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特許7168194偽造判定方法、プログラム、記録媒体および偽造判定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】偽造判定方法、プログラム、記録媒体および偽造判定装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20221101BHJP
   B42D 25/23 20140101ALI20221101BHJP
   B42D 25/309 20140101ALI20221101BHJP
   B42D 25/425 20140101ALI20221101BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
B42D25/23
B42D25/309
B42D25/425
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018099164
(22)【出願日】2018-05-23
(65)【公開番号】P2019204293
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】矢口 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】恵谷 誠至
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-034535(JP,A)
【文献】特開2016-157439(JP,A)
【文献】特開2007-110301(JP,A)
【文献】特開2002-056439(JP,A)
【文献】特開2017-215739(JP,A)
【文献】特開2006-155341(JP,A)
【文献】特開2011-178075(JP,A)
【文献】特開2002-283777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
B42D 25/23
B42D 25/309
B42D 25/425
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取得工程と、写真領域抽出工程と、判定工程とを有し、
前記画像取得工程は、
写真を含む被判定身分証の画像を取得し、
前記写真領域抽出工程は、
前記被判定身分証の画像から、前記被判定身分証における写真領域を抽出し、
前記判定工程は、
前記被判定身分証の前記写真領域において、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定し、前記偽造特徴情報が含まれる場合に、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定し、
前記偽造特徴情報は、真正身分証における写真領域と異なる特徴情報であり、前記真正身分証の規定の写真枠からのずれ、偽写真の貼り付けによる変化、前記写真領域における割印の有無、前記割印の形状、前記写真領域におけるエンボスの有無、および前記エンボスの形状からなる群から選択された少なくとも一つの情報であることを特徴とする偽造判定方法。
【請求項2】
前記偽写真の貼り付けによる変化の情報が、偽写真の貼り付けによる二重の端部の発生、写真の重なりによる段差の発生、および写真の重なりによる影の変化の発生からなる群から選択された少なくとも一つの情報である、請求項記載の偽造判定方法。
【請求項3】
前記判定部は、前記被判定身分証の写真領域について、前記二重の端部の発生、前記段差の発生、および前記影の変化の発生からなる群から選択された少なくとも一つの発生を確認し、少なくとも一つが発生した場合、前記偽造特徴情報を含むと判定する、請求項記載の偽造判定方法。
【請求項4】
前記判定工程において、前記写真領域における写真端部の外側の影が、一重貼りの写真端部の外側の影よりも幅広の影が確認された場合、および、前記写真領域における写真端部において、印刷の写真では発生しない影が発生していると確認された場合、影の変化の発生であるとして、前記偽造特徴情報を含むと判定する、請求項1からのいずれか一項に記載の偽造判定方法。
【請求項5】
前記判定工程において、前記被判定身分証の写真領域について、前記真正身分証の真正特徴情報を満たすかを判定し、前記真正特徴情報の少なくとも一つを満たさない場合に、前記偽造特徴情報が含まれると判定し、
前記真正特徴情報は、規定の写真枠の位置情報、写真に対する割印情報、および写真に対するエンボス情報からなる群から選択された少なくとも一つの情報を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の偽造判定方法。
【請求項6】
さらに、種別判定工程を有し、
前記種別判定工程において、前記被判定身分証の画像において、身分証の種類に紐づけられた前記身分証の識別情報を検出し、前記識別情報が検出された場合に、前記被判定身分証が、前記検出された識別情報が紐づけられた身分証の種類に該当すると判定する、請求項1からのいずれか一項に記載の偽造判定方法。
【請求項7】
さらに、偽造特徴情報取得工程を有し、
前記偽造特徴情報取得工程において、前記真正身分証の画像と、偽造された身分証の画像とを比較することにより、前記偽造特徴情報を取得する、請求項1から6のいずれか一項に記載の偽造判定方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の偽造判定方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
画像取得部と、写真領域抽出部と、判定部とを有し、
前記画像取得部は、
写真を含む被判定身分証の画像を取得し、
前記写真領域抽出部は、
前記被判定身分証の画像から、前記被判定身分証における写真領域を抽出し、
前記判定部は、
前記被判定身分証の前記写真領域において、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定し、前記偽造特徴情報が含まれる場合に、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定し、
前記偽造特徴情報は、真正身分証における写真領域と異なる特徴情報であり、前記真正身分証の規定の写真枠からのずれ、偽写真の貼り付けによる変化、前記写真領域における割印の有無、前記割印の形状、前記写真領域におけるエンボスの有無、および前記エンボスの形状からなる群から選択された少なくとも一つの情報であることを特徴とする偽造判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造判定方法、プログラム、記録媒体および偽造判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
写真付きの身分証について、写真の上に本人ではない写真を貼り付ける偽造が問題となっている。本人ではない写真を貼り付けている身分証は、人による判定であれば、偽造との判定ができる場合もあるが、無人の場合、身分証が偽造か否かは、判定し難い。
【0003】
偽造の判定方法として、例えば、身分証の表面に貼付されているラミネートフィルムの性質を利用して、赤外線の配光を偏光子で測定する方法が報告されている(特許文献1)。しかし、この方法は、赤外線や偏光子を使用するため、高コストであり、また、ラミネートフィルムが使用されていない身分証については、判定できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-130799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、より簡便に、身分証における写真の貼付による偽造を判定する新たなシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の偽造判定方法は、
画像取得工程と、写真領域抽出工程と、判定工程とを有し、
前記画像取得工程は、
写真を含む被判定身分証の画像を取得し、
前記写真領域抽出工程は、
前記被判定身分証の画像から、前記被判定身分証における写真領域を抽出し、
前記判定工程は、
前記被判定身分証の前記写真領域において、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定し、前記偽造特徴情報が含まれる場合に、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定し、
前記偽造特徴情報は、真正身分証における写真領域と異なる特徴情報であることを特徴とする。
【0007】
本発明のプログラムは、前記本発明の偽造判定方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
本発明の記録媒体は、前記本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【0009】
本発明の偽造判定装置は、
画像取得部と、写真領域抽出部と、判定部とを有し、
前記画像取得部は、
写真を含む被判定身分証の画像を取得し、
前記写真領域抽出部は、
前記被判定身分証の画像から、前記被判定身分証における写真領域を抽出し、
前記判定部は、
前記被判定身分証の前記写真領域において、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定し、前記偽造特徴情報が含まれる場合に、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定し、
前記偽造特徴情報は、真正身分証における写真領域と異なる特徴情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、身分証の真の写真に対して、さらに、偽写真を貼付している場合に発生する、ズレ、影等から、真偽を判定する。このため、本発明によれば、より簡便に、身分証における写真の貼付による偽造を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1の偽造判定装置の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態1の偽造判定装置の一例を示すブロック図である。
図3図3は、偽造特徴情報の例を示す概略図である。
図4図4は、識別情報の例を示す概略図である。
図5図5は、識別情報の例を示す概略図である。
図6図6は、実施形態1の偽造判定方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態には限定されない。なお、以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用できる。さらに、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0013】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の偽造判定装置10の一例の構成を示すブロック図である。偽造判定装置10は、画像取得部11、写真領域抽出部12、判定部13および出力部14を有する。なお、出力部14は、任意の構成であり、偽造判定装置10に含まれなくてもよい。偽造判定装置10は、例えば、偽造判定システムともいう。
【0014】
偽造判定装置10は、例えば、前記各部を含む1つの偽造判定装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な偽造判定装置であってもよい。
【0015】
さらに、図2に、偽造判定装置10のハードウエア構成のブロック図を例示する。偽造判定装置10は、例えば、CPU(中央処理装置)101、メモリ102、インターフェイス(I/F)103、カメラ104、入力装置105、ディスプレイ106、通信デバイス107、記憶装置108等を有する。偽造判定装置10の各部は、例えば、I/F103を介して、接続されている。前記ハードウエア構成において、内部での回路間の通信は、バスによって接続される。
【0016】
CPU101は、偽造判定装置10の全体の制御を担う。偽造判定装置10において、CPU101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的に、偽造判定装置10は、例えば、CPU101が、写真領域抽出部12、および判定部13として機能する。
【0017】
I/F103は、例えば、CPU101、メモリ102等のそれぞれの機能部間を接続する。I/F103は、例えば、外部機器とも接続できる。前記外部機器は、例えば、端末等があげられる。偽造判定装置10は、I/F103に接続された通信デバイス107により、通信回線網に接続でき、前記通信回線網を介して、前記外部機器と接続することもできる。
【0018】
メモリ102は、例えば、メインメモリを含み、前記メインメモリは、主記憶装置ともいう。CPU101が処理を行う際には、例えば、後述する補助記憶装置に記憶されている、本発明のプログラム等の種々の動作プログラム109を、メモリ102が読み込み、CPU101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラム109を実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。メモリ102は、例えば、さらに、ROM(読み出し専用メモリ)を含む。
【0019】
記憶装置108は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。記憶装置108は、例えば、記憶媒体と、前記記憶媒体に読み書きするドライブとを含む。前記記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、FD(フロッピー(登録商標)ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等があげられ、前記ドライブは、特に制限されない。記憶装置108は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)も例示できる。記憶装置108には、例えば、前述のように、動作プログラム109が格納される。また、記憶装置108は、例えば、後述する、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報等のデータが格納されてもよい。
【0020】
偽造判定装置10は、例えば、さらに、カメラ104、入力装置105、ディスプレイ106を有する。カメラ104は、例えば、カメラ、およびスキャナ等である。入力装置105は、例えば、タッチパネル等である。ディスプレイ106は、例えば、出力部14となる。ディスプレイ106は、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等があげられる。
【0021】
画像取得部11は、写真を含む前記被判定身分証の画像を取得する。画像取得部11は、例えば、偽造判定装置10のカメラ104である。前記被判定身分証は、例えば、真正身分証であるか否かが不明の身分証である。前記真正身分証は、例えば、偽造ではないことが確認されている身分証である。画像取得部11は、前記被判定身分証における本人写真を含む面(写真面)の画像を取得すればよく、特に制限されず、例えば、前記被判定身分証の種類に応じて、前記被判定身分証の前記写真面のみの画像を取得してもよいし、前記写真面である表面、および裏面の両方の画像を取得してもよいし、表紙、および前記写真面の画像を取得してもよい。
【0022】
前記身分証は、本人写真の記載されている身分証であればよく、特に制限されず、例えば、自動車免許証、国際運転免許証、パスポート、およびマイナンバーカードがあげられる。前記真正身分証における写真は、例えば、印刷されたものでもよいし、貼付けられたものでもよい。
【0023】
写真領域抽出部12は、前記被判定身分証の画像から、前記被判定身分証における写真領域を抽出する。前記写真領域の抽出は、例えば、まず、前記被判定身分証において顔画像を検出し、前記顔画像の周辺領域を前記写真領域としてもよいし、前記被判定身分証の種類に応じて、前記写真領域に相当する規定の位置を切り出してもよい。前記顔画像の検出は、例えば、openCV等の顔検出ソフトウェアを用いることができる。前記規定の位置を切り出す場合、例えば、前記切り出した画像において前記顔画像の検出を行い、顔写真であることを確認してもよい。
【0024】
判定部13は、前記被判定身分証の前記写真領域において、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定し、前記偽造特徴情報が含まれる場合に、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定する。ここで、本発明者らは、前記被判定身分証が偽造された身分証である場合、すなわち、例えば、真正身分証の写真に、さらに偽写真を貼付している場合や、真正身分証の写真を剥がし、偽写真を貼付している場合、前記写真の位置のずれや前記写真の厚みの変化が生じ、前記写真領域の画像において、前記ずれおよび前記厚みの変化による特徴が発生するとの知見を得た。そして、このことから、前記被判定身分証の前記写真領域の画像において、前記特徴が発生しているかを判定することにより、前記被判定身分証の真偽を判定できることを見いだすに至った。本発明によれば、前記被判定身分証の前記写真領域を抽出し、前記写真領域の画像について、真正身分証における写真領域と異なる特徴情報が含まれるかを判定する。このため、例えば、より低コストで、ラミネートフィルムが使用されていない身分証等についても、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定できる。判定部13は、例えば、前記偽造特徴情報が含まれない場合に、前記被判定身分証が真正の身分証であると判定してもよい。
【0025】
判定部13は、前記写真領域において、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定する。前記偽造特徴情報は、真正身分証における写真領域と異なる特徴情報であり、例えば、前記真正身分証の規定の写真枠からのずれ、偽写真の貼り付けによる変化、前記写真領域における割印の有無、前記割印の形状、前記写真領域におけるエンボスの有無、および前記エンボスの形状があげられる。前記偽写真の貼り付けによる変化の情報は、例えば、偽写真の貼り付けによる同一方向における二重の端部の発生、角部における二重の端部の発生、写真の重なりによる段差の発生、および写真の重なりによる影の変化の発生の情報があげられる。前記影の変化は、具体的には、例えば、前記偽写真の浮きによる影の変化、および写真の厚みが増すことによる影の変化があげられる。
【0026】
判定部13は、例えば、前記被判定身分証の写真領域について、前記二重の端部の発生、前記段差の発生、および前記影の変化の発生のうち、少なくとも一つの発生を確認し、少なくとも一つが発生した場合、前記偽造特徴情報を含むと判定できる。前記偽造特徴情報が、前記影の変化の発生である場合、判定部13は、例えば、前記写真領域における写真端部の外側の影が、一重貼りの写真端部の外側の影よりも幅広の影であると確認された場合、および、前記写真領域における写真端部において、印刷の写真では発生しない影が発生していると確認された場合、前記偽造特徴情報を含むと判定できる。
【0027】
前記偽造特徴情報は、例えば、前述のように、偽造判定装置10の記憶装置108等の記憶装置に記憶されてもよいし、外部サーバに蓄積されてもよく、後者の場合、偽造判定装置10は、例えば、前記外部サーバから前記偽造特徴情報を取得してもよい。
【0028】
また、前記偽造特徴情報は、例えば、偽造判定装置10において、前記真正身分証の画像と、前記偽造された身分証の画像とを比較することにより、取得してもよい。すなわち、例えば、偽造判定装置10における画像取得部11および写真領域抽出部12により、前記真正身分証と前記偽造された身分証とについて、画像を取得し、前記身分証の画像から、前記写真領域を抽出する。そして、前記写真領域を比較することにより、前記偽造された身分証について、前記真正身分証とは異なる点を求め、これを前記偽造特徴情報としてもよい。
【0029】
さらに、判定部13は、例えば、前記被判定身分証の写真領域について、前記真正身分証の真正特徴情報を満たすかを判定し、前記真正特徴情報の少なくとも一つを満たさない場合に、前記偽造特徴情報が含まれると判定してもよい。前記真正特徴情報は、例えば、規定の写真枠の位置情報、写真に対する割印情報、および写真に対するエンボス情報からなる群から選択された少なくとも一つの情報である。
【0030】
前記偽造特徴情報および前記真正特徴情報は、例えば、前記真正身分証の種類に応じて異なってもよく、この場合、前記偽造特徴情報および前記真正特徴情報は、例えば、記憶装置108において、前記真正身分証の種類と紐付けられて記憶される。
【0031】
前記判定は、例えば、既知の画像解析ソフトウェアにより行うことができる。判定部13は、例えば、前記被判定身分証の前記写真領域について画像解析を行い、前記偽造特徴情報が検出された場合、前記被判定身分証に前記偽造特徴情報が含まれると判定できる。
【0032】
判定部13は、例えば、前記写真領域の全体について、前記偽造特徴情報が含まれるかを判定してもよいし、前記写真領域の一部について、前記偽造特徴情報が含まれるかを判定してもよい。前記写真領域の一部は、例えば、前記写真領域の写真端部があげられる。
【0033】
前記偽造特徴情報を用いた前記判定について、図3を用いて、具体的に説明する。なお、図3の各画像において、見やすさのため、前記写真領域および前記偽造特徴情報等について、実際よりも拡大して示す場合がある。また、図3において、前記写真領域および前記偽造特徴情報等は、例示であり、本発明は、これらには制限されない。図3(A)~(E)は、前記被判定身分証において、偽写真の貼り付けによる変化が生じている例である。図3(A)は、前記偽写真の貼り付けにより、前記写真領域の角部における二重の端部が発生している場合を示し、偽写真の貼り付けにより、前記貼り付けられた写真の下に、前記真正身分証の写真が見えていることを示す。図3(B)は、偽写真の貼り付けによる段差が発生している場合を示し、偽写真の貼り付けにより、前記貼り付けられた写真において、前記真正身分証の写真の影響による段差が生じていることを示す。図3(C)は、偽写真の貼り付けによる同一方向における二重の端部が発生している場合を示し、偽写真の貼り付けにより、前記貼り付けられた写真の下に、前記真正身分証の写真が見えていることを示す。図3(D)は、写真の重なりによる浮きが発生している場合を示し、偽写真の貼り付けにより、写真端部の外側の影が、一重貼りの写真端部の外側の影よりも幅広の影となっていることを示す。図3(E)は、写真の重なりにより、写真の厚みが増すことによる影の変化が発生している場合を示し、偽写真の貼り付けにより、写真端部の外側の影が、一重貼りの写真端部の外側の影よりも幅広の影となっていることを示す。
【0034】
偽造判定装置10は、例えば、さらに、前記被判定身分証の種別を判定する種別判定部を有してもよい。すなわち、例えば、偽造判定装置10の記憶装置108等の記憶装置において、身分証の種類と、前記身分証の識別情報とを紐づけて記憶しておく。そして、前記種別判定部は、前記被判定身分証の画像において、前記身分証の識別情報を検出し、前記識別情報が検出された場合に、前記被判定身分証が、前記検出された識別情報が紐づけられた身分証の種類に該当すると判定できる。前記識別情報は、例えば、真正身分証に含まれる身分証の種類を示す部位の画像情報、および、前記真正身分証における前記部位の位置情報を含む。前記識別情報が、例えば、前記画像情報および前記位置情報を含む場合、前記種別判定部は、例えば、前記被判定身分証の画像から前記位置情報における画像を抽出し、前記抽出した画像と前記識別情報の前記画像情報とが一致するかを判定し、一致する場合に、前記被判定身分証の種別を、前記識別情報に紐付けられた前記真正身分証の種類であると判定できる。
【0035】
前記識別情報について、図4および図5を用いて、具体的に説明する。図4(A)および(B)に示すように、前記真正身分証が、運転免許証である場合、前記識別情報における前記画像情報は、例えば、「運転免許証」という文字の画像である。そして、前記識別情報における前記位置情報は、例えば、前記画像が、前記運転免許証の画像における左下端を基準として、右54mm、上33mmに存在するという情報である。
【0036】
図5(A)および(B)に示すように、前記真正身分証が、国際運転免許証である場合、前記識別情報における前記画像情報は、例えば、「国際運転免許証」という文字の画像である。そして、前記識別情報における前記位置情報は、例えば、前記画像が、前記国際運転免許証の画像における左下端を基準として、右20mm、上13mmに存在するという情報である。
【0037】
出力部14は、判定部13による判定結果を出力する。出力部14による前記判定結果の出力は、例えば、通信回線網を介して、外部端末に対して行われてもよいし、偽造判定装置10がディスプレイ106を有する場合は、ディスプレイに出力してもよい。
【0038】
つぎに、本実施形態の偽造判定方法について、図6を用いて説明する。図6は、前記偽造判定方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態の偽造判定方法は、例えば、図1の偽造判定装置10を用いて、次のように実施できる。なお、本実施形態の偽造判定方法は、図1の偽造判定装置10の使用には限定されない。
【0039】
まず、前記画像取得工程において、画像取得部11により、写真を含む被判定身分証の画像を取得する(S101)。
【0040】
つぎに、前記写真領域抽出工程において、写真領域抽出部12により、前記被判定身分証の画像から、前記被判定身分証における写真領域を抽出する(S102)。
【0041】
つぎに、前記被判定身分証の前記写真領域において、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定する(S103)。そして、前記偽造特徴情報が含まれる場合に、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定し、前記偽造特徴情報が含まれない場合に、前記身分証が真正の身分証であると判定する。
【0042】
そして、前記出力工程において、出力部14により、前記判定結果を出力し(S104)、終了する。
【0043】
このように、本実施形態の偽造判定方法によれば、前記被判定身分証の前記写真領域を抽出し、前記写真領域の画像について、前記写真が上貼りされたものであることを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定する。このため、例えば、より低コストで、ラミネートフィルムが使用されていない身分証等についても、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定できる。また、本実施形態によれば、例えば、特に無人で身分証を判定するような場合に、有用である。
【0044】
[実施形態2]
本実施形態のプログラムは、前記各実施形態の偽造判定方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。または、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0045】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、身分証の真の写真に対して、さらに、偽写真を貼付している場合に発生する、ズレ、影等から、真偽を判定する。このため、本発明によれば、より簡便に、身分証における写真の貼付による偽造を判定できる。
【0047】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載しうるが、以下には限定されない。
(付記1)
画像取得工程と、写真領域抽出工程と、判定工程とを有し、
前記画像取得工程は、
写真を含む被判定身分証の画像を取得し、
前記写真領域抽出工程は、
前記被判定身分証の画像から、前記被判定身分証における写真領域を抽出し、
前記判定工程は、
前記被判定身分証の前記写真領域において、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定し、前記偽造特徴情報が含まれる場合に、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定し、
前記偽造特徴情報は、真正身分証における写真領域と異なる特徴情報であることを特徴とする偽造判定方法。
(付記2)
前記偽造特徴情報が、前記真正身分証の規定の写真枠からのずれ、偽写真の貼り付けによる変化、前記写真領域における割印の有無、前記割印の形状、前記写真領域におけるエンボスの有無、および前記エンボスの形状からなる群から選択された少なくとも一つの情報である、付記1記載の偽造判定方法。
(付記3)
前記偽写真の貼り付けによる変化の情報が、偽写真の貼り付けによる二重の端部の発生、写真の重なりによる段差の発生、および写真の重なりによる影の変化の発生からなる群から選択された少なくとも一つの情報である、付記2記載の偽造判定方法。
(付記4)
前記判定工程において、前記被判定身分証の写真領域について、前記二重の端部の発生、前記段差の発生、および前記影の変化の発生からなる群から選択された少なくとも一つの発生を確認し、少なくとも一つが発生した場合、前記偽造特徴情報を含むと判定する、付記3記載の偽造判定方法。
(付記5)
前記判定工程において、前記写真領域における写真端部の外側の影が、一重貼りの写真端部の外側の影よりも幅広の影が確認された場合、および、前記写真領域における写真端部において、印刷の写真では発生しない影が発生していると確認された場合、影の変化の発生であるとして、前記偽造特徴情報を含むと判定する、付記1から4のいずれかに記載の偽造判定方法。
(付記6)
前記判定工程において、前記被判定身分証の写真領域について、前記真正身分証の真正特徴情報を満たすかを判定し、前記真正特徴情報の少なくとも一つを満たさない場合に、前記偽造特徴情報が含まれると判定し、
前記真正特徴情報は、規定の写真枠の位置情報、写真に対する割印情報、および写真に対するエンボス情報からなる群から選択された少なくとも一つの情報を含む、付記1から5のいずれかに記載の偽造判定方法。
(付記7)
さらに、偽造特徴情報取得工程を有し、
前記偽造特徴情報取得工程において、前記真正身分証の画像と、偽造された身分証の画像とを比較することにより、前記偽造特徴情報を取得する、付記1から6のいずれかに記載の偽造判定方法。
(付記8)
さらに、種別判定工程を有し、
前記種別判定工程において、前記被判定身分証の画像において、身分証の種類に紐づけられた前記身分証の識別情報を検出し、前記識別情報が検出された場合に、前記被判定身分証が、前記検出された識別情報が紐づけられた身分証の種類に該当すると判定する、付記1から7のいずれかに記載の偽造判定方法。
(付記9)
前記識別情報が、真正身分証に含まれる身分証の種類を示す部位の画像情報、および、前記真正身分証における前記部位の位置情報を含む、付記8記載の偽造判定方法。
(付記10)
さらに、出力工程を有し、
前記出力工程において、前記判定工程における判定結果を出力する、付記1から9のいずれかに記載の偽造判定方法。
(付記11)
前記身分証が、自動車免許証、国際運転免許証、パスポート、およびマイナンバーカードからなる群から選択された少なくとも一つである、付記1から10のいずれかに記載の偽造判定方法。
(付記12)
付記1から11のいずれかに記載の偽造判定方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
(付記13)
付記12記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記14)
画像取得部と、写真領域抽出部と、判定部とを有し、
前記画像取得部は、
写真を含む被判定身分証の画像を取得し、
前記写真領域抽出部は、
前記被判定身分証の画像から、前記被判定身分証における写真領域を抽出し、
前記判定部は、
前記被判定身分証の前記写真領域において、偽写真の貼り付けを示す偽造特徴情報が含まれるかを判定し、前記偽造特徴情報が含まれる場合に、前記被判定身分証が偽造の身分証であると判定し、
前記偽造特徴情報は、真正身分証における写真領域と異なる特徴情報であることを特徴とする偽造判定装置。
(付記15)
前記偽造特徴情報が、前記真正身分証の規定の写真枠からのずれ、偽写真の貼り付けによる変化、前記写真領域における割印の有無、前記割印の形状、前記写真領域におけるエンボスの有無、および前記エンボスの形状からなる群から選択された少なくとも一つの情報である、付記14記載の偽造判定装置。
(付記16)
前記偽写真の貼り付けによる変化の情報が、偽写真の貼り付けによる二重の端部の発生、写真の重なりによる段差の発生、および写真の重なりによる影の変化の発生からなる群から選択された少なくとも一つの情報である、付記15記載の偽造判定装置。
(付記17)
前記判定部は、前記被判定身分証の写真領域について、前記二重の端部の発生、前記段差の発生、および前記影の変化の発生からなる群から選択された少なくとも一つの発生を確認し、少なくとも一つが発生した場合、前記偽造特徴情報を含むと判定する、付記16記載の偽造判定装置。
(付記18)
前記判定部は、前記写真領域における写真端部の外側の影が、一重貼りの写真端部の外側の影よりも幅広の影が確認された場合、および、前記写真領域における写真端部において、印刷の写真では発生しない影が発生していると確認された場合、影の変化の発生であるとして、前記偽造特徴情報を含むと判定する、付記14から17のいずれかに記載の偽造判定装置。
(付記19)
前記判定部は、前記被判定身分証の写真領域について、前記真正身分証の真正特徴情報を満たすかを判定し、前記真正特徴情報の少なくとも一つを満たさない場合に、前記偽造特徴情報を含が含まれると判定し、
前記真正特徴情報は、規定の写真枠の位置情報、写真に対する割印情報、および写真に対するエンボス情報からなる群から選択された少なくとも一つの情報を含む、付記14から18のいずれかに記載の偽造判定装置。
(付記20)
さらに、偽造特徴情報取得部を有し、
前記偽造特徴情報取得部において、前記真正身分証の画像と、偽造された身分証の画像とを比較することにより、前記偽造特徴情報を取得する、付記14から19のいずれかに記載の偽造判定装置。
(付記21)
さらに、種別判定部を有し、
前記種別判定部は、前記被判定身分証の画像において、身分証の種類に紐づけられた前記身分証の識別情報を検出し、前記識別情報が検出された場合に、前記被判定身分証が、前記検出された識別情報が紐づけられた身分証の種類に該当すると判定する、付記14から20のいずれかに記載の偽造判定装置。
(付記22)
前記識別情報が、真正身分証に含まれる身分証の種類を示す部位の画像情報、および、前記真正身分証における前記部位の位置情報を含む、付記21記載の偽造判定装置。
(付記23)
さらに、出力部を有し、
前記出力部が、前記判定部による判定結果を出力する、付記14から22のいずれかに記載の偽造判定装置。
(付記24)
前記身分証が、自動車免許証、国際運転免許証、パスポート、およびマイナンバーカードからなる群から選択された少なくとも一つである、付記14から23のいずれかに記載の偽造判定装置。
【符号の説明】
【0048】
10 偽造判定装置
11 画像取得部
12 写真領域抽出部
13 判定部
14 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6