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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】検査方法およびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   G01L 25/00 20060101AFI20221101BHJP
   B25J 19/02 20060101ALI20221101BHJP
   G01L 5/16 20200101ALI20221101BHJP
【FI】
G01L25/00 B
B25J19/02
G01L5/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018224619
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020085820
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】下平 泰裕
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5550468(JP,B2)
【文献】特開昭63-109344(JP,A)
【文献】特開2000-241236(JP,A)
【文献】特許第5248789(JP,B2)
【文献】特開2012-73110(JP,A)
【文献】特許第3053606(JP,B2)
【文献】実開昭60-189830(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期校正されており、第1方向の力を検出する第1力検出部と、力を検出する第2力検
出部および前記第2力検出部を介して設置される押圧部材が設けられ、前記第2力検出部
の検出値に基づいた力制御により作業を行うロボットと、を準備する準備工程と、
前記ロボットが、前記第1力検出部に前記押圧部材を当接させ、前記第1力検出部に対
して、前記押圧部材を介して前記第2力検出部を前記力制御により押し付ける押付工程と

前記押付工程中の前記第1力検出部の第1検出値と前記押付工程中の前記第2力検出部
の第2検出値とを記録する記録工程と、
前記記録工程で記録された前記第1検出値と前記第2検出値とを関係付ける関係付け工
程と、
前記押圧部材を検査対象物に押圧し、前記押圧での前記第2力検出部の検出値および前
記関係付け工程での関係付けに基づいて前記検査対象物への押圧力を求め、前記押圧力に
基づいて前記検査対象物を検査する検査工程と、
を有することを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記記録工程では、所定時間内に前記第1検出値が複数記録され、複数の前記第1検出
値の平均値を第1平均値として演算し、前記所定時間内に前記第2検出値が複数記録され
、複数の前記第2検出値の平均値を第2平均値として演算し、
前記関係付け工程では、前記第1平均値と前記第2平均値とを関係付けたものを、前記
第1検出値と前記第2検出値との関係付けとする請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記記録工程では、所定時間内に前記第1検出値が複数記録され、複数の前記第1検出
値のうち、第1閾値の範囲内の前記第1検出値を選別し、前記所定時間内に前記第2検出
値が複数記録され、複数の前記第2検出値のうち、第2閾値の範囲内の前記第2検出値を
選別し、
前記関係付け工程では、前記記録工程で選別された前記第1検出値と前記第2検出値と
を関係付けたものを、前記第1検出値と前記第2検出値との関係付けとする請求項1に記
載の検査方法。
【請求項4】
前記関係付け工程では、前記第1検出値と前記第2検出値との関係付けとして、回帰直
線を求める請求項2または3に記載の検査方法。
【請求項5】
前記記録工程では、単位時間ごとに、前記第1検出値と前記第2検出値とを記録する請
求項1ないし4のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項6】
前記記録工程では、単位力ごとに、前記第1検出値と前記第2検出値とを記録する請求
項1ないし4のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項7】
前記第1方向は鉛直方向に一致する請求項1ないしのいずれか1項に記載の検査方法
【請求項8】
初期校正されており、第1方向の力を検出する第1力検出部と、力を検出する第2力検
出部と、押圧部材と、前記第2力検出部および前記第2力検出部を介して設置される前記
押圧部材が設けられ、前記第2力検出部の検出値に基づいた力制御により作業を行うロボ
ットと、を備え、
前記ロボットが、前記第1力検出部に前記押圧部材を当接させ、前記第1力検出部に対
して、前記押圧部材を介して前記第2力検出部を前記力制御により押し付ける押付工程と

前記押付工程中の前記第1力検出部の第1検出値と前記押付工程中の前記第2力検出部
の第2検出値とを記録する記録工程と、
前記記録工程で記録された前記第1検出値と前記第2検出値とを関係付ける関係付け工
程と、
前記押圧部材を検査対象物に押圧し、前記押圧での前記第2力検出部の検出値および前
記関係付け工程での関係付けに基づいて前記検査対象物への押圧力を求め、前記押圧力に
基づいて前記検査対象物を検査する検査工程と、
を行うことを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査方法およびロボットシステムに関する。


【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、多関節ロボットと、多関節ロボットを制御するロボット制御装置と、を備えるロボットシステムが開示されている。この特許文献1に記載のロボットシステムのロボットは、力センサーが装着された状態で製造工場から出荷される。また、ロボットの出荷時には、力センサーは、校正済みのものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-237296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、力センサーは、出荷時に既に校正済みとなっていたとしても、ロボットの使用状態、すなわち、実際の使用環境下によっては、出力値が校正された値からのズレ量が分からないため、出力値の信頼性を担保することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下のものとして実現することが可能である。
【0006】
本発明の校正方法は、初期校正されており、第1方向の力を検出する第1力検出部と、力を検出する第2力検出部が設けられ、前記第2力検出部の検出値に基づいた力制御により作業を行うロボットと、を準備する準備工程と、
前記ロボットが、前記第1力検出部に対して、前記第2力検出部を前記力制御により押し付ける押付工程と、
前記押付工程中の前記第1力検出部の第1検出値と前記押付工程中の前記第2力検出部の第2検出値とを記録する記録工程と、
前記記録工程で記録された前記第1検出値と前記第2検出値とを関係付ける関係付け工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のロボットシステムは、初期校正されており、第1方向の力を検出する第1力検出部と、力を検出する第2力検出部と、前記第2力検出部が設けられ、前記第2力検出部の検出値に基づいた力制御により作業を行うロボットと、を備え、
前記ロボットが、前記第1力検出部に対して、前記第2力検出部を前記力制御により押し付ける押付工程と、
前記押付工程中の前記第1力検出部の第1検出値と前記押付工程中の前記第2力検出部の第2検出値とを記録する記録工程と、
前記記録工程で記録された前記第1検出値と前記第2検出値とを関係付ける関係付け工程と、を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るロボットシステムの全体構成を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る校正方法が有する工程を順に示すフローチャートである。
図3図3は、図1に示すロボシステムが図2に示す校正方法を実行する際のロボットの動作状態を順に示す図である。
図4図4は、図1に示すロボシステムが図2に示す校正方法を実行する際のロボットの動作状態を順に示す図である。
図5図5は、図1に示すロボシステムが図2に示す校正方法を実行する際のロボットの動作状態を順に示す図である。
図6図6は、記録工程で得られたグラフである。
図7図7は、関係付け工程で得られたグラフである。
図8図8は、第2実施形態に係る校正方法の記録工程で得られたグラフである。
図9図9は、第3実施形態に係る校正方法の記録工程で得られたグラフである。
図10図10は、第4実施形態に係る校正方法の記録工程で得られたグラフである。
図11図11は、第5実施形態に係る校正方法の記録工程で得られたグラフである。
図12図12は、ロボットシステムの使用形態の一例を示す図である。
図13図13は、ロボットシステムについてハードウェアを中心として説明するためのブロック図である。
図14図14は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例1を示すブロック図である。
図15図15は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例2を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の校正方法およびロボットシステムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、説明の都合上、図1図3図5および図12中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。また、本願明細書で言う「水平」とは、完全な水平に限定されず、水平に対して若干(例えば10°未満程度)傾いた状態も含む。また、本願明細書で言う「鉛直」とは、完全な鉛直に限定されず、鉛直に対して若干(例えば10°未満程度)傾いた状態も含む。また、各図中では、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を設定して説明する。
【0010】
<第1実施形態>
以下、図1図7を参照して本発明の校正方法およびロボットシステムの第1実施形態について説明する。
【0011】
図1に示すように、ロボットシステム100は、ロボット1と、ロボット1を制御するロボット制御装置(以下単に「制御装置」と言う)200と、を備えている。なお、図1中の基台11側を「基端」、その反対側(エンドエフェクター20側)を「先端」と言う。
【0012】
ロボット1は、本実施形態では単腕の6軸垂直多関節ロボットであり、その先端部にエンドエフェクター20を装着することができる。なお、ロボット1は、単腕型の多関節ロボットであるが、これに限定されず、例えば、双腕型の多関節ロボットであってもよい。
【0013】
制御装置200は、ロボット1から離間して配置されており、プロセッサーの1例であるCPU(Central Processing Unit)、メモリーで構成される記憶部250等を備えたコンピューターで構成することができる。
【0014】
そして、このロボットシステム100は、例えば、図12に示すように、カーナビゲーション装置500の検査作業を行うことができる。検査作業は、ボタン501を押圧して、そのときの押圧力が、製品としてのカーナビゲーション装置500の保証の範囲か否かを検査する作業である。
【0015】
また、ロボットシステム100は、検査作業に先立って、後述する校正作業を行うことができる。校正作業は、作業台300上に固定して設けられ、Z軸方向負側に向かった力を検出する第1力検出部400が用いられる。第1力検出部400は、初期校正されている、すなわち、国際標準に合わせられたロードセルである。そして、校正作業では、この第1力検出部400を用いて、ロボット1に設けられた第2力検出部19に対する校正を行うことができる。また、第1力検出部400は、中継ケーブル21を介して制御装置200と電気的に接続されている。また、第1力検出部400での検出値(以下「第1検出値F1」と言う)は、制御装置200の記憶部250に記録される。なお、第1力検出部400と制御装置200との接続は、図1に示す構成のように有線による接続に限定されず、例えば、無線による接続であってもよく、さらには、インターネットのようなネットワークを介して接続されていてもよい。
【0016】
作業台300は、床面1000に対し固定的に設置されている。そのため、第1力検出部400も床面1000に対し固定して設けられている。すなわち、第1力検出部400は、ロボット1の基台11に対し固定的な位置関係にある。
【0017】
ロボット1は、基台11と、基台11の上方に位置する可動部10と、を有している。
基台11は、可動部10を下側から駆動可能に支持する支持体であり、例えば工場内の床面1000に固定されている。ロボット1は、基台11が中継ケーブル18を介して制御装置200と電気的に接続されている。なお、ロボット1と制御装置200との接続は、図1に示す構成のように有線による接続に限定されず、例えば、無線による接続であってもよく、さらには、インターネットのようなネットワークを介して接続されていてもよい。
【0018】
可動部10は、互いに回動可能に連結された複数のアーム101を有している。校正作業は、可動部10が最大に駆動可能な駆動範囲A10内に設置された作業台300上で行われる。また、図12に示すように、検査作業は、駆動範囲A10内に設置された作業台600上で行われる。
【0019】
本実施形態では、可動部10は、第1アーム12と、第2アーム13と、第3アーム14と、第4アーム15と、第5アーム16と、第6アーム17とを有し、これらのアーム101が基台11側からこの順に連結されている。なお、可動部10が有するアーム101の数は、6つに限定されず、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは7つ以上であってもよい。また、各アーム101の全長等の大きさは、それぞれ、特に限定されず、適宜設定可能である。
【0020】
基台11と第1アーム12とは、関節171を介して連結されている。そして、第1アーム12は、基台11に対し、鉛直方向、すなわち、Z軸方向に延びる第1回動軸(ロール軸)を回動中心とし、その第1回動軸回りに回動可能となっている。第1回動軸は、基台11が固定される床面1000の法線と一致している。
【0021】
第1アーム12と第2アーム13とは、関節172を介して連結されている。そして、第2アーム13は、第1アーム12に対し、水平方向に延びる第2回動軸(ヨー軸)を回動中心として回動可能となっている。第2回動軸は、第1回動軸に直交する軸と平行である。
【0022】
第2アーム13と第3アーム14とは、関節173を介して連結されている。そして、第3アーム14は、第2アーム13に対して水平方向に延びる第3回動軸(ヨー軸)を回動中心として回動可能となっている。第3回動軸は、第2回動軸と平行である。
【0023】
第3アーム14と第4アーム15とは、関節174を介して連結されている。そして、第4アーム15は、第3アーム14に対し、第3アーム14の中心軸方向と平行な第4回動軸(ロール軸)を回動中心として回動可能となっている。第4回動軸は、第3回動軸と直交している。
【0024】
第4アーム15と第5アーム16とは、関節175を介して連結されている。そして、第5アーム16は、第4アーム15に対して第5回動軸(ヨー軸)を回動中心として回動可能となっている。第5回動軸は、第4回動軸と直交している。
【0025】
第5アーム16と第6アーム17とは、関節176を介して連結されている。そして、第6アーム17は、第5アーム16に対して第6回動軸(ロール軸)を回動中心として回動可能となっている。第6回動軸は、第5回動軸と直交している。
【0026】
また、第6アーム17は、可動部10の中で最も先端側に位置するロボット先端部となっている。この第6アーム17は、可動部10の駆動により、エンドエフェクター20ごと回動することができる。
【0027】
また、ロボット1は、可動部10に、力を検出する第2力検出部19が着脱自在に設置される。そして、可動部10は、第2力検出部19が設置された状態で駆動することができる。
【0028】
本実施形態では、第2力検出部19は、第6アーム17に設置されている。なお、第2力検出部19の設置箇所としては、第6アーム17、すなわち、最も先端側に位置するアーム101に限定されず、例えば、他のアーム101や、隣り合うアーム101同士の間であってもよい。
【0029】
第2力検出部19よりも先端側には、エンドエフェクター20を着脱可能に設置することができる。ロボット1には、第2力検出部19を介してエンドエフェクター20が設置され、この状態でロボット1が用いられる。エンドエフェクター20は、本実施形態では、校正作業や検査作業に使用可能な棒状をなす押圧部材201を有する。この押圧部材201の先端202は、丸みを帯びている。
【0030】
そして、第2力検出部19は、ロボット1の校正作業や検査作業に押圧部材201に作用する力等を検出することができる。第2力検出部19としては、特に限定されないが、本実施形態では、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の各軸方向の力成分と、X軸回りとなるRX方向のトルク成分と、Y軸回りとなるRY方向のトルク成分と、Z軸回りとなるRZ方向のトルク成分とを検出可能な6軸力覚センサーが用いられる。なお、本実施形態では、Z軸方向が鉛直方向となっている。また、各軸方向の力成分を「並進力成分」と言い、各軸回りの力成分を「回転成分」と言うこともできる。また、第2力検出部19は、6軸力覚センサーに限定されず、他の構成のものであってもよい。
【0031】
制御装置200は、ロボット1の動作を力制御等で制御することができる。「力制御」とは、第2力検出部19の検出値(以下「第2検出値F2」と言う)、すなわち、第2力検出部19の検出結果に基づいて、押圧部材201の位置や姿勢を変更したり、また、押圧部材201を押したり、引っ張ったりするロボット1の動作の制御のことである。この力制御により、校正作業や検査作業を行うことができる。力制御には、例えば、インピーダンス制御と、フォーストリガー制御とが含まれている。なお、第2検出値F2は、制御装置200の記憶部250に記録される。
【0032】
フォーストリガー制御では、第2力検出部19により力検出を行い、その第2力検出部19により所定の力を検出するまで、可動部10に移動や姿勢の変更の動作をさせる。
【0033】
インピーダンス制御は、倣い制御を含む。まず、簡単に説明すると、インピーダンス制御では、可動部10の先端部に加わる力を可能な限り所定の力に維持、すなわち、第2力検出部19により検出される所定方向の力を可能な限り目標値に維持するように可動部10の動作を制御する。
【0034】
また、より詳しく説明すると、ロボット1のインピーダンス制御のモデルは、例えば、下記(A)式に示す運動方程式で表すことができる。
【0035】
f(t)=mx’’+cx’+kx ・・・(A)
前記(A)式において、mは、質量(慣性)、cは、粘性係数、kは、弾性(剛性)係数、f(t)は、力、xは、目標位置からの変位(位置)である。また、xの1次微分、すなわち、x’は、速度に対応し、xの2次微分、すなわち、x’’は、加速度に対応する。なお、以下では、m、cおよびkをそれぞれ単に、「パラメーター」とも言う。
【0036】
インピーダンス制御では、前記(A)式の特性を可動部10の先端部に持たせるための制御系を構成する。すなわち、前記(A)式で表される仮想慣性係数、仮想粘性係数および仮想弾性係数を、あたかも可動部10の先端部が持っているかのように制御を行う。なお、「仮想慣性係数」は、「仮想質量」と言われることがある。
【0037】
また、前記(A)式におけるパラメーターm、cおよびkは、それぞれ、特に限定されず、諸条件に基づいて適宜設定される。すなわち、パラメーターm、cおよびkは、それぞれ、ロボット1が行う動作に応じて都合のよい値に設定される。
【0038】
前述したように、ロボット1には、第2力検出部19が設置されている。検査作業では、ロボット1が押圧部材201を介してカーナビゲーション装置500のボタン501を押圧した際、そのときの押圧力が第2検出値F2として第2力検出部19で検出される。
【0039】
しかしながら、第2力検出部19は、押圧部材201を介して力が伝達されるため、例えば検査作業時の押圧部材201の形状・たわみ等の影響により、第2検出値F2が押圧部材201による実際の押圧力からズレるおそれがある。この場合、第2検出値F2がズレたままの状態でボタン501に対する良否を判断することとなり、判断結果が間違うおそれがある。
【0040】
そこで、ロボットシステム100では、このような不具合を解消するよう構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
【0041】
ロボットシステム100は、ロボット1の第2力検出部19に対する校正を行う校正作業、すなわち、校正方法を実行することができる。図2に示すように、校正方法は、準備工程と、押付工程と、記録工程と、関係付け工程と、を有する。また、校正方法では、第1力検出部400で検出された第1検出値F1を、押圧部材201による実際の押圧力とする。
【0042】
[1] 準備工程
準備工程は、作業台300上に固定して設けられた第1力検出部400と、第2力検出部19が設けられたロボット1と、制御装置200と、を準備する工程である。ここで「準備」とは、ロボットシステム100が校正作業を行うのに際し、ロボットシステム100を動作可能な状態に立ち上げるまでのことを言う。
【0043】
[2] 押付工程
押付工程は、ロボット1が力制御により動作して、第1力検出部400に第2力検出部19を押し付ける工程である。
【0044】
押付工程では、まず、図3に示すように、押圧部材201を第1力検出部400の上方に位置させ、押圧部材201の中心軸O201をZ軸と平行にした平行状態とする。このとき、押圧部材201の先端202は、第1力検出部400に臨んでいる。
【0045】
次いで、図4に示すように、押圧部材201を平行状態のまま下降させて、第1力検出部400に徐々に押し付けていく。この押付動作は、押圧部材201の第1力検出部400への当接が開始されてから、後述する時間tが経過するまで行われる。
【0046】
次いで、図5に示すように、押圧部材201を平行状態のまま上昇させて、例えば図3と同じ位置まで移動させる。
【0047】
前述したように、ロボット1は、第2力検出部19よりも先端側にエンドエフェクター20が設置された状態で用いられる。そして、押付工程では、エンドエフェクター20の押圧部材201を介して第2力検出部19を第1力検出部400に押し付ける。エンドエフェクター20は、検査作業にも用いられる。これにより、押付工程を実際の検査作業に近い状態で行うことができ、よって、校正作業の信頼性が向上する。
【0048】
また、押付工程では、Z軸方向(鉛直方向)、すなわち、第1方向に沿って、第1力検出部400に第2力検出部19を押し付ける。これにより、例えばXY平面と平行に第2力検出部19を第1力検出部400に押し付けた場合に比べて、第1検出値F1および第2検出値F2を安定して取得することができる。
【0049】
なお、押付工程は、本実施形態では鉛直方向に沿って第1力検出部400に第2力検出部19を押し付ける工程となっているが、これに限定されず、例えば、水平方向に沿って第1力検出部400に第2力検出部19を押し付ける工程となっていてもよい。
【0050】
[3] 記録工程
記録工程は、押付工程中の第1検出値F1と第2検出値F2とを記録する工程である。ここで、「記録」とは、例えば、数値等のデーターを記録することのみならず、記憶すること、特に、一時的に、所定時間、または、永久的に記憶することも含む。本実施形態では、制御装置200の記憶部250に記憶するものであるが、記録または記憶される箇所は、これに限定されず、他の箇所であってもよい。また、記録媒体も、メモリー等に限定されず、例えば、磁気記録媒体、光記録媒体等であってもよい。
【0051】
前述した押付工程では、第1力検出部400に第2力検出部19を徐々に押し付けていく。これに伴って、第1力検出部400で検出される第1検出値F1と、第2力検出部19で検出される第2検出値F2も増加していく。
【0052】
図6に示すように、記録工程では、単位時間ごとまたは単位力ごとに、記録するものであり、本実施形態では単位時間ごとに、第1検出値F1と第2検出値F2とを記録する。これにより、複数の第1検出値F1と複数の第2検出値F2とを制御装置200の記憶部250に記録することができ、よって、これらの検出値を次工程の関係付け工程で用いることができる。
【0053】
記録タイミングにより、押圧部材201の第1力検出部400への当接が開始されてから単位時間経過後、すなわち、時間tとなったとき、第1検出値F1として第1検出値F1-1が検出され、第2検出値F2として第2検出値F2-1が検出される。
【0054】
また、時間tから単位時間経過後、すなわち、時間tとなったとき、第1検出値F1として第1検出値F1-2が検出され、第2検出値F2として第2検出値F2-2が検出される。
【0055】
時間tから単位時間経過後、すなわち、時間tとなったとき、第1検出値F1として第1検出値F1-3が検出され、第2検出値F2として第2検出値F2-3が検出される。
【0056】
時間tから単位時間経過後、すなわち、時間tとなったとき、第1検出値F1として第1検出値F1-4が検出され、第2検出値F2として第2検出値F2-4が検出される。
【0057】
時間tから単位時間経過後、すなわち、時間tとなったとき、第1検出値F1として第1検出値F1-5が検出され、第2検出値F2として第2検出値F2-5が検出される。
【0058】
時間tから単位時間経過後、すなわち、時間tとなったとき、第1検出値F1として第1検出値F1-6が検出され、第2検出値F2として第2検出値F2-6が検出される。
【0059】
時間tから単位時間経過後、すなわち、時間tとなったとき、第1検出値F1として第1検出値F1-7が検出され、第2検出値F2として第2検出値F2-7が検出される。
【0060】
時間tから単位時間経過後、すなわち、時間tとなったとき、第1検出値F1として第1検出値F1-8が検出され、第2検出値F2として第2検出値F2-8が検出される。
【0061】
そして、第1検出値F1-1~第1検出値F1-8および第2検出値F2-1~第2検出値F2-8は、制御装置200の記憶部250に記録される。
【0062】
[4] 関係付け工程
関係付け工程は、記録工程で記録された第1検出値F1と第2検出値F2とを関係付ける、すなわち、第2検出値F2を校正する工程である。
【0063】
図7に示すように、関係付け工程では、制御装置200によって、第1検出値F1と第2検出値F2との関係付けとして、回帰直線RLを求めることができる。本実施形態では、例えば、
F2=a×F1 ・・・(B)
という回帰直線RLが求められる。なお、「a」は回帰直線RLの傾きである。
【0064】
そして、検査作業でロボット1がボタン501を押圧して、第2検出値F2として例えば「1」が検出された場合、前記(B)式から、実際にボタン501が受ける押圧力は、「1/a」となることがわかる。この結果に基づいて、ボタン501が、製品としてのカーナビゲーション装置500の保証の範囲か否か判断することができる。
【0065】
このようにロボットシステム100では、検査作業に先行して校正作業を行うことにより、ロボット1の使用状態に応じて、第2力検出部19で検出される第2検出値F2の校正を行うことができる。これにより、第2検出値F2の信頼性が向上し、よって、検査作業での良否判断を正確に行うことができる。
【0066】
また、第1検出値F1と第2検出値F2との関係付けとして、本実施形態では回帰直線RLであったが、これに限定されず、曲線でもよい。
【0067】
また、ロボットシステム100では、例えば、第1力検出部400の検出基準点からオフセットされた制御点での力を第2力検出部19で検出して、この検出値に対して校正してもよい。
【0068】
以上のように、校正方法は、初期校正されており、鉛直方向、すなわち、Z軸方向と一致する第1方向の力を検出する第1力検出部400と、力を検出する第2力検出部19が設けられ、第2力検出部19の検出値に基づいた力制御により作業を行うロボット1と、を準備する準備工程と、ロボット1が、第1力検出部400に対して、第2力検出部19を力制御により押し付ける押付工程と、押付工程中の第1力検出部400の第1検出値F1と押付工程中の第2力検出部19の第2検出値F2とを記録する記録工程と、記録工程で記録された第1検出値F1と第2検出値F2とを関係付ける関係付け工程と、を有する。
【0069】
また、ロボットシステム100は、初期校正されており、第1方向の力を検出する第1力検出部400と、力を検出する第2力検出部19と、第2力検出部19が設けられ、第2力検出部19の検出値に基づいた力制御により作業を行うロボット1と、を備えている。このロボットシステム100は、ロボット1が、第1力検出部400に対して、第2力検出部19を力制御により押し付ける押付工程と、押付工程中の第1力検出部400の第1検出値F1と押付工程中の第2力検出部19の第2検出値F2とを記録する記録工程と、記録工程で記録された第1検出値F1と第2検出値F2とを関係付ける関係付け工程と、を行う。
【0070】
このような発明によれば、前述したように、ロボットシステム100は、ロボット1の使用状態に応じて、第2力検出部19の校正を行うことができる。これにより、第2検出値F2に対して、信頼性を担保することができる。
【0071】
<第2実施形態>
以下、図8を参照して本発明の校正方法およびロボットシステムの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0072】
本実施形態は、記録工程での記録タイミングが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0073】
記録工程では、単位時間ごとまたは単位力ごとに、本実施形態では時間に関わらず単位力ごとに、第1検出値F1と第2検出値F2とを記録する。
【0074】
この場合、図8に示すように、例えば大きさが「1」である第1検出値F1-1が検出されたら、そのときの第2検出値F2-1も検出して、これらの検出値を記録する。
【0075】
次いで、大きさが「2」である第1検出値F1-2が検出されたら、そのときの第2検出値F2-2も検出して、これらの検出値を記録する。
【0076】
次いで、大きさが「3」である第1検出値F1-3が検出されたら、そのときの第2検出値F2-3も検出して、これらの検出値を記録する。
【0077】
以下、大きさが「8」である第1検出値F1-8、第1検出値F1-8が検出されたときの第2検出値F2-8まで同様の記録とすることができる。
【0078】
また、上記とは反対に、例えば大きさが「1」である第2検出値F2-1が検出されたら、そのときの第1検出値F1-1も検出して、これらの検出値を記録してもよい。この場合も、大きさが「8」である第2検出値F2-8、第2検出値F2-8が検出されたときの第1検出値F1-8まで同様の記録とすることができる。
【0079】
このような記録タイミングによっても、複数の第1検出値F1と複数の第2検出値F2とを制御装置200の記憶部250に記録することができ、よって、これらの検出値を次工程の関係付け工程で用いることができる。
【0080】
<第3実施形態>
以下、図9を参照して本発明の校正方法およびロボットシステムの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、記録工程で演算処理を行うこと以外は前記第1実施形態と同様である。
【0081】
図9に示すように、記録工程では、所定時間Δt内に第1検出値F1が複数記録され、複数の第1検出値F1の平均値を第1平均値F1Aとして演算する。これを時間を追って複数回繰り返す。例えば8回繰り返した場合、各第1平均値F1Aをそれぞれ時間順に第1検出値F1-1~第1検出値F1-8として扱う。
【0082】
また、記録工程では、第1検出値F1を記録する同じ時間帯の所定時間Δt内に第2検出値F2が複数記録され、複数の第2検出値F2の平均値を第2平均値F2Aとして演算する。これを時間を追って複数回繰り返す。例えば8回繰り返した場合、各第2平均値F2Aをそれぞれ時間順に第2検出値F2-1~第2検出値F2-8として扱う。
【0083】
そして、関係付け工程では、第1平均値F1Aと第2平均値F2Aとを関係付けたもの、すなわち、第1検出値F1-1~第1検出値F1-8と第2検出値F2-1~第2検出値F2-8とを、前記第1実施形態と同様に、第1検出値F1と第2検出値F2との関係付けとする。これにより、回帰直線RLが得られる。回帰直線RLは、カーナビゲーション装置500が保証の範囲か否かの判断に用いられる。
【0084】
<第4実施形態>
以下、図10を参照して本発明の校正方法およびロボットシステムの第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、記録工程で選別処理を行うこと以外は前記第3実施形態と同様である。
【0085】
図10に示すように、記録工程では、所定時間Δt内に第1検出値F1が複数記録され、複数の第1検出値F1のうち、第1閾値α1の範囲内の第1検出値F1を選別する。なお、第1閾値α1は、所定時間Δt中の中間の時間帯である。第1閾値α1の範囲内には、複数の第1検出値F1があり、これら複数の第1検出値F1の平均値を第1平均値F1Aとして演算する。これを時間を追って複数回繰り返す。例えば8回繰り返した場合、各第1平均値F1Aをそれぞれ時間順に第1検出値F1-1~第1検出値F1-8として扱う。
【0086】
また、記録工程では、所定時間Δt内に第2検出値F2が複数記録され、複数の第2検出値F2のうち、第2閾値α2の範囲内の第2検出値F2を選別する。なお、第2閾値α2は、所定時間Δt中の中間の時間帯であり、少なくとも1部が第1閾値α1と重なっているのが好ましい。第2閾値α2の範囲内には、複数の第2検出値F2があり、これら複数の第2検出値F2の平均値を第2平均値F2Aとして演算する。これを時間を追って複数回繰り返す。例えば8回繰り返した場合、各第2平均値F2Aをそれぞれ時間順に第2検出値F2-1~第2検出値F2-8として扱う。
【0087】
そして、関係付け工程では、記録工程で選別された第1検出値F1と第2検出値F2とを関係付けたもの、すなわち、第1検出値F1-1~第1検出値F1-8と第2検出値F2-1~第2検出値F2-8とを、第1検出値F1と第2検出値F2との関係付けとする。これにより、回帰直線RLが得られる。回帰直線RLは、カーナビゲーション装置500が保証の範囲か否かの判断に用いられる。
【0088】
また、第1閾値α1を設定することにより、第1検出値F1として、信頼性の高い第1検出値F1を安定して演算に用いることができる。
【0089】
また、第2閾値α2を設定することにより、第2検出値F2として、信頼性の高い第2検出値F2を安定して演算に用いることができる。
【0090】
<第5実施形態>
以下、図11を参照して本発明の校正方法およびロボットシステムの第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、記録工程で選別処理を行うこと以外は前記第3実施形態と同様である。
【0091】
図11に示すように、記録工程では、所定時間Δt内に第1検出値F1が複数記録され、複数の第1検出値F1のうち、第1閾値β1の範囲内の第1検出値F1を選別する。なお、第1閾値β1は、所定時間Δt内で第1検出値F1が取り得る大きさと予想される範囲である。第1閾値β1の範囲内には、複数の第1検出値F1があり、これら複数の第1検出値F1の平均値を第1平均値F1Aとして演算する。これを時間を追って複数回繰り返す。例えば8回繰り返した場合、各第1平均値F1Aをそれぞれ時間順に第1検出値F1-1~第1検出値F1-8として扱う。
【0092】
また、記録工程では、所定時間Δt内に第2検出値F2が複数記録され、複数の第2検出値F2のうち、第2閾値β2の範囲内の第2検出値F2を選別する。なお、第2閾値β2は、所定時間Δt内で第2検出値F2が取り得る大きさと予想される範囲である。第2閾値β2の範囲内には、複数の第2検出値F2があり、これら複数の第2検出値F2の平均値を第2平均値F2Aとして演算する。これを時間を追って複数回繰り返す。例えば8回繰り返した場合、各第2平均値F2Aをそれぞれ時間順に第2検出値F2-1~第2検出値F2-8として扱う。
【0093】
そして、関係付け工程では、記録工程で選別された第1検出値F1と第2検出値F2とを関係付けたもの、すなわち、第1検出値F1-1~第1検出値F1-8と第2検出値F2-1~第2検出値F2-8とを、第1検出値F1と第2検出値F2との関係付けとする。これにより、回帰直線RLが得られる。回帰直線RLは、カーナビゲーション装置500が保証の範囲か否かの判断に用いられる。
【0094】
また、第1閾値β1を設定することにより、第1検出値F1として、信頼性の高い第1検出値F1を安定して演算に用いることができる。
【0095】
また、第2閾値β2を設定することにより、第2検出値F2として、信頼性の高い第2検出値F2を安定して演算に用いることができる。
【0096】
<ロボットシステムのハードウェアについて>
図13は、ロボットシステムについてハードウェアを中心として説明するためのブロック図である。
【0097】
図13には、ロボット1とコントローラー61とコンピューター62が接続されたロボットシステム100Aの全体構成が示されている。ロボット1の制御は、コントローラー61にあるプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出して実行されてもよいし、コンピューター62に存在するプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出してコントローラー61を介して実行されてもよい。
【0098】
従って、コントローラー61とコンピューター62とのいずれか一方または両方を「制御装置200」として捉えることができる。
【0099】
<変形例1>
図14は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例1を示すブロック図である。
【0100】
図14には、ロボット1に直接コンピューター63が接続されたロボットシステム100Bの全体構成が示されている。ロボット1の制御は、コンピューター63に存在するプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出して直接実行される。
従って、コンピューター63を「制御装置200」として捉えることができる。
【0101】
<変形例2>
図15は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例2を示すブロック図である。
【0102】
図15には、コントローラー61が内蔵されたロボット1とコンピューター66が接続され、コンピューター66がLAN等のネットワーク65を介してクラウド64に接続されているロボットシステム100Cの全体構成が示されている。ロボット1の制御は、コンピューター66に存在するプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出して実行されてもよいし、クラウド64上に存在するプロセッサーによりコンピューター66を介してメモリーにある指令を読み出して実行されてもよい。なお、クラウド64は、複数あってもよい。
【0103】
従って、コントローラー61とコンピューター66とクラウド64とのいずれか1つ、または、いずれか2つ、または、3つを「制御装置200」として捉えることができる。
【0104】
以上の変形例1~3に示すように、制御装置200、特に第1検出値F1、第2検出値F2を記録し得る記憶部250は、コントローラー61、コンピューター62、コンピューター63、クラウド64およびコンピューター66のうちの少なくとも1つの中に構成されたものとすることができる。
【0105】
以上、本発明の校正方法およびロボットシステムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。ロボットシステムを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0106】
また、本発明の校正方法およびロボットシステムは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…ロボット、61…コントローラー、62…コンピューター、63…コンピューター、64…クラウド、65…ネットワーク、66…コンピューター、10…可動部、101…アーム、11…基台、12…第1アーム、13…第2アーム、14…第3アーム、15…第4アーム、16…第5アーム、17…第6アーム、171…関節、172…関節、173…関節、174…関節、175…関節、176…関節、18…中継ケーブル、19…第2力検出部、20…エンドエフェクター、201…押圧部材、202…先端、21…中継ケーブル、100…ロボットシステム、100A…ロボットシステム、100B…ロボットシステム、100C…ロボットシステム、200…ロボット制御装置(制御装置)、250…記憶部、300…作業台、400…第1力検出部、500…カーナビゲーション装置、501…ボタン、600…作業台、1000…床面、A10…駆動範囲、F1…第1検出値、F1-1…第1検出値、F1-2…第1検出値、F1-3…第1検出値、F1-4…第1検出値、F1-5…第1検出値、F1-6…第1検出値、F1-7…第1検出値、F1-8…第1検出値、F1A…第1平均値、F2…第2検出値、F2-1…第2検出値、F2-2…第2検出値、F2-3…第2検出値、F2-4…第2検出値、F2-5…第2検出値、F2-6…第2検出値、F2-7…第2検出値、F2-8…第2検出値、F2A…第2平均値、O201…中心軸、RL…回帰直線、t…時間、t…時間、t…時間、t…時間、t…時間、t…時間、t…時間、t…時間、Δt…所定時間、α1…第1閾値、α2…第2閾値、β1…第1閾値、β2…第2閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15