(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】位相変調型プロジェクタ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2021063252
(22)【出願日】2021-04-02
(62)【分割の表示】P 2019509593の分割
【原出願日】2018-03-20
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】P 2017070225
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】京砂 悟
(72)【発明者】
【氏名】津田 尋史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-156466(JP,A)
【文献】特開2013-122520(JP,A)
【文献】特開2010-079253(JP,A)
【文献】国際公開第2013/102318(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105404012(CN,A)
【文献】特開2005-115125(JP,A)
【文献】特開2009-205442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13,1/137-1/141
G02B 27/00-30/60
G03B 21/00-21/10
G03B 21/12-21/13
G03B 21/134-21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を中心とした螺旋の一方向に回転し、回転面と垂直な第一方向に進行する円偏光を投写する位相変調型プロジェクタであって、
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光が入射されたことに応じて当該レーザ光の位相を変調して出射する位相変調型空間変調素子と
、
外部に存在する対象物を撮影する撮像手段と、
撮影した前記対象物を、識別又は認識し、認識結果に基づいて、照射する像を決定する制御手段とを備えた
位相変調型プロジェクタ。
【請求項2】
直線偏光を投写する前記レーザ光源と、前記レーザ光源から投写された前記直線偏光を前記第一方向に進行する前記円偏光に変換する光学系とを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の位相変調型プロジェクタ。
【請求項3】
光の偏光を変えない無偏光の部材と、前記第一方向に進行する前記円偏光に変換する円偏光板とを備えた、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の位相変調型プロジェクタ。
【請求項4】
前記制御手段は、前記位相変調型プロジェクタが出射する光に基づいて形成される像が、決定した前記像となるように、前記位相変調型空間変調素子を制御する
ことを特徴とする請求項
1に記載の位相変調型プロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援システム及び保護メガネに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、工場、店舗、配送拠点などにおいて行われる作業の人的ミスの撲滅や、作業時間の短縮、及びそれに伴う作業コストの低減を図るため、投写光を用いた業務支援システムが採用されている。具体的には、作業現場にある作業対象物をカメラで撮影し、撮影した画像を認識すると共に、作業が必要な対象物に対して投写光を照射して、作業員に指示を出すというシステムである。このシステムを用いることで、作業現場から離れた遠隔地からの操作に基づいて、作業対象物に対して投写光を照射することで、作業者に対して作業対象物を確実に視認させることが可能になる。この投写光を用いた業務支援システムを採用すれば、作業効率の向上に加えて、作業に習熟した者でなくても、投写光の指示に基づいて、簡単に熟練工と同等の作業を行うことが可能になる。したがって、現代社会に存在するあらゆる業務を支援する業務支援システムとして、注目されている。
【0003】
この業務支援システムにおいて用いられる投写光として、光源(投写口)から光を投写することができるレーザ光が用いられている。業務支援システムでは、まず、作業対象物を撮影すると共に、撮影した作業対象物の画像を認識することが求められている。次に、業務支援システムでは、当該認識した作業対象物の画像において、作業を必要とする対象物に対してレーザ光を照射することが求められる。この業務支援システムに用いられるデバイスとして、カメラと投写表示装置とを組み合わせたデバイス(以下、プロジェクタという。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012/039267号
【文献】特開2013-020079号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】「汎用レーザゴーグル/保護メガネ」、[Online]、ニューポート社、[2017年3月15日検索]、インターネット<URL:http://www.laser-concierge.com/product_img/Safety/Newport/Goggle/Newport_Goggle.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作業現場において、作業者が、レーザ光が照射された作業対象物を確実に視認するためには、作業対象物に照射されるレーザ光は、ある程度の照度を有している必要がある。一方、労働の安全衛生についての基準を定めた労働安全衛生規則では、労働者が常時就業する場所の作業面は、作業の区分に応じて、所定の照度(ルクス)を確保することが定められている。
【0007】
そうすると、作業者に対してレーザ光が照射された作業対象物を確実に視認させるためには、作業対象物に対して照射されるレーザ光は、労働安全衛生規則で定められている照度を上回る照度となる光量が求められる。他方、レーザ光は、出力の低いものでも直視すると失明の危険性があるため、取り扱いに注意が必要とされている。例えば、国際電気標準会議(IEC:International Electro-technical Commission)のレーザ機器及びその使用者のための安全指針において、レーザ機器の出力、レーザ光の波長などによるクラス分けがなされている。そして、クラス毎に労働衛生安全管理体制の整備が要求されている。
【0008】
レーザ光が照射された対象物を視認する作業者の目をレーザ光から確実に保護するため、例えば、非特許文献1に記載されているような、レーザ光用の保護ゴーグルが一般的に知られている。一般的なレーザ光用の保護ゴーグルには、レーザ波長の光の領域の強度を減衰させる一種の色フィルタが用いられている。したがって、この保護ゴーグルを装着すると、レーザ光を投写面に投写して形成した画像、すなわち、作業対象物に対して照射されるレーザ光の強度も減衰して見えることになる。そうすると、このレーザ用の保護ゴーグルを装着した作業者は、作業対象物に対して照射されたレーザ光を視認することができなくなる。その結果、作業者は、レーザ光を用いた投写指示に基づいた作業を行うことができなくなる。したがって、レーザ光を用いた業務支援システムに従事する作業者に、このレーザ用の保護ゴーグルを装着してもらうことはできない。
【0009】
要するに、このレーザ用の保護ゴーグルは、作業者の目を保護すること自体は可能であるが、レーザ光を用いた業務支援システムには適さないという課題がある。
【0010】
しかしながら、上記したように、レーザ光を直視すると目に影響を与えてしまうという危険性がある。したがって、作業者が、作業対象物に対して照射されたレーザ光を確実に視認することができ、かつ、作業者の目を保護することが可能な保護メガネの開発が求められている。
【0011】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、作業者が、作業対象物に対して照射されたレーザ光を確実に視認でき、かつ、作業者の目を保護するという課題を解決する業務支援システム及び保護メガネを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の位相変調型プロジェクタは、光軸を中心とした螺旋の一方向に回転し、回転面と垂直な第一方向に進行する円偏光を投写する。
また、本発明の位相変調型プロジェクタは、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光が入射されたことに応じて当該レーザ光の位相を変調して出射する位相変調型空間変調素子とを備える。
【0013】
また、本発明の位相変調型プロジェクタの制御方法は、位相変調型プロジェクタの制御方法であって、外部に存在する対象物を撮影し、撮影した前記対象物を、識別又は認識し、認識結果に基づいて、前記位相変調型プロジェクタが照射する像を決定する。
また、本発明のコンピュータプログラムは、位相変調型プロジェクタを制御するために、外部に存在する対象物を撮影することと、撮影した前記対象物を、識別又は認識し、認識結果に基づいて、前記位相変調型プロジェクタが照射する像を決定することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業者が、作業対象物に対して照射されたレーザ光を確実に視認することができ、かつ、作業者の目を保護することが可能な業務支援システム及び保護メガネを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタの一例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタの照射部の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタから投写された光が被投写対象面で反射され、その光を保護メガネで見るときの投写光、偏光光の関係の一例について説明する図である。
【
図4】第1実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタから投写された光を保護メガネで見るときの投写光、偏光光の関係の一例について説明する図である。
【
図5】第1実施形態の業務支援システムを構成する保護メガネの外観の一例を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態の業務支援システムを構成する保護メガネの基材(レンズ)がプラスチックの場合の、
図5のA-A´断面図である。
【
図7】第1実施形態の業務支援システムを構成する保護メガネの基材(レンズ)がガラスの場合の、
図5のA-A´断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態の業務支援システムの一例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1実施形態について説明する前に、本発明の実施形態の業務支援システムの概要について説明する。
【0017】
本実施形態の業務支援システムは、位相変調型プロジェクタと、保護メガネとを有する。最初に、位相変調型プロジェクタについて説明する。
【0018】
近年、プロジェクタに関する技術開発が目覚ましい。プロジェクタとは、ディスプレイ装置の一種である。プロジェクタは、大型スクリーンなどの被投写対象面に、画像や映像を投写することで表示する投写表示装置である。
【0019】
プロジェクタの変調方式には強度変調型と位相変調型がある。位相変調型は、強度変調型よりも電力効率が良いという特徴がある。位相変調型は、プロジェクタとスクリーンとの間の距離が離れていても、被投写対象面に表示される画像が暗くならないように設計することができる。また、位相変調型とは、投写画像のフーリエ変換画像を、高精細な液晶素子上に形成し、画素毎の屈折率変化に基づいて位相を制御し、投写画像を得るものである。
【0020】
このような特徴を有する位相変調型のプロジェクタから照射されるレーザ光は、被投写対象面に投写される画像が形成される部分にだけ投写される。すなわち、位相変調型のプロジェクタから照射されるレーザ光は、画像が形成されない部分には投写されない。すなわち、位相変調型のプロジェクタから照射されるレーザ光は、いわゆる拡散光ではない性質を有している。したがって、位相変調型のプロジェクタから照射されるレーザ光のエネルギーは、画像を形成する部分(光る部分)にしか照射されず、画像が形成されない部分(暗い部分)には照射されない。このため、レーザ光が投写可能な光量は、プロジェクタの大きさに比例するという関係があるにもかかわらず、位相変調型のプロジェクタは、位相変調型以外のプロジェクタよりも、小さなエネルギーで、明るいレーザ光を照射することができるのである。この点が、位相変調型のプロジェクタを本実施形態の業務支援システムに採用する理由の1つである。その他の理由については後述する。
【0021】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタについて、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタの一例を示すブロック図である。
図1において、点線はレーザ光の流れを表し、実線は情報の流れを表す。なお、以下説明する図における一方向性の矢印は、ある信号(データ)の流れを端的に示したもので、双方向性を排除するものではない。
【0022】
図1を参照すると、本実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタ1は、撮像部100と、制御部200と、照射部300とを有する。以下、それぞれについて説明する。
【0023】
撮像部100は、位相変調型プロジェクタ1の外部に存在する対象物を撮影する。撮像部100で撮影した対象物又はその動きなどの情報(以下、これらを纏めて「対象物等」という。)を、位相変調型プロジェクタ1の図示しない記憶部に格納する。撮像部100は、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などの撮像素子、又は、3次元深度検出素子などを用いて実現される。
【0024】
制御部200は、撮像部100が撮影した対象物等を、パターン認識などの画像処理を用いて、識別又は認識する(以下、識別と認識とを区別せず「認識」という。)。制御部200は、その認識結果に基づいて位相変調型空間変調素子320を制御する。すなわち、制御部200は、認識結果に基づいて、照射部300が照射する像を決定する。制御部200は、位相変調型空間変調素子320が出射する光に基づいて形成される像が、制御部200が決定した像となるように、位相変調型空間変調素子320を制御する。
【0025】
照射部300は、レーザ光源310と、位相変調型空間変調素子320とを有する。レーザ光源310は、レーザ光を照射する構成を備えている。レーザ光源310が照射するレーザ光が位相変調型空間変調素子320に入射するように、レーザ光源310と位相変調型空間変調素子320とが配置されている。位相変調型空間変調素子320は、レーザ光が入射されたことに応じて当該レーザ光の位相を変調して出射する機能を備えている。
【0026】
照射部300は、さらに、後述する結像光学系又は図示しない照射光学系などを有していてもよい。照射部300は、位相変調型空間変調素子320が出射した光から形成される像を照射する。
【0027】
本実施形態における制御部200と位相変調型空間変調素子320とについてさらに説明する。位相変調型空間変調素子320は、位相変調型の回折光学素子を用いて実現される。
【0028】
位相変調型空間変調素子320は、複数の受光領域を有する。受光領域は、位相変調型空間変調素子320を構成するセルである。受光領域は、例えば、1次元又は2次元のアレイ状に配列される。制御部200は、制御情報に基づいて、位相変調型空間変調素子320を構成する複数の受光領域のそれぞれについて、当該受光領域に入射した光の位相と当該受光領域から出射する光の位相との差分を決定付けるパラメータが変化するように制御する。具体的には、制御部200は、複数の受光領域のそれぞれについて、例えば屈折率又は光路長などの光学的特性が変化するよう制御する。位相変調型空間変調素子320に入射した入射光の位相の分布は、各受光領域の光学的特性の変化に応じて変化する。これにより、位相変調型空間変調素子320は、制御情報を反映した光を出射する。
【0029】
位相変調型空間変調素子320は、例えば、強誘電性液晶、ホモジーニアス液晶、又は、垂直配向液晶などを有している。位相変調型空間変調素子320は、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)の技術を用いて実現される。この場合、制御部200は、位相変調型空間変調素子320を構成する複数の受光領域のそれぞれについて、受光領域に印加する電圧を制御する。受光領域の屈折率は、印加された電圧に応じて変化する。このため、制御部200は、位相変調型空間変調素子320を構成する各受光領域の屈折率を制御することで、受光領域間に屈折率の差を発生させることができる。位相変調型空間変調素子320では、その制御部200からの制御に基づいて、入射されたレーザ光が各受光領域において適宜に回折する。
【0030】
図2は、第1実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタの照射部の一例を示すブロック図である。
【0031】
本実施形態における業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタの照射部300は、レーザ光源310に加えて、整形光学系312と、投写制御部322と、投写部330とを有する。
【0032】
整形光学系312は、レーザ光源310の光出力口に配置される。整形光学系312は、レーザ光源310から発せられた光を、後に設けられている位相変調、フーリエ変換、結像、投写に適する形状に整形する。レーザ光源310から発せられた光の偏光状態は、光が投写部330から投写されるまで保存される。整形光学系312から出射された光は投写制御部322の位相変調型空間変調素子320の受光面に入射する。
【0033】
投写制御部322は、位相変調型空間変調素子320と、変調制御部321と、フーリエ変換レンズ324と、結像光学系326とを有する。
【0034】
位相変調型空間変調素子320は、投写制御部322に入射された光を位相変調する。
【0035】
変調制御部321は、位相変調型空間変調素子320が有する複数の受光領域の屈折率を、それぞれ投写しようとする画像の画素毎の情報に応じて変化させる。
【0036】
位相変調型空間変調素子320を用いて位相変調された光は、フーリエ変換レンズ324を透過することで回折する。フーリエ変換レンズ324は、位相変調型空間変調素子320を用いて位相変調された光をフーリエ変換する。そして、フーリエ変換レンズ324を透過して回折した光は、結像光学系326へ向けて集光する。結像光学系326は、フーリエ変換レンズ324を透過した光を結像する。例えば、結像光学系326は、図示しない偏光保存素子を透過した光を結像する。結像光学系326は、結像した光を投写部330へ入射する。投写部330は、結像光学系326から入射された光を投写する。
【0037】
次に、第1実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタから投写された光が被投写対象面で反射され、その光を保護メガネで見るときの投写光、偏光光の関係の一例について
図3を参照しつつ説明する。
【0038】
図3を参照すると、本実施形態の業務支援システム20は、位相変調型プロジェクタ1と、プロジェクタ側偏光部材40と、被投写対象面14と、保護メガネ側偏光部材50と、を有する。
【0039】
位相変調型プロジェクタ1は、上記
図1及び
図2において説明したものである。位相変調型プロジェクタ1は、レーザ光源310と、照射部300を含む光学系350とを有する。
【0040】
プロジェクタ側偏光部材40は、直線偏光板4と、右回りの円偏光板5と、保護ガラス6とを有する。
【0041】
保護メガネ側偏光部材50は、保護ガラス10と、左回りの円偏光板11と、直線偏光板12とを有する。
【0042】
次に、本実施形態の業務支援システムの原理について説明する。業務支援システム20の投写系は、位相変調型プロジェクタ1を一例とする位相変調型を想定している。この投写系は、出力が直線偏光しているという特徴がある。位相変調型プロジェクタ1のレーザ光源310から出射したレーザ光は、光学系350に入力する。光学系350から直線偏光性の出力光3が出力される。これを、プロジェクタ側偏光部材40の偏光系を用いて円偏光化する。直線偏光性の出力光3は、直線偏光板4に入射する。直線偏光板4を透過した直線偏光性の出力光3は、右回りの円偏光板5に入射する。右回りの円偏光板5を透過し、右回りの円偏光に偏光した光は、光の偏光を変えない無偏光の保護ガラス6に入射する。保護ガラス6を透過した右回りの円偏光に偏光した光は、右回りの円偏光投写光7となり被投写対象面14へ向けて進行する。
【0043】
なお、位相変調型プロジェクタ1の出力光3の偏光の程度に依存するが、位相変調型プロジェクタ1の出力光3が十分な直線偏光性を有している場合、例えば、直線偏光度が100%であれば、プロジェクタ側偏光部材40の直線偏光板4を省略できる。
【0044】
また、仮に、位相変調型プロジェクタ1の出力光3が無偏光である場合、プロジェクタ側偏光部材40を透過させると、透過後の出力光の光量は半減する。しかしながら、
図1及び
図2において説明したように、位相変調型プロジェクタ1は、位相変調型以外のプロジェクタよりも、小さなエネルギーで、明るいレーザ光を照射することができる。したがって、位相変調型プロジェクタ1の場合、光量の損失は小さく、十分な明るさを確保することができる。
【0045】
被投写対象面14へ向けて進行した右回りの円偏光投写光7は、被投写対象面14で乱反射する。右回りの円偏光投写光7は、被投写対象面14において、右回りの円偏光反射光9と、左回りの円偏光反射光8とに反射される。この場合、右回りの円偏光反射光9と、左回りの円偏光反射光8とが、後述する保護メガネ2を装着する作業者の目に向かうものとする。そして、後述するように、
図3の場合、作業者が装着する保護メガネ2の一組のレンズは、左回りの円偏光板11を有している。したがって、右回りの円偏光反射光9は、作業者の目に届かないことになる。
【0046】
保護メガネ側偏光部材50は、後述する保護メガネ2のレンズの構成を表している。左回りの円偏光反射光8は、まず、保護メガネ2の保護ガラス10に入射する。保護ガラス10は、ガラスレンズが装着されているメガネのレンズそのものであってもよい。保護ガラス10を透過した左回りの円偏光反射光8は、左回りの円偏光板11に入射する。左回りの円偏光板11を透過した左回りの円偏光反射光8は、直線偏光板12に入射する。直線偏光板12を透過した左回りの円偏光反射光8は、直線偏光に変換される。この直線偏光に偏光された反射光13は、作業者の目に入る。要するに、直線偏光の偏光方向と、直線偏光板12の偏光方向があっていれば通過し、直交していれば遮断される。
【0047】
作業者は、位相変調型プロジェクタ1が出射した光が円偏光された投写光の偏光方向(
図3の場合は右回りの円偏光)と反対方向の円偏光板と直線偏光板との偏光系(保護メガネ側偏光部材50)の一組のレンズを有する保護メガネ2を装着する。要するに、作業者が装着する保護メガネ2には、被投写対象面14で乱反射した左回りの円偏光反射光8と同一回転方向の光だけが透過するように、直線偏光板と円偏光板との角度調節が施されている。例えば、工場、店舗、配送拠点などにおいて行われる作業の場合、作業者の安全性確保の点から、作業者の目を保護するために、メガネの着用が義務付けられている職場も数多く存在すると考えられる。したがって、本実施形態の業務支援システム20を構成する保護メガネ2を装着することに関して違和感はないと考えられる。
【0048】
なお、保護メガネ2を装着すると視界が暗くなりがちであるが、その分、目の瞳孔が開くため視覚的に暗く感じることはない。このように、本実施形態によれば、レーザ光の視認性の確保と作業者の目の保護といった効果を得ることができる。
【0049】
図4は、第1実施形態の業務支援システムを構成する位相変調型プロジェクタから投写された光を保護メガネで見るときの投写光、偏光光の関係の一例について説明する図である。
【0050】
図4に示す業務支援システム20は、保護メガネ2を装着した状態で、位相変調型プロジェクタ1の投写口から出射されるレーザ光を直に見た場合を示している。この場合、位相変調型プロジェクタ1から出射され、プロジェクタ側偏光部材40を透過した右回りの円偏光投写光7は、保護メガネ側偏光部材50に入射する。保護メガネ2の両目には、左回りの円偏光板11が設けられている。そのため、右回りの円偏光投写光7は保護メガネ2で遮断されることになる。したがって、作業者の目に入るレーザ光の強度は殆ど問題がないレベルとなる。国際電気標準会議(IEC)のレーザ機器及びその使用者のための安全指針で定められているクラス2程度の光を照射して実験したところ、LED(Light Emitting Diode)のインジケータが付いている程度の光量しか感じられなかった。なお、クラス2は、可視光のみに規定され、目の保護は、まばたきなどの嫌悪反応に基づいて行われるクラス1(目に対して安全なレベル)並みの安全が確保されるレーザである。
【0051】
次に、第1実施形態の業務支援システムを構成する保護メガネの外観について説明する。
図5は、第1実施形態の業務支援システムを構成する保護メガネの外観の一例を示す斜視図である。
図5の矢印は、それぞれ、保護メガネ2の前後左右の各方向を表すものとする。
【0052】
図5において、保護メガネ2は、右レンズ71と、左レンズ72と、ヨロイ74と、テンプル(つる)75と、先セル(モダン)とを有する。
【0053】
そして、本実施形態の業務支援システムを構成する保護メガネ2は、右レンズ71と左レンズ72との双方に、左回りの円偏光板11が設けられている。この左回りの円偏光板11は、位相変調型プロジェクタ1が出射した直線偏光性の出力光3を、右回りの円偏光板5で偏光した右回りの円偏光投写光7が、被投写対象面14で乱反射した左回りの円偏光反射光8を透過する。また、左回りの円偏光板11は、位相変調型プロジェクタ1が出射した直線偏光性の出力光3を、右回りの円偏光板5で偏光した右回りの円偏光投写光7を遮断する。
【0054】
次に、第1実施形態の業務支援システムを構成する保護メガネの基材(レンズ)がプラスチックの場合とガラスの場合との内部構成について説明する。
図6は、第1実施形態の業務支援システムを構成する保護メガネの基材(レンズ)がプラスチックの場合、
図7は、保護メガネの基材(レンズ)がガラスの場合の、
図5のA-A´断面図である。
【0055】
図6において、保護メガネ側偏光部材50は、保護メガネ2の前方向から順に、薄板強化ガラス21と、円偏光板22と、直線偏光板23と、プラスチック基材24とを有する。
【0056】
この例では、基材、すなわち、メガネに元々設けられているレンズの基材が、プラスチックである場合を想定している。すなわち、メガネのレンズが、よく用いられているプラスチック系のものである場合、プラスチックが偏光を崩してしまう可能性が高い。したがって、偏光系の板(円偏光板22、直線偏光板23)は、プラスチック基材24の前に設ける必要がある。
【0057】
ただし、このような構成では、円偏光板22の表面に傷が付き易くなるという問題がある。例えば、溶接作業の現場のように鉄粉が飛んでくるような職場では、直ぐに円偏光板22の表面に傷が付いてしまい、光が透過する部分ができてしまう恐れがある。したがって、円偏光板22の表面に、数十ミクロン程度の厚さを有する薄板強化ガラス21を設けることとしている。この程度の厚さであれば紙のように曲げることができる。さらに、保護メガネ2のヨロイ74の部分を含む曲面まで、薄板強化ガラス21を用いて円偏光板22の表面を保護することができる。
【0058】
図7において、保護メガネ側偏光部材50は、保護メガネ2の前方向から順に、ガラス基材31と、円偏光板32と、直線偏光板33とを有している。
【0059】
この例では、基材、すなわち、メガネに元々設けられているレンズの基材が、ガラスである場合を想定している。この構成の場合、ガラス基材31(レンズ)が、円偏光板32の表面を保護する役割を果たす。このように、メガネの基材(レンズ)がガラスの場合は、内側(後側)に偏光系の板(円偏光板32、直線偏光板33)を設けることができる。
【0060】
このように、メガネに元々搭載されているレンズに対して簡単な加工を施すことで、本実施形態の業務支援システム20を構成する保護メガネ2を得ることができる。さらに、メガネフレームに取り付ける前の未加工のブラスチック製メガネレンズ又はガラス製メガネレンズに、
図6又は
図7に示す偏光系の板を取り付けることで、本実施形態の業務支援システム20を構成する保護メガネ2専用のレンズを作成することもできる。
【0061】
次に、本発明の実施形態の業務支援システムと、いわゆるヘッドマウントディスプレイとの相違点と、ヘッドマウントディスプレイでは解決できない本発明特有の効果について説明する。ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着ディスプレイ)とは、ウェアラブルコンピュータの一種であり、頭部に装着するディスプレイ装置のことである。このヘッドマウントディスプレイを用いて本発明の実施形態の業務支援システムを構築した場合、次に述べるような問題がある。
【0062】
ヘッドマウントディスプレイを装着した作業者は、まず、ヘッドマウントディスプレイに表示された作業対象物を示す画像を視認する。その後、実際の作業対象物を視認して作業を行うことになる。すなわち、作業対象物を確認してから実際に作業を行うまでの間に、ヘッドマウントディスプレイに表示された作業対象物と現物とを見比べることになる。
【0063】
そうすると、作業者の視線が移動することになる。したがって、作業者は、作業対象物を確実に視認することができないという問題がある。このように、ヘッドマウントディスプレイでは、作業者が、作業対象物を確実に視認するという本発明が解決しようとする課題は解決されない。
【0064】
次に、本発明の実施形態の業務支援システムと、いわゆる3Dシステムとの相違点と、3Dシステムでは解決できない本発明特有の効果について説明する。3Dシステムの一例であるRealD(登録商標)は、映画館の3Dシステムとして普及しており、円偏光方式を採用している。映画館の3Dシステムは、映写機のレンズの前に偏光板を配置する。
【0065】
そして、右目用のコマを右円偏光に回転させる偏光を与える。また、左目用のコマを左円偏光に回転させる偏光を与える。映像を観る観客は、左右それぞれの目に対して指定されたコマだけを見るように、右目には右円偏光のレンズを、左目には左円偏光用のレンズを嵌めたメガネをかけて映像を見る。要するに、3D用のシステムの場合、偏光を崩さない特殊なスクリーンからの反射を左右別々の偏光を通すメガネを使って観ることを特徴としている。これにより、スクリーンの前後に広がるように観える3次元の立体効果を得ている。
【0066】
この3Dシステムと本発明の実施形態の業務支援システムとは、次の点において相違する。それは、3Dシステムで用いられている映画館のスクリーンは、映写機から投映された偏光を崩さない特殊なスクリーンである点である。これに対して、本発明の実施形態の業務支援システムにおける位相変調型のプロジェクタから照射されるレーザ光は、被投写対象面で乱反射する点である。したがって、被投写対象面からは、左右両方の円偏光が乱反射されることになる。そして、本実施形態の場合は、拡散面(乱反射面)で偏光が崩れた光を、左右一組のレンズが同じ方向の回転偏光板を有するメガネを使用している。具体的には、投写系の回転偏光と逆回転の回転偏光の一組のレンズを有するメガネを使用してレーザ光を見ているのである。
【0067】
仮に、本実施形態のレーザ光が作業対象物に対して照射されている状態で、3Dシステムで用いられているメガネを使用した場合を考えてみる。この場合、右円偏光のレンズに対して左円偏光の光が入り、左円偏光のレンズに対して右円偏光の光が入ると、レーザ光をまったく見ることができなくなるという問題がある。その結果、作業者が、作業対象物を確実に視認するという本発明が解決しようとする課題を解決することができないことになる。
【0068】
また、レーザ光を直視した場合、右円偏光のレンズに対して右円偏光の光が入り、左円偏光のレンズに対して左円偏光の光が入ると、レーザ光が真面に目に入ることになる。その結果、作業者の目を保護するという本発明が解決しようとする課題を解決することができないことになる。
【0069】
以上説明したように、本発明の業務支援システムは、一般的に用いられているヘッドマウントディスプレイの技術や、3Dシステムの技術では決して解決することができない課題を一挙に解決することができるのである。
【0070】
本発明では、直線偏光光を出力する投写装置と、その出力を直線偏光板、円偏光板を通して円偏光化して投写する投写系を用いている。投写装置周辺で投写された画像を見る可能性のある作業者が装着する保護メガネに、円偏光板、直線偏光板を組み合わせた偏光系の板を設けている。そして、保護メガネの円偏光の回転方向は、投写系側の回転方向と逆方向になるようにしている。投写装置周辺にいる作業者が保護メガネを装着することで、投写装置から照射される直接光は、保護メガネの偏光系で大幅に減衰される。その結果、作業者の目を保護することができる。また、作業者は、保護メガネを装着することで、投写装置から投写され反射したレーザ光を視認することができる。その結果、作業者は、作業対象物に対して照射されたレーザ光を確実に視認することができる。
【0071】
なお、上記実施形態では、位相変調型プロジェクタ1から投写される直線偏光光を右回りの円偏光投写光に偏光した場合を例に挙げて説明を行っている。しかしながら、位相変調型プロジェクタ1から投写される直線偏光光を左回りの円偏光投写光に偏光した場合であってもよい。その場合、保護メガネ2の一組のレンズを、右回りの円偏光に偏光する円偏光板で構成する。
【0072】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図8は、本発明の第2実施形態の業務支援システムの一例を示す図である。
【0073】
図8を参照すると、本実施形態の業務支援システム80は、投写部81と、被投写対象部82と、メガネ部83とを有する。
【0074】
投写部81は、光軸を中心とした螺旋の一方向に回転し、回転面と垂直な第一方向84に進行する円偏光を投写する。
【0075】
被投写対象部82は、第一方向84と対向して配置され、投写部81から投写される円偏光を乱反射する。
【0076】
メガネ部83は、投写部81から投写される円偏光が進行する第一方向84と対向して配置されると、第一方向84に進行する円偏光を遮断する一組のレンズを有する。また、メガネ部83は、被投写対象部82で乱反射する光のうち、光軸を中心とした螺旋の一方向と逆方向に回転する円偏光が進行する、回転面と垂直な第二方向86と対向して配置されると、第二方向86に進行する円偏光を透過する一組のレンズを有する。
【0077】
なお、上記説明を行った位相変調型空間変調素子320の代替手段の一例として、MEMS(Micro Electro Mechanical System)の技術によって実現することもできる。
【0078】
また、位相変調型プロジェクタの図示しない記憶部に格納されているコンピュータプログラムは、記録媒体で提供されてもよく、また、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。記録媒体は、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体であって、磁気、光、電子、電磁気、赤外線などを用いて情報の記録又は読み取りが可能な媒体を含む。そのような媒体として、例えば、半導体メモリ、半導体または固体の記憶装置、磁気テープ、取外し可能なコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM(Random Access Memory))、読出し専用メモリ(ROM(Read Only Memory))、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどがある。
【0079】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0080】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光軸を中心とした螺旋の一方向に回転し、回転面と垂直な第一方向に進行する円偏光を投写する投写手段と、
前記第一方向と対向して配置され、前記投写手段から投写される円偏光を乱反射する被投写対象手段と、
前記投写手段から投写される円偏光が進行する第一方向と対向して配置されると、前記第一方向に進行する円偏光を遮断し、
前記被投写対象手段で乱反射する光のうち、光軸を中心とした螺旋の前記一方向と逆方向に回転する円偏光が進行する、回転面と垂直な第二方向と対向して配置されると、前記第二方向に進行する円偏光を透過する一組のレンズを有するメガネ手段と、
を備える、業務支援システム。
(付記2)
前記一組のレンズは、前記第一方向又は前記第二方向と対向する面から順に、光の偏光を円偏光に変える円偏光部材と、光の偏光を直線偏光に変える直線偏光部材とを有し、前記直線偏光部材を用いて直線偏光に変換された光の偏光方向と、前記直線偏光部材の偏光方向とが直交しているとき、前記第一方向又は前記第二方向に進行する円偏光を遮断し、前記直線偏光に変換された光の偏光方向と、前記直線偏光部材の偏光方向とが一致しているとき、前記第一方向又は前記第二方向に進行する円偏光を透過する、付記1に記載の業務支援システム。
(付記3)
前記投写手段は、直線偏光を投写する位相変調型投写手段と、前記位相変調型投写手段から投写された直線偏光を前記第一方向に進行する円偏光に変換する円偏光変換手段と、を備える付記1又は2に記載の業務支援システム。
(付記4)
前記投写手段は、光の偏光を変えない無偏光の部材を介して、前記第一方向に進行する円偏光を投写する、付記1から3の何れか1項に記載の業務支援システム。
(付記5)
前記一組のレンズの前記第一方向と対向する面と、前記第二方向と対向する面とは、光の偏光を変えない無偏光の部材で覆われる、付記1から4の何れか1項に記載の業務支援システム。
(付記6)
前記無偏光の部材は、ガラスである、付記5に記載の業務支援システム。
(付記7)
光軸を中心とした螺旋の一方向に回転し、回転面と垂直な第一方向に進行する円偏光を投写する投写手段から投写される円偏光が進行する第一方向と対向して配置されると、前記第一方向に進行する円偏光を遮断し、
前記第一方向と対向して配置され、前記投写手段から投写される円偏光を乱反射する被投写対象手段で乱反射する光のうち、光軸を中心とした螺旋の前記一方向と逆方向に回転する円偏光が進行する、回転面と垂直な第二方向と対向して配置されると、前記第二方向に進行する円偏光を透過する一組のレンズを備える、保護メガネ。
(付記8)
前記一組のレンズは、前記第一方向又は前記第二方向と対向する面から順に、光の偏光を円偏光に変える円偏光部材と、光の偏光を直線偏光に変える直線偏光部材とを有し、前記直線偏光部材を用いて直線偏光に変換された光の偏光方向と、前記直線偏光部材の偏光方向とが直交しているとき、前記第一方向又は前記第二方向に進行する円偏光を遮断し、前記直線偏光に変換された光の偏光方向と、前記直線偏光部材の偏光方向とが一致しているとき、前記第一方向又は前記第二方向に進行する円偏光を透過する、付記7に記載の保護メガネ。
(付記9)
前記投写手段は、直線偏光を投写する位相変調型投写手段と、前記位相変調型投写手段から投写された直線偏光を前記第一方向に進行する円偏光に変換する円偏光変換手段と、を備える付記7又は8に記載の保護メガネ。
(付記10)
前記投写手段は、光の偏光を変えない無偏光の部材を介して、前記第一方向に進行する円偏光を投写する、付記7から9の何れか1項に記載の保護メガネ。
(付記11)
前記一組のレンズの前記第一方向と対向する面と、前記第二方向と対向する面とは、光の偏光を変えない無偏光の部材で覆われる、付記7から10の何れか1項に記載の保護メガネ。
(付記12)
前記無偏光の部材は、ガラスである、付記11に記載の保護メガネ。
【0081】
この出願は、2017年3月31日に出願された日本出願特願2017-070225を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0082】
1 位相変調型プロジェクタ
2 保護メガネ
3 出力光
4、12 直線偏光板
5 右回りの円偏光板
6、10 保護ガラス
7 右回りの円偏光投写光
8 左回りの円偏光反射光
9 右回りの円偏光反射光
11 左回りの円偏光板
13 反射光
20、80 業務支援システム
21 薄板強化ガラス
22、32 円偏光板
23、33 直線偏光板
24 プラスチック基材
31 ガラス基材
40 プロジェクタ側偏光部材
50 保護メガネ側偏光部材
71 右レンズ
72 左レンズ
73 ブリッジ
74 ヨロイ
75 テンプル(つる)
76 先セル(モダン)
81 投写部
82 被投写対象部
83 メガネ部
84 第一方向
86 第二方向
100 撮像部
200 制御部
300 照射部
310 レーザ光源
312 整形光学系
320 位相変調型空間変調素子
322 投写制御部
324 フーリエ変換レンズ
326 結像光学系
330 投写部
350 光学系