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  • 特許-チェーン式コンベア装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】チェーン式コンベア装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 19/14 20060101AFI20221101BHJP
   B65G 21/22 20060101ALI20221101BHJP
   B65G 19/28 20060101ALI20221101BHJP
   B65G 19/18 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B65G19/14 Z
B65G21/22 B
B65G19/28
B65G19/18 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019039188
(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2020142879
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】村井 康夫
(72)【発明者】
【氏名】松永 隆昌
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-062992(JP,A)
【文献】実開平01-159616(JP,U)
【文献】実開昭60-107024(JP,U)
【文献】実公昭47-040457(JP,Y1)
【文献】実開昭59-162514(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 19/00-19/30
B65G 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に粉粒体の供給口と他端に排出口と、前記供給口と前記排出口の間にホッパを有するダクトと、前記ダクト内に配置する駆動スプロケット及び従動スプロケットと、前記駆動スプロケット及び従動スプロケットにかけ渡して循環移動するコンベアチェーンと、前記コンベアチェーンの両側面から搬送方向と交差する方向に延出して前記コンベアチェーンの循環移動に伴って前記ダクト内の前記粉粒体を搬送方向に押し出す搬送プレートと、を有するチェーン式コンベア装置において、
送り側の前記コンベアチェーンが回転移動するレールを前記ダクトの搬送方向に沿って下面に敷設し、前記ホッパ上の前記レールを所定長さに切断した開放部を備え
前記ホッパの前記コンベアチェーン上方には、前記コンベアチェーンのリンク内に挟まった前記粉粒体に対して加振して又はエアを吹付けて、前記開放部を介して前記ホッパに払い落とす払落し手段を設け、
前記ホッパの前記コンベアチェーン上方には、搬送方向と直交する方向に延びて前記ダクトの両側面に回転自在に軸支させた回転シャフトから下方の前記コンベアチェーンに向けて垂下して前記搬送プレートに接することなく振子運動して前記コンベアチェーンのリンク間に堆積した前記粉粒体を下方へ押し出すフラッパーを設け、前記回転シャフトには軸心から放射状に延びるウェイトを備えたことを特徴とするチェーン式コンベア装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチェーン式コンベア装置であって、
前記開放部は、前記コンベアチェーンの1ピッチ以上2ピッチ未満の長さに形成したことを特徴とするチェーン式コンベア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭、石膏、木粉、穀類などの粉粒体をスクレーパ等からなる搬送プレートによって連続的に搬送することができるチェーン式コンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体の石炭、石膏、木粉、穀類などをほぼ水平方向に搬送する装置にチェーン式コンベアがある。このチェーン式コンベアは、搬送方向に長く形成した四角断面のダクトの空間内部に搬送物となる粉粒体を受け入れてダクト空間内を搬送移動させている(例えば特許文献1、2に開示あり)。
図3は従来のチェーン式コンベア装置の説明図であり、(1)は一部拡大した平面図、(2)は一部拡大した側面図、(3)は一部拡大した正面図である。ダクト1内の底面にコンベアチェーン2と、コンベアチェーン2の左右に粉粒体を搬送方向に押す搬送プレート3を取り付けて、コンベアチェーン2を無端状に連結して、ダクト1空間の長手方向に一方から粉粒体を受け入れて他方の搬送先に排出している(図3(1)参照)。このとき、送り側のコンベアチェーン2は、ダクト1下面の長手方向に沿って連続して設けたレール4上を回転移動する(図3(2)参照)。
排出部は、空間の底部に開口部を設けて、コンベアチェーン2及び搬送プレート3によって掻き寄せられた粉粒体を落下させる構造が一般的に採用されている。
【0003】
このとき単位時間当たりの搬送量は、粉粒体を搬送する空間の充填量によって決まる。充填量が多い(搬送負荷が大きい)場合は、四角断面の内壁を粉粒体が滑りながら搬送されて、粉粒体の移動方向の反力と自重によって、コンベアチェーン2と搬送プレート3が自由な動きをすることなく、コンベアチェーン2の引張方向へ搬送移動する。
チェーン式コンベアは内又は外リンク(以下単にリンクということあり)に固定された搬送プレート3と搬送物とダクト1内壁が直接接触して、これらの間で摺動しながら搬送している。リンクの間に入った搬送物は、搬送方向において、排出されることなくダクト1内壁やレール4上を搬送物が擦れながら移動する。ローラはダクト1のレール4上を転動する構成であり、特に摺動摩耗によってレール4が摩耗すると、リンクだけでなく搬送プレート3がダクト1内壁と接触してしまい機器摺動音の発生や、搬送抵抗が増える原因となる(図3(3)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-237924号公報
【文献】特許第5931651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、ダクト内で粉粒体の搬送移動中に発生する摺動音や搬送抵抗を解消でき、摺動摩耗を低減できるチェーン式コンベア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、一端に粉粒体の供給口と他端に排出口と、前記供給口と前記排出口の間にホッパを有するダクトと、前記ダクト内に配置する駆動スプロケット及び従動スプロケットと、前記駆動スプロケット及び従動スプロケットにかけ渡して循環移動するコンベアチェーンと、前記コンベアチェーンの両側面から搬送方向と交差する方向に延出して前記コンベアチェーンの循環移動に伴って前記ダクト内の前記粉粒体を搬送方向に押し出す搬送プレートと、を有するチェーン式コンベア装置において、
送り側の前記コンベアチェーンが回転移動するレールを前記ダクトの搬送方向に沿って下面に敷設し、前記ホッパ上の前記レールを所定長さに切断した開放部を備え
前記ホッパの前記コンベアチェーン上方には、前記コンベアチェーンのリンク内に挟まった前記粉粒体に対して加振して又はエアを吹付けて、前記開放部を介して前記ホッパに払い落とす払落し手段を設け、
前記ホッパの前記コンベアチェーン上方には、搬送方向と直交する方向に延びて前記ダクトの両側面に回転自在に軸支させた回転シャフトから下方の前記コンベアチェーンに向けて垂下して前記搬送プレートに接することなく振子運動して前記コンベアチェーンのリンク間に堆積した前記粉粒体を下方へ押し出すフラッパーを設け、前記回転シャフトには軸心から放射状に延びるウェイトを備えたことを特徴とするチェーン式コンベア装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、コンベアチェーンのリンク間に挟まった粉粒体をダクト下方のホッパへ自重落下で排出でき、コンベアチェーン及びレールの摺動摩耗を防止できる。またレールの摩耗に起因する搬送プレートとダクト内壁の接触による摺動騒音を抑制できる。さらにコンベア装置の搬送抵抗を低減でき省エネ化が期待できる。
また自重落下では取り除くことができない粘性のある粉粒体がリンク間に挟まった場合であっても、開放部で効率的に払い落とすことができる。
さらに粉粒体の搬送移動中にコンベアチェーンのリンク間に堆積した粉粒体をフラッパーで効率的にダクト下方のホッパへ押し出して堆積層圧を少なくしてフラッパーの振り子運動で加振することができる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記開放部は、前記コンベアチェーンの1ピッチ以上2ピッチ未満の長さに形成したことを特徴とするチェーン式コンベア装置を提供することにある。
上記第2の手段によれば、開放部にコンベアチェーンが落下することがなく、スムーズに搬送移動が行え、かつ開放部とコンベアチェーンの接触による摩耗と、それによって発生する騒音を防止できる。またリンク間の粉粒体を下方のホッパへ排出できるスペースが得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンベアチェーンのリンク内に挟まった粉粒体を排除でき、コンベアチェーン及びレールの摺動摩耗を防止できる。またレールの摩耗に起因する搬送プレートとダクト内壁の接触による摺動騒音を抑制できる。さらにコンベア装置の搬送抵抗を低減でき省エネ化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のチェーン式コンベア装置の概略構成図である。
図2】ホッパ上のコンベアチェーンの一部拡大図である。
図3】従来のチェーン式コンベア装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のチェーン式コンベア装置の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
[チェーン式コンベア装置10]
図1は、本発明のチェーン式コンベア装置の概略構成図である。図2はホッパ上のコンベアチェーンの一部拡大図であり、(1)は側面断面図、(2)は(1)のA-A矢視図である。図示のように本発明のチェーン式コンベア装置10(以下、単にコンベア装置10ということあり)は、一端に粉粒体12の供給口22と、他端に排出口24と、供給口22と排出口24の間に複数のホッパ26を有するダクト1と、ダクト1内に配置する駆動スプロケット30及び従動スプロケット32と、駆動スプロケット30及び従動スプロケット32にかけ渡して循環移動するコンベアチェーン2と、コンベアチェーン2の両側面から搬送方向と交差する方向に延出してダクト1内の粉粒体12を搬送方向に押し出す搬送プレート3と、送り側のコンベアチェーン2が回転移動するレール4をダクト1の搬送方向に沿って下面に敷設してホッパ26上のレール4を所定長さに切断した開放部40(図2参照)を備えている。
【0013】
ホッパ26は、搬送移動中の粉粒体12を途中で次工程の搬送装置に受け渡す排出口であり、ダクト1下面の所定箇所に1つ以上設けている。
レール4は、ダクト1の下面であって、コンベアチェーン2のローラと対向する箇所に長手方向に沿って連続して設けている。粉粒体12の搬送移動中は、レール4上をコンベアチェーン2のローラが回転移動している。
このようなホッパ26とレール4の構成において、ダクト1下面を長手方向に沿って敷設されたレール4は、従来、ホッパ26の上面、換言するとダクト1の底面開口箇所でも延出して(レール4のみが)取り付けられている。しかし本発明のホッパ26上のレール4は、所定長さに(一部)切断した開放部40を設けている。開放部40の長さは、コンベアチェーン2の1ピッチ(本実施形態の1ピッチとは、リンクのローラ間の長さをいう)以上2ピッチ未満の長さに形成している。これにより開放部40にコンベアチェーン2が落下することがなく、スムーズに搬送移動が行え、かつ開放部40とコンベアチェーン2の接触による騒音を防止できる。
【0014】
ホッパ26のコンベアチェーン2上方には払落し手段50を設けている。払落し手段50は、リンク内に挟まった粉粒体12を下方の開放部40を介してホッパ26に払い落とすものである。払落し手段50は、リンク内に挟まった粉粒体12を払い落とすことができる構成であれば良く、例えば、圧縮エアを吹き付ける圧縮エア供給手段(図2中には圧縮エア供給手段のノズルを開示)、ハンマー又はバイブレーターなどの加振手段などを適用することができる。
ホッパ26のコンベアチェーン2上方にはフラッパー60を設けている。フラッパー60は、コンベアチェーン2を間に挟んだ開放部40の真上に設けている。フラッパー60は、搬送方向と直交する方向に延びてダクト1の両側面に回転自在に軸支させた回転シャフト62から下方のコンベアチェーン2に向けて垂下して振り子運動するように取り付けている。フラッパー60の先端は、コンベアチェーン2との間に隙間を設けて配置し回転シャフト62の軸回りを回転する(振り子運動する)際にコンベアチェーン2及び搬送プレート3と接触することがない。また回転シャフト62には、軸心から放射状に伸びるウェイト64を設けている。ウェイト64は、フラッパー60がコンベアチェーン2上に堆積した粉粒体12と接触して搬送方向に押される際に、所定の押付力(反力)を付与して粉粒体12をコンベアチェーン2上から掻き落とし、さらにリンク間の粉粒体を下方に押し出す錘である。ウェイト64は、ダクト1の側面から突出した回転シャフト62に取り付けて、重量を粉粒体12の種類、量によって任意に設計変更できるように構成している。
【0015】
[作用]
上記構成による本発明のチェーン式コンベア装置10の作用について以下説明する。
本実施形態のコンベア装置10は、図1に示すように発電所等において燃料の石炭やバイオマスを貯蔵する貯蔵サイロに設置して使用される。石炭やバイオマス燃料(例えば木質粉、木質ペレットなど)は、各地から船、車両、貨車などで運ばれてホッパに受け入れている。この搬入は連続ではなく、一旦ヤードや大きな容器に受け入れて、産地毎に物性が異なる石炭やバイオマス燃料の水分調整や熱量調整を目的に混合される。この調整後、コンベア装置10で貯蔵サイロに貯めて、後段の燃料使用設備(発電所、熱利用工場など)に搬送する。このとき燃料使用設備から要求された熱量に見合うように、石炭とバイオマス燃料の貯蔵サイロからそれぞれ計量排出し、ブレンドして燃料として使用される。
ダクト1の供給口22から供給された粉粒体12は、ダクト1の供給口22下方にダクト1内に一旦積り、コンベアチェーン2が粉粒体12に埋もれた中を搬送移動する。搬送プレート3は、粉粒体12の垂直方向の層圧に対して、直交する水平方向のチェーン張力によってダクト1内を移動する。ダクト1内の粉粒体12の充填量が多いほどチェーン張力は大きくなる。このとき粉粒体12とダクト1内壁の摺動摩耗量も多くなる。従来、コンベアチェーン2のリンク間に堆積した粉粒体12が搬送移動時に排出されずに摺動し、機器の摩耗原因となる。特にリンク間で堆積した粉粒体12は、圧密されて固くなり摺動摩耗が早まる。また、常に粉粒体12中を回転移動するコンベアチェーン2のローラやレール4は粉粒体12との摺動機会が他に比べて多いので摩耗量が多くなる。
【0016】
本発明は、ホッパ26上のレール4に開放部40を設けて、リンク内に堆積した粉粒体12を開放部40を介してホッパ26に排出させている。
また粘性が高く自重落下しない粉粒体12に対して、ダクト1内の開放部40上方に設けた払落し手段50の組み合わせによってリンク内の粉粒体及び、コンベアチェーン2上の粉粒体12を払い落としている。
また開放部40のダクト1内上方に設けたフラッパー60を組み合わせても良い。搬送移動する粉粒体12と接触して所定負荷で振り子運動させるフラッパー60により、リンク間の粉粒体をスクレープしてコンベアチェーン2上から粉粒体を掻き落とすことができ、さらにリンク間の粉粒体をフラッパー60で下方へ押し出すことができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のチェーン式コンベア装置は、特に石炭、石膏、木粉、穀類などの粉粒体の貯蔵、搬送設備において産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0018】
1 ダクト
2 コンベアチェーン
3 搬送プレート
4 レール
10 チェーン式コンベア装置
12 粉粒体
22 供給口
24 排出口
26 ホッパ
30 駆動スプロケット
32 従動スプロケット
40 開放部
50 払落し手段
60 フラッパー
62 回転シャフト
64 ウェイト
図1
図2
図3