(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/22 20060101AFI20221101BHJP
G02B 1/11 20150101ALI20221101BHJP
G02B 1/16 20150101ALI20221101BHJP
G02B 1/18 20150101ALI20221101BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221101BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20221101BHJP
G09F 9/30 20060101ALN20221101BHJP
【FI】
G02B5/22
G02B1/11
G02B1/16
G02B1/18
G02F1/1335 505
C09B67/20 F
G09F9/30 349A
(21)【出願番号】P 2021139807
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2022-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】二俣 開
(72)【発明者】
【氏名】石丸 佳子
(72)【発明者】
【氏名】石川 真也
(72)【発明者】
【氏名】三好 英恵
(72)【発明者】
【氏名】古川 茂樹
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146659(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0037491(KR,A)
【文献】特開平08-076377(JP,A)
【文献】特開2020-072270(JP,A)
【文献】特開2013-109105(JP,A)
【文献】特開2019-056865(JP,A)
【文献】特開2019-065200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0252000(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/22
G02B 1/11
G02B 1/16
G02B 1/18
G02F 1/1335
C09B 67/20
G09F 9/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素(A)と、添加剤(B)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(C)と、光重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、を含有し、
前記色素(A)は、第一の色材を含有し、
前記第一の色材は、下記式(I)で表される構造を有するジピロメテンホウ素錯体を含有する、着色層形成用組成物。
【化1】
[式(I)において、R
1~R
11は、各々独立に一価基を表し、R
2とR
3及びR
4とR
5の双方又はいずれか一方は、それぞれ互いに結合してピロール環に縮合する芳香環を形成してもよく、該芳香環は、置換基を有していてもよく、また、これらによって形成される縮合芳香環は、同一であっても異なるものであってもよく、
R
8
~R
10
の少なくとも一つは
ニトロ基を有し、Yはホウ素と結合する基を表し、複数あるYは、同一であってもよく異なるものであってもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。]
【請求項2】
前記第一の色材の吸収極大波長が470~530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~30nmである、請求項1に記載の着色層形成用組成物。
【請求項3】
前記色素(A)が、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmである第二の色材をさらに含有する、請求項1又は2に記載の着色層形成用組成物。
【請求項4】
前記色素(A)が、400~780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にある第三の色材をさらに含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物。
【請求項5】
前記色素(A)が、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造のいずれかを有する化合物並びにその金属錯体からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の着色層形成用組成物の硬化物である着色層と、
前記着色層の一方の面に位置する透明基材と、
前記着色層の一方又は他方の面に位置する機能層と、を有し、
前記透明基材及び前記機能層の一方又は双方が、JIS L1925に記載の方法に準じて測定される紫外線遮蔽率が85%以上であり、
前記機能層が、反射防止層又は防眩層として機能する、光学フィルム。
【請求項7】
前記機能層として、酸素透過度が10cm
3/(m
2・day・atm)以下である酸素バリア層をさらに有する、請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記機能層として、帯電防止層又は防汚層をさらに有する、請求項6又は7に記載の光学フィルム。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載の光学フィルムを備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)や、白色有機EL(白色OLED)等の表示装置では、色再現性を含めた画質の向上が一層求められるようになってきている。例えば、LCDにおいては、色再現性は色純度に依存し、色純度はバックライト光源と、カラーフィルタの特性に大きく左右される。色純度を向上させる手法としては、例えば、表示装置の白色光源に対し、カラーフィルタを用いて色分離する手法、単色光源をカラーフィルタで補正し、半値幅を狭くする手法が知られている。
【0003】
しかしながら、カラーフィルタで色純度を向上させる場合、色材濃度を高くしたり、カラーフィルタの膜厚を厚くしたりする必要がある。色材濃度を高くすると、フォトリソ特性(露光性)が悪化する、膜厚を厚くすると、画素形状や混色等により視野角特性が悪化する等の不具合が生じる問題があった。
加えて、色純度を向上させたカラーフィルタは透過率が低く、輝度効率を低下させる問題があった。
【0004】
RGBの3色の発光画素からなるOLED表示装置では、基本的にはカラーフィルタは不要だが、色純度をより向上させたい場合にはカラーフィルタが用いられ、LCDと同様の問題が発生していた。
【0005】
こうした問題に対し、例えば、特許文献1には、特定の構造を有する第1の色材と、420~480nmの波長域に吸収極大を有する第2の色材とを含む色補正フィルタが提案されている。特許文献1の発明によれば、色補正フィルタを用いて白色光源の色純度の向上が図られている。特許文献2には、ジピロメテン系色素を含有する樹脂層を有し、該樹脂が特定のガラス転移温度を有するポリエステル樹脂である、ディスプレイ用フィルタが提案されている。特許文献2の発明によれば、Green-Blue発光間に吸収ピークを持つ色素として半値幅が小さいジピロメテン錯体を利用することで、効果的な色純度の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6142398号公報
【文献】特開2006-251076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ジピロメテン錯体の中でも、中心元素がホウ素である化合物は、中心元素が金属元素である化合物よりも吸収の半値幅が小さく、色純度の向上と輝度効率の向上とを両立しやすい。
しかしながら、従来技術で用いられるジピロメテン錯体では、強い蛍光を発するため、電源消灯時でも外光で励起され、発光してしまう。このため、表示装置に用いられる色素としては適切ではなかった。
【0008】
そこで、本発明は、色純度及び輝度効率を向上させ、色純度と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上できる着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を有する。
【0010】
[1]色素(A)と、添加剤(B)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(C)と、光重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、を含有し、前記色素(A)は、第一の色材を含有し、前記第一の色材は、下記式(I)で表される構造を有するジピロメテンホウ素錯体を含有する、着色層形成用組成物。
【化1】
[式(I)において、R
1~R
11は、各々独立に一価基を表し、R
2とR
3及びR
4とR
5の双方又はいずれか一方は、それぞれ互いに結合してピロール環に縮合する芳香環を形成してもよく、該芳香環は、置換基を有していてもよく、また、これらによって形成される縮合芳香環は、同一であっても異なるものであってもよく、R
7~R
11のうち、少なくとも一つは電子吸引性を有する一価基を有し、Yはホウ素と結合する基を表し、複数あるYは、同一であってもよく異なるものであってもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。]
[2]前記第一の色材の吸収極大波長が470~530nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~30nmである、[1]に記載の着色層形成用組成物。
[3]前記色素(A)が、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmである第二の色材をさらに含有する、[1]又は[2]に記載の着色層形成用組成物。
[4]前記色素(A)が、400~780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にある第三の色材をさらに含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の着色層形成用組成物。
[5]前記色素(A)が、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造及びインジゴ構造のいずれかを有する化合物並びにその金属錯体からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の着色層形成用組成物。
【0011】
[6][1]~[5]のいずれかに記載の着色層形成用組成物の硬化物である着色層と、前記着色層の一方の面に位置する透明基材と、前記着色層の一方又は他方の面に位置する機能層と、を有し、前記透明基材及び前記機能層の一方又は双方が、JIS L1925に記載の方法に準じて測定される紫外線遮蔽率が85%以上であり、前記機能層が、反射防止層又は防眩層として機能する、光学フィルム。
[7]前記機能層として、酸素透過度が10cm3/(m2・day・atm)以下である酸素バリア層をさらに有する、[6]に記載の光学フィルム。
[8]前記機能層として、帯電防止層又は防汚層をさらに有する、[6]又は[7]に記載の光学フィルム。
【0012】
[9][6]~[8]のいずれかに記載の光学フィルムを備える、表示装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の着色層形成用組成物によれば、色純度及び輝度効率を向上させ、色純度と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
【
図9】実施例において有機ELディスプレイを通して出力された赤色表示時、緑色表示時、青色表示時の各々のスペクトルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[光学フィルム]
以下、本発明の一実施形態に係る光学フィルムについて、
図1に基づき詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、光学フィルム1は、着色層10と、透明基材20と、機能層30と、を有する。機能層30は、低屈折率層31と、ハードコート層32と、を有する。すなわち、光学フィルム1は、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された積層体である。
【0017】
光学フィルム1の厚さは、例えば、10~140μmが好ましく、15~120μmがより好ましく、20~100μmがさらに好ましい。光学フィルム1の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1の強度をより高められる。光学フィルム1の厚さが上記上限値以下であると、光学フィルム1をより軽量にでき、表示装置の薄型化に有利である。
以下、光学フィルム1を構成する各層について説明する。
【0018】
≪着色層≫
着色層10は、本発明の着色層形成用組成物の硬化物である。本発明の着色層形成用組成物は、色素(A)と、添加剤(B)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(C)と、光重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、を含有する。
【0019】
着色層10の厚さは、例えば、0.5~10μmが好ましい。着色層10の厚さが上記下限値以上であると、色純度を向上でき、色純度と輝度効率とを両立できる。着色層10の厚さが上記上限値以下であると、表示装置の薄型化に有利である。
着色層10の厚さは、光学フィルム1の厚さ方向の断面を顕微鏡等で観察することにより求められる。
【0020】
<色素(A)>
色素(A)は、第一の色材を含有する。第一の色材は、ジピロメテンホウ素錯体を含有する。ジピロメテンホウ素錯体としては、下記式(I)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
【0021】
【0022】
式(I)において、R1~R11は、各々独立に一価基を表す。R2とR3及びR4とR5の双方又はいずれか一方は、それぞれ互いに結合してピロール環に縮合する芳香環を形成してもよい。該芳香環は、置換基を有していてもよく、また、これらによって形成される縮合芳香環は、同一であっても異なるものであってもよい。R7~R11のうち、少なくとも一つは電子吸引性を有する一価基を有する。Yはホウ素と結合する基を表す。複数あるYは、同一であってもよく異なるものであってもよい。Yは、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0023】
式(I)において、R1~R11は、各々独立に一価基を表す。一価基が炭素原子を有する場合、炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~10がさらに好ましい。炭素数が上記下限値以上であると、ジピロメテンホウ素錯体に種々の置換基を導入できる。炭素数が上記上限値以下であると、分散性を向上できる。また、一価基が、炭素原子を有する場合、その一価基は、置換基を有していてもよい。
一価基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールアミノカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、neo-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、cyclo-ペンチル基、n-ヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、3-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-エチルブチル基、1,2,2-トリメチルブチル基、1,1,2-トリメチルブチル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、cyclo-ヘキシル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,4-ジメチルペンチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルペンチル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、n-オクチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、4-エチルオクチル基、4-エチル-4,5-メチルヘキシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、1,3,5,7-テトラエチルオクチル基、4-ブチルオクチル基、6,6-ジエチルオクチル基、n-トリデシル基、6-メチル-4-ブチルオクチル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、3,5-ジメチルヘプチル基、2,6-ジメチルヘプチル基、2,4-ジメチルヘプチル基、2,2,5,5-テトラメチルヘキシル基、1-cyclo-ペンチル-2,2-ジメチルプロピル基、1-cyclo-ヘキシル-2,2-ジメチルプロピル基等が挙げられる。
これらのアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。これらのアルキル基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよく、環状でもよい。また、これらのアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子、アルコキシ基、で置換されていてもよい。
【0024】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、iso-ペントキシ基、neo-ペントキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基等が挙げられる。
これらのアルコキシ基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。これらのアルコキシ基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、1-ブテニル基、iso-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、2-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、2,2-ジシアノビニル基、2-シアノ-2-メチルカルボキシルビニル基、2-シアノ-2-メチルスルホンビニル基等が挙げられる。
これらのアルケニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~10がより好ましい。これらのアルケニル基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。
【0025】
アリールオキシ基としては、フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、4-t-ブチルフェノキシ基、2-メトキシフェノキシ基、4-iso-プロピルフェノキシ基等が挙げられる。
これらのアリールオキシ基の炭素数は、6~20が好ましい。
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、iso-プロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、iso-ブチルカルボニル基、sec-ブチルカルボニル基、t-ブチルカルボニル基、n-ペンチルカルボニル基、iso-ペンチルカルボニル基、neo-ペンチルカルボニル基、2-メチルブチルカルボニル基、ニトロベンジルカルボニル基等が挙げられる。
これらのアシル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、2,4-ジメチルブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アルキルアミノカルボニル基としては、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、n-ブチルアミノカルボニル基、n-ヘキシルアミノカルボニル基等が挙げられる。
これらのアルキルアミノカルボニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~10がより好ましい。
【0026】
ジアルキルアミノカルボニル基としては、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ-n-プロピルアミノカルボニル基、ジ-n-ブチルアミノカルボニル基、N-メチル-N-シクロヘキシルアミノカルボニル基等が挙げられる。
これらのジアルキルアミノカルボニル基の炭素数は、3~20が好ましく、3~10がより好ましい。
アルキルカルボニルアミノ基としては、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ブチルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
これらのアルキルカルボニルアミノ基の炭素数は、2~20が好ましく、2~10がより好ましい。
アリールカルボニルアミノ基としては、フェニルアミノカルボニル基、4-メチルフェニルアミノカルボニル基、2-メトキシフェニルアミノカルボニル基、4-n-プロピルフェニルアミノカルボニル基等が挙げられる。
これらのアリールカルボニルアミノ基の炭素数は、7~20が好ましい。
アリールアミノカルボニル基としては、フェニルカルボニルアミノ基、4-エチルフェニルカルボニルアミノ基、3-ブチルフェニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
これらのアリールアミノカルボニル基の炭素数は、7~20が好ましい。
【0027】
アラルキル基としては、ベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ジクロロベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基、ナフチルメチル基、ニトロナフチルメチル基、シアノナフチルメチル基、ヒドロキシナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基、トリフルオロメチルナフチルメチル基等が挙げられる。
これらのアラルキル基の炭素数は、7~20が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、ナフチル基、ニトロナフチル基、シアノナフチル基、ヒドロキシナフチル基、メチルナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等が挙げられる。
これらのアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~10がより好ましい。
ヘテロアリール基としては、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、オキサゾイル基、イソオキサゾイル基、オキサジアゾイル基、イミダゾイル基、ベンゾオキサゾイル基、ベンゾチアゾイル基、ベンゾイミダゾイル基、ベンゾフラニル基、インドイル基等が挙げられる。
これらのヘテロアリール基の炭素数は、4~20が好ましく、4~10がより好ましい。
【0028】
アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、iso-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、iso-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、iso-ペンチルチオ基、2-メチルブチルチオ基、1-メチルブチルチオ基、neo-ペンチルチオ基、1,2-ジメチルプロピルチオ基、1,1-ジメチルプロピルチオ基等が挙げられる。
これらのアルキルチオ基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。
アリールチオ基としては、フェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、4-t-ブチルフェニルチオ基等が挙げられる。
これらのアリールチオ基の炭素数は、6~20が好ましい。
アルケニルオキシカルボニル基としては、アリルオキシカルボニル基、2-ブテノキシカルボニル基等が挙げられる。
これらのアルケニルオキシカルボニル基の炭素数は、3~20が好ましく、3~10がより好ましい。
アラルキルオキシカルボニル基としては、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
これらのアラルキルオキシカルボニル基の炭素数は、8~20が好ましい。
【0029】
式(I)において、R2とR3及びR4とR5の双方又はいずれか一方は、それぞれ互いに結合してピロール環に縮合する芳香環を形成してもよい。新たに形成される芳香環は、置換基を有していてもよい。新たに形成される芳香環の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10がさらに好ましい。新たに形成される芳香環の炭素数が上記下限値以上であると、安定な構造のジピロメテンホウ素錯体が得られる。新たに形成される芳香環の炭素数が上記上限値以下であると、分散性を向上できる。新たに形成される芳香環(縮合芳香環)は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
新たに形成される芳香環としては、ベンゼン環が好ましい。新たに形成される芳香環は、一価基として説明した上述の置換基を有していてもよい。
【0030】
式(I)におけるR7~R11のうち、少なくとも一つは電子吸引性を有する一価基を有する。式(I)におけるR7~R11のうちの少なくとも一つが電子吸引性を有する一価基を有することで、蛍光を抑制し、表示品位を向上できる。表示品位の中でも、黒に対する表示品位(黒表示品位)をより向上できる。電子吸引性を有する一価基としては、例えば、ホルミル基、アシル基、エステル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲノ基、4級アンモニウム塩等が挙げられる。
表示品位を向上する効果が高く、合成が容易なことから、電子吸引性を有する一価基としては、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、ハロゲノ基が好ましく、カルボキシル基、ニトロ基がより好ましい。
なお、式(I)におけるR7~R11が電子吸引性を有する一価基を有しない場合、式(I)におけるR7~R11としては、上述した一価基が挙げられ、水素原子が好ましい。
【0031】
式(I)におけるR7~R11のうち、R7又はR11が電子吸引性を有する一価基であることが好ましく、R9が電子吸引性を有する一価基であることがより好ましく、R8又はR10が電子吸引性を有する一価基であることがさらに好ましい。電子吸引性を有する一価基が上記位置に位置することで、表示品位をより向上できる。
式(I)におけるR7~R11のうち、電子吸引性を有する一価基の数は、1~5個であり、1~3個が好ましく、2~3個がより好ましい。電子吸引性を有する一価基の数が上記数値範囲内であると、表示品位をより向上できる。
【0032】
式(I)において、Yは、ホウ素原子と結合する基を表す。Yが、炭素原子を有する基である場合、炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~10がさらに好ましい。炭素数が上記下限値以上であると、ジピロメテンホウ素錯体に種々の置換基を導入できる。炭素数が上記上限値以下であると、分散性を向上できる。また、一価基が、炭素原子を有する場合、その一価基は、置換基を有していてもよい。
Yとしては、上述した一価基が挙げられ、ジピロメテンホウ素錯体の安定性を考慮して、ハロゲン原子、アリール基が好ましく、フッ素原子、フェニル基がより好ましい。
【0033】
式(I)のジピロメテンホウ素錯体の製造方法は、特に限定されず、例えば、特開2006-251076号公報に記載の方法に準じて製造できる。
式(I)におけるYを適宜選択することにより、ジピロメテンホウ素錯体の吸収極大波長を制御できる。
【0034】
第一の色材の吸収極大波長は、470~530nmの範囲内にあることが好ましい。第一の色材の吸収極大波長が上記下限値以上であると、青色発光の輝度を低下させにくい。第一の色材の吸収極大波長が上記上限値以下であると、緑色発光の輝度を低下させにくい。このため、吸収波長と吸収強度との制御により、色純度と輝度効率とを両立しやすい。
【0035】
第一の色材の吸光スペクトルの半値幅は、15~30nmが好ましく、15~25nmがより好ましい。第一の色材の吸光スペクトルの半値幅が上記数値範囲内であると、色純度と輝度効率とを両立しやすい。
【0036】
色素(A)は、第二の色材をさらに含有してもよい。第二の色材としては、吸収極大波長が560~620nmの範囲内にあり、かつ、吸光スペクトルの半値幅が15~55nmである光吸収材が挙げられる。
吸収極大波長と吸光スペクトルの半値幅とが上記数値範囲内にある第二の色材を含有することにより、色純度をより向上できる。
【0037】
色素(A)は、第三の色材を含有してもよい。第三の色材としては、400~780nmの波長範囲において最も透過率の低い波長が650~780nmの範囲内にある光吸収材が挙げられる。吸収極大波長と吸光スペクトルの半値幅とが上記数値範囲内にある第三の色材をさらに含有することにより、輝度効率の低下を最小限にし、色純度をさらに向上できる。
【0038】
色素(A)は、ポルフィリン構造、メロシアニン構造、フタロシアニン構造、アゾ構造、シアニン構造、スクアリリウム構造、クマリン構造、ポリエン構造、キノン構造、テトラジポルフィリン構造、ピロメテン構造、インジゴ構造のいずれかを有する化合物、又はその金属錯体を含有することが好ましい。色素(A)がこれらの化合物又はその金属錯体を含有すると、色純度と輝度効率とを両立でき、表示品位をより向上できる。
色素(A)は、これらの化合物又はその金属錯体を1種単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。これらの化合物又はその金属錯体は、第一の色材に含まれていてもよく、第二の色材に含まれていてもよく、第三の色材に含まれていてもよく、これらの色材の2種以上に含まれていてもよい。
【0039】
<添加剤(B)>
添加剤(B)としては、ラジカル補捉剤、過酸化物分解剤、一重項酸素クエンチャー、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、光増感剤、防汚剤、導電材料等が挙げられる。着色層形成用組成物が添加剤(B)を含有することで、着色層10に種々の機能を付与できる。添加剤(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤(B)としては、光線、熱等による色素(A)の劣化を防止する機能を有することから、ラジカル補捉剤、過酸化物分解剤及び一重項酸素クエンチャーから選択される1種以上が好ましい。
【0040】
ラジカル捕捉剤は、色素(A)が酸化劣化する際のラジカルを捕捉し、自動酸化を抑制する働きを持ち、色素劣化(退色)を抑制する。ラジカル補捉剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤や芳香族アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等が挙げられ、特に、分子量が2000以上のヒンダードアミン系光安定剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤の分子量が2000以上であると、高い退色抑制効果が得られる。これは、ヒンダードアミン系光安定剤が揮発しにくく、着色層10内に留まる分子が多く、充分な退色抑制効果が得られるためであると考えられる。
分子量が2000以上のヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、BASF社製のChimassorb2020FDL、Chimassorb944FDL、Tinuvin622、株式会社ADEKA製のアデカスタブLA-63P等が挙げられる。
【0041】
過酸化物分解剤は、ヒドロペルオキシド(ROOH、Rはアルキル基、Oは酸素原子、Hは水素原子を表す。)をイオン的に分解し、不活性な化合物にさせ、ラジカルの生成を抑制する機能を持つ酸化防止剤の一種である。添加剤(B)が過酸化物分解剤を含有することで、色素(A)の酸化劣化を抑制でき、着色層10を有する発光素子の長寿命化を図れる。なお、過酸化物分解剤が、後述する一重項酸素クエンチャーに該当する場合、本明細書において、一重項酸素クエンチャーは、過酸化物分解剤から除くものとする。
過酸化物分解剤としては、例えば、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。硫黄系酸化防止剤としては、例えば、3,3’-チオジプロピオン酸ジドデシル、2-メルカプトベンゾイミダゾール等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、例えば、亜リン酸トリヘキシル、亜リン酸トリオレイル、亜リン酸トリオクチル、亜リン酸トリス(2-エチルヘキシル)、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、亜リン酸トリス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(2-メチルフェニル)、亜リン酸トリス(4-メチルフェニル)、3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
【0042】
一重項酸素クエンチャーは、一重項酸素による色素(A)の酸化劣化を抑制する化合物である。添加剤(B)が一重項酸素クエンチャーを含有することで、色素(A)の酸化劣化を抑制でき、着色層10を有する発光素子の長寿命化を図れる。
一重項酸素クエンチャーとしては、遷移金属錯体、色素類(ただし、色素(A)を除く。)、アミン類、フェノール類、スルフィド類等が挙げられる。一重項酸素クエンチャーとして特に好適に用いられる材料としては、ジアルキルホスフェート、ジアルキルジチオカルバメート、ベンゼンジチオールあるいはこれに類似するジチオールの遷移金属錯体で、中心金属としては、ニッケル、銅又はコバルトが好適に用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、例えば、(株)林原製のNKX1199(ビス[2’-クロロ-3-メトキシ-4-(2-メトキシエトキシ)ジチオベンジル]ニッケル)、NKX113(ビス(ジチオベンジル)ニッケル)、NKX114(ビス[4-(ジメチルアミノ)ジチオベンジル]ニッケル)、東京化成工業(株)製のD1781(ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II))、B1350(ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II))、B4360(ビス[4,4’-ジメトキシ(ジチオベンジル)]ニッケル(II))、T3204(テトラブチルアンモニウムビス(3,6-ジクロロ-1,2-ベンゼンジチオラト)ニッケラート)等が挙げられる。
【0043】
添加剤(B)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.1~15質量%がより好ましい。添加剤(B)の含有量が上記下限値以上であると、着色層10に種々の機能を付与できる。添加剤(B)の含有量が上記上限値以下であると、硬化性を保持しやすい。
【0044】
<活性エネルギー線硬化性樹脂(C)>
活性エネルギー線硬化性樹脂(C)は、紫外線等の活性エネルギー線を照射されると重合し、硬化する樹脂である。活性エネルギー線硬化性樹脂(C)としては、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを使用できる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方の総称であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルの両方の総称である。
【0045】
単官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタン、アダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレート等のアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
2官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0048】
また、活性エネルギー線硬化性樹脂(C)として、ウレタン(メタ)アクリレートも使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを反応させることによって得られるものを挙げることができる。
【0049】
ウレタン(メタ)アクリレートの例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
【0050】
上述した(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上述した(メタ)アクリレート化合物は、着色層形成用組成物中でモノマーであってもよく、一部が重合したオリゴマーであってもよい。
【0051】
活性エネルギー線硬化性樹脂(C)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂(C)の含有量が上記下限値以上であると、退色抑制効果をより高められる。活性エネルギー線硬化性樹脂(C)の含有量が上記上限値以下であると、着色層形成用組成物の取扱い性をより高められる。
【0052】
<光重合開始剤(D)>
光重合開始剤(D)は、例えば、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、紫外線が照射された際にラジカルを発生するものである。
光重合開始剤(D)としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類等)、フェニルケトン類[例えば、アセトフェノン類(例えば、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン等)、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン等のアルキルフェニルケトン類;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のシクロアルキルフェニルケトン類等]、アミノアセトフェノン類{2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノアミノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1等}、アントラキノン類(アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等)、チオキサントン類(2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等)、ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等)、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン等)、キサントン類、ホスフィンオキサイド類(例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
光重合開始剤(D)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。光重合開始剤(D)の含有量が上記下限値以上であると、着色層形成用組成物を充分に硬化できる。光重合開始剤(D)の含有量が上記上限値以下であると、未反応の光重合開始剤(D)が残留しにくく、信頼性の悪化を抑制できる。
【0054】
<溶剤(E)>
溶剤(E)としては、エーテル類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3,5-トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール又はフェネトール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン又はエチルシクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n-ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n-ペンチル又はγ-ブチロラクトン等が挙げられる。セロソルブ類としては、例えば、メチルセロソルブ、セロソルブ(エチルセロソルブ)、ブチルセロソルブ又はセロソルブアセテート等が挙げられる。溶剤(E)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
溶剤(E)の含有量は、着色層形成用組成物の総質量に対して、40~70質量%が好ましく、40~60質量%がより好ましい。溶剤(E)の含有量が上記数値範囲内であると、色素(A)や添加剤(B)の溶解性が良好になり、塗液安定性(液体安定性)が維持され、良好な塗工性が得られる。
【0056】
着色層10は、本発明の着色層形成用組成物を含有することで、色純度及び輝度効率を向上させ、色純度と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上できる。
【0057】
≪透明基材≫
透明基材20は、着色層10の一方の面に位置し、光学フィルム1を形成するシート状部材である。
透明基材20の形成材料としては、透光性を有する樹脂フィルムを採用することができる。例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンコポリマー、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等の透明樹脂や無機ガラスを利用できる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。ポリアクリレートとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられる。この中でも、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(PET)、トリアセチルセルロースからなるフィルム(TAC)、ポリメチルメタクリレートからなるフィルム(PMMA)、PETを除くポリエステルからなるフィルムを好適に利用できる。
透明基材20の透過率としては、例えば、90%以上であることが好ましい。透明基材20の透過率は、分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定できる。
【0058】
透明基材20には、紫外線吸収能を付与してもよい。透明基材20の原料となる樹脂に、紫外線吸収剤を添加することで、透明基材20に紫外線吸収能を付与できる。
【0059】
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
透明基材20に紫外線吸収能を付与する場合、紫外線遮蔽率は、85%以上であることが好ましい。ここで、紫外線遮蔽率は、JIS L1925に準拠して測定される値であり、下記式(I)により算出される。
紫外線遮蔽率(%)=100-(波長290~400nmの紫外線の平均透過率(%)) ・・・(I)
紫外線遮蔽率が85%未満の場合、色素(A)の耐光性での退色抑制効果が低くなる。
【0061】
透明基材20の厚さは、例えば、10~100μmが好ましい。透明基材20の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1の強度をより高められる。透明基材20の厚さが上記上限値以下であると、光学フィルム1をより薄膜にできる。
透明基材20の厚さは、デジタルノギス等を用いて測定することにより求められる。
【0062】
≪機能層≫
機能層30は、着色層10の一方又は他方の面に位置する。光学フィルム1は、機能層30を有することで、種々の機能を発揮できる。
機能層30の機能としては、反射防止機能、防眩機能、酸素バリア機能、帯電防止機能、防汚機能、強化機能、紫外線吸収機能(紫外線吸収能)等が挙げられる。
機能層30は、単層であってもよく、複数の層であってもよい。機能層30は、1種の機能を有していてもよく、2種以上の機能を有していてもよい。
【0063】
光学フィルム1が反射防止機能を有する場合、機能層30は、反射防止層として機能する。反射防止層としては、後述するハードコート層32や防眩層34、透明基材20よりも低い屈折率を呈する低屈折率層31が挙げられる。低屈折率層31は、ハードコート層32や防眩層34、透明基材20の材質よりも屈折率が低い材質を機能層に採用することで形成できる。
低屈折率層31の屈折率調整のため、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、ヘキサフルオロアルミニウムナトリウム(氷晶石、クリオライト、3NaF・AlF3、Na3AlF6)、フッ化アルミニウム(AlF3)等の微粒子や、シリカ微粒子等を配合してもよい。シリカ微粒子としては、多孔質シリカ微粒子や中空シリカ微粒子等の粒子内部に空隙を有するものを用いることが、低屈折率層31の低屈折率化に有効である。また、低屈折率層31を形成する組成物(低屈折率層形成用組成物)には、着色層10で説明した光重合開始剤(D)や添加剤(B)、溶剤(E)を適宜配合してもよい。
低屈折率層31の屈折率は、1.20~1.55とすることが好ましい。
低屈折率層31の厚さは、特に限定されないが、例えば、40nm~1μmが好ましい。
【0064】
光学フィルム1が防眩機能を有する場合、機能層30は、防眩層34として機能する。防眩層34は、表面に微細な凹凸を有し、この凹凸で外光を散乱させ、映り込みを抑えて表示品位を向上させる層である。低屈折率層31と組み合わされる場合、低屈折率層31と防眩層34とで反射防止層を構成する。
防眩層34には、必要に応じて有機微粒子及び無機微粒子から選択される1種以上が含まれる。有機微粒子は、表面に微細な凹凸を形成し、外光を散乱させる機能を付与する材料である。有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン系樹脂等の透光性樹脂材料からなる樹脂粒子が挙げられる。屈折率や樹脂粒子の分散性を調整するために、材質(屈折率)の異なる2種類以上の樹脂粒子を混合して使用してもよい。
無機微粒子は、有機微粒子の沈降や凝集を調整する材料である。無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子や、金属酸化物微粒子、各種の鉱物微粒子等を使用することができる。シリカ微粒子としては、例えば、コロイダルシリカや(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基で表面修飾されたシリカ微粒子等を使用することができる。金属酸化物微粒子としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)や酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタニア(二酸化チタン)、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)等を使用することができる。鉱物微粒子としては、例えば、雲母、合成雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、層状チタン酸、スメクタイト、合成スメクタイト等を使用することができる。鉱物微粒子は、天然物及び合成物(置換体、誘導体を含む)のいずれであってもよく、両者の混合物を使用してもよい。鉱物微粒子の中でも、層状有機粘土がより好ましい。層状有機粘土とは、膨潤性粘土の層間に有機オニウムイオンを導入したものをいう。有機オニウムイオンは、膨潤性粘土の陽イオン交換性を利用して有機化することができるものであれば制限されない。鉱物微粒子として、層状有機粘土鉱物を用いる場合、上述した合成スメクタイトを好適に使用できる。合成スメクタイトは、防眩層形成用の塗工液の粘性を増加させ、樹脂粒子及び無機微粒子の沈降を抑制して、防眩層34(機能層30)の表面の凹凸形状を調整する機能を有する。
【0065】
光学フィルム1が酸素バリア機能を有する場合、機能層30は、酸素バリア層33として機能する。酸素バリア層33の酸素透過度は、10cm3/(m2・day・atm)以下であり、5cm3/(m2・day・atm)以下が好ましく、1cm3/(m2・day・atm)以下がより好ましい。酸素バリア層33の酸素透過度が上記上限値以下であると、機能層30に充分な酸素バリア機能を付与できる。酸素バリア層33の酸素透過度の下限値は、特に限定されず、0cm3/(m2・day・atm)であってもよい。
酸素バリア層33の酸素透過度は、酸素透過度測定装置を用いて、30℃、相対湿度60%の条件下で測定される値である。
【0066】
光学フィルム1が帯電防止機能を有する場合、機能層30は、帯電防止層として機能する。帯電防止層としては、例えば、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、スズをドープした酸化インジウム(ITO)等の金属酸化物微粒子、高分子型導電性組成物、4級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有する層が挙げられる。
帯電防止層は、機能層30の最表面に設けられてもよいし、機能層30と透明基材20との間に設けられてもよい。あるいは、上述した機能層30を構成するいずれかの層に帯電防止剤を配合することにより、帯電防止層を形成してもよい。帯電防止層を設ける場合、光学フィルムの表面抵抗値は、1.0×106~1.0×1012(Ω/cm)であることが好ましい。
【0067】
光学フィルム1が防汚機能を有する場合、機能層30は、防汚層として機能する。防汚層は、撥水性及び撥油性の双方又はいずれか一方を付与することにより、防汚性を高めるものである。防汚層としては、珪素酸化物、フッ素含有シラン化合物、フルオロアルキルシラザン、フルオロアルキルシラン、フッ素含有珪素系化合物、パーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤等の防汚剤を含有する層が挙げられる。
防汚層は、機能層30の最表面に設けられてもよく、上述した機能層30のうち、最表面となる層に防汚剤を配合することにより、防汚層を形成してもよい。
【0068】
光学フィルム1が強化機能を有する場合、機能層30は、強化層として機能する。強化層は、光学フィルムの強度を高める層である。強化層としては、例えば、ハードコート層32が挙げられる。ハードコート層32としては、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートを含むハードコート剤で形成された層が挙げられる。
【0069】
光学フィルム1が紫外線吸収能を有する場合、機能層30は、紫外線吸収層として機能する。紫外線吸収層としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール等のトリアジン系、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤を含有する層が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収層を形成する材料の総質量に対して、0.1~5質量%が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記下限値以上であると、機能層30に充分な紫外線吸収能を付与できる。紫外線吸収剤の含有量が上記上限値以下であると、硬化成分の減少に伴う硬度不足を回避できる。
【0070】
光学フィルム1において、透明基材20及び機能層30の一方又は双方は、紫外線遮蔽率が85%以上であり、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、100%であってもよい。紫外線遮蔽率が上記下限値以上であると、耐光性を向上できる。
紫外線遮蔽率は、JIS L1925に記載の方法に準じて測定できる。
紫外線遮蔽率は、透明基材20及び機能層30の一方又は双方に紫外線吸収能を付与することにより調節できる。
【0071】
機能層30の厚さは、例えば、0.04~25μmが好ましく、0.1~20μmがより好ましく、0.2~15μmがさらに好ましい。機能層30の厚さが上記下限値以上であると、光学フィルム1に種々の機能を付与しやすい。機能層30の厚さが上記上限値以下であると、表示装置の薄型化に有利である。
機能層30の厚さは、光学フィルム1の厚さ方向の断面を顕微鏡等で観察することにより求められる。
【0072】
[光学フィルムの製造方法]
本実施形態の光学フィルム1は、従来公知の方法により製造できる。
例えば、透明基材20の一方の面に着色層形成用組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して着色層形成用組成物を硬化することにより着色層10を得る。
活性エネルギー線を照射して着色層形成用組成物を硬化させ、着色層10を形成するための光源は、活性エネルギー線を発生する光源であれば制限なく使用できる。活性エネルギー線としては、放射線(ガンマ線、X線等)、紫外線、可視光線、電子線(EB)等の光エネルギー線が使用でき、通常、紫外線、電子線である場合が多い。例えば、紫外線を放射するランプとして低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電管等を使用できる。照射条件として紫外線照射量は、通常100~1000mJ/cm2である。
【0073】
次に、透明基材20の他方の面にハードコート剤を塗布し、着色層10と同様に活性エネルギー線を照射してハードコート剤を硬化することによりハードコート層32を得る。
【0074】
ハードコート層32上に低屈折率層31を形成することにより、透明基材20の他方の面に機能層30が位置する光学フィルム1が得られる。
低屈折率層31の形成方法に制限はなく、低屈折率層形成用組成物をハードコート層32に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、プラズマ気相成長法等を使用できる。
【0075】
[その他の実施形態]
光学フィルムは、
図2に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、酸素バリア層33、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム2であってもよい。光学フィルム2では、酸素バリア層33、ハードコート層32、低屈折率層31が機能層30を構成する。酸素バリア層33としては、上述した酸素バリア層と同様の層が挙げられる。この場合、機能層30、透明基材20で紫外線遮蔽率85%以上の紫外線遮蔽性を有する。
本実施形態の光学フィルム2は、酸素バリア層33を有するため、光学フィルム1よりも酸素バリア性に優れる。
【0076】
光学フィルムは、
図3に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、防眩層34が、この順で積層された光学フィルム3であってもよい。光学フィルム3では、防眩層34が機能層30を構成する。防眩層34としては、上述した防眩層と同様の層が挙げられる。この場合、機能層30、透明基材20で紫外線遮蔽率85%以上の紫外線遮蔽性を有する。
本実施形態の光学フィルム3は、防眩層34を有するため、表示品位により優れる。
【0077】
光学フィルムは、
図4に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20を有し、着色層10、透明基材20、防眩層34、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム4であってもよい。光学フィルム4では、防眩層34、低屈折率層31が機能層30を構成する。この場合、機能層30、透明基材20で紫外線遮蔽率85%以上の紫外線遮蔽性を有する。
本実施形態の光学フィルム4は、低屈折率層31と防眩層34とを有するため、表示品位により優れる。
【0078】
光学フィルムは、
図5に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム5であってもよい。光学フィルム5では、ハードコート層32、低屈折率層31が機能層30を構成する。この場合、機能層30は、紫外線遮蔽率85%以上の紫外線遮蔽性を有する。
本実施形態の光学フィルム5は、透明基材20の一方の面に着色層10と機能層30とを有するため、表示品位により優れる。
【0079】
光学フィルムは、
図6に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、酸素バリア層33、ハードコート層32、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム6であってもよい。光学フィルム6では、酸素バリア層33、ハードコート層32、低屈折率層31が機能層30を構成する。この場合、機能層30は、紫外線遮蔽率85%以上の紫外線遮蔽性を有する。
本実施形態の光学フィルム6は、酸素バリア層33を有するため、光学フィルム5よりも酸素バリア性に優れる。
【0080】
光学フィルムは、
図7に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、防眩層34が、この順で積層された光学フィルム7であってもよい。光学フィルム7では、防眩層34が機能層30を構成する。この場合、機能層30は、紫外線遮蔽率85%以上の紫外線遮蔽性を有する。
本実施形態の光学フィルム7は、防眩層34を有するため、表示品位により優れる。
【0081】
光学フィルムは、
図8に示すように、着色層10の一方の面に位置する透明基材20と、着色層10の他方の面に位置する機能層30とを有し、透明基材20、着色層10、防眩層34、低屈折率層31が、この順で積層された光学フィルム8であってもよい。光学フィルム8では、防眩層34、低屈折率層31が機能層30を構成する。この場合、機能層30は、紫外線遮蔽率85%以上の紫外線遮蔽性を有する。
本実施形態の光学フィルム8は、低屈折率層31と防眩層34とを有するため、表示品位により優れる。
【0082】
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の光学フィルムを備える。表示装置の具体例としては、例えば、テレビ、モニタ、携帯電話、携帯型ゲーム機器、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤ等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、自動販売機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、個人認証機器、光通信機器、ICカード等が挙げられる。
【0083】
本実施形態の光学フィルムによれば、本発明の着色層形成用組成物を含有する着色層を有するため、色純度及び輝度効率を向上させ、色純度と輝度効率とを両立できる。このため、本実施形態の光学フィルムを備える表示装置は、表示品位を向上できる。
【0084】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ等も含まれる。
【0085】
例えば、本実施形態の光学フィルムは、着色層10の数が1つであるが、着色層の数は、2以上であってもよい。
本実施形態の光学フィルムにおいて、紫外線吸収能は、透明基材20に付与してもよく、ハードコート層32等の機能層30に付与してもよい。
【実施例】
【0086】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0087】
以下の実施例及び比較例では、表1、表2に示す層構成の光学フィルムA~Pを作製し、評価した。表1、表2中、「-」は、その層が存在しないことを示す。なお、実施例3及び5は、参考例である。
【0088】
【0089】
【0090】
[光学フィルムの作製]
以下、各層の形成方法を説明する。
【0091】
≪透明基材≫
光学フィルム形成に用いる透明基材として、以下のものを用いた。
・TAC:トリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム(株)製、TG60UL、基材厚60μm、紫外線遮蔽率92.9%)。
【0092】
≪着色層の形成≫
(着色層形成用組成物)
着色層の形成に用いる着色層形成用組成物の使用材料として下記のものを用い、表3に示す着色層形成用組成物を調製した。表3中、添加量は質量比(質量%)であり、「-」は、その成分を含有しないことを示す。
なお、色材の吸収極大波長、半値幅、及び規定波長範囲での最小透過率波長は、硬化塗膜での特性値である。
【0093】
<色素(A)>
(第一の色材、第一の色材の比較色材)
・I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、Ref:ジピロメテンホウ素錯体、表4に記載の一価基を有する化合物。Hは水素原子、CH3はメチル基、NO2はニトロ基、COOHはカルボキシル基、Fはフッ素原子を示す。
・Dye-1:シアニン色素((株)林原製、NK-7803、吸収極大波長494nm、半値幅44nm)。
・Dye-2:下記式(II)で示されるジピロメテン銅錯体(吸収極大波長498nm、半値幅71nm)。
・Dye-3:下記式(III)で示されるジピロメテン亜鉛錯体(吸収極大波長489nm、半値幅27nm)。
(第二の色材)
・Dye-4:テトラアザポルフォリン銅錯体染料(山田化学工業(株)製、FDG-007、吸収極大波長595nm、半値幅22nm)。
(第三の色材)
・Dye-5:フタロシアニン銅錯体染料(山田化学工業(株)製、FDN-002、400~780nmでの最小透過率波長780nm)。
【0094】
【0095】
【0096】
<添加剤(B)>
・Chimassorb944FDL:ラジカル捕捉剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)(BASFジャパン株式会社製、分子量2000~3100)。
・D1781:一重項酸素クエンチャー、ビス(ジブチルジチオカルバミン酸)ニッケル(II)、製品コードD1781(東京化成工業(株)製)。
【0097】
<活性エネルギー線硬化性樹脂(C)>
・UA-306H:ペンタエリスリトールトリアクリレート ヘキサメチレンジイソシアネート ウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製、UA-306H)。
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
・PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート。
【0098】
<光重合開始剤(D)>
・Omnirad TPO:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)。
【0099】
<溶剤(E)>
・MEK:メチルエチルケトン。
・酢酸メチル:酢酸メチル。
【0100】
【0101】
【0102】
(着色層の形成)
表1、表2に示す透明基材上に、表3に示す着色層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量150mJ/cm2(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmとなるよう着色層を形成した。
【0103】
≪機能層の形成:酸素バリア層≫
(酸素バリア層形成用組成物)
・バインダー用ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、クラレポバール(登録商標)PVA-117((株)クラレ製)80質量%水溶液。
【0104】
(酸素バリア層の形成)
表1に示す実施例10の透明基材上に、上記の酸素バリア層形成用組成物を塗布し、乾燥させ、酸素透過度が1cm3/(m2・day・atm)である酸素バリア層を形成した。
【0105】
≪機能層の形成:ハードコート層≫
(ハードコート層形成用組成物)
ハードコート層の形成に用いるハードコート層形成用組成物の使用材料として、下記のものを用い、表5に示すハードコート層形成用組成物を調製した。表5の添加量は質量比(質量%)であり、表5中、「-」は、その成分を含有しないことを示す。
・活性エネルギー線硬化性樹脂
UA-306H:ペンタエリスリトールトリアクリレート ヘキサメチレンジイソシアネート ウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製、UA-306H)。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート。
・光重合開始剤
Omnirad TPO:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)。
Omnirad 184:アルキルフェノン系光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製)。
・添加剤(紫外線(UV)吸収剤)
Tinuvin479:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、Tinuvin(登録商標)479(BASFジャパン(株)製)。
LA-36:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アデカスタブ(登録商標)LA-36((株)ADEKA製)。
・溶剤
MEK:メチルエチルケトン。
酢酸メチル:酢酸メチル。
【0106】
【0107】
(ハードコート層の形成)
表1、表2に示す透明基材又は酸素バリア層上に、表5に示すハードコート層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量150mJ/cm2(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmとなるようハードコート層を形成した。
【0108】
≪機能層の形成:防眩層≫
(防眩層形成用組成物)
防眩層の形成に用いる防眩層形成用組成物として、下記のものを用いた。
・活性エネルギー線硬化性樹脂
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ライトアクリレートPE-3A(共栄社化学(株)製、屈折率1.52) 43.7質量部。
・光重合開始剤
Omnirad TPO(IGM Resins B.V.社製) 4.55質量部。
・樹脂粒子
スチレン-メタクリル酸メチル共重合体粒子(屈折率1.515、平均粒径2.0μm) 0.5質量部。
・無機微粒子
合成スクメタイト 0.25質量部。
アルミナナノ粒子(平均粒径40nm) 1.0質量部。
・溶剤
トルエン 15質量部。
イソプロピルアルコール 35質量部。
【0109】
(防眩層の形成)
表1に示す透明基材上に、上記の防眩層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量150mJ/cm2(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が5.0μmとなるよう防眩層を形成した。
【0110】
≪機能層の形成:低屈折率層≫
(低屈折率層形成用組成物)
低屈折率層の形成に用いる低屈折率層形成用組成物として、下記のものを用いた。
・屈折率調整剤
多孔質シリカ微粒子(平均粒径75nm、固形分20%)メチルイソブチルケトン分散液 8.5質量部。
・防汚付与剤
オプツール(登録商標)AR-110(ダイキン工業(株)製、固形分15%、溶剤:メチルイソブチルケトン) 5.6質量部。
・活性エネルギー線硬化性樹脂
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 0.4質量部。
・光重合開始剤
Omnirad TPO(IGM Resins B.V.社製) 0.07質量部。
・レベリング剤
RS-77(DIC(株)製) 1.7質量部。
・溶剤
メチルイソブチルケトン 83.73質量部。
【0111】
(低屈折率層の形成)
表1、表2に示すハードコート層上又は防眩層上に、上記の低屈折率層形成用組成物を塗布し、80℃のオーブンで60秒間乾燥させた。その後、紫外線照射装置を用いて照射線量200mJ/cm2(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源Hバルブ)で紫外線照射を行うことにより塗膜を硬化させ、硬化後の膜厚が100nmである低屈折率層を形成した。
【0112】
得られた光学フィルムを用いて、以下の評価試験を行った。
【0113】
[実施例1~5、比較例1]
<蛍光特性比較試験>
式(I)におけるR7~R11の一価基が全て水素原子で、電子吸引性を有する一価基を含まない色素を用いて製造した比較例1の光学フィルムをリファレンス(Ref)とした。各例の光学フィルムの蛍光強度を、分光蛍光光度計((株)島津製作所製、RF-5300PC)を用いて測定し、Refの蛍光強度に対する蛍光強度(蛍光強度比)を算出した。結果を表6に示す。蛍光強度比が小さいほど、光学フィルムは蛍光特性に優れ、表示品位に優れる。
【0114】
【0115】
[実施例1、10、比較例2~5]
実施例1、10、及び比較例2~5の光学フィルムを用いて下記に示す方法で輝度効率、色純度の評価を行った。結果を表7に示す。
【0116】
<輝度効率の評価>
各例の光学フィルムの透過率を、自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定し、この透過率を用いて、輝度効率を評価した。輝度効率は、以下の手順で求めた。ASUS社製有機ELディスプレイProArt PQ22UCパネルを用いて、青色表示、緑色表示、赤色表示のそれぞれのスペクトルを得た。それぞれのスペクトルのグラフを
図9に示す。
図9において、グラフの横軸は、波長[nm]、グラフの縦軸は、発光強度[a.u.](任意単位:arbitrary unit)を表す。赤色表示、緑色表示、青色表示のそれぞれのスペクトルを光学フィルムが透過した後に出力される各色の輝度について、光学フィルムを介さない場合の輝度効率を100として、各色表示時の輝度効率(Red輝度効率、Green輝度効率、Blue輝度効率)を評価した。100に近いほど輝度が高く、輝度効率に優れる。
【0117】
<色純度の評価>
各例の光学フィルムの透過率について、自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて測定し、この透過率と、
図9に示すASUS社製有機ELディスプレイProArt PQ22UCパネルの分解により得られた赤色表示、緑色表示、青色表示スペクトルを用いて算出されるCIE1931色度値から、DCI包含率(%)を算出した。
ここで、DCI包含率とは、DCI規格の全色域の面積に対する、画像表示装置の色再現域と重複するDCI規格の色域の面積の比率を表す。DCI規格とは、米国の7つの映画スタジオが作った団体(Digital Cinema Initiative)が規定する、デジタルシネマの規格を意味する。DCI規格の色域は、CIE1931 XYZ表色系のxy色度図において、青色座標(x,y)=(0.150,0.060)、緑色座標(x,y)=(0.265,0.690)、赤色座標(x,y)=(0.680,0.320)の三点を結んだ三角形で示される領域をいう。DCI包含率は、100%に近いほど、色純度に優れる。
【0118】
【0119】
[実施例1、6~10、比較例6]
実施例1及び6~10、比較例6の光学フィルムの信頼性について、着色層上層の紫外線遮蔽率、耐光性を評価した。結果を表8に示す。
【0120】
<着色層上層の紫外線遮蔽率の評価>
着色層より上層に透明基材となる場合は、基材を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)を用いて透過率を測定した。また、着色層が基材より上層にくる場合は、JIS-K5600-5-6:1999付着性試験準拠の透明感圧付着テープを用いて着色層より上層を剥離し、上記自動分光光度計を用い、粘着テープをリファレンスとして着色層上層の透過率を測定した。これらの透過率を用いて、紫外域(290~400nm)の平均透過率[%]を算出し、紫外線遮蔽率[%]を100%から紫外域(290~400nm)の平均透過率[%]を引いた値として算出した。
【0121】
<耐光性の評価>
各例の光学フィルムに、キセノンウェザーメーター試験機(スガ試験機株式会社製、X75)を用い、照度60W/m2(300~400nm)、試験機内温度45℃・湿度50%RH条件にて、キセノンランプを50時間照射した。照射前後の透過率を自動分光光度計((株)日立製作所製、U-4100)でそれぞれ測定し、第一の色材の波長範囲での吸収極大波長で透過率の差((透過率差)=(照射後の透過率)-(照射前の透過率))(%)を算出し、下記評価基準に基づき、耐光性を評価した。
《評価基準》
◎:透過率の差が20%以下。
○:透過率の差が20%超30%以下。
×:透過率の差が30%超。
【0122】
【0123】
表6に示すように、本発明を適用した実施例1~5は、蛍光強度比が0.4以下で、比較例1に比べて蛍光を発しにくく、表示品位に優れることが分かった。
表7に示すように、本発明を適用した実施例1、10は、DCI包含率が96.4%以上で、色素を含有しない比較例2に比べてDCI包含率が大きく、色純度に優れることが分かった。一方、本発明の第一の色材に代えて、比較成分の色素(第一の色材の比較色材)を用いた比較例3、4、5は、実施例1と同等のDCI包含率で、青の輝度効率が80%未満で、色純度と輝度効率との両立が図れなかった。
表8に示すように、本発明を適用した実施例1、6~10は、着色層上層の紫外線遮蔽率が85%以上で、耐光性の評価結果が「○」又は「◎」で耐光性にも優れていた。着色層上層の紫外線遮蔽率が低く、着色層形成用組成物に信頼性を改善する添加剤(B)を含有しない比較例6は、耐光性試験による色材の退色が顕著で、信頼性が劣っていた。
【0124】
表7の結果から、等しい色純度であっても、本発明のジピロメテンホウ素錯体を用いた場合、青の輝度効率が他の色素に比べて優れていることが分かった。また、着色層形成用組成物中の添加剤、及び機能層として紫外線遮蔽率85%以上の紫外線遮蔽層や、酸素バリア層を備えることにより、信頼性にも優れる結果を得た。このことは、寿命の短いOLEDの発光素子、特にBlue蛍光体の寿命の改善につながると考えられる。
【0125】
本発明の着色層用組成物を用いた光学フィルムは、色純度及び輝度効率を向上させ、色純度と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上できることが分かった。
【符号の説明】
【0126】
1,2,3,4,5,6,7,8 光学フィルム
10 着色層
20 透明基材
30 機能層
31 低屈折率層
32 ハードコート層
33 酸素バリア層
34 防眩層
【要約】
【課題】本発明は、色純度及び輝度効率を向上させ、色純度と輝度効率とを両立でき、表示品位を向上できる着色層形成用組成物、光学フィルム及び表示装置を目的とする。
【解決手段】色素(A)と、添加剤(B)と、活性エネルギー線硬化性樹脂(C)と、光重合開始剤(D)と、溶剤(E)と、を含有し、前記色素(A)は、第一の色材を含有し、前記第一の色材は、特定の構造を有するジピロメテンホウ素錯体を含有する、着色層形成用組成物。
【選択図】なし