(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/175 503
(21)【出願番号】P 2018242245
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】横尾 鮎美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和彦
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-173281(JP,A)
【文献】特開2011-183689(JP,A)
【文献】特開平09-193414(JP,A)
【文献】特開平10-138506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、
前記液体を収容する液体収容部から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な液体供
給流路と、
前記液体供給流路内を加圧する加圧部と、
前記液体供給流路に設けられ、通電時に前記液体供給流路を開放し、非通電時に前記液
体供給流路を閉鎖する電磁バルブと、
を備え、
前記加圧部は、空気を用いて前記液体供給流路内を加圧すると共に、前記圧力変化に応
じて変位可能な変位部を有し、
前記電磁バルブは、
前記変位部の変位により、開閉状態が強制的に切り替えられること
を特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記加圧部内の圧力が所定の圧力を下回った場合に、前記変位部の変位により、開放状
態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられることを特徴とする請求項
1
に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記加圧部内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、前記変位部の変位により、開放状
態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられることを特徴とする請求項
1
に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記加圧部内を大気開放可能な大気開放バルブをさらに備え、
前記加圧部内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、前記変位部の変位により、前記大
気開放バルブが閉状態から開状態に切り替えられることを特徴とする請求項
1~請求項
3
のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、
前記液体を収容する液体収容部から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な液体供
給流路と、
前記液体供給流路内を加圧する加圧部と、
前記液体供給流路に設けられ、通電時に前記液体供給流路を開放し、非通電時に前記液
体供給流路を閉鎖する電磁バルブと、
を備え、
前記液体供給流路は、前記加圧部により加圧される前記液体供給流路内の圧力変化に応
じて変位可能な変位部を有し、
前記電磁バルブは、前記変位部の変位により
、開閉状態が強制的に切り替えられること
を特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
前記液体供給流路内の圧力が所定の圧力を下回った場合に、前記変位部の変位により、
開放状態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられることを特徴とする請
求項
5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体供給流路内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、前記変位部の変位により、
開放状態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられることを特徴とする請
求項
5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
空気を用いて前記液体供給流路内を加圧する前記加圧部内を大気開放可能な大気開放バ
ルブをさらに備え、
前記液体供給流路内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、前記変位部の変位により、
前記大気開放バルブが閉状態から開状態に切り替えられることを特徴とする請求項
5~請
求項
7のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記電磁バルブに通電するための電力供給回路をさらに備え、
前記電力供給回路は、該電力供給回路の接続および切断を切り替えるスイッチを有し、
前記変位部が前記スイッチを移動させて前記電力供給回路を切断することにより、開放
状態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられることを特徴とする請求項
1~請求項
8のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記変位部が前記電磁バルブの弁体を移動させることにより、開放状態にある前記電磁
バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられることを特徴とする請求項
1~請求項
8のうち
何れか一項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンターなどの液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体吐出ヘッドの一例であるプリントヘッドから液体の一例であるインクを吹き付けてプリントする液体吐出装置の一例であるプリント装置がある。プリント装置は、インクの供給を制御する供給制御手段を備える。供給制御手段は、液体供給流路の一例である供給管路に設けられる電磁バルブの一例である電磁弁を開くことにより、インクカートリッジに封入されて加圧されたインクをプリントヘッドに供給していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、供給制御手段から制御信号が正しく出力されない場合、電磁弁は、正しく開閉されない。特に電磁弁が正しく閉じられない場合は、加圧されたインクが供給され続け、プリントヘッドから多量のインクが漏れてしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、前記液体を収容する液体収容部から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な液体供給流路と、前記液体供給流路内を加圧する加圧部と、前記液体供給流路に設けられ、通電時に前記液体供給流路を開放し、非通電時に前記液体供給流路を閉鎖する電磁バルブと、を備え、前記電磁バルブは、前記加圧部による圧力変化に応じて開閉状態が強制的に切り替えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】加圧部内の圧力が供給圧力未満である場合の液体供給機構の模式図。
【
図3】加圧部内の圧力が供給圧力以上である場合の液体供給機構の模式図。
【
図4】加圧部内の圧力が過剰圧力以上である場合の液体供給機構の模式図。
【
図5】加圧部内の圧力が限界圧力である場合の液体供給機構の模式図。
【
図7】液体供給流路内の圧力が供給圧力未満である場合の液体供給機構の模式図。
【
図8】液体供給流路内の圧力が供給圧力以上である場合の液体供給機構の模式図。
【
図9】液体供給流路内の圧力が過剰圧力以上である場合の液体供給機構の模式図。
【
図10】液体供給流路内の圧力が限界圧力である場合の液体供給機構の模式図。
【
図11】変更例の電磁バルブの開放状態を示す模式図。
【
図12】変更例の電磁バルブの閉鎖状態を示す模式図。
【
図13】変更例の電磁バルブの閉鎖状態を示す模式図。
【
図14】変更例の電磁バルブの開放状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、液体吐出装置の一実施形態を、図面に従って説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0008】
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12を備える。液体吐出装置11は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッド13と、液体を収容する液体収容部14から液体吐出ヘッド13に液体を供給する液体供給機構15と、を備える。液体吐出装置11は、液体収容部14が着脱可能に装着される装着部16と、搬送される媒体17を支持する支持部18と、を備えてもよい。液体吐出装置11は、例えばコンピューター及びメモリーを含む処理回路等から構成される制御部19を備える。制御部19は、メモリーに記憶されたプログラムに従って、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する。
【0009】
液体吐出ヘッド13には、ノズル面20に開口する複数のノズル21が形成されている。液体吐出ヘッド13は、支持部18に支持される媒体17に対してノズル21から液体を吐出し、媒体17に印刷する。液体吐出ヘッド13は、移動しながら液体を吐出して印刷するシリアルタイプとしてもよい。液体吐出ヘッド13は、媒体17の幅方向に長尺に設けられ、搬送される媒体17に対して液体を吐出して印刷するラインタイプとしてもよい。液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド13が吐出する液体の種類に対応するように、複数の装着部16と、複数の液体供給機構15と、を備えてもよい。本実施形態では、液体吐出装置11が1つの液体収容部14が装着される1つの装着部16と、1つの液体供給機構15と、を備える場合について説明する。
【0010】
液体供給機構15は、液体収容部14から液体吐出ヘッド13に液体を供給可能な液体供給流路23と、液体供給流路23内を加圧する加圧部24と、液体供給流路23に設けられる電磁バルブ25と、を備える。液体供給流路23には、液体を貯留する貯留部26と、液体吐出ヘッド13に供給する液体の圧力を調整する圧力調整弁27と、を備えてもよい。貯留部26は、液体供給流路23に複数設けてもよい。液体供給流路23に複数の貯留部26を設ける場合は、液体供給流路23に1つの貯留部26を設ける場合に比べ、1つ1つの貯留部26の大きさを小さくできる。
【0011】
貯留部26は、容積可変の空間である貯留室29に液体を貯留する。貯留部26は、貯留室29に貯留される液体の圧力を受ける受圧部30と、受圧部30を検出するための検出部31と、貯留室29の容積を小さくする方向に受圧部30を押す供給用ばね32と、を備える。貯留部26を複数備える場合は、供給用ばね32の強さが貯留部26毎に異なってもよい。貯留部26を複数備える場合は、複数の貯留部26のうち1つの貯留部26に検出部31を設けてもよい。
【0012】
液体収容部14は、液体を収容する収容袋34と、収容袋34から液体を導出する導出部35と、収容袋34を覆うケース36と、を備える。ケース36内は、密閉された空気室37とされている。収容袋34は、空気室37内に収容されている。液体収容部14が装着部16に装着されると、導出部35に液体供給流路23の上流端が接続され、液体収容部14内の液体を液体吐出ヘッド13へ供給可能となる。
【0013】
加圧部24は、空気室37に接続可能な空気流路39と、空気流路39から分岐する分岐流路40と、空気流路39を介して空気室37に空気を送る送気ポンプ41と、分岐流路40に設けられる大気開放バルブ42と、を備える。加圧部24は、変位部の一例である第1変位部43により壁面の一部が構成される第1圧力室44と、変位部の一例である第2変位部45により壁面の一部が構成される第2圧力室46と、を備える。
【0014】
第1圧力室44と第2圧力室46は、空気流路39もしくは分岐流路40の一部を構成する。第1圧力室44と第2圧力室46を分岐流路40に設ける場合、第1圧力室44と第2圧力室46は、空気流路39と大気開放バルブ42との間に設けられる。第1変位部43と第2変位部45は、例えばダイヤフラムにより形成されて可撓性を有する。第1変位部43と第2変位部45は、第1圧力室44もしくは第2圧力室46の圧力に応じて変形し、部分的に位置が変わる。
【0015】
送気ポンプ41は、空気流路39の上流端に設けられる。空気流路39の下流端は、装着部16に設けられる。液体収容部14が装着部16に装着されると、空気流路39の下流端が空気室37に接続される。加圧部24は、送気ポンプ41を駆動して空気室37内を加圧し、収容袋34内の液体を収容袋34の外側から加圧する。これにより、収容袋34内と連通する液体供給流路23内の液体の圧力が上がる。すなわち、加圧部24は、空気を用いて液体供給流路23内を加圧する。
【0016】
送気ポンプ41を駆動すると、空気流路39、空気流路39と大気開放バルブ42との間の分岐流路40、空気室37、及び圧力調整弁27よりも上流の液体供給流路23内の圧力が上昇する。以下の説明では、送気ポンプ41の駆動により圧力が上昇する空気流路39及び分岐流路40内をまとめて加圧部24内という。加圧部24内には、第1圧力室44及び第2圧力室46が含まれる。第1変位部43及び第2変位部45は、加圧部24内の圧力変化に応じて変位可能である。大気開放バルブ42は、加圧部24内を大気開放可能に設けられる。
【0017】
液体吐出装置11は、第1変位部43と第2変位部45の変位により電磁バルブ25と大気開放バルブ42の開閉状態を強制的に切り替える開放機構48と、開放機構48に電力を供給する電力供給部49と、を備える。開放機構48は、電磁バルブ25及び大気開放バルブ42に通電するための電力供給回路50を備える。電力供給部49は、液体吐出装置11の外部に設けられる電源と電力供給回路50とを接続する回路としてもよいし、蓄えた電力を供給する電池としてもよい。
【0018】
開放機構48は、第1変位部43の変位に伴って移動する第1移動部材51と、第1圧力室44の容積を小さくする方向に第1移動部材51を押す第1開放用ばね52と、を備える。開放機構48は、第2変位部45の変位に伴って移動する第2移動部材61と、第2圧力室46の容積を小さくする方向に第2移動部材61を押す第2開放用ばね62と、を備える。
【0019】
電力供給回路50は、スイッチの一例である第1スイッチ54と、スイッチの一例である第2スイッチ64と、を有する。第1スイッチ54と第2スイッチ64は、電力供給回路50の接続および切断を切り替える。電力供給回路50には、電力供給部49と、電磁バルブ25が有する第1ソレノイド55と、大気開放バルブ42が有する第2ソレノイド65と、が接続されている。
【0020】
図2に示すように、第1スイッチ54は、単極単投形のスイッチである。第2スイッチ64は、第1接点67と、第2接点68と、を有する単極双投形のスイッチである。第1ソレノイド55と第1スイッチ54は、第1接点67に繋がる回路に設けられる。第2ソレノイド65は、第2接点68に繋がる回路に設けられる。
【0021】
本実施形態の電磁バルブ25と大気開放バルブ42は、構成が同じである。そのため、以下の説明では、電磁バルブ25について説明し、大気開放バルブ42において共通する構成については同一符号を付すことで重複した説明を省略する。
【0022】
電磁バルブ25は、略円板状の弁体71と、弁体71を押す押付部材72及び弁用ばね73と、弁体71を収容する第1弁ケース74a~第3弁ケース74cと、を備える。第1弁ケース74aと第2弁ケース74bは、弁体71の縁を挟むようにして弁体71を支持する。第1弁ケース74aと弁体71との間には、弁室75が形成される。電磁バルブ25は、押付部材72を引き寄せて電磁バルブ25を開放する第1ソレノイド55を備える。第1弁ケース74aには、弁室75より上流に位置する流入流路76と、弁室75より下流に位置する流出流路77と、が形成される。
【0023】
電磁バルブ25が有する弁室75、流入流路76、及び流出流路77は、液体供給流路23の一部を構成する。大気開放バルブ42が有する弁室75、流入流路76、及び流出流路77は、分岐流路40の一部を構成する。
【0024】
弁体71は、弾性変形可能な材料で形成される。弁体71の中央部分には、円環状の凸部71aが形成されている。凸部71aの直径は、弁室75内に形成される流出流路77の開口の直径よりも大きい。弁室75内に形成される流出流路77の開口の周囲は、閉鎖状態の電磁バルブ25において弁体71の凸部71aが接触する弁座78とされている。弁用ばね73は、押付部材72を介して弁体71を押し、凸部71aを弁座78に押しつけて流出流路77を閉じる。
【0025】
電磁バルブ25の開閉は、第1ソレノイド55が切り替える。電磁バルブ25は、通電時に液体供給流路23を開放し、非通電時に液体供給流路23を閉鎖する。すなわち、電力が供給される第1ソレノイド55は、弁用ばね73が押す力に抗して押付部材72を引き寄せる。弁体71は、加圧供給される弁室75内の液体の圧力により弁座78から離れるように変形し、弁室75と流出流路77とを連通させる。これにより電磁バルブ25が開放状態になる。第1ソレノイド55への電力の供給が停止されると、弁体71は、弁用ばね73に押されて弁座78と接触する。これにより電磁バルブ25が閉鎖状態になる。
【0026】
本実施形態の作用について説明する。
図2に示すように、液体供給流路23に液体収容部14を接続したとき、加圧部24内の圧力は、大気圧と略等しい。この状態では、第1圧力室44は、第1移動部材51及び第1開放用ばね52に押されて容積が小さい状態になっている。第1スイッチ54は、オフ状態になり、電力供給回路50を切断する。第2圧力室46は、第2移動部材61及び第2開放用ばね62に押されて容積が小さい状態になっている。第2スイッチ64は、第1接点67と接触する。
【0027】
第1スイッチ54は、オフされているため、第1ソレノイド55には電気が流れない。第2スイッチ64は、第1接点67に接触し、第2接点68には接触していないため、第2ソレノイド65には電気が流れない。そのため、電磁バルブ25は、液体供給流路23を閉鎖する閉鎖状態になっている。大気開放バルブ42は、加圧部24内を大気に対して閉じた空間とする閉状態になっている。
【0028】
図3に示すように、送気ポンプ41を駆動すると、加圧部24内の圧力が上昇する。第1変位部43は、第1圧力室44の容積を大きくするように変位する。第2変位部45は、第2圧力室46の容積を大きくするように変位する。制御部19は、液体吐出ヘッド13が液体を吐出して媒体17に印刷する印刷動作や、液体吐出ヘッド13をメンテナンスするメンテナンス動作に合わせて送気ポンプ41を駆動する。
【0029】
加圧部24内の圧力が所定の圧力になると、第1変位部43に押される第1移動部材51が、第1スイッチ54を押してオンにする。第1スイッチ54は、電力供給回路50を接続する。第2スイッチ64は、第1接点67に接触している。そのため、電力供給部49から第1ソレノイド55に電力が供給され、電磁バルブ25が強制的に開放状態になる。このとき、大気開放バルブ42は閉状態になっている。
【0030】
図4に示すように、加圧部24内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、第2変位部45の変位により、開放状態にある電磁バルブ25が強制的に閉鎖状態に切り替えられる。本実施形態における所定の圧力とは、第1スイッチ54がオンになる供給圧力以上の圧力であり、第2スイッチ64が第1接点67から離れる過剰圧力未満の圧力である。加圧部24内の圧力が所定の圧力を上回るとは、加圧部24内の圧力が過剰圧力以上になることである。
【0031】
第2スイッチ64が第1接点67から離れると、第2スイッチ64は、電力供給回路50を切断する。これにより、第1ソレノイド55及び第2ソレノイド65には、電気が流れない。電磁バルブ25は、弁体71が弁用ばね73に押されて閉鎖状態になる。大気開放バルブ42は、閉状態になっている。
【0032】
図5に示すように、加圧部24内の圧力がさらに上昇し、限界圧力になると、第2スイッチ64が第2接点68に接触する。これにより電力供給部49から第2ソレノイド65に電力が供給され、大気開放バルブ42が開状態になる。開状態の大気開放バルブ42は、加圧部24内の空気を外部へ逃がし、加圧部24内の圧力を下げる。第1ソレノイド55には電力が供給されないため、電磁バルブ25は、閉鎖状態になっている。
【0033】
限界圧力は、過剰圧力より高い圧力である。すなわち、限界圧力は、所定の圧力より高い圧力である。したがって、加圧部24内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、第2変位部45の変位により、大気開放バルブ42が閉状態から開状態に切り替えられる。
【0034】
図4に示すように、加圧部24内の圧力が低下すると、第1圧力室44及び第2圧力室46の容積が小さくなる。第2移動部材61は、第2開放用ばね62が押す力により移動する。加圧部24内の圧力が限界圧力より小さくなると、第2スイッチ64は、第2接点68から離れる。第2ソレノイド65に電力が供給されなくなると、大気開放バルブ42が閉状態になる。
【0035】
液体吐出ヘッド13もしくは液体供給機構15から液体が漏れる液漏れが生じると、漏れた分の液体が液体収容部14から供給される。収容袋34は、供給した液体の分だけ容積が小さくなる。制御部19は、印刷動作やメンテナンス動作に合わせて送気ポンプ41を駆動するため、液漏れが生じると加圧部24内の圧力が低下する。
【0036】
図2に示すように、加圧部24内の圧力が所定の圧力を下回った場合に、第1変位部43の変位により、開放状態にある電磁バルブ25が強制的に閉鎖状態に切り替えられる。すなわち、電磁バルブ25は、加圧部24による圧力変化に応じて開閉状態が強制的に切り替えられる。換言すると、電磁バルブ25の開閉状態は、第1変位部43の変位により強制的に切り替えられる。
【0037】
具体的には、加圧部24内の圧力が所定の圧力を下回って供給圧力未満になると、第1移動部材51は、第1開放用ばね52に押されて移動し、第1スイッチ54をオフする。第1ソレノイド55に電力が供給されなくなるため、電磁バルブ25は閉鎖状態になる。このように、液漏れが生じた場合には、第1変位部43が第1スイッチ54を移動させて電力供給回路50を切断することにより、開放状態にある電磁バルブ25が強制的に閉鎖状態に切り替えられる。
【0038】
本実施形態の効果について説明する。
(1)電磁バルブ25は、加圧部24による圧力変化に応じて開閉状態が強制的に切り替えられる。そのため、液体吐出ヘッド13などから液体が漏れて圧力変化が生じた場合に電磁バルブ25を強制的に閉じることができ、多量の液体が漏れる虞を低減できる。
【0039】
(2)電磁バルブ25は、加圧部24が有する第1変位部43及び第2変位部45の変位により、開閉状態が強制的に切り替えられる。したがって、加圧部24による圧力変化により電磁バルブ25を速やかに開閉できる。
【0040】
(3)液体が漏れると、液体供給流路23内の圧力が低下すると共に、液体供給流路23内を加圧する加圧部24内の圧力が低下する。その点、開放状態にある電磁バルブ25は、加圧部24内の圧力が所定の圧力を下回った場合に閉鎖状態に切り替えられるため、液体が漏れ続ける虞を低減できる。
【0041】
(4)開放状態にある電磁バルブ25は、加圧部24内の圧力が所定の圧力を上回った場合に閉鎖状態に切り替えられる。そのため、加圧部24内の圧力が異常に上がった場合でも、液体が漏れる虞を低減できる。
【0042】
(5)閉状態の大気開放バルブ42は、加圧部24内の圧力が所定の圧力を上回った場合に開状態に切り替えられる。そのため、加圧部24内の圧力が異常に上がった場合でも、加圧部24内の圧力を下げることができる。
【0043】
(6)電磁バルブ25に通電するための電力供給回路50を、第1変位部43及び第2変位部45が第1スイッチ54及び第2スイッチ64を移動させて切断する。そのため、第1変位部43の変位により電磁バルブ25の通電状態を切り替え、強制的に電磁バルブ25を閉じることができる。
【0044】
(7)加圧部24内及び液体供給流路23内の圧力は、加圧部24から空気が漏れた場合も液漏れが生じた場合と同様に低下する。そのため、液体吐出装置11は、加圧部24から空気が漏れた場合にも、電磁バルブ25を強制的に閉鎖状態にできる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、液体吐出装置の第2実施形態について図を参照しながら説明する。この第2実施形態は、第1圧力室44と第2圧力室46を設ける位置が第1実施形態の場合とは異なっている。その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0046】
図6に示すように、本実施形態の第1圧力室44及び第2圧力室46は、液体供給流路23に設けられ、液体供給流路23の一部を構成する。第1圧力室44、第2圧力室46、及び電磁バルブ25は、液体供給流路23において圧力調整弁27よりも上流に設けられる。
【0047】
第1変位部43は、第1圧力室44の壁面の一部を構成する。第2変位部45は、第2圧力室46の壁面の一部を構成する。すなわち、液体供給流路23は、加圧部24により加圧される液体供給流路23内の圧力変化に応じて変位可能な第1変位部43及び第2変位部45を有する。
【0048】
本実施形態の作用について説明する。
図7に示すように、液体供給流路23内の圧力が所定の圧力より低い状態では、電磁バルブ25は閉鎖状態になっており、大気開放バルブ42は閉状態になっている。
【0049】
図8に示すように、送気ポンプ41を駆動すると、加圧部24内の圧力が上昇すると共に、圧力調整弁27よりも上流の液体供給流路23内の圧力が上昇する。第1変位部43は、第1圧力室44の容積を大きくするように変位する。第2変位部45は、第2圧力室46の容積を大きくするように変位する。
【0050】
液体供給流路23内の圧力が所定の圧力になると、第1変位部43に押される第1移動部材51が、第1スイッチ54を押してオンする。第1スイッチ54は、電力供給回路50を接続する。第2スイッチ64は、第1接点67に接触している。そのため、電力供給部49から第1ソレノイド55に電力が供給され、電磁バルブ25が強制的に開放状態になる。このとき、大気開放バルブ42は閉状態になっている。
【0051】
図9に示すように、液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、第2変位部45の変位により、開放状態にある電磁バルブ25が強制的に閉鎖状態に切り替えられる。すなわち、液体供給流路23内の圧力が過剰圧力以上になると、第2スイッチ64が第1接点67から離れ、第2スイッチ64は、電力供給回路50を切断する。これにより、第1ソレノイド55及び第2ソレノイド65には、電気が流れない。電磁バルブ25は、閉鎖状態になる。大気開放バルブ42は、閉状態になっている。
【0052】
図10に示すように、液体供給流路23内の圧力がさらに上昇し、限界圧力になると、第2スイッチ64が第2接点68に接触する。これにより電力供給部49から第2ソレノイド65に電力が供給され、大気開放バルブ42が開状態になる。開状態の大気開放バルブ42は、加圧部24内の空気を外部へ逃がし、加圧部24内の圧力を下げる。第1ソレノイド55には電力が供給されないため、電磁バルブ25は、閉鎖状態になっている。
【0053】
限界圧力は、過剰圧力より高い圧力である。すなわち、限界圧力は、所定の圧力より高い圧力である。したがって、液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、第2変位部45の変位により、大気開放バルブ42が閉状態から開状態に切り替えられる。
【0054】
図9に示すように、大気開放バルブ42が開状態になって加圧部24内の圧力が低下すると、液体供給流路23内の圧力も低下する。第1圧力室44及び第2圧力室46は、容積が小さくなる。第2移動部材61は、第2開放用ばね62が押す力により移動する。液体供給流路23内の圧力が限界圧力より小さくなると、第2スイッチ64は、第2接点68から離れる。第2ソレノイド65に電力が供給されなくなると、大気開放バルブ42が閉状態になる。
【0055】
図7に示すように、液体吐出ヘッド13もしくは液体供給機構15において液漏れが生じると、液体供給流路23内の圧力は、漏れた液体の分だけ低下する。液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を下回った場合に、第1変位部43の変位により、開放状態にある電磁バルブ25が強制的に閉鎖状態に切り替えられる。すなわち、電磁バルブ25は、加圧部24による液体供給流路23の圧力変化に応じて開閉状態が強制的に切り替えられる。換言すると、電磁バルブ25の開閉状態は、第1変位部43の変位により強制的に切り替えられる。
【0056】
具体的には、液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を下回って供給圧力未満になると、第1移動部材51は、第1開放用ばね52に押されて移動し、第1スイッチ54をオフする。第1ソレノイド55に電力が供給されなくなるため、電磁バルブ25は閉鎖状態になる。このように、液漏れが生じた場合には、第1変位部43が第1スイッチ54を移動させて電力供給回路50を切断することにより、開放状態にある電磁バルブ25が強制的に閉鎖状態に切り替えられる。
【0057】
本実施形態の効果について説明する。
(8)電磁バルブ25は、液体供給流路23が有する第1変位部43及び第2変位部45の変位により、開閉状態が強制的に切り替えられる。したがって、液体供給流路23に設けられる電磁バルブ25付近の圧力変化により電磁バルブ25を閉じることができる。
【0058】
(9)液体が漏れると、液体供給流路23内の圧力が低下する。その点、開放状態にある電磁バルブ25は、液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を下回った場合に閉鎖状態に切り替えられるため、液体が漏れ続ける虞を低減できる。
【0059】
(10)開放状態の電磁バルブ25は、液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を上回った場合に閉鎖状態に切り替えられる。そのため、液体供給流路23内の圧力が異常に上がった場合でも、液体吐出ヘッド13などから液体が漏れる虞を低減できる。
【0060】
(11)加圧部24内の圧力が異常に上がった場合、液体供給流路23内の圧力も上昇する。その点、閉状態の大気開放バルブ42は、液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を上回った場合に開状態に切り替えられる。そのため、加圧部24内の圧力を下げることができ、液体供給流路23内の圧力が上がりすぎる虞を低減できる。
【0061】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・
図11,
図12に示すように、液体吐出装置11は、第1変位部43が電磁バルブ25の弁体71を移動させてもよい。これにより、開放状態にある電磁バルブ25は、強制的に閉鎖状態に切り替えられてもよい。第1変位部43が電磁バルブ25の弁体71を移動させるため、電磁バルブ25は、電気的な開閉に加えて物理的な開閉が可能となる。したがって、電磁バルブ25の信頼性を高めることができる。すなわち、電磁バルブ25は、第1ソレノイド55による開閉と、第1ソレノイド55に電力を供給しない状態で弁体71を物理的に移動させる開閉と、を可能にしてもよい。例えば液体吐出装置11は、軸81を中心に回動するレバー82を備える。レバー82は、第1端が第1変位部43に回動可能に取り付けられ、第1端とは反対の第2端が弁体71に固定される押付部材72に回動可能に取り付けられる。
図11に示すように、加圧部24内もしくは液体供給流路23内の圧力が所定の圧力である場合には、第1変位部43は、レバー82を押し下げることにより電磁バルブ25を開放状態にしてもよい。
図12に示すように、加圧部24内もしくは液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を下回った場合には、第1変位部43は、レバー82を押し上げることにより電磁バルブ25を閉鎖状態にしてもよい。第1変位部43は、第1圧力室44の圧力により移動するピストンとしてもよい。
【0062】
・
図13,
図14に示すように、弁体71には、フランジ84を設けてもよい。押付部材72は、フランジ84と係合する係合部85を備えてもよい。電磁バルブ25は、通電時に押付部材72が移動する際、係合部85がフランジ84を持ち上げるようにして弁体71を弁座78から離してもよい。
【0063】
・電磁バルブ25は、弁体71と押付部材72との間に、押付部材72に対して弁体71を押すばねを設けてもよい。このばねの強さは、弁用ばね73の強さよりも弱く、液体供給流路23内の圧力が供給圧力以上で弁体71が弁座78から離れるようにすると、液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を下回った場合に電磁バルブ25を閉鎖状態にできる。
【0064】
・大気開放バルブ42は、制御部19の制御により開閉してもよい。大気開放バルブ42は、ユーザーが開閉操作をしてもよい。この場合、液体吐出装置11は、第2圧力室46及び第2変位部45を備えない構成としてもよい。
【0065】
・制御部19は、加圧部24内もしくは液体供給流路23内の圧力が所定の圧力である場合に、電磁バルブ25の開閉を制御してもよい。例えば、制御部19は、貯留室29に貯留される液体が所定量消費された場合に電磁バルブ25を開放状態にしてもよいし、検出部31の検出結果に基づいて貯留室29に貯留される液体の量が、次の印刷で使用する液体の量よりも少なくなった場合に電磁バルブ25を開放状態にしてもよい。制御部19は、電磁バルブ25を開放状態にしてから一定時間が経過した後、電磁バルブ25を閉鎖状態にしてもよい。電磁バルブ25を開放状態にする時間は、例えば貯留部26を液体で満たすのに必要な時間である。電磁バルブ25が閉鎖状態にされる間は、貯留部26に貯留される液体が液体吐出ヘッド13に供給される。制御部19は、液体吐出ヘッド13から吐出した液滴の数から貯留室29に貯留される液体の量を計算してもよい。
【0066】
・液体吐出装置11は、電磁バルブ25の開閉を検出するセンサーを備えてもよい。制御部19は、センサーの検出結果と、電磁バルブ25の開閉指令と、が合わない場合に、電磁バルブ25が故障していると判断してもよい。
【0067】
・第2スイッチ64は、第1スイッチ54と同様に単極単投形のスイッチでもよい。すなわち、第2スイッチ64は、第1接点67を備えない構成としてもよい。液体吐出装置11は、加圧部24内もしくは液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を上回った場合でも、電磁バルブ25を開放状態に維持してもよい。液体吐出装置11は、第1スイッチ54及び第1ソレノイド55が接続される回路と、第2スイッチ64及び第2ソレノイド65が接続される回路と、を別々に備えてもよい。
【0068】
・加圧部24は、例えば収容袋34を挟む板や錘により収容袋34を外側から押し潰すようにして液体供給流路23内を加圧してもよい。
・第1圧力室44及び第2圧力室46が液体供給流路23に設けられる場合、送気ポンプ41の代わりに、上流側から吸引した液体を下流側に押し出すポンプを液体供給流路23の第2圧力室46より上流側に設けてもよい。また、この場合、第2圧力室46、第2スイッチ64、及び第2変位部45を備えない構成としてもよい。
【0069】
・液体吐出装置11は、加圧部24内もしくは液体供給流路23内の圧力が所定の圧力を上回った場合に電磁バルブ25を閉鎖状態に切り替え、所定の圧力を下回った場合には、電磁バルブ25を開放状態にしてもよい。すなわち、液体吐出装置11は、第1スイッチ54、第1圧力室44、及び第1変位部43を備えない構成としてもよい。
【0070】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を吐出したり噴射したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する装置であってもよい。
【0071】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
液体吐出装置は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、前記液体を収容する液体収容部から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な液体供給流路と、前記液体供給流路内を加圧する加圧部と、前記液体供給流路に設けられ、通電時に前記液体供給流路を開放し、非通電時に前記液体供給流路を閉鎖する電磁バルブと、を備え、前記電磁バルブは、前記加圧部による圧力変化に応じて開閉状態が強制的に切り替えられる。
【0072】
この構成によれば、電磁バルブは、加圧部による圧力変化に応じて開閉状態が強制的に切り替えられる。そのため、液体吐出ヘッドなどから液体が漏れて圧力変化が生じた場合に電磁バルブを強制的に閉じることができ、多量の液体が漏れる虞を低減できる。
【0073】
液体吐出装置において、前記加圧部は、空気を用いて前記液体供給流路内を加圧すると共に、前記圧力変化に応じて変位可能な変位部を有し、前記変位部の変位により、前記電磁バルブの開閉状態が強制的に切り替えられてもよい。
【0074】
この構成によれば、電磁バルブは、加圧部が有する変位部の変位により、開閉状態が強制的に切り替えられる。したがって、加圧部による圧力変化により電磁バルブを速やかに開閉できる。
【0075】
液体吐出装置は、前記加圧部内の圧力が所定の圧力を下回った場合に、前記変位部の変位により、開放状態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられてもよい。
液体が漏れると、液体供給流路内の圧力が低下すると共に、液体供給流路内を加圧する加圧部内の圧力が低下する。その点、この構成によれば、開放状態にある電磁バルブは、加圧部内の圧力が所定の圧力を下回った場合に閉鎖状態に切り替えられるため、液体が漏れ続ける虞を低減できる。
【0076】
液体吐出装置は、前記加圧部内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、前記変位部の変位により、開放状態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられてもよい。
この構成によれば、開放状態にある電磁バルブは、加圧部内の圧力が所定の圧力を上回った場合に閉鎖状態に切り替えられる。そのため、加圧部内の圧力が異常に上がった場合でも、液体が漏れる虞を低減できる。
【0077】
液体吐出装置は、前記加圧部内を大気開放可能な大気開放バルブをさらに備え、前記加圧部内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、前記変位部の変位により、前記大気開放バルブが閉状態から開状態に切り替えられてもよい。
【0078】
この構成によれば、閉状態の大気開放バルブは、加圧部内の圧力が所定の圧力を上回った場合に開状態に切り替えられる。そのため、加圧部内の圧力が異常に上がった場合でも、加圧部内の圧力を下げることができる。
【0079】
液体吐出装置において、前記液体供給流路は、前記加圧部により加圧される前記液体供給流路内の圧力変化に応じて変位可能な変位部を有し、前記変位部の変位により、前記電磁バルブの開閉状態が強制的に切り替えられてもよい。
【0080】
この構成によれば、電磁バルブは、液体供給流路が有する変位部の変位により、開閉状態が強制的に切り替えられる。したがって、液体供給流路に設けられる電磁バルブ付近の圧力変化により電磁バルブを閉じることができる。
【0081】
液体吐出装置は、前記液体供給流路内の圧力が所定の圧力を下回った場合に、前記変位部の変位により、開放状態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられてもよい。
【0082】
液体が漏れると、液体供給流路内の圧力が低下する。その点、この構成によれば、開放状態にある電磁バルブは、液体供給流路内の圧力が所定の圧力を下回った場合に閉鎖状態に切り替えられるため、液体が漏れ続ける虞を低減できる。
【0083】
液体吐出装置は、前記液体供給流路内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、前記変位部の変位により、開放状態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられてもよい。
【0084】
この構成によれば、開放状態の電磁バルブは、液体供給流路内の圧力が所定の圧力を上回った場合に閉鎖状態に切り替えられる。そのため、液体供給流路内の圧力が異常に上がった場合でも、液体吐出ヘッドなどから液体が漏れる虞を低減できる。
【0085】
液体吐出装置は、空気を用いて前記液体供給流路内を加圧する前記加圧部内を大気開放可能な大気開放バルブをさらに備え、前記液体供給流路内の圧力が所定の圧力を上回った場合に、前記変位部の変位により、前記大気開放バルブが閉状態から開状態に切り替えられてもよい。
【0086】
加圧部内の圧力が異常に上がった場合、液体供給流路内の圧力も上昇する。その点、この構成によれば、閉状態の大気開放バルブは、液体供給流路内の圧力が所定の圧力を上回った場合に開状態に切り替えられる。そのため、加圧部内の圧力を下げることができ、液体供給流路内の圧力が上がりすぎる虞を低減できる。
【0087】
液体吐出装置は、前記電磁バルブに通電するための電力供給回路をさらに備え、前記電力供給回路は、該電力供給回路の接続および切断を切り替えるスイッチを有し、前記変位部が前記スイッチを移動させて前記電力供給回路を切断することにより、開放状態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられてもよい。
【0088】
この構成によれば、電磁バルブに通電するための電力供給回路を、変位部がスイッチを移動させて切断する。そのため、変位部の変位により電磁バルブの通電状態を切り替え、強制的に電磁バルブを閉じることができる。
【0089】
液体吐出装置は、前記変位部が前記電磁バルブの弁体を移動させることにより、開放状態にある前記電磁バルブが強制的に閉鎖状態に切り替えられてもよい。
この構成によれば、変位部が電磁バルブの弁体を移動させるため、電磁バルブは、電気的な開閉に加えて物理的な開閉が可能となる。したがって、電磁バルブの信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0090】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…液体吐出ヘッド、14…液体収容部、15…液体供給機構、16…装着部、17…媒体、18…支持部、19…制御部、20…ノズル面、21…ノズル、23…液体供給流路、24…加圧部、25…電磁バルブ、26…貯留部、27…圧力調整弁、29…貯留室、30…受圧部、31…検出部、32…供給用ばね、34…収容袋、35…導出部、36…ケース、37…空気室、39…空気流路、40…分岐流路、41…送気ポンプ、42…大気開放バルブ、43…変位部の一例である第1変位部、44…第1圧力室、45…変位部の一例である第2変位部、46…第2圧力室、48…開放機構、49…電力供給部、50…電力供給回路、51…第1移動部材、52…第1開放用ばね、54…スイッチの一例である第1スイッチ、55…第1ソレノイド、61…第2移動部材、62…第2開放用ばね、64…スイッチの一例である第2スイッチ、65…第2ソレノイド、67…第1接点、68…第2接点、71…弁体、71a…凸部、72…押付部材、73…弁用ばね、74a…第1弁ケース、74b…第2弁ケース、74c…第3弁ケース、75…弁室、76…流入流路、77…流出流路、78…弁座、81…軸、82…レバー、84…フランジ、85…係合部。