(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】センサカバー
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20221101BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20221101BHJP
A61B 5/25 20210101ALI20221101BHJP
A61B 5/318 20210101ALI20221101BHJP
G01K 13/25 20210101ALI20221101BHJP
【FI】
G01D11/24 B
A61B5/01 100
A61B5/25
A61B5/318
G01K13/25
(21)【出願番号】P 2021574450
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 JP2020038137
(87)【国際公開番号】W WO2021152919
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2020013271
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】土基 博史
(72)【発明者】
【氏名】松本 新一郎
(72)【発明者】
【氏名】志牟田 亨
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5218973(US,A)
【文献】国際公開第2019/093144(WO,A1)
【文献】特開2019-203881(JP,A)
【文献】特許第5086235(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/24
A61B 5/01
A61B 5/25
A61B 5/318
G01K 13/20
G01K 13/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一辺がつながっているアッパカバーフィルム及びロワカバーフィルムを有し、使用時に生体センサを収容可能な袋状に形成されるカバーフィルムと、
前記ロワカバーフィルムの外面に設けられた粘着性を有する貼付部材と、
前記ロワカバーフィルムの内面に設けられ、前記生体センサを前記ロワカバーフィルムに密着させて取り付けるセンサ取付部材と、
前記カバーフィルムの開口部の縁部を密着して閉じる密閉部材と、を備えることを特徴とするセンサカバー。
【請求項2】
前記センサ取付部材は、粘着性を有する粘着部材であることを特徴とする請求項1に記載のセンサカバー。
【請求項3】
前記センサ取付部材には、平面視において、少なくとも中央部と外縁部とをつなぐ通気路が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のセンサカバー。
【請求項4】
前記アッパカバーフィルム及びロワカバーフィルムは、略矩形に形成され、かつ、互いに交わる二辺がつながっており
前記密閉部材は、粘着性を有する粘着部材であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサカバー。
【請求項5】
前記アッパカバーフィルム及びロワカバーフィルムは、略矩形に形成され、かつ、三辺がつながっており、
前記密閉部材は、互いに嵌合する嵌合部材であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサカバー。
【請求項6】
前記カバーフィルムは、使用時に、生体に貼付され、該生体の体温を測定する貼付型の温度センサを収容し、
前記ロワカバーフィルムの熱抵抗値は、前記貼付部材の熱抵抗値よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサカバー。
【請求項7】
前記カバーフィルムは、使用時に、生体に貼付され、該生体の体温を測定する貼付型の温度センサを収容し、
前記ロワカバーフィルムの熱抵抗値は、前記貼付部材の熱抵抗値と前記センサ取付部材の熱抵抗値との合計値よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサカバー。
【請求項8】
前記カバーフィルムは、使用時に、生体に貼付され、該生体の心電信号を取得する貼付型の心電センサを収容し、
前記ロワカバーフィルム、及び、前記センサ取付部材には、使用時に、前記心電センサが前記ロワカバーフィルムに密着して取り付けられたときに、該心電センサの心電電極と対向する位置に、導電性を有する導電性部材が配設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサカバー。
【請求項9】
前記カバーフィルムは、使用時に、生体に貼付され、該生体の姿勢・体動を検出する貼付型の加速度センサを収容し、
前記センサ取付部材、及び/又は、前記貼付部材は、周縁部が中心部よりも硬いことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサカバー。
【請求項10】
少なくとも一辺がつながっているアッパカバーフィルム及びロワカバーフィルムを有し、使用時に生体センサを収容可能な袋状に形成されるカバーフィルムと、
前記ロワカバーフィルムの外面に設けられた粘着性を有する貼付部材と、
前記ロワカバーフィルムの内面に設けられ、前記生体センサを前記ロワカバーフィルムに密着させて取り付ける粘着性を有する粘着部材からなるセンサ取付部材と、
前記カバーフィルムの開口部の縁部を密着して閉じる粘着性を有する粘着部材からなる密閉部材と、
前記貼付部材に剥離可能に貼り付けられた第1剥離部材と、
前記センサ取付部材に剥離可能に貼り付けられた第2剥離部材と、
前記密閉部材に剥離可能に貼り付けられた第3剥離部材と、を備えることを特徴とするセンサカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサカバーに関し、特に、生体に貼り付けて用いられる生体センサを使用する際に包むセンサカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体に貼り付けて用いられ、例えば、体温や心電信号などの生体情報を取得する貼付型の生体センサ(パッチセンサ)が知られている。このような貼付型の生体センサを、例えば病院で使用する際には、消毒液等による汚れ等を防止するため、生体センサを両面粘着シート等で生体に貼付し、さらに、その上から、ドレッシングフィルムやサージカルテープを貼り付けて、生体センサを覆うことが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した貼付型の生体センサを繰り返して利用(再利用)しようとした場合、使用開始時に、生体センサの底面に両面粘着シート等を貼付して生体(皮膚)に貼り付け、その上から、適当な大きさにカットしたドレッシングフィルムを貼り、一方、使用後には、ドレッシングフィルムを剥がして廃棄するとともに、生体センサから両面粘着シートを剥がして、生体センサを回収する必要がある。
【0005】
そのため、生体センサやドレッシングフィルム等の取り付け・取り外しに手間がかかり、使い勝手が悪い。また、生体センサの外装材として、ウレタン等の比較的柔軟な素材を使用している場合、ドレッシングフィルム等を剥すときに外装材が痛んでしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、生体に貼り付けて用いられる生体センサを使用する際に包むセンサカバーであって、交換時における生体センサ(特に外装体)の劣化や破損等を防止しつつ、簡易に交換することが可能なセンサカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るセンサカバーは、少なくとも一辺がつながっているアッパカバーフィルム及びロワカバーフィルムを有し、使用時に生体センサを収容可能な袋状に形成されるカバーフィルムと、ロワカバーフィルムの外面に設けられた粘着性を有する貼付部材と、ロワカバーフィルムの内面に設けられ、生体センサをロワカバーフィルムに密着させて取り付けるセンサ取付部材と、カバーフィルムの開口部の縁部を密着して閉じる密閉部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るセンサカバーによれば、まず、カバーフィルムが、少なくとも一辺がつながっているアッパカバーフィルム及びロワカバーフィルムを有し、使用時に生体センサを収容可能な袋状に形成されるため、カバーフィルム(アッパカバーフィルムとロワカバーフィルムとの間)に対して、生体センサを容易に出し入れすることができる。次に、ロワカバーフィルムの内面に、生体センサをロワカバーフィルムに密着させて取り付けるセンサ取付部材が設けられているため、生体センサをロワカバーフィルムの内側(カバーフィルムの内部)に容易に取り付けることができる。また、生体センサの外装面には粘着材が付着しないので、カバーフィルムを外す際に、生体センサの外装体が劣化したり破損したりすることを防止できる。また、ロワカバーフィルムの外面に粘着性を有する貼付部材が設けられているため、生体センサを、カバーフィルム(ロワカバーフィルム)を介して容易に生体に貼り付けることができる。さらに、カバーフィルムの開口部の縁部を密着して閉じる密閉部材を有するため、カバーフィルムを容易に密封することができる。そして、消毒液等の浸入を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
上記の結果、本発明によれば、生体に貼り付けて用いられる生体センサを使用する際に包むセンサカバーにおいて、交換時における生体センサ(特に外装体)の劣化や破損等を防止しつつ、簡易に交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るセンサカバー(使用時)の平面図である。
【
図3】第1実施形態に係るセンサカバー(使用前)の断面図である。
【
図4】貼付型温度センサの構成を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態の第1変形例に係るセンサカバーの平面図である。
【
図6】第1実施形態の第2変形例に係るセンサカバーの平面図である。
【
図7】第2実施形態に係るセンサカバー(使用時)の平面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】第2実施形態に係るセンサカバー(使用前)の断面図である。
【
図10】第3実施形態に係るセンサカバー(使用時)の平面図である。
【
図12】第3実施形態に係るセンサカバー(使用前)の断面図である。
【
図13】変形例に係るセンサカバー(使用時)の平面図である。
【
図15】変形例に係るセンサカバー(使用前)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
まず、
図1~
図4を併せて用いて、第1実施形態に係るセンサカバー1の構成について説明する。なお、ここでは、本発明を、生体に貼付され、該生体の深部体温を測定する貼付型の温度センサ(深部体温計)101(請求の範囲に記載の生体センサに相当)に適用した場合を例にして説明する。
図1は、使用時におけるセンサカバー1の平面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図3は、使用前(例えば、工場製造時や販売時、保管時等)のセンサカバー1の断面図である。
図4は、貼付型の温度センサ101の構成を示す断面図である。
【0013】
なお、本実施形態では、貼付型の温度センサ101として、一対の熱抵抗体1015,1016、及び、二対のサーミスタ1011,1012、1013,1014を備えた、2熱流式の深部体温計を用いた。2熱流式の深部体温計としては、例えば、国際公開第2019/225532号等に記載されているものを好適に用いることができる。
【0014】
センサカバー1は、生体に貼り付けて用いられる温度センサ101を使用する際に包むカバーである。また、センサカバー1は、使い捨てタイプ(ディスポーザブル)のカバーである。センサカバー1は、交換時における貼付型温度センサ101(特に外装体1010)の劣化や破損等を防止しつつ、簡易に交換できる機能を有している。
【0015】
そのため、センサカバー1は、主として、アッパカバーフィルム10a及びロワカバーフィルム10bを有して構成されるカバーフィルム10と、貼付部材20と、センサ取付部材30と、密閉部材40とを備えている。
【0016】
カバーフィルム10は、少なくとも一辺がつながっているアッパカバーフィルム10a及びロワカバーフィルム10bを有し、使用時に温度センサ101を収容可能な袋状に形成されている。本実施形態では、アッパカバーフィルム10a及びロワカバーフィルム10bそれぞれは、角部がR面取りされた略矩形に形成され、互いに交わる二辺(
図1の例では、左側および下側の辺)がつながっており、他の2辺が開口されている構成(形態)とした。なお、カバーフィルム10の素材としては、防水性を有する、例えばPET等が好適に用いられる。
【0017】
ロワカバーフィルム10bの外面には、温度センサ101を包んだ状態でセンサカバー1を生体に貼り付けるための粘着性を有する貼付部材20が設けられ(貼り付けられ)ている。貼付部材20としては、例えば、シリコン又はポリエチレン(PE)とアクリル系粘着材料とから構成される生体用両面粘着材などが好適に用いられる。また、貼付部材20は、例えば、角部がR面取りされた略矩形のシート状に形成されている。
【0018】
一方、ロワカバーフィルム10bの内面には、貼付型の温度センサ101をロワカバーフィルム10bに密着させて取り付けるセンサ取付部材30が設けられ(貼り付けられ)ている。センサ取付部材30は、ロワカバーフィルム10bを挟んで、貼付部材20と対向するように設けられる。センサ取付部材30は、粘着性を有する粘着部材であり、例えば、ポリエチレン(PE)とアクリル系粘着材料とから構成される両面粘着材などが好適に用いられる。また、センサ取付部材30は、例えば、角部がR面取りされた略矩形のシート状に形成されている。
【0019】
カバーフィルム10の開口部の縁部には、該カバーフィルム10の開口部の縁部を密着して閉じる密閉部材40が設けられている。密閉部材40は、粘着性を有する粘着部材であり、例えば、ポリエチレン(PE)とアクリル系粘着材料とから構成される両面粘着材などが好適に用いられる。また、密閉部材40は、例えば、略L字状のシート状に形成されている。
【0020】
上述したように構成されることにより、使用時には、アッパカバーフィルム10a、温度センサ101、センサ取付部材30、ロワカバーフィルム10b、貼付部材20が層状に配置された構成となる。
【0021】
ここで、熱抵抗値のばらつきを低減して、温度の測定精度(深部体温の推定精度)を向上させるために、ロワカバーフィルム10bの熱抵抗値が、貼付部材20の熱抵抗値よりも大きくなるように、設定されることが好ましい。特に、ロワカバーフィルム10bの熱抵抗値が、貼付部材20の熱抵抗値とセンサ取付部材30の熱抵抗値との合計値(加算値)よりも大きくなるように、設定されていることがより好ましい。
【0022】
ここで、例えば、[表1]に示されるように、ロワカバーフィルム10bの厚みを300μm、センサ取付部材30の厚みを50μm、貼付部材20の厚みを50μmとした場合、3層の厚みの公差が±20%となり、後述する[表2]の例よりも熱抵抗値のばらつきを小さくすることができる。すなわち、熱抵抗値のばらつきが少ないロワカバーフィルム10bの厚みをより厚くすることで、3層のトータルの熱抵抗値のばらつきを低減することができる。よって、深部体温を推定する際の補正をより正確に行うことができる。
【表1】
【0023】
一方、例えば、[表2]に示されるように、ロワカバーフィルム10bの厚みを15μm、センサ取付部材30の厚みを50μm、貼付部材20の厚みを50μmとした場合、3層の厚みの公差が±40%となり、上述した[表1]の例よりも熱抵抗値のばらつきが大きくなる。
【表2】
【0024】
上述した厚みの公差(すなわち熱抵抗値のばらつき)を考慮すると、ロワカバーフィルム10bの厚みは、センサ取付部材30及び貼付部材20(両面粘着材)よりも熱抵抗値が大きい組み合わせであれば、30μm~2000μmまでの範囲で選択することができる。
【0025】
次に、
図3を参照しつつ、使用前(例えば、工場製造時や販売時、保管時等)のセンサカバー1の構成について説明する。
図3は、使用前のセンサカバー1の断面図である。
【0026】
使用前のセンサカバー1は、上述した貼付部材20(生体用両面粘着材)を覆うように、該貼付部材20に剥離可能に貼り付けられた第1剥離部材(セパレータ)51と、センサ取付部材30(両面粘着材)を覆うように、該センサ取付部材30に剥離可能に貼り付けられた第2剥離部材(セパレータ)52と、密閉部材40(両面粘着材)を覆うように、該密閉部材40に剥離可能に貼り付けられた第3剥離部材53(セパレータ)とを備えている。なお、第2剥離部材52、第3剥離部材53に代えて、アッパカバーフィルム10aの内面に、例えば、シリコン系の剥離剤を塗布してもよい。
【0027】
すなわち、第1剥離部材51、第2剥離部材52、第3剥離部材53は、センサカバー1を使用しないときに、センサカバー1の粘着面(貼付部材20、センサ取付部材30、密閉部材40)に貼り付けられる部材である。第1剥離部材51、第2剥離部材52、第3剥離部材53は、センサカバー1を使用する際に、センサカバー1の粘着面(貼付部材20、センサ取付部材30、密閉部材40)から引き剥がされる。
【0028】
貼付型の温度センサ101を使用する際には、まず、第1剥離部材51を剥して、温度センサ101をセンサ取付部材30(両面粘着材)に貼り付け、次に、第2剥離部材52を剥して、カバーフィルム10の開口部(アッパカバーフィルム10aとロワカバーフィルム10bと間)を密閉部材40で密閉し、その後、第3剥離部材53を剥して、カバーフィルム10(センサカバー1)に包まれた温度センサ101を生体(皮膚)に貼り付ける。
【0029】
そして、生体の温度(深部体温)の測定を行い、その後、すなわち、貼付型の温度センサ101の使用後に、まず、カバーフィルム10(センサカバー1)に包まれた温度センサ101を生体(皮膚)から剥し、次に、カバーフィルム10の開口部を開いて、温度センサ101をセンサ取付部材30(両面粘着材)から剥し、温度センサ101を回収する。なお、使用済みのセンサカバー1は廃棄される。
【0030】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、まず、カバーフィルム10が、少なくとも一辺がつながっているアッパカバーフィルム10a及びロワカバーフィルム10bを有し、使用時に温度センサ101を収容可能な袋状に形成されているため、カバーフィルム10に対して、温度センサ101を容易に出し入れすることができる。次に、ロワカバーフィルム10bの内面に、温度センサ101をロワカバーフィルム10bに密着させて取り付けるセンサ取付部材30が設けられているため、温度センサ101をロワカバーフィルム10bの内側(カバーフィルム10の内部)に容易に取り付けることができる。また、温度センサ101の外装面には粘着材が付着しないので、カバーフィルム10を外す際に、温度センサ101の外装体1010が劣化したり破損したりすることを防止できる。また、ロワカバーフィルム10bの外面に粘着性を有する貼付部材20が設けられているため、温度センサ101を、カバーフィルム10(ロワカバーフィルム10b)を介して容易に生体に貼り付けることができる。さらに、カバーフィルム10の開口部の縁部を密着して閉じる密閉部材40を有するため、カバーフィルム10を容易に密封することができる。そして、消毒液等の浸入を防止することができる。
【0031】
その結果、本実施形態によれば、交換時における温度センサ101(特に外装体1010)の劣化や破損等を防止しつつ、簡易に交換することが可能となる。
【0032】
本実施形態によれば、センサ取付部材30が、粘着性を有する粘着部材であるため、温度センサ101を容易に取り付け/取り外しすることができる。
【0033】
本実施形態によれば、アッパカバーフィルム10a及びロワカバーフィルム10bが、互いに交わる二辺がつながっており、密閉部材40が、粘着性を有する粘着部材であるため、温度センサ101の取り付け(位置決め)のし易さと、密封/開封のし易さとを両立することができる。
【0034】
本実施形態によれば、ロワカバーフィルム10bの熱抵抗値が、貼付部材20の熱抵抗値とセンサ取付部材30の熱抵抗値との合計値よりも大きくなるように設定されているため、トータルでの熱抵抗値のばらつきを低減することができ、例えば、深部体温の推定精度を向上することが可能となる。
【0035】
本実施形態によれば、使用前の形態において、貼付部材20に剥離可能に貼り付けられた第1剥離部材51と、センサ取付部材30に剥離可能に貼り付けられた第2剥離部材52と、密閉部材40に剥離可能に貼り付けられた第3剥離部材53とを備えている。そのため、貼付部材20、センサ取付部材30、密閉部材40の粘着面を保護しつつセンサカバー1を保管することができる。また、使用時に第1剥離部材51、第2剥離部材52、第3剥離部材53を剥すことで、容易に、センサカバー1に温度センサ101を貼り付けるとともに、センサカバー1を密閉し、さらに、センサカバー1(温度センサ101)を生体に貼り付けることができる。
【0036】
(第1変形例)
次に、
図5を参照しつつ、第1実施形態の第1変形例に係るセンサカバー1Bについて説明する。なお、
図5はセンサカバー1Bの平面図である。
【0037】
センサカバー1Bは、センサ取付部材30に代えてセンサ取付部材30Bを備えている点で、上述したセンサカバー1と異なっている。このセンサ取付部材30Bには、平面視において、少なくとも中央部と外縁部とをつなぐ通気路30bが形成されている。より具体的には、センサ取付部材30Bには、通気路30bとして機能する、碁盤目状に配置された複数のスリット30bが形成されている。なお、スリット30bの形状は、
図5に示された形状に限られることなく、例えば、中心から放射線状にのびる形状としてもよい。また、スリット30bに代えて、例えば、センサ取付部材30Bを複数のドット状(点状)に形成することにより、通気路を形成してもよい。
【0038】
本変形例によれば、センサ取付部材30Bに通気路(スリット)30bが形成されているため、温度センサ101を貼り付ける際に、温度センサ101との間に空気だまりが生じることを防止できる。なお、この場合、温度センサ101との間に空気層は残ることとなるが、予め定量的に把握することができる(計算に入れることができる)ため、測定精度の悪化を防止することができる。
【0039】
なお、その他の構成は、上述した第1実施形態に係るセンサカバー1と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0040】
(第2変形例)
上記実施形態では、アッパカバーフィルム10aとロワカバーフィルム10bとが2辺でつながっていたが、
図6に示されるように、双方の3辺がつながった構成(形態)としてもよい。そこで、
図6を参照しつつ、第1実施形態の第2変形例に係るセンサカバー1Cについて説明する。なお、
図6はセンサカバー1Cの平面図である。
【0041】
センサカバー1Cは、アッパカバーフィルム10Ca及びロワカバーフィルム10Cbが、略矩形に形成され、かつ、三辺がつながっている(すなわち一辺が開口されている)点で、上述したセンサカバー1と異なっている。また、密閉部材40Cが、互いに嵌合する嵌合部材(チャック)である点で、上述したセンサカバー1と異なっている。
【0042】
本変形例によれば、アッパカバーフィルム10Ca及びロワカバーフィルム10Cbが三辺でつながっており、密閉部材40Cが互いに嵌合する嵌合部材(チャック)であるため、カバーフィルム10Cをより容易に密閉/開封することができる。
【0043】
なお、その他の構成は、上述した第1実施形態に係るセンサカバー1と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、本発明を、貼付型の温度センサ101に適用した場合を例にして説明したが、本発明は、貼付型の心電センサにも適用することができる。そこで、次に、
図7~9を併せて参照しつつ、本発明を、生体に貼付され、該生体の心電信号を所得する貼付型の心電センサ102(請求の範囲に記載の生体センサに相当)に適用した場合を例にして説明する。
図7は、第2実施形態に係るセンサカバー2(使用時)の平面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9は、センサカバー2(使用前)の断面図である。
【0045】
センサカバー2のカバーフィルム12は、使用時に、生体に貼付され、該生体の心電信号を取得する貼付型の心電センサ102を収容する。また、ロワカバーフィルム12b、及び、センサ取付部材32には、使用時に、貼付型の心電センサ102がロワカバーフィルム12bに密着して取り付けられたときに、貼付型の心電センサ102の心電電極と対向する位置に、導電性を有し、ロワカバーフィルム12b及びセンサ取付部材32を厚み方向に貫通する導電性部材22が配設されている。なお、ロワカバーフィルム12bは、導電性部材22に代えて、厚み方向にのみ導電性を有する異方性素材から形成されていてもよい。
【0046】
本実施形態によれば、ロワカバーフィルム12b、及び、センサ取付部材32に、心電センサ102の心電電極と対向する位置に、ロワカバーフィルム12b及びセンサ取付部材32を厚み方向に貫通する導電性部材22が配設されているため、心電信号を感度よく検出することができる。
【0047】
なお、その他の構成は、上述した第1実施形態に係るセンサカバー1と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0048】
(第3実施形態)
上述した第1実施形態では、本発明を、貼付型の温度センサ101に適用した場合を例にして説明したが、本発明は、貼付型の加速度センサにも適用することができる。そこで、次に、
図10~12を併せて参照しつつ、本発明を、生体に貼付され、該生体の姿勢や体動等を検出する貼付型の加速度センサ103(請求の範囲に記載の生体センサに相当)に適用した場合を例にして説明する。
図10は、第3実施形態に係るセンサカバー3(使用時)の平面図である。
図11は、
図10のXI-XI線に沿った断面図である。
図12は、センサカバー3(使用前)の断面図である。
【0049】
センサカバー3のカバーフィルム10は、使用時に、生体に貼付され、該生体の姿勢や体動等を検出する貼付型の加速度センサ103を収容する。また、貼付部材20は、周縁部が中心部よりも硬い構成とされている。より具体的には、貼付部材20の周囲に(すなわち、貼付部材20を囲むように)、貼付部材20よりも硬い矩形の枠体23が配設されている。
【0050】
本実施形態によれば、貼付部材20の周囲に貼付部材20よりも硬い矩形の枠体23が配設されている、すなわち、周縁部が中心部よりも硬くされているので、加速度センサ103をよりリジッドに固定でき(すなわち横方向のずれを抑制でき)、加速度の検出精度を高めることが可能となる。なお、貼付部材20の周囲に加えて、センサ取付部材30の周囲にも枠体を配設する構成としてもよい。
【0051】
なお、その他の構成は、上述した第1実施形態に係るセンサカバー1と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、アッパカバーフィルム10aとロワカバーフィルム10bとが2辺又は3辺でつながっていたが、
図13~15に示されるように、1辺でつながっている構成としてもよい。その場合、使用時に、当該一辺部でカバーフィルム10Dを折り返す(
図15参照)とともに、その他の3辺を両面粘着材(両面粘着テープ)40D等で密閉する。なお、
図13は、変形例に係るセンサカバー1D(使用時)の平面図であり、
図14は、
図13のXIV-XIV線に沿った断面図である。また、
図15は、変形例に係るセンサカバー1D(使用前)の断面図である。このようにすれば、3面開口とすることにより生体センサの取り付け/取り外しがより容易となるだけでなく、センサカバー1Dの製造時に、折り込み工程を必要としないため経済性が向上する。
【0053】
また、上記実施形態では、本発明を、貼付型の温度センサ101、心電センサ102、加速度センサ103に適用した場合を例にして説明したが、貼付型の温度センサ101、心電センサ102、加速度センサ103以外の貼付型の生体センサにも適用することができる。
【0054】
さらに、上記実施形態では、センサ取付部材30として両面粘着材を用いたが、センサ取付部材30は、生体センサの底面をロワカバーフィルム10bに密着して取り付けできればよく、例えば、生体センサの四隅を固定する形態や、生体センサの厚みと略同じサイズのポケットを有する形態等を採用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,1B,1C,1D,2,3 センサカバー
10,10C、10D,12 カバーフィルム
10a,10Ca,10Da,12a アッパカバーフィルム
10b,10Cb,10Db,12b ロワカバーフィルム
20 貼付部材(生体用両面粘着材)
22 導電性部材
23 枠体
30,30B,32 センサ取付部材(両面粘着材)
30b スリット(通気路)
40,40D 密閉部材(両面粘着材)
40C 密閉部材(嵌合部材)
51,52,53,53D 剥離部材
101 貼付型温度センサ
102 貼付型心電センサ
103 貼付型加速度センサ