(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】箱の開封装置
(51)【国際特許分類】
B65B 69/00 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B65B69/00 D
(21)【出願番号】P 2018079214
(22)【出願日】2018-04-17
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石川 修平
(72)【発明者】
【氏名】中島 正忠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝昌
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-191133(JP,A)
【文献】特開2000-072121(JP,A)
【文献】特開2015-145041(JP,A)
【文献】特開2001-018932(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106219000(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱に貼られたテープを切断して前記箱を開封する箱の開封装置であって、
前記箱の天面に押し当て可能な第1方向に変位可能に設けられた第1の転動体と、
前記第1の転動体を前記第1方向に付勢する第1の付勢部と、
前記箱の側面に押し当て可能な第2方向に変位可能に設けられた第2の転動体と、
前記第2の転動体を前記第2方向に付勢する第2の付勢部と、
前記
第1の転動体
及び前記第2の転動体と共に前記
第1方向及び前記第2方向に変位可能な刃部と、
前記
第1の転動体
、前記第2の転動体及び前記刃部を前記箱に対して相対移動させる移動機構と、を備え、
前記第1の転動体が前記箱の天面に押し当てられながら転動し、且つ前記第2の転動体が前記箱の側面に押し当てられながら転動することにより、前記刃部は前記箱の前記天面と前記側面との間の側縁に貼られた前記テープを切断することを特徴とする箱の開封装置。
【請求項2】
前記箱の天面に押し当て可能な前記第1方向に変位可能に設けられた第3の転動体と、
前記第3の転動体を前記第1方向に付勢する第3の付勢部と、
前記第3の転動体と共に前記第1方向に変位可能な第2の刃部と、を更に備え、
前記
第3の転動体を前記テープが貼られた前記箱の天面に押し当てながら転動させることにより、前記
第2の刃部が、前記箱の一対のフラップに跨って貼られた前記テープを切断することを特徴とする請求項1に記載の箱の開封装置。
【請求項3】
前記付勢部は、前記転動体を空気圧で与圧することを特徴とする請求項1
又は2に記載の箱の開封装置。
【請求項4】
前記刃部を撮像する撮像部と、
前記撮像部が前記刃部を撮像した前記刃部の撮像画像と前記刃部の基準画像とを比較して、前記刃部の欠損の有無を判定する判定部と、を更に備えたことを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の箱の開封装置。
【請求項5】
前記撮像部は、前記刃部が前記箱の前記テープを切断した後に前記刃部を撮像し、
前記判定部は、前記テープの切断後に判定を行い、
前記基準画像は、前記刃部の初期画像、又は前記箱の前記テープの切断を開始する前に前記撮像部が前記刃部を撮像した当該刃部の撮像画像であることを特徴とする請求項
4に記載の箱の開封装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱に貼られたテープを切断して箱を開封する箱の開封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1~3には、箱のフラップを封止するテープを切断する箱の開封装置が開示されている。
特許文献1に記載された箱の開封装置(開梱包装置)は、段ボール箱のフラップの衝合部に貼られた粘着テープを切断して箱を開梱するカッタを備える。
【0003】
また、特許文献2、3に記載された箱の開封装置では、水平に支持された案内板と、案内板に立設されたカッタとを備え、案内板を箱のフラップの内側に挿入してフラップを少し持ち上げた状態にし、コンベヤの搬送に伴ってカッタでテープを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-124015号公報
【文献】特開昭59-152133号公報
【文献】特開平11-91746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1~3に記載の開封装置では、箱が変形している場合、カッタがテープを切断する過程で、箱の変形箇所でカッタのテープに対する差込み深さ浅くなったり、カッタがテープから離れたりすると、その部分でカッタがテープを切断できず、箱を開封できなくなる。このため、箱が多少変形していても、テープの切断ミスの発生頻度を低く抑え、箱の開封ミスを低減できる箱の開封装置が要望されている。
【0006】
本発明の目的は、テープの切断ミスに起因する箱の開封ミスを低減できる箱の開封装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。上記課題を解決する箱の開封装置は、箱に貼られたテープを切断して前記箱を開封する箱の開封装置であって、前記箱の面に押し当てる押当て方向に変位可能に設けられた転動体と、前記転動体を前記押当て方向に付勢する付勢部と、前記転動体と共に前記押当て方向に変位可能な刃部と、前記転動体及び前記刃部を前記箱に対して相対移動させる移動機構と、を備え、前記転動体を前記箱の面に押し当てながら転動させることで、前記テープが貼られた前記箱の面に前記刃部を追従させて前記テープを切断する。
【0008】
この構成によれば、転動体を箱の面に押し当てながら面上を転動させることにより、転動体と共に刃部も箱の面に追従する。刃部も箱の面に追従することで、刃部が適切な深さでテープに当たる。よって、箱が多少変形していても、箱に貼られたテープを適切に切断し、箱を開封できる。したがって、テープの切断ミスに起因する箱の開封ミスを低減できる。
【0009】
上記箱の開封装置では、前記転動体を前記テープが貼られた前記箱の天面に押し当てながら転動させることにより、前記刃部が、前記箱の一対のフラップに跨って貼られた前記テープを切断することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、箱が多少変形していても、刃部によって箱の天面において2つのフラップに跨って貼られたテープを切断できる。
上記箱の開封装置では、前記転動体として、前記箱の天面に押し当て可能な第1転動体と、前記箱の側面に押し当て可能な第2転動体とを備え、前記付勢部は、前記第1転動体を前記天面に押し当て可能な第1方向に付勢する第1付勢部と、前記第2転動体を前記側面に押し当て可能な第2方向に付勢する第2付勢部とを含み、前記第1転動体が前記箱の天面に押し当てられながら転動し、且つ前記第2転動体が前記箱の側面に押し当てられながら転動することにより、前記刃部は前記箱の前記天面と前記側面との間の側縁に貼られた前記テープを切断することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第1転動体が箱の天面に押し当てられながら転動しつつ、第2転動体が箱の側面に押し当てられながら転動することにより、刃部は天面と側面とに追従する。これにより刃部のテープに対する差込み深さが確保され、かつ刃部をテープに対する幅方向の適切な切断位置に位置決めできる。よって、箱が多少変形していても、箱の天面と側面との間の側縁に貼られたテープを確実に切断できる。この場合、箱の天面と側面の両方が変形していても、側縁に貼られたテープを確実に切断できる。
【0012】
上記箱の開封装置では、前記付勢部は、前記転動体を空気圧で与圧することが好ましい。
この構成によれば、転動体を空気圧で付勢する構成であるため、転動体をばねで付勢する構成に比べ、転動体の押当て方向の位置の違いによる押当て方向の付勢力の変動が小さく済む。この結果、刃部の押し当て力が安定する。よって、箱が多少変形していても、刃部を安定な押し当て力でテープに追従させ、テープをより確実に切断できる。また、箱の面の変形によって、転動体を押し当てる付勢が弱過ぎて刃部のテープに対する挿入深さが不足したり、転動体を押し当てる付勢が強過ぎて刃転動体が箱を強く押し過ぎて箱の面を徒に変形させたりすることがない。
【0013】
上記箱の開封装置では、前記刃部を撮像する撮像部と、前記撮像部が前記刃部を撮像した前記刃部の撮像画像と前記刃部の基準画像とを比較して、前記刃部の欠損の有無を判定する判定部と、を更に備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、刃部を撮像して取得した刃部の撮像画像と刃部の基準画像とを比較することで、両者の差から、刃部の欠損を検出できる。
上記箱の開封装置では、前記撮像部は、前記刃部が前記箱の前記テープを切断した後に前記刃部を撮像し、前記判定部は、前記テープの切断後に判定を行い、前記基準画像は、前記刃部の初期画像、又は前記箱の前記テープの切断を開始する前に前記撮像部が前記刃部を撮像した当該刃部の撮像画像であることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、箱のテープが切断された後に、撮像部により撮像された刃部の撮像画像を、刃部の初期画像、または箱のテープの切断を開始する前に撮像部が刃部を撮像した刃部の撮像画像と比較することで、刃部の欠損の有無を判定する。よって、仮に刃部が欠損しても、その刃部の欠損の起きたテープ切断後に速やかに刃部の欠損を検出できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、テープの切断ミスに起因する箱の開封ミスを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態における箱の開封システムを示す模式側面図。
【
図4】第1カッタユニットが箱のテープを切断する切断動作を示す模式正面図。
【
図6】第1テープを切断するカッタユニットを示す模式側面図。
【
図7】第2テープを切断するカッタユニットを示す模式正面図。
【
図8】ローラを付勢するエアシリンダを制御する空圧回路図。
【
図9】第1テープを切断するカッタユニットを示す模式側面図。
【
図10】第2テープを切断するカッタユニットを示す模式正面図。
【
図11】箱の開封システムの電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、箱の開封装置に係る一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、
図1、
図2において、箱の開封装置の一例としての箱の開封システム10が、箱Cの天面の中央ラインに沿って貼られた第1テープ(中央テープ)を切断する際にカッタが移動する方向をX方向、箱Cの側縁に貼られた第2テープ(側縁テープ)を切断する際にカッタが移動する方向をY方向とする。また、X方向及びY方向と交差し鉛直方向と平行な方向をZ方向とする。箱の開封システム10において搬送方向であるX方向を搬送方向X、搬送方向Xと交差するY方向を幅方向Yともいう。また、Z方向を高さ方向Zともいう。
【0019】
図1に示すように、箱の開封システム10は、箱Cに貼られたテープを切断して、箱Cを開封する機能を有する。箱Cは、例えば段ボール箱であり、箱Cの閉じられたフラップの周縁部の少なくとも一部に粘着テープが貼られている。本例では、箱Cは、天面の中央ラインに沿って貼られた第1テープと、第1テープと交差する状態で天面の2つの側縁に天面と側面とに跨って貼られた第2テープとにより、所謂「H貼り」により閉じられている。
【0020】
図1に示すように、開封システム10は、箱CのX方向に貼られたテープを切断する第1開封装置30と、箱のY方向に貼られたテープを切断する第2開封装置60とを備える。第1開封装置30は、第1コンベヤ11を有し、第2開封装置60は第2コンベヤ12を有する。第1コンベヤ11と第2コンベヤ12は直列に接続されており、箱Cは、第1コンベヤ11、第2コンベヤ12の順に上流側から下流側へ向かって搬送される。開封後の箱Cは、第2コンベヤ12から、開封システム10よりも搬送方向Xの下流側に配置された不図示の開梱装置へ送られる。なお、開梱装置とは、テープが切断された後の箱Cに対して、複数のフラップを外側に押し広げて箱Cを内容物の取り出しが可能な状態としたり、さらに箱Cから内容物を取り出す作業を行ったりする。
【0021】
第1開封装置30は、複数の支柱21と、複数の支柱21により支持された上部フレーム22とを有する枠体23を備える。第1コンベヤ11は、枠体23の内側を通る経路で箱CをX方向に搬送する。また、第2開封装置60は、複数の支柱24と、複数の支柱24により支持された上部フレーム25とを有する枠体26を備える。第2コンベヤ12は、枠体26の内側を通る経路で箱CをX方向に搬送する。
図1、
図2に示すように、コンベヤ11,12上には、最大サイズの箱C1から最小サイズの箱C2までの範囲内の任意のサイズの箱Cが搬送される。
【0022】
図1、
図3に示すように、第1開封装置30は、第1コンベヤ11上の箱Cを第1位置(第1開封位置)に位置決めする第1位置決め装置31を備える。第1位置決め装置31は、第1コンベヤ11上を搬送される箱Cの移動を規制するストッパ32と、ストッパ32によってX方向に位置決めされた箱Cを幅方向Yに位置決めする一対のガイドユニット33とを備える。ストッパ32は、箱Cの移動を規制する規制位置(
図1を参照)と、箱Cの第1位置からのX方向への搬送を許容する退避位置とに移動する。なお、
図2では、ストッパ32を省略している。
【0023】
図2に示すように、一対のガイドユニット33は、第1コンベヤ11の幅方向Yの両側に設けられている。一対のガイドユニット33は、その動力源となる電動シリンダ34の動力で幅方向Yに進退可能な一対のガイド部材35を備える。一対のガイド部材35は、
図2に示す退避位置と、退避位置から幅方向Yの内側へ進出して箱Cを幅方向Yに挟んで位置決めするガイド位置とに移動する。箱Cの幅寸法が既知であるので、電動シリンダ34は、一対のガイド部材35が箱Cを幅方向Yに挟むガイド位置まで箱Cの幅寸法に応じた駆動量で駆動される。なお、本例では、箱Cを第1コンベヤ11の幅中心に箱Cの幅中心を一致させるセンタ基準で箱Cを位置決めする例を示すが、これに限らず、箱Cを第1コンベヤ11の幅方向Yの片側に寄せた片寄せ基準で位置決めする構成でもよい。
【0024】
図2に示すように、第1コンベヤ11の搬送方向Xにおいてストッパ32よりも上流側の位置には、第1位置に到達した箱Cを検知する第1センサ36が配設されている。第1センサ36は、発光部と受光部とを有する光学式センサよりなる。第1センサ36が箱Cを検知すると、電動シリンダ34が駆動され、一対のガイド部材35が箱Cを幅方向Yの両側から挟んで箱Cを幅方向Yに位置決めする。なお、ストッパ32に替え、ガイド部材35の搬送方向Xの下流側端部を幅方向Yの内側へL字状に屈曲させてなるガイド部材35と一体のストッパ部を用いてもよい。この場合、一対のガイド部材35を箱Cがストッパ部に当たる待機位置で待機させ、ストッパ部に当たる位置まで到達した箱Cを第1センサ36が検知すると、ガイドユニット33を待機位置からガイド位置に駆動させる構成とする。
【0025】
また、
図1~
図3に示すように、第1開封装置30は、第1コンベヤ11上の第1位置に位置決めされた箱Cの天面(上面)に貼られた第1テープ17(
図5を参照)を切断する第1開封ユニット40を備える。第1開封ユニット40は、カッタユニット50を下端部に支持する状態で移動させる移動機構の一例としての移動ユニット40Aを備える。
【0026】
図1に示すように、移動ユニット40Aは、枠体23の上部フレーム22に組み付けられ、カッタユニット50をX方向およびZ方向に移動させる。移動ユニット40Aは、カッタユニット50をX方向に移動させるX軸スライド機構41と、X軸スライド機構41に対してZ方向に相対移動してカッタユニット50をZ方向に移動させるZ軸スライド機構42とを備える。
【0027】
図1に示すように、X軸スライド機構41は、動力源となるサーボモータ等のモータ43と、X方向に延びるレール部44Aを有する例えばボールネジ式のリニア駆動機構44とを有する。リニア駆動機構44は、その長手方向がX方向と一致する姿勢で配置されている。Z軸スライド機構42は、リニア駆動機構44の不図示のスライダに固定されている。Z軸スライド機構42は、動力源となるサーボモータ等のモータ45と、Z方向に延びるレール部46A(
図3を参照)を有する例えばボールネジ式のリニア駆動機構46と、レール部46A沿ってZ方向に移動可能なスライダ47とを有している。スライダ47は、Z方向に長い所定長さを有する長尺の板材よりなる。
【0028】
図1、
図3に示すように、スライダ47の下端部には、付勢部の一例としてのエアシリンダ48を介してカッタユニット50が支持されている。エアシリンダ48はその伸縮方向がZ方向に一致する向きで配置され、そのピストンロッドの先端部にカッタユニット50が支持されている。カッタユニット50は、刃部の一例としてのカッタ51を有する。
【0029】
図3に示すように、カッタユニット50は、幅方向Yにおいて第1コンベヤ11の幅中心位置に配置されている。このため、カッタユニット50のカッタ51は、幅方向Yにおいては、第1コンベヤ11上の第1位置に位置決めされた箱Cの幅中心に一致する。つまり、
図2における平面視において、カッタユニット50のカッタ51は、第1コンベヤ11上の第1位置に位置決めされた箱Cの幅中心線上を移動可能となっている。
【0030】
モータ43が正逆転駆動されると、X軸スライド機構41を構成するリニア駆動機構44が駆動され、Z軸スライド機構42がX方向に移動する。また、モータ45が正逆転駆動されると、Z軸スライド機構42を構成するリニア駆動機構46のスライダ47がレール部46Aに沿ってZ方向に昇降する。なお、
図1に示すように、移動ユニット40Aには、X方向に移動するZ軸スライド機構42へ電力を供給する電力線を案内するフレキシブルガイド部材F1と、エアシリンダ48に空気圧を供給する空気流路及びカッタユニット50に電力を供給する電力線54B(
図6を参照)をガイドするフレキシブルガイド部材F2とが設けられている。
【0031】
ここで、
図5を参照して開封システム10が開封する箱Cについて説明する。
図5は、コンベヤ11,12上の所定位置で位置決めされた開封前の箱Cを示す。
図5に示す例では、箱Cは、搬送方向Xにストッパ32により移動が規制され、かつ一対のガイド部材35により幅方向Yに位置決めされている。箱Cは、箱本体15と、箱本体15の上側の開口を開閉可能な状態で折り曲げられた4つのフラップ16(
図5では外側の2つのみ示す)を有する。4つのフラップ16が開口を閉じた状態で外側の一対のフラップ16の向き合う境界に沿って粘着テープよりなる第1テープ17(中央テープ)が貼られている。第1テープ17は、箱Cの天面19A(上面)における幅中心を通りX方向に延びる中央ラインに沿って貼られている。また、箱Cには、第1テープ17が貼られた2つのフラップ16のX方向の両側縁に、フラップ16と箱本体15とに跨って第2テープ18(側縁テープ)が貼られている。第2テープ18は、箱Cの上側で閉じた状態で向き合う一対のフラップ16と、箱本体15の搬送方向Xの前後の側面19Bとの間に跨って貼られている。
【0032】
箱Cは開封すべき天面19Aを上向きにしてコンベヤ11,12で搬送される。
図5に示すように、箱Cは、天面19Aの中央に貼られた第1テープ17の長手方向がX方向となる向きにある。箱Cの天面19Aに貼られた第1テープ17は、
図5に一点鎖線で示す切断仮想線L1に沿って切断される。また、箱Cの側縁に貼られた第2テープ18は、
図5に一点鎖線で示す切断仮想線L2に沿って切断される。なお、箱Cの底部は、天面側と同様に、4つのフラップで閉じた状態でテープ(いずれも図示略)が貼られることで封止されている。
【0033】
なお、箱Cの品番等を含む箱特定情報に基づき、箱CのX方向の寸法、Y方向の寸法およびZ方向の寸法を含む箱サイズが特定される。例えば開封システム10の上流側には、パレットに段積みされた箱群から1つずつ箱Cを取り出してコンベヤ上に載置する段ばらし作業を行うデパレタイザが配置されている。デパレタイザは箱Cに記された2次元コードを読取部で読み取って取得した箱特定情報を、開封システム10が有する
図1に示す制御部110(コントローラ)に送信する。このため、制御部110は、開封システム10に搬入される箱Cに関する箱特定情報を事前に取得している。制御部110は、箱特定情報を基に箱Cのサイズを取得し、サイズに応じて電動シリンダ34、モータ43,45等を駆動制御して一対のガイド部材35及びカッタユニット50を位置制御する。
図1に示すように、カッタユニット50は、同図に二点鎖線で示す切断開始位置P1から切断終了位置P2まで同図に一点鎖線の矢印で示すX方向に移動し、カッタ51が
図5に示す第1テープ17の切断仮想線L1に沿って移動することで、第1テープ17を切断する。
【0034】
次に、第2開封装置60について説明する。
図1に示すように、第2開封装置60は、第2コンベヤ12上の箱Cを第2位置に位置決めする第2位置決め装置61を備える。第2位置決め装置61は、第1位置決め装置31と同様の構成である。第2位置決め装置61は、第2コンベヤ12上を搬送される箱Cの移動を規制するストッパ62と、ストッパ62によってX方向に位置決めされた箱Cを幅方向Yに位置決めする一対のガイドユニット63とを備える。
【0035】
図2に示すように、一対のガイドユニット63は、その動力源となる電動シリンダ64と、電動シリンダ64の動力で幅方向Yに進退可能な一対のガイド部材65とを備える。箱Cの幅寸法が既知であるので、
図5に示すように、箱Cは、ストッパ62および一対のガイドユニット63により、X方向及びY方向において第2位置に位置決めされる。なお、第2位置決め装置61についても、箱Cを第2コンベヤ12の幅方向Yの片側に寄せた片寄せ基準で位置決めする構成でもよい。
【0036】
図2に示すように、ストッパ62よりも搬送方向Xの上流側の位置には、第2位置に到達した箱Cを検知する第2センサ66が配設されている。第2センサ66は、第1センサ36と同じ構成の光学式センサよりなる。第2センサ66が箱Cを検知すると、電動シリンダ64が駆動され、一対のガイド部材65が退避位置から箱Cの幅寸法に応じたガイド位置まで伸長し、箱Cを両側から挟むことで箱Cは幅方向Yに第2位置に位置決めされる。なお、箱Cを搬送方向に第2位置に位置決めするストッパ62を、ガイド部材65の下流側端部を屈曲させたL字状のストッパ部に替えてもよい。
【0037】
また、
図1、
図2に示すように、第2開封装置60は、第2コンベヤ12上の第2位置に位置決めされた箱Cの2つの側縁に貼られた第2テープ18(
図5を参照)を切断する2つの第2開封ユニット70を備える。第2開封ユニット70は、カッタユニット81,82をそれぞれ下端部に支持する2つの移動ユニット70A,70Bを備える。
【0038】
図1、
図2に示すように、2つの移動ユニット70A,70Bは、枠体26の上部フレーム25のX方向に異なる位置にそれぞれ組み付けられている。第1移動ユニット70Aは、その下端部に第1カッタユニット81をX方向、Y方向およびZ方向に移動可能に支持する。第2移動ユニット70Bは、その下端部に支持する第2カッタユニット82をX方向、Y方向及びZ方向に移動させる。なお、移動ユニット70A,70Bにより、移動機構の一例が構成される。
【0039】
図1、
図2に示すように、第1移動ユニット70Aは、第1カッタユニット81を、Y方向に移動させるY軸スライド機構71と、X方向に移動させるX軸スライド機構72と、Z方向に移動させるZ軸スライド機構73とを備える。Y軸スライド機構71は、上部フレーム25に組み付けられている。X軸スライド機構72は、Y軸スライド機構71に対して第1カッタユニット81をX方向に移動させる方向に相対移動する。Z軸スライド機構73は、X軸スライド機構72に対して第1カッタユニット81をZ方向に移動させる方向に相対移動する。また、第2移動ユニット70Bは、第1移動ユニット70Aと搬送方向Xに第2位置を挟んで向き合って配置されるものの、基本的構成は第1移動ユニット70Aと同様である。すなわち、第2移動ユニット70Bは、第2カッタユニット82をY方向移動させるY軸スライド機構71と、第2カッタユニット82をX方向移動させるX軸スライド機構72と、第2カッタユニット82をZ方向移動させるZ軸スライド機構73とを備える。
【0040】
図1、
図2に示すように、第2位置では、箱Cは、搬送方向の下流側の端面を基準にして位置決めされる。このため、搬送方向において、第2カッタユニット82の切断位置となる箱Cの下流側の端面の位置は箱Cのサイズによらず常に一定であり、第1カッタユニット81の切断位置となる箱Cの上流側の端面の位置は箱Cのサイズに応じて変化する。このため、第1移動ユニット70Aが第1カッタユニット81をX方向に移動させる移動ストロークが、第2移動ユニット70Bが第2カッタユニット82をX方向に移動させる移動ストロークよりも長くなっている。また、第1移動ユニット70Aと第2移動ユニット70Bは、第1カッタユニット81と第2カッタユニット82とがX方向において対向する位置関係にある。
【0041】
図1,
図2に示すように、Y軸スライド機構71は、動力源となるサーボモータ等のモータ74と、Y方向に延びるレール部75Aを有する例えばボールネジ式のリニア駆動機構75とを有する。リニア駆動機構75は、その長手方向がY方向と一致させた姿勢で配置されている。X軸スライド機構72は、動力源となるサーボモータ等のモータ76と、X方向に延びるレール部77Aを有する例えばボールネジ式のリニア駆動機構77とを有する。リニア駆動機構77は、その長手方向がX方向と一致させた姿勢で配置されている。リニア駆動機構77の不図示のスライダには、Z軸スライド機構73が組み付けられている。Z軸スライド機構73は、動力源となるサーボモータ等のモータ78と、Z方向に延びるレール部(図示略)を有する例えばボールネジ式のリニア駆動機構(リニアガイド)79と、レール部に沿ってZ方向に移動可能なスライダ80とを有する。スライダ80は、Z方向に長い所定長さを有する長尺の板材よりなる。
【0042】
第1移動ユニット70A側のスライダ80の下端部には、付勢部及び第1付勢部の一例としての第1エアシリンダ83および付勢部及び第2付勢部の一例としての第2エアシリンダ84を介して第1カッタユニット81が支持されている。すなわち、スライダ80の下端部には、第1エアシリンダ83がその伸縮方向をZ方向に一致させた向きで固定されている。さらに第1エアシリンダ83のピストンロッドの先端部には、第2エアシリンダ84がその伸縮方向をX方向に一致させた向きで固定されている。エアシリンダ84のピストンロッドの先端部には、第1カッタユニット81が支持されている。第1カッタユニット81は、刃部の一例としてのカッタ85を有する。
【0043】
第2移動ユニット70B側のスライダ80の下端部における第2カッタユニット82の支持構造も、基本的に第1移動ユニット70A側と同様である。すなわち、第2移動ユニット70B側のスライダ80の下端部には、Z方向に伸縮可能な第1エアシリンダ83およびX方向に伸縮可能な第2エアシリンダ84を介して第2カッタユニット82が支持されている。第2エアシリンダ84のピストンロッドの先端部に支持された第2カッタユニット82は、刃部の一例としてのカッタ85を有する。なお、第1移動ユニット70A及び第2移動ユニット70Bにおいて、第1エアシリンダ83のピストンロッドの先端部に第2エアシリンダ84をその伸縮方向がX方向と交差する斜め方向となる向きに角度をつけて固定してもよい。
【0044】
モータ74が正逆転駆動されると、Y軸スライド機構71を構成するリニア駆動機構75が駆動され、X軸スライド機構72がY方向に移動する。また、モータ76が正逆転駆動されると、X軸スライド機構72を構成するリニア駆動機構77が駆動され、Z軸スライド機構73がX方向に移動する。さらにモータ78が正逆転駆動されると、Z軸スライド機構73を構成するリニア駆動機構79のスライダ80がZ方向に昇降する。なお、
図1に示すように、移動ユニット70A,70Bには、Y方向に移動するX軸スライド機構72へ電力を供給する電力線をガイドするフレキシブルガイド部材F3、X方向に移動するZ軸スライド機構73へ電力を供給する電力線をガイドするフレキシブルガイド部材F4が設けられている。また、移動ユニット70A,70Bには、スライダ80と共にZ方向に移動するエアシリンダ83,84に空気圧を供給する空気流路及びカッタユニット81,82に電力を供給する電力線89B(
図7を参照)をガイドするフレキシブルガイド部材F5が設けられている。
【0045】
図3に示すように、第1開封装置30には、カメラ92が設けられている。カメラ92は、上部フレーム22から支持ロッド91により吊り下げ状態に支持され、カッタユニット50が
図3に実線で示す待機位置にある状態において、カッタ51を撮像可能な位置に配置されている。カメラ92が撮像した画像データは、制御部110へ出力される。
【0046】
また、
図1に示すように、第2開封装置60には、2つのカメラ94が設けられている。2つのカメラ94は、上部フレーム25から支持ロッド93により吊り下げ状態に支持され、カッタユニット81,82が
図1に実線で示す待機位置にある状態において、それぞれのカッタ85を撮像可能な位置に配置されている。カメラ94が撮像した画像データは、制御部110へ出力される。
【0047】
次に、
図6を参照して、カッタユニット50の構成を説明する。
図6に示すように、エアシリンダ48のピストンロッド48Aの先端部には支持プレート52が固定されている。支持プレート52の下部には、転動体の一例として一対のローラ53が支持プレート52の下端よりも少し下方へ突出する状態で取り付けられている。一対の第1ローラ53間にカッタ51が位置し、カッタ51の先端部は一対の第1ローラ53の下端よりもさらに下方へ突出している。一対のローラ53は、カッタユニット50がX方向に移動する過程で箱Cの天面19Aを転動可能に、Y方向と平行な回転軸53Aを中心に回転する。
【0048】
また、支持プレート52には、円柱状の振動子54がブラケット54Aにより取り付けられている。カッタ51は、振動子54の出力軸(図示略)の先端部に固定されている。振動子54及びカッタ51は、水平面に対して所定角度(例えば約45度)に傾く斜めの姿勢で保持されている。カッタユニット50は、振動子54が発生する超音波で振動するカッタ51を第1テープ17の切断仮想線L1(
図5を参照)に沿って移動させることで第1テープ17を切断する。なお、振動子54に周期的に変化する電圧を供給する電力線54Bはフレキシブルガイド部材F2を介して不図示の発振器に接続されている。
【0049】
また、エアシリンダ48は、伸長時にピストンロッド48Aをストロークの途中で止めて使用される。すなわち、Z軸スライド機構42によるスライダ47の下降位置が、エアシリンダ48を伸長させたときにストロークの途中でローラ53が箱Cの天面19Aに当たる位置に位置制御される。このため、ローラ53が箱Cの天面19A上を転動するとき、ピストンロッド48Aはストロークの途中に位置し、ローラ53は天面19Aが変形していても追従できる。
【0050】
例えばローラの付勢手段がばねである構成を採用すると、ばねは自然長からの長さの変化(変位)とばね定数との積に応じてローラの付勢力(弾性力)を変化させる。このため、ローラの付勢力がストロークに応じて変化すると、ストロークに応じてローラの箱に対する付勢力が安定しない。これに対して、エアシリンダ48であるので、ピストンロッド48Aのストロークが変化しても一定の空気圧(付勢力)でローラ53を付勢できる。ローラ53は、エアシリンダ48にかかる微小な空気圧による比較的弱い所定の付勢力で押さえ付けられながら箱Cの天面19Aを転動する。
【0051】
次に、
図7を参照して2つのカッタユニット81,82の構成について説明する。2つのカッタユニット81,82は、基本的構成が同じであるため、以下では、第1カッタユニット81の構成について説明する。
図7に示すように、スライダ80の下端部に固定された第1エアシリンダ83のピストンロッド83Aの先端部(下端部)には、第2エアシリンダ84がX方向に伸縮可能な向きで固定され、そのピストンロッド84A(
図10を参照)の先端部に支持プレート86が固定されている。支持プレート86には、一対の第1ローラ87と一対の第2ローラ88とが取り付けられている。一対の第1ローラ87は、カッタユニット81,82がY方向に移動する過程で箱Cの天面19Aを転動可能に、X方向と平行な回転軸87Aを中心に回転する。一対の第1ローラ87の下端は支持プレート86の下端よりも少しよりも下方に位置する。一対の第1ローラ87間にカッタ85が位置し、カッタ85の先端部は一対の第1ローラ87の下端よりもさらに下方へ突出している。
【0052】
一対の第2ローラ88は、カッタユニット81,82がY方向に移動する過程で箱Cの側面19Bを転動可能に、Z方向と平行な回転軸88Aを中心に回転する。第2ローラ88は、第1ローラ87よりも下方に位置し、第1ローラ87が箱Cの天面19A上を転動するとき、箱Cの側面19B上を転動する。
【0053】
第1エアシリンダ83は、第1ローラ87をZ方向の下側へ付勢する。第1ローラ87は第1エアシリンダ83の付勢力により箱Cの天面19Aに押し付けられながら転動する。また、第2エアシリンダ84は、第2ローラ88をX方向に付勢する。第1移動ユニット70A側の第2エアシリンダ84は、第2ローラ88をX方向の下流側に付勢し、第2移動ユニット70B側の第2エアシリンダ84は、第2ローラ88をX方向の上流側に付勢する。第2ローラ88は第2エアシリンダ84の付勢力により箱Cの側面19Bに押し付けられながら転動する。
【0054】
また、支持プレート86には、円柱状の振動子89がブラケット89Aにより組み付けられている。カッタ85は、振動子89の出力軸(図示略)の先端部に固定されている。振動子89及びカッタ85は、水平面に対して所定角度(例えば約45度)に傾く斜めの姿勢で保持されている。カッタユニット81,82は、振動子89が発生する超音波で振動するカッタ85を、第2テープ18の切断仮想線L2(
図5を参照)に沿って移動させることで第2テープ18を切断する。なお、振動子89に周期的に変化する電圧を供給する電力線89Bはフレキシブルガイド部材F5を介して不図示の発振器に接続されている。
【0055】
図8は、エアシリンダ48,83,84を駆動させるための空圧回路を示す。各エアシリンダ48,83,84を駆動させる空圧回路100は基本的に同じ構成である。以下、エアシリンダ48を制御する空圧回路100を例に説明する。
図8に示すように、空圧回路100は、空圧源101を備える。空圧源101には流路102を通じて電磁切換弁103が接続されている。また、電磁切換弁103とエアシリンダ48との間には、エアシリンダ48内のピストン48B側の室と連通する流路104と、エアシリンダ48内のピストンロッド48A側の室と連通する流路105とが接続されている。流路104の途中には減圧弁106が配置され、減圧弁106で減圧した微小な空気圧をエアシリンダ48内に供給することによりローラ53を箱Cの面に押し付ける付勢力を弱い所定値に調整する。
【0056】
電磁切換弁103が切り換えられることで、エアシリンダ48は伸長又は収縮する。電磁切換弁103が
図8に示す第1位置にあるとき、空圧源101からの空気圧がエアシリンダ48のピストンロッド側の室に供給され、エアシリンダ48は収縮駆動する。電磁切換弁103が第1位置とは異なる第2位置に切り換えられると、空圧源101からの空気圧が減圧弁106で減圧された微小な空気圧がエアシリンダ48のピストン側の室に供給され、エアシリンダ48は伸長駆動する。エアシリンダ48はその伸長時に微小な一定の空気圧によりローラ53をZ方向の下側へ付勢し、ローラ53を箱Cの天面19Aに弱い付勢力で押し付ける。また、エアシリンダ48は収縮時にローラ53を箱Cの天面19Aから離間させる。なお、第1エアシリンダ83及び第2エアシリンダ84についても、エアシリンダ48と空圧源101が共通であり、エアシリンダ48と同様の構成の空圧回路100により駆動制御される。
【0057】
また、エアシリンダ48,83,84は、ストロークの途中で止めて使用される。すなわち、エアシリンダ48,83を伸長させたときにストロークの途中でローラ53,87が箱Cの天面19Aに当たる位置にZ軸スライド機構42,73によってスライダ47,80の下降位置が位置制御される。このため、ローラ53,87が箱Cの天面19A上を転動するとき、ピストンロッド48A,83Aがストロークの途中(例えば中間位置)に位置するので、ローラ53,87は天面19Aが多少変形していてもZ方向に上下に変位することで天面19Aに追従できる。また、第2ローラ88が箱Cの側面19B上を転動するとき、第2エアシリンダ84のピストン84Bがストロークの途中(例えば中間位置)に位置するので、第2ローラ88は側面19Bが多少変形していてもX方向の両側に変位することで側面19Bに追従できる。
【0058】
エアシリンダ48,83,84のピストン48B,83B,84B側の室には、空圧源101の空気圧が減圧弁106により減圧された微小な空気圧が供給される。このため、ローラ53および第1ローラ87は、エアシリンダ48,83による弱い付勢力で箱Cの天面19Aを押す。また、第2ローラ88は、第2エアシリンダ84に供給される微小な空気圧による弱い付勢力で箱Cの側面19Bを押す。また、ローラ53,87,88は、エアシリンダ48,83,84の空気圧で付勢されるので、箱Cの面に追従する過程でエアシリンダ48,83,84のストローク位置が変化してもほぼ一定の力で付勢される。例えばローラ53,87,88の付勢手段としてばねを使用する構成も考えられるが、ばねは変位量に応じて付勢力(弾性力)が変化する。このため、箱Cの面に追従するローラの付勢力はストロークに応じて変化するため不安定になる。これに対してエアシリンダ48,83,84のピストン48B,83B,84B側の室に減圧弁106で減圧した微小な空気圧を供給することで、エアシリンダ48,83,84がローラ53,87,88を押圧する付勢力を弱めに設定する。また、ピストン48B,83B,84Bをストロークの途中位置に配置する状態でローラ53,87,88を箱Cの面に押し当てる。このため、箱Cの天面19Aにうねりや変形があっても、ローラ53,87は箱Cの天面19Aに追従して転動し、箱Cの側面19Bにうねりや変形があっても、ローラ88は箱Cの側面19Bに追従して転動する。
【0059】
第1移動ユニット70Aは、第1カッタユニット81のカッタ85を、第2位置に位置決めされた箱Cの側縁部に貼られた第2テープ18の切断開始位置P11(
図4を参照)に配置する。カッタユニット81を
図4に実線で示す切断開始位置P11から、同図に二点鎖線で示す切断終了位置P12まで移動させて第2テープ18を切断する。
図4、
図10に示すように、この切断過程では、第1エアシリンダ83はピストンロッド83Aがストロークの途中に位置する状態で伸長し、第1ローラ87は減圧弁106で減圧された微小な空気圧による第1エアシリンダ83からの小さな付勢力で箱Cの天面19Aに押し付けられながら天面19A上を転動する。また、
図10に示すように、第2エアシリンダ84はピストンロッド84Aがストロークの途中に位置する状態で伸長し、第2ローラ88は減圧弁106で減圧された微小な空気圧による第2エアシリンダ84からの小さな付勢力で箱Cの側面19Bに押し付けられながら側面19B上を転動する。
【0060】
図1に示す第2開封装置60の移動ユニット70A,70Bを構成する一対のカッタユニット81,82は、
図4に一点鎖線の矢印で示すように、
図4に実線で示す位置から二点鎖線で示す位置へY方向に同時並行に移動する。切断過程では、
図10に示すように、第1ローラ87が天面19Aに押し付けられ、第2ローラ88が側面19Bに押し付けられた状態にある。各ローラ87,88がそれぞれ天面19Aと側面19B上を押し付けられながら転動することで、カッタ85は天面19Aと側面19Bに対して位置決めされながら、
図4に実線で示す切断開始位置P11から二点鎖線で示す切断終了位置P12まで移動する。2つのカッタユニット81,82の各カッタ85は、
図5に示す2つの第2テープ18の切断仮想線L2に沿ってそれぞれ移動し、2つの第2テープ18を切断する。
【0061】
次に、
図11を参照して、開封システム10の電気的構成について説明する。開封システム10の制御部110には、作業者が開封システム10に対して、各種設定データの入力操作、運転の開始及び停止等の指示を与える操作などに用いられる操作盤120が電気的に接続されている。操作盤120は表示部121を備える。制御部110は、設定画面や作業者にエラー等を報知する報知用画面などを表示部121に表示させる。
【0062】
制御部110には、第1開封装置30と第2開封装置60とが電気的に接続されている。すなわち、制御部110には、第1開封装置30を構成する、第1コンベヤ11、第1位置決め装置31、第1開封ユニット40及び第1カメラ92が電気的に接続されている。また、制御部110には、第2開封装置60を構成する、第2コンベヤ12、第2位置決め装置61、第2開封ユニット70及び第2カメラ94が電気的に接続されている。また、制御部110には、入力系として第1センサ36及び第2センサ66が電気的に接続されている。
【0063】
制御部110は、画像処理部111、判定部112およびメモリ113を備える。メモリ113には、
図14にフローチャートで示されるプログラムPRと、カッタ基準画像データSDとが記憶されている。カッタ基準画像データSDとは、カッタ51,85が使用前の初期状態にあるときの画像データ(カッタ初期画像データ)である。カッタ51,85を交換したときにカメラ92,94が初期のカッタ51,85を撮像した画像データをカッタ基準画像データSDとしてメモリ113に記憶してもよい。また、カッタ基準画像データSDは、次の箱Cの1つ前、つまり今回の箱Cのテープ17,18の切断を開始する前にカメラ92,94がカッタ51,85を撮像した撮像画像データでもよい。なお、カッタ基準画像データSDとして、カッタ初期画像データと、カッタの使用開始以後かつ今回の箱の開封開始前にカメラ92,94が撮像した前回以前のカッタ撮像画像データをカッタ基準画像データとしたものとの両方を用いてもよい。
【0064】
図12はカッタ基準画像データSDを示す。
図12に示すカッタ基準画像SDは、カッタ51,85の使用前の初期画像の例である。カッタ基準画像SDにおけるカッタ51,85には、欠損も摩耗もない。
図13は、カメラ92,94が開封システム10の運転中の所定時期にカッタ51,85を撮像したカッタ撮像画像データPD(以下、単に「カッタ撮像画像PD」ともいう。)を示す。
図13に示すカッタ撮像画像PDは、欠損Kを有するカッタ51,85の例である。
【0065】
制御部110は、カッタ基準画像SDとカッタ撮像画像PDとを比較して欠損Kおよび摩耗の有無を判定する。画像処理部111は、カメラ92,94が撮像したカッタ撮像画像データPDに必要な画像処理を施す。判定部112は、画像処理後のカッタ撮像画像PDとカッタ基準画像SDとを比較して、カッタ51,85の欠損Kの有無及び摩耗の有無を判定する。制御部110は、判定部112の判定結果に基づきカッタ51,85の欠損Kを検出した場合、操作盤120の表示部121にカッタの欠損Kが発生した旨を表示して作業者に報知する。また、制御部110は、カッタ51,85の摩耗を検出した場合、操作盤120の表示部121にカッタが摩耗した旨を表示して作業者に報知する。
【0066】
画像処理部111は、
図12に示すカッタ基準画像SDと
図13に示すカッタ撮像画像PDとのサイズを合わせ、差分をとると、欠損K等の欠落領域は差分領域DAとして取得される。画像処理部111は、画像処理後のカッタ撮像画像PDとカッタ基準画像SDとを比較処理する。比較処理としてカッタ撮像画像PDとカッタ基準画像SDとの差分をとる差分処理を行う。差分処理の結果、画像処理部111は、
図13に示す差分領域DAを得る。判定部112は、差分領域DAについて形状閾値・面積閾値を用いて、差分領域DAが欠損Kであるか摩耗であるかを判定する。判定部112は、次の箱Cのテープ17,18の切断により次の箱Cが開封されるまでに判定を行う。本例では、判定部112は、次の箱Cのテープ17,18の切断が開始される前にカッタ51,85の欠損Kの有無を判定する。また、判定部112は、カッタ基準画像SDとしてカッタ初期画像を用いることで、カッタ51,85の摩耗度合も判定できる。
【0067】
次に、開封システム10の作用を説明する。開封システム10は、制御部110により制御される。作業者は、操作盤120を操作し、運転開始の指示を与える。制御部110は、運転開始の指示を受け付けると、開封システム10の運転を開始する。制御部110は、メモリ113からプログラムPRを読み出して実行する。
【0068】
なお、制御部110は、開封システム10の上流側で箱の段ばらし作業を行っているパレタイザから、第1コンベヤ11へ搬入される箱に関する箱特定情報を受信している。段ばらしされる箱のサイズは種々あり、形状・サイズの異なる箱Cが第1コンベヤ11には搬入される。第1コンベヤ11に箱が搬入されたことを不図示のセンサが検知すると、制御部110は、不図示のアクチュエータを駆動させてストッパ32を退避位置から規制位置へ移動させる。また、第2コンベヤ12に箱Cが搬入されたことを不図示のセンサが検知すると、制御部110は、不図示のアクチュエータを駆動させてストッパ62を退避位置から規制位置へ移動させる。
【0069】
以下、制御部110が
図14に示されるプログラムPRを実行して行う開封制御について説明する。なお、第1開封装置30と第2開封装置60とにおいて、カッタユニット50,81,82の構成及び移動ユニット40A,70A,70Bがカッタユニット50,81,82を移動させる方向などが、切断対象のテープ17,18の位置及び向きの違いで多少異なるものの、開封制御の基本的な内容は同じである。そのため、以下では、第1開封装置30の例で開封制御について説明する。
【0070】
まずステップS11では、制御部110は、センサ36がオンするまで待機し、センサ36がオンすれば、次のステップS12に進む。すなわち、箱Cの搬送中はセンサが箱Cを検知するまで待機し、センサ36が箱Cを検知すると、ステップS12に進む。なお、センサ36に検知された箱Cはストッパ32に当たり、搬送方向(X軸方向)におけるそれ以上の移動が規制され、第1位置に位置決めされる。
【0071】
ステップS12では、制御部110はコンベヤ11を停止させる。この結果、箱は開封位置に配置される。
次のステップS13では、制御部110は箱Cの位置決め動作を行う。すなわち、制御部110は、一対のガイドユニット33を駆動し一対のガイド部材35を伸長させることで、ストッパ32で搬送方向Xに位置決めされた箱Cを幅方向Yに位置決めする。この結果、箱Cは開封位置である第1位置に位置決めされる。
【0072】
次のステップS14では、制御部110は、カッタ51を切断開始位置へ移動させる。すなわち、制御部110は箱特定情報から特定した箱Cのサイズに応じた切断開始位置を算出し、その算出した切断開始位置にカッタ51が移動させるべく開封ユニットをX方向およびZ方向に位置制御し、カッタ51を切断開始位置に移動させる。このとき、制御部110は、X軸スライド機構41をX軸方向に位置制御するとともにZ軸スライド機構42を下降させ、さらにエアシリンダ48を下方へ伸長駆動させることで、カッタユニット50を切断開始位置へ移動させる。
【0073】
次のステップS15では、制御部110はテープの切断動作を行う。すなわち、制御部110は、
図1に示すように、カッタユニット50を切断開始位置P1から切断終了位置P2に向かってX方向へ移動させることで、カッタ51をエアシリンダ48の所定の空気圧による小さな付勢力で付勢しながら第1テープ17の切断仮想線L1に沿って移動させる。この結果、第1テープ17は切断される。
図9に示すように、ローラ53が所定の空気圧で箱Cの天面19Aに押付けられながら天面19A上を転動する。このため、カッタ51は箱Cの天面19Aの面形状に沿って上下に変位しながら第1テープ17の面に沿って追従する。このとき、箱Cの天面19Aの面形状に応じてエアシリンダ48のストロークが変化しても、ローラ53を一定の付勢力で天面19Aに押し付けることができる。このため、カッタ51は、天面19A上を転動するローラ53によりZ方向に位置決めされ、第1テープ17に対して所定の深さで差し込まれた状態で切断仮想線L1に沿って移動する。よって、天面19Aが多少変形していても、第1テープ17は確実に切断される。カッタ51は、第1テープ17の厚みよりも少し深く入り込みつつも過度に箱C内に入り込むことがない。このため、カッタ51によって第1テープ17を確実に切断できるうえ、カッタ51が箱C内の内容物を傷付けることを回避できる。
【0074】
ステップS16では、制御部110は、箱Cの搬出動作を行う。すなわち、制御部110は、電動シリンダ34を制御してガイドユニット33をガイド位置から退避位置へ退避させるとともにストッパ32を規制位置から退避位置へ移動させた後、コンベヤ11を駆動させる。この結果、第1テープ17が切断された後の箱Cは、第1コンベヤ11から第2コンベヤ12に受け渡されて第2開封装置60へ搬入される。
【0075】
次のステップS17では、制御部110は検査時期であるか否かを判断する。カッタの検査を行う時期は予め設定されている。本例では、1回の切断動作の度に検査を行うべく検査時期が設定されている。このため、ステップS17において、常に検査時期の条件が成立する。なお、検査時期は、切断回数で2回以上のN回(但しNは2以上の自然数)ごとに設定されてもよいし、テープの切断長さを計測してその累積値をメモリ113に記憶し、切断長さの累積値が設定値を超えたときを検査時期としてもよい。制御部110は、検査時期であればステップS18に進み、検査時期でなければステップS23に進む。例えば、毎回検査する本例では、ステップS18に進むことになる。
【0076】
ステップS18では、制御部110は、カメラ92によりカッタ51を撮像する。すなわち、制御部110は、カッタユニット50を切断終了位置P2から撮像位置へ移動させる。ここで、撮像位置は、カメラ92の焦点の合う位置であり、かつカッタ51を所定サイズ以上で撮像可能な位置である。また、撮像位置は、切断終了位置P2から待機位置までのカッタ51の移動経路上の位置が好ましい。制御部110は、カッタ51が撮像位置に移動して停止すると、カメラ92を撮像動作させる。カメラ92は、カッタ51を撮像したカッタ撮像画像データPDを制御部110へ出力する。
【0077】
ステップS19では、カッタが正常であるか否かを判断する。すなわち、制御部110は、カメラ92が撮像した現状のカッタ撮像画像PDと、メモリ113に記憶するカッタ基準画像SDとを比較する。カッタ51に欠損Kまたは過度な摩耗がある場合、カッタ基準画像SDとカッタ撮像画像PDとの差分が閾値を超える。制御部110では、画像処理部111がカッタ撮像画像PDに所定の画像処理を施し、カッタ基準画像SDとカッタ撮像画像PDとの差分を
図13に示す差分領域DAとして取得する。制御部110は、差分領域DAの面積と形状を、面積閾値と形状閾値と比較することによって、カッタ51に欠損Kまたは過度な摩耗があるか否かを判定する。カッタ51に欠損Kがある場合は「異常」とされる。カッタ51に過度な摩耗がある場合は、「異常」とはされないがカッタ51が交換時期にある「非正常」とされる。このため、制御部110は判定の結果、カッタ51が正常であればステップS23に進み、カッタ51が異常または非正常であればステップS20に進む。
【0078】
ステップS20では、制御部110は、カッタ51が異常であるか否かを判定する。制御部110は、カッタ51が異常であればステップS21に進んで、開封システム10の運転を非常停止させるとともに、カッタ51に欠損Kの異常がある旨を報知する。すなわち、制御部110は、表示部121にカッタ51に欠損Kの異常がある旨を表示する。
【0079】
また、ステップS20の判定の結果、カッタ51が異常でなければステップS22に進んで、制御部110は、カッタの交換時期の旨を報知する。すなわち、制御部110は、表示部121にカッタの交換時期の旨を表示する。
【0080】
ステップS23では、制御部110は、カッタを待機位置へ復帰させる。すなわち、制御部110は、エアシリンダ48を収縮駆動させてカッタユニット50を少し上方へ移動させるとともに、X軸スライド機構41およびZ軸スライド機構42を駆動することで、カッタユニット50を待機位置へ移動させる。
【0081】
制御部110は、第2開封装置60についても、第1開封装置30と同様に、基本的に
図14にフローチャートで示す開封制御ルーチンに従って開封制御を行う。第2開封装置60は、箱Cの2つの側縁に貼られた2つの第2テープ18を切断するため、2つの移動ユニット70A,70Bを制御するとともに、第2カメラ94が撮像したカッタ51の画像に基づいてカッタ51の欠損K等の異常の有無、およびカッタ51の摩耗による交換時期であるか否かを判定する。
【0082】
図14において、ステップS14では、制御部110は、2つの移動ユニット70A,70Bを駆動制御して、各カッタ85を切断開始位置へ移動する。このとき、第1エアシリンダ83を下方へ伸長駆動させて第1ローラ87を箱Cの天面19Aに押し当て、第2エアシリンダ84をX方向へ伸長駆動させて第2ローラ88を箱Cの側面19Bに押し当てる。
【0083】
ステップS15では、制御部110は、各カッタ85をそれぞれの切断開始位置P11から切断終了位置P12へ移動させる。カッタ85は、第1ローラ87が第1エアシリンダ83からの付勢力で押し付けられながら転動する天面19Aと、第2ローラ88が第2エアシリンダ84からの付勢力で押し付けられながら転動する側面19Bとに対して位置決めされながら第2テープ18の面に追従して切断仮想線L2に沿って移動する。この結果、箱Cの天面19Aと側面19Bのうち少なくとも一方が変形していても、第2テープは確実に切断される。また、箱Cの面形状に応じてエアシリンダ83,84が多少伸縮しても、第1ローラ87が天面19Aに押し付けられる付勢力と、第2ローラ88が側面19Bに押し付けられる付勢力がほぼ一定に保たれる。このため、カッタ85は、箱Cの変形に応じてエアシリンダ83,84のストローク位置が変化しても、天面19Aと側面19Bに追従する。この結果、カッタ85によって第2テープ18を確実に切断できるうえ、カッタ85が箱C内の内容物を傷付けることを回避できる。
【0084】
一方、検査時期にあるときは(S17で肯定判定)、カッタ85を撮像位置に移動させてカメラ94がカッタ85を撮像する(S18)。制御部110は、カメラ94が撮像した現状のカッタ撮像画像と、メモリ113に記憶するカッタ基準画像SDとを比較する。制御部110は、カッタ基準画像SDとカッタ撮像画像PDとの差分をとった差分領域DAの面積と形状とをそれぞれの閾値と比較し、カッタ85に欠損Kまたは過度な摩耗があるか否かを判定する。カッタ85に欠損Kがある場合は「異常」とされ(S20で肯定判定)、開封システム10の運転が非常停止させるとともに、カッタ85に欠損Kの異常がある旨を報知する(S21)。一方、カッタ85が過度な摩耗をしている場合、カッタの交換時期の旨を報知する(S22)。
【0085】
こうして箱Cは多少変形していても、開封システム10によって、第1テープ17と第2テープ18が確実に切断される。また、カッタ51,85が欠損したとき、その欠損Kを検出し次の箱の開封を終えるまでに開封システム10の運転の非常停止と、表示部121へのその旨の表示とが行われる。このため、カッタ51,85が欠損したときの箱Cを直ぐに特定して排除できる。例えばカッタ51,85の欠損部の箱Cの内容物への混入を阻止できる。
【0086】
以上詳述したように本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)箱Cの開封システム10は、箱Cに貼られたテープ17,18を切断して箱Cを開封する。開封システム10は、箱Cの面に押し当てる押当て方向に変位可能に設けられたローラ53,87,88(転動体)と、ローラ53,87,88を押当て方向に付勢するエアシリンダ48,83,84(付勢部)とを備える。さらに開封システム10は、ローラ53,87,88と共に押当て方向に変位可能なカッタ51,85(刃部)と、ローラ53,87,88及びカッタ51,85を箱Cに対して相対移動させる移動ユニット40A,70A,70B(移動機構)とを備える。ローラ53,87,88を箱Cの面に押し当てながら転動させることで、テープ17,18が貼られた箱Cの面にカッタ51,85を追従させてテープ17,18を切断する。よって、カッタ51,85を箱Cの面に追従させることで、箱Cが多少変形していても、箱Cに貼られたテープを適切に切断し、箱Cを開封できる。したがって、テープ17,18の切断ミスに起因する箱Cの開封ミスを低減できる。
【0087】
(2)ローラ53を第1テープ17が貼られた箱Cの天面19Aに押し当てながら転動させることにより、カッタ51が、箱Cの一対のフラップ16に跨って貼られた第1テープ17を切断する。よって、箱Cが多少変形していても、カッタ51によって箱Cの天面19Aにおいて2つのフラップ16に跨って貼られた第1テープ17を切断できる。
【0088】
(3)開封システム10は、箱Cの天面19Aに押し当て可能な第1ローラ87と、箱Cの側面19Bに押し当て可能な第2ローラ88とを備える。開封システム10は、第1ローラ87を天面19Aに押し当て可能な第1方向に付勢する第1エアシリンダ83と、第2ローラ88を側面19Bに押し当て可能な第2方向に付勢する第2エアシリンダ84とを備える。第1ローラ87が箱Cの天面19Aに押し当てられながら転動し、且つ第2ローラ88が箱Cの側面19Bに押し当てられながら転動することにより、カッタ85は箱Cの天面19Aと側面19Bとの間の側縁に貼られた第2テープ18を切断する。よって、第1ローラ87が箱Cの天面19Aに押し当てられながら転動しつつ、第2ローラ88が箱Cの側面19Bに押し当てられながら転動することにより、カッタ85は天面19Aと側面19Bとに追従する。よって、箱Cが多少変形していても、箱Cの天面19Aと側面19Bとの間の側縁に貼られた第2テープ18を確実に切断できる。しかも、仮に箱Cの天面19Aと側面19Bとの両方が変形していても、側縁に貼られた第2テープ18を確実に切断できる。
【0089】
(4)エアシリンダ48,83,84は、ローラ53,87,88を空気圧で与圧する。ローラ53,87,88を空気圧で付勢する構成であるため、ばねで付勢する構成に比べ、ローラ53,87,88の押当て方向のストローク位置の違いによる付勢力の変動が小さく済む。この結果、ローラ53,87,88を箱Cの面に追従し、カッタ51,85の押し当て力が安定する。よって、箱Cが多少変形していても、カッタ51,85をテープ17,18に追従させ、テープ17,18をより確実に切断できる。例えば付勢手段がばねである構成である場合、ローラが箱Cの面を強く押し過ぎて箱Cを変形させたり、ローラの押し当て力が弱過ぎてカッタがテープに浅く当たり切断ミスの発生頻度が相対的に高くなったりする。しかし、本実施形態の開封システム10では、ローラ53,87,88の押し当て力がストローク位置に依らず安定するので、この種の箱Cの変形及び切断ミスの発生頻度を低減できる。
【0090】
(5)開封システム10は、カッタ51,85を撮像するカメラ92,94(撮像部の一例)と、カメラ92,94がカッタ51,85を撮像したカッタ撮像画像PDと、メモリ113に記憶するカッタ基準画像SDとを比較してカッタ51,85の欠損Kの有無を判定する判定部112とを備える。よって、カッタ51,85をカメラ92,94で撮像した画像を基に、カッタ51,85の欠損Kを検出できる。例えば、開封した箱C内にカッタ51,85の欠損部が混入しても、その箱Cを容易に特定して直ぐに除去できる。
【0091】
(6)カメラ92,94は、カッタ51,85が箱Cのテープ17,18を切断した後にカッタ51,85を撮像する。判定部112は、箱Cのテープ17,18の切断後に判定を行う。カッタ基準画像SDは、カッタ51,85の初期画像、又は箱Cのテープ17,18の切断を開始する前にカメラ92,94がカッタ51,85を撮像した撮像画像である。よって、箱Cのテープ17,18が切断された後に、カメラ92,94がカッタ51,85を撮像したカッタ撮像画像PDを、カッタ51,85の初期画像、またはテープ17,18の切断前に撮像されたカッタ基準画像SDと比較することで、カッタ51,85の欠損Kの有無を判定できる。よって、仮にカッタ51,85が欠損しても、そのカッタ51,85の欠損Kの起きたテープ切断後に速やかにカッタ51,85の欠損を検出できる。
【0092】
(7)カメラ92,94は、カッタ51,85が箱Cのテープ17,18を切断した後、次の箱Cのテープ17,18の切断を開始する前の期間にカッタ51,85を撮像する。判定部112は、箱Cのテープ17,18の切断後、次の箱Cのテープ17,18を切断して開封し終わる前に判定を行う。よって、仮にカッタ51,85が欠損しても、箱Cのテープ17,18が切断された後、次の箱Cが開封される前に早期に、カッタ51,85の欠損Kを発見できる。
【0093】
前記実施形態は、上記に限定されず、以下のように変更してもよい。
・付勢部は、ばねでもよい。ばねの付勢力によりローラ53,87,88は箱Cの面に押し付けられながら転動するので、ローラ53,87,88と共に箱Cの面に追従するカッタ51,85でテープ17,18を切断することができる。
【0094】
・第1ローラ53は一対に限らず1個でもよい。また、第1ローラ87は一対に限らず1個でもよい。第1ローラ53,87を1個にした場合、カッタ51,85を箱Cの天面により一層追従させ易くなる。
【0095】
・第1テープ17よりも先に第2テープ18を切断してもよい。
・移動機構は、電動シリンダまたは空圧シリンダを動力源とする駆動方式でもよい。
・移動機構は、箱Cに対してカッタユニット50,81,82を移動させる移動ユニット40A,70A,70Bに替え、箱Cのサイズに応じて幅方向Y及び高さ方向Zに位置決めされた位置で停止するカッタユニットに対して、テープを切断可能な方向に箱を移動させるコンベヤでもよい。
【0096】
・転動体は、ローラに限らずボールでもよい。
・超音波振動式の刃部に限定されず、物理的に切断するカッタでもよい。
・刃部の検査の頻度は、刃部の用途等に応じて適宜設定できる。例えば、開封した箱の数をカウンターで計数し、その計数値が2以上の値である設定値に達する度に、検査動作を行ってもよい。例えば、食品関連用途の場合、検査頻度は高めとすることが好ましい。
【0097】
・カッタユニットに距離センサを設け、切断中に箱Cの面までの距離を検出して、検出した距離に応じてカッタユニットを高さ制御しながらテープを切断してもよい。
・箱Cは、天面の中央ラインに沿って貼られた第1テープ17により、所謂「縦貼り」で閉じられていてもよい。また、箱Cは、天面の縦に延びる第1中央ラインに沿って貼られた第1テープと、第1テープと交差する状態で天面の横に延びる第2中央ラインに沿って貼られた第2テープとにより、所謂「十字貼り」で閉じられていてもよい。これらの場合、第1開封装置30のみで開封できる。
【0098】
・第2開封装置60のみを使用してもよい。例えば箱Cの天面の中央ラインの第1テープは作業者がカッタを用いて手動で切断し、箱Cの側縁に貼られた第2テープを第2開封装置60で自動切断する構成でもよい。
【0099】
・カッタを傾けた姿勢の軸線方向に付勢するようにエアシリンダをカッタと平行に斜めに傾けて配置してもよい。
・テープは粘着テープに限らず、糊又は接着剤で貼られてもよい。また、テープが箱に溶着されていてもよい。
【0100】
・刃部(カッタ)の撮像画像を用いて刃部の破損等を検査する検査部は無くてもよい。
・転動体を備えない切断機構とし、刃部の検査部を備える構成でもよい。この構成によれば、カッタをカメラで撮像したカッタ撮像画像を用いてカッタの検査はできる。
【0101】
・箱は、紙製の段ボール箱に限らず、プラスチック製の段ボール箱でもよい。また、段ボール以外の紙製又はプラスチック製の箱でもよい。また、箱の形状は、直方体に限定されず、円柱でもよい。
【符号の説明】
【0102】
10…箱の開封装置の一例としての箱の開封システム、11…第1コンベヤ、12…第2コンベヤ、16…フラップ、17…テープの一例としての第1テープ、18…テープの一例としての第2テープ、19A…天面、19B…側面、30…箱の開封装置の一例を構成する第1開封装置、31…第1位置決め装置、32…ストッパ、33…ガイドユニット、35…ガイド部材、36…第1センサ、40…第1開封ユニット、40A…移動機構の一例を構成する移動ユニット、41…X軸スライド機構、42…Z軸移動機構、48…付勢部の一例としてのエアシリンダ、50…カッタユニット、51…刃部の一例としてのカッタ、60…箱の開封装置の一例を構成する第2開封装置、61…第2位置決め装置、62…ストッパ、63…ガイドユニット、65…ガイド部材、66…第2センサ、70…第2開封ユニット、70A…移動機構の一例としての第1移動ユニット、70B…移動機構の一例としての第2移動ユニット、71…Y軸スライド機構、72…X軸スライド機構、73…Z軸スライド機構、付勢部及び第1付勢部の一例としての第1エアシリンダ、84…付勢部及び第1付勢部の一例としての第2エアシリンダ、85…刃部の一例としてのカッタ、92…撮像部の一例としての第1カメラ、94…撮像部の一例としての第2カメラ、110…制御部、111…画像処理部、112…判定部、113…メモリ、120…操作盤、121…表示部、C,C1,C2…箱、SD…カッタ基準画像データ(カッタ基準画像)、PD…カッタ撮像画像データ(カッタ撮像画像)、K…欠損、DA…差分領域、X…X方向(搬送方向)、Y…Y方向(幅方向)、Z…Z方向(高さ方向)。