(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】紫外光照射装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20221101BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20221101BHJP
H01L 33/52 20100101ALI20221101BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/00 H
H01L33/52
(21)【出願番号】P 2019167549
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青 孝次
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩史
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103855274(CN,A)
【文献】特開2016-019000(JP,A)
【文献】特開2012-164742(JP,A)
【文献】特開平05-198694(JP,A)
【文献】特開2005-203437(JP,A)
【文献】特開2004-266168(JP,A)
【文献】特開2017-005084(JP,A)
【文献】特開2003-216059(JP,A)
【文献】特開平07-035956(JP,A)
【文献】特開昭61-120431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00, 33/48 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に実装された、紫外光を発する発光素子と、
前記紫外光を透過する前記紫外光を取り出すための光取出部を有する、前記配線基板及び前記発光素子を収容する容器と、
前記発光素子を囲み、前記配線基板と前記容器に挟まれた環状部品と、
前記容器内の前記環状部品の外側に充填された、前記環状部品の内側の領域を気密封止するための封止樹脂と、
前記配線基板に接続された、前記発光素子に電力を供給するための電源ハーネスと、
を備
え、
前記容器が、前記環状部品の外側に前記電源ハーネスを取り出すためのハーネス取出口を有し、
前記ハーネス取出口が、前記封止樹脂の注入口を兼ねる、
紫外光照射装置。
【請求項2】
前記容器の全体が、前記紫外光を透過するフィルムから構成される、
請求項
1に記載の紫外光照射装置。
【請求項3】
前記容器が、前記光取出部としての透明窓を有する筐体である、
請求項
1に記載の紫外光照射装置。
【請求項4】
前記容器が、前記紫外光照射装置を取付対象物に取り付けるための、前記対象物に設けられた線状の溝に嵌め込む板状の鍔部を両側部に備える、
請求項
3に記載の紫外光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外光の照射により殺菌や空気の浄化を実施することのできる紫外光照射装置であって、光源が気密封止された発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の発光装置においては、紫外光を発するLEDチップがステムに実装された発光ダイオードが、紫外光を透過する光源カバーで覆われている。発光ダイオードの気密封止は、光源カバー内を真空若しくは減圧した後で、光源カバーの開口部をヒートシールすることにより形成される。
【0004】
特許文献1に記載の発光装置は、発光ダイオードが気密封止されているため、発光ダイオードへの水分の付着を防ぎ、水分を多く含む場所や水中において殺菌や空気の浄化を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発光装置においては、光源カバーの開口部におけるヒートシール部に僅かでも剥がれが生じると気密が破れるおそれがあり、その結果、光源カバー内の発光ダイオードに水分が付着するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、光源が気密封止された紫外光照射装置であって、気密が破れ難く優れた防水性を有する紫外光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[5]の紫外光照射装置を提供する。
【0009】
[1]配線基板と、前記配線基板に実装された、紫外光を発する発光素子と、前記紫外光を透過する前記紫外光を取り出すための光取出部を有する、前記配線基板及び前記発光素子を収容する容器と、前記発光素子を囲み、前記配線基板と前記容器に挟まれた環状部品と、前記容器内の前記環状部品の外側に充填された、前記環状部品の内側の領域を気密封止するための封止樹脂と、を備えた、紫外光照射装置。
[2]前記配線基板に接続された、前記発光素子に電力を供給するための電源ハーネスを備え、前記容器が、前記環状部品の外側に前記電源ハーネスを取り出すためのハーネス取出口を有し、前記ハーネス取出口が、前記封止樹脂の注入口を兼ねる、上記[1]に記載の紫外光照射装置。
[3]前記容器の全体が、前記紫外光を透過するフィルムから構成される、上記[1]又は[2]に記載の紫外光照射装置。
[4]前記容器が、前記光取出部としての透明窓を有する筐体である、上記[1]又は[2]に記載の紫外光照射装置。
[5]前記容器が、前記紫外光照射装置を取付対象物に取り付けるための、前記取付対象物に設けられた線状の溝に嵌め込む板状の鍔部を両側部に備える、上記[4]に記載の紫外光照射装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光源が気密封止された紫外光照射装置であって、気密が破れ難く優れた防水性を有する紫外光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)、(b)は、第1の実施の形態に係る紫外光照射装置の斜視図と垂直断面図である。
【
図2】
図2(a)、(b)は、第1の実施の形態に係る紫外光照射装置の変形例の斜視図と垂直断面図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る紫外光照射装置の斜視図と垂直断面図である。
【
図4】
図4は、容器内に封止樹脂を充填する前の第2の実施の形態に係る紫外光照射装置の下面図である。
【
図5】
図5は、取付対象物に取り付けられた状態の第2の実施の形態に係る紫外光照射装置の垂直断面図である。
【
図6】
図6(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る紫外光照射装置の変形例の斜視図と垂直断面図である。
【
図7】
図7は、取付対象物に取り付けられた状態の第2の実施の形態に係る紫外光照射装置の変形例の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1の実施の形態〕
(紫外光照射装置の構成)
図1(a)、(b)は、第1の実施の形態に係る紫外光照射装置1の斜視図と垂直断面図である。
図1(b)は、電源ハーネス16が延びる方向の断面を示し、発光素子11と電源ハーネス16の断面を含むが、発光素子11と電源ハーネス16との位置関係は、両者が同一の断面に表れるようなものに限られない。
【0013】
紫外光照射装置1は、紫外光を発する発光素子11を光源とする、紫外光の照射により照射対象物の殺菌を実施する殺菌装置である。紫外光照射装置1は、発光素子11が気密封止された防水構造を有するため、水などの液体中での使用が可能であり、例えば、液体の殺菌に用いられる。
【0014】
紫外光照射装置1は、配線基板10と、配線基板10に実装された、紫外光を発する発光素子11と、配線基板10及び発光素子11を収容する容器13と、発光素子11を囲み、配線基板10と容器13に挟まれた環状部品12と、容器13内の環状部品12の外側に充填された、環状部品12の内側の領域を気密封止するための封止樹脂14と、を備える。
【0015】
配線基板10は、図示されない配線を有する基板であり、その配線に発光素子11の電極が接続されている。配線基板10の材料は特に限定されず、例えば、ガラスエポキシ基板が配線基板10として用いられる。また、配線基板10の平面形状は特に限定されず、例えば、1辺の長さL3が10~20mmの四角形からなる。
【0016】
配線基板10は、環状部品12の外側、典型的には裏面(発光素子11の実装面の反対側の面)に、後述する電源ハーネス16を接続するためのコネクタ15を備える。コネクタ15は、配線基板10の配線を介して発光素子11に電気的に接続されている。
【0017】
発光素子11は、例えば、発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード(LD)であり、典型的には、LEDが用いられる。発光ダイオードは、小型の発光素子であり、また、消費電力、発熱量が小さく、かつ長寿命であるため、発光素子11としての使用に適している。紫外光照射装置1は、配線基板10上に1個の発光素子11を有してもよいし、複数の発光素子11を有してもよい。
【0018】
発光素子11の発する紫外光の波長は特に限定されないが、例えば、UV-Aと呼ばれる波長域(400~315nm)の紫外光、UV-Bと呼ばれる波長域(315~280nm)の紫外光、UV-Cと呼ばれる波長域(280nm未満)の紫外光であり、このうち最も殺菌効果の高いUV-Cであることが好ましい。
【0019】
環状部品12は、途切れのない環状の部品であり、容器13内に注入された硬化前の封止樹脂14が発光素子11の実装領域に入り込むことを抑制する。発光素子11の実装領域に入り込んだ封止樹脂14は発光素子11の紫外光の照射を阻害する場合がある(例えば、封止樹脂14の典型的な材料であるシリコーン樹脂も紫外光の透過率が高くない)ため、環状部品12の内側に存在する封止樹脂14は少ないほどよく、理想的には環状部品12の内側に封止樹脂14が存在しない。環状部品12は、例えば、Oリングやパッキンである。
【0020】
容器13は、その全体が、発光素子11から発せられる紫外光を透過する紫外光透過フィルム130a、130bから構成される。容器13の(紫外光透過フィルム130aの)発光素子11の上方に位置する部分が、発光素子11から発せられる紫外光を取り出すための光取出部として機能する。
【0021】
紫外光透過フィルム130a、130bの材料は、発光素子11の発光波長に応じて選択される。例えば、発光素子11がUV-AやUV-Bの波長域の光を発する場合は、フッ素樹脂やシリコーン樹脂が紫外光透過フィルム130a、130bの材料として用いられ、発光素子11がUV-Cの波長域の光を発する場合は、フッ素樹脂が紫外光透過フィルム130a、130bの材料として用いられる。
【0022】
紫外光透過フィルム130aは配線基板10の表面(発光素子11の実装面)を覆い、紫外光透過フィルム130bは配線基板10の裏面(発光素子11の実装面の反対側の面)を覆う。容器13は、後述する電源ハーネス16の取出口であるハーネス取出口132を開口部とする袋形状を有し、紫外光透過フィルム130aと紫外光透過フィルム130bの外周部のハーネス取出口132を含まない部分が溶着されている。この紫外光透過フィルム130aと紫外光透過フィルム130bの溶着された部分が
図1(a)、(b)に示される溶着部131である。
【0023】
封止樹脂14は、シリコーン樹脂のような水や湿気が透過しない材料からなる。封止樹脂14は、上述のように、容器13内の環状部品12の外側に充填されるため、容器13における封止樹脂14の注入口は、環状部品12の外側に設けられる。封止樹脂14の注入口の位置の具体例については後述する。
【0024】
また、紫外光照射装置1は、配線基板10に接続された、発光素子11に電力を供給するための電源ハーネス16を備える。電源ハーネス16は、端部にハーネスコネクタ17を有し、このハーネスコネクタ17が配線基板10のコネクタ15に接続されている。
【0025】
上述のように、
図1(a)、(b)に示される形態においては、紫外光透過フィルム130aと紫外光透過フィルム130bの外周部にハーネス取出口132が設けられており、電源ハーネス16が紫外光透過フィルム130aと紫外光透過フィルム130bの間から外部に取り出される。すなわち、容器13の側部に設けられたハーネス取出口132から電源ハーネス16が取り出される。
【0026】
ハーネス取出口132は、容器13の環状部品12の外側の領域に設けられているため、容器13の環状部品12の外側に充填される封止樹脂14の注入口を兼ねることができる。
【0027】
紫外光照射装置1は小型の殺菌装置として設計することができ、容器13の最大幅は、例えば3~10mmである。
図1(a)に示されるように、容器13の平面形状が四角形である場合、封止樹脂14の容器13内への充填を容易にするため、ハーネス取出口132を含む辺の長さL
2がハーネス取出口132を含まない辺の長さL
1よりも長いことが好ましい。ここで、長さL
1は、例えば20~30mmであり、長さL
2は、例えば25~35mmである。
【0028】
(紫外光照射装置の防水構造)
紫外光照射装置1は、発光素子11が気密封止された防水構造を有する。以下、防水構造の構成について説明する。
【0029】
紫外光照射装置1を構成する配線基板10、容器13(紫外光透過フィルム130a、130b)、封止樹脂14は、いずれも水を通さない材料からなる。
【0030】
容器13が水を通さないため、水や湿気の侵入口となり得るのはハーネス取出口132と、封止樹脂14の注入口がハーネス取出口132と別に設けられる場合はその注入口であるが、ハーネス取出口132や封止樹脂14の注入口は容器13内に充填された封止樹脂14により塞がれている。
【0031】
また、容器13内に充填された封止樹脂14は、配線基板10及び容器13(紫外光透過フィルム130a、130b)と密着しているため、封止樹脂14と配線基板10の隙間や、封止樹脂14と容器13の隙間からの水や湿気の侵入も防ぐことができる。
【0032】
これらの特徴を有する防水構造により、容器13内の環状部品12の内側の発光素子11の実装領域への水や湿気の侵入を防ぐことができる。
【0033】
また、紫外光照射装置1においては、ハーネスコネクタ17及び配線基板10のコネクタ15も封止樹脂14によって覆われており、水や湿気の付着による端子部分の劣化から守られている。
【0034】
(紫外光照射装置の製造方法)
紫外光照射装置1の製造方法の一例を以下に説明する。まず、発光素子11が実装され、電源ハーネス16が接続された配線基板10を用意する。
【0035】
次に、紫外光透過フィルム130aと紫外光透過フィルム130bで環状部品12を載せた配線基板10を両面から挟んで、紫外光透過フィルム130aと紫外光透過フィルム130bの外周部を重ね合わせ、熱溶着により溶着部131を形成する。このとき、紫外光透過フィルム130aと紫外光透過フィルム130bの間の電源ハーネス16を取り出す部分をハーネス取出口132として、この部分には溶着部131を形成しない。
【0036】
次に、加熱により液状化させた封止樹脂14をハーネス取出口132から容器13内に注入する。注入された封止樹脂14は、容器13内の環状部品12の外側に充填される。充填された封止樹脂14が硬化すると、紫外光照射装置1が得られる。
【0037】
封止樹脂14を注入する際には、封止樹脂14が環状部品12の内側に入り込むことを抑制するため、環状部品12を厚さ方向に圧縮するように紫外光透過フィルム130aの上から環状部品12に力を加えて、環状部品12と紫外光透過フィルム130aの間の隙間の形成を抑制することが好ましい。
【0038】
(変形例)
図2(a)、(b)は、第1の実施の形態に係る紫外光照射装置1の変形例である紫外光照射装置1aの斜視図と垂直断面図である。紫外光照射装置1aの構成は、容器13に設けられるハーネス取出口の位置において、紫外光照射装置1の構成と異なる。
【0039】
紫外光照射装置1aにおいては、容器13の裏側、紫外光透過フィルム130bの中央近傍にハーネス取出口133が設けられており、このハーネス取出口133から電源ハーネス16が取り出されている。また、容器13(紫外光透過フィルム130a、130b)の外周部の全周に溶着部131が形成されている。
【0040】
ハーネス取出口133は、容器13の環状部品12の外側の領域に設けられているため、容器13の環状部品12の外側に充填される封止樹脂14の注入口を兼ねることができる。
【0041】
紫外光照射装置1aは、紫外光照射装置1と同様の防水構造を有し、同様の方法により製造することができる。
【0042】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態に係る紫外光照射装置は、容器が光取出部を透明窓として有する筐体である点において、第1の実施の形態に係る紫外光照射装置と異なる。なお、第1の実施の形態と共通する点については、説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0043】
(紫外光照射装置の構成)
図3(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る紫外光照射装置2の斜視図と垂直断面図である。
図3(b)は、電源ハーネス16が延びる方向に垂直な断面を示し、発光素子11と電源ハーネス16の断面を含むが、発光素子11と電源ハーネス16との位置関係は、両者が同一の断面に表れるようなものに限られない。
【0044】
紫外光照射装置2は、第1の実施の形態に係る紫外光照射装置1と同様に、紫外光を発する発光素子11を光源とする、紫外光の照射により照射対象物の殺菌を実施する殺菌装置である。また、紫外光照射装置2は、発光素子11が気密封止された防水構造を有するため、水などの液体中での使用が可能であり、例えば、液体の殺菌に用いられる。
【0045】
紫外光照射装置2は、配線基板10と、配線基板10に実装された、紫外光を発する発光素子11と、配線基板10及び発光素子11を収容する容器20と、発光素子11を囲み、配線基板10と容器13に挟まれた環状部品12と、容器20内の環状部品12の外側に充填された、環状部品12の内側の領域を気密封止するための封止樹脂14と、を備える。
【0046】
容器20は、樹脂や金属からなる筐体の本体201と、発光素子11から発せられる紫外光を透過する透明窓202とを有する筐体である。容器20において、透明窓202が、発光素子11から発せられる紫外光を取り出すための光取出部として機能する。
【0047】
本体201は、光取出口204が設けられた筐状部分201aと、電源ハーネス16の取出口と封止樹脂14の注入口を兼ねる開口部205が設けられた板状部分201bを有する。光取出口204は、発光素子11から発せられる紫外光を取り出すための開口部であり、発光素子11の上方に位置する。
【0048】
筐状部分201aと板状部分201bを組み合わせることにより形成される本体201の内部の空間に、配線基板10、発光素子11、環状部品12、及び封止樹脂14が収容される。
【0049】
透明窓202は、発光素子11から発せられる紫外光を透過する板状部材又はフィルムである。透明窓202の材料は、発光素子11の発光波長に応じて選択される。例えば、発光素子11がUV-AやUV-Bの波長域の光を発する場合は、フッ素樹脂やシリコーン樹脂が透明窓202の材料として用いられ、発光素子11がUV-Cの波長域の光を発する場合は、フッ素樹脂が透明窓202の材料として用いられる。
【0050】
透明窓202は、発光素子11の上方を覆い、筐状部分201aの光取出口204を下側(発光素子11側)から塞いでいる。透明窓202は、筐状部分201aと環状部品12に挟まれて固定されている。発光素子11から発せられた紫外光は、透明窓202を透過し、筐状部分201aの光取出口204から取り出される。
【0051】
Oリングやパッキンである環状部品12は、厚さ方向に圧縮された状態で容器20に収容されている。これによって、環状部品12の真上で筐状部分201aと透明窓202が強く密着し、筐状部分201aと透明窓202の隙間からの水や湿気の容器20内への侵入を防ぐことができる。
【0052】
上述のように、紫外光照射装置2においては、容器20の板状部分201bに設けられた開口部205から電源ハーネス16が取り出される。開口部205は、容器20の環状部品12の外側の領域に設けられているため、容器20の環状部品12の外側に充填される封止樹脂14の注入口として用いることができる。
【0053】
図4は、容器20内に封止樹脂14を充填する前の紫外光照射装置2の下面図である。
図4に示されるように、配線基板10は縁に凹部100を有し、凹部100の一部が開口部205内に露出している。このため、開口部205内に露出する凹部100から容器20の内部に封止樹脂14を注入することができる。
【0054】
板状部分201bは、
図3(a)、(b)に示されるように、紫外光照射装置2を取付対象物に取り付けるための板状の鍔部206を両側部に備えることが好ましい。
【0055】
図5は、取付対象物5に取り付けられた状態の紫外光照射装置2の垂直断面図である。取付対象物5は、紫外光照射装置2の板状の鍔部206を嵌め込むための、互いに対向する線状の溝51を有する2つの固定部50を備える。紫外光照射装置2を取付対象物5上でスライドさせて鍔部206を固定部50の線状の溝51に嵌め込むことにより、紫外光照射装置2を取付対象物5に取り付けることができる。
【0056】
図5に示される例では、紫外光照射装置2は、光取り出し方向が取付対象物5の反対側を向くように取り付けられる。
【0057】
紫外光照射装置2は小型の殺菌装置として設計することができ、容器20の最大幅は、例えば3~10mmである。例えば、
図3(a)に示されるように、容器20の平面形状が四角形である場合、板状部分201bが突出していない方向の長さL
4が20~30mmであり、板状部分201bが突出している方向の長さL
5が25~35mmである。また、板状部分201bが突出している方向の筐状部分201aの長さL
6は、例えば10~20mmである。
【0058】
(紫外光照射装置の防水構造)
紫外光照射装置2は、第1の実施の形態に係る紫外光照射装置1と同様に、発光素子11が気密封止された防水構造を有する。以下、防水構造の構成について説明する。
【0059】
紫外光照射装置2を構成する配線基板10、容器20(本体201、透明窓202)、封止樹脂14は、いずれも水を通さない材料からなる。
【0060】
容器20が水を通さないため、水や湿気の侵入口となり得るのは開口部205と光取出口204であるが、開口部205は容器13内に充填された封止樹脂14により塞がれ、また、光取出口204は透明窓202により塞がれている。
【0061】
また、容器13内に充填された封止樹脂14は、配線基板10及び容器20(本体201、透明窓202)と密着しているため、封止樹脂14と配線基板10の隙間や、封止樹脂14と容器20の隙間からの水や湿気の侵入も防ぐことができる。また、環状部品12のシール部品としての働きにより、環状部品12の真上で筐状部分201aと透明窓202が強く密着し、筐状部分201aと透明窓202の隙間からの水や湿気の容器20内への侵入も防ぐことができる。
【0062】
これらの特徴を有する防水構造により、容器20内の環状部品12の内側の発光素子11の実装領域への水や湿気の侵入を防ぐことができる。なお、この防水構造によれば、容器13の溶着部131の一部に仮に剥離が生じたとしても、容器13内に充填された封止樹脂4により十分に防水性能を保持することができる。
【0063】
また、紫外光照射装置2においては、ハーネスコネクタ17及び配線基板10のコネクタ15も封止樹脂14によって覆われており、水や湿気の付着による端子部分の劣化から守られている。
【0064】
(紫外光照射装置の製造方法)
紫外光照射装置2の製造方法の一例を以下に説明する。まず、発光素子11が実装され、電源ハーネス16が接続された配線基板10を用意する。
【0065】
次に、配線基板10を環状部品12、透明窓202とともに筐状部分201a内に入れ込み、筐状部分201aと板状部分201bを接合する。これにより、筐状部分201a、板状部分201b、及び透明窓202からなる容器20に配線基板10と環状部品12が収容される。筐状部分201aと板状部分201bの接合方法は特に限定されないが、例えば、接着剤による接着が用いられる。
【0066】
次に、加熱により液状化させた封止樹脂14を容器20の開口部205から容器20内に注入する。注入された封止樹脂14は、容器20内の環状部品12の外側に充填される。充填された封止樹脂14が硬化すると、紫外光照射装置2が得られる。
【0067】
封止樹脂14を注入する際には、環状部品12が厚さ方向に圧縮する力を受けて環状部品12と配線基板10、及び環状部品12と透明窓202が強く密着しているため、封止樹脂14が環状部品12の内側に入り込むことを効果的に防ぐことができる。
【0068】
(変形例)
図6(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る紫外光照射装置2の変形例である紫外光照射装置3の斜視図と垂直断面図である。紫外光照射装置3の構成は、紫外光照射装置を取付対象物に取り付けるための板状の鍔部の容器における位置において、紫外光照射装置2の構成と異なる。
【0069】
紫外光照射装置3において配線基板10、発光素子11、及び環状部品12を収容する容器30は、樹脂や金属からなる筐体の本体301と、発光素子11から発せられる紫外光を透過する透明窓202とを有する。容器30において、透明窓202が、発光素子11から発せられる紫外光を取り出すための光取出部として機能する。
【0070】
本体301は、光取出口304が設けられた板状部分301aと、電源ハーネス16の取出口と封止樹脂14の注入口を兼ねる開口部305が設けられた筐状部分301bを有する。光取出口304は、発光素子11から発せられる紫外光を取り出すための開口部であり、発光素子11の上方に位置する。
【0071】
板状部分301aと筐状部分301bを組み合わせることにより形成される本体301の内部の空間に、配線基板10、発光素子11、環状部品12、及び封止樹脂14が収容される。
【0072】
板状部分301aは、
図6(a)、(b)に示されるように、紫外光照射装置2を取付対象物に取り付けるための板状の鍔部306を両側部に備える。すなわち、鍔部306は紫外光照射装置3の上側(光取り出し側)に設けられている。
【0073】
図7は、取付対象物6に取り付けられた状態の紫外光照射装置3の垂直断面図である。取付対象物6は、紫外光照射装置3の板状の鍔部306を嵌め込むための、互いに対向する線状の溝61を有する2つの固定部60を備える。紫外光照射装置3を取付対象物6上でスライドさせて鍔部306を固定部60の線状の溝61に嵌め込むことにより、紫外光照射装置3を取付対象物6に取り付けることができる。
【0074】
図7に示される例では、紫外光照射装置3は、光取り出し方向が取付対象物6側を向くように取り付けられ、取付対象物6に設けられた孔63を通して紫外光が照射される。
【0075】
紫外光照射装置2と紫外光照射装置3の例に示されるように、取付対象物の形態に応じて、紫外光照射装置を取付対象物に取り付けるための板状の鍔部の容器における位置を適宜設定することができる。
【0076】
紫外光照射装置3は、紫外光照射装置2と同様の防水構造を有し、同様の方法により製造することができる。
【0077】
(実施の形態の効果)
上記第1、第2の実施の形態に係る紫外光照射装置は、容器内が封止樹脂で充填されているなどの特徴を有する防水構造により、気密が破れ難く優れた防水性を有し、水中や湿度の高い環境下での使用における信頼性が高い。
【0078】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0079】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0080】
1、1a、2、3 紫外光照射装置
10 配線基板
11 発光素子
12 環状部品
13 容器
130a、130b 紫外光透過フィルム
131 溶着部
132、133 ハーネス取出口
14 封止樹脂
16 電源ハーネス
20、30 容器
201、301 本体
202 透明窓
205、305 開口部
206、306 鍔部