(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ガラス物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 5/167 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
C03B5/167
(21)【出願番号】P 2020527428
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2019024094
(87)【国際公開番号】W WO2020004143
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2018119952
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】玉村 周作
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-512184(JP,A)
【文献】特開2004-262745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B5/00-7/22
C03B17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融炉でガラス原料を加熱溶融して溶融ガラスを生成する溶融工程と、流入口と流出口とをそれぞれ有する複数の移送容器を含む移送装置によって前記溶融炉から流出した溶融ガラスを移送する移送工程と、前記移送装置から供給された溶融ガラスを成形手段によって所定形状に成形する成形工程と、前記成形手段を交換する交換工程と、を備えたガラス物品の製造方法であって、
前記交換工程では、前記成形工程を中断した状態で、前記複数の移送容器のうちの一部の移送容器が溶融ガラスを保有した状態にすると共に、残りの移送容器が溶融ガラスを保有しないように排出して降温した状態にすることを特徴とするガラス物品の製造方法。
【請求項2】
前記移送装置は、前記複数の移送容器として、攪拌ポットと、該攪拌ポットの下流側に隣接する冷却パイプとを有し、
前記交換工程では、前記移送装置における前記攪拌ポットの流出口よりも上流側部位が溶融ガラスを保有した状態にすると共に、前記移送装置における前記冷却パイプの流入口よりも下流側部位が溶融ガラスを保有しないように排出して降温した状態にすることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項3】
前記移送装置は、前記複数の移送容器として、前記攪拌ポットを複数有することを特徴とする請求項2に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項4】
前記冷却パイプが隣接する前記攪拌ポットの流出口で溶融ガラスを堰き止めると共に、該攪拌ポットの内底面に開口するドレン孔から溶融ガラスを排出しつつ該攪拌ポットが溶融ガラスを保有した状態にすることを特徴とする請求項2または3に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項5】
前記攪拌ポットの流出口の流路面積よりも前記ドレン孔の流路面積の方が小さいことを特徴とする請求項4に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項6】
前記冷却パイプが隣接する前記攪拌ポットの上流側に位置する直近の移送容器の内底面に開口するドレン孔から溶融ガラスを排出させることで、該攪拌ポットを実質的に空の状態にし、この状態で該攪拌ポットの流出口に堰き止め部材を配置することで、溶融ガラスの前記堰き止めを行い、その後に、該攪拌ポットが溶融ガラスを保有した状態にすることを特徴とする請求項4または5に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項7】
前記移送容器の内底面に開口するドレン孔から溶融ガラスを排出させることで、前記攪拌ポットと前記冷却パイプとを実質的に空の状態にし、この状態で該攪拌ポットと該冷却パイプとを分離させ、然る後、溶融ガラスの前記堰き止めを行うことを特徴とする請求項6に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項8】
前記交換工程では、前記移送容器内の溶融ガラスの温度を操業時の温度よりも低下させることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載のガラス物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス物品の製造方法に係り、詳しくは、溶融ガラスを移送する移送装置を、成形手段の交換時に適切な状態にするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、ガラス物品を製造する際には、移送装置を用いて溶融炉から流出した溶融ガラスを成形装置に供給することが行われる。この移送装置は、溶融ガラスを移送するための移送容器を有している。
【0003】
一例として、特許文献1には、複数の移送容器を含む移送装置が開示されている。この移送容器としては、上流側から順に、清澄パイプ、攪拌ポット、冷却パイプ、及びポットなどが挙げられている。これらの移送容器を含む移送流路は、通例、稼働時に少なくとも溶融ガラスと接触する部位が、薄肉の貴金属(例えば白金または白金合金)からなる部材で形成されている。
【0004】
また、同文献には、移送装置から供給される溶融ガラスを板状に成形する成形体を含む成形手段(成形ユニット)が開示されている。この種の成形手段は、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法で帯状の板ガラスを成形するために用いられる。なお、この種の成形手段としては、溶融ガラスを板状に成形するものだけでなく、最終的に得られるガラス物品に対応した他の形状に成形するものもある。
【0005】
一方、特許文献2には、成形体(成形部材)が損傷した場合や成形されるガラス物品の品種(同文献では板厚)を変更する場合等に、成形体を交換することが開示されている。同文献に開示の成形体を含む製造装置は、溶融炉に突設されたノズルを有し、このノズルを通じて溶融炉から流出した溶融ガラスを成形体に供給する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-19629号公報
【文献】特開2002-167226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2に開示の製造装置は、溶融炉から成形体に溶融ガラスを供給するための移送路が、路長の短いノズルのみで構成されている。このノズルは同文献では、溶融炉の流出口として位置づけられている。また、同文献には、成形手段の交換期間中に、ノズルからの溶融ガラスの流出速度を低下させることで、交換作業を容易に行えることも記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示の移送装置のように、移送容器を複数有している場合には、それらの移送容器を含む移送流路の全長が長くなる。しかも、それぞれの移送容器の構造が異なる。そのため、成形手段の交換期間中に、移送装置や溶融ガラスに対してどのような対策を講じるべきかについては、有効な手法が見出されていないのが実情である。
【0009】
本発明者等は、
図8aに示すように、移送容器として、複数(図例では2つ)の攪拌ポット21、22と、冷却パイプ23とを有する移送装置について、次に示すような手法を試みた。この手法は、溶融炉から継続して溶融ガラスを移送流路に流出させ、同図に示すように、その流出した溶融ガラスGMを、下流側の攪拌ポット22のドレン孔22gのみから排出させ続けるようにしたものである。
【0010】
この手法を採用した場合、溶融ガラスGMの液面高さが、全ての移送容器21~23で低下する。そして、これらの移送容器21~23における溶融ガラスGMと接触していた部位(同図にクロスハッチングを付した部位)が、空炊き状態になって酸化する事態が生じる。そのため、
図8bに示すように、再稼働時に溶融ガラスGMの液面が上昇した場合には、溶融ガラスGM中に白金ブツ等の異物が混入する事態を招き得る。その結果、製造されるガラス物品に欠陥が発生し、製品不良や品質低下等の問題が生じ得る。
【0011】
以上の観点から、本発明は、移送装置が複数の移送容器を含む場合に、成形手段の交換時における各移送容器の状態を良好なものとして、再稼働時に溶融ガラスの移送を適正に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために創案された本発明は、溶融炉でガラス原料を加熱溶融して溶融ガラスを生成する溶融工程と、流入口と流出口とをそれぞれ有する複数の移送容器を含む移送装置によって前記溶融炉から流出した溶融ガラスを移送する移送工程と、前記移送装置から供給された溶融ガラスを成形手段によって所定形状に成形する成形工程と、前記成形手段を交換する交換工程と、を備えたガラス物品の製造方法であって、前記交換工程では、前記成形工程を中断した状態で、前記複数の移送容器のうちの一部の移送容器が溶融ガラスを保有した状態にすると共に、残りの移送容器が溶融ガラスを保有しないように排出して降温した状態にすることに特徴づけられる。
【0013】
この方法によれば、成形手段の交換時に、複数の移送容器のうちの一部の移送容器については、溶融ガラスを保有した状態にする。そのため、当該一部の移送容器は空炊き状態にならない。これにより、当該一部の移送容器を構成する貴金属の酸化を阻止することができる。また、残りの移送容器については、溶融ガラスを保有しないように排出して降温した状態にする。この降温によって、当該残りの移送容器も空炊き状態にならない。これにより、当該残りの移送容器を構成する貴金属の酸化も阻止することができる。以上の結果、再稼働時に移送装置によって移送される溶融ガラス中に貴金属ブツ等(白金酸化物等)の異物が混入する事態を回避することができる。
【0014】
ここで、前記移送装置は、前記複数の移送容器として、攪拌ポットと、該攪拌ポットの下流側に隣接する冷却パイプとを有し、前記交換工程では、前記移送装置における前記攪拌ポットの流出口よりも上流側部位が溶融ガラスを保有した状態にすると共に、前記移送装置における前記冷却パイプの流入口よりも下流側部位が溶融ガラスを保有しないように排出して降温した状態にすることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、成形手段の交換時に、移送装置における攪拌ポットの流出口よりも上流側部位については、溶融ガラスを保有した状態になって空炊き状態にならない。また、移送装置における冷却パイプの流入口よりも下流側部位については、溶融ガラスを保有しないように排出して降温した状態になるため、空炊き状態にならない。これにより、攪拌ポットと冷却パイプとの間を境界として、上流側部位と下流側部位とで、溶融ガラスの保有の有無と降温の有無とを区別するだけで、双方の部位での酸化及び再稼働時にける溶融ガラス中への異物の混入を阻止することができる。その結果、移送流路全長に亘る温度管理や溶融ガラスの保有管理等を簡便に行うことができる。
【0016】
この場合、前記移送装置は、前記複数の移送容器として、前記攪拌ポットを複数有することが好ましい。
【0017】
このようにすれば、攪拌ポットを複数有する場合に、最も下流側に位置する攪拌ポットと冷却パイプとの間を境界として、上流側部位と下流側部位とで、上記と同様の効果を享受することができる。
【0018】
また、このようにすれば、複数の何れの攪拌ポットも溶融ガラスを保有した状態になる。これにより、何れかの攪拌ポットに生じ得る不当な変形を阻止することができる。この効果が得られる理由は、下記の通りである。すなわち、本発明者等は、既述の
図8a及び
図8bに示した手法以外に、次のような第2の手法を試みた。この第2の手法は、
図9aに示すように、移送容器として、複数(図例では2つ)の攪拌ポット24、25を有する場合に、上流側の攪拌ポット24のドレン孔24g及び下流側の攪拌ポット25のドレン孔25gを開放するようにしたものである。この場合、下流側の攪拌ポット25が空の状態となり、上流側の攪拌ポット24のドレン孔24gのみから溶融ガラスGMが排出され続ける。この第2の手法によれば、下流側の攪拌ポット25が空の状態になることで、溶融ガラスGMによる内圧が存在しなくなる。そのため、暫くすると、
図9bに示すように、下流側の攪拌ポット25の周壁が内側に窪む変形が生じる。その結果、下流側の攪拌ポット25に攪拌羽根(スターラー)を挿入しようとしても、上記の変形に起因して挿入できなくなる事態を招き得る。このような不具合を顕在化させる理由は、攪拌羽根の外周端と攪拌ポットの内周面との間には、僅かな隙間が設けられるに過ぎないため、上記の変形が僅かであっても、攪拌羽根を挿入できなくなることに由来する。これに対して、本発明に係る方法では、複数の攪拌ポットの全てが溶融ガラスを保有した状態になり、空の状態になる攪拌ポットは存在しない。従って、何れの攪拌ポットにも上記のような変形が生じることはない。
【0019】
前述の方法において、前記冷却パイプが隣接する前記攪拌ポットの流出口で溶融ガラスを堰き止めると共に、該攪拌ポットの内底面に開口するドレン孔から溶融ガラスを排出しつつ該攪拌ポットが溶融ガラスを保有した状態にすることが好ましい。
【0020】
このようにすれば、攪拌ポット内での溶融ガラスの液面が所望の高さに維持された状態で、攪拌ポット内では溶融ガラスが常に流動する状態になる。これに伴って、移送装置におけるこの攪拌ポットよりも上流側部位についても、溶融ガラスが保有されつつ常に流動する状態になる。ここで、例えば移送容器内に溶融ガラスが滞留すれば、その溶融ガラスが煮詰まった状態になって異質ガラスに変質する事態を招き得る。しかし、本発明に係る方法では、移送装置における当該攪拌ポットの流出口よりも上流側部位で、溶融ガラスが常に流動する状態になる。そのため、この上流側部位では、溶融ガラスが異質ガラスに変質する事態を阻止することができる。また、攪拌ポットのドレン孔から溶融ガラスを排出すれば、成形手段の交換作業を支障なく行うことができる。
【0021】
この場合、前記攪拌ポットの流出口の流路面積よりも前記ドレン孔の流路面積の方が小さいことが好ましい。
【0022】
このようにすれば、相対的に流路面積が小さいドレン孔から溶融ガラスを排出することで、排出される溶融ガラスの流量調整を容易に行うことができる。このため、移送装置における当該攪拌ポットの流出口よりも上流側部位での溶融ガラスの液面高さを、高精度にコントロールすることができる。
【0023】
前述の方法において、前記冷却パイプが隣接する前記攪拌ポットの上流側に位置する直近の移送容器の内底面に開口するドレン孔から溶融ガラスを排出させることで、該攪拌ポットを実質的に空の状態にし、この状態で該攪拌ポットの流出口に堰き止め部材を配置することで、溶融ガラスの前記堰き止めを行い、その後に、該攪拌ポットが溶融ガラスを保有した状態にすることが好ましい。
【0024】
このようにすれば、冷却パイプに隣接する攪拌ポットが実質的に空の状態にある時に、その流出口の堰き止めが行われ、その後に当該攪拌ポットに溶融ガラスが流入して所望の液面高さに維持される。従って、当該攪拌ポットの流出口の堰き止め時に、その流出口から溶融ガラスが流出することはない。しかも、当該攪拌ポットに溶融ガラスが流入していく過程においても、その流出口から冷却パイプ側に溶融ガラスが流出することはない。これにより、当該攪拌ポットから溶融ガラスを漏出させずに、既述の状態にある上流側部位と下流側部位とに区分することができる。
【0025】
この場合、前記移送容器の内底面に開口するドレン孔から溶融ガラスを排出させることで、前記攪拌ポットと前記冷却パイプとを実質的に空の状態にし、この状態で該攪拌ポットと該冷却パイプとを分離させ、然る後、溶融ガラスの前記堰き止めを行うことが好ましい。
【0026】
このようにすれば、当該攪拌ポットと冷却パイプとの何れからも溶融ガラスを漏出させずに、両者を分離させることができる。これにより、当該攪拌ポットの流出口の堰き止め作業を安全且つ円滑に行うことができる。
【0027】
前述の方法において、前記交換工程では、前記移送容器内の溶融ガラスの温度を操業時の温度よりも低下させることが好ましい。
【0028】
このようにすれば、複数の移送容器での溶融ガラスの流通速度が適度に低下する。これにより、それぞれの移送容器における溶融ガラスの保有や排出についての動作を微調整しながら円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、移送装置が複数の移送容器を含む場合に、成形手段の交換時における各移送容器の状態が良好なものとなり、再稼働時に溶融ガラスの移送を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法を実施するための製造装置の全体構成を示す概略側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法を実施するための製造装置の要部である移送装置を示す縦断側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程を実行している状態を示す要部概略側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程を実行している状態を示す要部概略縦断側面図である。
【
図5a】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程で、隣接する移送容器を分離する手順を示す縦断側面図である。
【
図5b】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程で、隣接する移送容器を分離する手順を示す縦断側面図である。
【
図5c】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程で、隣接する移送容器を分離する手順を示す縦断側面図である。
【
図5d】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程で、隣接する移送容器を分離する手順を示す縦断側面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るガラス物品の製造方法を実施するための製造装置の要部を示す縦断側面図である。
【
図7a】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程で、隣接する移送容器を分離する手順を示す縦断側面図である。
【
図7b】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程で、隣接する移送容器を分離する手順を示す縦断側面図である。
【
図7c】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程で、隣接する移送容器を分離する手順を示す縦断側面図である。
【
図7d】本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法における交換工程で、隣接する移送容器を分離する手順を示す縦断側面図である。
【
図8a】本発明に先立って、本発明者等が試みたガラス物品の製造方法における交換工程を実行している要部の状態を示す縦断側面図である。
【
図8b】本発明に先立って、本発明者等が試みたガラス物品の製造方法における交換工程を実行している要部の状態を示す縦断側面図である。
【
図9a】本発明に先立って、本発明者等が試みたガラス物品の製造方法における交換工程を実行している要部の状態を示す縦断側面図である。
【
図9b】本発明に先立って、本発明者等が試みたガラス物品の製造方法における交換工程を実行している要部の状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係るガラス物品の製造方法について添付図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る方法の実施に用いられるガラス物品の製造装置を例示している。同図に示すように、この製造装置1は、大別すると、上流端に配備されてガラス原料を加熱溶融する溶融炉2と、溶融炉2から流出した溶融ガラスを下流側に向かって移送する移送装置3と、移送装置3から供給される溶融ガラスGmを帯状の板ガラスGpに成形する成形手段4とを備える。
【0033】
移送装置3は、移送容器として上流側から順に、清澄パイプ5と、複数(図例では2個)の攪拌ポット6、7と、冷却パイプ8と、ポット9とを有する。これらの移送容器5~9はそれぞれ、溶融ガラスGmが流入する流入口と、溶融ガラスGmが流出する流出口とを備えている。
【0034】
詳述すると、清澄パイプ5は、溶融ガラス中の気泡を除去するもので、清澄パイプ5の下流側には、溶融ガラスを均質化させる上流側の第1攪拌ポット6と下流側の第2攪拌ポット7とが配設されている。製造装置1の稼働時における各攪拌ポット6、7には、軸心廻りに回転する攪拌羽根(スターラー)6x、7xがそれぞれ収容されている。第2攪拌ポット7の下流側には、冷却パイプ8が隣接して配置され、冷却パイプ8の下流側には、溶融ガラスの粘度調整を主として行う容積部としてのポット9が隣接して配置されている。冷却パイプ8は、下流側が上方に向かって傾斜している。
【0035】
成形手段4は、オーバーフローダウンドロー法により溶融ガラスを流下させて成形作用を行う成形体10と、成形体10に溶融ガラスGMを導く大径の導入パイプ11とを有する。導入パイプ11には、移送装置3のポット9から溶融ガラスGmが供給されるようになっている。
【0036】
図2は、移送装置3の拡大縦断面図である。同図に示すように、溶融炉2の流出口2bは、上流側接続パイプ12を介して、清澄パイプ5の流入口5aに連通している。清澄パイプ5の流出口5bは、中間接続パイプ13を介して、第1攪拌ポット6の流入口6aに連通している。第1攪拌ポット6の流入口6aは、その周壁の上部に設けられている。第1攪拌ポット6の流出口6bは、下流側接続パイプ14を介して、第2攪拌ポット7の流入口7aに連通している。第1攪拌ポット6の流出口6bは、その周壁の下部に設けられ、第2攪拌ポット7の流入口7aは、その周壁の上部に設けられている。これらの攪拌ポット6、7は、同一高さに配置されている。下流側接続パイプ14は、下流側が上方に向かって傾斜している。第2攪拌ポット7の流出口7bは、冷却パイプ8の流入口8aと重なり合って連通している。第2攪拌ポット7の流出口7bは、その周壁の下部に設けられている。冷却パイプ8は、下流側が上方に向かって傾斜している。冷却パイプ8の流出口8bは、ポット9の流入口9aと重なり合って連通している。ポット9は、上方の大径部9xと下方の小径部9yとを有する。ポット9の流入口9aは、大径部9xの周壁に設けられ、流出口9bは、小径部9yの下端に設けられている。ポット9の小径部9yは、成形手段4の導入パイプ11に挿入されている。小径部9yの下端部は、導入パイプ11内の溶融ガラスGm中に浸漬している。
【0037】
上記の各移送容器5~9及び各接続パイプ12~14で構成される移送流路は、少なくとも溶融ガラスGmと接触する部位(この実施形態では移送流路の内面全域)が、薄肉の貴金属(例えば白金または白金合金)からなる部材で形成されている。それらの部材の周囲は、図外の耐火物で覆われている。移送流路は、通電加熱されており、各移送容器5~9及び各接続パイプ12~14ごとに温度調整することが可能になっている。
【0038】
以上の構成を備えた製造装置1は、次に示すような工程を実行する。すなわち、本発明に係るガラス物品の製造方法は、溶融炉2でガラス原料を加熱溶融して溶融ガラスGmを生成する溶融工程と、溶融炉2から流出した溶融ガラスGmを移送装置3によって移送する移送工程と、移送装置3から供給された溶融ガラスGmを成形手段4によって所定形状に成形する成形工程とを備える。さらに、この製造方法は、成形手段4を交換する交換工程を有している。交換工程では、成形工程を中断した状態で、以下のことが実行される。
【0039】
交換工程を実行している期間(例えば1ヶ月程度)は、
図3に示すように、成形手段4が、移送装置3から切り離されて分離している。この状態では、成形手段4の導入パイプ11が、移送装置3のポット9から離脱して、ポット9の流出口9bが外気に開放している。
【0040】
図4は、交換工程を実行している期間における移送装置3の状態を例示している。同図に示すように、移送装置3は、第2攪拌ポット7と冷却パイプ8との間を境にして分離している。詳述すると、第2攪拌ポット7の流出口7bは、堰き止め部材15によって閉鎖され、流出口7bからの溶融ガラスGmの流出が阻止されている。冷却パイプ8は、第2攪拌ポット7から切り離され、その流入口8aが外気に開放している。
【0041】
この状態の下で、第2攪拌ポット7の内底面に開口するドレン孔7gが開放され、溶融ガラスGmがドレン孔7gを通じて下方に排出され続けている。この時点では、第1攪拌ポット6の内底面に開口するドレン孔6gが閉鎖されている。なお、本実施形態の交換工程では、第1攪拌ポット6及び第2攪拌ポット7から回転羽根6x、7xが取り外されているが、回転羽根6x、7xが取り付けられた状態であってもよい。
【0042】
この交換工程では、溶融炉2から継続して溶融ガラスGmが流出している。この流出した溶融ガラスGmは、清澄パイプ5及び第1攪拌ポット6を流れて第2攪拌ポット7に流入した後、ドレン孔7gから下方に排出される。第1攪拌ポット6のドレン孔6gの流路面積は、第1攪拌ポット6の流入口6a及び流出口6bのそれぞれの流路面積よりも小さい。また、第2攪拌ポット7のドレン孔7gの流路面積も、第2攪拌ポット7の流入口7a及び流出口7bのそれぞれの流路面積よりも小さい。これにより、第2攪拌ポット7のドレン孔7gから排出される溶融ガラスGmの流量調整を容易に行うことができる。この実施形態では、ドレン孔7gから溶融ガラスGmを滴状として間欠的に排出するが、ドレン孔7gから溶融ガラスGmを線状として連続的に排出してもよい。
【0043】
このような動作が継続して行われている期間中、清澄パイプ5、第1攪拌ポット6及び第2攪拌ポット7は、何れも、溶融ガラスGmを保有した状態に維持される。ここで、「溶融ガラスGmを保有する」とは、交換工程における各移送容器5~7での溶融ガラスGmの液面高さh1(mm)が、製造装置1の稼働時(成形工程の実行時)における各移送容器5~7での溶融ガラスの液面高さh0(mm)と同程度であることを意味する。例えばh1/h0は、50%~150%とすることができ、75%~125%であることが好ましく、90~110%であることがより好ましい。
【0044】
このように各移送容器5~7が溶融ガラスGmを保有した状態に維持されることによって、各移送容器5~7は空炊き状態にならず、これらに酸化が生じない。その結果、再稼働時に移送装置3によって移送される溶融ガラス中に白金酸化物からなる白金ブツ等の異物が混入して製品不良や品質低下を招く事態が回避される。
【0045】
この交換工程が行われている際に、各移送容器5~7が保有する溶融ガラスGmの温度は、製造装置1の稼働時に各移送容器5~7が保有する溶融ガラスの温度よりも、例えば25~150℃だけ低く設定されている。そのため、溶融ガラスGmの流通速度は、適度に低下している。その結果、溶融ガラスGmの保有や排出を容易にコントロールすることができる。
【0046】
冷却パイプ8は、溶融ガラスGmを排出した後、可及的速やかに降温(例えば常温になるまで降温)される。また、ポット9も、溶融ガラスGmを排出した後、可及的速やかに降温(例えば常温になるまで降温)される。この降温によって、冷却パイプ8及びポット9が空炊き状態にならず、これらの酸化が抑制される。なお、「移送容器が溶融ガラスを保有しないように排出して降温した状態にする」とは、移送容器を構成する貴金属の酸化が抑制される程度の温度まで降温すればよく、本実施形態のように移送容器を常温になるまで降温する場合に限定されない。白金または白金合金からなる移送容器であれば、降温して600℃以下にすることが好ましく、300℃以下にすることがより好ましい。エネルギーコストを削減する観点では、降温して常温にすることが好ましい。また、上述の降温は、例えば、移送容器の通電加熱を停止した状態で放冷することで行えばよい。移送容器の通電加熱を停止した状態でファン等を用いて移送容器を冷却してもよい。また、「移送容器が溶融ガラスを保有しない」とは、移送容器から全部又は大部分の溶融ガラスが排出されていることを意味する。すなわち、一部の溶融ガラスが移送容器に残留している状態を含むものとする。製造装置1の稼働時(成形工程の実行時)に移送容器に保有される溶融ガラスの質量をm0(kg)とし、移送容器から大部分の溶融ガラスを排出した状態で残留する溶融ガラスの質量をm1(kg)とした場合、例えばm1/m0は、20%以下とすることができ、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
【0047】
以上のように、交換工程では、移送装置3における第2攪拌ポット7の流出口7bよりも上流側部位A1が、溶融ガラスGmを流動させながら保有した状態になる。また、移送装置3における冷却パイプ8の流入口8aよりも下流側部位A2が、溶融ガラスGmを保有しないように排出して降温した状態になる。なお、上流側部位A1では、上記の例示で移送容器とした清澄パイプ5、第1攪拌ポット6及び第2攪拌ポット7だけでなく、各接続パイプ12~14についても、溶融ガラスGmを流動させながら保有した状態になる。そのため、この実施形態では、各接続パイプ12~14も、移送容器の部類に入る。
【0048】
次に、第2攪拌ポット7と冷却パイプ8とを切り離して分離した状態にするための手順を説明する。
【0049】
図5aは、第2攪拌ポット7と冷却パイプ8との切り離しの開始時における態様を示している。この時点では、成形手段4が移送装置3と接続されている。第1攪拌ポット6、第2攪拌ポット7及び冷却パイプ8は、溶融ガラスGmを保有した状態にある。なお、3つの接続パイプ12~14も同様に溶融ガラスGmを保有した状態にある。この状態で、同図に示すように、第1攪拌ポット6のドレン孔6g及び第2攪拌ポット7のドレン孔7gを開放して溶融ガラスGを排出する。また、中間接続パイプ13を降温して、中間接続パイプ13内の溶融ガラスGmの粘度を高くすることにより、第1攪拌ポット6への溶融ガラスの供給を停止する又は減少させる。その結果、
図5bに示すように、第1攪拌ポット6、下流側接続パイプ14、第2攪拌ポット7、冷却パイプ8、ポット9及び導入パイプ11が実質的に空の状態になる。なお、第1攪拌ポット6及び下流側接続パイプ14は、実質的に空の状態でなくてもよく、第2攪拌ポット7への溶融ガラスGmの流入が抑制できる程度に、溶融ガラスGmの液面が低下した状態であってもよい。
【0050】
ここで、「実質的に空の状態」とは、以下の状態を意味する。第2攪拌ポット7については、内部空間が完全に空の状態である場合に加えて、溶融ガラスGmが残っていてもその液面高さが流出口7bの下端よりも低い状態にある場合も含む(第1攪拌ポット6も同様)。冷却パイプ8については、内部流路が完全に空の状態である場合に加えて、溶融ガラスGmが内部流路の底部に僅かに残っている場合も含む。なお、ポット9についても、内部空間が完全に空の状態である場合に加えて、溶融ガラスGmが内部空間のくびれ部などに僅かに残っている場合も含む。
【0051】
この状態で、
図5cに示すように、冷却パイプ8を第2攪拌ポット7から切り離す。この時点では、第2攪拌ポット7及び冷却パイプ8からの溶融ガラスの流出は生じない。従って、安全に両者7、8を切り離すことができる。その後、
図5dに示すように、第2攪拌ポット7の流出口7bを堰き止め部材15で閉鎖する。この実施形態では、堰き止め部材15は、内部を冷却水が流通する水冷板である。その後、中間接続パイプ13を元の温度に昇温して、第1攪拌ポット6のドレン孔6gを閉鎖する。これにより、第2攪拌ポット7に溶融ガラスGmが流入し、既述の
図4に示す状態になる。この場合、第1攪拌ポット6のドレン孔6g及び第2攪拌ポット7のドレン孔7gから溶融ガラスGの排出を開始してから第1攪拌ポット6及び第2撹拌ポット7が溶融ガラスGmを保有した状態になるまでの間は、第1攪拌ポット6及び第2攪拌ポット7の変形を防止する観点から、第1攪拌ポット6及び第2攪拌ポット7の温度を高温に維持することが好ましい。その際、第1攪拌ポット6及び第2攪拌ポット7の酸化が僅かに進行するが、酸化は軽微であると共に発生した白金ブツ等が第1攪拌ポット6のドレン孔6gや第2攪拌ポット7のドレン孔7gから排出されるので、ガラス物品の品質低下は実質的に生じない。
【0052】
上記実施形態は、移送容器として2個の攪拌ポット6、7を有する場合を例示したが、攪拌ポットがこれ以外の個数である場合には、以下に示すような手法が採用される。
【0053】
図6に示すように、移送容器として、3個以上(図例では3個)の攪拌ポット16、17、18を有する場合には、最も下流側に位置する攪拌ポット18と冷却パイプ8とを切り離す手順は、次のようになる。すなわち、最も下流側に位置する攪拌ポット18が、上述の第2攪拌ポット7と同様の動作を行い、最も下流側に位置する攪拌ポット18の上流側に位置する直近の攪拌ポット17が、上述の第1攪拌ポット6と同様の動作を行う。それよりも上流側に位置する攪拌ポット16のドレン孔16gは常時閉鎖された状態を維持する。そして、切り離しが完了した時点では、最も下流側の攪拌ポット18の流出口18bが堰き止め部材により閉鎖され、そのドレン孔18gのみから溶融ガラスGmが排出され続ける。
【0054】
図7a及び
図7bは、攪拌ポット19が1個の場合に、攪拌ポット19と冷却パイプ8とを切り離す手順を例示している。
図7aは、両者19、8の切り離しの開始時における態様を例示している。同図に示すように、攪拌ポット19及び冷却パイプ8が溶融ガラスGmを保有している状態から、攪拌ポット19のドレン孔19gから溶融ガラスGmを排出し始める。この時点では、攪拌ポット19に流入する溶融ガラスGmの流量が減少している。そのため、
図7bに示すように、攪拌ポット19と冷却パイプ8とが、実質的に空の状態になる。ここでの「実質的に空の状態」は、既述と同様の意味であって、図例では、攪拌ポット19に溶融ガラスGmが残っているが、その液面高さが、流出口19bの下端よりも低くなっている。この後、
図7cに示すように、攪拌ポット19と冷却パイプ8とを切り離す。この状態で、
図7dに示すように、攪拌ポット19の流出口19bを堰き止め部材20で閉鎖する。この状態を維持して、攪拌ポット19に流入する溶融ガラスGmの流量を増加させる。その結果、移送装置3における攪拌ポット19の上流側部位が、溶融ガラスGmを流動させつつ保有した状態になる。なお、攪拌ポット19に流入する溶融ガラスGmの流量の調整は、例えば清澄パイプ5や中間接続パイプ13で行われる。
【0055】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように種々のバリエーションが可能である。
【0056】
上記実施形態で攪拌ポットを2個以上有する場合においては、最も下流側に位置する攪拌ポットの上流側に位置する直近の攪拌ポットが、攪拌ポット以外の他の移送容器であっても、その移送容器が内底面に開口するドレン孔を有する場合には、同様に本発明を適用することができる。
【0057】
上記実施形態では、最も下流側に位置する攪拌ポットのドレン孔から溶融ガラスを排出させ続けることで、その上流側部位が、溶融ガラスを流動させながら保有した状態になるようにしたが、その攪拌ポットの流出口、または、流出口とドレン孔との双方から、溶融ガラスを排出させ続けるようにしてもよい。
【0058】
上記実施形態では、最も下流側に位置する攪拌ポットと冷却パイプとの間を境界として上流側部位と下流側部位とに区分したが、隣接する他の移送容器であっても、それら移送容器のうちの上流側に位置する移送容器から溶融ガラスを既述のように適切に排出させることができれば、それら移送容器の間を境界としてもよい。例えば、冷却パイプとポットとの間を境界として上流側部位と下流側部位とに区分し、冷却パイプの流出口に堰き止め部材を配置してもよい。この場合、攪拌ポットのドレン孔から溶融ガラスを排出しても、冷却パイプ内の溶融ガラスが滞留して異質ガラスに変質しやすい。このため、攪拌ポットと冷却パイプとの間を境界として上流側部位と下流側部位とに区分することが好ましい。
【0059】
上記実施形態では、何れかの移送容器から溶融ガラスを排出させ続けることで、所要の移送容器が溶融ガラスを流動させながら保有するようにしたが、溶融ガラスを流動させなくても、所要の移送容器が溶融ガラスを保有した状態にあれば、当該移送容器の酸化を阻止することができる。
【0060】
上記実施形態では、隣接する移送容器の間を唯一の境界として上流側部位と下流側部位とに区分したが、溶融ガラスを保有した状態にある移送容器と、溶融ガラスを保有しないように排出して降温した状態にある移送容器とが存在していれば、区分する箇所や区分する部位の個数は特に限定されない。
【0061】
上記実施形態では、成形手段が、帯状の板ガラスを成形するものであるが、ガラス物品に対応した他の形状に成形するものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 製造装置
2 溶融炉
3 移送装置
4 成形手段
5 清澄パイプ
5a 流入口
5b 流出口
6 攪拌ポット
6a 流入口
6b 流出口
6g ドレン孔
7 攪拌ポット
7a 流入口
7b 流出口
7g ドレン孔
8 冷却パイプ
8a 流入口
8b 流出口
9 ポット
9a 流入口
9b 流出口
10 成形体
15 堰き止め部材
16 攪拌ポット
16g ドレン孔
17 攪拌ポット
18 攪拌ポット
19 攪拌ポット
20 堰き止め部材
A1 上流側部位
A2 下流側部位
Gm 溶融ガラス