(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】蓄熱器及びそれを備える温水製造装置
(51)【国際特許分類】
F28D 20/02 20060101AFI20221101BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20221101BHJP
【FI】
F28D20/02 D
F24H1/18 G
(21)【出願番号】P 2018187296
(22)【出願日】2018-10-02
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】510087634
【氏名又は名称】株式会社ジェクト
(73)【特許権者】
【識別番号】506280030
【氏名又は名称】テクファ・ジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518350473
【氏名又は名称】松本 正
(73)【特許権者】
【識別番号】518351023
【氏名又は名称】有限会社T・I・S
(73)【特許権者】
【識別番号】501032995
【氏名又は名称】村山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】章 志新
(72)【発明者】
【氏名】香取 英男
(72)【発明者】
【氏名】松本 正
(72)【発明者】
【氏名】清水 岩雄
(72)【発明者】
【氏名】村山 治
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-267463(JP,A)
【文献】実開平05-049881(JP,U)
【文献】特開平05-288373(JP,A)
【文献】特開平06-094268(JP,A)
【文献】特表2010-507066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 20/02
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱器と、内部に水を収容する貯水器と、前記水の輸送を行う配管部と、を備える温水製造装置であって、
前記蓄熱器は、内部に相変化材料を収容する相変化材料用容器と、加熱ヒータ部と、ポンプ部と、を備え、
前記加熱ヒータ部は、前記相変化材料用容器の外周面に設けられ、
前記ポンプ部は、駆動源が設けられたポンプ本体と、前記ポンプ本体に接続され前記相変化材料の吸引を行う吸引口と、前記ポンプ本体に接続され前記相変化材料の吐出を行う吐出口と、を有し、
前記相変化材料は、前記ポンプ部の外周面に当接し
、
前記配管部は、前記相変化材料用容器と前記貯水器の内部に配置され、
前記相変化材料は、前記配管部の外周面に当接し、
前記配管部は、前記ポンプ部の外周を囲うように配置されていることを特徴とする、
温水製造装置。
【請求項2】
前記吸引口は、前記相変化材料用容器の底面寄りに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の
温水製造装置。
【請求項3】
前記相変化材料用容器と前記貯水器とが、隣接して設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の温水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相変化材料を用いた蓄熱器及びそれを備える温水製造装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、温水を製造するために、熱源として、廃熱や余熱、地熱、太陽光熱、火力、電熱等を利用した温水製造装置が用いられてきた。
【0003】
上述した温水製造装置では、温水を製造するために、配管や温水容器を直接熱源により加熱する方式が採用されてきた。このため、熱源の電源を切った場合、放熱により、温水製造装置内部の温度が低下してしまう、という問題があった。
【0004】
近年、このような問題点を解決するために、蓄熱材料としてPCM(Phase Change Material)と呼ばれる相変化材料を用いた、温水製造用の蓄熱装置の開発が進んでいる。
【0005】
相変化材料は、固相と液相との間の相変化の過程で生じる熱の吸収・放出を利用して、熱エネルギーを蓄える材料である。即ち、相変化材料は、周囲の温度により、繰り返し熱を吸収・放出でき、蓄熱することにより融解すると液体に変化し、放熱することにより融点以下になると固体に変化する。
【0006】
例えば、特許文献1には、相変化材料を含んだ蓄熱材料を利用した蓄熱装置が記載されている。
この蓄熱装置は、筐体と、筐体の内部に収容された蓄熱材料と、熱媒体が流通すると共に筐体を貫くように配置された流路配管と、蓄熱材料を筐体の内部および外部の間で移送させる移送装置と、を備えている。また、移送装置は、蓄熱材料の融点近傍の温度においては、蓄熱材料に含まれる黒鉛粒子およびSiC粒子を筐体の外部で捕集する。
このような構成により、日照量の変化のような天候変化が生じても、太陽熱発電システムの電圧変動、周波数変動の如き事象を抑制することが可能なため、安定した熱エネルギーの供給が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、相変化材料は、蓄熱性に優れている一方、熱伝導率が低いという性質を持つ。このため、相変化材料を収容する筺体が大型化すると、相変化材料の中央部が完全に溶解するまでに、長い時間を要することとなる。
【0009】
また、例えば、蓄熱装置の電源を切り、長時間放置した場合、筐体の内部の温度が低下することで、相変化材料全体が固体となってしまう。よって、蓄熱装置を再稼働させてから相変化材料を再溶解させるために、再度長い時間を要することとなる。
【0010】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、相変化材料を効率的に溶解させることで、蓄熱効率を高めた蓄熱器及びそれを備える温水製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、内部に相変化材料を収容する相変化材料用容器と、加熱ヒータ部と、ポンプ部と、を備え、
前記加熱ヒータ部は、前記相変化材料用容器の外周面に設けられ、
前記ポンプ部は、駆動源が設けられたポンプ本体と、前記ポンプ本体に接続され前記相変化材料の吸引を行う吸引口と、前記ポンプ本体に接続され前記相変化材料の吐出を行う吐出口と、を有し、
前記相変化材料は、前記ポンプ部の外周面に当接していることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、相変化材料が、ポンプ部の外周面に当接していることで、ポンプ部が、加熱ヒータ部により加熱され溶解した相変化材料を、吸引し吐出することが可能となる。そして、吐出された相変化材料が、未溶解の相変化材料に当接し、未溶解の相変化材料が溶解する。即ち、溶解した相変化材料と未溶解の相変化材料との熱交換面積が増大することで、相変化材料全体を効率的に溶解させることが可能となる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記吸引口は、前記相変化材料用容器の底面寄りに設けられていることを特徴とする。
【0014】
加熱され溶解した相変化材料は、重力により底部に溜まっていくため、このような構成とすることで、吸引口に吸引される溶解した相変化材料の分量が多くなり、相変化材料全体の溶解効率が向上する。
【0015】
また、本発明は、前記蓄熱器と、内部に水を収容する貯水器と、前記水の輸送を行う配管部と、を備える温水製造装置を提供するものであって、
前記配管部は、前記相変化材料用容器と前記貯水器の内部に配置され、
前記相変化材料は、前記配管部の外周面に当接していることを特徴とする。
【0016】
このような構成とすることで、配管部を通過する水が、溶解した相変化材料により加熱されるため、効率的に温水を製造することが可能となる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記相変化材料用容器と前記貯水器とが、隣接して設けられていることを特徴とする。
【0018】
このような構成とすることで、相変化材料用容器と貯水器とが、互いに熱交換を行い、貯水器内部の高い保温性を維持することが可能となる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記配管部は、前記ポンプ部の外周を囲うように配置されていることを特徴とする。
【0020】
このような構成とすることで、配管部を通過する温水により、ポンプ部内部の未溶解の相変化材料を溶解させ、ポンプ部の駆動源を早期に駆動させることができ、ポンプ部の吸引・吐出動作をスムーズに開始することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、相変化材料を効率的に溶解させることで、蓄熱効率を高めた蓄熱器及びそれを備える温水製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る蓄熱器を示す図であって、(a)概略斜視図、(b)内部構造図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る蓄熱器における内容器を示す図であって、(a)概略斜視図、(b)底面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る蓄熱器におけるポンプ部を示す概略斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る蓄熱器の内部構造図であって、相変化材料が溶解していく過程を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る温水製造装置の概略斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る温水製造装置の内部構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1~
図6を用いて、本発明の実施形態に係る蓄熱器及びそれを備える温水製造装置について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号1は、本実施形態の蓄熱器を示し、符号Aは、本実施形態の温水製造装置を示す。
【0024】
図1に示すように、蓄熱器1は、相変化材料Mが収容された相変化材料用容器CMと、加熱ヒータ部H1と、ポンプ部Pと、を備えている。
なお、相変化材料Mは、その蓄熱温度によって、固体状の未溶解相変化材料MSと液体状の溶解相変化材料MLの、2つの状態を有する。
【0025】
図1(a)に示すように、相変化材料用容器CMは、略直方体状であり有底筒状の容器本体CM1と、容器本体CM1を上方から覆う蓋体CM2と、により構成されている。また、蓋体CM2には、加熱ヒータ部H1に対するON・OFF制御やポンプ部Pに対する動作制御を行う制御部Xが設けられている。
ここで、蓄熱器1の使用者は、溶解相変化材料MLの蓄熱温度を、制御部Xにより予め自由に設定することができ、加熱ヒータ部H1は、ONの状態となると、相変化材料Mを溶解し、この設定された温度まで溶解相変化材料MLを加熱する。そして、溶解相変化材料MLが設定された温度に達すると、加熱ヒータ部H1は、OFFの状態となる。なお、相変化材料Mの内部には、設定された温度を検出するための温度検出器(図示せず)が設けられており、制御部Xと電気的に接続されている。
【0026】
図1(b)に示すように、容器本体CM1は、二重構造となっており、外側に形成された外容器CM11と、内側に形成され、未溶解相変化材料MSが収容される内容器CM12とが、その間隙に空間RMを形成するようにして、それぞれの開口端を一体とすることで、構成されている。そして、空間RMには、水Wを収納することもできる。
【0027】
加熱ヒータ部H1は、コード状に形成されており、内容器CM12の外周面に設けられている。そして、加熱ヒータ部H1は、その一端が、容器本体CM1及び蓋体CM2に設けられた挿通孔pに挿通され、制御部Xに電気的に接続されている。
なお、加熱ヒータ部Hは、必ずしもコード状である必要はなく、板状等のものを用いても良い。
【0028】
ポンプ部Pは、内容器CM12の底面に載置されており、未溶解相変化材料MSの内部に埋め込まれている。即ち、未溶解相変化材料MSは、ポンプ部Pの外周面に当接している構成となっている。
【0029】
なお、
図1(b)において、未溶解相変化材料MS、相変化材料用容器CM及び相変化材料用容器CMの外周面に当接する加熱ヒータ部H1を断面で示している。
【0030】
図2(a)に示すように、加熱ヒータ部H1は、内容器CM12の側面及び底面に設けられている。
詳述すれば、加熱ヒータ部H1は、内容器CM12の側面において、螺旋状に巻き回されており、底面において、蛇状に這わせて接着させることで設けられている。
なお、加熱ヒータ部H1の底面に対する接着手段は、アルミテープ等の接着部材や公知の接着剤を用いることができる。また、側面に巻き回された加熱ヒータ部H1も、アルミテープ等の接着部材や公知の接着剤により、接着させておくことが好ましい。さらに、加熱ヒータ部Hは、内容器CM12の外周面に複数本設けられていても良い。
【0031】
図3に示すように、ポンプ部Pは、全体が耐熱性を有する素材で形成されており、駆動源(図示せず)が設けられたポンプ本体P1と、ポンプ本体P1に接続され溶解相変化材料MLの吸引を行う吸引口P2と、ポンプ本体P1から相変化材料の吐出を行う吐出口P3と、ポンプ本体P1が載置される基台P4と、を有している。
なお、駆動源としては、DC24VやDC12Vのモータ等が挙げられる。
【0032】
詳述すれば、ポンプ部Pは、吸引口P2に連通する吸引路Riが形成された、略円筒状の吸引管Piを有している。
なお、
図3において、吸引路Riの隠れ線は、点線で示している。
【0033】
また、ポンプ部Pは、基台P4の四隅に設けられた取付孔zにボルト等固定具(図示せず)が挿通され、この固定具を介して内容器CM12の底面に固定されている。さらに、ポンプ部Pは、ポンプ本体P1から延びる接続線(図示せず)により、制御部Xに電気的に接続されている。
【0034】
以下、
図4を用いて、未溶解相変化材料MSが溶解していく過程を説明する。
【0035】
まず、蓄熱器1の使用者は、制御部Xを操作することにより、加熱ヒータ部H1の温度を上昇させる。
【0036】
これにより、
図4(a)に示すように、内容器CM12の内周面に当接している未溶解相変化材料MSが、内容器CM12を介して加熱ヒータ部H1で加熱され溶解し、溶解相変化材料MLとなる。
【0037】
そして、内容器CM12の側面近傍に存在する溶解相変化材料MLが重力により底部に溜まっていくことで、溶解相変化材料MLの嵩が、吸引口P2の位置に達する。
【0038】
そして、蓄熱器1の使用者は、制御部Xを操作することにより、ポンプ本体P1を作動させ、ポンプ部Pによる吸引・吐出動作を開始させることで、ポンプ部Pによる、溶解相変化材料MLの吸引が行われる(矢印a)。
【0039】
次に、
図4(b)に示すように、吸引された溶解相変化材料MLが、吐出口P3より吐出される(矢印b)。これにより、吐出口P3に当接する未溶解相変化材料MSが、溶解相変化材料MLと熱交換を行うことで溶解し、溶解相変化材料MLとなる。
【0040】
このように、加熱ヒータ部H1を用いた外部からの溶解及びポンプ部Pを用いた内部からの溶解により、
図4(c)に示すように、効率的に未溶解相変化材料MS全体を溶解相変化材料MLとすることができる。
【0041】
以下、
図5及び
図6を用いて、蓄熱器1を備えた温水製造装置Aについて説明する。
なお、
図6において、相変化材料M、相変化材料用容器CM、温水用容器CW、筺体E及び相変化材料用容器CMの外周面と温水用容器CWの外周面とに当接している加熱ヒータ部H1及びH2を断面で示している。また、
図6において、相変化材料Mは、溶解相変化材料MLの状態として示している。
【0042】
図5及び
図6に示すように、温水製造装置Aは、蓄熱器1と、内部に水Wを収容する貯水器2と、水Wの吸引、輸送及び吐出を行う配管部3と、これらを収容する筺体Eと、を備えている。
なお、説明の便宜上、
図5において、筺体Eは省略している。
【0043】
貯水器2は、内部に水Wが収容された温水用容器CWと、加熱ヒータ部H2と、を有している。
【0044】
温水用容器CWは、相変化材料用容器CMと同様に、略直方体状であり有底筒状の容器本体CW1と、容器本体CW1を上方から覆う蓋体CW2と、により構成されている。
また、容器本体CW1は、容器本体CM1と同様に、二重構造となっており、外側に形成された外容器CW11と、内側に形成され、水Wが収容される内容器CW12とが、その間隙に空間RWを形成するようにして、それぞれの開口端を一体とすることで、構成されている。
【0045】
貯水器2が有する加熱ヒータ部H2は、蓄熱器1が有する加熱ヒータ部H2と同様に、コード状に形成されており、内容器CW12の側面において、螺旋状に巻き回されており、底面において、蛇状に這わせて接着させることで設けられている。
【0046】
相変化材料用容器CM及び貯水器2は、隣接して設けられており、配管部3は、それぞれの蓋体CM2及び蓋体CW2を貫通して、内容器CM12及び内容器CW12の内部に配置されている。
【0047】
詳述すれば、配管部3は、内容器CM12の内部において略蛇状に湾曲して配置される第一配管31と、内容器CM12の内部において側面及び底面に沿って、かつポンプ部Pの周囲を囲うように湾曲して配置される第二配管32と、内容器CW12の内部にのみ配置される第三配管33と、により構成されている。
なお、配管の本数は3つに限られず、何本であっても良い。
【0048】
内容器CM12の内部に配置された第一配管31及び第二配管32の外周面には、溶解相変化材料MLが当接している構成となっている。
【0049】
各配管31、32及び33には、内容器CW12に収容された水Wや外部から供給された水Wを吸引するための配管用ポンプ31P、32P及び33Pが設けられている。
なお、配管用ポンプ31P、32P及び33Pは、ポンプ部Pと同様に駆動源が設けられており、それぞれから延びる接続線(図示せず)により、制御部Xに電気的に接続されている。
【0050】
図6に示すように、筺体Eは、略直方体状であり有底筒状の筺体本体E1と、筺体本体E1を上方から覆う蓋体E2と、により構成されている。
また、筺体本体E1の内壁には、加熱ヒータ部H1及びH2の温度制御やポンプ部Pの動作制御を行う制御部Xが設けられている。
なお、制御部Xの位置はこれに限定されず、筺体Eの外部に設けても良い。
【0051】
蓄熱器1が有する加熱ヒータ部H1は、その一端が、容器本体CM1及び蓋体CM2に設けられた挿通孔pに挿通され、制御部Xに電気的に接続されている。
貯水器2が有する加熱ヒータ部H2は、その一端が、容器本体CW1及び蓋体CW2に設けられた挿通孔pに挿通され、制御部Xに電気的に接続されている。
【0052】
ここで、温水製造装置Aの使用者は、温水の温度を制御部Xにより予め自由に設定することができ、加熱ヒータ部H1及びH2は、ONの状態となると、この設定された温度まで水Wを加熱する。そして、水Wが設定された温度に達すると、加熱ヒータ部H1及びH2は、OFFの状態となる。なお、水Wの内部には、設定された温度を検出するための温度検出器(図示せず)が設けられており、制御部Xと電気的に接続されている。
【0053】
第一配管31は、その一端31aが、温水用容器CW及び筺体本体E1を貫通することで外部に露出し、その他端31bが、内容器CW12に収容された水W内に配置されている。また、第一配管31の外部に露出した部分には、バルブVが設けられている。さらに、第一配管31の内容器CW12の内部に配置された部分には、水Wの吸引を行う開口端31cが設けられている。
一端31aは、例えば、水道水を供給する水道管等に接続される。
【0054】
第二配管32は、その両端32a及び32bが、内容器CW12に収容された水W内に配置されている。
【0055】
第三配管33は、その一端33aが、筺体本体E1を貫通することで外部に露出し、その他端33bが、内容器CW12に収容された水W内に配置されている。
【0056】
温水製造装置Aの使用者は、温水を製造する場合、制御部Xを用いて配管用ポンプ31Pを動作させる。これにより、第一配管31が、開口端31cから内容器CW12に収容された水Wを吸引する(矢印c)。
そして、吸引された水Wは、内容器CM12の内部に配置された第一配管31を通過する際に、溶解相変化材料MLにより加熱され温水となり、他端31bから内容器CW12の内部に吐出され、供給される(矢印d)。
【0057】
また、使用者は、例えば、温水製造装置Aの電源を長時間OFFにしており、相変化材料M全体が未溶解相変化材料MSの状態となっている場合、ポンプ部Pを迅速に動作させるために、制御部Xを用いて配管用ポンプ32Pを動作させる。これにより、第二配管32が、一端32aから内容器CW12に収容された水Wの吸引を行い(矢印e)、第二配管32の、ポンプ部Pの外周を囲うように配置された部分を通過し、他端32bから水Wの吐出を行う(矢印f)。
この際、内容器CW12に収容された水Wが、第一配管31により温水となっていれば、ポンプ部Pの外周を囲うように配置された部分を通過する際に、ポンプ部P内部の未溶解相変化材料MSを溶解し、ポンプ部Pの駆動源を早期に駆動させることができる。
【0058】
また、使用者は、貯水器2の内部に供給された水Wを外部に供給する場合、制御部Xを用いて配管用ポンプ33Pを動作させる。これにより、第三配管33が、加熱され温水となった水Wを、他端33bから吸引し(矢印g)、一端33aから外部に吐出し、供給する(矢印h)。
【0059】
また、使用者は、貯水器2の内部に水Wを供給する場合、バルブVを用いて配管31の流路を開き、制御部Xを用いて配管用ポンプ31Pを動作させる。これにより、第一配管31が、一端31aから外部の水Wを吸引する(矢印i)。
そして、吸引された水Wは、内容器CM12の内部に配置された第一配管31を通過する際に、溶解相変化材料MLにより加熱され温水となり、他端31bから内容器CW12の内部に吐出され、供給される(矢印d)。
【0060】
なお、このように、配管部3による水Wの吸引・吐出動作が行われている間にも、使用者は、当然に、制御部Xにより、ポンプ部P及び蓄熱器1が有する加熱ヒータ部H1を動作させておくことができる。これにより、相変化材料Mが未溶解相変化材料MSの状態である場合には、溶解効率が向上し、溶解相変化材料MLの状態である場合には、蓄熱状態が維持されることとなる。
【0061】
また、相変化材料Mが未溶解相変化材料MSの状態である場合、ポンプ部P及び蓄熱器1が有する加熱ヒータ部H1を動作させなくても、所定の時間蓄熱状態は維持されるため、配管部3を動作させるのみで、所定の時間、温水を外部に供給することができる。即ち、温水製造装置Aによれば、温水を外部に供給する際のエネルギー効率が向上する。
【0062】
本実施形態によれば、吸引口P2が、相変化材料用容器CMの底面寄りに設けられていることで、吸引口P2に吸引される、溶解相変化材料MLの分量が多くなり、未溶解相変化材料MS全体の溶解効率が向上する。
【0063】
また、ポンプ部Pが、吐出口P3から溶解相変化材料MLを吐出し攪拌することにより、熱交換を行うことが可能となり、未溶解相変化材料MS全体の溶解効率が向上する。
【0064】
また、溶解相変化材料MLが、配管部3の外周面に当接していることで、配管部3を通過する水Wが、溶解相変化材料MLにより加熱されるため、効率的に温水を製造することが可能となる。
【0065】
また、相変化材料用容器CMと貯水器2とが、隣接して設けられていることで、相変化材料用容器CMと貯水器2とが、互いに熱交換を行い、貯水器2内部の高い保温性を維持することが可能となる。
【0066】
また、第二配管32が、ポンプ部Pの外周を囲うように配置されていることで、第二配管32を通過する温水により、ポンプ部P内部の未溶解相変化材料MSを溶解させ、ポンプ部Pの駆動源を早期に駆動させることができ、ポンプ部Pの吸引・吐出動作をスムーズに開始することが可能となる。
【0067】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
A 温水製造装置
1 蓄熱器
CM 相変化材料用容器
CM1 容器本体
CM11 外容器
CM12 内容器
CM2 蓋体
RM 空間
P ポンプ部
P1 ポンプ本体
P2 吸引口
P3 吐出口
P4 基台
z 取付孔
2 貯水器
CW 温水用容器
CW1 容器本体
CW11 外容器
CW12 内容器
CW2 蓋体
RW 空間
H1、H2 加熱ヒータ部
p 挿通孔
3 配管部
31 第一配管
32 第二配管
33 第三配管
31P、32P、33P 配管用ポンプ
V バルブ
E 筺体
E1 筺体本体
E2 蓋体
X 制御部
W 水
M 相変化材料
MS 未溶解相変化材料
ML 溶解相変化材料