動作を統括的に制御する。
【0028】
画像読取部12は、図示しない原稿台又は自動原稿搬送部(ADF:Auto Document Feeder)に載置された原稿の画像を走査露光装置の光学系により走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。なお、制御部11に入力される画像データとしては、画像読取部12で読み取ったものに限らず、例えば、通信部16を介して外部機器から受信したものであってもよい。
【0029】
画像形成部13は、画像処理された原画像の各画素の4色の画素値に応じて、C、M、Y及びKの4色からなる画像を用紙上に形成する。
画像形成部13は、図1に示すように、4つの書込みユニット1と、中間転写ベルト2と、2次転写ローラー(転写部)3と、定着装置4と、清掃装置(清掃部)5と、を備えて構成されている。
【0030】
4つの書込みユニット1は、中間転写ベルト2のベルト面に沿って直列(タンデム)に配置され、C、M、Y及びKの各色の画像を形成する。各書込みユニット1は形成する画像の色が異なるだけで構成は同じであり、図1に示すように、光走査装置1a、感光体1b、現像部1c、帯電部1d、クリーニング部1e及び1次転写ローラー1fを備えて構成されている。
【0031】
画像形成時、各書込みユニット1では、帯電部1dにより感光体1bを帯電させた後、原画像に基づいて光走査装置1aにより出射した光束で感光体1b上を走査し、静電潜像を形成する。現像部1cによりトナーを供給して現像すると、感光体1b上に画像が形成される。
4つの書込みユニット1の感光体1b上にそれぞれ形成した画像を、それぞれの1次転写ローラー1fにより、中間転写ベルト2上に順次重ねて転写(1次転写)する。これにより、中間転写ベルト2上には各色からなる画像が形成される。中間転写ベルト2は、複数のローラーに巻き回されて回動する像担持体である。1次転写後、クリーニング部1eにより感光体1b上に残留するトナーを除去する。
【0032】
画像形成部13では、回動する中間転写ベルト2上の画像が2次転写ローラー3の位置に至るタイミングに合わせて、手差しトレイT1又は給紙トレイT2から用紙を給紙する。2次転写ローラー3は、対をなす一方のローラーが中間転写ベルト2に圧接し、他方が中間転写ベルト2を巻き回す複数のローラーのうちの1つを構成している。2次転写ローラー3の圧接により、中間転写ベルト2から用紙上に画像を転写(2次転写)すると、定着装置4に用紙を搬送して定着処理を施し、排紙トレイT3へ排紙する。定着処理は、定着ローラー4aにより用紙を加熱及び加圧して画像を用紙に定着させる処理である。用紙の両面に画像を形成する場合、反転経路R1に用紙を搬送して用紙面を反転させた後、2次転写ローラー3の位置へ再度用紙を給紙する。2次転写後に中間転写ベルト2上に残留するトナーは、清掃装置5により除去される。
【0033】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成される不揮発性の記憶手段であり、各種プログラムや各種設定データ等を制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0034】
操作パネル15は、ユーザーに対して各種情報を表示する表示部151と、ユーザーによる操作入力を受け付ける操作部152と、を備えて構成されている。
表示部151は、カラー液晶ディスプレイなどで構成され、制御部11から入力される表示制御信号に従って、操作画面等(各種設定画面、各種ボタン、各機能の動作状況等)を表示する。
操作部152は、表示部151の画面上に設けられるタッチパネルと、表示部151の画面周囲に配置される各種ハードキーと、を備えて構成されている。操作部152は、画面上に表示されたボタンが手指やタッチペン等で押下された場合、押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置に対応付けられた操作信号を制御部11に出力する。なお、タッチパネルは感圧式に限らず、例えば静電式や光式等であってもよい。また、操作部152は、ハードキーが押下された場合、押下されたキーに対応付けられた操作信号を制御部11に出力する。ユーザーは、操作部152を操作して、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定及び用紙設定等の画像形成に関する設定、用紙搬送指示、並びに装置の停止操作などを行うことができる。
【0035】
通信部16は、画像形成装置10を通信ネットワークに接続するインターフェースである。通信部16は、通信用IC及び通信コネクタなどを有し、制御部11の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて通信ネットワークに接続されている装置と各種情報の送受信を行う。また、通信部16は、USBを介して各種情報の入出力を行うことも可能である。
【0036】
次に、清掃装置5の構成について説明する。
清掃装置5は、図3に示すように、2次転写ローラー3よりも中間転写ベルト2の進行方向(回動方向)下流側に設けられた上流清掃装置(上流清掃部)51と、上流清掃装置51よりも中間転写ベルト2の進行方向下流側に設けられた下流清掃装置(下流清掃部)52と、を備えて構成され、2次転写後に中間転写ベルト2上に残留するトナーを除去する。
【0037】
上流清掃装置51は、弾性を有し、中間転写ベルト2上の残トナー(入力トナー)D1を清掃するブレード(清掃部材)511と、ブレード511により掻き取られた(清掃された)残トナーを廃トナーとして搬送(回収)する廃トナー回収スクリュー(搬送部材)512と、を備えて構成されている。なお、上流清掃装置51の清掃部材としては、弾性を有するブレード511の他、金属の薄板形状のスクレーパーなど、耐久に伴って摩耗が進行し、クリーニング能力が低下するような清掃部材であればいかなる部材であってもよい。
本発明の搬送部材としては、例えば、上記のスクリュー形態(上記の廃トナー回収スクリュー512)を採用することが可能であり、モーターでスクリューを回すことで廃トナーを搬送することができる。なお、廃トナーとして搬送することが可能であり、かつ、トルクとして検知することが可能な部材であれば、いかなる部材を搬送部材として採用するようにしてもよい。
【0038】
下流清掃装置52は、上流清掃装置51からすり抜けてきたトナー(すり抜けトナー)D2を清掃する金属の薄板形状のスクレーパー(清掃部材)521と、スクレーパー521により掻き取られた廃トナーを回収する廃トナー回収スクリュー(搬送部材)522と、を備えて構成されている。なお、下流清掃装置52の清掃部材としては、金属の薄板形状のスクレーパー521の他、弾性を有するブレード、発泡体やブラシを有するローラー形態であってもよく、像担持体を清掃可能な清掃部材であればいかなる部材であってもよい。
【0039】
図4に示すように、本実施形態では、上流清掃部(上流清掃装置51)を通過したトナー量に基づいて、下流清掃部(下流清掃装置52)の廃トナー回収スクリュー522のトルクを算出することができる。また、廃トナー回収スクリュー522のトルクに基づいて、上流清掃部材(ブレード511)の磨耗幅を算出することができる。また、上流清掃部材の磨耗幅に基づいて、上流清掃部材(ブレード511)の寿命(使用率)を算出することができる。なお、図4の符号WLは、上流清掃部材の限界磨耗幅(≒清掃部材の機能限界、交換タイミング)を示している。
【0040】
制御部11は、搬送部材(廃トナー回収スクリュー512、廃トナー回収スクリュー522)が廃トナーを搬送する際のトルクを検知する。すなわち、制御部11は、本発明のトルク検知部として機能する。本実施形態では、特に、制御部11は、下流清掃装置52の廃トナー回収スクリュー522が廃トナーを搬送する際のトルクを検知する。例えば、廃トナー回収スクリュー522の(駆動)トルクは、スクリューを回すためのモーターの回転時に必要なトルクを意味しており、実際は、モーターに印加する電流値(駆動電流)を読み取ることとなる。
また、制御部11は、トルク検知部による検知結果に基づいて、清掃部材(ブレード511、スクレーパー521)の状態を予測する。すなわち、制御部11は、本発明の状態予測部として機能する。本実施形態では、特に、制御部11は、トルク検知部による検知結果に基づいて、上流清掃装置51のブレード511の状態を予測する。
また、制御部11は、状態予測部による予測結果に基づいて、清掃部材(ブレード511、スクレーパー521)の交換時期を予測する。すなわち、制御部11は、本発明の交換時期予測部として機能する。本実施形態では、特に、制御部11は、状態予測部による予測結果に基づいて、ブレード511の交換時期を予測する。
【0041】
また、従来、清掃部材などの消耗品は、使用時間(例えば、プリント枚数)などで寿命が決められており、予め決められたプリント枚数を通紙した場合に、ユーザーに交換タイミングを通知/報知することが広く一般的である。他にも、プリント時間や使用時間、像担持体の走行距離などを清掃部材の寿命とする因子としてもよい。
本実施形態において、制御部11は、プリント枚数又は中間転写ベルト2の走行距離に基づいて清掃部材(ブレード511、スクレーパー521)の寿命を管理する。すなわち、制御部11は、本発明の寿命管理部として機能する。
【0042】
例えば、制御部11は、状態予測部による予測結果に基づいて、清掃部材(本実施形態では、特に、ブレード511)の寿命となる閾値(例えばプリント枚数)を変更する。例えば、ユーザーの使用環境や使用条件により、閾値のプリント枚数を通紙したとしても、清掃部材として十分機能を発揮していると予測された場合に、図5に示すように、閾値としたプリント枚数をX1(理想状態)からX2に変更することで、清掃部材の寿命まで十分全うすることが可能となり、ユーザーへの通知/報知を遅らせることができる。また、サービスマンへの通知/報知手段がある場合には、清掃部材の寿命が来るタイミング(閾値を変更した場合に想定される交換タイミング)を予め知らせることができる。一方、ユーザーの使い方により、予め決められた閾値に達するまでに清掃機能が失われることが予測された場合には、清掃機能が失われる直前に閾値を変更するようにし(例えば、図5のX1→X3)、サービスマンには交換タイミングが早まった旨を伝えるようにしてもよい。
【0043】
また、例えば、制御部11は、状態予測部による予測結果に基づいて、カウント枚数又は中間転写ベルト2の走行距離に補正をかける。例えば、プリント枚数で閾値を決めている場合に、使用プリント枚数としてカウントアップする方式を採用するケースでは、実使用プリント枚数と閾値のプリント枚数との差分及びその時点での清掃部材の状態に基づいて、カウントアップに補正をかける(傾きをA1からA2に変更する)ようにしてもよい(図6参照)。具体的には、閾値を100万枚とした場合において、50万枚通紙したとき、清掃部材の清掃能力が50%となるのが通常であるが、例えば、75%残っていると判断された場合には、使用プリント枚数に0.5倍をかけるカウントアップ補正を行うようにして、清掃部材の交換タイミングを遅らせるようにする。
【0044】
また、制御部11は、清掃部材のある時点での状態を予測する手段として、非画像形成時に予め決められたトナー量、画像パターンを清掃装置5に供給するようにしてもよい。すなわち、制御部11は、本発明の供給部として機能する。
例えば、制御部11は、現像剤を交換した際に、予め決められたトナー量を清掃装置5に供給する。このとき、制御部11は、搬送部材(本実施形態では、特に、廃トナー回収スクリュー522)が供給部により供給されたトナーの廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部による検知結果に基づいて、清掃部材(本実施形態では、特に、ブレード511)の状態を予測する。一般に、現像剤を交換した場合には、転写効率が向上するため、像担持体上の残トナーが減少する傾向にある。また、クリーニングもしやすくなることから、寿命の閾値の変更やカウントアップの補正を行うことが好ましい。したがって、現像剤を交換した場合には、非画像形成時に予め決められたトナー量を清掃装置5に供給して清掃部材の状態を予測し、必要であれば、プリント枚数の閾値の変更やカウントアップの補正を実施することが好ましい。
【0045】
なお、制御部11は、供給部として機能する際、画像形成時よりも多いトナー量を供給することが好ましい。このように、供給するトナー量を多くすることで、より確実にトナーの拭き残し発生の有無を検知することができるので、検知感度を高めることが可能となり、早期に清掃部材の寿命を予測することができる。
また、制御部11は、供給部として機能する際、最も粒径が小さいトナーを供給することが好ましい。一般に、カラー画像形成装置で複数のトナーを使用している場合、トナー色ごとに粒径が異なるケースがあり得る。そのような場合、清掃部材によるクリーニング性は、粒径が小さいほど不利に働くため、最も粒径が小さいトナーを供給することで、トナーの拭き残しの検知感度を高めることが可能となり、早期に清掃部材の寿命を予測することができる。
【0046】
また、制御部11は、清掃部材(本実施形態では、特に、ブレード511)交換時に清掃装置5に突入する入力トナーがない状態(下流清掃装置52内に廃トナーがない状態)でトルク検知部により検知された第1トルク値と、搬送部材(本実施形態では、特に、廃トナー回収スクリュー522)が廃トナーを搬送する際にトルク検知部により検知された第2トルク値と、の差分に基づいて、清掃部材の状態を予測する。
一般に、通紙枚数が増えるにつれて、上流清掃装置51(ブレード511)の清掃能力は徐々に低下し、下流清掃装置52(スクレーパー521)に到達するトナー量が増大するため、廃トナー回収スクリュー522の駆動トルクが上昇する。例えば、図7に示すように、下流清掃装置52内に廃トナーがない状態の駆動電流(駆動トルク)Y1と比べ、ある枚数を通紙したときの廃トナー回収スクリュー522の駆動電流Y2が上昇している。このように、ある通紙枚数が経過したタイミングにおける駆動トルクを第2トルク値とした場合、第1トルク値との差分が上流清掃装置51(ブレード511)をすり抜けてくるトナー量に相当し、ブレード511の清掃能力の代用値となる。
【0047】
以下に、第2トルク値と第1トルク値との差分に対応する閾値(又はカウントアップ方法)の変更例を示す。例えば、図8に示す例では、上流清掃部材(ブレード511)の寿命(閾値)を100万枚とした場合の25万枚通紙時のトルク差分が「10%未満」のとき閾値を「200万枚」に変更し、「10%以上20%未満」のとき閾値を維持し、「20%以上30%未満」のとき閾値を「50万枚」に変更している。また、図9に示す例では、上流清掃部材(ブレード511)の寿命(閾値)を100万枚とした場合の25万枚通紙時のトルク差分が「10%未満」のときカウントアップ方法を「通紙枚数×0.5」に変更し、「10%以上20%未満」のときカウントアップ方法(通紙枚数×1)を維持し、「20%以上30%未満」のときカウントアップ方法を「通紙枚数×2」に変更している。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置10は、像担持体(中間転写ベルト2)上の残トナーを清掃する清掃部材(ブレード511、スクレーパー521)と、清掃部材により清掃された残トナーを廃トナーとして搬送する搬送部材(廃トナー回収スクリュー512、廃トナー回収スクリュー522)と、を有する清掃部(清掃装置5)と、搬送部材が廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部(制御部11)と、トルク検知部による検知結果に基づいて、清掃部材の状態を予測する状態予測部(制御部11)と、状態予測部による予測結果に基づいて、清掃部材の交換時期を予測する交換時期予測部(制御部11)と、を備える。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、ユーザーによっていろいろな使われ方をした場合であっても、清掃部材の交換時期の予測精度を向上させることができるので、清掃部材の寿命をより精度よく、装置構成が複雑化することなく、簡単に予測することができる。また、清掃部材の交換時期の予測結果に基づいて清掃部材の交換をユーザーやサービスマンに通知することができるので、確実に部品寿命を全うすることが可能となり、低コスト化を実現することができる。また、より正確に部材の交換タイミングを見積ることで、必要なタイミングでサービスマンが交換に出向くことが可能となり、必要なタイミングで必要な場所に部材を提供することができる。よって、無駄なサービスマンの訪問や作業時間を減らすことができるので、サービスの提供者側にとって人件費を削減することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、清掃部は、転写部(2次転写ローラー3)よりも像担持体の進行方向下流側に設けられた上流清掃部(上流清掃装置51)と、上流清掃部よりも像担持体の進行方向下流側に設けられた下流清掃部(下流清掃装置52)と、を有する。また、トルク検知部は、下流清掃部の搬送部材が廃トナーを搬送する際のトルクを検知する。また、状態予測部は、トルク検知部による検知結果に基づいて、上流清掃部の清掃部材の状態を予測する。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、清掃部材を2つ有することで、リアルタイムで清掃部材の劣化を把握することができるので、より早い段階で清掃部材の寿命を予測することが可能となり、より確実に人件費の削減や低コスト化を実現することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る画像形成装置10は、プリント枚数又は像担持体の走行距離に基づいて清掃部材の寿命を管理する寿命管理部(制御部11)を備える。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、清掃部材の寿命を予測することができるので、精度よく清掃部材の交換タイミングを決定/通知することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、寿命管理部は、状態予測部による予測結果に基づいて、清掃部材の寿命となる閾値を変更する。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、清掃部材の寿命を精度よく予測して変更することができるので、より精度よく清掃部材の交換タイミングを決定/通知することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、寿命管理部は、状態予測部による予測結果に基づいて、カウント枚数又は走行距離に補正をかける。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、清掃部材の寿命を精度よく予測して補正することができるので、より精度よく清掃部材の交換タイミングを決定/通知することができる。
【0053】
また、本実施形態に係る画像形成装置10は、非画像形成時に予め決められたトナー量を清掃部に供給する供給部(制御部11)を備える。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、非画像形成時に評価用のモードを実施することができるので、より精度よく清掃部材の寿命を予測することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、供給部は、現像剤を交換した際に、予め決められたトナー量を清掃部に供給する。また、状態予測部は、搬送部材が供給部により供給されたトナーの廃トナーを搬送する際のトルクを検知するトルク検知部による検知結果に基づいて、清掃部材の状態を予測する。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、現像剤交換時の残トナーが減少する傾向やクリーニング性の向上を踏まえて清掃部材の状態を予測することができるので、より現実に即した形で清掃部材の寿命を予測することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、供給部は、画像形成時よりも多いトナー量を供給する。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、より確実にトナーの拭き残し発生の有無を検知することができるので、検知感度を高めることが可能となり、早期に清掃部材の寿命を予測することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、供給部は、最も粒径が小さいトナーを供給する。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、トナーの拭き残しの検知感度を高めることが可能となり、早期に清掃部材の寿命を予測することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、清掃部材は、弾性を有するブレード又は金属の薄板形状のスクレーパーである。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、耐久に伴って摩耗が進行し、クリーニング能力が低下するような清掃部材に本発明を適用することができるので、清掃部材の寿命をより精度よく予測することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、状態予測部は、清掃部材交換時に清掃部に突入する入力トナーがない状態でトルク検知部により検知された第1トルク値と、搬送部材が廃トナーを搬送する際にトルク検知部により検知された第2トルク値と、の差分に基づいて、清掃部材の状態を予測する。
したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、清掃部材の交換時期の予測精度を向上させることができるので、清掃部材の寿命をより精度よく予測することができる。
【0059】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、清掃装置5が2つの清掃装置(上流清掃装置51、下流清掃装置52)を備える構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、2つの清掃装置を備える代わりに、図10に示すように、中間転写ベルト2上の残トナー(入力トナー)D1を清掃するブレード511A及びブレード511Aにより掻き取られた残トナーを廃トナーとして搬送する廃トナー回収スクリュー512Aを有する1つの清掃装置5Aと、清掃装置5Aに突入する入力トナーD1の量を検知するトナー量検知部53と、を備える構成を採用するようにしてもよい。
この場合、トナー量検知部53は、清掃装置5Aよりも中間転写ベルト2の進行方向(回動方向)上流側に設けられる。そして、制御部11は、トナー量検知部53により検知された入力トナー量及びトルク検知部による検知結果に基づいて、清掃部材(ブレード511A)の状態を予測する。
このように、清掃部に突入する入力トナーの量を検知するトナー量検知部53を備え、状態予測部が、トナー量検知部53により検知された入力トナー量及びトルク検知部による検知結果に基づいて、清掃部材の状態を予測することで、清掃装置を2つ備えることなく、清掃部材の寿命を予測することができる。
【0061】
なお、トナー量検知部53は、図10に示すように、中間転写ベルト2上に設けるようにしてもよいが、転写後の用紙上のトナー濃度を検出する機構(紙上の濃度を長手方向全幅にわたって検知するラインセンサー)を用いるようにしてもよい。このように、狙いの画像(画像パターン)と出力された画像との濃度差から転写残トナー(清掃部材への入力トナー量)を算出することで、ユーザーの印刷する画像パターンに起因する転写残トナー量の変動に対応することができる。また、ユーザーが印刷した画像パターンを読み取ることで、入力トナー量を算出するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、清掃装置5が2つの清掃装置(上流清掃装置51、下流清掃装置52)を備える構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、2つの清掃装置に加えて、図11に示すように、上流清掃装置51に突入する入力トナーD1の量を検知するトナー量検知部53を備える構成を採用するようにしてもよい。
この場合、トナー量検知部53は、上流清掃装置51よりも中間転写ベルト2の進行方向(回動方向)上流側に設けられる。なお、トナー量検知部53は、上流清掃装置51及び下流清掃装置52の間に設けられる構成であってもよい。そして、制御部11は、トナー量検知部53により検知された入力トナー量及びトルク検知部による検知結果(ここでは下流清掃装置52の廃トナー回収スクリュー522のトルク)に基づいて、清掃部材(ここでは下流清掃装置52のスクレーパー521)の状態を予測する。
このように、2つの清掃装置に加えてトナー量検知部53を備える構成を採用することで、下流清掃装置52の清掃部材(スクレーパー521)の寿命を予測することができるので、清掃装置を複数設ける構成であっても全ての清掃部材の寿命を予測することができる。
【0063】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 画像形成装置
11 制御部(トルク検知部、状態予測部、交換時期予測部、寿命管理部、供給部)
12 画像読取部
13 画像形成部
1 書込みユニット
2 中間転写ベルト(像担持体)
3 2次転写ローラー(転写部)
4 定着装置
5、5A 清掃装置(清掃部)
51 上流清掃装置(上流清掃部)
511、511A ブレード(清掃部材)
512、512A 廃トナー回収スクリュー(搬送部材)
52 下流清掃装置(下流清掃部)
521 スクレーパー(清掃部材)
522 廃トナー回収スクリュー(搬送部材)
53 トナー量検知部
14 記憶部
15 操作パネル
151 表示部
152 操作部
16 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12