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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】物品検査装置及び物品検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20221101BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G01N21/88 H
G01N21/90 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019010261
(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公開番号】P2020118557
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】本庄 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】山岸 祐一
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-296009(JP,A)
【文献】特表2000-504413(JP,A)
【文献】特開2002-107304(JP,A)
【文献】特開2011-089978(JP,A)
【文献】特開平9-072861(JP,A)
【文献】特開昭49-051995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の無機材料よりなる物品の検査対象領域に光を照射して当該物品に付される光透過性の樹脂部材の有無又は位置を検査する物品検査装置であって、
第1光源、第1偏光子及び検光子を有し、前記第1光源の光が前記第1偏光子を通った第1偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第1偏光を、前記第1偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された前記検光子を通して第1の像を生成する第1の像生成機構と、
第2光源、第2偏光子、移相子及び検光子を有し、前記第2光源の光が、前記第1偏光子の透過軸に対して異なる角度の透過軸となる向きに配置された前記第2偏光子を通った第2偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過する前後の少なくとも一方で前記第2偏光を前記移相子に通して当該第2偏光の位相差を変更して、当該第2偏光の振動方向を前記第1偏光子と前記第2偏光子とのそれぞれの透過軸のなす所定角度に応じた角度だけ回転させて第3偏光とし、当該第3偏光を前記検光子に通して第2の像を生成する第2の像生成機構と、
前記第1の像と前記第2の像とを撮像する撮像部と、
前記撮像部が取得した撮像画像を基に前記樹脂部材の有無又は位置を検査する検査部と、を備えたことを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記移相子は、前記第1偏光子と前記第2偏光子とのそれぞれの透過軸のなす所定角度θに応じた角度(nπ-θ)(但しnは0以上の整数)だけ偏光の振動方向を回転可能な分の位相差を変更する、ことを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
光透過性の無機材料よりなる物品の検査対象領域に光を照射して当該物品に付される光透過性の樹脂部材の有無又は位置を検査する物品検査装置であって、
第1光源、第1偏光子及び第1検光子を有し、前記第1光源の光が前記第1偏光子を通った第1偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第1偏光を、前記第1偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された前記第1検光子を通して第1の像を生成する第1の像生成機構と、
第2光源、第2偏光子及び第2検光子を有し、前記第2光源の光が、前記第1偏光子の透過軸に対して異なる角度の透過軸となる向きに配置された前記第2偏光子を通った第2偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第2偏光を、前記第2偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された前記第2検光子を通して第2の像を生成する第2の像生成機構と、
前記第1の像と前記第2の像とを撮像する撮像部と、
前記撮像部が取得した撮像画像を基に前記樹脂部材の有無又は位置を検査する検査部と、を備えたことを特徴とする物品検査装置。
【請求項4】
前記撮像部を制御する駆動制御部を備え、
前記駆動制御部は、前記撮像部に前記第1の像と前記第2の像とを1フレームの撮像動作で撮像させる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記撮像部の同一の1フレーム撮像期間内に前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させる、ことを特徴とする請求項4に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記第1光源と前記第2光源を異なるタイミングで発光させ、前記撮像部は、前記第1の像と前記第2の像を個別の異なる2フレームで撮像する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の物品検査装置。
【請求項7】
光透過性の無機材料よりなる物品の検査対象領域に光を照射して当該物品に付される光透過性の樹脂部材の有無又は位置を検査する物品検査方法であって、
第1光源の光が第1偏光子を通った第1偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第1偏光を、前記第1偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された検光子を通して第1の像を生成する第1の像生成工程と、
第2光源の光が前記第1偏光子の透過軸に対して異なる角度の透過軸となる向きに配置された第2偏光子を通った第2偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過する前後の少なくとも一方で前記第2偏光の位相差を変更して、当該第2偏光の振動方向を前記第1偏光子と前記第2偏光子とのそれぞれの透過軸のなす所定角度に応じた角度だけ回転させて第3偏光とし、当該第3偏光を前記検光子に通して第2の像を生成する第2の像生成工程と、
前記第1の像と前記第2の像とを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で取得した撮像画像を基に前記検査対象領域における前記樹脂部材の有無又は位置を検査する検査工程と、
を備えたことを特徴とする物品検査方法。
【請求項8】
光透過性の無機材料よりなる物品の検査対象領域に光を照射して当該物品に付される光透過性の樹脂部材の有無又は位置を検査する物品検査方法であって、
第1光源の光が第1偏光子を通った第1偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第1偏光を、前記第1偏光子と透過軸が交差する向きに配置された第1検光子を通して第1の像を生成する第1の像生成工程と、
第2光源の光が、前記第1偏光子の透過軸に対して異なる角度の透過軸となる向きに配置された第2偏光子を通った第2偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第2偏光を、前記第2偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された第2検光子を通して第2の像を生成する第2の像生成工程と、
前記第1の像と前記第2の像とを撮像する撮像工程と、
撮像部が取得した撮像画像を基に前記樹脂部材の有無又は位置を検査する検査工程と、
を備えたことを特徴とする物品検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性の無機材料よりなる物品における光透過性の樹脂部材の有無又は位置を検査する物品検査装置及び物品検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、第1偏光フィルタと第2偏光フィルタとを用いてガラス壜(物品の一例)に付されたラベル(樹脂部材の一例)の貼付位置を検査する物品検査装置が開示されている。この検査装置では、光源から出た光を第1偏光フィルタを通過させた後、ラベルを貼付したガラス壜のラベル上縁付近を通過させ、更に第1偏光フィルタとほぼ直角方向の振動の光を通過させる第2偏光フィルタを通過させることで、ラベルを通過した光以外の光はカットされる。ラベルの透明部分を通過した光は、振動の向きが90°回転するので、カメラにはラベルの透明部分を通過した光だけが到達し、その通過した光を画像処理することでラベルの貼付位置を検査する。
【0003】
しかし、ラベル等の樹脂部材が複屈折率を有するなど光学的に非等方性の樹脂材料である場合、樹脂部材の透明部分を通過した光の振動の向きが回転する角度は、90°に限らず、樹脂部材の向き(例えば光学軸の向き)や種類によって変化する場合がある。光源から出た光が第1偏光フィルタを通過した偏光の振動方向が、樹脂部材の向きや種類に合っていない場合、樹脂部材を透過した光の一部又は略全部が第2偏光フィルタにカットされてしまい、検査の精度が大幅に低下する。
【0004】
また、特許文献2には、光源から出射された光を偏光子により直線偏光とし、この直線偏光を、透明フィルムを通過させ、その通過光を偏光子と偏光方向が略直交する検光子に照射して、検光子を通過した光量の変化をイメージセンサにより検出する透明フィルム検出装置が開示されている。この装置では、透明フィルムの種類が変わったとき、偏光子と検光子との偏光方向が略直交した状態を維持したまま回転させる回転手段を駆動させ、偏光子と検光子を、透明フィルムへ入射する直線偏光の偏光方向が透明フィルムによって十分大きな角度だけ旋光される位置に調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-296009号公報
【文献】特開平5-319680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の回転手段があっても、ガラス壜等の物品に付されるラベルや透明フィルム等の樹脂部材の向き又は種類が変わる度に、回転手段を駆動させ、偏光子と検光子とを略直交を維持したまま回転させる調整作業が必要となる。また、検査ラインにラベル等の樹脂部材の向き又は種類の異なる物品が混在する検査には対応できない。このため、物品に付される樹脂部材の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材の有無又は位置を検査できる物品検査装置が要望されている。
【0007】
本発明の目的は、物品に付される樹脂部材の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材の有無又は位置を検査できる物品検査装置及び物品検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する物品検査装置は、光透過性の無機材料よりなる物品の検査対象領域に光を照射して当該物品に付される光透過性の樹脂部材の有無又は位置を検査する物品検査装置であって、第1光源、第1偏光子及び検光子を有し、前記第1光源の光が前記第1偏光子を通った第1偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第1偏光を、前記第1偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された前記検光子を通して第1の像を生成する第1の像生成機構と、第2光源、第2偏光子、移相子及び検光子を有し、前記第2光源の光が、前記第1偏光子の透過軸に対して異なる角度の透過軸となる向きに配置された前記第2偏光子を通った第2偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過する前後の少なくとも一方で前記第2偏光を前記移相子に通して当該第2偏光の位相差を変更して、当該第2偏光の振動方向を前記第1偏光子と前記第2偏光子とのそれぞれの透過軸のなす所定角度に応じた角度だけ回転させて第3偏光とし、当該第3偏光を前記検光子に通して第2の像を生成する第2の像生成機構と、前記第1の像と前記第2の像とを撮像する撮像部と、前記撮像部が取得した撮像画像を基に前記樹脂部材の有無又は位置を検査する検査部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、第1の像生成機構と第2の像生成機構により、検査対象領域にある樹脂部材に対して光の振動方向(偏光の向き)が所定角度だけ異なる2つの偏光が照射されるので、樹脂部材の向き又は種類によらず樹脂部材を透過する2つの偏光の振動方向の回転する角度が、2つの偏光のうち一方で大きく他方で小さくなる。また、第2の像生成機構では、第2偏光子と検光子のそれぞれの透過軸が直交していないが、移相子を通して光の振動方向を所定角度に応じた角度だけ回転させる。このため、検査対象領域で樹脂部材を透過した2つの偏光のうち一方が検光子でカットされても他方が検光子を透過する。この結果、第1の像と第2の像は、そのうちの一方で樹脂部材の部分が暗くても、他方で樹脂部材の部分が明るくなる関係にある。そのため、第1の像と第2の像を撮像した撮像画像では、必ず樹脂部材の部分が明部となり樹脂部材以外の部分が暗部となる。検査部はこの撮像画像を基に樹脂部材の有無又は位置を検査する。よって、物品に付される樹脂部材の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材の有無又は位置を検査することができる。
【0010】
上記物品検査装置において、前記移相子は、前記第1偏光子と前記第2偏光子とのそれぞれの透過軸のなす所定角度θに応じた角度(nπ-θ)(但しnは0以上の整数)だけ偏光の振動方向を回転可能な分の位相差を変更することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、物品に付される樹脂部材の向き又は種類によらず、撮像画像中の樹脂部材の部分の明度を高くできる。よって、物品に付される樹脂部材の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材の有無又は位置を高い精度で検査できる。
【0012】
上記課題を解決する物品検査装置は、光透過性の無機材料よりなる物品の検査対象領域に光を照射して当該物品に付される光透過性の樹脂部材の有無又は位置を検査する物品検査装置であって、第1光源、第1偏光子及び第1検光子を有し、前記第1光源の光が前記第1偏光子を通った第1偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第1偏光を、前記第1偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された前記第1検光子を通して第1の像を生成する第1の像生成機構と、第2光源、第2偏光子及び第2検光子を有し、前記第2光源の光が、前記第1偏光子の透過軸に対して異なる角度の透過軸となる向きに配置された前記第2偏光子を通った第2偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第2偏光を、前記第2偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された前記第2検光子を通して第2の像を生成する第2の像生成機構と、前記第1の像と前記第2の像とを撮像する撮像部と、前記撮像部が取得した撮像画像を基に前記樹脂部材の有無又は位置を検査する検査部と、を備える。
【0013】
この構成によれば、第1の像生成機構と第2の像生成機構により、検査対象領域にある樹脂部材に対して光の振動方向(偏光の向き)が所定角度だけ異なる2つの偏光が照射されるので、樹脂部材の向き又は種類によらず樹脂部材を透過する2つの偏光の振動方向の回転する角度が、2つの偏光のうち一方で大きく他方で小さくなる。この結果、第1の像と第2の像は、そのうちの一方で樹脂部材の部分が暗くても他方で樹脂部材の部分が明るくなる関係にある。そのため、第1の像と第2の像を撮像した撮像画像では、必ず樹脂部材の部分が明部となり樹脂部材以外の部分が暗部となる。検査部はこの撮像画像を基に樹脂部材の有無又は位置を検査する。よって、物品に付される樹脂部材の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材の有無又は位置を検査することができる。
【0014】
上記物品検査装置は、前記撮像部を制御する駆動制御部を備え、前記駆動制御部は、前記撮像部に前記第1の像と前記第2の像とを1フレームの撮像動作で撮像させることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、撮像部が第1の像と第2の像とを1フレームの撮像動作で撮像するので、1つの撮像画像を処理することによって、物品に付される樹脂部材の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材の有無又は位置を検査することができる。よって、検査部による検査処理が簡単で済む。
【0016】
上記物品検査装置において、前記駆動制御部は、前記撮像部の同一の1フレーム撮像期間内に前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させることが好ましい。
この構成によれば、第1光源の発光期間に生成される第1の像と、第2光源の発光期間に生成される第2の像とが、撮像部によって異なるタイミングで撮像される。よって、これら2つの像を同じタイミングで撮像する構成とした場合に比べ、1つの撮像画像中の樹脂部材の部分を、樹脂部材以外の物品のみの部分を含む背景の暗部に対し明度の高い明部として得ることができる。この結果、物品に付された樹脂部材の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材の有無又は位置を高い精度で検査できる。
【0017】
上記物品検査装置では、前記第1光源と前記第2光源を異なるタイミングで発光させ、前記撮像部は、前記第1の像と前記第2の像を個別の異なる2フレームで撮像することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、撮像部は、第1の像と第2の像とを異なる個別の2フレームで撮像するので、それぞれのフレーム撮像時の露光時間を調整しやすく、第1の像を含む第1画像と第2の像を含む第2画像とを適切な明度又はコントラストで取得しやすい。また、撮像部が第1の像と第2の像とを2フレームで撮像する構成であれば、フレーム間の差分処理が可能となる。2つの画像差が小さい場合には、検査部がフレーム間の差分をとることで検出精度を上げることができる。よって、検査部は、物品に付される樹脂部材の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材の有無又は位置を高い精度で検査できる。
【0019】
上記課題を解決する物品検査方法は、光透過性の無機材料よりなる物品の検査対象領域に光を照射して当該物品に付される光透過性の樹脂部材の有無又は位置を検査する物品検査方法であって、第1光源の光が第1偏光子を通った第1偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第1偏光を、前記第1偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された検光子を通して第1の像を生成する第1の像生成工程と、第2光源の光が、前記第1偏光子の透過軸に対して異なる角度の透過軸となる向きに配置された第2偏光子を通った第2偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過する前後の少なくとも一方で前記第2偏光の位相差を変更して、当該第2偏光の振動方向を前記第1偏光子と前記第2偏光子とのそれぞれの透過軸のなす所定角度に応じた角度だけ回転させて第3偏光とし、当該第3偏光を前記検光子に通して第2の像を生成する第2の像生成工程と、前記第1の像と前記第2の像とを撮像する撮像工程と、前記撮像工程で取得した撮像画像を基に前記樹脂部材の有無又は位置を検査する検査工程と、を備える。
【0020】
この方法によれば、上記物品検査装置と同様の作用効果を得ることができる。
上記課題を解決する物品検査方法は、光透過性の無機材料よりなる物品の検査対象領域に光を照射して当該物品に付される光透過性の樹脂部材の有無又は位置を検査する物品検査方法であって、第1光源の光が第1偏光子を通った第1偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第1偏光を、前記第1偏光子と透過軸が交差する向きに配置された第1検光子を通して第1の像を生成する第1の像生成工程と、第2光源の光が、前記第1偏光子の透過軸に対して異なる角度の透過軸となる向きに配置された第2偏光子を通った第2偏光を前記物品の検査対象領域に照射し、当該物品を透過した第2偏光を、前記第2偏光子の透過軸に対して透過軸が交差する向きに配置された第2検光子を通して第2の像を生成する第2の像生成工程と、前記第1の像と前記第2の像とを撮像する撮像工程と、撮像部が取得した撮像画像を基に前記樹脂部材の有無又は位置を検査する検査工程と、を備える。
【0021】
この方法によれば、上記物品検査装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、物品に付される樹脂部材の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材の有無又は位置を検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態における容器検査装置を備えた容器検査システムを示す模式側面図。
図2】透明な樹脂部材が付された容器を示す模式側面図。
図3】容器検査装置を示す模式平面図。
図4】容器検査処理を示すフローチャート。
図5】カメラと2つの光源との制御タイミングを示すタイミングチャート。
図6】容器の液体がない部分に付された透明な樹脂部材をカメラが撮像する像を説明する図。
図7】容器の液体がある部分に付された透明な樹脂部材をカメラが撮像する像を説明する図。
図8】第2実施形態における容器検査装置を示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、容器検査装置を備えた容器検査システムについて図面を参照して説明する。図1に示すように、容器検査システム11は、検査対象である物品の一例としての容器12を搬送する搬送装置13と、搬送装置13により搬送方向Xに搬送される容器12を搬送経路の途中の検査位置で検査する物品検査装置の一例としての容器検査装置14とを備える。搬送装置13は、例えばコンベヤ15を備えたコンベヤ装置16により構成される。図2に示す例では、搬送装置13は、検査位置を通る経路で容器12を搬送するコンベヤ15Aを有するコンベヤ装置16Aと、コンベヤ15Aへ容器12を受け渡す搬入用のコンベヤ15を有するコンベヤ装置16Bと、検査を終えた容器12をコンベヤ15Aから受け取り搬送する搬出用のコンベヤ15を有するコンベヤ装置16Cとを備える。搬送装置13はコンベヤ装置16に限らず、容器12を把持又は吸着して吊下状態で搬送する吊下式搬送方式や、スクリューの回転で搬送するスクリュー式搬送方式でもよい。なお、図1では、搬送方向Xと鉛直方向Zとの二方向に交差する方向を、コンベヤ15の幅方向Yとする。
【0025】
搬送装置13は、検査位置を含む検査搬送領域では、不図示の間隔形成装置により容器12を所定の間隔を開けて所定搬送速度で1本ずつ搬送する。容器検査装置14は、検査搬送領域の検査位置で容器12を図3に示すカメラ20で撮像し、カメラ20が取得した撮像画像に基づいて容器12における樹脂部材18の有無及び位置を検査する。容器検査装置14は、検査対象の容器12が図1に示す検査位置に所定距離まで近づいたことを検知するセンサ17を備える。センサ17が容器12を検知した検知信号に基づき図3に示すカメラ20が制御されることで、容器12は図1示す検査位置で撮像され、その撮像画像を基に容器12の検査が行われる。
【0026】
図2に示すように、容器12は、光透過性の無機材料よりなる。詳しくは、容器12は、透明又は半透明のガラス壜よりなる。容器12には光透過性の樹脂部材18が付される。樹脂部材18は、例えば環状を有し、容器12の首部又は肩部に挿し込まれた状態で付着されている。
【0027】
ここで、光透過性の樹脂部材18は、透明又は半透明の合成樹脂製である。樹脂部材18は、例えばビニル片、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどが挙げられる。ビニルやPETの他、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、アクリル、ポリアミド(ナイロン)などの熱可塑性樹脂や、メラミン、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂でもよい。
【0028】
樹脂部材18は、例えばフィルム又はシートよりなり、その製造過程で延伸されるなど製造上の原因で配向し、光学特性上の異方性を呈し、光学軸を有する場合がある。図2に示す樹脂部材18は、樹脂製フィルムや樹脂製シートを裁断して製造されるが、その裁断方向に応じて、直線偏光が樹脂部材18を通過する過程でその直線偏光の振動方向(偏光面)が回転する角度は、樹脂部材18の向き(光学軸の向き)によって変化する。つまり、直線偏光が樹脂部材18を通過した偏光の振動方向が回転する角度が、例えば90°になるときの樹脂部材18の光学軸の向きは、その筒形状の周方向になる場合もあれば幅方向になる場合もある。さらに樹脂部材18の光学軸の向きは、容器12に付される樹脂部材18の向きによっても変わる。なお、容器検査装置14は、図2に示す容器12における樹脂部材18の一部又は全部を含む領域を検査対象領域とする。容器検査装置14は、容器12の検査対象領域を含むエリアに光を照射し、容器12及び樹脂部材18を透過した像をカメラ20(図3参照)で撮像し、その撮像画像を基に樹脂部材18の有無又は位置を検査する。
【0029】
容器12は、液体が充填されている場合と、空である場合とがある。図2に示す例では、容器12に液体が充填された状態で蓋19がなされている。樹脂部材18が容器12に付される使用目的は、容器12の装飾・デザイン、宣伝、品質表示、容量表示など何でもよい。例えば、液体が充填された状態で蓋19がなされていること、又は容器12の蓋19を含む一部が封止用フィルム(図示せず)で被覆され封止されていることの証として目印となる樹脂部材18が付されてもよい。
【0030】
図2に示す例では、容器12の首部に樹脂部材18が付され、容器12に充填された液体の液面LSよりも上方に樹脂部材18が位置する。また、図2に二点鎖線で示すように樹脂部材18は容器12の肩部に付され、容器12の液面LSよりも下方に位置してもよい。一方、容器12は空であってもよい。例えば、空の容器12から取り外されているはずの樹脂部材18の有無を検査してもよい。
【0031】
本実施形態では、図1に示す容器検査装置14は、樹脂部材18の有無を検査する。図1に示すように、樹脂部材18が付される容器12の検査では、樹脂部材18が有る場合に容器12は良品とされ、樹脂部材18が無い場合に容器12は不良品とされる。また、樹脂部材18が取り外された容器12の検査では、樹脂部材18が無い場合に容器12が良品とされ、樹脂部材18が有る場合に容器12が不良品とされる。このように容器検査装置14は、樹脂部材18の有無を検出し、その検出結果に応じて容器12が良品であるか不良品であるかを検査する。
【0032】
次に、図3を参照して、容器検査装置14の構成について説明する。
図3に示すように、容器検査装置14は、第1光源21、第2光源22、第1偏光子23、第2偏光子24、検光子25及び移相子の一例としての波長板26を備える。第1光源21は、検査位置にある容器12に対してその検査対象領域を含む第1エリアに光を照射する。第2光源22は、検査位置にある容器12に対して第1光源21の光照射方向と異なる光照射方向から検査対象領域を含む第2エリアに光を照射する。図3に示す例では、同図における平面視で第1光源21と第2光源22は、それぞれの光軸のなす角度が、60°以上かつ150°以下の範囲内の所定角度となるそれぞれ異なる向きに配置されている。なお、第1光源21の光が照射される検査対象領域と、第2光源22の光が照射される検査対象領域は、基本的に同じ位置であるが、双方の位置がずれていてもよい。
【0033】
また、図3に示すように、容器検査装置14は、第1光源21の光を容器12の検査対象領域に透過させることで第1の像Img1(図6図7を参照)を生成する第1の像生成機構31と、第2光源22の光を容器12の検査対象領域に透過させることで第2の像Img2(図6図7を参照)を生成する第2の像生成機構32とを備える。さらに、容器検査装置14は、第1の像Img1と第2の像Img2を撮像するカメラ20と、第1光源21、第2光源22及びカメラ20を制御する制御部50を備えている。
【0034】
図3に示すように、第1の像生成機構31は、第1光源21、第1偏光子23、検光子25、第1ミラー33及び第2ミラー34を備える。また、第2の像生成機構32は、第2光源22、第2偏光子24、検光子25、波長板26、第3ミラー35及び第4ミラー36を備える。
【0035】
図3に示すように、第1偏光子23は、第1光源21と検査位置にある容器12との間に位置する。第1偏光子23を通った第1偏光L1は、容器12の検査対象領域を含む第1エリアに照射される。容器12及び樹脂部材18を透過した第1偏光L1は、第1ミラー33で反射し、その反射した第1偏光L1はさらに第2ミラー34で反射した後、検光子25を透過して第1の像Img1を生成する。第1ミラー33は、第1偏光子23との間に検査位置にある容器12を挟んで対向する位置に配置され、容器12及び樹脂部材18を透過した第1偏光L1を、第2ミラー34に向けて反射させる。第2ミラー34は、第1ミラー33から入射した第1偏光L1を検光子25に向かって反射させる。検光子25は、第2ミラー34からの第1偏光L1を透過することで第1の像Img1をカメラ20に向かって出力する。
【0036】
図3に示すように、第2偏光子24は、第2光源22と検査位置にある容器12との間に位置する。第2光源22の光が第2偏光子24を通った第2偏光L2は、第1偏光L1とは異なる光照射方向から容器12の検査対象領域を含む第2エリアに照射される。容器12及び樹脂部材18を透過した第2偏光L2は、波長板26を透過することで第2偏光L2と位相差の異なる第3偏光L3となる。
【0037】
波長板26は、入射した光の位相差を透過過程で変化させて出射する機能を有する。波長板26は、検査対象領域で樹脂部材18を透過した偏光の振動方向が第1偏光子23と第2偏光子24とのそれぞれの透過軸23A,24Aのなす所定角度に応じた角度だけ回転させられる位相差Φ分だけ第2偏光L2の位相差を変化させて第3偏光L3とする。第3偏光L3は第3ミラー35で反射し、その反射した第3偏光L3はさらに第4ミラー36で反射した後、検光子25を透過して第2の像Img2を生成する。
【0038】
第3ミラー35は、第2偏光子24と検査位置にある容器12を挟んで対向する位置に配置され、容器12及び樹脂部材18を透過した第2偏光L2が波長板26を通って位相差が変更された第3偏光L3を、第4ミラー36に向けて反射させる。第4ミラー36は、第3ミラー35から入射した第3偏光L3を検光子25に向かって反射させる。検光子25は、第4ミラー36に反射した第3偏光L3を透過することで第2の像Img2をカメラ20に向かって出力する。ここで、第2偏光L2が波長板26を透過する過程で、位相差が変更された第3偏光L3となる。
【0039】
第1偏光子23、第2偏光子24及び検光子25は、それぞれ偏光板(例えば偏光フィルタ)により構成される。図3では、各偏光子23,24及び検光子25のそれぞれの近傍位置に、円内に引いた複数本の平行な線の向きによって、それぞれの透過軸23A,24A,25Aの向きを示す。第1偏光子23と第2偏光子24はそれぞれ透過軸23A,24Aの向きが所定角度θだけ異なる。所定角度θは、図3に示す例では45°に設定されている。所定角度θは、15°以上かつ75°以下の範囲内の角度が好ましい。所定角度θがこの範囲にあれば、容器12における樹脂部材18の有無を検査できることが確認されている。なお、所定角度θは、樹脂部材18の有無を検査できる限りにおいて、上記範囲外の値でもよい。
【0040】
ここで、搬送方向Xと平行な水平方向を0°とすると、透過軸24Aは0°、透過軸23Aが水平(0°)に対して所定角度θ(図3の例では45°)だけ傾いている。光の進行方向側から見たときに反時計方向を正の方向とすると、透過軸23Aは、0°に対して正の方向に所定角度θだけ回転した角度にある。
【0041】
また、図3に示すように、第1偏光子23と検光子25は、それぞれの透過軸23A,25Aが交差する向きの関係にあり、本例では透過軸23A,25Aが直交している。ここで、透過軸23A,25Aが「直交」とは、90°に限らず、80°~100°の範囲内の角度Aであってもよいし、検査が可能であればこの範囲外の角度でもよい。本例では、図3に示すように、角度Aを一例として90°としている。
【0042】
また、図3に示すように、第2偏光子24と検光子25は、それぞれの透過軸24A,25Aが直交していない。すなわち、透過軸24A,25Aが角度A以外の角度をなす向きの関係にある。図3に示す例では、透過軸24A,25Aが45°の角度をなす関係にある。これは、第1偏光子23と検光子25との透過軸23A,25Aを直交させるとともに、第1偏光子23と第2偏光子24との透過軸23A,24Aを所定角度θをなす設定にしていることによる。このため、第2偏光子24と検光子25は、互いの透過軸24A,25Aが、所定角度θに応じた角度-θの分だけ、直交(角度A)からずれている。つまり、透過軸25Aは、透過軸24A(0°)に対して透過軸23Aが傾く所定角度θ(例えば45°)の分だけ透過軸24Aに対して反対方向(負の方向)に角度-θ(例えば-45°)だけ傾いている。
【0043】
このため、第2の像生成機構32は、第2偏光子24と検光子25との間の光経路上の位置に波長板26を備える。本例では、波長板26は、検査位置にある容器12と第3ミラー35との間の位置に配置されている。波長板26は、第1偏光子23と第2偏光子24とのそれぞれの透過軸23A,24Aのなす所定角度θに応じた角度(nπ-θ)(但しnは0以上の整数)の分だけ光の振動方向を回転できる位相差Φ分だけ第2偏光L2の位相差を変化させる。本例の波長板26は、角度(-θ)の分だけ光の振動方向を回転できる位相差Φ分だけ第2偏光L2の位相差を変化させる。そして、第2偏光L2が波長板26を通ると、第2偏光L2の位相差が位相差Φの分だけ変更され、振動方向を角度-θだけ回転させた第3偏光L3となる。これにより、第2偏光子24と検光子25との透過軸24A,25Aを、実質的に直交させたのと同等の効果が得られるようにしている。ここで、所定角度θに応じた角度(nπ-θ)とは、正確に(nπ-θ)であることに限定されず、(nπ-θ)±10°の範囲でもよいし、検査が可能な限りにおいて(nπ-θ)±10°の範囲以外の値でもよい。なお、波長板26は、検査位置にある容器12と第3ミラー35との間の位置に替え、第2偏光子24と検査位置にある容器12との間の位置に配置されてもよい。この場合、波長板26を通過した後の第3偏光L3が容器12及び樹脂部材18を透過する。
【0044】
また、図3に示す制御部50には、カメラ20、第1光源21、第2光源22及びセンサ17が電気的に接続されている。また、制御部50は、図4にフローチャートで示されるプログラムPRを記憶するメモリ51を備える。制御部50は、例えばCPUを内蔵し、CPUによりプログラムPRを実行させることにより、光源21,22の発光制御およびカメラ20の撮像制御を含む容器検査処理を行う。制御部50は、第1光源21、第2光源22及びカメラ20を制御する駆動制御部52と、容器12における樹脂部材18の有無又は位置を検査する検査部53とを備える。本例では、駆動制御部52は、図4におけるステップS11~ステップS15の処理を実行するCPUにより構成される。また、検査部53は、ステップS16~ステップS18の処理を実行するCPUにより構成される。
【0045】
図5は、制御部50が制御するカメラ20、第1光源21及び第2光源22のそれぞれの制御タイミングを示す。図5に示すように、カメラ20が1回露光して1フレームの撮像動作が行われる同一の1フレーム撮像期間IP内に、第1光源21と第2光源22とを異なる発光タイミングで発光させる。すなわち、同一の1フレーム撮像期間IP内に、第1光源21を発光させる第1発光と、第1発光の後に第1発光と異なる発光タイミングで、第2光源22を発光させる第2発光とを行う。第1発光と第2発光は、発光タイミングが異なり重複する期間がない。カメラ20は、エリアセンサよりなる撮像素子を内蔵する。カメラ20内の撮像素子は、同一の1フレーム撮像期間IP内において、第1発光期間で第1の像生成機構31により生成された第1の像Img1を受光し、第2発光期間で第2の像生成機構32により生成された第2の像Img2を受光する。これにより、1フレームの撮像動作で、第1の像Img1と第2の像Img2とを一緒に撮像される。
【0046】
ここで、図6及び図7に、第1の像Img1と第2の像Img2と撮像画像Img3とを示す。図6は、容器12の液体のない部分に樹脂部材18が付された例を示し、図7は、容器12の液体のある部分に樹脂部材18が付された例を示す。図6図7の例では、容器12の水平方向に対して第1偏光子23を透過して生成される直線偏光の振動方向とのなす角度が「0°」となる第1偏光L1は、この向きの樹脂部材18を透過する過程で光の振動方向が回転せず又は回転量が少なく、検光子25にかなりの部分が遮光される。このため、第1の像Img1では図6図7に示す向きにある樹脂部材18は明度の低い暗部となる。また、図6図7の例では、容器12の水平方向に対して第2偏光子24を透過して生成される直線偏光の振動方向とのなす角度が「45°」となる第2偏光L2は、この向きの樹脂部材18を透過する過程で光の振動方向が例えば90°回転し、波長板26を通った第3偏光L3は検光子25にかなりの部分が透過する。このため、第2の像Img2では図6図7に示す向きにある樹脂部材18は明度の高い明部となる。
【0047】
また、樹脂部材18の回転向きが、図6図7の例の向きに対して45°傾いていると、第1の像Img1では、図6図7に示す例とは反対に、樹脂部材18の部分が明度の高い明部となり、第2の像Img2では樹脂部材18の部分が明度の低い暗部となる。そして、樹脂部材18が、図6図7に示す向きにあっても、これと45°傾いた向きにあっても、さらにこれらの向きの間の範囲の向きにあっても、撮像画像Img3では、樹脂部材18の部分が明度の高い明部となり、樹脂部材18以外の容器12のみの部分を含む背景の部分が明度の低い暗部となる。そして、図6図7から分かるように、容器12の液体のない部分に樹脂部材18が付された場合(図6)も、容器12の液体のある部分に樹脂部材18が付された場合(図7)も、共に撮像画像Img3において樹脂部材18の部分が明度、その背景の部分が暗部となる。
【0048】
次に、図1図7を参照して、容器検査システム11の作用を説明する。
図1に示すに示す容器検査システム11の運転が開始されると、コンベヤ装置16が駆動してコンベヤ15上の容器12を搬送する。容器12は、1つずつ検査搬送領域を搬送され、その途中の検査位置で容器検査装置14が容器12における樹脂部材18の有無を検査する。制御部50は、図4にフローチャートで示されるプログラムPRを実行する。以下、図4を参照して、制御部50が行う容器検査処理について説明する。
【0049】
まずステップS11では、制御部50は、容器12を検知したか否かを判断する。制御部50は、センサ17が容器12を検知すればステップS12に進み、容器12を検知しなければ検知するまで待機する。
【0050】
ステップS12では、制御部50は、カメラ20による撮像を開始する。つまり、図5に示すように、カメラ20の露光を開始する。
ステップS13では、制御部50は、第1光源21を発光させる。つまり、図5に示すように、第1発光が行われる。第1光源21が発光すると、第1の像生成機構31では、第1光源21の光が第1偏光子23を通った第1偏光L1が容器12の検査対象領域を含む第1エリアに照射され、容器12及び樹脂部材18を透過した第1偏光L1が複数のミラー33,34に順次反射した後、検光子25を通ることで第1の像Img1が生成される。第1の像Img1はカメラ20の撮像素子の撮像面に結像し撮像素子に受光される。
【0051】
次のステップS14では、制御部50は、第2光源22を発光させる。制御部50は、第1光源21と第2光源22とを異なる発光タイミングで発光させる。第2光源22が発光すると、第2の像生成機構32では、第2光源22の光が第2偏光子24を通った第2偏光L2が容器12の検査対象領域を含む第2エリアに照射され、容器12及び樹脂部材18を透過した第2偏光L2が、波長板26を透過することで第2偏光L2と位相差の異なる第3偏光L3が生成される。つまり、波長板26によって、第2偏光L2の振動方向が-θの角度だけ回転可能な位相差Φの分だけ第2偏光L2の位相差が変化することで、第3偏光L3が生成される。この第3偏光L3が複数のミラー35,36に順次反射した後、検光子25を通ることで第2の像Img2が生成される。第2の像Img2はカメラ20の撮像素子の撮像面に結像し撮像素子に受光される。
【0052】
ステップS15では、制御部50は、カメラ20による撮像を終了する。すなわち、制御部50は、カメラ20の露光を終了する。こうしてカメラ20内のエリアセンサよりなる撮像素子が第1発光期間で第1の像Img1を受光し、第2発光期間で第2の像Img2を撮像素子に受光することで、撮像画像Img3(いずれも図6図7を参照)が取得される。このとき、容器12の液体のない部分に樹脂部材18が付されていても(図6)、容器12の液体のある部分に樹脂部材18が付されていても(図7)、撮像画像Img3中の樹脂部材18の部分が明度の高い白色になっており、樹脂部材18以外の光照射エリア内の容器12を含む背景の部分が明度の低い濃灰色又は黒色となっている。なお、ステップS11~S15の処理は、制御部50の駆動制御部52が行う。
【0053】
図4に示すステップS16では、制御部50は、撮像画像Img3に画像処理を施す。画像処理は、例えば2値化処理を含む。制御部50は、撮像画像Img3に明度の閾値で2値化処理を施すことで、撮像画像Img3中の閾値よりも明度の高い高明度の樹脂部材18の領域を他の領域と分離する。
【0054】
ステップS17では、制御部50は、樹脂部材18の有無を判定する。すなわち、制御部50は、分離された高明度の樹脂部材18の領域の形状と面積とを求め、求めた形状と面積をそれぞれ形状閾値及び面積閾値と比較し、その比較結果から樹脂部材18の有無を判定する。例えば、求めた形状が形状閾値を超え且つ求めた面積が面積閾値を超えると、樹脂部材ありと判定する。一方、制御部50は、求めた形状と面積とのうち一方でも閾値を超えなければ、樹脂部材なしと判定する。なお、樹脂部材18の有無の判定に用いる判定パラメータは、形状と面積とのうち一方でもよい。
【0055】
ステップS18では、制御部50は、容器12が不良品であるか否かを判定する。ここで、不良品の判定処理は、不良品の定義に応じて決められている。不良品の定義としては、次のものが挙げられる。1つ目に、樹脂部材18が付されていないと、取付けミス不良として容器12を不良品とする。2つ目に、樹脂部材18が付されていると、取外しミス不良として容器12を不良品とする。3つ目に、樹脂部材18の付着位置が正規の位置から許容量を超えてずれていると、位置ずれ不良として容器12を不良品とする。1つ目と2つ目に関しては樹脂部材18の有無が分かれば不良品の判定は可能であるが、3つ目に関しては樹脂部材18の位置を把握する必要がある。
【0056】
そのため、3つ目の例では、ステップS17において、樹脂部材18の有無の判定に加え、樹脂部材ありと判定された場合に更に容器12における樹脂部材18の位置を検出する。例えば樹脂部材18が容器12に付着されたラベルである場合、容器12におけるラベルの位置ずれを検出する。容器12の搬送高さとカメラ20の撮像高さは既知であるため、検出された樹脂部材18の位置が、容器12の搬送高さから想定される正規のラベル高さ範囲から鉛直方向Zに許容量を超えて外れていれば、制御部50はラベルの位置ずれ不良と判定する。
【0057】
さらに、上記1つ目~3つ目の例において、樹脂部材18の形状を検出してもよい。例えば、制御部50は、撮像画像Img3の画像処理で取得した樹脂部材18の領域からその形状及び面積を取得し、その形状及び面積と、形状閾値及び面積閾値とをそれぞれ比較し、形状及び面積がそれぞれの閾値範囲に対して許容量を超えて外れた場合、ラベルの破れや剥がれ等のラベル形状不良と判定する。このように制御部50は、樹脂部材18の有無に応じて容器12を不良品と判定し、樹脂部材18がある場合は不良品としない場合でも樹脂部材18の位置ずれ不良や形状不良があれば、容器12を不良品と判定する。なお、ラベルは、例えば、熱硬化性樹脂よりなる筒状フィルムをガラス壜などの容器12に外挿した状態で熱収縮させて容器12の外周面に密着状態に付着させたシュリンクラベルでもよいし、容器12の外周面に接着剤で付着されたものでもよい。
【0058】
ステップS19では、制御部50は、容器12を不良品として排出する。制御部50は、検査位置よりも搬送方向Xの下流側の位置でコンベヤ15の側方に配設された排出用プッシャー又はエア噴出装置を駆動し、不良品の容器12を押し出し又は噴射エアによりコンベヤ15上から排除する。
【0059】
以上詳述したように、この第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)容器検査装置14は、光透過性の無機材料よりなる容器12の検査対象領域に光を照射して容器12に付される光透過性の樹脂部材18の有無又は位置を検査する。容器検査装置14は、第1光源21、第1偏光子23及び検光子25を有する第1の像生成機構31と、第2光源22、第2偏光子24、移相子の一例としての波長板26及び検光子25を有する第2の像生成機構32とを備える。第1の像生成機構31は、第1光源21の光が第1偏光子23を通った第1偏光L1を容器12の検査対象領域に照射し、容器12を透過した第1偏光L1を、第1偏光子23の透過軸23Aに対して透過軸25Aが交差する向きに配置された検光子25を通して第1の像Img1を生成する。第2の像生成機構32は、第2光源22の光が第1偏光子23の透過軸23Aに対して異なる角度の透過軸24Aとなる向きに配置された第2偏光子24を通った第2偏光L2を容器12の検査対象領域に照射する。第2偏光L2が容器12を透過する前後の少なくとも一方で、第2偏光L2を第2偏光子24と検光子25との間の光経路上に位置する波長板26に通して、第2偏光L2の振動方向を第1偏光子23と第2偏光子24とのそれぞれの透過軸23A,24Aのなす所定角度θに応じた角度(例えば-θ)だけ回転させて第3偏光L3とする。そして、第3偏光L3を検光子25に通して第2の像Img2を生成する。さらに、容器検査装置14は、第1の像Img1と第2の像Img2とを撮像するカメラ20と、カメラ20が取得した撮像画像Img3を基に樹脂部材18の有無又は位置を検査する検査部53とを備える。
【0060】
第1の像生成機構31と第2の像生成機構32により、検査対象領域にある樹脂部材18に対して光の振動方向(偏光面)が所定角度θだけ異なる2つの偏光L1,L2が照射される。このため、樹脂部材18の向き又は種類によらず、樹脂部材18を透過する2つの偏光L1,L2の振動方向の回転する角度が、2つの偏光L1,L2のうち一方で大きく他方で小さくなる。また、第2の像生成機構32では、第2偏光子24と検光子25のそれぞれの透過軸24A,25Aが直交していないので、波長板26を通して光の振動方向を所定角度θ(例えば15°~75°)に応じた角度(例えば-θ)だけ回転させる。このため、検査対象領域で樹脂部材18を透過した2つの偏光L1,L2の一方が検光子25でカットされても他方が検光子25を透過する。この結果、第1の像Img1と第2の像Img2は、そのうちの一方で樹脂部材18の部分が暗くても、他方で樹脂部材18の部分が明るくなる関係にある。そのため、第1の像Img1と第2の像Img2を撮像した撮像画像Img3では、必ず樹脂部材18の部分が明部となり樹脂部材18以外の部分が暗部となる。検査部53は撮像画像Img3を基に樹脂部材18の有無又は位置を検査する。よって、容器12に付される樹脂部材18の向き又は種類によらず、容器12における樹脂部材18の有無又は位置を検査できる。さらに、第1の像Img1と第2の像Img2を共通のカメラ20が撮像するので、カメラ20が1つで済む。また、検光子25が第1の像生成機構31と第2の像生成機構32との共通部品とした。よって、容器検査装置14の部品点数が少なく済むうえ、装置の小型化を実現できる。
【0061】
(2)容器検査装置14は、特許文献2に記載の検査装置が有する回転手段が無くて済むので、物品に付される樹脂部材の向き又は種類が変わる度に、回転手段を駆動させ、偏光子と検光子とを略直交を維持したまま回転させる調整作業が不要となる。また、容器検査システム11のコンベヤ15等の検査ラインに樹脂部材18の向き又は種類の異なる容器12が混在して搬送される検査にも対応できる。
【0062】
(3)波長板26は、第1偏光子23と第2偏光子24とのそれぞれの透過軸23A,24Aのなす所定角度θに応じた角度(nπ-θ)(但しnは0以上の整数)だけ偏光の振動方向を回転可能な分の位相差Φを変更する。よって、容器12に付される樹脂部材18の向き又は種類によらず、撮像画像Img3中の樹脂部材18の部分の明度を高くできる。よって、容器12に付される樹脂部材18の向き又は種類によらず、容器12における樹脂部材18の有無又は位置を高い精度で検査できる。
【0063】
(4)容器検査装置14は、カメラ20を制御する駆動制御部52を備える。駆動制御部52は、カメラ20に第1の像Img1と第2の像Img2とを1フレームの撮像動作で撮像させる。よって、容器12に付される樹脂部材18の光学軸の向きによらず、カメラ20が撮像した1つの撮像画像Img3から、容器12における樹脂部材18の有無又は位置を検査できる。したがって、制御部50による検査処理が簡単で済む。
【0064】
(5)駆動制御部52は、カメラ20の同一の1フレーム撮像期間IP内に第1光源21と第2光源22とを異なるタイミングで発光させる。よって、第1光源21の第1発光期間に生成される第1の像Img1と、第2光源22の第2発光期間に生成される第2の像Img2とが、カメラ20によって異なるタイミングで撮像される。よって、2つの光源21,22を同じタイミングで発光させて2つの像Img1,Img2を同じタイミングで撮像する構成とした場合に比べ、1つの撮像画像Img3中の樹脂部材18の部分を、容器12のみの部分を含む背景の暗部に対し明度の高い明部として得ることができる。この結果、容器12に付される樹脂部材18の向き又は種類によらず、容器12における樹脂部材18の有無又は位置を高い精度で検査できる。
【0065】
(6)第1偏光子23の透過軸23Aと第2偏光子24の透過軸24Aとのなす角度は、15°以上且つ75°以下の範囲内の所定角度が好ましい。よって、撮像画像Img3中で背景となる容器12と樹脂部材18との明暗の差の大きな撮像画像Img3が得られるので、容器12に付される樹脂部材18の向きによらず、容器12における樹脂部材18の有無又は位置を高い精度で検査できる。
【0066】
(7)容器検査方法は、光透過性の無機材料よりなる容器12の検査対象領域に光を照射して容器12に付される光透過性の樹脂部材18の有無又は位置を検査し、第1の像生成工程と、第2の像生成工程と、撮像工程と、検査工程とを備える。第1の像生成工程では、第1光源21の光が第1偏光子23を通った偏光を容器12の検査対象領域に照射し、容器12を透過した第1偏光L1を、第1偏光子23の透過軸23Aに対して透過軸25Aが交差する向きに配置された検光子25を通して第1の像Img1を生成する。第2の像生成工程では、第2光源22の光が第1偏光子23の透過軸23Aに対して異なる角度の透過軸24Aとなる向きに配置された第2偏光子24を通った第2偏光L2を容器12の検査対象領域に照射する。容器12を透過する前後の少なくとも一方で第2偏光L2の位相差を変更して、第2偏光L2の振動方向を第1偏光子23と第2偏光子24とのそれぞれの透過軸23A,24Aのなす所定角度に応じた角度だけ回転させて第3偏光L3とし、第3偏光L3を検光子25に通して第2の像Img2を生成する。撮像工程では、第1の像Img1と第2の像Img2とを撮像する。そして、検査工程では、撮像工程で取得した撮像画像Img3を基に樹脂部材18の有無又は位置を検査する。よって、容器12に付される樹脂部材18の向き又は種類によらず、容器12における樹脂部材18の有無又は位置を検査できる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、図8を参照して、第2実施形態の容器検査装置14について説明する。本実施形態の容器検査装置14は、波長板26を備えていない。つまり、波長板26を廃止し、検光子25を、第1検光子27と第2検光子28との2つに置き替えている。第1の像生成機構31が第1検光子27を有し、第2の像生成機構32が第2検光子28を有する。
【0068】
図8に示すように、容器検査装置14は、第1の像Img1(図6図7を参照)を生成する第1の像生成機構31と、第2の像Img2(図6図7を参照)を生成する第2の像生成機構32とを備える。さらに、容器検査装置14は、第1の像Img1と第2の像Img2を撮像するカメラ20と、第1光源21、第2光源22及びカメラ20を制御する制御部50を備える。この第2実施形態では、第1の像生成機構31と第2の像生成機構32との構成が、前記第1実施形態と異なる。
【0069】
図8に示すように、第1の像生成機構31は、第1光源21、第1偏光子23、第1検光子27、第1ミラー33及び第2ミラー34を備える。また、第2の像生成機構32は、第2光源22、第2偏光子24、第2検光子28、第3ミラー35及び第4ミラー36を備える。ここで、第1光源21、第2光源22、第1偏光子23及び第2偏光子24は、前記第1実施形態と同様の構成であり、検査位置に配置される容器12に対して、前記第1実施形態と同じ位置及び向きに配置されている。また、各ミラー33~36も、第1実施形態と同様の構成であり、検査位置の容器12に対して、前記第1実施形態と同じ位置及び向きに配置されている。さらに、カメラ20も1つで、前記第1実施形態と同じ位置及び向きに配置されている。制御部50の制御内容も前記第1実施形態と同様である。すなわち、制御部50は、メモリ51に記憶された図4にフローチャートで示されるプログラムPRをCPUに実行させることで、光源21,22の発光制御およびカメラ20の撮像制御を含む容器検査処理を行う。
【0070】
第1の像生成機構31は、検査位置にある容器12とカメラ20との間の第1偏光L1の光経路上の位置に第1検光子27を備える。本例では、第1検光子27は、検査位置にある容器12と第1ミラー33との間の位置に配置されている。また、第2の像生成機構32は、検査位置にある容器12とカメラ20との間の第2偏光L2の光経路上の位置に第2検光子28を備える。本例では、第2検光子28は、検査位置にある容器12と第3ミラー35との間の位置に配置されている。
【0071】
第1偏光子23、第2偏光子24、第1検光子27及び第2検光子28は、それぞれ偏光板(例えば偏光フィルタ)により構成されている。図8では、各偏光子23,24及び各検光子27,28のそれぞれの近傍位置に、円内に引いた複数本の平行な線の向きによって、それぞれの透過軸23A,24A,27A,28Aの向きを示す。第1偏光子23と第2偏光子24は、前記第1実施形態と同様に、それぞれ透過軸23A,24Aの向きが所定角度θ(例えば45°)だけ異なる。なお、所定角度θは、15°以上かつ75°以下の範囲内の角度でもよいし、検査が可能な限りにおいてこの範囲外の角度でもよい。
【0072】
ここで、搬送方向Xと平行な水平方向を0°とすると、透過軸24Aは0°、透過軸23Aが水平(0°)に対して所定角度θ(例えば45°)だけ傾いている。光の進行方向側から見たときに反時計方向を正の方向とすると、透過軸23Aは、0°に対して正の方向に所定角度θだけ回転した角度にある。
【0073】
また、図8に示すように、第1偏光子23と第1検光子27は、それぞれの透過軸23A,27Aが交差する向きの関係にあり、本例では透過軸23A,27Aが直交している。ここで、透過軸23A,27Aが「直交」とは、90°に限らず、一例として80°~100°の範囲内の角度Aでもよい(80°≦A≦100°)。但し、角度Aは、80°~100°の範囲以外の角度でもよい。
【0074】
また、図8に示すように、第2偏光子24と第2検光子28は、それぞれの透過軸24A,28Aが交差する向きの関係にあり、本例では透過軸24A,28Aが直交している。ここで、透過軸24A,28Aが「直交」とは、90°に限らず、80°~100°の範囲内の角度Aでもよい(80°≦A≦100°)。但し、角度Aは、80°~100°の範囲以外の角度でもよい。なお、透過軸23A,27Aのなす角度Aと、透過軸24A,28Aのなす角度Aは、同じ値に限らず異なる値でもよい。
【0075】
図8に示すように、第1の像生成機構31において、第1光源21の光が第1偏光子23を通った第1偏光L1は、容器12の検査対象領域を含む第1エリアに照射される。容器12及び樹脂部材18を透過した第1偏光L1は、第1検光子27を透過して第1の像Img1を生成する。第1の像Img1は、第1ミラー33と第2ミラー34とに順次反射した後、カメラ20に入射される。
【0076】
また、第2の像生成機構32において、第2光源22の光が第2偏光子24を通った第2偏光L2は、第1偏光L1とは異なる光照射方向から容器12の検査対象領域を含む第2エリアに照射される。容器12及び樹脂部材18を透過した第2偏光L2は、第2検光子28を透過して第2の像Img2を生成する。第2の像Img2は、第3ミラー35と第4ミラー36とに順次反射した後、カメラ20に入射される。
【0077】
制御部50は、図5に示すように、カメラ20が1回露光して1フレームの撮像動作が行われる同一の1フレーム撮像期間IP内に、第1光源21と第2光源22を異なる発光タイミングで発光させる。カメラ20内の撮像素子は、同一の1フレーム撮像期間IP内において、第1発光期間で第1の像Img1を受光し、第2発光期間で第2の像Img2を受光する。これにより、カメラ20は、1フレームの撮像動作で、第1の像Img1と第2の像Img2とを一緒に撮像し、撮像画像Img3(図6図7を参照)を取得する。そして、制御部50は、撮像画像Img3に画像処理を施し、画像処理後の撮像画像Img3を基に樹脂部材18の有無を判定する。さらに制御部50は、前記第1実施形態と同様に、容器12が不良品であるか否かの判定、樹脂部材18の位置検出(ラベル位置ずれ判定を含む)を行う。
【0078】
以上詳述したように、この第2実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(8)容器検査装置14は、第1光源21、第1偏光子23及び第1検光子27を有する第1の像生成機構31と、第2光源22、第2偏光子24及び第2検光子28を有する第2の像生成機構32とを備える。第1の像生成機構31は、第1光源21の光が第1偏光子23を通った第1偏光L1を容器12の検査対象領域に照射し、容器12を透過した第1偏光L1を、第1偏光子23の透過軸23Aに対して透過軸27Aが交差する向きに配置された第1検光子27を通して第1の像Img1を生成する。第2の像生成機構32は、第2光源22の光が、第1偏光子23の透過軸23Aに対して異なる角度の透過軸24Aとなる向きに配置された第2偏光子24を通った第2偏光L2を、容器12の検査対象領域に照射する。容器12を透過した第2偏光L2を、第2偏光子24の透過軸24Aに対して透過軸28Aが交差する向きに配置された第2検光子28を通して第2の像Img2を生成する。さらに、容器検査装置14は、第1の像Img1と第2の像Img2とを撮像するカメラ20と、カメラ20が取得した撮像画像Img3を基に樹脂部材18の有無又は位置を検査する検査部53とを備える。
【0079】
ここで、第1の像Img1と第2の像Img2は、そのうち一方で樹脂部材18の部分が暗くても、他方で樹脂部材18の部分が明るくなる関係にある。そのため、撮像画像Img3では、必ず樹脂部材18の部分が明部となり樹脂部材18以外の部分が暗部となる。検査部53は撮像画像Img3を基に樹脂部材18の有無又は位置を検査する。よって、容器12に付される樹脂部材18の向き又は種類によらず、容器12における樹脂部材18の有無又は位置を検査できる。
【0080】
さらに、前記第1実施形態と同様に、カメラ20が1つで済むので、容器検査装置14の部品点数が少なく済むうえ、装置の小型化を実現できる。また、第2実施形態では、波長板26が無くても、2つの検光子27,28を用いることで、第1実施形態と同様の効果が得られる。そのうえ、第1実施形態に比べ、容器検査装置14を構成する部品の数を増やさずに部品の種類を低減できる。また、偏光子23,24及び検光子27,28は、偏光板(例えば偏光フィルタ)により構成されるので、機能の異なる複数の部品を共通の材料で製造できる。よって、容器検査装置14を比較的安価なコストでかつ比較的簡単に製造できる。その他、第2実施形態によれば、前記第1実施形態における前記(2),(4)~(6)の効果が同様に得られる。
【0081】
(9)物品検査方法は、第1の像生成工程と、第2の像生成工程と、撮像工程と、検査工程とを備える。第1の像生成工程では、第1光源21の光が、第1偏光子23を通った第1偏光L1を容器12の検査対象領域に照射し、容器12を透過した第1偏光L1を、第1偏光子23の透過軸23Aに対して透過軸27Aが交差する向きに配置された第1検光子27を通して第1の像Img1を生成する。第2の像生成工程では、第2光源22の光が、第1偏光子23の透過軸23Aに対して異なる角度の透過軸24Aとなる向きに配置された第2偏光子24を通った第2偏光L2を、容器12の検査対象領域に照射する。容器12を透過した第2偏光L2を、第2偏光子24の透過軸24Aに対して透過軸28Aが交差する向きに配置された第2検光子28を通して第2の像Img2を生成する。撮像工程では、第1の像Img1と第2の像Img2とを撮像する。そして、検査工程では、撮像工程で取得した撮像画像Img3を基に樹脂部材18の有無又は位置を検査する。よって、容器12に付される樹脂部材18の向き又は種類によらず、容器12における樹脂部材18の有無又は位置を検査できる。
【0082】
実施形態は、上記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・前記第1実施形態および第2実施形態において、カメラ20が1つの容器12に対して2フレームで撮像動作を行い、第1の像Img1と第2の像Img2とを異なる個別の2フレームで撮像してもよい。この場合、検査部53は、カメラ20が取得した第1の像Img1を含む第1撮像画像と第2の像Img2を含む第2撮像画像とに別々に画像処理を施す。そして、第1撮像画像と第2撮像画像のうち一方で樹脂部材18が検出されれば、樹脂部材ありと判定し、第1撮像画像と第2撮像画像との両方で樹脂部材18が検出されなければ、樹脂部材なしと判定する。また、樹脂部材18の位置を検出する場合は、さらに第1撮像画像と第2撮像画像とのうち樹脂部材18が検出された一方の画像中における樹脂部材18の位置を計算することにより、容器12等の物品に対する樹脂部材18の相対位置を検出する。容器12の搬送高さとカメラ20の撮像高さは既知であるため、検出された樹脂部材18の位置が、容器12の搬送高さから想定される正規の高さ範囲から鉛直方向Zに許容量を超えて外れていれば、制御部50は樹脂部材18(例えばラベル)の位置ずれ不良と判定する。第1の像Img1と第2の像Img2とを2フレームで撮像するので、それぞれのフレーム撮像時の露光時間を調整しやすく、第1画像と第2画像とを適切な明度又はコントラストで取得しやすい。さらに、カメラ20が第1の像Img1と第2の像Img2とを2フレームで撮像すると、フレーム間の差分処理が可能である。前記各実施形態における1フレーム内での第1の像Img1と第2の像Img2との合成は、処理時間の短縮に効果はあるが、差分画像情報を得ることができない。これに対してカメラ20が第1の像Img1と第2の像Img2とを2フレームで撮像する構成であれば、2つの画像差が小さい場合には検査部53がフレーム間の差分をとることで検出精度を上げることができる。よって、検査部53は、物品に付される樹脂部材18の向き又は種類によらず、物品における樹脂部材18の有無又は位置を高い精度で検出できる。
【0083】
・第1光源21と第2光源22を同じタイミングで同時に発光させてもよい。この構成によっても、カメラ20で第1の像Img1と第2の像Img2とを撮像した撮像画像Img3を取得できるので、前記実施形態と同様に、容器12等の物品における樹脂部材18の有無又は位置を検査できる。
【0084】
・前記各実施形態では、検査時は第1光源21と第2光源22を発光させたが、2つの光源21,22のうち一方のみ発光させてもよい。制御部50は、容器12に付される樹脂部材18の向き又は種類を把握し、第1光源21と第2光源22とのうち樹脂部材18の向き又は種類に応じた一方のみ発光させる。例えば、容器12の種類の切り替わり時に1つの容器12に対して第1の像Img1を含む第1撮像画像と第2の像Img2を含む第2撮像画像とを別々に取得し、これら2つの撮像画像のうち樹脂部材18の部分が明部となる一方を特定し、その特定した一方の撮像画像の撮像時に発光させた光源を以降の検査で発光させる光源として決定する。また、制御部50は、検査対象の容器12に付される樹脂部材18の向き又は種類の情報に応じて2つの光源21,22のうち発光させる一方を切り替える構成にすれば、検査ラインに、樹脂部材18の向き又は種類の異なる容器12が混在しても対応できる。例えば、検査位置よりも上流側で容器12に付されたバーコード等のコード情報を読み込んで容器12の種類を把握し、その種類の容器に付される樹脂部材18の向き又は種類に応じて発光させる光源を切り替えればよい。
【0085】
・第1実施形態において、検光子25は、第1の像生成機構31を構成する第1検光子と、第2の像生成機構32を構成する第2検光子とに分けて配置してもよい。この場合、第1検光子を検査位置にある容器とカメラ20との間の第1偏光L1の光経路上の位置に配置し、第2検光子を検査位置にある容器とカメラ20との間の第3偏光L3の光経路上の位置に配置すればよい。例えば、第1検光子を、容器12と第1ミラー33との間、あるいは第1ミラー33と第2ミラー34との間に配置する。また、第2検光子を、波長板26と第3ミラー35との間、あるいは第3ミラー35と第4ミラー36との間に配置する。そして、第1検光子と第2検光子のそれぞれを透過した2つの偏光L2,L3の像Img1,Img2は、共通のカメラ20により撮像される。
【0086】
・第1実施形態において、第3の像生成機構を追加してもよい。第3の像生成機構は、第2の像生成機構と基本的に同じ構成で、第3光源、第3偏光子、検光子及び移相子の一例としての第2波長板を有する。第3光源は、光照射方向が第1光源及び第2光源と異なる。第1偏光子、第2偏光子及び第3偏光子はそれぞれの透過軸のなす角度が互いに異なる。これら3つの偏光子の角度は、互いに異なる。また、第3偏光子と検光子とのそれぞれの透過軸が直交しないので、第2波長板により、第1偏光子と第3偏光子とのそれぞれの透過軸がなす所定角度に応じた角度だけ偏光の振動方向(偏光面)を回転させる。また、第2実施形態において、第3の像生成機構を追加してもよい。第3の像生成機構は、第1の像生成機構31と基本的に同じ構成で、第3光源、第3偏光子及び第3検光子を有する。上記いずれの構成においても、制御部50は、3つの光源の発光制御およびカメラ20の撮像タイミングを制御し、カメラ20によって、第1の像Img1、第2の像Img2及び第3の像を異なる撮像タイミングで撮像してもよいし、同じ撮像タイミングで撮像してもよい。
【0087】
・第1実施形態において、偏光子23,24と検光子25とのうち一方又は両方を、偏光板に替え、偏光プリズムとしてもよい。また、第2実施形態において、偏光子23,24と検光子27,28とのうち少なくとも一つを、偏光板に替え、偏光プリズムとしてもよい。
【0088】
・第1実施形態において、移相子は、波長板26に限らず、位相差が可変な補償板でもよい。
・第2実施形態において、第1検光子27を第1ミラー33と第2ミラー34との間の光経路上の位置に配置してもよい。また、第2検光子28を第3ミラー35と第4ミラー36との間の光経路上の位置に配置してもよい。さらに配置スペースを確保できれば、第1検光子27をミラー34とカメラ20との間の光経路上の位置に配置したり、第2検光子28をミラー36とカメラ20との間の光経路上の位置に配置したりしてもよい。
【0089】
・樹脂部材18は、容器12に付される環状の部材や、容器12の外周面に付着したシュリンクラベル等のラベルに限定されない。例えば容器12の包装フィルムや、蓋19及び容器12の首部に亘って付された封止フィルムでもよい。また、フィルムに限らずシートでもよい。また、樹脂部材18は、容器12の外側又は外周面に付されるものにも限らず、容器12の内部に入れられるものでもよい。例えば、容器12に入れられるべき樹脂部材18の投入ミスの有無や、容器12内から取り出されるべき樹脂部材18の排出ミスの有無を検査してもよい。
【0090】
・樹脂部材18は全部が透明又は半透明であることに限定されない。例えば印刷が施されたラベルのように一部に透明又は半透明の部分がある樹脂部材であればよい。
・樹脂部材18はフィルムやシートに限らず、例えばブロック状の部材でもよい。
【0091】
・容器12は、ガラス壜に限定されず、ガラス製のカップ、皿、花瓶などでもよい。また、無機材料は、非晶質であるガラスに限定されず、無機材料よりなる光透過性を有するシリカ、アルミナ、ジルコニア等の結晶材料でもよい。
【0092】
・物品は容器に限定されない。光透過性を有する無機材料よりなる物品であればよい。例えば、板ガラス、照明用ガラス製品、レンズ等のガラス製光学部品やガラス製の置物でもよい。
【符号の説明】
【0093】
11…容器検査システム、12…物品の一例としての容器、13…搬送部、14…物品検査装置の一例としての容器検査装置、15,15A…コンベヤ、16,16A,16B,16C…コンベヤ装置、17…センサ、18…樹脂部材、19…蓋、20…撮像部の一例としてのカメラ、21…第1光源、22…第2光源、23…第1偏光子、23A…透過軸、24…第2偏光子、24A…透過軸、25…検光子、25A…透過軸、26…移相子の一例としての波長板、27…第1検光子、27A…透過軸、28…第2検光子、28A…透過軸、31…第1の像生成機構、32…第2の像生成機構、33…第1ミラー、34…第2ミラー、35…第3ミラー、36…第4ミラー、50…制御部、51…メモリ、52…駆動制御部、53…検査部、PR…プログラム、L1…第1偏光、L2…第2偏光、L3…第3偏光、IP…1フレーム撮像期間、Img1…第1の像、Img2…第2の像、Img3…撮像画像。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8