(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、ヘッドマウントディスプレイ、コンピュータプログラム及び画像表示システム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20221101BHJP
【FI】
G06T19/00 600
(21)【出願番号】P 2018216240
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】篠田 幸男
(72)【発明者】
【氏名】大木 功
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 正弘
(72)【発明者】
【氏名】上打田内 啓允
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-084954(JP,A)
【文献】特開2016-081209(JP,A)
【文献】特表2018-506767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウントディスプレイに備わる3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせ部と、
前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する重畳画像データ生成部と、
前記第1重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する送信部と、
前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正部と、を備え、
前記重畳画像データ生成部は、前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成し、
前記送信部は、前記第2重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する、
情報処理装置。
【請求項2】
3次元センサと、
前記3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせ部と、
前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する重畳画像データ生成部と、
前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正部と、を備え、
前記重畳画像データ生成部は、前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成し、
前記第1重畳画像データ及び前記第2重畳画像データを表示するヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
コンピュータに、
ヘッドマウントディスプレイに備わる3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせステップと、
前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する第1重畳画像データ生成ステップと、
前記第1重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する第1送信ステップと、
前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正ステップと、
前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成する第2重畳画像データ生成ステップと、
前記第2重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する第2送信ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
ヘッドマウントディスプレイが備える3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせステップと、
前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する第1重畳画像データ生成ステップと、
前記第1重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに表示させる第1表示ステップと、
前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正ステップと、
前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成する第2重畳画像データ生成ステップと、
前記第2重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに表示させる第2表示ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項5】
3次元センサを備えるヘッドマウントディスプレイと、情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせ部と、
前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する重畳画像データ生成部と、
前記第1重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する送信部と、
前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正部と、を備え、
前記重畳画像データ生成部は、前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成し、
前記送信部は、前記第2重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する、
画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、ヘッドマウントディスプレイ、コンピュータプログラム及び画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合現実感(Mixed Reality)技術を利用して作業者を支援するための技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の従来技術では、現実の世界(以下、現実空間と称する)の金属加工品に、コンピュータで生成された仮想の世界(以下、仮想空間と称する)の3次元モデルを重畳させて、ヘッドマウントディスプレイに表示させることにより、作業者に対して3次元モデルを用いた作業支援を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来技術では、現実空間の金属加工品と仮想空間の3次元モデルとの位置合わせが不十分であると、作業者が作業し辛い場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、現実空間の物体と仮想空間の3次元モデルとの位置合わせの精度を向上させることができる、情報処理装置、ヘッドマウントディスプレイ、コンピュータプログラム及び画像表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ヘッドマウントディスプレイに備わる3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせ部と、前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する重畳画像データ生成部と、前記第1重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する送信部と、前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正部と、を備え、前記重畳画像データ生成部は、前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成し、前記送信部は、前記第2重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する、情報処理装置である。
【0007】
本発明の一態様は、3次元センサと、前記3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせ部と、前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する重畳画像データ生成部と、前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正部と、を備え、前記重畳画像データ生成部は、前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成し、前記第1重畳画像データ及び前記第2重畳画像データを表示するヘッドマウントディスプレイである。
【0008】
本発明の一態様は、コンピュータに、ヘッドマウントディスプレイに備わる3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせステップと、前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する第1重畳画像データ生成ステップと、前記第1重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する第1送信ステップと、前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正ステップと、前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成する第2重畳画像データ生成ステップと、前記第2重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する第2送信ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0009】
本発明の一態様は、コンピュータに、ヘッドマウントディスプレイが備える3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせステップと、前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する第1重畳画像データ生成ステップと、前記第1重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに表示させる第1表示ステップと、前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正ステップと、前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成する第2重畳画像データ生成ステップと、前記第2重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに表示させる第2表示ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0010】
本発明の一態様は、3次元センサを備えるヘッドマウントディスプレイと、情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、前記3次元センサが検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする位置合わせ部と、前記位置合わせに基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する重畳画像データ生成部と、前記第1重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する送信部と、前記3次元センサが検出した前記物体上の基準位置と前記3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、前記物体の外形寸法データを使用して現実空間の前記物体の輪郭と仮想空間の前記3次元モデルの輪郭との前記位置合わせを補正する位置合わせ補正部と、を備え、前記重畳画像データ生成部は、前記位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の前記物体上に前記3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成し、前記送信部は、前記第2重畳画像データを前記ヘッドマウントディスプレイに送信する、画像表示システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現実空間の物体と仮想空間の3次元モデルとの位置合わせの精度を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る画像表示システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】外形寸法データ格納部の構成例を示す図である。
【
図3】機器配置データ格納部の構成例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る画像表示方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態に係る画像表示システムの他の構成例を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る画像表示システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、画像表示システム1は、サーバ装置(情報処理装置)10と、端末装置40と、ヘッドマウントディスプレイ50とを備える。サーバ装置10と端末装置40とは、それぞれ通信部11,41を備え、通信を行う。
【0015】
サーバ装置10は、サーバ通信部11と、位置合わせ部12と、重畳画像データ生成部13と、位置合わせ補正部14と、外形寸法データ格納部15と、機器配置データ格納部16と、を備える。端末装置40は、端末通信部41と、端末制御部42と、ディスプレイインタフェース43とを備える。ヘッドマウントディスプレイ50は、3次元センサ51を備える。
【0016】
ヘッドマウントディスプレイ50は、作業者の頭部に装着されるディスプレイ装置である。端末装置40は、サーバ装置10とヘッドマウントディスプレイ50との間のデータの中継等を行う。端末装置40として、例えばスマートフォン等の携帯通信端末装置を利用してもよい。
【0017】
端末装置40において、端末通信部41は、サーバ装置10のサーバ通信部11と通信を行う。端末制御部42は、端末装置40の制御を行う。ディスプレイインタフェース43は、ヘッドマウントディスプレイ50と通信を行う。ディスプレイインタフェース43とヘッドマウントディスプレイ50とは、通信方式として、例えば近距離無線通信方式を利用してもよい。
【0018】
ヘッドマウントディスプレイ50は、ヘッドマウントディスプレイ50を頭部に装着している作業者に対して見えるように画像を表示する。3次元センサ51は、現実空間における物体の検出を行う。3次元センサ51として、例えば赤外線カメラを利用してもよい。
【0019】
サーバ装置10において、サーバ通信部11は、端末装置40の端末通信部41と通信を行う。位置合わせ部12は、3次元センサ51が検出した現実空間の物体の輪郭と、仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする。重畳画像データ生成部13は、位置合わせ部12による位置合わせに基づいて、現実空間の物体上に仮想空間の3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する。第1重畳画像データは、サーバ通信部11(送信部)によりヘッドマウントディスプレイ50に送信され、ヘッドマウントディスプレイ50で表示される。
【0020】
位置合わせ補正部14は、3次元センサ51が検出した物体上の基準位置と3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、当該物体の外形寸法データを使用して現実空間の当該物体の輪郭と仮想空間の当該3次元モデルの輪郭との位置合わせを補正する。重畳画像データ生成部13は、位置合わせ補正部14による位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の物体上に仮想空間の3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成する。第2重畳画像データは、サーバ通信部11(送信部)によりヘッドマウントディスプレイ50に送信され、ヘッドマウントディスプレイ50で表示される。
【0021】
外形寸法データ格納部15は、物体の外形寸法データを格納する。
図2は、外形寸法データ格納部15の構成例を示す図である。
図2の例では、物体は、作業者が作業を行う場所である作業室に設けられた機器である。
図2に示されるように、外形寸法データ格納部15には、機器の種別を示す機器種別識別子(機器種別ID)に関連付けて、当該機器の外形寸法を示す外形寸法データが格納される。機器の外形寸法データは、当該機器の横(幅)、縦(高さ)及び奥行きの各寸法を示すデータである。
【0022】
機器配置データ格納部16は、機器配置データを格納する。
図3は、機器配置データ格納部16の構成例を示す図である。
図3に示されるように、機器配置データ格納部16には、配置場所に関連付けて、当該配置場所に設置される機器の機器種別IDが格納される。
図3の例では、機器種別IDは、
図2に対応するものである。
【0023】
図3に示される機器配置データ格納部16の機器配置データの例は、
図4に示される作業室の機器配置に対応する。
図4は、作業室の機器配置の例を示す平面図である。
図4に示される作業室において、配置場所Pa1からPa6までは順番に一列に配列されている。各配置場所Pa1、Pa2、Pa3、Pa4、Pa5、Pa6には、
図3の機器配置データで示される各機器種別IDの機器が設置されている。配置場所Pa1からPa6までの配列において、一端の配置場所Pa1に設置された機器(Eid1)には、当該配列の外側の方の端部上に基準位置Qa1が設けられる。他方、配置場所Pa6に設置された機器(Eid2)には、当該配列の外側の方の端部上に基準位置Qa2が設けられる。
【0024】
また、
図4に示される作業室において、配置場所Pb1からPb6までは順番に一列に配列されている。各配置場所Pb1、Pb2、Pb3、Pb4、Pb5、Pb6には、
図3の機器配置データで示される各機器種別IDの機器が設置されている。配置場所Pb1からPb6までの配列において、一端の配置場所Pb1に設置された機器(Eid1)には、当該配列の外側の方の端部上に基準位置Qb1が設けられる。他方、配置場所Pb6に設置された機器(Eid2)には、当該配列の外側の方の端部上に基準位置Qb2が設けられる。
【0025】
次に
図5を参照して、本実施形態に係る画像表示システム1の動作を説明する。
図5は、本実施形態に係る画像表示方法の手順の例を示すフローチャートである。ここでは、
図2、
図3及び
図4の例を用いて説明を行う。
【0026】
(ステップS1)
図4に示される作業室において、作業者は、ヘッドマウントディスプレイ50を頭部に装着する。また、作業者は、端末装置40を携帯する、又は、端末装置40のディスプレイインタフェース43とヘッドマウントディスプレイ50とが通信可能な場所に端末装置40を置いておく。
【0027】
作業者は、ヘッドマウントディスプレイ50により、作業場所の現実空間のスキャンを行う。作業場所の現実空間のスキャンにより、ヘッドマウントディスプレイ50の3次元センサ51は、各配置場所Pa1-Pa6、Pb1-Pb6に設置された各機器を検出し、検出結果の3次元データ(以下、現実空間検出3次元データと称する)を出力する。当該現実空間検出3次元データは、3次元センサ51が検出した現実空間の各機器の3次元の輪郭を示す情報を含むものである。
【0028】
現実空間検出3次元データは、ヘッドマウントディスプレイ50から端末装置40のディスプレイインタフェース43へ送信される。端末装置40の端末制御部42は、ヘッドマウントディスプレイ50からディスプレイインタフェース43により受信した現実空間検出3次元データを、端末通信部41によりサーバ装置10へ送信する。サーバ装置10は、サーバ通信部11により、ヘッドマウントディスプレイ50からの現実空間検出3次元データを受信する。
【0029】
(ステップS2) サーバ装置10の位置合わせ部12は、ヘッドマウントディスプレイ50から受信した現実空間検出3次元データにより、作業場所の現実空間の各配置場所Pa1-Pa6、Pb1-Pb6に設置された各機器の3次元の輪郭を認識する。位置合わせ部12は、当該認識した各機器の3次元の輪郭と、各機器に対応する仮想空間の3次元モデルの輪郭とを位置合わせする。仮想空間の3次元モデルは、予め、サーバ装置10に設定される。仮想空間の3次元モデルとして、例えば3次元の多面体を利用してもよい。
【0030】
(ステップS3) サーバ装置10の重畳画像データ生成部13は、ステップS2の位置合わせ部12による位置合わせに基づいて、現実空間の各機器上に各機器に対応する仮想空間の3次元モデルが重ねて表示される第1重畳画像データを生成する。
【0031】
サーバ装置10は、サーバ通信部11により第1重畳画像データを端末装置40へ送信する。端末装置40は、サーバ装置10から端末通信部41により第1重畳画像データを受信する。端末装置40の端末制御部42は、サーバ装置10から受信した第1重畳画像データを、ディスプレイインタフェース43によりヘッドマウントディスプレイ50へ送信する。
【0032】
ヘッドマウントディスプレイ50は、端末装置40から受信した第1重畳画像データを表示する。これにより、作業者は、
図4に示される作業室の作業場所において、ヘッドマウントディスプレイ50により、現実空間の各機器上に各機器に対応する仮想空間の3次元モデルが重ねて表示される状態を視認する。但し、この状態では、現実空間の各機器の輪郭と、各機器に対応する仮想空間の3次元モデルの輪郭との位置合わせが不十分である可能性がある。現実空間の機器の輪郭と当該機器に対応する仮想空間の3次元モデルの輪郭との位置合わせが不十分である場合、作業者にとっては、現実空間の機器の輪郭と当該機器に対応する仮想空間の3次元モデルの輪郭とがズレて見えるので、作業がし辛い場合がある。このため、本実施形態では、以降の手順により、現実空間の機器の輪郭と当該機器に対応する3次元モデルの輪郭との位置合わせの補正を行う。
【0033】
(ステップS4) 作業者は、
図4に示される作業室の作業場所において、現実空間の基準位置Qa1及びQa2を指定する操作を行う。現実空間の基準位置Qa1及びQa2を指定する操作として、例えば、基準位置Qa1及びQa2に予めマーカを貼付しておき、作業者がヘッドマウントディスプレイ50により基準位置Qa1及びQa2の各マーカをスキャンする。又は、作業者が各基準位置Qa1、Qa2に指先で触っている状態を、ヘッドマウントディスプレイ50によりスキャンする。現実空間の基準位置Qb1及びQb2に対しても、前記基準位置Qa1及びQa2と同様に、指定する操作を行う。
【0034】
現実空間の基準位置Qa1及びQa2を指定する操作により、ヘッドマウントディスプレイ50の3次元センサ51は、各基準位置Qa1、Qa2を検出し、検出結果の3次元データ(以下、基準位置検出3次元データと称する)を出力する。当該基準位置検出3次元データは、3次元センサ51が検出した現実空間の各基準位置Qa1、Qa2を示す情報を含むものである。現実空間の基準位置Qb1及びQb2に対しても、前記基準位置Qa1及びQa2と同様に、基準位置検出3次元データを出力する。
【0035】
基準位置検出3次元データは、上述した現実空間検出3次元データと同様に、ヘッドマウントディスプレイ50から端末装置40を介してサーバ装置10へ送信される。サーバ装置10は、サーバ通信部11により、ヘッドマウントディスプレイ50からの基準位置検出3次元データを受信する。
【0036】
(ステップS5) サーバ装置10の位置合わせ補正部14は、ヘッドマウントディスプレイ50から受信した基準位置検出3次元データにより、作業場所の現実空間の各基準位置Qa1、Qa2を認識する。位置合わせ補正部14は、当該認識した現実空間の各基準位置Qa1、Qa2と仮想空間の3次元モデル上の基準位置とを位置合わせし、各配置場所Pa1-Pa6に設置された各機器の外形寸法データを使用して現実空間の各配置場所Pa1-Pa6に設置された各機器の輪郭と仮想空間の各3次元モデルの輪郭との位置合わせを補正する。同様に、各配置場所Pb1-Pb6に設置された各機器についても、基準位置Qb1及びQb2の基準位置検出3次元データに基づいて、現実空間の各機器の輪郭と仮想空間の各3次元モデルの輪郭との位置合わせを補正する。位置合わせ補正方法について以下に説明する。
【0037】
現実空間の基準位置Qa1は、配置場所Pa1に設置された機器(Eid1)に設けられたものである。現実空間の基準位置Qa2は、配置場所Pa6に設置された機器(Eid2)に設けられたものである。位置合わせ補正部14は、当該認識した現実空間の基準位置Qa1と、配置場所Pa1に設置された機器(Eid1)に対応する仮想空間の3次元モデル上の基準位置とを位置合わせする。併せて、当該認識した現実空間の基準位置Qa2と、配置場所Pa6に設置された機器(Eid2)に対応する仮想空間の3次元モデル上の基準位置とを位置合わせする。次いで、位置合わせ補正部14は、
図2の外形寸法データ格納部15及び
図3の機器配置データ格納部16にそれぞれ格納されるデータによって、各配置場所Pa1、Pa2、Pa3、Pa4、Pa5、Pa6に設置された各機器の配列順序及び外形寸法を取得する。次いで、位置合わせ補正部14は、各機器の配列順序に従って、基準位置Qa1と基準位置Qa2との間に存在する各機器までの各基準位置Qa1、Qa2からの距離(第1距離と称する)を各機器の外形寸法を使用して計算する。次いで、位置合わせ補正部14は、基準位置Qa1と基準位置Qa2との間の距離(第2距離と称する)を1として、第2距離に対する第1距離の比として各機器の位置を算出する。次いで、位置合わせ補正部14は、各機器に対応する仮想空間の各3次元モデルの輪郭を、当該第1距離の比及び各機器の外形寸法に基づいて補正する。これにより、各配置場所Pa1、Pa2、Pa3、Pa4、Pa5、Pa6に設置された各機器に対応する仮想空間の各3次元モデルの輪郭が、それぞれ対応する現実空間の各機器の輪郭に精度よく位置合わせされる。
【0038】
現実空間の基準位置Qb1は、配置場所Pb1に設置された機器(Eid1)に設けられたものである。現実空間の基準位置Qb2は、配置場所Pb6に設置された機器(Eid2)に設けられたものである。位置合わせ補正部14は、当該認識した現実空間の基準位置Qb1と、配置場所Pb1に設置された機器(Eid1)に対応する仮想空間の3次元モデル上の基準位置とを位置合わせする。併せて、当該認識した現実空間の基準位置Qb2と、配置場所Pb6に設置された機器(Eid2)に対応する仮想空間の3次元モデル上の基準位置とを位置合わせする。次いで、位置合わせ補正部14は、
図2の外形寸法データ格納部15及び
図3の機器配置データ格納部16にそれぞれ格納されるデータによって、各配置場所Pb1、Pb2、Pb3、Pb4、Pb5、Pb6に設置された各機器の配列順序及び外形寸法を取得する。次いで、位置合わせ補正部14は、各機器の配列順序に従って、基準位置Qb1と基準位置Qb2との間に存在する各機器までの各基準位置Qb1、Qb2からの距離(第3距離と称する)を各機器の外形寸法を使用して計算する。次いで、位置合わせ補正部14は、基準位置Qb1と基準位置Qb2との間の距離(第4距離と称する)を1として、第4距離に対する第3距離の比として各機器の位置を算出する。次いで、位置合わせ補正部14は、各機器に対応する仮想空間の各3次元モデルの輪郭を、当該第3距離の比及び各機器の外形寸法に基づいて補正する。これにより、各配置場所Pb1、Pb2、Pb3、Pb4、Pb5、Pb6に設置された各機器に対応する仮想空間の各3次元モデルの輪郭が、それぞれ対応する現実空間の各機器の輪郭に精度よく位置合わせされる。
【0039】
(ステップS6) サーバ装置10の重畳画像データ生成部13は、ステップS5の位置合わせ補正部14による位置合わせの補正結果に基づいて、現実空間の各機器上に各機器に対応する仮想空間の3次元モデルが重ねて表示される第2重畳画像データを生成する。
【0040】
第2重畳画像データは、上述した第1重畳画像データと同様に、サーバ装置10から端末装置40を介してヘッドマウントディスプレイ50へ送信される。
【0041】
ヘッドマウントディスプレイ50は、端末装置40から受信した第2重畳画像データを表示する。これにより、作業者は、
図4に示される作業室の作業場所において、ヘッドマウントディスプレイ50により、現実空間の各機器上に各機器に対応する仮想空間の3次元モデルが重ねて表示される状態を視認する。この状態では、現実空間の各機器の輪郭と、各機器に対応する3次元モデルの輪郭とが精度よく位置合わせされている。これにより、作業者に対して、仮想空間の3次元モデルを用いた作業支援を高品質で提供することができる。例えば、仮想空間の3次元モデルによって作業の操作のお手本を作業者に示す場合に、あたかも現実空間の実物の作業対象機器を操作しているかのように作業者に示すことができる。また、例えば、仮想空間の3次元モデルによって作業手順書を作業者に示す場合に、仮想空間の3次元モデルの作業手順書を、現実空間の作業対象機器の位置に対して適切な位置に精度よく表示させることができる。
【0042】
[画像表示システムの他の構成例]
図6は、本実施形態に係る画像表示システムの他の構成例を示すブロック図である。
図6において
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図6に示される画像表示システム1aにおいては、ヘッドマウントディスプレイ50aがディスプレイ通信部52を備え、端末装置40は具備されなくてもよい。ディスプレイ通信部52は、サーバ装置10のサーバ通信部11と通信を行う。ヘッドマウントディスプレイ50は、ディスプレイ通信部52により、サーバ装置10と通信を行う。画像表示システム1aにおいて、ヘッドマウントディスプレイ50とサーバ装置10との間の通信に係る構成以外は、
図1に示される画像表示システム1と同様である。
【0043】
上述したように本実施形態によれば、現実空間の物体と仮想空間の3次元モデルとの位置合わせの精度を向上させることができるという効果が得られる。これにより、現実空間の物体に仮想空間の3次元モデルを重畳させて、ヘッドマウントディスプレイに表示させることにより、作業者に対して仮想空間の3次元モデルを用いた高品質の作業支援を行うことができる。
【0044】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ60の構成例を示すブロック図である。
図7において
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。第2実施形態は、第1実施形態のサーバ装置10の位置合わせ部12、重畳画像データ生成部13、位置合わせ補正部14、外形寸法データ格納部15及び機器配置データ格納部16をヘッドマウントディスプレイ60に備え、ヘッドマウントディスプレイ単体で実施するものである。この点以外は第1実施形態と同様である。
【0045】
なお、ヘッドマウントディスプレイ60は、外部と通信を行うディスプレイ通信部をさらに備えてもよい。これにより、作業対象の作業室が変わる場合に、作業対象の作業室に応じて、該当する外形寸法データや機器配置データなどを通信により外部の装置から取得し、外形寸法データ格納部15や機器配置データ格納部16などに格納するデータを適宜更新することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0047】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0048】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0049】
1…画像表示システム、10…サーバ装置、11…サーバ通信部、12…位置合わせ部、13…重畳画像データ生成部、14…位置合わせ補正部、15…外形寸法データ格納部、16…機器配置データ格納部、40…端末装置、41…端末通信部、42…端末制御部、43…ディスプレイインタフェース、50,50a,60…ヘッドマウントディスプレイ、51…3次元センサ、52…ディスプレイ通信部