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  • 特許-粉粒体の定量フィーダ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】粉粒体の定量フィーダ装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/48 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B65G65/48 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018130316
(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公開番号】P2020007112
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】508038806
【氏名又は名称】株式会社アイシンナノテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】月原 信夫
(72)【発明者】
【氏名】高久 浩二
(72)【発明者】
【氏名】豊田 敦史
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】実公昭29-010194(JP,Y1)
【文献】実開昭57-135530(JP,U)
【文献】特開2012-072491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1定量部によって定量した第1粉粒体を、ワークに相当する位置に配置された第1排出シュートを介してワークに排出する第1定量フィーダ装置と、
第1定量部よりも低い位置に設置された第2定量部によって第2粉粒体を定量し、ワークに相当する位置に配された第2排出シュートを介してワークに排出する第2定量フィーダ装置と、
第2定量フィーダ装置の第2排出シュートが接続され、上下方向に延在する筒形状のフレームと、フレームの上端から下端までの間の少なくとも一か所に、フレームの筒孔を遮るように配置された網とを有する網体とを有し、
第1排出シュートは、隙間を介して第2排出シュートに挿入されている粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項2】
第1排出シュートは、第2排出シュートおよび網体の網を貫通している請求項1に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項3】
第1排出シュートの下端は、第2排出シュートの上端から、一番上の網までの間のいずれかに位置している請求項1に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項4】
網体のフレームを振動させることにより網体全体を振動させる振動装置を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項5】
網は、フレームの上端から下端までの間に2以上設置され、それぞれの網は上下方向に間隔を置いて設置されている請求項1ないし4のいずれかに記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類以上の粉体、粒体もしくはこれらの混合したもの(以下、粉粒体という)を、ワークに供給する粉粒体の定量フィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉体、粒体もしくはこれらの混合したもの(以下、粉粒体という)を、板状もしくはトレー状のワーク上に均一に供給する技術が求められている。このような技術に関し、出願人は、特許文献1に開示された粉粒体の定量フィーダ装置を開発した。特許文献1の装置では、ワークに、粉粒体を高精度で均一に、かつ、短時間で供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特願2017-119197号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、粉粒体を供給する態様が多様化しており、同時に2種類以上の粉粒体を定量し、1つのワークに供給したいというユーザの要望が高まってきている。具体的には、2種類以上の粉粒体をそれぞれ同時に定量し、1つのワーク上に混合させて供給したいという要望がある。また、別の要望としては、2種類以上の粉粒体をそれぞれ同時に定量し、ワークの平面上の所定の位置に、1種類目の粉粒体を供給し、その他の部分に2種類目の粉粒体を供給したいという要望もある。
【0005】
しかしながら、特許文献1の粉粒体の定量フィーダ装置の排出孔は、1種類の粉粒体をワークに均一に分散させることしかできず、このような要望に応えることはできない。
【0006】
本発明は、このような問題点に対しなされたものであり、2種類以上の粉粒体をワーク上に供給する粉粒体のフィーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために以下のような特徴を有している
【0008】
[1]第1定量部によって定量した第1粉粒体を、ワークに相当する位置に配置された第1排出シュートを介してワークに排出する第1定量フィーダ装置と、
第1定量部よりも低い位置に設置された第2定量部によって第2粉粒体を定量し、ワークに相当する位置に配された第2排出シュートを介してワークに排出する第2定量フィーダ装置と、
第2定量フィーダ装置の第2排出シュートが接続され、上下方向に延在する筒形状のフレームと、フレームの上端から下端までの間の少なくとも一か所に、フレームの筒孔を遮るように配置された網とを有する網体とを有し、
第1排出シュートは、隙間を介して第2排出シュートに挿入されている粉粒体の定量フィーダ装置。
[2]第1排出シュートは、第2排出シュートおよび網体の網を貫通している[1]に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
[3]第1排出シュートの下端は、第2排出シュートの上端から、一番上の網までの間のいずれかに位置している[1]に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
[4]網体のフレームを振動させることにより網体全体を振動させる振動装置を有する[1]ないし[3]のいずれかに記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
[5] 網は、フレームの上端から下端までの間に2以上設置され、それぞれの網は上下方向に間隔を置いて設置されている[1]ないし[4]のいずれかに記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の要部拡大図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の網体の構成を示す図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る粉粒体の定量フィーダ装置の網体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する
【0011】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の全体構成を示す図であり、図1Aは平面図、図1Bは側面図である。図2は、図1の粉粒体の定量フィーダ装置の要部拡大図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の網体の構成を示す側面図である。
【0012】
この粉粒体の定量フィーダ装置は、ワーク(図示せず)に、2種類以上の粉粒体を均一に供給する装置である。この例では、粉粒体の定量フィーダ装置は、2種類の粉粒体をワークに供給するものとして説明する。
【0013】
図1Aおよび図1Bに示すように、この粉粒体の定量フィーダ装置は、略同一構成を有する2つの定量フィーダ装置100、200と、定量フィーダ装置100、200の粉粒体の排出シュートが接続される網体300を有している。
【0014】
第1定量フィーダ装置100は、第1定量部12Aによって定量した第1粉粒体を、ワークに相当する位置に配置された第1排出シュート16を介してワークに排出する。第2定量フィーダ装置200は、第1定量部12Aよりも低い位置に設置された第2定量部12Bによって第2粉粒体を定量し、ワークに相当する位置に配された第2排出シュート17を介してワークに排出する。第1排出シュート16は、第2排出シュート17の中を貫通している。
【0015】
網体300は、第2定量フィーダ装置200の第2排出シュート17が漏斗状の連結部材18を介して接続されている。網体300は、上下方向に延在する筒形状のフレームと、フレームの上端から下端までの間の少なくとも一か所に、フレームの筒孔を遮るように配置された網とを有する。網体300の詳細な構成については、図3を用いて後述する。
【0016】
第1定量フィーダ装置100は、リンクアーム52Aを組み合わせた架台15Aを有している。架台15Aの上には、ベースフレーム14Aが固定されている。ベースフレーム14Aには、粉粒体が収容される収容容器11A、粉粒体を定量する第1定量部12A、第1定量部12Aによって定量された粉粒体を排出する第1排出シュート16、第1定量部12Aを駆動するモータ13Aが設置されている。架台15Aのハンドル51Aを操作して、リンクアーム52Aを上下方向に伸縮させることで、ベースフレーム14Aの水平性を保ったまま、ベースフレーム14Aおよびこれに設置された上記部品全体を上下動させることができる。
【0017】
収容容器11Aは、粉粒体が供給される開口を上側に備えた円筒形状の容器である。収容容器11Aの内部には、略L字状の丸棒からなる攪拌棒11Aaが取り付けられている。攪拌棒11Aaは、回転することで収容容器11内の粉粒体が、ブリッジや収容容器11Aの内側側面に付着しないように機能する。収容容器11Aの底には、排出孔11Ab(図2参照)が形成され、排出孔11Abの下に第1定量部12Aが配置されている。第1定量部12Aは、収容容器11Aから落下してくる粉粒体を定量し、下方の第1排出シュート16に排出するように構成されている。収容容器11Aは、円筒形状に限られず、例えば、下方になるに従い径が小さくなるコーン形状としてもよい。
【0018】
図2に示すように、第1定量部12Aは、2つの歯車121、122がかみ合わされて構成されている。収容容器11Aの排出孔から落下した第1粉粒体は、排出孔の下の歯車121の歯と歯の間の空間(計量孔121a)に充填される。歯車121はモータ13Aによって回転している。計量孔121aが、歯車121の回転により、略180度回転したところで、歯車122の歯によって計量孔121aの粉粒体が強制的に排出される。歯車121、122が噛み合う位置の下には、第1排出シュート16が配されており、強制排出された第1粉粒体は、第1排出シュート16から排出される。図2の例では、歯車121、122が噛み合う位置の上に、重りとなるボール124が置かれており、ボール124の重さを粉粒体に加えることによって、粉粒体を排出させやすくしている。
【0019】
なお、このような定量部の構成については、本出願人による特開2017-088264に記載されている。定量部については、粉粒体の定量ができれば上記の構成に限らず、種々の構成を用いることができる。
【0020】
上述したとおり、第2定量フィーダ装置200は、第1定量フィーダ装置100と略同一構成を有している。具体的には、図1に示すように、第2定量フィーダ装置200は、収容容器11B、第2定量部12B、モータ13B、ベースフレーム14B、架台15B、第2排出シュート17を有している。第1定量フィーダ装置100と同一部品については、符号の末尾のAとBのみが異なる符号を付すことによりその説明を省略する。
【0021】
ただし、第2定量部12Bについては、図2に示すように、1つの歯車123により構成されている。収容容器11Bの排出孔11Bbから落下した第1粉粒体は、歯車123の歯と歯の間の空間(計量孔123a)に充填され、略180度回転したところで、第2排出シュート17から排出される。歯車123の第2排出シュート17に相当する位置には、ボール125が設けられており、歯車123からの第2粉粒体の排出を促進するように構成されている。
【0022】
図2に示すように、第2定量フィーダ装置200の第2定量部12Bは、第1定量フィーダ装置100の第1定量部12Aよりも低い位置に配されている。第2排出シュート17は、第1排出シュート16よりも径が大きくなるように構成され、第2排出シュート17の中を、第1排出シュート16が貫通するように構成されている。第2排出シュート17の内側、かつ、第1排出シュート16の外側の空間を、第2粉粒体が通過するため、第2排出シュート17と第1排出シュート16には、第2粉粒体が通過できるよう隙間が設けられている。第1排出シュート16および第2排出シュート17はともに、網体300に接続されている。
【0023】
図3は、網体の構成を示す図である。網体300は、上下方向に延在する筒状のフレーム(フレーム部品22、23、24を連結したもの)と、3段の網26、27、28を備えている。網26、27、28は、上下方向に間隔を置いてフレームに固定されている。第2排出シュート17は、連結部材18によって網体300に連結されている。連結部材18は、上端が第2排出シュートに連結され、径が下方になるに従って小さくなっている。連結部材18の下端が網体300に接続されている。なお、連結部材18は、第2排出シュート17と網体300の上端の径が異なる場合に設置すればよく、第2排出シュート17と網体300の上端の径が同程度であれば、直接両者を連結してもよい。
【0024】
フレーム(フレーム部品22、23、24を連結したもの)の最下端の筒孔形状は、ワークの平面形状に相当した形状を有している。ここで、「ワークの平面形状に相当する形状」とは、ワークの平面形状と同一、ないしは、ワークの平面形状と相似形であり、数mm程度大きく、もしくは小さいものを含むものとする。粉粒体の分散する性質に応じて、フレームの最下端の筒孔の大きさを任意に選択することができる。
【0025】
上部フレーム部品21は、円筒部21aとフランジ部21bを有しており、円筒部21aに連結部材18が嵌合部材30を介して挿入されている。フレーム部品22、23、24の内筒形状をワークの外形に応じた形状とすることで、任意の形状のワークに粉粒体を供給することができる。この説明では、四角いワークに粉粒体を供給する場合の構成を例として説明する。
【0026】
フレーム部品22は、角筒部22aと、角筒部22aの上端および下端のそれぞれに形成されたフランジ部22b有している。フレーム部品23も同様に、角筒部23aと、角筒部23aの上端および下端のそれぞれに形成されたフランジ部23b有している。最下端のフレーム部品24は、角筒部24aと、角筒部24aの上端に形成されたフランジ部24bを有している。フレーム部品22、23、24は、内筒の平面形状が、同一の四角形である。角筒部22a、23a、24aの四辺におけるフランジ部22b、23b、24bは、上下方向に貫通するネジ25によって連結されている。
【0027】
上部フレーム部品21のフランジ部21bと、フレーム部品22の上側のフランジ部22bとによって、第1の網26が挟まれて固定されている。同様に、フレーム部品22の下のフランジ部22bとフレーム部品23の上側のフランジ部23bとによって、第2の網27が挟まれて固定され、フレーム部品23の下側のフランジ部23bとフレーム部品24のフランジ部24bとによって、第3の網28が挟まれて固定されている。
【0028】
網26、27、28は、フレームの筒孔を遮るように配置されている。網26、27、28の網目の大きさは、粉粒体によって任意に選択すればよい。三段とも同じ大きさの網目でもよく、異なる網目の大きさとしてもよい。複数の網26、27、28は、網目の向きが揃っていてもよく、網目を所定の角度ずらして配置することもでき、網目の位置をXY方向にずらして、平面視において、各網目の穴の位置がそろわないようすることもできる。網目の大きさや向きを変更することで、粉粒体の粒度や排出速度を調整することができる。また、向きや位置を変えることで、目の粗い網目でも確実に分散できるため、目の細かい網目を使った際の目詰まりや、分散時間の長時間化を防止することができる。
【0029】
3段の網26、27、28には、いずれも中央部に孔が形成されており、この孔に第1排出シュート16が挿入されている。このような構成により、第1定量フィーダ装置100によって定量された第1粉粒体が、第2排出シュート17および網体300を貫通する第1排出シュート16を通って、ワークに排出される。一方、第2定量フィーダ装置200によって定量された第2粉粒体は、第2排出シュート17、連結部材18を通って、網体300に排出され、網体300によって篩われてワーク全体に均一に分散される。これによって、ワークに、第2粉粒体が均一に供給され、ワークの中央に第1粉粒体が供給される。本実施形態では、第1排出シュート16の下端を円形、フレーム部品24の下端を四角形にしているため、図3Bに示すように、正方形に分布された第2粉粒体の中心に第1粉粒体が配される。
このように、第1排出シュート16の下端及びフレーム部品24の下端の形状を、それぞれ四角形、星型、三角形、円形など、任意の形状にすることで、ワーク上に、このような形状の第1粉粒体及び第2粉粒体を配することができる。
【0030】
図1に示すように、本発明に係る粉粒体の定量フィーダ装置には、さらに、振動装置400が設けられている。振動装置400は、板バネ103によって網体300に接続されており、発生させた振動を網体300に加えるように構成されている。振動装置400によって網体300全体を振動させることで、3段の網26、27、28によって粉粒体が篩われることを促進することができる。なお、振動装置400は、設置しなくてもよい。
【0031】
このように構成された粉粒体の定量フィーダ装置では、第1定量フィーダ装置100と第2定量フィーダ装置200の定量部の高さを上下に配し、第1排出シュート16を第2排出シュート17の内側に通すことで、2種類の粉粒体を同時に定量し、1つのワークに供給することができる。
【0032】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2に係る定量フィーダ装置の構成を示す図である。実施の形態1では、第1排出シュート16が、第2排出シュート17および網体300の網26、27、28を貫通していたが、実施の形態2では、第1排出シュート16は、第2排出シュートの上端から、一番上の網までの間に位置している。このように、第1排出シュート16の下端を、第2排出シュート17の上端から、一番上の網26までの間に配すれば、第1排出シュート16から排出された第1粉粒体と、第2排出シュート17によって排出された第2粉粒体が網体300の内部で混合され、ワークに排出される。これによって、2種類の粉粒体を同時に定量し、網体300によって混合してワークに供給することができる。なお、実施の形態2では、第1排出シュート16の下端が一番上の網までの間に位置しているものを例として説明したが、これに限られるものではなく、第1排出シュート16から排出された第1粉粒体と、第2排出シュート17によって排出された第2粉粒体が網体300の内部で混合できれば足りるため、第1排出シュート16の下端は、第2排出シュート17の上端に達していれば足りる。
【符号の説明】
【0033】
11A、11B 収容容器
12A、12B 定量部
13A、13B モータ
16、17 排出シュート
15A、15B 架台
14A、14B ベースフレーム
26、27、28 網
51A、51B ハンドル
52A,52B リンクアーム
100 第1定量フィーダ装置
200 第2定量フィーダ装置
300 網体
400 振動装置
図1
図2
図3
図4