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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】接触式センサユニット
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
H01H36/00 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020014589
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121989
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-10-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)展示日:令和1年10月9日 展示会名:日経 xTECH EXPO 2019 開催場所:東京国際展示場 (2)掲載日:令和1年10月8日 掲載アドレス:https://tomorobo-lab.com/ その他2件
(73)【特許権者】
【識別番号】513192742
【氏名又は名称】建ロボテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞部 達也
(72)【発明者】
【氏名】河上 浩三
(72)【発明者】
【氏名】井上 治久
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-175533(JP,A)
【文献】特開2006-053777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象に取り付けられて障害物との接触を検知する接触式センサユニットであって、
前記保護対象に取り付けられる直線状のベース剛体と、
該ベース剛体の両端域に移動自在にそれぞれ取り付けられているシャフトと、
該シャフトに取り付けて前記保護対象から遠ざかる方向かつ斜めに向けて張り出しているアーチ状の接触子と、
前記ベース剛体の両端域に設けられて前記接触子の後方への移動及び外方への広がりにそれぞれ伴う前記シャフトの前方への移動及び斜め前方への移動を検出して検出信号を発信する検出子とを有していることを特徴とする接触式センサユニット。
【請求項2】
前記接触子が、弾性を有する部材からなることを特徴とする請求項1に記載の接触式センサユニット。
【請求項3】
前記シャフトの可動域を規制する接触子規制部材が、前記ベース剛体の両端域に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接触式センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護対象に取り付けられて障害物との接触を検知する接触式センサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、保護対象である車体が障害物に接触することを検知するためのバンパとして、中空筒状の可動体と、この可動体の内面に突設された作動体と、この作動体と対向し、可動体のスライドにより作動体が接触して作動するスイッチと、このスイッチからの入力により警報が発報される警報器とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実全昭62-139860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のバンパは、検知範囲が可動体の外表面のみであるため、接触検知エリアを広げるにはバンパ自体を大きくせざるを得ないという問題がある。
また、特許文献1に記載されたようなバンパにおいて検知範囲を広げようとすると、可動体が大型化して可動体自体の重量が増加するため、可動体がスライドしにくくなり、可動体が検知できる最小荷重量が大きくなってしまうという問題も生じる。
さらに、特許文献1に記載のバンパは、保護対象に直接取り付けられるため、バンパが障害物と接触した際に、障害物が保護対象に接触してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、本発明の目的は、検知範囲を広範囲にしつつ小さな荷重も検知可能であり、保護対象への接触を防ぐ接触式センサユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、保護対象に取り付けられて障害物との接触を検知する接触式センサユニットであって、前記保護対象に取り付けられる直線状のベース剛体と、該ベース剛体の両端域に移動自在にそれぞれ取り付けられているシャフトと、該シャフトに取り付けて前記保護対象から遠ざかる方向かつ斜めに向けて張り出しているアーチ状の接触子と、前記ベース剛体の両端域に設けられて前記接触子の後方への移動及び外方への広がりにそれぞれ伴う前記シャフトの前方への移動及び斜め前方への移動を検出して検出信号を発信する検出子とを有していることにより、前述した課題を解決するものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された接触式センサユニットの構成に加えて、前記接触子が、弾性を有する部材からなることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された接触式センサユニットの構成に加えて、前記シャフトの可動域を規制する接触子規制部材が、前記ベース剛体の両端域に設けられていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明の接触式センサユニットによれば、ベース剛体の両端域に移動自在にそれぞれ取り付けられているシャフトと、このシャフトに取り付けて保護対象から遠ざかる方向かつ斜めに向けて張り出しているアーチ状の接触子と、ベース剛体の両端域に設けられて接触子の後方への移動及び外方への広がりにそれぞれ伴うシャフトの前方への移動及び斜め前方への移動を検出して検出信号を発信する検出子とを有していることにより、接触子が正面から接触した場合に加えて、接触子が上方又は側方で障害物に接触した場合であっても接触子の傾動変位をシャフトの移動を介して検出するため、単一の部材で接触検知エリアを広範囲にすることができるだけでなく、接触子を大型化しなくとも広範囲の接触が検知可能となるため、接触子を小型化でき、小さな荷重が検知しやすくなる。
さらに、接触子がアーチ状であることにより、接触子と保護対象との間に間隔が形成されるため、障害物が保護対象へ接触することを防ぐことができる。
【0010】
請求項2に係る発明の接触式センサユニットによれば、請求項1に係る発明の接触式センサユニットが奏する効果に加えて、接触子が、弾性を有する部材からなることにより、接触子が障害物に接触した際の衝撃が吸収されるため、保護対象に接触時の衝撃を伝わりにくくすることができると同時に障害物への衝撃を緩和できる。
また、接触状態が解除されると接触子の弾性変形により元の状態に戻るため、接触式センサユニットを連続して使用することができる。
【0011】
請求項3に係る発明の接触式センサユニットによれば、請求項1または請求項2に係る発明の接触式センサユニットが奏する効果に加えて、シャフトの可動域を規制する接触子規制部材が、ベース剛体の両端域に設けられていることにより、接触子が自重により下方に傾動しようとしても、接触子規制部材がシャフトの可動域を制限するため、検出子が接触子の自重による傾動を誤って検知してしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施例である接触式センサユニットの斜視図。
図2図1の要部拡大図。
図3A】センサユニット本体の基材の左側斜視図。
図3B】センサユニット本体の基材の右側斜視図。
図4】接触子規制部材の平面図。
図5A図1に示すセンサユニット本体の側面図。
図5B図1に示すセンサユニット本体を図5AのVBから見た図。
図6図5BのVI-VI線から見たセンサユニット本体の断面図。
図7図5AのVII-VII線から見たセンサユニット本体の要部断面図。
図8A】接触式センサユニットの要部を拡大した右側面図。
図8B】シャフトの挙動を示す部分を拡大した断面図。
図9A】接触式センサユニットの正面図。
図9B】シャフトの挙動を示す部分を拡大した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、保護対象に取り付けられて障害物との接触を検知する接触式センサユニットであって、保護対象に取り付けられる直線状のベース剛体と、このベース剛体の両端域に移動自在にそれぞれ取り付けられているシャフトと、このシャフトに取り付けて保護対象から遠ざかる方向かつ斜めに向けて張り出しているアーチ状の接触子と、ベース剛体の両端域に設けられて接触子の後方への移動及び外方への広がりにそれぞれ伴うシャフトの前方への移動及び斜め前方への移動を検出して検出信号を発信する検出子とを有しており、検知範囲を広範囲にしつつ小さな荷重も検知可能であり、保護対象への接触を防ぐものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0014】
例えば、本発明の接触式センサユニットの保護対象は、鉄筋結束機(例えば、マックス株式会社製の「RB-440T」)を搭載する自動結束ロボットのような自走式作業ロボット、ミニユンボなどの小型重機又はコンクリートカッター若しくはローラーなどの小型建設機械であってもよい。
【実施例
【0015】
<1.本発明の実施例である接触式センサユニットの概要>
以下、図1乃至図7に基づいて、本発明の一実施例である接触式センサユニット100の概要を説明する。
図1は本発明の第1実施例である接触式センサユニットの斜視図であり、図2図1の要部拡大図であり、図3Aはセンサユニット本体の基材の左側斜視図であり、図3Bはセンサユニット本体の基材の右側斜視図であり、図4は接触子規制部材の平面図であり、図5A図1に示すセンサユニット本体の側面図であり、図5B図1に示すセンサユニット本体を図5AのVBから見た図であり、図6図5BのVI-VI線から見たセンサユニット本体の断面図であり、図7図5AのVII-VII線から見たセンサユニット本体の要部断面図である。
なお、図2図5A図5Bおよび図7では、説明の都合上、接触式センサユニットからユニットカバー132を取り外している。
【0016】
本発明の実施例である接触式センサユニット100は、保護対象である走行体(例えば、自走式作業ロボット)に取り付けられて障害物との接触を検知するものである。
そして、この接触式センサユニット100は、図1に示すように、走行体(不図示)に取り付けられる直線状のベース剛体110と、走行体から遠ざかる方向かつ斜め上方に向けて張り出しているアーチ状の接触子120と、ベース剛体110の両端に設けられたセンサユニット本体130とを備えている。
【0017】
<1.1.ベース剛体>
ベース剛体110は、一直線上に伸びる直線状の中空の角棒材である。
そして、図1に示すように、ベース剛体110の左右方向の中心には、前後方向に伸びる貫通穴111が形成されている。
この貫通穴にボルト(不図示)を挿入して、走行体に設けられた取付穴にボルトを螺合させることで、接触式センサユニット100は走行体に固定される。
【0018】
<1.2.接触子>
接触子120は、合成樹脂(例えば、ウレタン又はPTFE)製の弾性を有するチューブからなる。
接触子120は、センサユニット本体130と接続されている。
すなわち、接触子120は、ベース剛体110の両端域に取り付けられている。
【0019】
<1.3.センサユニット本体>
センサユニット本体130は、図1に示すように、ベース剛体110に取り付けられる基材131と、この基材131に取り付けられた各種部材を保護するユニットカバー132とを有している。
また、センサユニット本体130の基材131は、図2に示すように、検出子133と、接触子規制部材134とが取り付けられている。
センサユニット本体130は、さらに、図2に示すように、基材131および接触子規制部材134に挿通されるシャフト135と、基材131と接触子規制部材134との間に設けられてシャフト135が挿入される環状部材136と、接触子規制部材134と環状部材136との間に設けられてシャフト135が挿入されるスプリング137とを更に有している。
【0020】
センサユニット本体130は、ベース剛体110の左端と右端とにそれぞれ設けられているが、ベース剛体110の左端に取り付けられたセンサユニット本体130とベース剛体110の右端に取り付けられたセンサユニット本体130とはベース剛体110の左右方向の中心に対して対称である。
そこで、以下、右側のセンサユニット本体130でセンサユニット本体130の構造を詳細に説明する。
【0021】
<1.3.1.基材>
基材131は、図3Aおよび図3Bに示すように、ベース剛体110の底面112(図1参照)と対向する底板131aと、ベース剛体110の上面113(図1参照)と対向する上板131bと、接触子規制部材134が取り付けられる規制部材取付板131cと、シャフト135が挿通されるシャフト挿通板131dと、後述する検出子133が取り付けられ検出子取付板131eとから形成されている。
【0022】
底板131aには、貫通孔131aaが前後方向に二つ形成されている。
この貫通孔131aaには、ベース剛体110の底面112に形成されたネジ孔(不図示)に螺合する取付ボルトB(図1図2参照)が挿通されている。
取付ボルトBにより、基材131の底板131aがベース剛体110に固定される。
【0023】
上板131bは左側面視において水平部分と鉛直部分とからなる部材であり、水平部分には、底板131aと同様に、貫通孔131baが前後方向に二つ形成されている。
この貫通孔131baには、ベース剛体110の上面113に形成されたネジ孔(不図示)に螺合する取付ボルトB(図1参照)が挿通されている。
取付ボルトBにより、基材131の上板131bがベース剛体110に固定される。
【0024】
規制部材取付板131cは、底板131aから垂直に立ち上がった板材であり、前端側は前方から後方に向かって上り傾斜となっており、後端側は前方から後方に向かって下り傾斜となっている。
また、規制部材取付板131cには、規制部材固定ボルトBF(図1参照)が挿通自在な複数(本実施形態では6つ)の貫通孔131caが形成されている。
この貫通孔131caは、規制部材取付板131cの前端側および後端側の傾斜方向とほぼ平行に配置されている。
【0025】
シャフト挿通板131dは、規制部材取付板131cの前端側の上り傾斜とほぼ平行なシャフト挿入部分131daと、規制部材取付板131cの後端側の下り傾斜とほぼ平行であると共に規制部材取付板131cと接続される接続部分131dbとから形成されている。
シャフト挿入部分131daは、平板状の部分であり、その中心にはシャフト挿入孔131dcが形成されている。
接続部分131dbは、規制部材取付板131cとの成す角が約90度となっており、長手方向中央には固定ねじ取付穴131db1が形成されている。
【0026】
検出子取付板131eは、図3Bに示すようにmシャフト挿通板131dの接続部分131dbの右端に接続され、シャフト挿通板131dの接続部分131dbよりも前方かつ下方に傾いている。
また、検出子取付板131eの下方には検出子133を固定するためのセンサ固定ボルトBS(図2参照)が螺合されるネジ孔131eaが形成されている。
【0027】
<1.3.2.その他の部材>
ユニットカバー132は、略C字状の部材であり、カバー固定ねじS(図1図6参照)により、シャフト挿通板131dの接続部分131dbに形成された固定ねじ取付穴131db1及び接触子規制部材134に固定される。
【0028】
検出子133は、例えば渦電流式の磁気センサであり、検出子取付板131eに固定されている。
したがって、検出子133は、ベース剛体110の両端域に設けられている。
【0029】
この検出子133は、センサヘッド133aとドライバ(不図示)とにより構成されており、保護対象と電気的に接続されていてもよい。
センサヘッド133aは、接近したシャフト135に向けて高周波磁束を発生可能であり、センサヘッドにシャフト135が近づくと、渦電流損が大きくなって発振振幅が小さくなる。
検出子133は、この発振振幅を整流して、シャフト135までの距離を直流電圧の変化で検出している。
すなわち、検出子133は、シャフト135の距離を検出することで、接触子120の傾動変位を検出しており、検出子133が接触子120の傾動変位を検出した場合には検出信号を発信する。
【0030】
接触子規制部材134は、板状の部材であり、図4に示すように、右後方側が一部切りかかれている。
接触子規制部材134は、ほぼ中央には扇形状のシャフト挿入孔134aが形成されている。
このシャフト挿入孔134aの周囲にはスプリング137が当接するスプリング当接凹部134bが形成されている。
接触子規制部材134の前方の側面には、カバー固定ねじSと螺合すると共にシャフト挿入孔134aと連通する固定ねじ取付孔134cが形成されている。
接触子規制部材134の左方の側面には、規制部材固定ボルトBF(図1参照)と螺合する固定ボルト取付穴134dが形成されている。
接触子規制部材134の右後方の側面134eには、シャフト挿入孔134a内におけるシャフト135の可動範囲を調整する調整ねじAS(図7参照)と螺合すると共にシャフト挿入孔134aと連通する調整ねじ取付孔134fが形成されている。
【0031】
シャフト135は、金属製の丸棒状の部材であり、図6等に示すように、一端が抜き挿し自在に接触子120に挿入されている。
また、このシャフト135の直径は、シャフト挿通板131dのシャフト挿入孔131dcの直径より小さい。
したがって、図6に示すように、シャフト135とシャフト挿入孔131dcとの間には隙間Cが形成されている。
【0032】
さらに、シャフト135の直径は、図7に示すように、接触子規制部材134のシャフト挿入孔134aより小さくなっている。
したがって、シャフト135は、シャフト挿入孔134a内のみを移動自在となっている。
すなわち、シャフト挿入孔134aによりシャフト135(および接触子120)の可動域が制限されるため、接触子規制部材134は接触子120の可動域を制限している。
【0033】
また、図7に示すように、接触式センサユニット100が走行体に取り付けられた状態(すなわち、接触子120に障害物が接触していない状態)において、シャフト135は接触子規制部材134のシャフト挿入孔134aの後端側と当接している。
これにより、シャフト135および接触子120の姿勢が維持されている。
【0034】
環状部材136はC字状の部材であり、その拡開部分には締め付けボルトB1(図2参照)が挿通されている。
環状部材136にシャフト135を挿入し、締め付けボルトB1を締め付けることで、環状部材136がシャフト135に固定される。
【0035】
スプリング137は接触子規制部材134と環状部材136との間に設けられているが、接触子規制部材134が基材131に固定されていることから、スプリング137は環状部材136を基材131のシャフト挿入部分131da側に押し当てている。
このスプリング137の押し当てによっても、シャフト135および接触子120の姿勢が維持されている。
したがって、検出子133とシャフト135との間が維持され、検出子133による誤検知を減らすことができる。
【0036】
<2.接触検知>
次に、図1図8A乃至図9Bに基づいて、接触式センサユニット100による接触検知について説明する。
図8Aは接触式センサユニットの要部を拡大した右側面図であり、図8Bはシャフトの挙動を示す部分を拡大した断面図であり、図9Aは接触式センサユニットの正面図であり、図9Bはシャフトの挙動を示す部分を拡大した断面図である。
【0037】
<2.1.前方からの接触>
まず、図8Aおよび図8Bに基づいて、接触式センサユニット100が前方からの接触を検知する場合の接触検知メカニズムについて説明する。
【0038】
接触子120が障害物と接触した際、図8Aに示すように、後方への力F1が接触子120に加わったとする。
この力F1により、接触子120(およびシャフト135)は自身の弾性により撓みつつも後方に向かって移動し、シャフト135がシャフト挿通板131dのシャフト挿入孔131da1の後端部に当接する。
さらに力F1が接触子120に加わると、当接点を支点Fとして、接触子120およびシャフト135が図8Aに示すように時計回りに回動する。
このとき、図8Bに示すように、シャフト135がシャフト挿入孔134a内を前方に移動する。
このシャフト135の前方への移動により、シャフト135と検出子133のセンサヘッド133aとの距離が距離d1から距離d2に変化する。
したがって検出子133は、センサヘッド133aとシャフト135との間の距離が変化したことを検知して、その旨を保護対象に伝達する。
【0039】
<2.2.接触子の張り出し方向からの接触>
次に、図1図9Aおよび図9Bに基づいて、接触式センサユニット100が接触子120の張り出し方向からの接触を検知する場合の接触検知メカニズムについて説明する。
【0040】
接触子120が障害物と接触した際、図1および図9Aに示すように、接触子120の張り出し方向において保護対象に向かう力F2が接触子120に加わったとする。
この力F2により、接触子120が自身の弾性により撓んで接触子120が外方(左方および右方)に広がる。
この接触子120の広がりにより、接触子120(およびシャフト135)は外方に向かって移動し、シャフト135がシャフト挿通板131dのシャフト挿入孔131da1の左端部または右端部に当接する。
さらに力F2が接触子120に加わると、当接点を支点Fとして、接触子120およびシャフト135が互いに接近する方向に回動する。
このとき、図9Bに示すように、シャフト135がシャフト挿入孔134a内を斜め前方に移動する。
このシャフト135の斜め前方への移動により、シャフト135と検出子133のセンサヘッド133aとの距離が距離d1から距離d3に変化する。
したがって検出子133は、センサヘッド133aとシャフト135との間の距離が変化したことを検知して、その旨を保護対象に伝達する。
【0041】
以上、接触式センサユニット100が接触子120の張り出し方向からの接触を検知する場合を説明したが、接触式センサユニット100が側方からの接触を検知する場合についても接触子120が外方(左方および右方)に倒れるため、同様の接触検知メカニズムとなる。
【0042】
<3.本実施例の作用効果>
上述した本実施例である接触式センサユニット100によれば、ベース剛体110の両端域に移動自在にそれぞれ取り付けられているシャフト135と、このシャフト135に取り付けて保護対象である走行体から遠ざかる方向かつ斜めに向けて張り出しているアーチ状の接触子120と、ベース剛体110の両端域に設けられて接触子120の後方への移動及び外方への広がりにそれぞれ伴うシャフト135の前方への移動及び斜め前方への移動を検出して検出信号を発信する検出子133とを有していることにより、接触子120が正面から接触した場合に加えて、接触子120が上方又は側方で障害物に接触した場合であっても接触子120の傾動変位をシャフト135の移動を介して検出するため、単一の部材で接触検知エリアを広範囲にすることができるだけでなく、接触子120を大型化しなくとも広範囲の接触が検知可能となるため、接触子120を小型化でき、小さな荷重が検知しやすくなる。
さらに、接触子120がアーチ状であることにより、接触子120と走行体との間に間隔が形成されるため、障害物が走行体へ接触することを防ぐことができる。
【0043】
また、接触子120が、弾性を有する部材からなることにより、接触子120が障害物に接触した際の衝撃が吸収されるため、走行体に接触時の衝撃を伝わりにくくすることができる。
【0044】
また、シャフト135の可動域を規制する接触子規制部材134が、ベース剛体110の両端域に設けられていることにより、接触子120が自重により下方に傾動しようとしても、接触子規制部材134がシャフト135の可動域を制限するため、検出子133が接触子120の自重による傾動を誤って検知してしまうことを防ぐことができる。
【0045】
<4.変形例>
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
【0046】
例えば、本実施例において、接触式センサユニット100の保護対象への固定はボルトによる固定であったが、ベース剛体110内に磁石を設置しておいて、保護対象に対して磁石による磁力で固定させても良い。
【0047】
例えば、本実施例において、接触子120は斜め上方に向けて張り出していたが、接触子120の張り出し方向は斜め下方であってもよいし、ベース剛体110を鉛直方向に伸びるように保護対象に固定すれば、張り出し方向を斜め側方に向けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
100 ・・・ 接触式センサユニット
110 ・・・ ベース剛体
111 ・・・ 貫通孔
112 ・・・ 底面
113 ・・・ 上面
120 ・・・ 接触子
130 ・・・ センサユニット本体
131 ・・・ 基材
131a ・・・ 底板
131aa ・・・ 貫通孔
131b ・・・ 上板
131ba ・・・ 貫通孔
131c ・・・ 規制部材取付板
131ca ・・・ 貫通孔
131d ・・・ シャフト挿通板
131da ・・・ シャフト挿入部分
131da1・・・ シャフト挿入孔
131db ・・・ 接続部分
131db1・・・ 固定ねじ取付穴
131e ・・・ 検出子取付板
131ea ・・・ ネジ孔
132 ・・・ ユニットカバー
133 ・・・ 検出子
133a ・・・ センサヘッド
134 ・・・ 接触子規制部材
134a ・・・ シャフト挿入孔
134b ・・・ スプリング当接凹部
134c ・・・ 固定ねじ取付孔
134d ・・・ 固定ボルト取付穴
134e ・・・ 右後方の側面
134f ・・・ 調整ねじ取付孔
135 ・・・ シャフト
136 ・・・ 環状部材
137 ・・・ スプリング
BF ・・・ 規制部材固定ボルト
BS ・・・ センサ固定ボルト
B ・・・ 取付ボルト
B1 ・・・ 締め付けボルト
S ・・・ カバー固定ねじ
AS ・・・ 調整ねじ
C ・・・ 隙間
F ・・・ 支点
F1、F2 ・・・ 力
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B