IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-倣い装置 図1
  • 特許-倣い装置 図2
  • 特許-倣い装置 図3
  • 特許-倣い装置 図4
  • 特許-倣い装置 図5
  • 特許-倣い装置 図6
  • 特許-倣い装置 図7
  • 特許-倣い装置 図8
  • 特許-倣い装置 図9
  • 特許-倣い装置 図10
  • 特許-倣い装置 図11
  • 特許-倣い装置 図12
  • 特許-倣い装置 図13
  • 特許-倣い装置 図14
  • 特許-倣い装置 図15
  • 特許-倣い装置 図16
  • 特許-倣い装置 図17
  • 特許-倣い装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】倣い装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/02 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B25J17/02 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019570641
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2019001368
(87)【国際公開番号】W WO2019155845
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2018021585
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】飯田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】栃本 茂昭
(72)【発明者】
【氏名】高岡 宏
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-276432(JP,A)
【文献】特開2002-359263(JP,A)
【文献】特開2012-235236(JP,A)
【文献】特開2001-239447(JP,A)
【文献】特開2009-115782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の対象面に、目的物の目的面を倣わせる倣い装置であって、
第1支点周りに回動し、前記目的物を保持する保持部と、
前記保持部に一方端で連結され、連結方向を除いて自由度を持つ中間部と、
前記中間部の他方端に連結され、前記第1支点と異なる第2支点周りに回動するバランサ部とを備え、
前記第1支点の第1支点位置、前記目的物を保持している場合における前記目的物および前記保持部のうちの前記第1支点周りに回動する部分の重心の第1重心位置、前記中間部の屈曲点の屈曲位置、第2支点位置および前記バランサ部のうちの前記第2支点周りに回動する部分の重心の第2重心位置は、この順で並んで位置する、
倣い装置。
【請求項2】
前記第1支点の第1支点位置、前記目的物を保持している場合における前記目的物および前記保持部のうちの前記第1支点周りに回動する部分の重心の第1重心位置、前記中間部の屈曲点の屈曲位置、第2支点位置および前記バランサ部のうちの前記第2支点周りに回動する部分の重心の第2重心位置は、それぞれバランスのとれる位置関係に設定されている、
請求項1に記載の倣い装置。
【請求項3】
前記第1重心位置に作用する負荷をF1とし、前記第1支点位置から前記第1重心位置までの第1距離をL1とし、前記第1支点位置から前記屈曲位置までの第2距離をL2とし、前記屈曲位置から前記第2支点位置までの第3距離をL3とし、前記第2支点位置から前記第2重心位置までの第4距離をL4とし、前記目的物を保持している場合における前記目的物および前記保持部のうちの第1支点周りに回動する部分の質量をm1とした場合に、前記バランサ部のうちの前記第2支点周りに回動する部分の質量m2は、次式1を満たす、
請求項2に記載の倣い装置。
式1;m2={(L1・L3)/(L2・L4)}・m1
【請求項4】
前記第1および第2支点は、それぞれ、第1軸回りの回動および第2軸回りの回動を行うための線形独立な2方向の2軸である、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の倣い装置。
【請求項5】
前記中間部は、屈曲姿勢から元の姿勢に復帰させる復帰部をさらに備える、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の倣い装置。
【請求項6】
前記対象面と前記目的面とを離接する離接方向に前記保持部を移動させる移動機構をさらに備える、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の倣い装置。
【請求項7】
前記目的物を保持している場合における前記目的物および前記保持部、前記中間部ならびに前記バランサ部における姿勢に応じて重力によって生じる負荷を一定にするための第2バランサ部をさらに備える、
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の倣い装置。
【請求項8】
前記目的物をさらに備え、
前記目的物は、所定の光学特性を測定する光学特性測定器である、
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の倣い装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の対象面に、目的物の目的面を倣わせる倣い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、加工、計測および検査等において、対象物の対象面に、目的物の目的面を倣わせる、好ましくは前記対象面と前記目的面とが互いに平行となるように前記対象面に対し前記目的面を位置させる、倣い装置が用いられている。このような倣い装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された倣い機構は、球面状曲面を有する摺動保持部と、この摺動保持部の前記球面状曲面に相対する球面状曲面を有する可動部との間に、磁力による吸着力と、加圧エアの静圧及び前記可動部の自重との均衡による静圧空気軸受を形成する倣い機構において、前記可動部は、前記球面状曲面を有する摺動部と、倣い基準物に自身の下面を倣わせる倣い部を有し、前記球面状曲面の曲率中心は前記下面上に存在し、前記倣い部を構成する物質より比重の軽い物質で前記摺動部を構成することによって、前記可動部の重心を前記曲率中心側に近づける倣い機構である。
【0004】
前記特許文献1に開示された倣い機構では、この倣い機構が鉛直方向で使用される場合、可動部における球面状曲面の曲率中心の位置と前記可動部における重心の位置とは、鉛直線上に位置するため、摺動保持部に対し可動部は、自重で自然に回転しないが、前記倣い機構が水平方向で使用された場合、可動部における球面状曲面の曲率中心の位置と前記可動部における重心の位置とは、一致していないため、摺動保持部に対し可動部が自重で自然に回転してしまう。この点、前記特許文献1では、可動部における対象物に倣わせる面側にカウンターウェイトを取り付けることで、前記曲率中心の位置と前記重心の位置とは、互いに一致させることができる。しかしながら、前記加工、計測および検査等において、対象物に倣わせる際に、例えば前記対象物に前記カウンターウェイトが当接してしまう等、前記対象物と前記カウンターウェイトとが干渉する場合には、前記カウンターウェイトを取り付けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-274359号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、鉛直方向だけでなく他の方向、特に水平方向にも使用できる倣い装置を提供することである。
【0007】
上述した目的を実現するために、本発明の一側面を反映した倣い装置は、対象物の対象面に、目的物の目的面を倣わせる装置であって、第1支点周りに回動し、目的物を保持する保持部と、前記第1支点と異なる第2支点周りに回動するバランサ部と、前記保持部および前記バランサ部それぞれに連結され、連結方向に沿って伸縮し、前記連結方向の直交方向に曲がる中間部とを備え、前記第1支点の第1支点位置、目的物を保持している場合における目的物および保持部のうちの前記第1支点周りに回動する部分の重心の第1重心位置、中間部の屈曲点の屈曲位置、第2支点位置およびバランサ部のうちの前記第2支点周りに回動する部分の重心の第2重心位置は、この順で並んで位置する。
【0008】
発明の1または複数の実施形態により与えられる利点および特徴は、以下に与えられる詳細な説明および添付図面から十分に理解される。これら詳細な説明及び添付図面は、例としてのみ与えられるものであり本発明の限定の定義として意図されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態における倣い装置の正面図である。
図2図1に示す前記倣い装置の側面図である。
図3図1に示す前記倣い装置の後面図である。
図4図1に示す前記倣い装置の上面図である。
図5図1に示す前記倣い装置の斜視図である。
図6図1に示す前記倣い装置における中間部の構造を示す図である。
図7図1に示す前記倣い装置におけるバランス部の構造を示す図である。
図8図1に示す前記倣い装置における第1台板より下部の構成を示す斜視図である。
図9】図略の対象物の対象面に目的面を倣わせた状態にある前記倣い装置の斜視図である。
図10図9に示す前記倣い装置の上面図である。
図11図9に示す前記倣い装置の側面図である。
図12図1に示す前記倣い装置の動作を説明するための図である。
図13図1に示す前記倣い装置において、全体が角度θで傾いた場合での動作を説明するための図である。
図14図1に示す前記倣い装置において、対象物の対象面に、目的物の目的面を倣わせる場合での動作を説明するための図である。
図15図14に示す場合での伸縮部に作用する力を説明するための図である。
図16】前記対象物の対象面から前記目的物の目的面が離脱した場合での動作を説明するための図である。
図17】第1変形形態の倣い装置を説明するための図である。
図18】第2変形形態の倣い装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0011】
実施形態における倣い装置は、対象物の対象面に、目的物の目的面を倣わせる装置であって、第1支点周りに回動し、前記目的物を保持する保持部と、前記保持部に一方端で連結され、連結方向を除いて自由度を持つ中間部と、前記中間部の他方端に連結され、前記第1支点と異なる第2支点周りに回動するバランサ部とを備える。そして、本実施形態では、前記第1支点の第1支点位置、前記目的物を保持している場合における前記目的物および前記保持部のうちの前記第1支点周りに回動する部分の重心の第1重心位置、前記中間部の屈曲点の屈曲位置、第2支点位置および前記バランサ部のうちの前記第2支点周りに回動する部分の重心の第2重心位置は、この順で並んで位置する。このように第1支点位置と第1重心位置とが不一致で前記第1支点周りに保持部が回動してしまう場合でも、前記保持部に中間部を介してバランサ部が連結されているので、目的面が対象面に倣う位置で前記回動を停止することが可能となる。したがって、実施形態における倣い装置は、鉛直方向だけでなく他の方向、特に水平方向にも使用できる。以下、このような倣う装置について、より具体的に説明する。
【0012】
図1は、実施形態における倣い装置の正面図である。図2は、図1に示す前記倣い装置の側面図である。図3は、図1に示す前記倣い装置の後面図である。図4は、図1に示す前記倣い装置の上面図である。図5は、図1に示す前記倣い装置の斜視図である。図6は、図1に示す前記倣い装置における中間部の構造を示す図である。図6Aは、中間部の分解斜視図を示し、図6Bは、中間部の斜視図を示す。図7は、図1に示す前記倣い装置におけるバランス部の構造を示す図である。図7Aは、中間部の分解斜視図を示し、図7Bは、中間部の斜視図を示す。図8は、図1に示す前記倣い装置における第1台板より下部の構成を示す斜視図である。図8には、第1台板4および第1台板4上の各部材を取り除いた状態で倣い装置Dが図示されている。
【0013】
実施形態における倣い装置Dは、例えば、図1ないし図8に示すように、図略の対象物の対象面に、目的物Sの目的面SAを倣わせる、好ましくは前記対象面と目的面SAとが互いに平行となるように前記対象面に対し目的面SAを位置させる、装置であり、保持部1と、中間部2と、バランサ部3とを備える。そして、図1ないし図8に示す例では、倣い装置Dは、第1台板4と、第2台板5と、オプション部6とをさらに備える。
【0014】
第1台板4は、板状の部材、例えば図1ないし図5に示すXYZ直交座標系を設定すると、XY平面に平行な面広がりを持つ板状の部材である。第1台板4は、保持部1、中間部2およびバランサ部3を載せ、これを支持する。
【0015】
保持部1は、第1支点周りに回動し、目的物Sを保持する部材である。前記第1支点は、本実施形態では、第1軸回りの回動および第2軸回りの回動を行うための線形独立な2方向の2軸である。より具体的には、図1ないし図8に示す例では、前記第1支点における第1および第2軸それぞれは、互いに直交するY軸およびZ軸である。これにより、本実施形態では、保持部1は、第1台板4に立脚する第1脚部11(11a、11b)と、第1脚部11に対し第1支点の第1軸回り(Y軸回り)に回動する第1環状部12と、第1環状部12に対し前記第1支点の第2軸回り(Z軸回り)に回動する第2環状部13と、これら第1または第2環状部12、13、図1ないし図8に示す例では第2環状部13に連結し、前記第1および第2軸それぞれに直交する連結方向(X軸方向)に延び、目的物Sを載せる載置部14と、載置部14と中間部2とを連結する連結部15とを備える。
【0016】
第1脚部11は、第1環状部12を片持ちで支持しても良いが、本実施形態では、より安定的に、より位置精度良く支持するために、前記第1軸の延びる方向(Y軸方向)に互いに離間して第1台板4に立脚する一対の第1および第2サブ脚部11a、11bを備え、第1環状部12を両側から支持する。第1および第2サブ脚部11a、11bは、それぞれ、板状の部材であり、第1台板4の一方端(-X軸方向の端)から外側に出て斜め上方(斜め+Z軸方向)に延びるように、第1台板4の一方端側の上面部分に立脚して固定的に配設される。これら第1および第2サブ脚部11a、11bは、第1環状部12をその間に配設可能な間隔で、前記第1支点の第1軸(Y軸)に沿った方向で互いに離間している。第1および第2サブ脚部11a、11bは、それぞれ、上端側の部分に、前記第1支点の第1軸(Y軸)となる円柱状の第1軸部材111a、111bを回動可能に軸受けする、例えば貫通開口やボールベアリング等の軸受け部が設けられている。このように第1脚部11(11a、11b)を構成することで、載置部14で保持された目的物Sの目的面SAを外側に突出させることができる。
【0017】
第1環状部12は、その内部に第2環状部13を介して目的物Sを配置可能な第1内サイズを持つ環状(リング状)の部材であり、第1脚部11(11a、11b)に対し前記第1支点の第1軸回りに回動する。より具体的には、第1環状部12は、本実施形態では、前記第1軸の延びる方向(Y軸方向)に長尺な断面八角形の短長筒状の部材である。前記第2軸の延びる方向(Z軸方向)に沿って延びる第1環状部12の両側面には、それぞれ、それら各略中央位置に一対の第1軸部材111a、111bが第1軸(Y軸)方向に延びるように立設して固定的に取り付けられている。これら一対の第1軸部材111a、111bは、それぞれ、前記一対の第1および第2サブ脚部11a、11bに設けられた各軸受け部に、第1軸回りに回動可能に軸受けされるように、取り付けられる。前記第1軸の延びる方向(Y軸方向)に沿って延びる第1環状部12の上下面には、それぞれ、それら各略中央位置に、前記第1支点の第2軸(Z軸)となる円柱状の第2軸部材121a、121bを回動可能に軸受けする、例えば貫通開口やボールベアリング等の軸受け部が設けられている。
【0018】
第2環状部13は、第1環状部12より一回り小さく、その内部に目的物Sを配置可能な第2内サイズを持つ環状(リング状)の部材であり(目的物Sの外サイズ<第2環状部13の第2内サイズ<第1環状部12の第1内サイズ)、第1環状部12に対し前記第1支点の第2軸回りに回動する。より具体的には、第2環状部13は、第1環状部12と同様に、本実施形態では、Y軸方向に長尺な断面八角形の短長筒状の部材である。Y軸方向に沿って延びる第2環状部13の上下面には、それぞれ、それら各略中央位置に一対の第2軸部材121a、121bが第2軸(Z軸)方向に延びるように立設して固定的に取り付けられている。これら一対の第2軸部材121a、121bは、それぞれ、第1環状部12に設けられた各軸受け部に、第2軸回りに回動可能に軸受けされるように、取り付けられる。
【0019】
載置部14は、目的物Sを載せる薄板状の部材であり、本実施形態では、第2環状部13に連結され、前記第1および第2軸(Y軸およびZ軸)それぞれに直交する連結方向(X軸)に延びる。より具体的には、板状の載置部14は、その一方端(-X軸方向の端)の部分が第2環状部13の内下面に固定的に取り付けられ、目的物Sの目的面SAが前記第1および第2軸で形成される平面(YZ平面)と平行となるように、その上面に目的物Sが取り付けられる。
【0020】
連結部15は、保持部1に中間部2を取り付けるための部材であり、載置部14の他方端(+X軸方向の端)の部分上に固定的に取り付けられる。本実施形態では、連結部15は、前記連結方向(X軸方向)に離間して第2軸方向(+Z軸方向)に立設するような一対の側壁を持つZX平面の断面で略コ字(C字)形状の部材であり、一方の側壁には、載置部14で保持された目的物Sの他方側面(+X軸方向の側面)が当接して前記目的物Sがネジ等で固定的に取り付けられ、他方の側壁には、中間部2の後述の自在継手21が取り付けられる。
【0021】
なお、上述では、第1および第2サブ脚部11a、11bに各軸受け部が設けられ、第1環状部12に各第1軸部材111a、111bが取り付けられたが、逆に、各第1軸部材111a、111bが第1および第2サブ脚部11a、11bそれぞれに取り付けられ、各軸受け部が第1環状部12に設けられても良い。また、上述では、第1環状部12に各軸受け部が設けられ、第2環状部13に各第2軸部材121a、121bが取り付けられたが、逆に、各第2軸部材121a、121bが第1環状部12に取り付けられ、各軸受け部が第2環状部13に設けられても良い。また、上述では、第2環状部13が第1環状部12内に配置され、第2環状部13に載置部14が取り付けられたが、逆に、第1環状部12が第2環状部13内に配置され、第1環状部12に載置部14が取り付けられても良い。
【0022】
目的物Sは、鉛直方向の他の方向で少なくとも使用され得、その目的面SAを対象物の対象面に倣わせる必要がある装置である。好ましくは、目的物Sは、前記対象面と前記目的面SAとが互いに平行となるように前記対象面に対し前記目的面SAを位置させる必要がある装置である。例えば、目的物Sは、所定の光学特性を測定する光学特性測定器であり、測定対象物の測定面に臨み前記測定面からの測定光を取り入れる測定開口の開口面が目的面SAとされる。このような光学特性測定器は、例えば、輝度を測定する輝度計、色を測定する測色計、色彩および輝度を測定する色彩輝度計等である。
【0023】
本実施形態では、図1ないし図8に示すように、目的物Sは、直方体形状の箱形筐体を備える光学特性測定器であり、前記箱形筐体の一方端面(-X軸方向の端面)SFは、外方向に突出する曲面SFを持ち、前記曲面SFの頂部には、目的面SAとして開口面を持つ測定開口SAが形成されている。この例では、測定開口SAの周囲には、図1に示すように、周方向に等間隔(90度ごと)に点接触するための4個の突部CPが設けられている。光学特性測定器では、一般に、例えば規格等で予め規定されたジオメトリで光学特性を測定する必要がある。本実施形態における倣い装置Dは、後述するように、目的面(光学特性測定器における測定開口の開口面)SAを対象面に倣わせることができるので、前記ジオメトリで光学特性を測定でき、より高精度に光学特性を測定できるから、目的物Sは、光学特性測定器であることが好ましい。特に、前記曲面SFの頂部に目的面SAとして測定開口SAを形成することで、他の部材に干渉されずに好適に測定開口の開口面SAを測定対象物の測定面に倣わせることができる。このため、例えば、光学特性測定器を目的物Sとして用いた倣い装置Dをロボットアームに取り付けて自動車の生産ラインに利用することで、自動車における所定の各所(各パーツ)で自動車の曲面に倣わせながら外装塗装を精度良く測色でき、自動車の各所の色が自動的に管理できる。
【0024】
中間部2は、保持部1に一方端で連結され、連結方向を除いて自由度を持つ部材である。本実施形態では、中間部2は、保持部1に一方端で連結され、前記連結方向に沿って伸縮し、前記連結方向に直交する任意の方向に曲がる部材である。このような中間部2は、例えば、柱状または筒状に形成されたゴム製の弾性ゴム体であって良いが、本実施形態では、中間部2は、自在継手21と、伸縮部(伸縮機構)22とを備える。
【0025】
自在継手(ユニバーサルジョイント、Universal joint)21は、保持部1に一方端で連結され、前記連結方向に直交する任意の方向に曲がる継手である。より具体的には、自在継手21の一方端(-X軸方向の端)が、保持部1の連結部15に固定的に取り付けられる。
【0026】
伸縮部(伸縮機構)22は、自在継手21の他方端(+X軸方向の端)に連結され、前記連結方向に沿って伸縮する部材である。より具体的には、本実施形態では、伸縮部22は、例えば、図6等に示すように、第1移動部221と、取付部222と、第2移動部223と、復帰部224と、押さえ部225とを備える。
【0027】
第1移動部221は、前記連結方向に延びる筒状の部材であり、その内部には、前記連結方向に延びるように第2移動部223が移動可能に収容される。第1移動部221の一方端(-X軸方向の端)は、自在継手21の他方端に離接可能に係合する。
【0028】
取付部222は、第2移動部223をその内部に移動可能に収容した状態で第1移動部221を、バランサ部3における後述のアーム部34(34a、34b)に取り付けるための部材である。アーム部34は、片持ちでバランサ部3が支持されても良いが、本実施形態では、バランサ部3を両側で支持するために、アーム部34は、例えば、図7等に示すように、後述の第2支点の第1軸(Y軸)に沿った方向で所定の間隔で互いに離間した一対の第1および第2サブアーム部34a、34bを備える。このため、より具体的には、取付部222は、前記一対の第1および第2サブアーム部34a、34bにおける前記所定の間隔に応じた幅を持つ板状の部材であり、前記一対の第1および第2サブアーム部34a、34bにおける一方端(-X軸方向の端)で、前記一対の第1および第2サブアーム部34a、34bで狭持されるように、固定的に取り付けられている。この板状の取付部222には、第1移動部221における他方端(+X軸方向の端)の外形に応じた形状の貫通開口が形成されており、第1移動部221の他方端は、前記貫通開口に嵌め込まれて固定されることで、取付部222に固定的に取り付けられている。
【0029】
第2移動部223は、前記連結方向に延びる柱状または筒状の部材であり、筒状の第1移動部221内に前記連結方向に沿って移動可能に収容される。このため、第2移動部223の外形の大きさは、第1移動部221の内形の大きさより小さい。例えば、第1移動部221が円筒形であって第2移動部が円柱状である場合、第2移動部223の直径は、第1移動部221の内直径より小さい。第2移動部223は、前記連結方向に沿った長さが第1移動部221より長い。第2移動部223の一方端(-X軸方向の端)は、自在継手21の他方端に固定的に取り付けられている。第2移動部223の他方端(+X軸方向の端)は、円板状の部材である押さえ部225に例えばネジ(ビス)2251によって固定的に取り付けられている。
【0030】
復帰部224は、屈曲姿勢から元の姿勢に復帰させる部材である。復帰部224は、例えば、圧縮コイルばね(復帰ばね)224であり、その内部に第2移動部223の他方端側の一部が挿通され、取付部222と押さえ部225との間に配設される。すなわち、復帰ばね224は、取付部222と押さえ部225とで押さえられている。このため、コイルばねの復帰ばね224は、その内形の大きさが第2移動部223の他方端側における外形の大きさより大きく、その外形の大きさが取付部222および押さえ部225それぞれの各大きさより小さい(言い換えれば、取付部222および押さえ部225それぞれの各大きさは、復帰ばね224の外形の大きさより大きい)。復帰ばね224のばね定数は、例えば目的面SAが対象面に押し当てられる押当力や復帰に必要な復帰力等を考慮することによって、仕様に応じて適宜に設定される。
【0031】
このような構成の伸縮部(伸縮機構)22は、後述するように目的物Sが対象物に接触して外力が働き、この外力によって自在継手21が屈曲すると、自在継手21の屈曲に応じて第2移動部223が第1移動部221に対して相対的に前記連結方向に沿って移動し、これによって伸びる。この際に、取付部222と押さえ部225との間隔が移動前に較べて狭くなり、復帰ばね224が圧縮される。一方、前記外力が解消されると、前記圧縮された復帰ばね224によって取付部222と押さえ部225との間隔を広げるように付勢力が働き、これによって第2移動部223と第1移動部221とが相対的に前記連結方向に沿って移動し、伸縮部22は、元の状態に復帰する。復帰ばね224によって、中間部2が伸縮した場合に、伸縮前の元の長さに中間部2が復帰される。
【0032】
バランサ部3は、中間部2の他方端に連結され、保持部1の前記第1支点と異なる第2支点周りに回動する部材である。前記第2支点は、本実施形態では、2軸の第1支点に応じて、第1軸回りの回動および第2軸回りの回動を行うための線形独立な2方向の2軸である。より具体的には、図1ないし図8に示す例では、前記第2支点における第1および第2軸それぞれは、前記第1支点における第1および第2軸それぞれと同様に、互いに直交するY軸およびZ軸である。これに応じて、本実施形態では、バランサ部3は、前記第1台板4に立脚する第2脚部32と、第2脚部32に対し前記第2支点の第2軸回り(Z軸回り)に回動する回動部33と、回動部33に対し前記第2支点の第1軸回り(Y軸回り)に回動し前記連結方向に沿って延びるアーム部34(34a、34b)と、アーム部34に連結するウェイト31とを備える。
【0033】
第2脚部32は、所定の高さを持つ直方体形状の部材であり、第1台板4の他方端側の上面部分に立脚して固定的に配設される。目的物Sの目的面SAを対象面に当接させていない待機状態で保持部1、中間部2およびバランサ部3が必ずしも水平姿勢で無くても良いが、本実施形態では、これらが前記待機状態で水平姿勢となるように、前記所定の高さが設定されている。第2脚部32における上面には、回動部33が前記第2支点の第2軸(Z軸)周りに回動可能に取り付けられる。より具体的には、第2脚部32は、底板部が第1台板4で兼用されており、一対の第1および第2側壁部321a、321bと、天板部322と、軸受け部323とを備える。第1および第2側壁部321a、321bは、それぞれ、板状の部材であり、上方(+Z軸方向)に延びるように、第1台板4の他方端側の上面部分に立脚して固定的に配設される。これら第1および第2側壁部321a、321bは、所定の間隔で、前記第2支点の第1軸(Y軸)に沿った方向で互いに離間している。天板部322は、板状の部材であり、前記一対の第1および第2側壁部321a、321bにおける上端(+Z軸方向の端)で、前記一対の第1および第2側壁部321a、321bで狭持されるように、固定的に取り付けられている。天板部322には、図7に示すように、その略中央位置に、前記第2支点の第2軸(Z軸)となる円柱状の第2軸部材333を回動可能に軸受けする、例えば貫通開口やボールベアリング等の軸受け部323が設けられている。
【0034】
回動部33は、第2脚部32に対し前記第2支点の第2軸回り(Z軸回り)に回動し、アーム部34を前記第2支点の第1軸回り(Y軸回り)に回動可能に支持する部材である。より具体的には、回動部33は、例えば、図7等に示すように、曲面の上面を持つ直方体形状の部材である。回動部33の底面には、その各略中央位置に円柱状の第2軸部材333が第2軸(Z軸)方向に延びるように立設して固定的に取り付けられている。この第2軸部材333は、第2脚部32の天板部322に設けられた軸受け部323に、第2軸回りに回動可能に軸受けされるように、取り付けられる。この第2軸部材333の先端には、当該第2軸部材333が軸受け部323から外れないように、軸受け部323、および、ネジ3222a、3222bで天板部322に取り付けられた板状のスペーサ部3221を介してワッシャ3331がネジ3332でネジ止めされる。回動部33の両側面には、それぞれ、それら各略中央位置に円柱状の一対の第1軸部材332a、332bが第1軸(Y軸)方向に延びるように立設して固定的に取り付けられている。
【0035】
アーム部34は、回動部33に対し前記第2支点の第1軸回り(Y軸回り)に回動し前記連結方向に沿って延びる部材である。アーム部34は、本実施形態では、上述したように、一対の第1および第2サブアーム部34a、34bを備える。これら一対の第1および第2サブアーム部34a、34bは、前記連結方向に長尺な板状の部材である。これら一対の第1および第2サブアーム部34a、34bにおける前記連結方向の所定の各位置には、それぞれ、回動部33における一対の第1軸部材332a、332bを回動可能に軸受けする、例えば貫通開口やボールベアリング等の各軸受け部341a、341bが設けられている。前記所定の位置は、前記第2支点の第1軸位置となり、例えば、伸縮部22における前記連結方向に沿った長さ等を勘案して適宜に設定される。図1ないし図8に示す例では、前記所定の位置は、一対の第1および第2サブアーム部34a、34bにおける前記連結方向の中央位置より、一方端(-X軸方向の端)側へ寄った位置に設定されている。これら各軸受け部341a、341bそれぞれに、回動部33における前記一対の第1軸部材332a、332bが第1軸回りに回動可能に軸受けされるように、取り付けられる。この第1軸部材332aの各先端には、当該第1軸部材332aが軸受け部341aから外れないように、軸受け部341aを介してワッシャ3321aがネジ3322aでネジ止めされる。同様に、前記第1軸部材332bの各先端には、当該第1軸部材332bが軸受け部341bから外れないように、軸受け部341bを介してワッシャ3321bがネジ3322bでネジ止めされる。これによってアーム部34(34a、34b)が回動部33に対し第1軸回りに回動可能に回動部33に取り付けられる。
【0036】
ウェイト31は、アーム部34に連結され、前記第2支点周りにモーメントを付与するための部材であり、後述のようにその重量が設定される。ウェイト31は、比較的扁平な直方体形状であり、前記一対の第1および第2サブアーム部34a、34bにおける他方端(+X軸方向の端)で、前記一対の第1および第2サブアーム部34a、34bで狭持されるように、固定的に取り付けられている。なお、図7では、ウェイト31は、その図示が省略されている。
【0037】
なお、上述では、第2サブ脚部32に軸受け部323が設けられ、回動部33に第2軸部材333が取り付けられたが、逆に、第2軸部材333が第2脚部32に取り付けられ、軸受け部323が第2脚部32に設けられても良い。また、上述では、一対の第1および第2サブアーム部34a、34bに各軸受け部341a、341bが設けられ、回動部33に一対の第1軸部材332a、332bが取り付けられたが、逆に、一対の第1軸部材332a、332bが一対の第1および第2サブアーム部34a、34bに取り付けられ、各軸受け部341a、341bが回動部33に設けられても良い。
【0038】
第2台板5は、第1台板4と同様に、XY平面に平行な面広がりを持つ板状の部材であり、第1台板4と平行となるように、オプション部6を介して第1台板4に取り付けられる。
【0039】
オプション部6は、第1台板4に支持された、目的物Sの目的面SAを対象物の対象面に倣わせる保持部1、中間部2およびバランサ部3に、所定の機能を付加する機構である。本実施形態では、オプション部6は、対象物の対象面と目的物Sの目的面SAとを離接する離接方向に保持部1を移動させる移動機構と、当該倣い装置Dを水平方向ではない他の方向、特に鉛直方向で好適に使用可能とするために、当該倣い装置Dを水平方向ではない他の方向で使用する場合に、第1台板4および第1台板4上で支持される各部材と釣り合いをとるバランサ機構とを備える。これら各機能を実現するために、オプション部6は、例えば、図8等に示すように、ガイドレール61と、摺動部62(62a、62b)と、係合部63(63a、63b)と、第2ウェイト部64(64a、64b)と、付勢部65(65a、65b)とを備える。
【0040】
ガイドレール61は、前記離接方向に延び、第2台板5に配設される、摺動部62を案内するための突条の部材である。本実施形態では、例えば、前記離接方向は、前記連結方向(X軸方向)であり、ガイドレール61は、長尺な角柱状の部材であり、前記長尺な方向を前記離接方向(前記連結方向、X軸方向)に沿わせて、略中央で第2台板5上に取り付けられている。
【0041】
摺動部62は、ガイドレール61に摺動可能に取り付けられ、第1台板4に取り付けられる部材である。本実施形態では、摺動部62は、第1台板4を2箇所で支持するために、2個の第1および第2サブ摺動部62a、62bを備える。第1および第2サブ摺動部62a、62bは、それぞれ、ガイドレール61に摺動可能に取り付けるために、突条のガイドレール61の外形状に応じた形状を持ち前記離接方向に延びる溝部を底面に持つ直方体形状の部材である。第1サブ摺動部62aは、ガイドレール61における一方端(-X軸方向の端)の部分に前記溝部で摺動可能に取り付けられ、その上面には第1台板4の裏面が当接し、第1台板4が固定的に取り付けられる。第2サブ摺動部62bは、ガイドレール61における他方端(+X軸方向の端)の部分に前記溝部で摺動可能に取り付けられ、その上面には第1台板4の裏面が当接し、第1台板4が固定的に取り付けられる。
【0042】
これらガイドレール61および摺動部62は、前記移動機構の一例に相当する。このようなガイドレール61および摺動部62を備える移動機構では、第1台板4に取り付けられた摺動部62が、前記離接方向に延びるガイドレール61に案内されることで、前記離接方向に保持部1を移動できる。
【0043】
第2ウェイト部64は、当該倣い装置Dを水平方向ではない他の方向で使用する場合に、第1台板4および第1台板4上で支持される各部材による自重によって、目的物Sの目的面SAが対象物の対象面に接近する方向に力が、第1台板4に働く際に、これに対向する力(対抗力)を生じさて第1台板4に作用させ、第1台板4および第1台板4上で支持される各部材と釣り合いをとるための部材である。第2ウェイト部64は、本実施形態では、ガイドレール61の両側から前記対抗力を生じさせるために、互いに同構造の、一対の第1および第2サブウェイト部64a、64bを備える。これら一対の第1および第2サブウェイト部64a、64bは、それぞれ、所定の重量を持ち、扁平な略直方体形状のサブウェイト本体部641a、641bと、前記サブウェイト本体部641a、641bの一側面から延設される略台形板状の第1延設部642a、642bと、前記第1延設部642a、642bの一側面からさらに延設される矩形板状の第2延設部643a、643bと、前記第1延設部643a、643bに設けられた、例えば貫通開口やボールベアリング等の軸受け部644a、644bと、前記離接方向に直交する方向(本実施形態では前記第1および第2支点の第2軸方向、Z軸方向)に立設するように前記第2延設部643a、643bに設けられた円柱状の係合突部(係合ピン)645a、645bとを備える。
【0044】
第2台板5における他方端(+X軸方向の端)の部分の上面両側には、それぞれ、前記離接方向に直交する方向(本実施形態では前記第1および第2支点の第2軸方向、Z軸方向)に立設するように円柱状の一対の第1および第2支持軸51a、51bが設けられている。第1サブウェイト部64aは、その前記第1延設部642aに設けられた前記軸受け部644aが前記第1支持軸51aにその軸回りに回動可能に取り付けられることで、第2台板5に取り付けられる。同様に、第2サブウェイト部64bは、その前記第1延設部642bに設けられた前記軸受け部644bが前記第2支持軸51bにその軸回りに回動可能に取り付けられることで、第2台板5に取り付けられる。
【0045】
係合部63は、第2ウェイト部64を第1台板4に係合するための部材である。本実施形態では、第2ウェイト部64が一対の第1および第2サブウェイト部64a、64bを備えることから、これに対応して一対の第1および第2サブ係合部63a、63bを備える。これら一対の第1および第2サブ係合部63a、63bは、それぞれ、板状の部材であり、その略中央位置には、前記離接方向に直交する方向(Y軸方向)に長尺な長円形の開口部631a、631bが設けられている。なお、前記開口部631a、631bは、凹部(凹溝)であっても良い。第1サブ係合部63aは、その開口部631aに、第1サブウェイト部64aにおける係合突部645aの先端部分を入れ込むことで、第1サブウェイト部64aに取り付けられ、さらに、その上面で第1台板4の裏面に当接して第1台板4に取り付けられる。同様に、第2サブ係合部63bは、その開口部631bに、第2サブウェイト部64bにおける係合突部645bの先端部分を入れ込むことで、第2サブウェイト部64bに取り付けられ、さらに、その上面で第1台板4の裏面に当接して第1台板4に取り付けられる。
【0046】
付勢部65は、第1台板4に所定の付勢力を与えるための部材である。付勢部65は、当該倣い装置Dを水平方向ではない他の方向に位置させた後に再び当該倣い装置Dを水平方向に位置させた場合に、第2ウェイト部64(64a、64b)を、当該倣い装置Dを水平方向に位置させた場合の初期位置に復帰させる。付勢部65は、第2ウェイト部64と同様に、本実施形態では、ガイドレール61の両側から前記付勢力を生じさせるために、互いに同構造の、一対の第1および第2サブ付勢部65a、65bを備える。これら一対の第1および第2サブ付勢部65a、65bは、それぞれ、第1引張りコイルばね651a、651bと、第1取付部材652a、652bと、第2取付部材653a、653bとを備える。第1引張りばね651aは、その一方端が第1取付部材652aに取り付けられ、その他方端が第2取付部材653aに取り付けられる。第2取付部材653aは、第2台板5における前記離接方向(前記連結方向、X軸方向)の一方端側に設けられた、例えば第2台板5から突設する突片等の取付部52aに取り付けられ、これによって第1引張りばね651aは、第2台板5に連結される。第1取付部材652aは、第1台板4における前記連結方向(前記離接方向、X軸方向)の所定の位置(例えば略中央位置)に設けられた、例えば開口部等の取付部に取り付けられ、これによって第1引張りばね651aは、第1台板4に連結される。同様に、第2引張りばね651bは、その一方端が第1取付部材652bに取り付けられ、その他方端が第2取付部材653bに取り付けられる。第2取付部材653bは、第2台板5における前記離接方向(前記連結方向、X軸方向)の一方端側に設けられた、例えば第2台板5から突設する突片等の取付部52bに取り付けられ、これによって第2引張りばね651bは、第2台板5に連結される。第1取付部材652bは、第1台板4における前記連結方向(前記離接方向、X軸方向)の所定の位置(例えば略中央位置)に設けられた、例えば開口部等の取付部に取り付けられ、これによって第2引張りばね651bは、第1台板4に連結される。第1および第2引張りばね651a、651bの各ばね定数は、それぞれ、例えば第1台板4、第1台板状の各部材および第2ウェイト部64等の重量等を考慮することによって、仕様に応じて適宜に設定される。
【0047】
これら係合部63、第2ウェイト部64および付勢部65は、前記バランサ機構の一例に相当する。当該倣い装置Dが水平方向ではない他の方向、特に鉛直方向で使用されると、第1台板4および第1台板4上で支持される各部材による自重によって、目的物Sの目的面SAが対象物の対象面に接近する方向に力が、第1台板4に働く。ここで、上述の係合部63、第2ウェイト部64および付勢部65を備えるバランサ機構では、第2ウェイト部64による自重によって、第2ウェイト部64には、前記支持軸周りに回動する力が作用し、この回動方向の力は、係合部63に設けられた長円形の開口部にその係合突部が案内されることで、目的物Sの目的面SAが対象物の対象面から離間する方向の力(対抗力)に変換される。すなわち、係合部63に設けられた長円形の開口部は、いわゆるカム溝のように機能し、第2ウェイト部64に設けられた係合突部は、いわゆるカムフロワのように機能する。これによって第1台板4および第1台板4上で支持される各部材と第2ウェイト部64とは、釣り合いをとることができ、姿勢に応じて重力によって生じる負荷を一定にでき、倣い装置Dが水平方向ではない他の方向、特に鉛直方向でも使用できる。すなわち、倣い装置Dは、任意の姿勢で使用できる。この際に第2ウェイト部64が自重により前記支持軸回りに回動すると、引張りばね651が伸長し、付勢力が生じる。そして、倣い装置Dが前記他の方向から水平方向にされると、前記付勢力によって、第2ウェイト部64を、その初期位置に復帰させる。
【0048】
次に、本実施形態の動作について説明する。図9は、図略の対象物の対象面に目的面を倣わせた状態にある前記倣い装置の斜視図である。図10は、図9に示す前記倣い装置の上面図である。図11は、図9に示す前記倣い装置の側面図である。図12は、図1に示す前記倣い装置の動作を説明するための図である。図13は、図1に示す前記倣い装置において、全体が角度θで傾いた場合での動作を説明するための図である。図14は、図1に示す前記倣い装置において、対象物の対象面に、目的物の目的面を倣わせる場合での動作を説明するための図である。図15は、図14に示す場合での伸縮部に作用する力を説明するための図である。図16は、前記対象物の対象面から前記目的物の目的面が離脱した場合での動作を説明するための図である。
【0049】
このような構成の倣い装置Dでは、第1支点位置および第1重心位置がこの順で並ぶから、前記第1支点位置と前記第1重心位置とが互いに一致していない。すなわち、第1支点の第1軸の位置と第1重心位置とは、不一致であり、第1支点の第2軸の位置と第1重心位置とは、不一致である。特に、例えば光学特性測定器のように目的物Sの用途によっては、目的面SAを対象面に対し安定的に位置させるために、目的面SAに近い位置で目的物Sを支持したい要求があり、このような場合、前記第1支点位置と前記第1重心位置とが互いに一致しない。第1重心位置は、目的物Sを保持している場合における目的物Sおよび保持部1のうちの前記第1支点周りに回動する部分の重心の位置である。図1ないし図8に示す例では、第1重心位置は、第1脚部11(11a、11b)を除く保持部1および目的物Sの重心の位置である。このように不一致であるため、倣い装置Dが、これら前記第1支点位置と前記第1重心位置とが鉛直線上に並ばない方向、例えば水平方向で使用されると、目的物Sと保持部1(上述の例では第1脚部11を除く)とは、これらの自重で前記第1支点周りに回動する。ここで、上記倣い装置Dは、前記第1支点位置、前記第1重心位置、前記屈曲位置、前記第2支点位置および前記第2重心位置がこの順で並び、保持部1には、中間部2を介して、第2支点周りで回動するバランサ部3が連結されている。このため、目的物Sと保持部1とがこれらの自重で前記第1支点周りに回動しても、目的面SAが対象面に倣う位置で前記回動を停止することが可能となる。例えば、図9ないし図11に示すように、図略の対象物の対象面に目的物Sの目的面SAを倣わせると、中間部2の自在継手21が屈曲して目的物Sおよび保持部1とバランサ部3とがバランスし、この結果、目的面SAが対象面に倣う位置で前記回動が停止する。したがって、上記倣い装置Dは、鉛直方向だけでなく他の方向、特に水平方向にも使用できる。
【0050】
以下、このような倣い装置Dの動作について、一例として、説明の簡単化のために、目的物Sの目的面を対象物の対象面に当接させていない待機状態において、第1支点位置、第1重心位置、屈曲位置、第2支点位置および第2重心位置の各位置が同一直線上に位置するケースについて、力学的により具体的に説明する。前記第1および第2支点の各第1軸回り(Y軸回り)と前記第1および第2支点の各第2軸回り(Z軸回り)とは、同様に説明できるので、以下では、これらを区別せずに、第1および第2支点周りで説明する。
【0051】
まず、バランサ部の重量について考える。図12において、目的物を保持している場合における目的物および保持部のうちの第1支点周りに回動する部分の第1重心位置P2に作用する負荷をF1とし、バランサ部のうちの第2支点周りに回動する部分の第2重心位置P5に作用する負荷をF2とし、中間部の屈曲位置P3に作用する負荷をF3とし、第1支点位置P1から第1重心位置P2までの第1距離をL1とし、第1支点位置P2から屈曲位置P3までの第2距離をL2とし、屈曲位置P3から第2支点位置P4までの第3距離をL3とし、第2支点位置P4から第2重心位置P5までの第4距離をL4とした場合、第2支点位置P2で次式form-1が成り立ち、次式form-2で系が釣り合う。このため、負荷F2は、次式form-3で表される。
【0052】
式form-1;L3・F3=L4・F2
式form-2;L1・F1=L2・F3
式form-3;F2={(L1・L3)/(L2・L4)}・F1
【0053】
したがって、各位置P1、P2、P3、P4、P5がそれぞれバランスのとれる位置関係に設定するために、目的物を保持している場合における目的物および保持部のうちの第1支点周りに回動する部分の質量をm1とした場合、バランサ部のうちの第2支点周りに回動する部分の質量m2は、次式1を満たせば良い。
【0054】
式1;m2={(L1・L3)/(L2・L4)}・m1
【0055】
なお、重力加速度をgとした場合、F1=m1・g、F2=m2・gである。
【0056】
このようにバランサ部の重さが設定されると、図13に示すように、系全体が傾きθで傾いた場合でも、第1および第2支点位置P2、P5に作用するcos成分が等しくなり(F1・cosθ=F2・cosθ)、系全体の釣り合いが維持される。
【0057】
一方、目的物を対象物に接触させると、図14に示すように、目的物と対象物との接触点P6で力F4が働くことで中間部2の屈曲位置P3(図1ないし図8に示す例では自在継手21)に、図14に示す紙面上方向Aの力が作用する。このため、図15に示すように、目的物の目的面が対象物の対象面に対して倣う。このとき、中間部が伸びる(図1ないし図8に示す例では伸縮部(伸縮機構)22が伸びる)。
【0058】
中間部が、伸縮した場合に伸縮前の元の長さに復帰させる復帰部をさらに備える場合、例えば図1ないし図8に示す例では中間部2が復帰ばね224を備える場合、目的物が対象物から離間すると、図16に示すように、復帰部(復帰ばね224)により、中間部の屈曲位置P3(図1ないし図8に示す例では自在継手21)に、図16に示す紙面上方向Bの復元力が作用する。このため、系全体が釣り合う方向に動作し、倣い装置Dは、図12に示す待機状態の姿勢に復帰する。
【0059】
本実施形態における倣い装置Dは、このように動作するから、鉛直方向だけでなく他の方向、特に水平方向にも使用できる。
【0060】
上記倣い装置Dは、上記式1を満たすので、上述のように、目的物Sを保持している場合であって目的面SAを対象面に当接させていない待機状態である場合に、第1支点位置P1、第1重心位置P2、屈曲位置P3、第2支点位置P4および第2重心位置P5を同一直線上に位置させ、目的物Sおよび保持部1とバランサ部3とをバランスさせることができる。
【0061】
上記倣い装置Dは、復帰部(上述の例では復帰ばね224)を備えるので、目的面SAが対象面から離脱した場合に、保持部1、中間部2およびバランサ部3の姿勢を元の状態に復帰させることができる。さらに、上述の式1を完全に満たさない場合でも、前記復帰部に作用する復元力によって、前記保持部と前記バランサ部とをバランス(均衡)させることができる。
【0062】
上記倣い装置Dは、前記第1および第2支点がそれぞれ第1軸回りの回動および第2軸回りの回動を行うための線形独立な2方向の2軸、上述の例では、Y軸およびZ軸であるので、2自由度で目的面SAを対象面に倣わせることができる。
【0063】
上記倣い装置Dは、対象面と目的面SAとを離接する離接方向に保持部1を移動させる移動機構61、62(62a,62b)をさらに備えている。このため、上記倣い装置Dは、さらに1自由度を加えた3自由度で目的面SAを対象面に倣わせることができる。上記倣い装置Dは、目的面SAを対象面に倣わせた場合に、目的面SAを対象面から離間する方向に逃がすことができるので、目的面SAによって対象面に衝撃や過荷重を与えることを回避することが可能となる。
【0064】
なお、上述の倣い装置Dでは、載置部14は、いわゆる2軸のジンバルで2軸それぞれで回動自在に支持されたが、図17に示すように、球面軸受で回転自在に支持されても良い。図17は、第1変形形態の倣い装置を説明するための図である。この場合では、載置部14aは、例えば、目的物Sを収容する箱形筐体であり、前記箱形筐体の他方側面が球面軸受16の球面形状に対応する球面形状を有し、載置部14aおよび球面軸受16それぞれに、互いに吸引する磁力が作用するように、各磁石(不図示)が配設される。これによって載置部14aは、球面軸受16に摺動可能に保持される。球面軸受16は、第1台板4に固定的に取り付けられることで第1台板4上に配設され、中間部2の自在継手21は、球面軸受16に固定的に取り付けられる。
【0065】
また、上述の倣い装置Dでは、中間部2に伸縮部(伸縮機構)22を設けたが、図18に示すように、第2支点位置P4がX軸方向に摺動する機構でも良い。図18は、第2変形形態の倣い装置を説明するための図である。この場合、第2支点位置P4がX軸方向に摺動するように、ガイドレール(不図示)が配設される。これによって保持部1が第1支点周りに回動すると、第2支点に-X軸方向(紙面左方向)の力が作用し、第2支点位置P4が前記ガイドレールに案内されて摺動する。前記ガイドレールは、第1台板4に固定的に取り付けられ、第2脚部32は、前記ガイドレールにX軸方向に摺動可能に保持される。
【0066】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0067】
一態様にかかる倣い装置は、対象物の対象面に、目的物の目的面を倣わせる倣い装置であって、第1支点周りに回動し、前記目的物を保持する保持部と、前記保持部に一方端で連結され、連結方向を除いて自由度を持つ中間部と、前記中間部の他方端に連結され、前記第1支点と異なる第2支点周りに回動するバランサ部とを備え、前記第1支点の第1支点位置、前記目的物を保持している場合における前記目的物および前記保持部のうちの前記第1支点周りに回動する部分の重心の第1重心位置、前記中間部の屈曲点の屈曲位置、第2支点位置および前記バランサ部のうちの前記第2支点周りに回動する部分の重心の第2重心位置は、この順で並んで位置する。好ましくは、上述の倣い装置において、前記中間部は、柱状または筒状に形成された弾性ゴム体である。好ましくは、上述の倣い装置において、前記中間部は、前記保持部に一方端で連結され、前記連結方向に直交する任意の方向に曲がる自在継手(ユニバーサルジョイント、Universal joint)と、前記自在継手の他方端に連結され、前記連結方向に沿って伸縮する伸縮部(伸縮機構)とを備える。
【0068】
このような倣い装置では、第1支点位置および第1重心位置がこの順で並ぶから、前記第1支点位置と前記第1重心位置とが互いに一致しないため、倣い装置が、これら前記第1支点位置と前記第1重心位置とが鉛直線上に並ばない方向、例えば水平方向で使用されると、前記目的物と前記保持部とは、これらの自重で前記第1支点周りに回動する。ここで、上記倣い装置は、前記第1支点位置、前記第1重心位置、前記屈曲位置、前記第2支点位置および前記第2重心位置がこの順で並び、前記保持部には、前記中間部を介して、第2支点周りで回動するバランサ部が連結されているため、前記目的物と前記保持部とがこれらの自重で前記第1支点周りに回動しても、目的面が対象面に倣う位置で前記回動を停止することが可能となる。したがって、上記倣い装置は、鉛直方向だけでなく他の方向、特に水平方向にも使用できる。
【0069】
他の一態様では、上述の倣い装置において、前記第1支点の第1支点位置、前記目的物を保持している場合における前記目的物および前記保持部のうちの前記第1支点周りに回動する部分の重心の第1重心位置、前記中間部の屈曲点の屈曲位置、第2支点位置および前記バランサ部のうちの前記第2支点周りに回動する部分の重心の第2重心位置は、それぞれバランスのとれる位置関係に設定されている。
【0070】
他の一態様では、上述の倣い装置において、前記第1重心位置に作用する負荷をF1とし、前記第1支点位置から前記第1重心位置までの第1距離をL1とし、前記第1支点位置から前記屈曲位置までの第2距離をL2とし、前記屈曲位置から前記第2支点位置までの第3距離をL3とし、前記第2支点位置から前記第2重心位置までの第4距離をL4とし、前記目的物を保持している場合における前記目的物および前記保持部のうちの第1支点周りに回動する部分の質量をm1とした場合に、前記バランサ部のうちの前記第2支点周りに回動する部分の質量m2は、次式1を満たす。
【0071】
式1;m2={(L1・L3)/(L2・L4)}・m1
【0072】
このような倣い装置は、上記式1を満たすので、目的物を保持している場合であって前記目的面を対象面に当接させていない待機状態である場合に、第1支点位置、第1重心位置、屈曲位置、第2支点位置および第2重心位置を同一直線上に位置させ、前記目的物および前記保持部と前記バランサ部とをバランス(均衡)させることができる。
【0073】
他の一態様では、これら上述の倣い装置において、前記第1および第2支点は、それぞれ、第1軸回りの回動および第2軸回りの回動を行うための線形独立な2方向の2軸である。好ましくは、上述の倣い装置において、板状の台板をさらに備え、前記保持部は、前記台板に立脚する第1脚部と、前記第1脚部に対し前記第1支点の第1軸回りに回動する第1環状部と、前記第1環状部に対し前記第1支点の第2軸回りに回動する第2環状部と、前記第1または第2環状部に連結し、前記第1および第2軸それぞれに直交する連結方向に延び、前記目的物を載せる載置部とを備える。好ましくは、前記第1脚部は、離間して前記台板に立脚する一対の第1および第2サブ脚部を備え、前記載置部は、前記第1および第2サブ脚部間に配置される。好ましくは、上述の倣い装置において、板状の台板をさらに備え、前記バランサ部は、前記台板に立脚する第2脚部と、前記第2脚部に対し前記第2支点の第2軸回りに回動する回動部と、前記回動部に対し前記第2支点の第1軸回りに回動し前記連結方向に沿って延びるアーム部と、前記アーム部に連結するウェイトとを備える。
【0074】
このような倣い装置は、2自由度で目的面を対象面に倣わせることができる。
【0075】
他の一態様では、これら上述の倣い装置において、前記中間部は、屈曲姿勢から元の姿勢に復帰させる復帰部をさらに備える。好ましくは、上述の倣い装置において、前記復帰部は、コイルばね(復帰ばね)である。
【0076】
このような倣い装置は、目的面が対象面から離脱した場合に、保持部、中間部およびバランサ部の姿勢を元の状態に復帰させることができる。さらに、上述の式1を完全に満たさない場合でも、前記復帰部に作用する復元力によって、前記保持部と前記バランサ部とをバランス(均衡)させることができる。
【0077】
他の一態様では、これら上述の倣い装置において、前記対象面と前記目的面とを離接する離接方向に前記保持部を移動させる移動機構をさらに備える。好ましくは、上述の倣い装置において、前記保持部、前記中間部および前記バランサ部を載せる板状の第1台板と、板状の第2台板とをさらに備え、前記移動機構は、前記離接方向に延び、前記第2台板に配設されるガイドレールと、前記ガイドレールに摺動可能に取り付けられ、前記第1台板に取り付けられる摺動部とを備える。
【0078】
このような倣い装置は、3自由度で目的面を対象面に倣わせることができる。上記倣い装置は、目的面を対象面に倣わせた場合に、目的面を対象面から離間する方向に逃がすことができるので、目的面によって対象面に衝撃や過荷重を与えることを回避することが可能となる。
【0079】
他の一態様では、これら上述の倣い装置において、前記目的物を保持している場合における前記目的物および前記保持部、前記中間部ならびに前記バランサ部における姿勢に応じて重力によって生じる負荷を一定にするための第2バランサ部をさらに備える。
【0080】
このような倣い装置は、第2バランサ部をさらに備えるので、任意の姿勢で使用できる。
【0081】
他の一態様では、これら上述の倣い装置において、前記目的物をさらに備え、前記目的物は、所定の光学特性を測定する光学特性測定器である。好ましくは、上述の倣い装置において、前記光学特性測定器は、輝度を測定する輝度計、色を測定する測色計、または、色彩および輝度を測定する色彩輝度計である。好ましくは、前記光学特性測定器は、直方体形状の箱形筐体を備え、前記箱形筐体の一方端面は、外方向に突出する曲面を持ち、前記曲面の頂部には、測定対象物の測定面に臨み前記測定面からの測定光を取り入れる測定開口が形成され、前記目的面は、前記測定開口の開口面である。
【0082】
これによれば、目的物を搭載した倣い装置が提供できる。特に、前記目的物が光学特性測定器である場合、一般に、例えば規格等で予め規定されたジオメトリで光学特性を測定する必要があるが、目的面(光学特性測定器における測定開口の開口面)を対象面(測定面)に倣わせることができるので、前記ジオメトリで光学特性を測定でき、より高精度に光学特性を測定できる。
【0083】
この出願は、2018年2月9日に出願された日本国特許出願特願2018-21585を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
【0084】
本発明の実施形態が詳細に図示され、かつ、説明されたが、それは単なる図例及び実例であって限定ではない。本発明の範囲は、添付されたクレームの文言によって解釈されるべきである。
【0085】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、対象物の対象面に、目的物の目的面を倣わせる倣い装置が提供できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18