(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像形成装置及び画像領域判別方法。
(51)【国際特許分類】
H04N 1/40 20060101AFI20221101BHJP
B41J 2/52 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H04N1/40 062
B41J2/52
(21)【出願番号】P 2019093496
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保立 裕樹
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-101765(JP,A)
【文献】特開2010-187362(JP,A)
【文献】特開2014-120832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/40 - 1/409
B41J 2/52 - 2/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素値が多階調で表された画像の入力データにおいて指定エリアを定め、当該指定エリア内の複数の前記画素値の頻度分布を取得する分布取得部と、
前記分布取得部により取得された前記頻度分布に基づいて、前記画素値を二値化する境界値を設定する境界設定部と、
前記指定エリア内の前記複数の画素値を前記境界値により二値化した二値画像データを生成する二値化部と、
前記二値画像データに基づいて、ラインスクリーン処理に応じた縞状構造を特定する第1特定部と、
を備え、
前記境界設定部は、前記頻度分布において頻度が極小となる画素値に基づいて2個の前記境界値を設定する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1特定部は、前記2個の境界値の少なくともいずれかにより得られた前記二値画像データから前記縞状構造が特定された場合に、前記指定エリアがラインスクリーンの適用エリアであると特定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1特定部は、前記二値画像データにおける二値の交互な出現パターンに基づいて前記縞状構造を特定することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記境界設定部は、前記頻度分布において頻度が極小となる画素値が2点存在しない場合には、前記頻度分布における所定の代表値から所定幅だけ上下にそれぞれずらした値を前記2個の境界値として設定することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定の代表値は、前記指定エリアにおける各画素値の平均値及び中央値の平均であり、
前記所定幅は、前記指定エリアにおける画素値の最大値と最小値の差分に対する所定の割合を示す係数を乗じた値である
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記係数を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記係数は、前記2個の境界値が得られた場合の当該境界値に基づいて求められた値であることを特徴とする請求項5又は6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記入力データは、複数の色成分でそれぞれ画素値が定められている多階調の画像の成分データを含み、
前記第1特定部は、前記成分データのいずれかで前記指定エリアの前記縞状構造が特定された場合に、当該指定エリアがラインスクリーンの適用エリアであると特定することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記指定エリアにおける文字の表示部分を特定する第2特定部と、
前記入力データのうち、前記縞状構造が特定された前記指定エリアに対して平滑化処理を行う第1処理部と、
前記入力データのうち、文字の表示部分が特定された前記指定エリアに対して文字の輪郭を強調する強調処理を行う第2処理部と、
を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記入力データに基づいて画像形成動作を行う形成動作部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
各画素値が多階調で表された画像の入力データにおいて指定エリアを定め、当該指定エリア内の複数の前記画素値の頻度分布を取得する分布取得ステップ、
前記分布取得ステップで取得された前記頻度分布に基づいて、前記画素値を二値化する境界値を設定する境界設定ステップ、
前記指定エリア内の前記複数の画素値を前記境界値により二値化した二値画像データを生成する二値化ステップ、
前記二値画像データに基づいて、ラインスクリーン処理に応じた縞状構造を特定する第1特定ステップ、
を含み、
前記境界設定ステップでは、前記頻度分布における頻度が極小となる画素値に基づいて2個の前記境界値を設定する
ことを特徴とする画像領域判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、画像形成装置及び画像領域判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、所定のスクリーンが適用されて、色材の付与領域と付与されない領域の比によって指定された濃度の中間調画像を形成する技術が知られている。スクリーン処理としては、ドットで表現される網点スクリーンと所定方向に延びる線で表現されるラインスクリーンとが多く用いられている。一方、文字などの輪郭が鮮明な画像を形成する場合には、エッジ(輪郭)を強調する処理を行うことで画質の向上が図られている。
【0003】
このようなスクリーン処理がなされた画像を読取装置で読み取って、この読み取られた画像の形成(複写など)をさらに行う場合、上述のスクリーンの解像度と読取装置の読み取り解像度との差異などにより、モアレなどの人工的なむらが生じることが知られている。そこで、読取画像データのうち、上記輪郭を強調する部分以外の部分では、スムージング(平滑化)の処理がなされる。輪郭強調処理と平滑化処理とは、正反対の処理であるので、処理領域がそれぞれ正確に特定されて分離されないと画質が低下する。これに対し、文字部分と背景部分との分離を高精度で行う技術(特許文献1)、及びラインスクリーンを適切に読み取る技術が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-42415号公報
【文献】特開2017-147485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ラインスクリーンの適用処理がなされた領域内で文字領域を判別、抽出するのは、現状では難しい。したがって、同じ平滑化の処理がなされる網点スクリーンの適用処理がなされた領域とラインスクリーンの適用処理がなされた領域とを確実に特定、処理する必要があるという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、より適切にラインスクリーンの適用領域を特定可能な画像処理装置、画像形成装置及び画像領域判別方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
各画素値が多階調で表された画像の入力データにおいて指定エリアを定め、当該指定エリア内の複数の前記画素値の頻度分布を取得する分布取得部と、
前記分布取得部により取得された前記頻度分布に基づいて、前記画素値を二値化する境界値を設定する境界設定部と、
前記指定エリア内の前記複数の画素値を前記境界値により二値化した二値画像データを生成する二値化部と、
前記二値画像データに基づいて、ラインスクリーン処理に応じた縞状構造を特定する第1特定部と、
を備え、
前記境界設定部は、前記頻度分布において頻度が極小となる画素値に基づいて2個の前記境界値を設定する
ことを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、
前記第1特定部は、前記2個の境界値の少なくともいずれかにより得られた前記二値画像データから前記縞状構造が特定された場合に、前記指定エリアがラインスクリーンの適用エリアであると特定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像処理装置において、
前記第1特定部は、前記二値画像データにおける二値の交互な出現パターンに基づいて前記縞状構造を特定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記境界設定部は、前記頻度分布において頻度が極小となる画素値が2点存在しない場合には、前記頻度分布における所定の代表値から所定幅だけ上下にそれぞれずらした値を前記2個の境界値として設定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、
前記所定の代表値は、前記指定エリアにおける各画素値の平均値及び中央値の平均であり、
前記所定幅は、前記指定エリアにおける画素値の最大値と最小値の差分に対する所定の割合を示す係数を乗じた値である
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像処理装置において、
前記係数を記憶する記憶部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、請求項5又は6記載の画像処理装置において、
前記係数は、前記2個の境界値が得られた場合の当該境界値に基づいて求められた値であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記入力データは、複数の色成分でそれぞれ画素値が定められている多階調の画像の成分データを含み、
前記第1特定部は、前記成分データのいずれかで前記指定エリアの前記縞状構造が特定された場合に、当該指定エリアがラインスクリーンの適用エリアであると特定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9記載の発明は、請求項1~8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記指定エリアにおける文字の表示部分を特定する第2特定部と、
前記入力データのうち、前記縞状構造が特定された前記指定エリアに対して平滑化処理を行う第1処理部と、
前記入力データのうち、文字の表示部分が特定された前記指定エリアに対して文字の輪郭を強調する強調処理を行う第2処理部と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項10記載の発明は、
請求項1~9のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記入力データに基づいて画像形成動作を行う形成動作部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0017】
また、請求項11記載の発明は、
各画素値が多階調で表された画像の入力データにおいて指定エリアを定め、当該指定エリア内の複数の前記画素値の頻度分布を取得する分布取得ステップ、
前記分布取得ステップで取得された前記頻度分布に基づいて、前記画素値を二値化する境界値を設定する境界設定ステップ、
前記指定エリア内の前記複数の画素値を前記境界値により二値化した二値画像データを生成する二値化ステップ、
前記二値画像データに基づいて、ラインスクリーン処理に応じた縞状構造を特定する第1特定ステップ、
を含み、
前記境界設定ステップでは、前記頻度分布における頻度が極小となる画素値に基づいて2個の前記境界値を設定する
ことを特徴とする画像領域判別方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に従うと、より適切にラインスクリーンの適用エリアを特定することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】スクリーン処理に用いられるスクリーンを説明する模式図である。
【
図3】領域の判別結果と、当該領域に対する処理との対応関係を示す図表である。
【
図4】ラインスクリーンの適用領域の特定について説明する図である。
【
図5】ラインスクリーンの適用処理がなされた画像の読取結果の例を示す図である。
【
図6】網点スクリーンの適用処理がなされたエリアの読取画像の例を示す図である。
【
図7】網点スクリーンの適用処理がなされたエリアの読取画像の他の例を示す図である。
【
図8】網点スクリーンの適用処理がなされたエリアの二値画像の例を示す図である。
【
図9】境界値設定処理及びラインスクリーン判別処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
図1(a)は、画像形成装置1の全体構成を示すブロック図であり、
図1(b)は、画像処理部12の機能構成を示すブロック図である。
【0021】
図1(a)に示すように、画像形成装置1は、通信部11と、画像処理部12と、形成動作部21などを備える。
通信部11は、外部機器との間で所定の通信規格(TCP/IPなど)に従ってデータの送受信を行う。通信部11は、例えば、ネットワークカードなどを有し、LAN(Local Area Network)によりデータの送受信を行う。また、通信部11の送受信データには、USBケーブルを用いたもののように、外部機器との間をつなぐ専用線を介したものが含まれてよく、また、Bluetooth(登録商標)による近距離無線通信などのように、ケーブルを用いない通信によるものが含まれていてもよい。ここでは、通信部11は、読取装置(スキャナー)で読み取られた画像データを受信して画像処理部12に送る。
【0022】
画像処理部12は、本実施形態の画像処理装置に含まれ、入力された画像データに基づいて画像形成を行うための画像処理を行う。画像処理部12は、制御部121と、メモリー122(記憶部)などを備える。入力された画像データは、メモリー122に一時記憶され、制御部121により後述のように処理される。また、メモリー122には、設定データ及び制御プログラムなどが記憶されていてよい。
【0023】
制御部121は、各種画像処理を行うハードウェア回路と、画像形成装置1の全体動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)などを備えるハードウェアプロセッサーである。
【0024】
形成動作部21は、形成対象の画像データに応じて色材を付与して定着させるといった画像形成動作を行うエンジンである。形成動作部21の具体的な画像形成方式は、特には限定されず、例えば、電子写真方式であってもインクジェット方式であってもよい。
【0025】
図1(b)に示すように画像処理部12は、頻度分布取得部151(分布取得部、分布取得ステップ)と、境界値設定部152(境界設定部、境界設定ステップ)と、二値化処理部153(二値化部、二値化ステップ)と、ラインスクリーン判別部154(第1特定部、第1特定ステップ)と、文字判別部155(第2特定部)と、網点スクリーン判別部156と、形成データ処理部157などを有する。各部の機能動作については、後に詳述する。これらの各部は、例えば、それぞれASIC(Application Specific Integrated Circuit)により専用に構成されたハードウェア回路であってよい。
【0026】
次に、画像の入力データ(入力画像データ)について説明する。外部の読取装置(スキャナー)で読み取られた画像データは、読取装置の解像度に応じた多数の画素が配列されて、各々の画素が所定の多階調(3階調以上、ここでは例えば256階調)の画素値(階調値、カラー画像などがRGBなどの複数の色成分でそれぞれ取得された場合には、色成分ごとにそれぞれ階調値が定まり、各々多階調の成分データが得られる)で表現されたビットマップ(ピックスマップ)データである。一方で、読み取られる対象の画像には、当該画像を形成した画像形成装置の記録解像度及び濃度階調に応じたスクリーンを適用する処理(スクリーン処理)により中間調を表現したものが含まれていてよい。
【0027】
図2は、スクリーン処理に用いられるスクリーンを説明する模式図である。
図2(a)は、網点スクリーン処理による処理画像部分の拡大図であり、微細なドット(点)の分布密度及び/又はサイズに応じて階調表現がなされる。
図2(b)は、ラインスクリーン処理による処理画像部分の拡大図であり、所定の方向に延びるラインの密度及び/又は幅に応じて階調表現がなされる。すなわち、ラインスクリーン処理がなされた画像のエリアには、多数のラインが並行に等間隔で並んだ微細な縞状構造が生じている。例えば、模様、背景、絵図、写真画像などの中間調を含む多階調画像では、これらのスクリーンが状況などに応じて選択されて中間調が表現されている。文字、丸及び多角形といった図形、表枠、線、並びに矢印といった標識など(まとめて文字などと記す)の表示であって、中間調を用いない二値画像では、スクリーンを利用せずに文字などの輪郭内をベタに塗りつぶすことで画像が形成されている。
【0028】
次に、これら各スクリーン処理が行われた画像の読取データにおける各領域の検出動作について説明する。
スクリーン処理が用いられた画像を読取装置の撮像部などによりデジタル撮像して読み取ったビットマップデータでは、特に、スクリーンの解像度と読み取り解像度が異なる場合などに、読取画像に人工的なむらが生じたり、粒状感が目立ったりする。そこで、読取データにスムージングをかけて各画素値(階調値)を平滑化する画像処理(平滑化処理)が行われる。一方で、文字及び図形などに対してスムージングをかけると輪郭がぼやけて不明瞭となるので、これらの輪郭を検出して強調する画像処理(輪郭強調処理)が行われる。これらの画像処理を行うために、読取画像データに対して文字領域(図形の輪郭を含めてよい)の判別処理、及び各スクリーン処理がなされた画像領域(スクリーン処理領域、スクリーンの適用エリア)の判別処理が行われる。これらの処理は独立に行われてよい。これらの判別処理は、人間の視認可能なサイズなどに応じた微小な判別領域(指定エリア)を設定して(ここでは例えば、37×37ピクセル。画像解像度及び/又はラインスクリーンの線密度などに応じて適宜、例えば、ライン間隔の10倍程度など、に変更されてよい)、この指定エリアを読取画像内で移動させながら各々行われる。
【0029】
ここで、ラインスクリーン処理がなされた領域(ラインスクリーンの適用エリア)内に文字(図形及び標識などを含む)領域が含まれる場合には、いずれの場合でも平行な線状の構造が生じるので、現状では、ラインスクリーンの適用エリアから文字領域を抽出することが困難な場合がある。
【0030】
図3は、領域の判別結果と、当該領域に対する処理との対応関係の例を示す図表である。
スクリーン処理(網点スクリーン処理又はラインスクリーン処理)がなされていると判別されたスクリーン処理領域に対しては、文字判別の結果によらず、平滑化処理(スムージング)がなされる。スクリーン処理領域ではないと判別され、かつ文字領域であると判別される文字領域では、文字などの輪郭を特定して、当該輪郭の輪郭強調処理がなされる。いずれの領域でもないと判別された場合には、平滑化処理及び輪郭強調処理のいずれも行われない。
【0031】
スクリーンの種類の判別は、網点スクリーンとラインスクリーンとで異なる処理がなされる。
図4に示すように、ライン間の間隔dp(1本のライン及びこれに隣り合う背景色部分)(まとめてラインペアと記す)の幅の合計でもある)であるラインスクリーンの適用画像では、各ラインに垂直な方向(矢印方向)に沿って画素値を順に取得していくと、二値(例えば、「0」と「1」)が所定の間隔で(すなわち、所定の幅内に間隔dpに応じた回数)交互に出現する(二値の交互な出現パターン)。ある点を基準として各方向(例えば22.5度間隔で16方向)について、このような入れ替わりの回数を計数してその分布をとることで、縞状構造(ラインペアの繰り返し)を特定して、ラインスクリーン処理がなされた領域か否かが判別される。しかしながら、上述のように、読取画像では、読取解像度などに応じて元の画像における各画素の階調値と同一の読取画像データが取得されるわけではない。
【0032】
図5は、ラインスクリーン処理がなされた画像の読取結果の例を示す図である。
図5(a)では、153lpi(lines per inch)で背景色部分(ここでは、白色)に対して縦の黒線を設けた基準パターン画像の256階調での読取結果を拡大して示している。この図で示されているように、低階調の線と高階調の線の間に中間階調の画素が並んでいるのが分かる。これらの画素値は、縦方向(黒線に沿った方向)についてほぼ同一となる。
図5(b)には、この読取画像の各画素の階調値の頻度分布(ヒストグラム)を示している。このようなラインスクリーン処理がなされた画像が読み取られると、高階調の画素及び低階調の画素の間に、中間階調の画素が多く現れる。そして、このラインスクリーン処理がなされた画像の読取画像における頻度分布では、中間階調と、高階調及び低階調との間の階調値に頻度が極小となる部分(頻度極小値)がそれぞれ(合計で2つ)現れるという特徴を有することが本発明者により見出されている。
【0033】
このような頻度分布の読取画像データにおいて、単純に高階調と低階調の中間、例えば、全画素値又はサンプル範囲の画素値の平均値又は中央値などの代表値を境界値(閾値)として各画素を二値化すると、多数の中間調データが高階調側と低階調側とに不規則に分離してしまい、ラインスクリーン処理による微細パターン、すなわち各ラインが消滅する。ラインスクリーン処理がなされた画像(エリア)であるか否かを判別する場合には、頻度分布に基づいてこれら上記2つの頻度極小値を特定して、当該2つの頻度極小値をそれぞれ二値化の境界値として各々二値化することで、いずれかでラインスクリーン処理に応じた縞状構造が維持された二値画像が得られる。この二値画像を用いて上述のように縞状構造(高階調値の線と低階調値の線との組であるラインペアの反復構造)を検出することで、ラインスクリーン処理領域であるか否かが判別可能となる。なお、この場合の二値画像の濃度は、本来の画像の濃度階調よりも高くなったり低くなったりするが、この二値画像は、ラインスクリーン処理がなされているか否かの判別にしか用いられないので、特に問題は生じない。
【0034】
すなわち、本実施形態の画像領域判別方法では、多階調画像データの指定エリアごとに画素値の頻度分布を取得し(
図1(b)に示した頻度分布取得部151の処理)、当該頻度分布に基づいて上記指定エリア内の画素値を二値化するための境界値が定められる(
図1(b)に示した境界値設定部152の処理)。これらの境界値により指定エリア内の各画素値を二値化して二値画像データを生成し(
図1(b)に示した二値化処理部の処理)、生成された二値画像データにより、ラインスクリーン処理によって生じる(に応じた)縞状構造を特定することで、指定エリアにラインスクリーン処理がなされているか否かが判別される(
図1(b)に示したラインスクリーン判別部154の処理)。頻度分布取得部151は、画素値の最小値「0」と最大値(例えば、「256」)との間を極小値が特定可能な適宜な間隔(例えば、「20」)で区分してよい。
【0035】
また、上記の処理と別個に、文字(標識及び図形などを含む)の表示部分を判別する文字判別部155による処理、及び網点スクリーンの適用された領域を判別する網点スクリーン判別部156の処理が、上記指定エリア又は読取画像データ内で各処理に適切な設定エリア内の画素データに対してそれぞれ実行される。
【0036】
そして、これらの判別結果に基づいて、対応する領域にそれぞれ、形成データ処理部157の平滑化処理部157a(第1処理部)が平滑化処理を行い、輪郭処理部157b(第2処理部)が輪郭強調処理を行う。形成データ処理部157は、さらに、画像形成用に必要な各種処理、例えば、ハーフトーン処理及び/又は色調補正処理などを行ってもよい。
【0037】
ラインスクリーン処理がなされていない領域が指定エリアの場合などでは、ラインスクリーン判別部154では、頻度分布取得部151により取得された画素値の頻度分布において、通常では頻度極小値が2点存在(出現)しない。この場合には、所定の中心値(代表値)に対して上下に所定幅ずつそれぞれずれた値を2つの境界値としてよい。中心値としては、ここでは、指定エリア内の複数の画素値の平均値Aと中央値Mの平均(A+M)/2としてもよい。所定幅としては、頻度分布の最大値と最小値の差分で示される全幅Wに対する所定の割合を示す係数K(Kは1未満の適宜な値)を乗じた値K・Wとすることができる。すなわち、境界値は、(A+M)/2±K・Wとなる。係数Kは、予め求められてメモリー122に記憶されている。係数Kは、上述のように頻度分布から2個の頻度極小値が特定された場合における当該頻度極小値に応じた階調値と、当該頻度分布における代表値とに基づいて特定される。この値は、予め算出されて固定値として保持されてもよいし、境界値設定部152により2個の境界値(頻度極小値)が特定されるごとに従来値と重み付け平均を行うなどにより更新されてもよい。
【0038】
一方、網点スクリーンが適用されている領域において、ドットの検出は、従来と同様に、例えば、当該ドットの周囲各方向にドットと同様の低階調値領域が存在するか否かによって判別され得る。しかしながら、上記のように、読取画像データでは、網点スクリーン処理による各ドットの配列密度及び又は配列方向などに応じて、所定の方向に並ぶ複数のドットが見かけ上ではつながって読み取られる場合がある。
【0039】
図6は、網点スクリーン処理がなされたエリアの読取画像の例を示す図である。
図6(a)は、読取画像の複数のドットを含むエリアを
図5(a)と同じ倍率で拡大した図であり、
図6(b)は、各画素の階調値の頻度分布を示した図である。
図6(a)に示した図では、低階調値のドット部分を中心に、周囲に階調が高い(明るい)部分が広がっている。このような網点スクリーンの適用エリアで階調値の頻度分布を取得すると、
図6(b)に示すように、正しいラインスクリーンの適用エリアとは異なり、2か所の頻度極小値が出現しないことが本発明者により見出されている。すなわち、網点スクリーンの適用エリアでは、ドットの周囲で階調値がばらつく傾向がある。
【0040】
図7は、網点スクリーン処理がなされたエリアの読取画像の他の例を示す図である。
読取の状況によっては、網点スクリーン処理がなされたエリアであっても、見かけ上複数のドットが所定の方向、ここでは、左上から右下への方向(矢印方向)につながっている傾向が現れる場合がある。この場合であっても、
図6(b)に示した場合と同様に、階調値の頻度分布では、2個の頻度極小値が出現しない。
【0041】
図8は、
図7に示した網点スクリーンの適用処理がなされたエリアを二値化した図である。白マス部分と黒マス部分が二値のそれぞれを示している。
図8(a)は、従来のように代表値(例えば、平均値)を用いて二値化した場合の二値画像の例を示す図である。
図8(b)は、上述の網点スクリーン処理がなされた領域について算出された2つの境界値のうち高階調側の境界値を基準として二値化した場合の二値画像の例を示す図である。
【0042】
図8(a)に示すように、この図を従来のように二値化すると、矢印に沿った方向に、見かけ上、高階調値の画素(白部分)と低階調値の画素(黒部分)とが線状に伸びており、矢印と直交する方向に交互に高階調値部分と低階調値部分が出現する。したがって、このような領域は、従来の判別処理では、ラインスクリーンの適用エリアであると誤判定され得る。上述のように、ラインスクリーンの適用エリア内の文字領域は、判別、抽出が難しく、ラインスクリーンの適用エリアと誤判定されることで、文字領域も平滑化処理されることになる。この結果、ラインスクリーンの適用エリアと誤判定されると、文字領域に対して適切に輪郭強調処理を行うことが困難になるので、ラインスクリーンの適用エリアと網点スクリーンの適用エリアとを正確に判別したいという要求が生じる。
【0043】
図8(b)に示すように、上述の網点スクリーン処理がなされた領域について算出された2つの境界値のうち高階調側の境界値を基準として二値化すると、見かけ上の縞状構造が消滅する。低階調側の境界値を基準とした場合でも同じように縞状構造が消滅する。よって、網点スクリーン処理がなされた領域をラインスクリーンの適用エリアとして誤認するのが抑制される。
【0044】
図9は、画像処理部12で実行される境界値設定処理及びラインスクリーン判別処理の手順を示すフローチャートである。
図9(a)に示す境界値設定処理は、頻度分布取得部151により指定エリアの頻度分布が取得されて当該頻度分布のデータが境界値設定部152に入力されることで開始される。上述のように、指定エリアは入力画像データにおいて位置を変更させながら順次指定されていくので、当該指定に応じて繰り返し実行されてよい。
【0045】
頻度分布が取得されると(ステップS201)、境界値設定部152では、当該頻度分布において頻度(度数)の極小値が2つあるか否かが判別される(ステップS202)。極小値が2つあると判別された場合には(ステップS202で“YES”)、境界値設定部152では、当該2つの極小値に応じた画素値を2つの境界値として決定する(ステップS203)。そして、境界値設定処理を終了する。
【0046】
極小値が2つないと判別された場合には(ステップS202で“NO”)、境界値設定部152では、頻度分布に基づいて近似的に中央値Mと平均値Aとが算出される(ステップS213)。なお、頻度分布を用いずに、元の入力画像データから中央値Mと平均値Aとが算出されてもよい。
【0047】
境界値設定部152では、画素値の最大値と最小値との差分である全幅Wが算出される(ステップS214)。画素値の最大値及び最小値は、頻度分布に基づいて近似的に求められてもよいし、元の入力画像データから特定されてもよい。求められた中央値M、平均値A、全幅W及び所定の係数Kにより、二値化の2つの境界値D=(M+A)/2±K・Wを算出、設定する(ステップS215)。そして、境界値設定処理が終了する。
【0048】
図9(b)に示すラインスクリーン判別処理は、境界値設定処理で設定された二値化の境界値Dにより二値化処理部153でそれぞれ二値化された2種類の入力画像データ(指定エリアのデータ)がラインスクリーン判別部154に入力されることで開始される。
【0049】
ラインスクリーン判別部154では、入力された2つの二値化データを取得する(ステップS301)。上述したように、各二値化データにおいて、濃淡ラインが交互に出現する配列が二値化データ内を所定方向に延びる線分に沿って所定回数以上存在するか否かを判別することで、ラインスクリーン処理による縞状構造に応じた二値配列(ラインスクリーンパターンと記す)を検出する(ステップS302)。
【0050】
ラインスクリーン判別部154では、いずれかの二値化データでラインスクリーンパターンが検出されたと判別されたか否かを判別する(ステップS303)。少なくともいずれか一方でラインスクリーンパターンが検出されたと判別された場合には(ステップS303で“YES”)、ラインスクリーン判別部154では、指定エリアがラインスクリーンの適用エリアであると判別される(ステップS304)。そして、ラインスクリーン判別処理が終了する。
【0051】
いずれの二値化データでもラインスクリーンパターンが検出されなかったと判別された場合には(ステップS303で“NO”)、ラインスクリーン判別部154では、指定エリアがラインスクリーンの適用エリアではないと判別される(ステップS314)。そして、ラインスクリーン判別処理が終了する。
【0052】
なお、多階調の画像データ(指定エリアのデータ)として複数の色成分の各成分データが保持されている場合、には、各成分データの指定エリアのうち2以上の一部又は全部に対してそれぞれ上記の処理を行い、いずれかの色成分においてラインスクリーン判別部154により縞状構造が特定された場合には、ラインスクリーンの適用領域であると判別(すなわち、論理OR)してよい。
【0053】
以上のように、本実施形態の画像処理部12は、各画素値が多階調(例えば、256階調)で表された画像の入力データにおいて指定エリアを定め、当該指定エリア内の複数の画素値の頻度分布を取得する頻度分布取得部151と、頻度分布取得部151により取得された頻度分布に基づいて、画素値を二値化する境界値を設定する境界値設定部152と、指定エリア内の複数の画素値を境界値により二値化した二値画像データを生成する二値化処理部153と、二値画像データに基づいて、ラインスクリーン処理に応じた縞状構造を特定するラインスクリーン判別部154と、を備える。境界値設定部152は、頻度分布において頻度が極小となる画素値(頻度極小値)に基づいて2個の境界値を設定する。
このように、本発明者により見出されているラインスクリーンの適用画像における頻度分布の特徴に基づいて、頻度分布における頻度の極小値に対応する階調値を境界値として二値化判断を行うので、読取画像における中間階調値が二値の両側に分かれて中途半端な二値画像にならず、より適切に二値のいずれかが反映される。これにより、スクリーン処理が適用された画像において、スクリーン適用部分のスクリーンパターンをより忠実に反映した二値画像が得られる。したがって、ラインスクリーンが適用されたエリアの縞状構造(ラインペア)がより確実に検出される一方、網点スクリーンが適用されたエリアの読取による見かけ上の縞状構造をより確実に排除することが可能になる。よって、ラインスクリーンが適用されたエリアをより確実に特定することができ、これにより、ラインスクリーンの適用エリア外で文字領域の特定漏れを抑制することが可能になる。
【0054】
また、ラインスクリーン判別部154は、2個の境界値の少なくともいずれかにより得られた二値画像データから縞状構造が特定された場合に、指定エリアがラインスクリーンの適用エリアであると特定する。これにより、ラインスクリーンの適用エリアの検出漏れをより適切に排除することができる。
【0055】
また、ラインスクリーン判別部154は、二値画像データにおける二値の交互な出現パターンに基づいて縞状構造(ラインペアの繰り返し)を特定する。ラインスクリーンの場合には、ラインの延長方向に垂直な方向について、二値が周期的かつ交互に出現するので、これを特定することで、ラインスクリーンの適用領域を容易かつ確実に特定することができる。また、上述のように、境界値を適切に設定することで、このような容易な処理であっても見かけ上の縞状構造をより確実に除外することができる。
【0056】
また、境界値設定部152は、頻度分布において頻度が極小となる階調値(頻度極小値)が2点存在しない場合には、頻度分布における所定の代表値から所定幅だけ上下にそれぞれずらした値を2個の境界値として設定する。すなわち、代表値を直接境界値とするのではなく、ラインスクリーンの適用エリアの特定に適切であると想定する値を境界値として設定することで、見かけ上の縞状構造を排除して、ラインスクリーンの適用エリアではないことをより確実に判別することができる。
【0057】
また、所定の代表値は、指定エリアにおける各画素値の平均値A及び中央値Mの平均であり、所定幅は、指定エリアにおける画素値の最大値と最小値の差分である全幅Wに対する所定の割合を示す係数Kを乗じた値である。これにより、背景色及び付与される色材の色などによる影響を低減して、より適切な値を境界値として定め、ラインスクリーンの適用エリアでないことをより確実に判別することができる。
【0058】
また、画像処理部12は、係数Kを記憶するメモリー122を備える。適切な係数Kを予め保持しておくことで、毎回指定エリアの少ないデータなどから算出したり推定したりする必要がなく、安定して適切な境界値を得ることができる。
【0059】
また、係数Kは、2個の境界値が得られた場合の当該境界値に基づいて求められた値である。すなわち、実際にラインスクリーンの適用エリアで特定された境界値に基づいて2つの境界値が定められるように係数Kが決定されていることで、より安定して見かけ上の縞状構造をラインスクリーンの適用領域ではないと判別することができる。
【0060】
また、入力画像データは、RGBなどの複数の色成分でそれぞれ画素値が定められている多階調の画像の成分データを含み、ラインスクリーン判別部154は、成分データのいずれかで指定エリアの縞状構造が特定された場合に、当該指定エリアがラインスクリーンの適用エリアであると特定する。画像によっては全ての色成分で十分な濃度の成分画像が形成されているとは限らず、一方で、色成分間で縞状構造の検出に係る特性が異なるわけではないので、いずれかの色で縞状構造が特定されさえすれば、ラインスクリーンの適用エリアであると特定してよい。
【0061】
また、指定エリアにおける文字の表示部分を特定する文字判別部155と、入力画像データのうち、縞状構造が特定された指定エリアに対して平滑化処理を行う平滑化処理部157aと、入力画像データのうち、文字の表示部分が特定された指定エリアに対して文字の輪郭を強調する強調処理を行う輪郭処理部157bと、を備える。
すなわち、スクリーンの適用領域と文字の表示部分とで平滑化処理と輪郭の強調処理という正反対の処理がなされるので、本実施形態のようにラインスクリーンの適用エリアをより確実に判別可能とすることで、平滑化及び輪郭強調がなされる領域をより適切に定めることが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の画像形成装置1は、上記の画像処理部12と、入力画像データに基づいて画像形成動作を行う形成動作部21と、を備える。この画像形成装置1では、スキャナーなどの読取装置により読み取られたスクリーン処理の適用画像におけるスクリーンの適用エリアをより適切に判別して平滑化し、一方で、文字などの表示部分をより確実に輪郭強調することができるので、スキャン画像を複写して出力する場合などにより高画質の画像を出力することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態の画像領域判別方法は、各画素値が多階調で表された画像の入力データ(入力画像データ)において指定エリアを定め、当該指定エリア内の複数の画素値の頻度分布を取得する分布取得ステップ、分布取得ステップで取得された頻度分布に基づいて、画素値を二値化する境界値を設定する境界設定ステップ、指定エリア内の複数の画素値を境界値により二値化した二値画像データを生成する二値化ステップ、二値画像データに基づいて、ラインスクリーン処理に応じた縞状構造を特定する第1特定ステップ、を含む。境界設定ステップでは、頻度分布における頻度が極小となる画素値に基づいて2個の境界値を設定する。
このように、本発明者により見出されているラインスクリーンの適用画像における頻度分布の特徴に基づいて、頻度分布における頻度の極小値に対応する階調値を境界値として二値化判断を行うので、読取画像における中間階調値が二値の両側に分かれて中途半端な二値画像にならず、より適切に二値のいずれかが反映される。これにより、スクリーン処理が適用された画像において、スクリーン適用部分のスクリーンパターンをより忠実に反映した二値画像が得られる。したがって、ラインスクリーンが適用されたエリアの縞状構造(ラインペア)がより確実に検出される一方、網点スクリーンが適用されたエリアの読取による見かけ上の縞状構造をより確実に排除することが可能になる。よって、ラインスクリーンが適用されたエリアをより確実に特定することができ、これにより、この画像領域判別方法では、ラインスクリーンの適用エリア外で文字領域の特定漏れを抑制することが可能になる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、2つの二値化の境界値に基づく指定エリアの二値化処理及びラインスクリーンの判別処理は、並列に行われてもよいし、一方の境界値による二値化処理及びラインスクリーンの判別処理が行われて、ラインスクリーンの適用領域であると判別されなかった場合にのみ、他方の境界値による二値化処理及びラインスクリーン判別処理が行われてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、2つの境界値による二値画像のうちいずれかで縞状構造が検出されればラインスクリーンの適用エリアであると判別したが、いずれか一方でのみ検出された場合には、他方の結果について、適宜な追加の条件などを付して判別を行ってもよい。
【0066】
また、縞状構造の検出方法は、上記実施の形態に示したものに限られるものではない。例えば各ラインを特定してから、その方向及び間隔の法則性などに基づいて判断されてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、指定エリアの代表値として、階調値の平均値Aと中央値Mの平均値を用いることとしたが、これに限られない。平均値A又は中央値Mがそのまま用いられてもよいし、全画素値の中心付近を特定する他の値が用いられてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、代表値に対して上下に同幅ずらすこととしたが、上側と下側で分布が異なる場合には、上下で異なる所定幅が設定されてもよい。また、所定幅の定め方は、上述のものに限られず、例えば、分布の分散値、歪度、尖度などが考慮されてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、RGBのカラー画像を例に挙げて説明したが、これに限られない。単色のグレースケール画像であってもよいし、他の表色系で表された画像データであってもよい。他の表色系で表されている場合には、表色系に応じてスクリーンに応じた階調の違いが現れる指標について、上記の処理が行われればよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、ラインスクリーンと網点スクリーンのみを挙げて説明したが、網点スクリーン以外のスクリーンが使用された画像の当該スクリーンが判別可能であってもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、2つの頻度極小値が特定されるか頻度極小値が1個以下であるものとして説明したが、指定エリアのサイズや画像の解像度などに応じて3つ以上生じた場合には、頻度の小さい順に2つ選択してもよいし、直近の極大値との差の大きさに基づいて2つ選択してもよい。あるいは、指定エリアのサイズ及び/又は頻度分布の頻度幅を変更可能としてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、画像形成装置1が備える画像処理部12について説明したが、画像処理部12は、コンピューターであって画像形成装置1とは別の装置であってもよい。この場合、画像処理部12の処理データが画像形成装置1に送られてもよい。また、画像形成のための画像処理ではなく、ディスプレイなどに表示するための画像処理が行われてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、外部から入力画像データが取得されたが、画像形成装置1が読取装置を内蔵していてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、各処理がASICなどの専用論理回路でなされるものとして説明したが、プログラムによりソフトウェア的にCPU(ハードウェアプロセッサー)によって実行されてもよい。
その他、上記実施の形態で示した構成、処理内容、処理手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
11 通信部
12 画像処理部
121 制御部
122 メモリー
21 形成動作部
151 頻度分布取得部
152 境界値設定部
153 二値化処理部
154 ラインスクリーン判別部
155 文字判別部
156 網点スクリーン判別部
157 形成データ処理部
157a 平滑化処理部
157b 輪郭処理部
D 境界値
K 係数