(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】印刷装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 3/36 20060101AFI20221101BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20221101BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221101BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20221101BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B41J3/36 T
B41J5/30 B
B41J29/38 202
B41J29/38 204
B41J2/32 Z
B41J2/325 A
(21)【出願番号】P 2018236864
(22)【出願日】2018-12-19
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】橋本 晃男
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-028448(JP,A)
【文献】特開2014-019049(JP,A)
【文献】特開2016-068490(JP,A)
【文献】特開2001-180134(JP,A)
【文献】特開2010-221485(JP,A)
【文献】特開2006-159490(JP,A)
【文献】特開2018-161850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/36
B41J 5/30
B41J 29/38
B41J 2/32
B41J 2/325
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体の印刷面に印刷されている媒体情報を検出する検出部と、
前記印刷部と前記検出部とを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記被印刷媒体に印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得し、
前記検出部で検出された媒体情報に基づいて前記被印刷媒体の種類を判定し、
判定された前記被印刷媒体の種類に応じて前記印刷部を制御して前記印刷データに基づいて前記印刷パターンを印刷させ、
前記印刷パターンを印刷した後に、前記印刷部を制御して、前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記印刷部は、サーマルヘッドを含み、
前記制御部は、前記判定された被印刷媒体の種類に応じて前記サーマルヘッドが前記被印刷媒体に印加する熱エネルギー量を調整する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、さらに、
前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体を切断する切断部と、を備え、
前記制御部は、前記搬送部が前記被印刷媒体の切断対象領域を前記印刷部から前記切断部まで搬送している期間中に、前記印刷部が前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷するように、前記搬送部と前記印刷部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、さらに、
前記被印刷媒体の一部を切断する第2の切断部と、を備え、
前記制御部は、
前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う前に、前記被印刷媒体の第2の切断対象領域が前記第2の切断部に達するまで前記搬送部が前記被印刷媒体を前記印刷部から前記切断部へ向かう第1方向へ搬送するように、前記搬送部を制御し、
前記搬送部が前記第2の切断対象領域を前記第2の切断部まで搬送している期間中に、前記検出部が前記媒体情報を検出するように、前記検出部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置において、
前記検出部は、前記切断部と前記第2の切断部の間に配置されている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う前に、前記被印刷媒体の印刷開始領域が前記印刷部に到達するまで前記搬送部が前記被印刷媒体を前記切断部から前記印刷部へ向かう第2方向へ搬送するように、前記搬送部を制御し、
前記搬送部が前記印刷開始領域を前記印刷部まで搬送している期間中に、前記検出部が前記媒体情報を検出するように、前記検出部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記検出部は、フォトリフレクタを含む
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記制御部は、
判定された前記被印刷媒体の種類に応じて調整係数を取得し、
前記調整係数に基づいて、前記印刷部を制御して前記印刷パターンを印刷させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記被印刷媒体の領域であって前記印刷パターンを印刷した領域と離間した領域に、前記印刷部を制御して、前記媒体情報を印刷させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷部を備える印刷装置の制御方法であって、
前記被印刷媒体の印刷面に印刷されている媒体情報を検出し、
前記被印刷媒体に印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得し、
検出された前記媒体情報に基づいて前記被印刷媒体の種類を判定し、
判定された前記被印刷媒体の種類に応じて前記印刷部を制御して前記印刷データに基づいて前記印刷パターンを印刷させ、
前記印刷パターンを印刷した後に、前記印刷部を制御して前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷させる
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷部を備える印刷装置に、
前記被印刷媒体の印刷面に印刷されている媒体情報を検出し、
前記被印刷媒体に印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得し、
検出された前記媒体情報に基づいて前記被印刷媒体の種類を判定し、
判定された前記被印刷媒体の種類に応じて前記印刷部を制御して前記印刷データに基づいて前記印刷パターンを印刷させ、
前記印刷パターンを印刷した後に、前記印刷部を制御して前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷させる
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、印刷装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粘着層を有する長尺状の被印刷媒体に、文字、図形等を印刷するラベルプリンタが知られている。ラベルプリンタで使用される被印刷媒体には、被印刷媒体の材質、色などによって様々な種類が存在する。被印刷媒体の種類が異なると、適切な印刷設定も異なり得るが、ラベルプリンタが被印刷媒体の種類を識別することは必ずしも容易ではない。
【0003】
このような技術的な課題に関連する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1には、テープ幅よりも広い幅のインクリボンを用いて、インクリボンの、テープとは重ならない領域に、テープの属性情報をコード化したコード画像を記録するテープ印刷装置が記載されている。このテープ印刷装置によれば、インクリボンに記録されたコードを読み取ることで、テープの属性情報を取得することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のテープ印刷装置では、従来よりも幅方向に広い範囲にわたって加熱可能なサーマルヘッドが必要となる。また、従来よりも幅の広いインクリボンを収容した専用のテープカートリッジも必要となってしまう課題があった。
【0006】
また、ラベルプリンタで採用される印刷方式は、インクリボンを用いた熱転写方式に限らない。被印刷媒体が感熱紙の場合には、感熱方式が採用され得る。感熱方式を採用したラベルプリンタには、インクリボンは存在しないため、特許文献1に記載の技術は適用できないという課題があった。
【0007】
以上の課題を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、被印刷媒体に応じた印刷設定で印刷を行うことを可能とする新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る印刷装置は、テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、前記被印刷媒体の印刷面に印刷されている媒体情報を検出する検出部と、前記印刷部と前記検出部とを制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記被印刷媒体に印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得し、前記検出部で検出された媒体情報に基づいて前記被印刷媒体の種類を判定し、判定された前記被印刷媒体の種類に応じて前記印刷部を制御して前記印刷データに基づいて前記印刷パターンを印刷させ、前記印刷パターンを印刷した後に、前記印刷部を制御して、前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷させる。
【0009】
本発明の一態様に係る制御方法は、テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷部を備える印刷装置の制御方法であって、前記被印刷媒体の印刷面に印刷されている媒体情報を検出し、前記被印刷媒体に印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得し、検出された前記媒体情報に基づいて前記被印刷媒体の種類を判定し、判定された前記被印刷媒体の種類に応じて前記印刷部を制御して前記印刷データに基づいて前記印刷パターンを印刷させ、前記印刷パターンを印刷した後に、前記印刷部を制御して前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷させる。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷部を備える印刷装置に、前記被印刷媒体の印刷面に印刷されている媒体情報を検出し、前記被印刷媒体に印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得し、検出された前記媒体情報に基づいて前記被印刷媒体の種類を判定し、判定された前記被印刷媒体の種類に応じて前記印刷部を制御して前記印刷データに基づいて前記印刷パターンを印刷させ、前記印刷パターンを印刷した後に、前記印刷部を制御して前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷させる処理を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記の態様によれば、被印刷媒体に応じた印刷設定で印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る印刷装置1の構成を示した図である。
【
図2】印刷装置1に収納されるテープカートリッジ30の斜視図である。
【
図3】印刷装置1のカートリッジ収容部19の斜視図である。
【
図5】印刷装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】印刷装置1の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】被印刷媒体の種類と媒体情報の関係を格納したテーブルの一例を示した図である。
【
図9】被印刷媒体の種類と調整係数の関係を格納したテーブルの一例を示した図である。
【
図11】媒体情報のさらに別の例を示した図である。
【
図12】被印刷媒体M上の各領域の名称を説明するための図である。
【
図13】印刷装置1が行う印刷処理のフローチャートである。
【
図14】
図13に示す印刷処理の各工程における被印刷媒体の状態を示した図である。
【
図15】第2の実施形態に係る印刷装置が行う別の印刷処理のフローチャートである。
【
図16】
図15に示す印刷処理の各工程における被印刷媒体の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る印刷装置1の構成を示した図である。印刷装置1には、
図1に示すように、キューブ形状の装置筐体2の上面に、蓋3と、複数のボタン(ボタン4、ボタン5、ボタン6、ボタン7、ボタン8)が設けられている。ボタン4は、蓋3の開閉ボタンである。ボタン5からボタン8は、それぞれカットボタン、フィードボタン、無線通信ボタン、電源ボタンである。
【0014】
蓋3は、開閉可能に配置されている。蓋3は、ボタン4が押下されることで開かれて、テープカートリッジを収容するカートリッジ収容部が外部に露出する。蓋3には、蓋3が閉じた状態でもカートリッジ収容部にテープカートリッジが収容されているか否かを目視で確認可能とするために、窓9が形成されている。また、装置筐体2の側面には、排出口2aが形成されている。印刷装置1内で印刷が行われた被印刷媒体は、排出口2aから装置外へ排出される。
【0015】
図2は、印刷装置1に収納されるテープカートリッジ30の斜視図である。
図3は、印刷装置1のカートリッジ収容部19の斜視図である。
図4は、印刷装置1の断面図である。
図2に示すテープカートリッジ30は、
図3に示すカートリッジ収容部19に着脱自在に収納される。
図4には、テープカートリッジ30がカートリッジ収容部19に収納された状態が示されている。
【0016】
テープカートリッジ30は、
図2に示すように、サーマルヘッド被挿入部36及び係合部37が形成された、被印刷媒体MとインクリボンRを収容するカートリッジケース31を有する。カートリッジケース31には、テープコア32とインクリボン供給コア34とインクリボン巻取りコア35が設けられている。
【0017】
被印刷媒体Mは、カートリッジケース31内部のテープコア32にロール状に巻かれている。被印刷媒体Mは、例えば、接着層を有する基材と、接着層を覆うように剥離可能に基材に貼付された剥離紙と、を有するテープである。ただし、被印刷媒体Mは、剥離紙なしのテープであってもよい。熱転写用のインクリボンRは、その先端がインクリボン巻取りコア35に巻きつけられた状態で、カートリッジケース31内部のインクリボン供給コア34にロール状に巻かれている。
【0018】
装置筐体2のカートリッジ収容部19には、
図3に示すように、テープカートリッジ30を所定の位置で支持するための複数のカートリッジ受け部20が設けられている。また、カートリッジ受け部20には、テープカートリッジ30が収容するテープ(被印刷媒体M)の幅を検出するためのテープ幅検出スイッチ24が設けられている。
【0019】
テープ幅検出スイッチ24は、テープカートリッジの形状に基づいて被印刷媒体Mの幅を検出するためのスイッチである。テープ幅検出スイッチ24は、カートリッジ収容部19に複数設けられている。テープ幅の異なるテープカートリッジは、複数のテープ幅検出スイッチ24をそれぞれ異なる組み合わせで押下するように構成されている。これにより、後述する制御回路25(
図5参照)が、押下されたテープ幅検出スイッチ24の組み合わせから、テープカートリッジの種類を特定し、被印刷媒体Mの幅(テープ幅)を検出する。
【0020】
カートリッジ収容部19には、さらに、複数の発熱素子を有し、被印刷媒体Mに印刷を行うサーマルヘッド10と、被印刷媒体Mを搬送するプラテンローラ21と、テープコア係合軸22と、インクリボン巻取り駆動軸23が設けられている。さらに、サーマルヘッド10には、サーミスタ13が埋め込まれている。サーミスタ13は、サーマルヘッド10の温度を測定する。
【0021】
テープカートリッジ30がカートリッジ収容部19に収納された状態では、
図4に示すように、カートリッジケース31に設けられた係合部37がカートリッジ収容部19に設けられたカートリッジ受け部20に支持される。また、サーマルヘッド10がカートリッジケース31に形成されたサーマルヘッド被挿入部36に挿入される。また、テープコア係合軸22には、テープカートリッジ30のテープコア32が係合し、さらに、インクリボン巻取り駆動軸23には、インクリボン巻取りコア35が係合する。
【0022】
図示しない情報処理装置から印刷装置1へ印刷指示が入力されると、被印刷媒体Mは、プラテンローラ21の回転によりテープコア32から繰り出される。この際、インクリボン巻取り駆動軸23がプラテンローラ21に同調して回転することで、被印刷媒体MとともにインクリボンRがインクリボン供給コア34から繰り出される。これにより、被印刷媒体MとインクリボンRは重なった状態で搬送される。そして、サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過する際にインクリボンRがサーマルヘッド10によって加熱されることで、インクが被印刷媒体Mに転写され、印刷が行われる。
【0023】
サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過した使用済みのインクリボンRは、インクリボン巻取りコア35に巻き取られる。一方、サーマルヘッド10とプラテンローラ21の間を通過した印刷済みの被印刷媒体Mは、ハーフカット機構16及びフルカット機構17で切断され、排出口2aから排出される。
【0024】
図5は、印刷装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。印刷装置1は、上述した構成に加えて、
図5に示すように、制御回路25、通信インターフェース26、ROM(Read Only Memory)27、RAM(Random Access Memory)28、フォトセンサ29、ヘッド駆動回路18、搬送用モータ駆動回路11、搬送用モータ12、カッターモータ駆動回路14、カッターモータ15、ハーフカット機構16、フルカット機構17を備える。
【0025】
制御回路25は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの任意の処理回路を含んでいる。制御回路25は、ROM27に記憶されているプログラムをRAM28に展開し実行することで、印刷装置1の各部の動作を制御する。
【0026】
通信インターフェース26は、情報処理装置との間でデータを授受する。通信インターフェース26は、アンテナとRF(Radio Frequency)部とベースバンド部とを含む通信モジュールであり、例えば、Wi-Fi(登録商標)モジュール、Bluetooth(登録商標)モジュール、BLEモジュールである。なお、通信IF26は、無線通信モジュールに限られず、有線通信を行うためのインターフェースであってもよい。
【0027】
ROM27には、被印刷媒体Mに印刷を行う印刷プログラム、印刷プログラムの実行に必要な各種データ(例えば、フォント等)が格納されている。RAM28は、プログラムの実行に用いられるワークメモリである。なお、印刷装置1での処理に用いられるプログラム及びデータを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体には、ROM27、RAM28のような、物理的な(非一時的な)記録媒体が含まれる。
【0028】
ヘッド駆動回路18は、制御回路25の制御下で、印刷データと制御信号に基づいてサーマルヘッド10が有する発熱素子10aへの通電を行う。サーマルヘッド10は、主走査方向に配列された複数の発熱素子10aを有する印刷ヘッドである。サーマルヘッド10は、発熱素子10aでインクリボンを加熱して熱転写により被印刷媒体Mに一ラインずつ印刷を行う。
【0029】
搬送用モータ駆動回路11は、制御回路25の制御下で、搬送用モータ12を駆動する。搬送用モータ12は、例えばステッピングモータであり、プラテンローラ21を回転させる。プラテンローラ21は、搬送用モータ12の動力によって回転し、被印刷媒体Mの長手方向(副走査方向、搬送方向)に被印刷媒体Mを搬送する。なお、搬送用モータ12は、搬送用モータ駆動回路11の制御下で、被印刷媒体Mを繰り出す向きだけではなく、被印刷媒体Mを巻戻す向きにも回転する。
【0030】
カッターモータ駆動回路14は、カッターモータ15を駆動する。フルカット機構17は、カッターモータ15の動力によって動作し、被印刷媒体Mをフルカットする。フルカットとは、被印刷媒体Mの基材を剥離紙とともに被印刷媒体Mの幅方向に沿って切断する動作のことである。ハーフカット機構16は、カッターモータ15の動力によって動作し、被印刷媒体Mをハーフカットする。ハーフカットとは、被印刷媒体Mの一部を、より詳細には、基材のみを、幅方向に沿って切断する動作のことである。カッターモータ駆動回路14は、例えば、ボタン5が押下されるとカッターモータ15を駆動してフルカット機構17に被印刷媒体Mをフルカットさせてもよい。
【0031】
フォトセンサ29は、例えば、フォトリフレクタなどを含み、被印刷媒体Mの印刷面に印刷された情報を検出する。フォトセンサ29は、被印刷媒体の印刷面に光を照射して、反射光を検出する。なお、フォトセンサ29は、サーマルヘッド10よりも排出口2aに近い位置に設けられていればよく、例えば、
図3及び
図4に示すように、フルカット機構17とハーフカット機構16の間に設けられてもよい。
【0032】
図6は、印刷装置1の機能構成を示すブロック図である。印刷装置1は、
図6に示すように、検出部41と、制御部43と、印刷部44を備えている。これらの機能部の各々と印刷装置1のハードウェアの関係は、以下のとおりである。検出部41は、例えば、フォトセンサ29を含んでいる。制御部43は、例えば、制御回路25、ROM27、及び、RAM28を含んでいる。印刷部44は、例えば、サーマルヘッド10を含んでいる。
【0033】
検出部41は、被印刷媒体Mの印刷面に印刷されている媒体情報を検出する。制御部43は、印刷部44と検出部41を制御する。印刷部44は、制御部43の制御下で、テープ状の被印刷媒体Mに印刷を行う。
【0034】
制御部43は、被印刷媒体Mに印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得する。また、制御部43は、検出部41で検出された媒体情報に基づいて被印刷媒体Mの種類を判定する。さらに、制御部43は、判定された被印刷媒体Mの種類に応じて印刷部44を制御して印刷データに基づいて印刷パターンを印刷させ、印刷パターンを印刷させた後に、印刷部44を制御して媒体情報を被印刷媒体Mに印刷させる。これにより、印刷装置1は、被印刷媒体Mの種類に応じた印刷設定で印刷を行うことができるため、被印刷媒体Mによらず印刷品位を維持することができる。
【0035】
図7は、被印刷媒体Mに印刷されている媒体情報の一例を示した図である。
図8は、被印刷媒体Mの種類と媒体情報の関係を格納したテーブルT1を示した図である。
図9は、被印刷媒体Mの種類と調整係数の関係を格納したテーブルT2を示した図である。以下、
図7から
図9を参照しながら、さらに具体的に説明する。
【0036】
検出部41は、
図7に示すように、被印刷媒体Mの先端から所定範囲に印刷されている被印刷媒体Mの種類を示す媒体情報P1を検出する。媒体情報P1は、1つ以上の黒ラインからなるパターンであり、黒ラインの数によって被印刷媒体Mの種類を示している。
【0037】
制御部43は、検出部41で検出された媒体情報P1を解析し、解析結果によって被印刷媒体Mの種類を判定する。ここでは、制御部43は、まず、媒体情報P1から黒ラインの数(ライン数)をカウントする。そして、ライン数が特定されると、制御部43は、印刷装置1に予め格納されている
図8に示すテーブルT1を参照し、ライン数に対応する被印刷媒体Mの種類を判定する。なお、テーブルT1は、例えば、ROM27に格納されている。
【0038】
制御部43は、印刷装置1に予め格納されている
図9に示すテーブルT2を参照し、判定した被印刷媒体Mの種類に対応する調整係数を取得し、取得した調整係数を用いて発熱素子10aの通電時間を調整する。通電時間はサーマルヘッド10の温度によって調整されるため、温度毎の通電時間は予めRAM28などに格納されている。制御部43が取得した調整係数は、例えば、RAM28に格納されている温度毎の通電時間を調整する係数である。即ち、制御部43は、通電時間を調整することによって、被印刷媒体Mの種類に応じてサーマルヘッド10が被印刷媒体M(インクリボンR)に印加する熱エネルギー量を調整する。換言すると、制御部43は、判定された被印刷媒体Mの種類に応じて調整係数を取得し、取得した調整係数に基づいて印刷部44を制御して印刷パターンを印刷させる。なお、テーブルT2は、例えば、ROM27に格納されている。
【0039】
これにより、印刷装置1では、
図9に示すように、ノーマルな被印刷媒体に比べて発色しにくいマグネット付きの被印刷媒体の場合には、ノーマルな被印刷媒体よりも通電時間が長くなり(例えば1.3倍)、ノーマルな被印刷媒体に比べて発色しやすい配線マーカー用被印刷媒体の場合には、ノーマルな被印刷媒体よりも例えば通電時間が短くなる(例えば0.9倍)。
【0040】
従って、印刷部44は、被印刷媒体Mの種類に応じた熱エネルギー量を被印刷媒体M(インクリボンR)に印加することが可能となり、その結果、印刷装置1は、被印刷媒体Mの種類によらず印刷品位を高いレベルに維持することができる。具体的には、例えば、発色の悪いマグネット付きの被印刷媒体で印刷がかすれてしまうといった事象や、発色しやすい配線マーカー用の被印刷媒体では細かな印刷がつぶれてしまうといった事象の発生を抑制することができる。
【0041】
また、印刷装置1は、被印刷媒体Mに印刷された情報から被印刷媒体Mの種類を判定する。このため、テープカートリッジの物理的な構造を変更する必要がなく、印刷装置1は、既存のテープカートリッジをそのまま利用することができる。
【0042】
図10及び
図11は、媒体情報の別の例を示した図である。
図7では、被印刷媒体Mの媒体情報として、1つ以上の黒ラインからなるパターンである媒体情報P1を例示したが、媒体情報は、この例に限らない。例えば、
図10に示す媒体情報P2や、
図11に示す媒体情報P3のように、被印刷媒体Mに印字された印字結果であり、フォトセンサ29によって識別可能な媒体情報が用いられてもよい。
【0043】
媒体情報P2は、1つの黒ラインからなるパターンであり、黒ラインの搬送方向の長さd1によって被印刷媒体Mの種類を示している。また、媒体情報P3は、2つ以上の黒ラインからなるパターンであり、黒ライン間の間隔d2によって被印刷媒体Mの種類を示している。媒体情報P1から媒体情報P3のいずれを用いる場合であっても、フォトセンサ29は、黒と白の識別さえできればよい。このため、フォトリフレクタなどの安価なセンサをフォトセンサ29に用いることができる。
【0044】
印刷装置1は、
図6に示すように、検出部41、制御部43及び印刷部44に加えて、搬送部45と、切断部46と、第2の切断部47を備えている。これらの機能部の各々と印刷装置1のハードウェアの関係は、以下のとおりである。搬送部45は、例えば、プラテンローラ21を含んでいる。切断部46は、例えば、フルカット機構17を含んでいる。第2の切断部47は、例えば、ハーフカット機構16を含んでいる。
【0045】
搬送部45は、制御部43の制御下で、被印刷媒体Mを搬送する。切断部46は、制御部43の制御下で、被印刷媒体Mを切断する。第2の切断部47は、制御部43の制御下で、被印刷媒体Mの一部を切断する。
【0046】
図12は、被印刷媒体M上の各領域の名称を説明するための図である。以下、
図12を参照しながら、印刷装置1の更に望ましい構成について説明する。
【0047】
制御部43は、搬送部45が被印刷媒体Mの切断対象領域を印刷部44から切断部46まで搬送している期間中に、印刷部44が媒体情報P1を被印刷媒体Mに印刷するように、搬送部45及び印刷部44を制御することが望ましい。以下にその理由について説明する。
【0048】
切断対象領域は、ラベル印刷が行われる印刷領域よりも搬送方向の上流側に位置している。なお、切断対象領域とは、被印刷媒体Mの領域であって、フルカット機構17で切断される領域のことである。また、ラベル印刷とは、印刷装置1で作成されるラベル片の本体部分、つまり、剥離紙から剥がされて対象物に貼付される基材に対して行われる印刷のことをいう。そして、ラベル印刷終了後に、印刷装置1は、被印刷媒体Mを切断するために、切断対象領域をフルカット機構17まで搬送する。この搬送期間中に媒体情報P1を印刷することで、媒体情報P1を印刷するために新たな搬送動作を追加する必要がない。このため、制御部43が上記のとおり、搬送部45及び印刷部44を制御することで、ラベル作成時間が従来の印刷装置に比べて極端に長くなることを回避することができる。
【0049】
また、制御部43は、印刷部44が被印刷媒体Mに印刷を行う前に、被印刷媒体Mの第2の切断対象領域が第2の切断部47に達するまで搬送部45が被印刷媒体Mを印刷部44から切断部46へ向かう第1方向(以降、順方向とも記す)へ搬送するように搬送部45を制御してもよい。そして、制御部43は、搬送部45が第2の切断対象領域を第2の切断部47まで搬送している期間中に、検出部41が媒体情報P1を検出するように、検出部41を制御してもよい。さらに、この場合、検出部41は、切断部46と第2の切断部47の間に設けることが望ましい。以下にその理由について説明する。
【0050】
ハーフカット機構16を備える印刷装置1では、被印刷媒体Mの先端付近にハーフカットを行って切れ目を入れておくことで、ラベル片が作成された後に、基材を剥離紙から剥がしやすくすることができる。なお、第2の切断対象領域とは、この切れ目を入れるために、ハーフカット機構16で切断される被印刷媒体Mの領域のことである。ハーフカット機構16はフルカット機構17よりも搬送方向の下流側に位置していることから、ハーフカットを印刷前に行う場合には、印刷装置1は、被印刷媒体Mを第1方向へ搬送することで第2の切断対象領域をハーフカット機構16まで搬送する。この搬送期間中に媒体情報P1を検出することで、媒体情報P1を検出するために新たな搬送動作を追加する必要がない。このため、制御部43が上記のとおり、搬送部45及び検出部41を制御することで、ラベル作成時間が従来の印刷装置に比べて極端に長くなることを回避することができる。
【0051】
また、検出部41を切断部46と第2の切断部47の間に設けることで、上記の搬送期間中に、被印刷媒体Mの先端から第2の切断対象領域の間の領域、つまり、
図12に示すハーフカット余白、に印刷された情報を検出することが可能となる。ハーフカット余白は、ラベル印刷が行われた基材を剥離紙から剥がしたときに、剥離紙と共に捨てられる領域である。このため、ハーフカット余白は、ラベル片完成後には必要とされない媒体情報P1の印刷場所として好適である。
【0052】
また、制御部43は、印刷部44が被印刷媒体Mに印刷を行う前に、被印刷媒体Mの印刷開始領域が印刷部44に到達するまで搬送部45が被印刷媒体Mを切断部46から印刷部44へ向かう第2方向(以降、逆方向とも記す。)へ搬送するように、搬送部45を制御してもよい。そして、制御部43は、搬送部45が印刷開始領域を印刷部44まで搬送している期間中に、検出部41が媒体情報を検出するように、検出部41を制御してもよい。さらに、この場合、検出部41は、切断部46と印刷部44の間に設けることが望ましい。以下にその理由について説明する。
【0053】
被印刷媒体Mの先端付近にハーフカットを行わない場合には、印刷開始前に順方向に搬送することなく印刷開始領域が印刷部44に到達するまで第2方向へ被印刷媒体Mを搬送することができる。なお、印刷開始領域とは、被印刷媒体Mの領域であって、印刷領域の先端部分の領域のことである。検出部41を切断部46と印刷部44の間に設けて、この搬送期間中に媒体情報P1を検出することで、媒体情報P1を検出するために新たな搬送動作を追加する必要がない。このため、制御部43が上記のとおり、搬送部45及び検出部41を制御することで、ラベル作成時間が従来の印刷装置に比べて極端に長くなることを回避することができる。
【0054】
図13は、印刷装置1が行う印刷処理のフローチャートである。
図14は、
図13に示す印刷処理の各工程における被印刷媒体の状態を示した図である。以下、
図13及び
図14を参照しながら、ハーフカットを行う場合における印刷装置1の制御方法について、具体的に説明する。
【0055】
情報処理装置から印刷指示が入力されると、印刷装置1は、印刷プログラムを実行して
図13に示す印刷処理を開始する。なお、
図14(a)は、印刷処理の開始時における被印刷媒体Mの状態を示している。
図14(a)では、被印刷媒体Mの先端は切断部46(フルカット機構17)がある位置Fに位置している。
【0056】
印刷装置1は、印刷処理が開始されると、印刷指示と共に入力された印刷データを取得し(ステップS0)、その後、印刷指示に媒体情報が入力されているか否かを判定する(ステップS1)。なお、印刷データは、被印刷媒体Mに印刷されるパターン(以降、印刷パターンと記す)を表すデータである。そして、媒体情報が入力されている場合(ステップS1:YES)には、印刷装置1は、媒体情報に基づいて調整係数を取得する(ステップS2)。ここでは、例えば、
図8に示すテーブルT1及び
図9に示すテーブルT2を参照することで、調整係数を取得する。一方、媒体情報が入力されていない場合(ステップS1:NO)には、印刷装置1は、ステップS2の処理を省略してステップS3の処理へ進む。
【0057】
ステップS1及びステップS2の処理は、主に、利用者がテープカートリッジ30を購入後、印刷装置1で最初に使用する場合を想定した処理である。テープカートリッジ30を購入後に初めて使用する際は、テープカートリッジ30内の被印刷媒体Mには、媒体情報P1は印刷されていない。利用者が印刷指示に媒体情報を含めることで、ステップS1及びステップS2の処理で被印刷媒体Mの種類を判定することができる。このため、後述するように、被印刷媒体Mに媒体情報P1が印刷されている場合と同様に、被印刷媒体Mの種類に応じた印刷設定で印刷を行うことが可能となる。なお、以降では、媒体情報P1が被印刷媒体Mに印刷されている場合を例に説明する。
【0058】
その後、印刷装置1は、順方向への搬送と媒体情報の検出を行う(ステップS3)。ここでは、制御部43は、搬送部45と検出部41を制御して、第2の切断対象領域が第2の切断部47(ハーフカット機構16)に達するまで搬送部45が被印刷媒体Mを順方向へ搬送し、その間、検出部41が媒体情報P1を被印刷媒体Mから検出する。なお、
図14(b)は、ステップS3終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
図14(b)では、被印刷媒体Mの第2の切断対象領域は第2の切断部47(ハーフカット機構16)がある位置Hに位置している。
【0059】
次に、印刷装置1は、被印刷媒体Mの種類を判定する(ステップS4)。ここでは、制御部43は、ステップS3において検出部41が検出した情報に基づいて被印刷媒体Mの種類を判定する。具体的には、制御部43は、検出した媒体情報P1に含まれる黒ライン数を計数し、さらに
図8に示すテーブルT1を参照することで、被印刷媒体Mの種類を判定する。
【0060】
さらに、印刷装置1は、ハーフカットを行う(ステップS5)。ここでは、制御部43が第2の切断部47を制御することで、第2の切断部47が被印刷媒体Mの第2の切断対象領域に切れ目を入れる。なお、
図14(c)は、ステップS5終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
【0061】
なお、ステップS4とステップS5の処理順序は、この例に限らない。ステップS5のハーフカットが後述するステップS6の逆搬送よりも前に行われればよい。ステップS5の処理の後にステップS4の処理が行われてもよく、ステップS4とステップS5は時間的に並列に行われてもよい。
【0062】
ハーフカットが終了すると、印刷装置1は、逆方向への搬送を行う(ステップS6)。ここでは、制御部43は、搬送部45を制御して、搬送部45は、印刷開始領域が印刷部44(サーマルヘッド10)に達するまで被印刷媒体Mを逆方向へ搬送する。なお、
図14(d)は、ステップS6終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
図14(d)では、被印刷媒体Mの印刷開始領域は印刷部44(サーマルヘッド10)がある位置Pに位置している。
【0063】
印刷装置1は、種類判定が成功している場合には(ステップS7:YES)、調整係数を取得する(ステップS8)。ここでは、制御部43は、
図9に示すテーブルT2を参照することで、ステップS4で判定された被印刷媒体Mの種類に対応する調整係数を取得する。一方、印刷装置1は、種類判定が失敗した場合には(ステップS7:NO)、ステップS8の処理を省略する。
【0064】
その後、印刷装置1は、熱エネルギー印加量を決定する(ステップS9)。ここでは、制御部43は、例えば、基準となる通電時間(以降、基準通電時間と記す。)に調整係数を乗じることで、被印刷媒体Mの種類に応じた調整済みの通電時間を算出する。ステップS8で調整係数が取得されている場合には、ステップS8で取得した調整係数を基準通電時間に乗じる。また、ステップS8で調整係数が取得されていない場合であって、ステップS2で調整係数を取得している場合には、ステップS2で取得した調整係数を基準通電時間に乗じる。また、ステップS2でもステップS8でも調整係数が取得されていない場合には、調整係数のデフォルト値(例えば、1.0)を基準通電時間に乗じてもよい。
【0065】
なお、ステップS4、ステップS7、ステップS8及びステップS9の4つの処理は、この順番で、且つ、ステップS10の処理の前に行われればよく、例えば、ステップS5の処理の前にこれらの処理がすべて行われてもよい。
【0066】
熱エネルギー印加量が決定されると、印刷装置1は、順方向への搬送とラベル印刷を行う(ステップS10)。ここでは、制御部43は、搬送部45と印刷部44を制御して、印刷領域の末端が印刷部44に達するまで搬送部45が被印刷媒体Mを順方向へ搬送し、その間、印刷部44が、被印刷媒体MにステップS9で算出した通電時間に基づいて印刷を行う。なお、
図14(e)は、ステップS10終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
【0067】
ラベル印刷が終了すると、印刷装置1は、順方向への搬送と媒体情報印刷を行う(ステップS11)。ここでは、制御部43は、搬送部45と印刷部44を制御して、搬送部45が切断対象領域を印刷部44から切断部46まで搬送し、その間、印刷部44が、被印刷媒体Mに媒体情報を印刷する。なお、
図14(f)は、ステップS11終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
図14(f)では、切断対象領域は切断部46がある位置Fに位置している。
【0068】
媒体情報印刷が終了すると、印刷装置1は、フルカットを行い(ステップS12)、
図13に示す印刷処理を終了する。ここでは、制御部43が切断部46を制御することで、切断部46が被印刷媒体Mの切断対象領域を切断し、ラベル片を作成する。なお、
図14(g)は、ステップS12終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
【0069】
以上のように、印刷装置1は、
図13に示す印刷処理を行うことで、被印刷媒体Mの種類に応じた、熱エネルギー量を被印刷媒体Mに印加することができる。このため、印刷品位を被印刷媒体Mによらず高く維持することができる。また、被印刷媒体Mに媒体情報P1を印刷するために、また、被印刷媒体Mから媒体情報P1を検出するために、従来と異なる搬送動作を行う必要がない。このため、印刷速度を従来と同程度に維持することができる。さらに、ハーフカット余白に媒体情報P1が印刷されることから、媒体情報P1のためだけに被印刷媒体Mを消費することがない。このため、被印刷媒体Mの利用効率を従来と同程度に維持することができる。従って、印刷装置1によれば、印刷速度や媒体の利用効率を維持しながら、印刷品位を改善することができる。
【0070】
[第2の実施形態]
図15は、第2の実施形態に係る印刷装置が行う別の印刷処理のフローチャートである。
図16は、
図15に示す印刷処理の各工程における被印刷媒体の状態を示した図である。以下、
図15及び
図16を参照しながら、ハーフカットを行わない場合における印刷装置の制御方法について、具体的に説明する。なお、第2の実施形態に係る印刷装置(以降、単に印刷装置と記す。)は、フォトセンサ29がフルカット機構17とサーマルヘッド10の間に配置されている点が、印刷装置1とは異なる。
【0071】
情報処理装置から印刷指示が入力されると、印刷装置は、印刷プログラムを実行して
図15に示す印刷処理を開始する。なお、
図16(a)は、印刷処理の開始時における被印刷媒体Mの状態を示している。
図16(a)では、被印刷媒体Mの先端は切断部46(フルカット機構17)がある位置Fに位置している。
【0072】
印刷装置は、印刷処理が開始されると、ステップS20からステップS22の処理を行う。ステップS20からステップS22の処理は、
図13のステップS0からステップS2の処理と同様である。
【0073】
その後、印刷装置は、逆方向への搬送と媒体情報の検出を行う(ステップS23)。ここでは、制御部43は、搬送部45と検出部41を制御して、印刷開始領域が印刷部44(サーマルヘッド10)に達するまで搬送部45が被印刷媒体Mを逆方向へ搬送し、その間、検出部41が媒体情報P1を被印刷媒体Mから検出する。なお、
図16(b)は、ステップS23終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
図16(b)では、被印刷媒体Mの印刷開始領域は印刷部44(サーマルヘッド10)がある位置Pに位置している。
【0074】
次に、印刷装置は、被印刷媒体Mの種類を判定する(ステップS24)。そして、印刷装置は、種類判定に成功した場合には(ステップS25:YES)、調整係数を取得してから(ステップS26)、熱エネルギー印加量を決定する(ステップS27)。また、印刷装置は、種類判定に失敗した場合には(ステップS25:NO)、調整係数を取得することなく熱エネルギー印加量を決定する(ステップS27)。なお、ステップS24からステップS27の処理は、
図13のステップS4、ステップS7からステップS9の処理と同様である。
【0075】
熱エネルギー印加量が決定されると、印刷装置は、順方向への搬送とラベル印刷を行う(ステップS28)。この処理は、
図13のステップS10の処理と同様である。なお、
図16(c)は、ステップS28終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
【0076】
ラベル印刷が終了すると、印刷装置は、順方向への搬送と媒体情報印刷を行う(ステップS29)。この処理は、
図13のステップS11の処理と同様である。なお、
図16(d)は、ステップS29終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
図16(d)では、切断対象領域は切断部46がある位置Fに位置している。
【0077】
媒体情報印刷が終了すると、印刷装置は、フルカットを行い(ステップS30)、
図15に示す印刷処理を終了する。この処理は、
図15のステップS12の処理と同様である。なお、
図16(e)は、ステップS30終了時における被印刷媒体Mの状態を示している。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る印刷装置は、
図15に示す印刷処理を行うことで、印刷装置1と同様に、被印刷媒体Mの種類に応じた、熱エネルギー量を被印刷媒体Mに印加することができる。このため、印刷品位を被印刷媒体Mによらず高く維持することができる。また、被印刷媒体Mに媒体情報P1を印刷するために、また、被印刷媒体Mから媒体情報P1を検出するために、従来と異なる搬送動作を行う必要がない。このため、印刷速度を従来と同程度に維持することができる。従って、印刷装置1によれば、印刷速度を維持しながら、印刷品位を改善することができる。
【0079】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。印刷装置、制御方法、及び、プログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0080】
上述した実施形態では、印刷装置が印刷指示を情報処理装置から受信して印刷を行う例を示したが、印刷装置は、印刷装置の入力部から入力された印刷指示に基づいて印刷を行ってもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、印刷装置がインクリボンを用いた熱転写方式で印刷を行う例を示したが、印刷装置の印刷方式は、感熱方式であってもよい。
【0082】
また、上述した実施形態では、通電時間を調整することで被印刷媒体Mに印加する熱エネルギー量を調整する例を示したが、熱エネルギー量の調整方法は、通電時間を調整する方法に限らない。例えば、サーマルヘッド10へ印加する電圧を調整することで熱エネルギー量を調整してもよい。
【0083】
また、上述した実施形態では、被印刷媒体Mの先端がフルカット機構17の位置にある状態から印刷処理を開始する例を示したが、フルカット機構17の位置に被印刷媒体Mの先端があるとは限らない。このため、フォトセンサ29を被印刷媒体Mの先端を検出するために利用してもよい。その場合、被印刷媒体Mの先端を検出した地点を基準に搬送量を制御すればよい。これにより、フルカット機構17の位置に被印刷媒体Mの先端がない状態から印刷処理を開始した場合であっても、被印刷媒体Mの種類を正しく判定することができる。なお、被印刷媒体Mの先端を検出するためのセンサには、フォトセンサ29とは別のセンサを用いてもよい。
【0084】
また、第2の実施形態では、ハーフカットを行わない例を示したが、第2の実施形態に係る印刷装置は、ハーフカットを行ってもよい。その場合、ハーフカット後に行われる逆搬送処理において媒体情報を検出することができる。
【0085】
また、第1の実施形態では、ハーフカットを行う例を示したが、第1の実施形態に係る印刷装置1は、ハーフカットを行わなくてもよい。その場合、ラベル印刷前に行う順方向への搬送は、媒体情報を検出したときに終了し、その後、逆方向への搬送が開始されてもよい。
【0086】
また、第1の実施形態では、媒体情報をハーフカット余白に印刷する例を示したが、媒体情報の印刷位置はこの例に限らない。制御部43は、印刷部44を制御して、被印刷媒体M上の領域であって印刷パターンを印刷した領域と離間した領域に媒体情報を印刷させればよい。このようにすれば、印刷パターンと媒体情報がつながってしまうことで媒体情報が正しく検出することができない、といった事態を回避することができる。
【0087】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体の印刷面に印刷されている媒体情報を検出する検出部と、
前記印刷部と前記検出部とを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記被印刷媒体に印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得し、
前記検出部で検出された媒体情報に基づいて前記被印刷媒体の種類を判定し、
判定された前記被印刷媒体の種類に応じて前記印刷部を制御して前記印刷データに基づいて前記印刷パターンを印刷させ、
前記印刷パターンを印刷した後に、前記印刷部を制御して前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷させる
ことを特徴とする印刷装置。
[付記2]
付記1に記載の印刷装置において、
前記印刷部は、サーマルヘッドを含み、
前記制御部は、前記判定された被印刷媒体の種類に応じて前記サーマルヘッドが前記被印刷媒体に印加する熱エネルギー量を調整する
ことを特徴とする印刷装置。
[付記3]
付記1又は付記2に記載の印刷装置において、さらに、
前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体を切断する切断部と、を備え、
前記制御部は、前記搬送部が前記被印刷媒体の切断対象領域を前記印刷部から前記切断部まで搬送している期間中に、前記印刷部が前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷するように、前記搬送部と前記印刷部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
[付記4]
付記3に記載の印刷装置において、さらに、
前記被印刷媒体の一部を切断する第2の切断部と、を備え、
前記制御部は、
前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う前に、前記被印刷媒体の第2の切断対象領域が前記第2の切断部に達するまで前記搬送部が前記被印刷媒体を前記印刷部から前記切断部へ向かう第1方向へ搬送するように、前記搬送部を制御し、
前記搬送部が前記第2の切断対象領域を前記第2の切断部まで搬送している期間中に、前記検出部が前記媒体情報を検出するように、前記検出部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
[付記5]
付記4に記載の印刷装置において、
前記検出部は、前記切断部と前記第2の切断部の間に配置されている
ことを特徴とする印刷装置。
[付記6]
付記3に記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記印刷部が前記被印刷媒体に印刷を行う前に、前記被印刷媒体の印刷開始領域が前記印刷部に到達するまで前記搬送部が前記被印刷媒体を前記切断部から前記印刷部へ向かう第2方向へ搬送するように、前記搬送部を制御し、
前記搬送部が前記印刷開始領域を前記印刷部まで搬送している期間中に、前記検出部が前記媒体情報を検出するように、前記検出部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
[付記7]
付記1乃至付記6のいずれか1つに記載の印刷装置において、
前記検出部は、フォトリフレクタを含む
ことを特徴とする印刷装置。
[付記8]
付記1に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記判定された前記被印刷媒体の種類に応じて調整係数を取得し、
前記調整係数に基づいて、前記印刷部を制御して前記印刷パターンを印刷させる
ことを特徴とする印刷装置。
[付記9]
付記1に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記被印刷媒体の領域であって前記印刷パターンを印刷した領域と離間した領域に、前記印刷部を制御して、前記媒体情報を印刷させる
ことを特徴とする印刷装置。
[付記10]
テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷部を備える印刷装置の制御方法であって、
前記被印刷媒体の印刷面に印刷されている媒体情報を検出し、
前記被印刷媒体に印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得し、
検出された前記媒体情報に基づいて前記被印刷媒体の種類を判定し、
判定された前記被印刷媒体の種類に応じて前記印刷部を制御して前記印刷データに基づいて前記印刷パターンを印刷させ、
前記印刷パターンを印刷した後に、前記印刷部を制御して前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷させる
ことを特徴とする制御方法。
[付記11]
テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷部を備える印刷装置に、
前記被印刷媒体の印刷面に印刷されている媒体情報を検出し、
前記被印刷媒体に印刷する印刷パターンに対応する印刷データを取得し、
検出された前記媒体情報に基づいて前記被印刷媒体の種類を判定し、
判定された前記被印刷媒体の種類に応じて前記印刷部を制御して前記印刷データに基づいて前記印刷パターンを印刷させ、
前記印刷パターンを印刷した後に、前記印刷部を制御して前記媒体情報を前記被印刷媒体に印刷させる
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0088】
1 印刷装置
2 装置筐体
2a 排出口
3 蓋
4~8 ボタン
9 窓
10 サーマルヘッド
10a 発熱素子
11 搬送用モータ駆動回路
12 搬送用モータ
13 サーミスタ
14 カッターモータ駆動回路
15 カッターモータ
16 ハーフカット機構
17 フルカット機構
18 ヘッド駆動回路
19 カートリッジ収納部
20 カートリッジ受け部
21 プラテンローラ
22 テープコア係合軸
23 インクリボン巻取り駆動軸
24 テープ幅検出スイッチ
25 制御回路
26 通信IF
27 ROM
28 RAM
29 フォトセンサ
30 テープカートリッジ
31 カートリッジケース
32 テープコア
34 インクリボン供給コア
35 インクリボン巻取りコア
36 サーマルヘッド被挿入部
37 係合部
41 検出部
43 制御部
44 印刷部
45 搬送部
46 切断部
47 第2の切断部
M 被印刷媒体
R インクリボン
T1、T2 テーブル
P1~P3 媒体情報