(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】洗米装置
(51)【国際特許分類】
A47J 43/24 20060101AFI20221101BHJP
B02B 1/04 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A47J43/24
B02B1/04 101
(21)【出願番号】P 2018240061
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 沙千
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-020011(JP,A)
【文献】特開2010-064005(JP,A)
【文献】特開2000-157414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/24
B02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯米タンク(4)と繰出バルブ(13)と洗米タンク(5)を備え、前記貯米タンク(4)を前記繰出バルブ(13)下方の初期位置と前方取出位置にスライド可能に設け、前記前方取出位置における前記貯米タンク(4)の下方に残米回収容器(97)を設けてなる洗米装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗米タンク内で米の供給を受けて洗米し、洗米された米を洗米タンクの下部に設けた投下弁を開いて下方に待機する容器に投下する構成の洗米装置に関し、特に貯米タンクの残米排出構成に関する。
【背景技術】
【0002】
貯米ホッパ内の残米を回転する繰出バルブの駆動により洗米タンクを通過して排出させる構成がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、洗米タンクを通過するため、この洗米タンク内が洗米用の水が乾かないで湿気たままで残米排出すると、残米が洗米タンク壁面に付着して残る恐れがある。また、洗米タンク下方には投下弁を構成するものであるから直下方に排出し得ずに四方に飛散して所定容器内に収容できない欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、第1の本発明は、貯米タンク(4)と繰出バルブ(13)と洗米タンク(5)を備え、前記貯米タンク(4)を前記繰出バルブ(13)下方の初期位置と前方取出位置にスライド可能に設け、前記前方取出位置における前記貯米タンク(4)の下方に残米回収容器(97)を設けてなる洗米装置である。
本発明に関連する第1の発明は、貯米タンク4と繰出バルブ13と洗米タンク5を備え、洗米タンク5を着脱可能に設け、取り外された洗米タンク5位置に繰出バルブ13の排出口16にのぞませて残米回収容器92を取付可能としたことを特徴とする洗米装置などである。
【0006】
本発明に関連する第2の発明は、本発明に関連する第1の発明において、残米排出時の繰出バルブ13の駆動時間を排出量が残米回収容器92容量未満となるように設定してなる洗米装置などである。
【0007】
本発明に関連する第3の発明は、貯米タンク4と繰出バルブ13と洗米タンク5を備え、貯米タンク4を繰出バルブ13下方の初期位置と前方取出位置にスライド可能に設け、前方取出位置における貯米タンク4の下方に残米回収容器97を設けた洗米装置などである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、前方取出位置にある貯米タンク4内の残米を、洗米タンク5を経由することなく、下方にのぞませた残米回収容器97に容易に回収できる。
本発明に関連する第1の発明によると、洗米タンク5を経由せず繰出バルブ13からの残米を容易に残米回収容器92に回収できる。
【0009】
本発明に関連する第2の発明によると、本発明に関連する第1の発明の効果に加え、繰出バルブ13による駆動時間は、該駆動による残米の排出量が残米回収容器92容量未満となるように設定されるものであるから、残米回収容器92から残米が溢出する恐れがない。
【0010】
本発明に関連する第3の発明によると、前方取出位置にある貯米タンク4内の残米を、洗米タンク5を経由することなく、下方にのぞませた残米回収容器97に容易に回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】一部断面した貯米タンクと洗米タンクの正面図
【
図10】(A)作用状態を示す側面図、(B)作用状態を示す平面図
【
図15】(A)貯米タンクと残米回収袋の正断面図、(B)残米回収袋の平面図。
【
図16】(A)貯米タンクスライドを備えた洗米装置の側面図、(B)その一部の正面図
【
図17】(A)貯米タンクスライドを備えた洗米装置の別例を示す正面図、(B)その一部の斜視図
【
図18】(A)エア噴出手段を備えた貯米タンク平面図、(B)その側断面図、(C)噴出パイプの拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
大量の米飯を供給する食堂等において使用される洗米炊飯装置の正面図を
図1に、その側面図を
図2に、また側面断面図を
図3に示す。
【0014】
コ型又は角筒材を縦横に枠組みする支持部材1は、下部にキャスタを備えた長方形状の台枠1aと、所定幅及び所定高さの左右支柱1b,1bと、左右支柱1b,1b間に支架した複数の横桟1c,1c…により構成されている。この支持部材1には後述貯米タンクや洗米タンクなどを支持する構成である。
【0015】
上記支持部材1には各機材を装着すべく平板状の仕切り部材3を設け、その上部に貯米タンク4を設け、この貯米タンク4の下方には洗米タンク5を設け、洗米タンク5の下方には、引き出し式の架台9を備え洗米を受ける容器6を配置できる構成である。
【0016】
貯米タンク4は、断面方形状の上部の主タンク4aと、下部の漏斗状ホッパ部4bとからなり、このホッパ部4bの下部に位置して計量ドラムケース10を配置している。該計量ドラムケース10内には、円筒状で切欠き部11aを形成したドラム部11と、前後の側壁部12a,12bとからなる計量ドラム13を配置し、該前後の側壁部12a,12bを貫通する横軸14によって回転自在に該計量ドラムケース10に支持している。またこの横軸14を直接連動するよう計量ドラムケース10の後面側にモータ15を装着し、貯米タンク4から切欠き部11aを介して計量ドラム13に一定量ずつ流下した米が充填され、回転によって切欠き部11a位置が下方に反転して計量ドラムケース10に形成した排出口16に至ると計量ドラム13から流下排出されるもので、計量ドラム13は繰出バルブ一例であり、計量ドラムケース10、モータ15等によって繰出バルブ駆動手段を構成している。
【0017】
前記仕切り部材3には排出口16に対応する開口17を備え、上記計量ドラム13を所定回転数だけ回転させることで、所定量の米を貯米タンク4から洗米タンク5に繰り出すよう構成されている。又、その繰り出し回数をカウントする回転センサ(図示せず)の検出によって所定量を供給できる構成としている。
【0018】
前記上部の主タンク4aと漏斗状ホッパ4bとは、一体的に構成され、上部の主タンク4a・漏斗状ホッパ4bを取り外した後、ドラムケース10は、仕切り部材3から外すことができるよう構成される。即ち、
図8に示すように、後方側は仕切り部材3に形成したフック状部18にドラムケース10の係合凸状部19を係脱可能に係合部20を設け、前方側にはこれら仕切り部材3とドラムケース10との間に螺子で着脱固定自在の着脱係合ステー21を設け、螺子22を緩めてステー21を螺子部中心に回動することにより、ドラムケース10との係合を解く構成である。ドラムケース10はその下端縁が仕切り部材3の長方形状の開口17に嵌合すべく形成されるが、上記の係合ステー21の係合を外してその側を上方にやや持ち上げて上記下端縁の仕切り部材3からの嵌合を解き、前方から手前方向斜めに引き抜くことによって後方側の下端縁の嵌合を解きつつ係合部20の係合から解放できる。
【0019】
前記貯米タンク4及び計量部は、外方をカバー部材23で覆う構成で、左右側壁及び後側壁は適宜前記仕切り部材3等に固定して設けられ、前側壁23aは例えば正面視右側部を支点として開閉可能な扉形態に構成される。従って、前記貯米タンク2やドラムケース10の点検着脱はこの前側壁23aを解放した状態で行える。なお、24は上方から着脱自在に施蓋する方形の覆板である。
【0020】
55は前記電動モータ15と連繋して排出口16を開閉動するシャッタで、モータ15の回転をリンク機構56,57を介してシャッタ支軸58部に連結しドラム開口部が排出口16に一致するときシャッタ55開状態となるよう連動構成している。このため、常時はシャッタ55は閉じ姿勢にあり、洗米タンク3における洗米途中での拡散水の飛散を防いで計量ドラム13内の水の浸入を防止している(
図9)。
【0021】
図9は計量ドラム13部の断面図を示し、漏斗状の下部ホッパ4bとドラムケース10との間に米を傾斜案内するガスケット26a,26bを斜設し、計量ドラム13外周とドラムケース10内周との間隔を米の浸入によってもこれを圧砕しない程度の隙間t(例えば約1mm)を有する構成とし、さらに、この隙間tに上部側から米が浸入しても、該浸入米が外部に退避できるように、上記ガスケットのうち、計量ドラム13回転上手側のガスケット26a支持構成を、ドラムケース10延長部10aに対するボルト27及びナット28による固定とするが、さらにナット29を当該延長部10aとガスケット26a保持金具との間に介在する。もってこのナット29による周辺部から米が退避しうる空間が形成でき、不測に米が計量ドラム13とドラムケース10との間隔に浸入しても計量ドラム13の回転に伴い容易に脱出できる。
【0022】
前記計量ドラム13はモータ15によって一定方向イに回転、停止を繰り返すが、計量ドラム13の停止位置は
図9の実線にて示す位置としている。即ち、漏斗状ホッパ4bの側壁に加振手段(図例では後記空気供給用のポンプ66としている)を回転後方側ガスケット26bの存在側近傍の傾斜壁に装着して内部の米流動の促進を図る構成とし、併せて計量ドラム13はその開口端縁が当該加振側ガスケット26bの回転後位にて停止し、他方の開口端縁は非加振側ガスケット26aの前位にて停止するようになして、上記加振手段66の振動によって入り込もうとする米を計量ドラム13をもって遮蔽する一方、非加振側では自然に計量ドラム13内に米を送り込むことにより供給量の精度を安定できる。
【0023】
図3に示すように、仕切り部材3に適宜に固定され前記ドラムケース10から供給される米を案内する受け筒部31を備え、この受け筒部31の下部開口を洗米タンク5にのぞませている。洗米タンク5は、円筒状の胴部とホッパ状部を持つ構成でありホッパ状部の下方にジャケット部32を接続し、ホッパ状部とジャケット部32との境界部に米粒を漏下させない程度の開口を持つ網状体からなるフィルタ33を設けている。
【0024】
洗米タンク5の中心部には鉛直方向の回転軸34を設け、この回転軸34には棒状体を逆L型に折り曲げ成形した複数の攪拌棒35,35…を、これらの上側端部を軸34に溶接等によって取り付ける。回転軸34は洗米モータ36によりベベルギヤ機構37を介して回転され、回転によってタンク内の米と水とを撹拌すべく構成する。
【0025】
上記回転軸34は中空軸であり、内側の軸38は外側の中空軸34の内部に上下摺動自在に遊嵌されていて、下方に延出するこの軸38の下端に着脱自在に円錐形状の投下弁39を設ける。該軸38の上端を投下弁駆動用モータ40で駆動するカム、投下アーム等からなる連動機構41により上下動させて、投下弁39の開閉制御がなされる構成である。投下弁39が下動してフィルタ33下縁やジャケット部32との密着状態から解放して弁開状態となり、洗米タンク5内の米は下方に待機する容器6中に落下するよう構成する。
【0026】
上記投下弁39は、上記の軸38に下方側から嵌合し着脱自在に装着するものである。
【0027】
前記洗米タンク5は、その上部フランジ部5aを仕切り部材3の下面に沿わせ、この仕切り部材3との間に設ける連結具90,90、例えば所謂パッチン錠形態によって着脱可能に構成されている。
【0028】
洗米タンク5の正面側において、上部の円筒状部からこれに続く円錐状部に亘って開口した点検窓43を覆う点検蓋42を設けており、左右の一側と上記円錐状部との間にヒンジ44を設け、他方には固定具45、好ましくは所謂パッチン錠形態の固着具をもって当該点検蓋42は施蓋状態に維持される。従って、ヒンジ44の開閉支持軸芯ハは、上記円錐状部に沿う傾斜方向となって、開蓋状態では不測に施蓋状に自然復帰せず、常時開蓋姿勢を維持して、点検作業に支障を来たさない。
【0029】
洗米タンク5への水の供給は水道蛇口に連通する主配水管46、上側給水弁47及び2連の可撓性の上給水管48,48、洗米タンク5の天井部の上部給水口49,49を経由する上側給水ルートと、上記主配水管46から分岐して下側給水弁50、配水管51、下部給水口52からジャケット部32を経由する下側給水ルートの2系統で行われる。なお各給水ルートには流量センサを備えている。
【0030】
即ち、前記ドラムケース10近傍で仕切り部材3をベースにして、主配水管46に通じる2本の上給水管48,48を配設すると共に、仕切り部材3を貫通状に設ける配水管51には下給水管53を接続している。
【0031】
洗米タンク3の下部後方には排水箱60が設けられる。排水口61を有した排水箱60は、上端が洗米タンク3の上部側面に開口する開口部62aに接続したオーバーフロー管62の下端部と、一端部が前記ジャケット部32に連通する2本のジャケット排水管63a,63bの他端部とが接続されている。これらジャケット排水管63a,63bからの排水は排水弁64の開閉で行われ、水位弁65で洗米タンク5内の水位を下げながら所定水量に調整する。
【0032】
常時、排水箱60は排水弁64及び水位弁65で閉鎖されているが、洗米タンク5内の水を排水する場合には、ジャケット部32のフィルタ33から、ジャケット排水管63a,63b、排水弁64及び/または水位弁65、排水箱60及び排水口61を経て排水される。排水弁64及び水位弁65は適宜の開閉出力によって開閉する。また、洗米タンク3内上部には洗米タンク5内の水量を検出する電気接点付きフロートセンサ(図示せず)を備えている。
【0033】
前記洗米タンク5への水の供給は、洗米タンク5の天井部の上部給水口48を経由する上部給水ルートと、下部給水口51,下給水管53からジャケット部32を経由する下部給水ルートの2系統で行われる構成とするが、下部給水ルートの下給水管52に並列して、ポンプ66に連通して空気を噴出する空気噴出管67を配置し、下部給水ルートの水と並列して空気を併せてジャケット部32内に噴出する構成としており、下部給水管52、空気噴出管67は、それぞれ
図10(b)において、ジャケット部32の中心より偏芯した位置に設けられ、空気と水が混合された旋回流が生じやすくしている。
【0034】
さらに、洗米タンク5での洗米作業時には、洗米タンク5内の回転軸34に設けられている大小の攪拌棒35,35…の回転方向と、下部給水ルートからの水噴出方向及び空気噴出管67からの空気噴出方向を互いに逆方向となるように構成している。
【0035】
即ち、洗米作業時には、攪拌棒35,35…を、
図10(b)に示すように、反時計方向に回転させ、下部給水ルートからの水及び空気噴出管67の空気の噴出方向を時計方向に回転するように噴出させる。すると、洗米タンク5内の特に底部近傍において、米は攪拌棒35,35…による撹拌と共に、空気の噴出により気泡が生じて気泡洗米状態となって、高い洗米効果を得ることができる。
【0036】
図11において、糠抜き工程イ(T1)、研米・気泡洗米工程ロ(T2~T4)、荒ゆすぎ工程ハ(T5~T7)、及び仕上げゆすぎ工程ニ(T8~T12)の順に洗米処理される。糠抜き工程イは、排水弁64・水位弁65共に開いた状態のまま上側給水弁46によって給水しながら洗米モータ20を駆動状態に置くもので(区間T1)、水をたれ流しながらの攪拌棒35,35…による撹拌を行なうものである。研米・気泡洗米工程ロは、上下の給水を停止したまま、湿潤状態の米を洗米モータ36の駆動によって撹拌する(区間T2,T4)ものである。上記気泡洗米の工程(区間T3)をこの研米工程の途中に組み込んでいる。荒ゆすぎ工程ハは、上側給水弁47の開動作によるたれ流しによる撹拌状態(区間T5)の後、排水弁64・水位弁65共に閉じて上・下側給水弁47,50によって給水しながらポンプ66駆動し空気噴出管67から空気を噴出する上記気泡洗米状態(区間T6)とする。区間T6の後、排水弁64・水位弁65共に開いて洗米モータ36のみ駆動の研米処理を行なう(区間T7)。
【0037】
最後に仕上げ工程ニは、排水弁64・水位弁65共に閉じて下側給水弁50から給水しながらポンプ66駆動する気泡洗米状態(区間T8)とし、この気泡洗米状態を洗米タンク5が満水となってフロートセンサ(図示せず)がオンするまで継続し、満水となると一旦ポンプ66を停止した洗米に切り換える(T9)ようになし、もって洗米モータ36を停止して洗米を終了する。なお、区間T11は、上側給水弁47を開いて給水する処理を施し、タンク壁面に付着残留する米を洗い流す。後この上側給水を停止して所定時間(区間T12)経過後洗米工程を終了する。
【0038】
図12には、操作パネル(操作表示装置)70を示している。
【0039】
操作パネル70には、工程表示部72、予約スイッチ73、設定スイッチ群74、スタートスイッチ75、ヘルプスイッチ76等が配置され、下方には液晶表示画面77を備えている。上記工程表示部72には米の計量、洗米及び浸し(浸漬)からなる洗米タンク側工程、及び容器準備、浸漬、洗米完了の容器側工程を夫々表記し、現在どの工程を実行中であるかを各工程表示部毎に設けたLED78,78…を点灯して識別できるようにし、正常な運転状態では緑色、異常時に赤色の2色に発光するようにして、運転状態を容易に認識できるようにしている。
【0040】
上記設定スイッチ群74は、上下左右に「UP(+)」「DOWN(-)」及び「送り」の各スイッチを配設してなり、詳細な設定方法は省略するが、主な洗米量設定、水加減調整、浸漬時間設定等を行なえる構成である。また、上記洗米タンク側工程の表記部近傍には投下スイッチ68、および容器側工程の表記部近傍には洗浄スイッチ69を配設している。このうち投下スイッチ68は、前記投下弁駆動モータ40を起動して前記投下弁39を下降させる構成である。オペレータは投下弁39やジャケット部32の分解によって清掃メンテを行うことができる。洗浄スイッチ69は、洗米タンク5が空の状態で内部洗浄する際にオンするスイッチである。
【0041】
次いで洗米タンク5の下方に構成する架台9へ容器6を載置する構成について説明する。架台9の左右側は、支持部材1の下部フレーム1dの内側に構成した図外ガイドレールによって前後に引出しまたは収納自在に構成される。架台9に載せる容器6を検知して洗米投下指令信号を許可する容器検知手段83を架台9の奥側であって横桟1cの略中央部に構成している(
図1,
図2)。
【0042】
引き出された架台9に容器6を乗せて押し込むと、アクチュエータ88が容器6の後面に接当して回動させ、容器検知手段83の「スイッチ部材をオン状態とする(
図2)。そして操作パネル70の各操作に従って洗米条件や浸漬条件の設定を行ない、スタートスイッチ75をオンすると、運転開始される。即ち、
図13に示すステップ1でスタートスイッチ75を押すと、ステップ2で貯米タンク4の米を計量ドラムで計量し、洗米タンク5に設定量の米を供給し、ステップ3で洗米する。
【0043】
ステップ3の洗米工程は、水をたれ流しながら米を攪拌する糠抜き工程、一旦給水した後水切りし米を湿潤状態で攪拌する研米工程、所定水位で米を攪拌する荒ゆすぎ工程、水をタンクよりオーバーフローしながら攪拌する仕上げゆすぎ工程からなる。荒ゆすぎ工程及び仕上げゆすぎ工程は米を水中で撹拌する狭義の洗米工程を意味する。
【0044】
上記ステップ3の洗米工程の次は、ステップ4の水加減処理工程に進む。このステップ4では洗米タンク3内の米の量、米の質、気温、水温等に見合った水量をマイクロコンピュータが計算して、洗米タンク5に給水し、洗米タンク5の満水後に、水位弁65を算出された時間分「開」して水加減をする。
【0045】
ステップ6では、洗米タンク5内の洗米済の米とステップ4の水加減の計量された水が、投下弁39の開閉により容器6に投下される。この投下弁39の開信号出力は、ステップ4の水加減が終わり、容器検知手段83のスイッチ部材がオンのとき(ステップ5)、立ち上がる構成である。
【0046】
そして、前記の水加減処理工程(ステップ4)において水位弁65が「開」から「閉」に切り替わって水加減処理が完了すると同時に、コントローラからの出力により、洗米モータ36が駆動し始めて攪拌棒35を回転させると共に、ポンプ66が駆動し始めて空気噴出管67を介してジャケット部32内に空気を噴出する。従って、攪拌棒35の回転及びジャケット部32からの空気の噴出で水が洗米タンク5内で対流して米が攪拌され、更に水加減水中で気泡により米が拡散される。容器検出手段83による容器6の検出で投下弁39の開信号出力により投下工程が開始されると、洗米モータ36及びポンプ66が停止して攪拌棒35の回転及びジャケット部32からの空気の噴出が停止する。よって、攪拌棒35の回転及びジャケット部32からの空気の噴出は、投下弁39を開く直前になされ、また洗米タンク5内へ水加減処理による所定量の水が供給されてから投下弁39が開くまでの間になされる。洗米タンク5下部のジャケット部32から空気が噴出されるので、気泡が水中で上方へ向かって移動し、米を浮き上がらせることができると共に、米の投下口(排出口)となるジャケット部32に米がまとまって滞留することを適確に防止し得る。
【0047】
投下開始から終了までは
図14のタイムチャートのように、投下信号出力に伴い、上下の給水を停止し、水位弁65・排水弁64を閉じた状態で洗米モータ36を駆動する。所定短時間経過後、投下弁駆動モータ40を駆動すると投下弁39が開き投下が開始される。その後洗米モータ36をオフしてしばらくの間で出力信号により投下弁39を閉じると投下が完了する。引き続き、洗浄工程に入るが、先ず上給水状態として水を溜め、所定時間経過で水位弁65・排水弁64を開くと同時に下給水を開始して洗浄終了となす。ところで、自動炊飯モードに設定されていれば、投下工程が終了すると、容器(炊飯釜)6の下部に備えるガス台に自動着火され、容器(炊飯釜)6内で自動的に炊飯を開始する。
【0048】
次いで、貯米タンク4の残米を取り出す手順について説明する。事前準備として、洗米タンク5を連結具90,90を操作して仕切り部材3から切り離す。このとき、投下弁39を軸38から取り外し、ジャケット部32と排水箱60等は接続パイプ類から切り離されて洗米タンク5と共に取り外される。そして、
図15に示すように、仕切り部材3の下方のフック91,91を利用して残米回収容器としての残米回収袋92を装着する。残米回収袋92は、計量ドラムケース10の排出口16下方にのぞむ大きさであれば足りるが、実施例では、洗米タンク5の取り外し後も残る攪拌棒35,35…や軸38を覆うことができる大きさに設けている。残米回収袋92の上部2か所にハトメ92a,92aを備え、該ハトメ92a,92aを上記フック91,91に引っ掛けて支持する構成であるが、ハトメ92a,92a間の間隔はフック91,91間隔よりも広く設定され、ハトメ92a,92aをフック91,91に引っ掛けると袋上部に円形開口を形成できるようになっている(
図19(B))。なお、円形開口を保つ強度が不足するときは開口周囲に一対の板バネ材を組み込むとよい。
【0049】
上記の事前準備を終えて操作パネル70に備えられた残米スイッチ93を操作すると、モータ15がONして回転し、計量ドラム13内に残る米と貯米タンク4に残る米を排出し、残米回収袋92に回収される。
【0050】
残米回収を終了する頃を見計らって再度残米スイッチ93を操作すると、計量ドラム13の回転は停止する。この後フック91,91から残米を回収した残米回収袋92を取り外して適宜に後処理を行う。残米回収袋92の容量を超える場合には、残米回収袋92を交換し再度残米スイッチ93操作を繰り返し行うとよい。
【0051】
上記の残米回収構成によると、洗米タンク5を取り外しておき、貯米タンク4内に残留する米を取り出すものであるから、洗米タンク5を通過して回収する場合に比較して、確実に残米回収することができる。
【0052】
なお、上記の実施例では、残米スイッチ93の操作から再操作までの間、計量ドラム13を回転させる構成としたが、以下のように構成すると残米回収袋92からの残米溢出を防止できる。すなわち、残米スイッチ93を操作してモータ15に回転出力することで計量ドラム13を回転開始させるが、モータ15の駆動運転時間を制御して、所定時間後になるとモータ15に停止出力することで残米の排出量が予め設定でき、残米排出時の計量ドラム13の駆動時間をその排出量が残米回収袋92容量未満となるように設定することで溢出を防止できる。
【0053】
図16は貯米タンク4の残米回収構成の別例を示すものである。貯米タンク4は、左右の支持脚94,94を介して断面L型のベースフレーム95,95に支持されている。そしてこのベースプレート95,95は、仕切り部材3の左右側壁部に載せる構成であり、この左右側壁部をレール部材として機能させることによって、ベースプレート95,95及び貯米タンク4を前後スライド可能に構成している。このとき貯米タンク4は、前記計量ドラムケース10に対して非連結の状態としてあり、さらに漏斗状ホッパ部4bの下端部には後方側から挿入して開閉スライド自在のシャッタ96を備えている。このシャッタ96をスライド操作してホッパ部4bの開口を遮蔽することにより貯米タンク4のスライド移動によって計量ドラムケース10と分離しても残米は排出できない構成である。
【0054】
前側壁23aである扉を開いて貯米タンク5は計量ドラムケース10の上方の初期位置から前方にスライド(ホ)するが、この前方スライド状態において残米取出し位置となし、ベースプレート95,95間には漏斗状ホッパ部4bの開口下方にのぞむ残米回収容器97を設置できる。残米回収容器97の簡単な構成例としては、ベースプレート95,95に架け渡すように適宜底形状の容器とする(
図16(B))。
【0055】
図17は回収容器97支持の改良構成を示すもので、残米回収容器97を受ける支持台98を備え、この支持台98をベースプレート95,95を利用して固定する。支持台98には下面に左右のガイド部98a,98aを備え、支持台98をベースプレート95,95間に架け渡し状態で前後位置決めスライドする際に左右に大きくずれないようにガイドする役目を持たせている。支持台98にはロードセル99,99…を組み込み、回収容器97重量を検知できるよう構成し、回収容器97重量が予め設定した許容重量を超えるとブザー等で警告するよう構成し、回収容器97のオーバーフロー防止を図っている。さらに、支持台98には、開口部98bを形成しており、下面の前記ガイド部98a,98aを利用してフック100,100を設け、残米回収袋101を吊り下げ支持できる構成としている。このように構成すると、回収容器97を用いずとも、あるいは回収容器97が満杯となった時には残米回収袋101で残米回収することができる。
【0056】
前記いずれの例の残米回収構成においても、残米回収時に貯米タンク4の加振手段66を駆動するよう構成することで残米排出効果を向上できる。なお、
図16,
図17による残米回収構成においては、計量ドラム13の停止位置は切欠き部11aが下向く状態に構成する。すなわち、残米回収のため貯米タンク4は初期位置では計量ドラムケース10の上方にあって、残米を計量ドラム13に供給可能であるが、残米取出位置にスライドすると計量ドラムケース10から離れて位置して、直接貯米タンク4の排出残米を回収するもので、計量ドラム13の回転によらないこととなるため、計量ドラム13内に残留する米は取出し難く、よって切欠き部11aを下向きに停止するよう構成するものである。
【0057】
図18に基づいて、計量排出および残米排出時に排出効果を促すことができるエア噴出手段102の構成について説明する。貯米タンク4の漏斗状ホッパ部4bの異物除去網4cの位置よりも下位において、先端がL型に折り曲げられ、該先端孔103a及び下向く端部側には複数の噴出孔103b,103b…を形成した噴出パイプ103を設け、図外圧縮空気源からの圧縮空気を導入することにより、計量ドラムケース10内の計量ドラム13上面への米の堆積を防止し下方への排出を促進するものである。
【符号の説明】
【0058】
4 貯米タンク
5 洗米タンク
13 計量ドラム(繰出バルブ)
16 排出口
92 残米回収袋(残米回収容器)
97 残米回収容器