(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂、樹脂組成物および接着剤組成物、ならびにウレタン樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/71 20060101AFI20221101BHJP
C08G 18/67 20060101ALI20221101BHJP
C08F 299/06 20060101ALI20221101BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
C08G18/71
C08G18/67
C08F299/06
C09J175/04
(21)【出願番号】P 2022534327
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022007250
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2021027824
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 修平
(72)【発明者】
【氏名】薗田 遼
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206693(JP,A)
【文献】特表2016-517462(JP,A)
【文献】特表平10-502680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
C09J175/00-175/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)~(3)を満足
し、カルボキシル基を有するウレタン樹脂。
(1)ガラス転移温度(Tg)が40℃以上である
(2)重量平均分子量(Mw)が180000~2000000である
(3)分子量分布(Mw/Mn)が9~200である(ここでMnは数平均分子量を表す)
【請求項2】
前記ウレタン樹脂が、水酸基またはイソシアネート基との反応性を有する官能基とラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物(C)に由来するラジカル重合性二重結合および前記化合物(C)の重合体の少なくとも一方を構成単位として有する、請求項1に記載のウレタン樹脂。
【請求項3】
前記ウレタン樹脂の酸価が50~500eq/tである請求項1
または2に記載のウレタン樹脂。
【請求項4】
前記ウレタン樹脂が、ポリオール(A)を構成単位として有し、前記ポリオール(A)がポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリオレフィンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールを含有するものであり、前記ポリオール(A)のガラス転移温度が-30~30℃である請求項1~
3のいずれかに記載のウレタン樹脂。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれかに記載のウレタン樹脂と、架橋剤とを含む樹脂組成物。
【請求項6】
前記架橋剤がエポキシ樹脂またはイソシアネート樹脂を含有する、請求項
5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項
5または
6に記載の樹脂組成物を含有する接着剤組成物。
【請求項8】
少なくともポリオール(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、水酸基またはイソシアネート基との反応性を有する官能基とラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物(C)および1個以上のカルボキシル基を有するポリオール(D)を構成単位として有するウレタン重合体を作成後、さらにラジカル重合することを特徴と
し、以下の(1)~(3)を満足するウレタン樹脂の製造方法。
(1)ガラス転移温度(Tg)が40℃以上である
(2)重量平均分子量(Mw)が180000~2000000である
(3)分子量分布(Mw/Mn)が9~200である
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン樹脂、樹脂組成物および接着剤組成物、ならびにウレタン樹脂の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、耐タック性、耐屈曲性、伸度に優れる接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン樹脂は可撓性、耐摩耗性、耐油性、耐薬品性、接着性等が良好であり、塗料、インキ、接着剤、その他のコーティング剤用途に広く用いられている。近年では、フレキシブルプリント配線板(以下FPCともいう)は、柔軟性や省スペース性が必要な電子機器の配線板材料、実装用基板材料へ適用されるなど、高耐熱性を要求される用途での使用が進んでおり、耐熱性と可撓性の両立が求められる。
【0003】
一般に、接着剤やコーティング剤の耐熱性を上げるためには、樹脂のガラス転移温度を上げる方策が知られているが、他方でガラス転移温度を上げると樹脂の柔軟性が低下し、可撓性に劣る問題が生じる。例えば特許文献1では、食品包装用のウレタン系接着剤組成物において、ガラス転移温度が高いポリオールとガラス転移温度が低いポリオールとを含有させることで、耐熱水性に優れたウレタン系接着剤組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでFPC製造用フィルムにおいては、接着剤を離型フィルムに塗工し、製造工程までロールにて保管される場合があり、保管時に接着剤とロール状に巻かれた他方のフィルムとが張り付いてしまうという問題があった。張り付きの問題は樹脂のガラス転移温度を上げる方策が知られてはいるが、ガラス転移温度を上げると今度は可撓性の問題が生ずるため、樹脂のガラス転移温度の調整のみによって両者の課題を同時に解決することは困難であった。
【0006】
本発明の目的は、従来のウレタン樹脂では達成できなかった耐屈曲性、伸度に優れ、かつ張り付きのないウレタン樹脂、樹脂組成物および接着剤組成物、ならびにそのウレタン樹脂の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のガラス転移温度を有しながら、平均分子量が大きく、かつ広い分子量分布を有するウレタン樹脂が、前記の可撓性および張り付きの問題の両方を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の(1)~(3)を満足するウレタン樹脂である。
(1)ガラス転移温度(Tg)が40℃以上である
(2)重量平均分子量(Mw)が180000~2000000である
(3)分子量分布(Mw/Mn)が9~200である(ここでMnは数平均分子量を表す)
【0009】
前記ウレタン樹脂は、水酸基またはイソシアネート基との反応性を有する官能基とラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物(C)に由来するラジカル重合性二重結合および前記化合物(C)の重合体の少なくとも一方を構成要素として有することが好ましい。
【0010】
前記ウレタン樹脂はカルボキシル基を有し、酸価は50~500eq/tであることが好ましい。
【0011】
前記ウレタン樹脂は、ポリオール(A)を構成単位として有することができ、前記ポリオール(A)はポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリオレフィンポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオールを含有するものであり、前記ポリオール(A)のガラス転移温度が-30~30℃であることが好ましい。
【0012】
前記ウレタン樹脂は、架橋剤を含む樹脂組成物とすることができる。前記架橋剤は、エポキシ樹脂またはイソシアネート樹脂を好ましく使用でき、前記樹脂組成物は接着剤組成物として使用できる。
【0013】
前記ウレタン樹脂の製造方法としては、ポリオール(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、および前記ポリオール(A)または前記ポリイソシアネート化合物(B)との反応性を有する官能基とラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物(C)を構成要素として有するウレタン重合体を作成後、さらにラジカル重合することにより製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、可撓性に優れ、かつ張り付きのないウレタン樹脂、樹脂組成物および接着剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のウレタン樹脂は、以下の(1)~(3)を満足するウレタン樹脂である。
(1)ガラス転移温度(Tg)が40℃以上である
(2)重量平均分子量(Mw)が180000~2000000である
(3)分子量分布(Mw/Mn)が9~200である
【0016】
<要件(1)>
本発明のウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上であることが必要である。Tgが40℃以上であることで、必要な可撓性および耐熱性を有することができる。より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。上限は特に限定されないが、実用上は60℃以下である。ガラス転移温度は、実施例に記載の方法で測定される。
【0017】
<要件(2)>
本発明のウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常150000~2000000である。好ましくは180000以上、より好ましくは200000以上、さらに好ましくは220000以上である。また、好ましくは1800000以下、より好ましくは1700000以下、さらに好ましくは1600000以下である。重量平均分子量を前記範囲内とすることで、張り付きがない、すなわち耐タック性に優れ、かつ可撓性に優れたウレタン樹脂とすることができる。重量平均分子量は、実施例に記載の方法で測定される。
【0018】
<要件(3)>
本発明のウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は9~200であることが必要である。より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、最も好ましくは20以上である。また、より好ましくは180以下、さらに好ましくは170以下、最も好ましくは160以下である。分子量分布が前記範囲内であることで、高分子量でありながら、溶剤溶解性に優れたウレタン樹脂とすることができる。この理由は定かではないが、分子量分布が広いことで高分子量成分と低分子量成分が共存し、低分子量成分が高分子量成分の相溶化剤的に働くため、高分子量で優れた耐タック性を有しつつも、溶剤溶解性に優れ、加工性の良いウレタン樹脂となると考察される。分子量分布(Mw/Mn)は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比であり、前記重合平均分子量と同様、実施例に記載の方法で測定される。
【0019】
本発明のウレタン樹脂は、構成単位としては特に限定されず、ポリオール(A)およびポリイソシアネート化合物(B)を含む構成単位により構成されるものが使用できる。
【0020】
<ポリオール(A)>
本発明のウレタン樹脂を構成できるポリオール(A)(以下、成分(A)とも言う)は特に限定されず、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリエーテルエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール、シリコンポリオールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオールおよび2-メチル-1,8-オクタンジオール等の脂肪族グリコール、1,4-シクロヘキサンジオ-ル、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメチロール、スピログリコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等の脂環族グリコール、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4-フェニレングリコール、1,4-フェニレングリコ-ルのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等の、ビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1~数モル付加して得られるグリコール類等の芳香族グリコール等が挙げられる。これらを単独で、または2種以上を併用できる。
【0021】
ポリエーテルグリコールとしては環状エーテルを開環重合して得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリエステルグリコールとしてはジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸等)又はその無水物と低分子量ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4-フェニレングリコール等)との重縮合によって得られるもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンセバケート等、低分子量ジオールへのラクトンの開環重合によって得られるもの、例えばポリカプロラクトン、ポリメチルバレロラクトン等が挙げられる。ポリエーテルエステルグリコールとしてはポリエステルグリコールに環状エーテルを開環重合したもの、ポリエーテルグリコールとジカルボン酸とを重縮合したもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等が挙げられる。ポリカーボネートグリコールとしては低分子量ジオールとアルキレンカーボネート又はジアルキルカーボネートとから脱グリコール又は脱アルコールによって得られるポリブチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。ポリオレフィンポリオールとしてはポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。シリコンポリオールとしてはポリジメチルシロキサンポリオール等が挙げられる。
【0022】
本発明で用いられる成分(A)としては、ガラス転移温度が-30℃以上であることが好ましい。より好ましくは-25℃以上、さらに好ましくは-20℃以上である。また、30℃以下であることが好ましく、より好ましくは25℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。ガラス転移温度を前記の範囲内とすることで、ウレタン樹脂とした際の耐タック性および可撓性が良好となる。なお、成分(A)が複数の成分により構成される場合、成分(A)のガラス転移温度は、各成分のガラス転移温度と各成分の質量比から加重平均にて計算される。
【0023】
<ポリイソシアネート化合物(B)>
本発明のウレタン樹脂を構成できるポリイソシアネート化合物(B)(以下、成分(B)とも言う)は、ポリイソシアネート化合物であれば特に限定されず、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートもしくは脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、又は3,2’-又は3,3’-又は4,2’-又は4,3’-又は5,2’-又は5,3’-又は6,2’-又は6,3’-ジメチルジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3,2’-又は3,3’-又は4,2’-又は4,3’-又は5,2’-又は5,3’-又は6,2’-又は6,3’-ジエチルジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3,2’-又は3,3’-又は4,2’-又は4,3’-又は5,2’-又は5,3’-又は6,2’-又は6,3’-ジメトキシジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-3,3’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-3,4’-ジイソシアネート、ジフェニルエーテル-4,4’-ジイソシアネート、ベンゾフェノン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、ナフタレン-2,6-ジイソシアネート、4,4’-[2,2-ビス(4-フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネート、3,3’または2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-または2,2’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジエトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。耐熱性、密着性、溶解性、コスト面などを考慮すれば、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、3,3’-または2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネートが好ましい。これらを単独で、または2種以上を併用することができる。
【0024】
ポリイソシアネート化合物(B)の仕込量比は、ポリオール(A)の水酸基と成分(B)のイソシアネート基から、イソシアネート基/水酸基(NCO/OH)のモル比で1.01~5となる量比であることが好ましく、より好ましくは1.01~2である。仕込量比が1.01を下回ると分子量が低くもろい樹脂となり、一方、5を超えると反応時に粘度が高くなりゲル化しやすいため、いずれも好ましくない。なお、後記の成分(D)を含有する場合は、水酸基は成分(A)と成分(D)の水酸基の合計量として計算する。
【0025】
<水酸基またはイソシアネート基との反応性を有する官能基とラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物(C)>
本発明のウレタン樹脂は、水酸基またはイソシアネート基との反応性を有する官能基とラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物(C)(以下、成分(C)とも言う)を構成単位として有していてもよい。このような成分(C)の例としては、2-イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工社製、カレンズMOI)、2-イソシアネートエチルアクリレート(昭和電工社製、カレンズAOI)、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI-EG)、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズBEI)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学社製、ライトエステルHO-250(N))、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(共栄社化学社製、ライトエステルHOP(N))、2-ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学社製、ライトエステルHOP-A(N))、2-ヒドロキシブチルメタクリレート(共栄社化学社製、ライトエステルHOB(N))等が挙げられる。成分(C)のラジカル重合性二重結合は、ラジカル反応性の観点から、成分(C)の分子の末端に位置していることが好ましい。
【0026】
成分(C)のウレタン樹脂中における含有量は成分(B)を100重量部とした場合、1~20重量部であることが好ましく、より好ましくは2~10重量部である。成分(C)の含有量が1重量部未満の場合、ラジカル重合による高分子量化が不十分となり、20重量部を超えると、ラジカル重合時にゲル化しやすいため好ましくない。
【0027】
<1個以上のカルボキシル基を有するポリオール(D)>
本発明のウレタン樹脂は、1個以上のカルボキシル基を有するポリオール(D)(以下、成分(D)とも言う)を構成単位として有していてもよい。このような成分(D)の例としては、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2-ビス(2-ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2-ビス(3-ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸等が挙げられる。
【0028】
本発明のウレタン樹脂は、50~500eq/tの酸価を有することが好ましい。より好ましくは80eq/t以上、さらに好ましくは100eq/t以上である。また、450eq/t以下が好ましく、さらに好ましくは400eq/t以下である。酸価を前記の範囲内とすることで、後述する架橋剤との架橋反応に使用できる。酸価が50eq/t未満であれば、架橋剤で硬化させた場合の硬化塗膜としての強度が保たれず、ひいては伸度低下、屈曲性試験にてクラックが発生しやすくなる。また、酸価が500eq/tより大きければ、架橋点が非常に多い硬化塗膜となり、可撓性が失われる。
【0029】
本発明のウレタン樹脂は、例えば以下の方法で製造することができる。すなわち、まず前記成分(A)、成分(B)および成分(C)を構成単位として含むウレタン重合体を、公知のプレポリマー化法によって作製する。次いでラジカル重合開始剤を添加し、成分(C)に由来するラジカル重合性二重結合をラジカル重合させることで、高分子量化かつ分子量分布の広いウレタン樹脂を製造することができる。この方法によれば、従来溶液化が困難であった高分子量の樹脂であっても、溶液の状態で製造することが可能である。なお、前記ウレタン重合体は、さらに成分(D)を構成単位として有していてもよい。
【0030】
前記の方法における重合溶媒としては、イソシアネートとの反応性が低いものであれば使用することができ、例えば、アミン等の塩基性化合物を含まない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ニトロベンゼン、シクロヘキサン、イソホロン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム及び塩化メチレン等を挙げることができる。
【0031】
ウレタン樹脂を製造する際の触媒としては通常のウレタン化反応触媒が用いられる。例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、ルチジン、ピコリン、ウンデセン、トリエチレンジアミン(1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン)等のアミン類等が挙げられる。
【0032】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリン酸などのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、カプリリルパーオキサイド、2,4-ジクロルベンゾイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソブチルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ-n-ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-エチルヘキサノエート、1,1,2-トリメチルプロピルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-ブチルパーオキシアリルカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,2-トリメチルプロピルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシイソノナエート、1,1,2-トリメチルプロピルパーオキシ-イソノナエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、過酸化ラウロイルなどの有機過酸化物が挙げられる。
【0033】
ラジカル重合開始剤の種類は、溶剤溶解性や重合温度に応じて選定され得る。例えば、本発明では特に限定されないが、ラジカル重合開始剤としては、その重合温度での半減期が10分以上3時間以内であるものが好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量は、目標の重合率や反応条件などに応じて調整すればよく、本発明ではラジカル重合開始剤の添加量は成分(C)の仕込み量に対して0.001~15重量%であることが好ましい。これらのラジカル重合開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、重合温度は10~180℃が好ましく、より好ましくは30~150℃である。重合時の樹脂固形分は5~95重量%が好ましく、より好ましくは20~60重量%である。
【0034】
上記成分(A)~(D)、およびラジカル重合開始剤に加えて、任意の適切な他の成分、例えば連鎖移動剤、ブタジエンおよびスチレンブタジエンゴム(SBR)などのゴム状重合体、熱安定剤、紫外線吸収剤などを用いてもよい。なお、ここで、連鎖移動剤は、生成するウレタン樹脂や使用する原料モノマーの種類に応じて選定され得る。例えば、本発明では特に限定されないが、連鎖移動剤として、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタンが好ましい。熱安定剤は、生成するウレタン樹脂の熱分解を抑制するためや、ウレタン化反応時、ラジカル重合性二重結合の熱重合を防止するために用いることもできる。熱安定剤としてはメチルハイドロキノン、t-ブチルカテコール、クロラニル等のフェノール系化合物、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン等のアミン類、塩化第2鉄、塩化第2銅等の高原子価金属塩等が挙げられる。紫外線吸収剤は、生成するウレタン樹脂の紫外線による劣化を抑制するために用いられるものである。
【0035】
<架橋剤>
本発明のウレタン樹脂は可撓性等を向上させるために各種架橋剤及び必要に応じて他の樹脂を配合して架橋塗膜を得ることができる。架橋剤としてはエポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、シラン化合物等が挙げられる。
【0036】
前記エポキシ樹脂としては、1分子あたり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型、またはそれらに水素添加したもの、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。また、前記エポキシ樹脂は例えば、シリコーン、ウレタン、ポリイミド、ポリアミド等で変性されていてもよく、分子骨格内に硫黄原子、窒素原子等を含んでいてもよい。これらの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製の商品名jER828、1001等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学(株)製の商品名ST-2004、2007等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC(株)製のEXA-9726、新日鉄住金化学(株)製の商品名YDF-170、2004等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名jER152、154、ダウケミカル社製の商品名DEN-438、DIC(株)製の商品名HP7200、HP7200H等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学(株)製の商品名YDCN-700シリーズ、日本化薬(株)製の商品名EOCN-125S、103S、104S等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学(株)製の商品名YD-171等の可撓性エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名Epon1031S、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名アラルダイト0163、ナガセケムテックス(株)製の商品名デナコールEX-611、EX-614、EX-622、EX-512、EX-521、EX-421、EX-411、EX-321等の多官能エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名エピコート604、新日鉄住金化学(株)製の商品名YH-434、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名アラルダイトPT810等の複素環含有エポキシ樹脂、ダイセル化学工業(株)製の商品名セロキサイド2021、EHPE3150、UCC社製のERL4234等の脂環式エポキシ樹脂、DIC(株)製の商品名エピクロンEXA-1514等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、日産化学工業(株)製のTEPIC等のトリグリシジルイソシアヌレート、三菱化学(株)製の商品名YX-4000等のビキシレノール型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名YL-6056等のビスフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
【0037】
前記イソシアネート樹脂としては、p-フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、及びこれらの3量体、水付加物、又はこれらの低分子量ポリオール付加物等が挙げられる。
【0038】
前記シラン化合物としてはアセトキシシラン、アルコキシシラン、ケトキシムシラン、アミノシラン、アミノキシシラン等が挙げられる。
【0039】
架橋剤の添加量は、ウレタン樹脂の酸価に対して架橋剤中の反応性官能基量が1~2倍程度になることが好ましい。また、架橋塗膜の形成は架橋剤を配合した混合物を塗布し40~200℃で数秒間~数時間加熱することによって行われる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0041】
<ガラス転移温度>
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量分析計「DSC220型」にて、測定試料5mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し、一度250℃で5分ホールドした後、液体窒素で急冷して、その後-150℃から250℃まで、20℃/分の昇温速度で測定した。得られた曲線から、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0042】
<重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の条件にて測定し、解析ソフト(Lab Solutions(TM) 島津製作所社製)を用いて、標準ポリスチレンに換算した重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)の値を算出した。
測定装置 東ソー製 HLC-8220
カラム TSKgel super HM-H 2本 およびSuperH 2500 1本を直列に接続
検出器 示差屈折率(RI)検出器
溶液調整 テトラヒドロフランを溶媒とし、サンプルの0.05重量%溶液を用いる
カラム温度 40℃
注入量 20μL
流速 0.6ml/分
【0043】
<酸価>
試料0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、指示薬としてフェノールフタレインを用い、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定した。この滴定量から、中和に消費された水酸化カリウムのmg数を樹脂1gあたりの量に換算して酸価(100eq/t=5.6mgKOH/g)を算出した。
【0044】
(ウレタン樹脂組成物溶液の調製)
実施例または比較例で得られたウレタン樹脂および架橋剤を、ウレタン樹脂および架橋剤を合わせた固形分濃度が20重量%になるように、メチルエチルケトンに溶解し、ウレタン樹脂組成物溶液を調製した。架橋剤の配合量はウレタン樹脂の酸価に基づき、ウレタン樹脂の酸価(eq/t)が架橋剤の官能基当量(eq/t)の1.1倍となるような量とした。
架橋剤は以下のものを用いた。
CL-1:HP-7200(DIC社製エポキシ樹脂)エポキシ当量3,861eq/t
CL-2:jER152(三菱ケミカル社製エポキシ樹脂)エポキシ当量5,747eq/t
【0045】
<耐タック性試験>
上記の方法で調製したウレタン樹脂組成物溶液を銅箔にアプリケータ125μmにて塗工、120℃で3分間乾燥し、塗膜を作製した。乾燥樹脂の上にポリイミドフィルム(カネカ社製 アピカル12.5NPI))を載せ、その上に荷重1kgの標準分銅を載せて40℃雰囲気下で3日静置した後、幅10mm長さ50mmに切断後、引っ張り試験機(島津製オートグラフAG-X plus)を用いて40℃の雰囲気下でポリイミドフィルムを90°の方向に50mm/分の速度で引き剥がし、接着強度を測定した。接着強度が0.1N/mm以下でタックなしと判断した。
評価 ○:タックなし(耐タック性あり)
×:タックあり(耐タック性なし)
【0046】
<引張試験>
上記の方法で調製したウレタン樹脂組成物溶液をテフロン(登録商標)シートにアプリケータ125μmにて塗工、120℃で3分間乾燥後、さらに150℃で1時間キュアし、硬化塗膜を作製した。硬化塗膜を幅10mm長さ50mmに切断して、引張試験片とした。引っ張り試験機(島津製オートグラフAG-X plus)を用いて25℃で50mm/分の速度で引張試験し、破断に達した時の試験片の長さを測定し、以下のように評価した。
評価方法 :伸び(%)=100×(破断時の試験片の長さ-試験前の試験片の長さ)÷試験前の試験片の長さ
【0047】
<屈曲性試験>
上記の方法で調製したウレタン樹脂組成物溶液に、さらに着色剤としてカーボンブラック(御国色素社製 MHIブラック#C570)を、ウレタン樹脂と架橋剤の合計量100重量部に対し20重量部になるように添加し、固形分濃度が20重量%になるようにメチルエチルケトンを追加し、着色剤混合溶液を得た。
得られた着色剤混合溶液を銅箔にアプリケータ125μmにて塗工、120℃で3分間乾燥後、さらに150℃で1時間キュアし、硬化塗膜を作製した。この塗膜を曲げ半径R=0.2mmにて折り曲げ、元に戻すという作業を10回繰り返し、マイクロスコープ(KEYENCE社製 VHX-1000)にて曲面を観察し、銅箔が見えた箇所をクラックと判断した。
評価 ○:クラックなし
×:クラックあり
【0048】
(実施例1)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、ニューポールBPE-20T(三洋化成工業社製、ポリエーテルポリオール)45.30g(0.149モル)、PTMG2000(三菱ケミカル社製、ポリオレフィンポリオール)105.70g(0.053モル)、2,2-ジメチロールブタン酸10.57g(0.071モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)63.42g(0.253モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)5.85g(0.038モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.063g(0.417ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン137.5g、メチルエチルケトン137.5gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.293g(0.735ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール5.85g(0.079モル)を添加し、メチルエチルケトン400.0gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-1)溶液を得た。
樹脂溶液を乾燥した試料10mgを重DMSO0.6mlに溶解後、その溶液をNMRチューブに充填し核磁気共鳴法(1H-NMR)で測定を行った。ロック溶媒には重DMSOを用い、積算回数は64回とした。測定装置はBRUKER社製NMR装置AVANCE-NEO 600(共鳴周波数600MHz)を用いて測定を行った。重DMSOのピークを2.5ppmとした時、ラジカル重合性二重結合に由来するピーク(5.5ppm、6.0ppm)が、ほとんどが消失していることを確認した。
【0049】
(実施例2)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、ETERNACOLL UM90(1/1)(宇部興産社製、ポリカーボネートポリオール)89.03g(0.099モル)、G-1000(日本曹達社製、ポリオレフィンポリオール)8.09g(0.008モル)、PTMG2000(三菱ケミカル社製、ポリエーテルポリオール)64.75g(0.032モル)、2,2-ジメチロールブタン酸11.33g(0.077モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)51.80g(0.207モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)4.56g(0.029モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.052g(0.341ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン137.5g、メチルエチルケトン137.5gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.205g(0.515ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール4.56g(0.058モル)を添加し、メチルエチルケトン400.0gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-2)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0050】
(実施例3)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、pripol2033(クローダジャパン社製、ダイマーポリオール)283.29g(0.497モル)、デュラノールT5652(旭化成ケミカルズ社製、ポリカーボネートポリオール)70.00g(0.035モル)、2,2-ジメチロールブタン酸24.90g(0.168モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)168.17g(0.672モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)14.78g(0.095モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.168g(1.105ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン362.1g、メチルエチルケトン362.1gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.670g(1.681ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール14.78g(0.190モル)を添加し、メチルエチルケトン939.6gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-3)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0051】
(実施例4)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、GK390(東洋紡社製、ポリエステルポリオール、酸価1eq/t未満)393.53g(0.026モル)、2,2-ジメチロールブタン酸19.68g(0.133モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)37.32g(0.149モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)3.36g(0.022モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.037g(0.245ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン298.6g、メチルエチルケトン298.6gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.151g(0.379ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール3.36g(0.044モル)を添加し、メチルエチルケトン760.0gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-4)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0052】
(実施例5)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、UR3200(東洋紡社製、ポリウレタンポリオール、酸価1eq/t未満)394.74g(0.013モル)、2,2-ジメチロールブタン酸19.74g(0.133モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)35.53g(0.142モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)3.09g(0.020モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.036g(0.233ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン298.8g、メチルエチルケトン298.8gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.139g(0.349ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール0.139g(0.002モル)を添加し、メチルエチルケトン760.1gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-5)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0053】
(実施例6)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、ETERNACOLL UM90(1/1)(宇部興産社製、ポリカーボネートポリオール)107.14g(0.119モル)、PTMG2000(三菱ケミカル社製、ポリエーテルポリオール)71.43g(0.036モル)、2,2-ジメチロールブタン酸10.71g(0.072モル)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)35.71g(0.212モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)4.79g(0.031モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.036g(0.234ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン149.4g、メチルエチルケトン149.4gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.216g(0.541ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール4.79g(0.062モル)を添加し、メチルエチルケトン385.5gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-6)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0054】
(実施例7)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、ETERNACOLL UM-90(1/1)(宇部興産社製、ポリカーボネートポリオール)99.00g(0.110モル)、PTMG2000(三菱ケミカル社製、ポリエーテルポリオール)81.00g(0.041モル)、2,2-ジメチロールブタン酸3.60g(0.024モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)41.40g(0.165モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)3.69g(0.024モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.041g(0.272ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン149.5g、メチルエチルケトン149.5gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.166g(0.417ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール3.69g(0.048モル)を添加し、メチルエチルケトン385.5gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-7)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0055】
(実施例8)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、ETERNACOLL UM90(1/1)(宇部興産社製、ポリカーボネートポリオール)78.95g(0.088モル)、PTMG2000(三菱ケミカル社製、ポリエーテルポリオール)78.95g(0.039モル)、2,2-ジメチロールブタン酸15.00g(0.101モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)52.21g(0.209モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)4.83g(0.031モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.052g(0.343ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン149.4g、メチルエチルケトン149.4gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.218g(0.546ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール4.83g(0.062モル)を添加し、メチルエチルケトン384.9gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-8)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0056】
(実施例9)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、pripol2033(クローダジャパン社製、ダイマーポリオール)283.29g(0.497モル)、デュラノールT5652(旭化成ケミカルズ社製、ポリカーボネートポリオール)70.00g(0.035モル)、2,2-ジメチロールブタン酸24.90g(0.168モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)168.17g(0.672モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)14.78g(0.095モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.168(1.105ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン362.1g、メチルエチルケトン362.1gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.449g(1.13ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール14.78g(0.190モル)を添加し、メチルエチルケトン939.6gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-9)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0057】
(実施例10)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、pripol2033(クローダジャパン社製、ダイマーポリオール)283.29g(0.497モル)、デュラノールT5652(旭化成ケミカルズ社製、ポリカーボネートポリオール)70.00g、(0.035モル)、2,2-ジメチロールブタン酸24.90g(0.168モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)168.17g(0.672モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)14.78g(0.095モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.168(1.105ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン362.1g、メチルエチルケトン362.1gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル1.34g(3.36ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール14.78g(0.190モル)を添加し、メチルエチルケトン939.6gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-10)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0058】
(比較例1)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、pripol2033(クローダジャパン社製、ダイマーポリオール)139.75g(0.245モル)、2,2-ジメチロールブタン酸9.78g(0.066モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)75.47g(0.302モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)6.56g(0.042モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.075(0.495ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン137.5g、メチルエチルケトン137.5gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、n-ブタノール6.56g(0.079モル)を添加し、メチルエチルケトン400.0gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-11)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合が残存していることを確認した。
【0059】
(比較例2)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、pripol2033(クローダジャパン社製、ダイマーポリオール)139.75g(0.245モル)、2,2-ジメチロールブタン酸9.78g(0.066モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)226.41g(0.906モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.075g(0.495ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン137.5g、メチルエチルケトン137.5gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で反応させたところ、MDIがポリオールに対し大過剰であるため分子量が増大していき、重合溶液がゲル化したため、ウレタン樹脂(PU-12)溶液を得ることができなかった。
【0060】
(比較例3)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、UR3958(東洋紡社製、ポリウレタンポリオール、酸価1eq/t未満)444.66g(0.022モル)、2,2-ジメチロールブタン酸19.68g(0.133モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)5.34g(0.021モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)0.47g(0.003モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.005g(0.035ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン298.3g、メチルエチルケトン298.3gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.021g(0.053ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール0.47g(0.006モル)を添加し、メチルエチルケトン754.4gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-13)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0061】
(比較例4)
攪拌装置、温度計、コンデンサー、窒素導入管を備えた反応容器に、ETERNACOLL UM90(1/1)(宇部興産社製、ポリカーボネートポリオール)77.92g(0.137モル)、PTMG2000(三菱ケミカル社製、ポリエーテルポリオール)116.88g(0.058モル)、2,2-ジメチロールブタン酸10.71g(0.072モル)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)19.48g(0.078モル)とカレンズMOI(昭和電工社製、2-イソシアネートエチルメタクリレート)2.94g(0.019モル)を仕込み、触媒として1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.020g(0.128ミリモル)を加え、溶媒としてシクロヘキサノン148.3g、メチルエチルケトン148.3gに溶解した。その後、窒素気流下、撹拌しながら、80℃で6時間反応させた後、過酸化ラウロイル0.132g(0.331ミリモル)を添加し、さらに80℃5時間反応させた後、n-ブタノール2.94g(0.038モル)を添加し、メチルエチルケトン403.0gにて希釈し、溶液温度を室温まで冷却することにより、不揮発分25質量%の淡黄色で粘調なウレタン樹脂(PU-14)溶液を得た。実施例1と同様のNMR法にて、ラジカル重合性二重結合がほとんど消失していることを確認した。
【0062】
上記実施例および比較例で得られたウレタン樹脂の性状を表1に、試験評価結果を表2にそれぞれ示した。
【0063】
【0064】
【0065】
比較例1においては重量平均分子量が小さいため、引張伸びも小さく、屈曲性試験にてクラックが発生した。比較例2は、比較例1と同程度の分子量分布(Mw/Mn)となるようにウレタン重合により高分子量化を行ったが、重合溶液がゲル化し、ウレタン樹脂溶液を得られなかった。比較例3においてはポリオール全体のガラス転移温度および製造後のウレタン樹脂としてのガラス転移温度も低いため、40℃におけるタックが発生した。比較例4においては分子量分布(Mw/Mn)が高いものの、重量平均分子量が低いために伸度が低く、屈曲性試験にてクラックが発生した。一方、表2からわかるように、実施例1~10では、耐タック性、可撓性(屈曲性、伸び)が良好なウレタン樹脂が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のウレタン樹脂は耐タック性に優れるため、フィルムに塗工し、ロール状に保管しても張り付きの問題がない。また可撓性にも優れているため、耐屈曲性を求められる接着剤組成物として利用でき、特にFPC用接着剤として有用である。
【要約】
【課題】 従来のウレタン樹脂では達成できなかった耐屈曲性、伸度に優れ、かつ張り付きのないウレタン樹脂、樹脂組成物および接着剤組成物、ならびにそのウレタン樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】 以下の(1)~(3)を満足するウレタン樹脂。
(1)ガラス転移温度(Tg)が40℃以上である
(2)重量平均分子量(Mw)が180000~2000000である
(3)分子量分布(Mw/Mn)が9~200である(ここでMnは数平均分子量を表す)
【選択図】 なし