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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】除菌脱臭装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20221101BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20221101BHJP
【FI】
A61L9/01 P
F24F7/003
A61L9/01 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018167114
(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公開番号】P2020039420
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】506310050
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】内海 洋
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-102923(JP,A)
【文献】特開2006-341249(JP,A)
【文献】特開2000-033221(JP,A)
【文献】特開2003-227622(JP,A)
【文献】特開2016-121040(JP,A)
【文献】特開平07-096116(JP,A)
【文献】特開2006-150135(JP,A)
【文献】特開2018-21008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
F24F 7/003
F24F 8/00- 8/99
B01D 53/14-53/18
B01D 53/34-53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を利用したフィルターに空気を通過させ、この通過後の空気を対象空間に供給する除菌脱臭装置であって、
水を冷却する冷却手段と、
この冷却手段による冷却後の水を前記フィルターに供給する供給手段と
水貯留部を形成する貯留部形成手段とを備え、
前記冷却手段は、前記水貯留部に配置された冷却パイプを有し、
前記供給手段は、
前記水貯留部に貯留された冷却後の水を吸引する吸引パイプと、
この吸引パイプに設けられ、冷却後の水を前記フィルターに向けて噴射する噴射ノズルとを有する
ことを特徴とする除菌脱臭装置。
【請求項2】
フィルターに空気を通過させ、この通過後の空気を対象空間に供給する除菌脱臭装置であって、
次亜塩素酸水を生成する生成手段と、
この生成手段によって生成された次亜塩素酸水を冷却する冷却手段と、
この冷却手段による冷却後の次亜塩素酸水を前記フィルターに供給する供給手段と、
水貯留部を形成する貯留部形成手段とを備え、
前記冷却手段は、前記水貯留部に配置された冷却パイプを有し、
前記供給手段は、
前記水貯留部に貯留された冷却後の次亜塩素酸水を吸引する吸引パイプと、
この吸引パイプに設けられ、冷却後の次亜塩素酸水を前記フィルターに向けて噴射する噴射ノズルとを有する
ことを特徴とする除菌脱臭装置。
【請求項3】
冷却パイプは、水貯留部にジグザグ状に配置され、
前記水貯留部では、前記冷却パイプに沿って水がジグザグ状に流れる
ことを特徴とする請求項1記載の除菌脱臭装置。
【請求項4】
水貯留部に貯留された水の温度を検知する水温検知手段と、
この水温検知手段で検知された温度の情報を表示する表示手段とを備える
ことを特徴とする請求項1又は3記載の除菌脱臭装置。
【請求項5】
冷却パイプは、水貯留部にジグザグ状に配置され、
前記水貯留部では、前記冷却パイプに沿って次亜塩素酸水がジグザグ状に流れる
ことを特徴とする請求項2記載の除菌脱臭装置。
【請求項6】
水貯留部に貯留された次亜塩素酸水の温度を検知する水温検知手段と、
この水温検知手段で検知された温度の情報を表示する表示手段とを備える
ことを特徴とする請求項2又は5記載の除菌脱臭装置。
【請求項7】
フィルターに空気を通過させ、この通過後の空気を対象空間に供給する除菌脱臭装置であって、
次亜塩素酸水を生成する生成手段と、
この生成手段によって生成された次亜塩素酸水を冷却する冷却手段と、
この冷却手段による冷却後の次亜塩素酸水を前記フィルターに供給する供給手段と、
水貯留部を形成する貯留部形成手段と、
前記水貯留部に貯留された次亜塩素酸水の水位を検知する水位検知手段とを備え、
前記生成手段は、
次亜塩素酸水生成器と、
この次亜塩素酸水生成器を制御する制御部とを有し、
前記制御部が前記水位検知手段の検知に基づいて前記水貯留部に貯留された次亜塩素酸水の水位が所定値以下であると判断した場合に、前記次亜塩素酸水生成器が次亜塩素酸水を生成する
ことを特徴とする除菌脱臭装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象空間の冷房を行うことができる除菌脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば次亜塩素酸(HClO)を含む水である次亜塩素酸水は、空気の除菌や脱臭を行うことが可能な液体であり、しかも人や家畜に無害であるため、消毒剤等として広く使用されている。特に、塩分を含まない無塩型次亜塩素酸水は、鉄等を錆びさせることなく、飲用に適したpH6.0~8.6では「飲用許可」が出るほど安全である。
【0003】
ここで、そのような次亜塩素酸水を用いて空気の除菌脱臭を行う装置として、例えば下記の特許文献1に記載された室内除菌脱臭装置が知られている。
【0004】
この室内除菌脱臭装置は、エアーシャワー室の天井部に沿って送気管を配設し、前記送気管にこの送気管から前記エアーシャワー室内へ向かって下向きに気体を噴出する噴出管を複数個設けると共に、前記送気管内を圧縮空気と次亜塩素酸水のミストとが混合して流れるように形成し、この混合気体が前記噴出管の開口から噴出するように形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-100718号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の除菌脱臭装置では、空気の除菌及び脱臭はできるが、空気を冷やす機能はなく冷房はできない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、対象空間の冷房を行うことができる除菌脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る除菌脱臭装置は、フィルターに空気を通過させ、この通過後の空気を対象空間に供給する除菌脱臭装置であって、水を冷却する冷却手段と、この冷却手段による冷却後の水を前記フィルターに供給する供給手段とを備えるものである。
【0009】
また、本発明に係る除菌脱臭装置は、フィルターに空気を通過させ、この通過後の空気を対象空間に供給する除菌脱臭装置であって、次亜塩素酸水を生成する生成手段と、この生成手段によって生成された次亜塩素酸水を冷却する冷却手段と、この冷却手段による冷却後の次亜塩素酸水を前記フィルターに供給する供給手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対象空間の冷房を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る除菌脱臭装置の一部分解斜視図である。
図2】同上除菌脱臭装置の貯留部形成手段及び冷却パイプを示す平面図である。
図3】同上除菌脱臭装置の供給手段を示す説明図である。
図4】(a)はフィルターの部分斜視図であり、(b)及び(c)は金属板の変形例を示す図である。
図5】同上除菌脱臭装置の水位検知手段(フロート)を示す概略図である。
図6】同上除菌脱臭装置の生成手段を示すブロック図である。
図7】同上除菌脱臭装置を設置した牛舎を示す概略図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る除菌脱臭装置の正面視断面図である。
図9】同上除菌脱臭装置の部分平面図である。
図10】同上除菌脱臭装置の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0013】
図7において、1は畜舎としての牛舎で、この牛舎1は、家畜である牛を飼育するための建物である。そして、牛舎1の天井部2には、牛がいる対象空間(建物内の室内空間である飼育空間)3の空気を当該対象空間3にいる牛にとって最適な状態にするための除菌脱臭装置5が複数台、設置されている。
【0014】
除菌脱臭装置(空調装置)5は、例えば次亜塩素酸(HClO)を含む水である次亜塩素酸水を用いて、除菌、脱臭、除塵、冷房及び加湿を同時に行うことが可能な装置(冷房可能な室内除菌脱臭装置)である。
【0015】
まず、除菌脱臭装置5は、図1に示すように、箱状のケース体11を備えている。このケース体11の一方側の側面には空気入口部12が形成され、この空気入口部12は、冷却後の次亜塩素酸水を含んだフィルター(次亜塩素酸水含有フィルター)13によって覆われている。また、ケース体11の前面には空気出口部16が形成され、ケース体11内のうち空気出口部16と対向する位置には、送風機(ファン)17が収納配置されている。
【0016】
送風機17は、前後方向に延びる回転軸18と、この回転軸18に取り付けられた複数の羽根19,20とを有している。なお、ケース体11の前面に形成された円形状の空気出口部16は、対応する円形状でかつ網状をなす安全カバー(図示せず)で覆われている。
【0017】
そして、送風機17の作動時には、牛舎1内の対象空間3の処理前の空気(汚れた空気)が空気入口部12からフィルター13を通過してケース体11内に導入され、その後、当該フィルター13を通過した処理後の空気(フィルター通過により浄化されかつ低温となった空気)が冷却後の次亜塩素酸水のミスト(微粒子)とともに空気出口部16から牛舎1内の対象空間3に放出供給される。
【0018】
また、除菌脱臭装置5は、図2等にも示されるように、水道水から次亜塩素酸水を生成する生成手段21と、この生成手段21によって生成された次亜塩素酸水を所定温度(例えば約0℃~5℃)になるまで冷却する冷却手段22と、この冷却手段22による冷却後の次亜塩素酸水(冷えた低温の次亜塩素酸水)をフィルター13に供給して含浸させる供給手段23とを備えている。
【0019】
さらに、除菌脱臭装置5は、生成手段21によって生成された次亜塩素酸水が供給管30から供給されて一時的に貯留される水貯留部25を形成する貯留部形成手段26と、水貯留部(冷却用貯留部)25に貯留された次亜塩素酸水の水位を検知する水位検知手段27とを備えている。なお、水位検知手段27は、水貯留部25に貯留された次亜塩素酸水の水面に浮かぶフロートである(図5等を参照)。
【0020】
生成手段21は、図6に示すように、水道管29によって供給される水道水から無塩型の次亜塩素酸水(例えば金属を腐食しにくい無塩型弱酸性次亜塩素酸水)を生成し、この生成した次亜塩素酸水を供給管30を通して水貯留部25内へ供給するものである。
【0021】
この生成手段21は、例えば軟水器(RO膜等でもよい)31と、次亜塩素酸水生成器32と、この生成器32や水道管29の弁等を制御する制御部33とを有している。そして、生成手段21は、水位検知手段(フロート)27の検知に基づいて、制御部33が水貯留部25に貯留された次亜塩素酸水の水位が所定値以下であると判断した場合に、水道管29の弁を開いて給水して次亜塩素酸水を自動生成する。なお、生成手段21は、ケース体11の上面上に設けられている。
【0022】
貯留部形成手段26は、ケース体11の下面開口を覆うように当該ケース体11の下部に脱着可能に設けられた上面開口状の底部ケース36を有し、この底部ケース36の内部空間が所定量の次亜塩素酸水を貯留可能な水貯留部25となっている。つまり、上側のケース体11と下側の底部ケース36とで、直方体状の箱形状をなすケース手段35が構成されており、このケース手段35内の下部が水貯留部25となっている。
【0023】
底部ケース36は、矩形状の底板部37と、この底板部37の周端部に立設された前板部38、後板部39、及び左右の側板部40とを有している。また、底部ケース36の底板部37には、隣同士が前後にずれて左右方向に間隔をおいて並設された複数の仕切板41が立設されている。このため、水貯留部25に貯留中の次亜塩素酸水は、底部ケース36内において供給手段23側に向かってジグザグ状に流れる。つまり、ケース体11の下側に設けられた貯留部形成手段26は、次亜塩素酸水がジグザグ状(略ジグザグ状を含む意味)に流れる水貯留部(冷却用流路)25を形成するものである。
【0024】
冷却手段22は、水貯留部25にジグザグ状に配置された冷却パイプ42と、この冷却パイプ42に冷却用の冷水(冷水の代わりに冷媒等でもよい)を循環供給する冷凍機等の冷却器(図示せず)とを有している。そして、水貯留部25に貯留された次亜塩素酸水は、冷却パイプ42内を流れる冷水(冷媒)との熱交換によって所定温度に冷却される。また、その冷却された次亜塩素酸水によってケース体11内も冷えて低温になる。
【0025】
供給手段23は、冷却手段22による冷却後の次亜塩素酸水(水貯留部25に貯留された低温の次亜塩素酸水)をポンプ43の作動に基づいて吸引する吸引パイプ44を有している。この吸引パイプ44は、ケース体11内の上部に位置して前後方向に延びる水平状のパイプ部45を有し、このパイプ部45には、ポンプ43で吸い上げられた冷却後の次亜塩素酸水をフィルター13の上面側に向けて霧状に噴射する複数の噴射ノズル(噴霧ノズル)46が設けられている。
【0026】
すなわち、例えば図3に示すように、ケース体11内の上部において、鉛直面に沿ったフィルター13の上方に複数の噴射ノズル46が配置され、この各噴射ノズル46から冷却後の低温の次亜塩素酸水がフィルター13に噴霧されて供給される。また、当該フィルター13に保持(吸収)されなかった余分の次亜塩素酸水は、底部ケース36内の水貯留部25に戻る。なお、例えば図示しないが、噴射ノズル46をフィルター13の外側方や内側方等に配置してもよい。
【0027】
フィルター13は、空気が通過する複数の孔50が形成されたステンレス等の金属製の金属板部51と、この金属板部51によって支持(挟持)された紙製(非金属製)のフィルター部52とを有している。
【0028】
ここで、図4(a)はフィルター13の一例を示すもので、このフィルター13は、第1金属板56と、第2金属板57と、第3金属板58と、第1金属板56及び第2金属板57間に挟持された第1紙フィルター59と、第2金属板57及び第3金属板58間に挟持された第2紙フィルター60とを有している。
【0029】
そして、熱伝導性が良好な例えばステンレス製の第1ないし第3金属板(ステンレス板)56,57,58によって金属板部51が構成されている。また、冷却後の次亜塩素酸水を保持可能な第1及び第2紙フィルター(フィルター板)59,60によってフィルター部52が構成されている。
【0030】
各金属板56,57,58には、空気が通過する複数の孔50が全面にわたって分散して形成されている。この各金属板56,57,58は、例えばステンレス製のパンチングメタル、又はエキスパンドメタル等からなるものである。
【0031】
上流側の第1紙フィルター59は、空気中の比較的大きな埃や塵等のゴミを除去するもので、それよりも下流側の第2紙フィルター60は、空気中の比較的細かな埃や塵等のゴミを除去するものであり、この第2紙フィルター60の目は第1紙フィルター59の目よりも細かく形成されている。
【0032】
なお、フィルター13の金属板部(フィルター板支持部)51を構成する金属板56,57,58は、平板状のものには限定されず、例えば図4(b)や(c)の如く、通過する空気との接触面積が増大するように断面形状が波状(略波状を含む)をなす凹凸状のものでもよい。
【0033】
つまり、この図4(b)や(c)に示す金属板56,57,58(後述の金属板72も同様)は、空気の流れ方向に向かって凸となっている複数の凸部61を有している。この各凸部61は、互いに離間対向する対をなす上下の対向板部分62と、これら両対向板部分62の先端同士を連結する平面状又は湾曲面状の連結板部分63とを有し、この連結板部分63には、空気が通過する複数の孔50が形成されている。
【0034】
そして、このような凹凸状の金属板を用いた場合には、平板状の金属板を用いた場合と比べて、冷却後の次亜塩素酸水で冷えた低温の金属板部51と、ケース体11内に向かって流れる空気との接触面積が増大するため、その空気の温度を効率良く低下させることが可能である。
【0035】
なお、フィルター13は、図4に示す構成のものには限定されず、例えば図示しないが、1枚の金属板(金属板部)と1枚のフィルター板(フィルター部)とで構成されたものでもよく、また、金属板部を有さず、フィルター部のみからなるもの等でもよい。なお、後述するが、次亜塩素酸水を使用せず、次亜塩素酸を含まない水を使用する場合には、微生物を利用したフィルター(微生物利用フィルター71)が必要となる。
【0036】
また、除菌脱臭装置5は、図示しないが、底部ケース36内の水貯留部25に貯留された次亜塩素酸水(後述の第2実施形態では冷却用の水)の温度(水温)を検知する水温検知手段と、ケース体11外の処理前の空気(ケース外空気)の温度及び湿度を検知する第1検知手段(処理前検知手段)と、ケース体11内の処理後の空気(ケース内空気)の温度及び湿度を検知する第2検知手段(処理後検知手段)とを備えている。そして、これら各検知手段で検知された検知温度等の情報を表示する表示手段66が生成手段21のケース前面(ケース体11の前面等でもよい)に設けられている。
【0037】
次に、上記除菌脱臭装置5の作用等を説明する。
【0038】
送風機17が作動すると、牛舎1内の対象空間3の処理前の空気(汚れた空気)は、冷却後の次亜塩素酸水を含んだフィルター13を通過してケース体11内に入り込む。このとき、空気の除菌、脱臭及び除塵が行われるとともに、空気の温度が低下する。また、フィルター通過後の空気は、ケース体11内でも、水貯留部25に貯留された冷却後の次亜塩素酸水との熱交換によって更に温度が低下する。
【0039】
そして、低温となった浄化後の空気(処理後の空気)は、噴射ノズル46から噴霧された冷却後の次亜塩素酸水のミストとともに、空気出口部16から牛舎1内の対象空間3に供給される。その結果、対象空間3の冷房及び加湿が行われる。
【0040】
このように、除菌脱臭装置5によれば、除菌、脱臭、除塵、冷房及び加湿を同時に行うことができ、よって、例えば夏期においても牛舎1内の対象空間3を牛にとって最適な状態に維持できる。すなわち、当該対象空間3の自然な湿度を維持した冷房を行うことができる。
【0041】
また、冷却手段22は、ケース手段35内の下部に位置する水貯留部25にジグザグ状に配置された水中パイプである冷却パイプ42を有するため、次亜塩素酸水を効率良く冷却できる。
【0042】
さらに、供給手段23は、フィルター13の上方に配置されて当該フィルター13に向けて冷却後の次亜塩素酸水を霧状に噴射する複数の噴射ノズル46を有するため、次亜塩素酸水をフィルター13内及びケース体11内に適切に供給できる。
【0043】
また、フィルター13は、空気が通過する複数の孔50が形成された凹凸状の金属板部51を有するため、フィルター13を通過する際に空気の温度を効率良く低下させることができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施の形態について図8ないし図10を参照して説明する。
【0045】
この第2の実施の形態に係る除菌脱臭装置5は、上述した第1の実施の形態とは異なり、次亜塩素酸水ではなく、微生物を利用して空気の除菌脱臭を行うものである。
【0046】
この除菌脱臭装置5では、ケース体11の左右の側面に空気入口部12が開口形成され、この各空気入口部12がそれぞれフィルター13aで覆われている。そして、各フィルター13aには、冷却手段22による冷却後の水(第1の実施の形態とは異なり、次亜塩素酸を含まない水、すなわち例えば通常の水道水)が供給手段23によって供給される。なお、図10は、左側のフィルター13aや供給手段23等を省略した図である。
【0047】
また、このフィルター13aは、第1の実施の形態におけるフィルター13とは異なり、空気を除菌脱臭するための微生物の棲家となる微細な孔が形成された石炭(活性化石炭)を有した微生物利用フィルター71を有している。
【0048】
すなわち、このフィルター13aは、図8ないし図10に示すように、第1の実施の形態におけるフィルター13に対して、微生物利用フィルター71と、金属板56,57,58と同じ金属製の第4金属板72とを付加したものであり、当該微生物利用フィルター71は第3金属板58及び第4金属板72間に挟持されている。
【0049】
なおこの図示した例では、第1ないし第4金属板56,57,58,72によって金属板部51が構成され、かつ、第1紙フィルター(目が粗いフィルターである第1フィルター)59、第2紙フィルター(目が細かいフィルターである第2フィルター)60及び微生物利用フィルター(微生物を利用したフィルターである第3フィルター)71によってフィルター部52が構成されている。また、その付加した第4金属板72についても、金属板56,57,58と同様、平板状のものには限定されず、図4(b)や(c)の如く空気との接触面積が増大するように凹凸状に形成してよい。
【0050】
また、この除菌脱臭装置5では、図示しないが、フィルター13aの上方、吸引パイプ44内及びポンプ43の吸引口のうち少なくともいずれか一箇所には、フィルター13aに供給される水に含まれるゴミ等の不純物を取り除くためのフィルターが設けられている。さらに、底部ケース36の底板部37には窪み部37aが形成され、この窪み部37a内にポンプ43が配置されている。
【0051】
さらに、底部ケース36内に水を供給する水供給手段である水道管29の供給口は、平面視で仕切板41の先端部と対向する位置(底部ケース36の左右方向の略中央位置)に配置されている。このため、当該供給口からポンプ43側に向かって流れる水と冷却パイプ42のパイプ表面との接触時間が長くなり、当該水は効率的に冷却される。
【0052】
そして、この第2の実施の形態に係る除菌脱臭装置5でも、除菌、脱臭、除塵、冷房及び加湿を同時に行うことができる等、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】
なお、第1の実施の形態を示す図1の如く一方側の側面のみにフィルター13が設けられた構成や、第2の実施の形態を示す図8の如く両側の側面にそれぞれフィルター13aが設けられた構成には限定されず、いずれの実施の形態においても、フィルターを設ける面の数は任意であり、例えば左右側面及び後面の3面にフィルターを設けてよく、また、上面にフィルターを設けることも可能である。さらに、生成手段21は、ケース体11の後面に設けてもよい。
【0054】
また、フィルターは、当該フィルターを通過する空気を効率的に冷やすためには金属板部を有することが好ましいが、金属板部は必ずしも必要ではない。
【0055】
さらに、除菌脱臭装置5の設置箇所は、牛舎1には限定されず、例えば工場や住宅等の建物でもよい。なお、除菌脱臭装置5を牛舎1に設置する場合において、例えば図7の2点鎖線で示すように、天井部2上に設置してもよい。
【0056】
また、冷却手段22は、冷水が冷却パイプ42を流れるものには限定されず、例えば冷凍機に接続した冷却パイプ42のパイプ表面付近を氷らせて水温(次亜塩素酸水又は水の温度)を0℃付近まで効率的に下げることができるように、フロンガスや代替フロンガス等の冷媒が冷却パイプを流れるようにしてもよい(なお、図8において冷却パイプ42のパイプ表面に付着した氷の様子を2点鎖線で示す。)。
【0057】
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
3 対象空間
5 除菌脱臭装置
13,13a フィルター
21 生成手段
22 冷却手段
23 供給手段
25 水貯留部
26 貯留部形成手段
42 冷却パイプ
46 噴射ノズル
50 孔
51 金属板部
59 第1フィルターである第1紙フィルター
60 第2フィルターである第2紙フィルター
71 微生物利用フィルター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10