(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】マイクロファイバー強化コンクリート
(51)【国際特許分類】
C04B 14/48 20060101AFI20221101BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20221101BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
C04B14/48 A
C04B28/02
E04G21/02
(21)【出願番号】P 2020550087
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(86)【国際出願番号】 DE2019100225
(87)【国際公開番号】W WO2019192647
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】102018107926.5
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510020228
【氏名又は名称】ウニヴェルズィテート カッセル
【氏名又は名称原語表記】Universitaet Kassel
【住所又は居所原語表記】Moenchebergstrasse 19, D-34109 Kassel, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ニーンドルフ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クロース・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ミッデンドルフ・ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッツェル・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ザイム・ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】フェーリング・エッケハルト
(72)【発明者】
【氏名】ハイム・ハンス-ペーター
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05858082(US,A)
【文献】特開2004-331491(JP,A)
【文献】特開平06-079714(JP,A)
【文献】特開昭59-190251(JP,A)
【文献】特開2008-008120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロファイバー強化コンクリート(1)を製造するための方法であって、このマイクロファイバー強化コンクリートが、
セメントマトリックス(10)を有しており、このセメントマトリックス内において、ファイバー要素(11)から成るマイクロファイバー添加材が導入され、
および、その際、これらファイバー要素(11)が、形状記憶合金を有しており、
その際、前記方法が、少なくとも以下のステップ:即ち、
-転移温度(T2)を超える温度(T1)における、前記ファイバー要素(11)のファイバー形状(12)のトレーニング、その際、このファイバー形状(12)が、前記ファイバー要素(11)の係止を可能にする、
-トレーニングされた前記ファイバー要素の冷却、
-トレーニングされた前記ファイバー形状から中間形状(13)への、前記ファイバー要素の可塑的な変形、この中間形状でもって、前記ファイバー要素(11)の係止が防止されており、前記中間形状(13)の形成のために、前記ファイバー要素(11)が、渦巻き形状、糸玉形状、波形または捻じられた形状、または、巻回形状にされ、
-フレッシュコンクリート(14)の形成のための、前記セメントマトリックス(10)内への前記ファイバー要素(11)の導入、
-前記フレッシュコンクリート(14)の打込み、
および、
-前記転移温度(T2)への、前記フレッシュコンクリート(14)の加熱、従って、前記ファイバー要素(11)が、前記ファイバー形状(12)へと、前記ファイバー要素(11)の係止のもとで復元する、
ステップを有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ファイバー要素(11)の前記ファイバー形状(12)のトレーニングは、300℃から400℃までの温度(T1)、または、340℃から360℃までの温度(T1)において行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ファイバー要素(11)は、前記ファイバー形状(12)のトレーニングの以前、直線状の延在を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ファイバー形状(12)のトレーニングは、直線状の形状で供給されたファイバー要素(11)の型押しによって実施されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記トレーニングされたファイバー形状(12)は、少なくとも、ファイバー端部における、前記ファイバー要素(11)に型押しされた終端係止部(15)によって形成されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記転移温度(T2)は、40℃から50℃までの値を有して選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記ファイバー要素(11)は、2体積%以上でもって、前記セメントマトリックス(10)内へと投入されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記ファイバー要素(11)は、5mmから50mmまでの長さ、及び/または、0.1mmから2mmまでの直径を有して、前記セメントマトリックス(10)内へと投入されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロファイバー強化コンクリートを製造するための方法に関し、このマイクロファイバー強化コンクリートが、
セメントマトリックスを有しており、このセメントマトリックス内において、ファイバー要素から成るマイクロファイバー添加材が導入され、
および、その際、これらファイバー要素が、形状記憶合金を有している。
本発明は、更に、そのような方法によって製造されているマイクロファイバー強化コンクリートに関している。
【背景技術】
【0002】
ファイバー無しのコンクリートのレオロジー的な特性との、マイクロファイバー強化コンクリートの特性の組み合わせは、現代の建築における中心的な目標設定である。特に、超高張力コンクリート(UHPC)のような強化コンクリートのために、マイクロファイバーの挿入は有利であり、部分的にしかもその上、不可欠である。
超高張力コンクリートの既に極めて良好な圧縮強度は、その場合に、マイクロファイバーの挿入によって、付加的に、極めて高い引張強度と組み合わせ可能である。
このことは、材料-コンクリートを、十分な、極めて繊細な、且つ、これに伴って重量を節約する建築構造のために使用可能にし、且つ、基本的に、新規の構造様式を可能にする。その場合に、例えばファイバーの終端係止部を有する、ファイバー幾何学的形状によって、高張力の鋼ファイバーとセメントマトリックスとの間の結合が、著しく改善されることは公知である。
不利な状態で、しかしながら、コンクリートのレオロジー的な特性は、明確に低下される。2体積%以下の範囲内における添加における、1mm以下の直径を有するファイバー要素の使用の際に、処理可能性における制限は、確認されるべきである。その場合に、ファイバー要素の凝集を表す、いわゆるヘッジホッグ形成(Igelbildungen)の状態になる。このことから、セメントマトリックス内におけるファイバー要素の不均等な分布が生じ、従って、同様にコンクリートの不完全な圧縮も生じる。
【0003】
例えば、特許文献1は、マイクロファイバー強化コンクリートを製造するための方法を開示しており、このマイクロファイバー強化コンクリートが、
セメントマトリックスを有しており、このセメントマトリックス内において、ファイバー要素から成るマイクロファイバー添加材が導入され、
その際、これらファイバー要素が、形状記憶合金を有している。
形状記憶合金の形状記憶効果は、その場合に、フレッシュコンクリートが形状記憶合金の転移温度へと加熱された際に、ファイバー要素が相互に係止し(verhaken)、且つ、予負荷をセメントマトリックス内において構成するように利用される。その場合に、マイクロファイバーから成る予負荷された補強材を有する、マイクロファイバー強化コンクリートが製造される。
トレーニングは、その場合に、ファイバー要素に対する、所定の形状の型押しを表し、仮にファイバー要素が一時的に可塑的に変形された場合であっても、これらファイバー要素が、この所定の形状を、いわゆる転移温度の到達の際に、再び想起し(erinnern)、即ち受け入れ可能である。この転移温度は、通常明確に、ファイバー要素の想起形状のトレーニングが例えば型押し方法によって実施される温度よりも低い状態にある。
【0004】
セメントマトリックス内へと導入されるファイバー要素でもってのレオロジー的な特性の改善は、形状記憶合金から成るファイバー要素の周知の使用でもって置換され得ない。特に、ファイバー要素のこの状態においてコンクリートを処理するため、特に打込む(vergiessen)ために、これらファイバー要素が直線状の延在を有するべきことは提示される。
その場合に、特に強度に、ファイバー束の凝集の状態になり、このことによって、セメントマトリックス内におけるファイバー要素のより高い体積割合分において、このセメントマトリックス内におけるこれらファイバー要素の分布の明確な不均一性の状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第5,858,082A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、マイクロファイバー強化コンクリートを製造するための方法の改善であり、その際、このコンクリートが、ファイバー要素の高い割合分を有するべきであり、および、それに加えて、このマイクロファイバー強化コンクリートが、良好に処理可能であり、加えてファイバー束へのファイバー要素の凝集の状態になること無しに、特に、このコンクリートの打込みが可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の上位概念に従う方法を出発点として解決される。本発明の有利な更なる構成は、従属請求項内において提示されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に先行する課題の解決のために、
以下のステップを有する、マイクロファイバー強化コンクリートの製造のための方法を実施することが提案され:この方法が、
形状記憶合金の転移温度を超える状態にある1つの温度における、ファイバー要素のファイバー形状のトレーニング、のステップを有しており、
その際、このファイバー形状は、ファイバー要素の係止が相互に及び/またはセメントマトリックスと可能になるように構成されているべきである。
更に、この方法は、トレーニングされたファイバー要素の冷却を備え、引き続いて、トレーニングされたファイバー形状から中間形状への、ファイバー要素の可塑的な変形が行われる。この中間形状は、この中間形状でもってファイバー要素の係止が防止されているように選択される。
引き続いて、フレッシュコンクリートの形成のための、セメントマトリックス内へのファイバー要素の導入が行われ、このフレッシュコンクリートが、引き続いて、ファイバー要素の係止の状態になること無しに打込まれる。最終的に、転移温度への、フレッシュコンクリートの加熱が行われ、従って、ファイバー要素が、ファイバー形状へと、ファイバー要素の係止のもとで復元可能である。
【0009】
結果として、1つのマイクロファイバー強化コンクリートが製造可能となり、このマイクロファイバー強化コンクリートは、極めて良好に打込まれ得、且つ、このマイクロファイバー強化コンクリートにおいて、ファイバー要素の割合分が明確に増大され得る。即ち例えばマイクロファイバー強化コンクリートの打込み可能性の明確に改善されたレオロジー的な特性の効果は、打込みの際にファイバー要素が中間形状において存在し、この中間形状でもってこれらファイバー要素の係止が防止されていることにある。
このことによって、同様に、ヘッジホッグ形成、即ちファイバー束へのファイバー要素の凝集も明確に低減され、且つ、同様に繊細な打込み形状の際にも、ファイバー要素の均一な分布を有するマイクロファイバー強化コンクリートが提供される。結果として、これに伴って、コンクリートの強度を明確に増大することの可能性は与えられ、その際、このコンクリートの増大された強度にもかかわらず、同様に例えば繊細な構造の処理可能性は、可能のままである。
【0010】
ファイバー要素のファイバー形状のトレーニングは、300℃から400℃までの温度において、および、特に340℃から360℃までの温度において行われ得る。有利には、このファイバー形状のトレーニングは、350℃の温度において行われる。
【0011】
同様に、ファイバー要素が、ファイバー形状のトレーニングの以前、直線状の延在を有していることも有利である。これに伴って、例えばファイバー要素が先ず第一に線材形状において準備され且つ例えばコイルから巻き戻され且つ裁断されるというやり方で、ファイバー要素は、低廉な方法で準備され得る。
【0012】
例えば、ファイバー形状のトレーニングは、直線状の形状で供給されたファイバー要素の型押しによって、屈曲または湾曲されたファイバー端部を有するファイバー形状へと行われる。ファイバー要素の型押しの工程が、エンドレス線材からのこれらファイバー要素の裁断でもって、プロセス統一的に行われることは可能である。
【0013】
ファイバー形状のトレーニングの方法は、その際、ファイバー形状が、特に、ファイバー端部における、ファイバー要素に型押しされた終端係止部によって形成されるように実施される。その場合に、例えば、これらファイバー端部に1つの屈曲部を備えること、これらファイバー端部を湾曲すること、または、逆さ鉤(Wiederhaken)として成形することは十分であり得る。
補強の効果を維持するために、ファイバー形状の基礎形状は、その場合に、有利には縦長の延在を保持する。
【0014】
トレーニングされたファイバー形状からの中間形状の形成のために、ファイバー要素は、例えばコンパクトにされた形状に移行され、且つ、このコンパクトにされた形状が、相互間でのこれらファイバー要素の係止、および、セメントマトリックスとのこれらファイバー要素の係止が、もはや可能でないように構成されているべきである。
このコンパクトにされた形状が、例えば、渦巻き形状(Kringelform)、波形または捻じられた形状を備えていることは可能であり、または、この中間形状が巻回形状を有しており、このことによって、前記ファイバー要素の係止が防止されている。巻回形状または糸玉形状(Knaeulform)は、特に、ファイバー要素の端部が、糸玉形、渦巻き、巻回、または、その他のコンパクトにされた形状において、内方へと指向するように構成され得る。このことによって、ファイバー要素は、これらファイバー要素が相互に係止するまたはその他の方法で形状的な嵌合を相互に形成し且つ凝集すること無しに、このファイバー要素の中間形状において、互い並んだ状態になり得る。
打込まれた状態における、フレッシュコンクリートのレオロジーは、ファイバー要素の非係止の結果として著しく改善される。何故ならばこれらファイバー要素の如何なる凝集も形成可能でないからである。
引き続いて、中間形状におけるファイバー要素を有するフレッシュコンクリートが、処理された、即ち例えば打込まれた状態において、転移温度へと再び加熱される場合、これらファイバー要素は、これらファイバー要素の中間形状を再び失い、且つ、ファイバー要素がトレーニングされたファイバー形状を再び想起するというやり方で、所望された終端係止部を有するトレーニングされたファイバー形状を想起する。相互間でのファイバー要素の、および、セメントマトリックスとのファイバー要素の、形状的な嵌合効果は、これに伴って再び形成され、このことは、マイクロファイバー強化コンクリートから成る構造部材の所望された打込み形状の製造の後に初めて行われる。
【0015】
例えば、転移温度が、40℃から50℃までの値を有していることは可能である。転移温度の高さは、その場合に、特に形状記憶合金の材料に依存する。その際、ファイバー要素だけでなく全セメントマトリックスも、転移温度へと加熱され、従って、トレーニングされたファイバー形状への、中間形状からのファイバー要素の復元と同時に、改善され且つ促進されたコンクリートの硬化が与えられる。
【0016】
ファイバー要素が、2体積%以上でもって、セメントマトリックス内へと投入される場合、特別な利点は達成される。
その際、ファイバー要素が、例えば、5mmから50mmまで、有利には10mmの長さであることは可能であり、及び/または、0.1mmから2mmまでの直径を有して、セメントマトリックス内へと投入されることは可能である。ファイバー要素は、その場合に、如何なる円形断面も有する必要はなく、且つ、例えば、同様に、矩形の断面、または、しかもその上、未定義の断面を有することは可能である。
ファイバー要素の幾何学的な寸法は、その際、特に、マイクロファイバー強化コンクリートでもって製造されるべきである構造部材の、生産されるべき幾何学的形状に依存する。
【0017】
本発明は、更に、本発明に従う方法によって製造された、マイクロファイバー強化コンクリートに関している。
その場合に、ファイバー要素が、銅基及び/または鉄基を備える形状記憶合金を有することは可能である。固体コンクリート内におけるファイバー要素が、相互に、及び/または、セメントマトリックスと係止されていることも同様に有利である。
【0018】
更なる、本発明を改良する構成を、以下で、本発明の1つの有利な実施例の説明と共に、唯一の図に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】マイクロファイバー強化コンクリートの製造のための、本発明に従う方法のステップの、概略的な連続の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、複数の方法のステップ101から107までの連続を示しており、これら方法のステップが、マイクロファイバー強化コンクリート1の製造のための、本発明に従う方法を記述している。
【0021】
この方法は、ファイバー要素11の準備101、および、転移温度を超える状態にある温度への、これらファイバー要素11の加熱でもって開始する。形状記憶合金から成るこれらファイバー要素11のこの転移温度は、その温度以上で、形状記憶合金から成る構造部材がこの想起された形状に復元するというやり方で、この形状記憶合金が当初トレーニングされた幾何学的な形状を想起する該温度である。
【0022】
本発明に従う方法の次のステップは、ファイバー形状へのトレーニング102によって形成され、その際、これらファイバー要素11が、例えば型押し工程またはその他の可塑的な変形工程によって、転移温度の到達の際に形状記憶合金によって想起されるべきである所望された形状にされる。引き続いて、更なるステップにおいて、ファイバー形状のトレーニングのための温度T1から、例えば室温への、トレーニングされたファイバー要素11の冷却103が行われる。
【0023】
更なるステップ104において、中間形状13への、ファイバー要素の可塑的な変形が行われ、この中間形状が、これらファイバー要素相互の、および、同様にこれらファイバー要素のセメントマトリックスとの係止が阻止されているように形成されている。
【0024】
その後、セメントマトリックス10内への、中間形状13におけるファイバー要素の導入105、および、フレッシュコンクリートの打込みが続く。このフレッシュコンクリートが打込まれる際、転移温度T2へのこのフレッシュコンクリートの加熱106が行われ、従って、引き続いて、マイクロファイバー強化コンクリートの収受(Erhalt)107が行われる。
方法のステップ107において、その際、コンクリートの打込みのためにファイバー要素11は再びトレーニングされた形状において存在し、従って、セメントマトリックス10内におけるファイバー要素11の強度を高める効果が、このフレッシュコンクリートの簡単な先行する打込みにもかかわらず、十分に利用され得る。
【0025】
ステップ101において、その際、ロッド形状を有しているファイバー要素11が示されている。このステップ1からステップ2へと、加熱が、矢印でもって示されている加熱付加によって、例えば350℃の温度へと行われる。
このステップ2において、ファイバー形状12へのファイバー要素11の型押しが行われ、このファイバー形状において、これらファイバー要素は、これらファイバー要素11の形状的に嵌合するように形成する終端係止部15を有している。
【0026】
ステップ102に続いて、冷却103は、ファイバー形状12のトレーニングのための温度T1から、例えば再び室温へと行われる。
【0027】
ステップ4において、ファイバー要素の渦巻き形状が示されており、この渦巻き形状は、中間形状13に相応する。
この中間形状13におけるファイバー要素11は、ステップ105において、セメントマトリックス10内へと導入され、このことによって、フレッシュコンクリート14が提供される。
引き続いて、転移温度を表す温度T2への加熱が行われ、従って、ステップ105においの、ファイバー要素11の渦巻き形状の中間形状13は、当初、ステップ102においてトレーニングされたファイバー形状12に復元する。
【0028】
マイクロファイバー強化コンクリート1内において、セメントマトリックス10の単位体積当たり、著しく多くの数のファイバー要素11が導入され得、このことによって、このマイクロファイバー強化コンクリート1の引張強度及び/または圧縮強度は、明確に増大される。
例えば、セメントマトリックス10内におけるファイバー要素11の割合分は、ほぼ明確に2体積%を超え、その際、増大されたファイバー容易に割合分にもかかわらず、処理のためのコンクリート1のレオロジー的な特性が促進されている。何故ならば、フレッシュコンクリートの打込みの、レオロジー的なステップが、中間形状13において存在するファイバー要素11によって行われるからである。
【0029】
本発明は、本発明の構成において、上記で述べられた有利な実施例に限定されない。
むしろ、図示された解決策を同様に基本的に種類の異なる構成においても使用する、複数のバリエーションは考慮可能である。
全ての、請求の範囲、明細書、または図面から読み取れる特徴、及び/または、利点が、構造的な詳細または空間的な配置をも含めて、自体においてと同様に極めて異なる組み合わせにおいても、発明の基本的事項であることは可能である。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1. マイクロファイバー強化コンクリート(1)を製造するための方法であって、このマイクロファイバー強化コンクリートが、
セメントマトリックス(10)を有しており、このセメントマトリックス内において、ファイバー要素(11)から成るマイクロファイバー添加材が導入され、
および、その際、これらファイバー要素(11)が、形状記憶合金を有しており、
その際、前記方法が、少なくとも以下のステップ:即ち、
-転移温度(T2)を超える温度(T1)における、前記ファイバー要素(11)のファイバー形状(12)のトレーニング、その際、このファイバー形状(12)が、前記ファイバー要素(11)の係止を可能にする、
-トレーニングされた前記ファイバー要素の冷却、
-トレーニングされた前記ファイバー形状から中間形状(13)への、前記ファイバー要素の可塑的な変形、この中間形状でもって、前記ファイバー要素(11)の係止が防止されている、
-前記フレッシュコンクリート(14)の形成のための、前記セメントマトリックス(10)内への前記ファイバー要素(11)の導入、
-前記フレッシュコンクリート(14)の打込み、
および、
-前記転移温度(T2)への、前記フレッシュコンクリート(14)の加熱、従って、前記ファイバー要素(11)が、前記ファイバー形状(12)へと、前記ファイバー要素(11)の係止のもとで復元する、
ステップを有していることを特徴とする方法。
2. 前記ファイバー要素(11)の前記ファイバー形状(12)のトレーニングは、300℃から400℃までの温度(T1)において、及び/または、340℃から360℃までの温度(T1)において行われることを特徴とする上記1に記載の方法。
3. 前記ファイバー要素(11)は、前記ファイバー形状(12)のトレーニングの以前、直線状の延在を有していることを特徴とする上記1または2に記載の方法。
4. 前記ファイバー形状(12)のトレーニングは、直線状の形状で供給されたファイバー要素(11)の型押しによって実施されることを特徴とする上記1から3のいずれか一つに記載の方法。
5. 前記トレーニングされたファイバー形状(12)は、少なくとも、ファイバー端部における、前記ファイバー要素(11)に型押しされた終端係止部(15)によって形成されることを特徴とする上記4に記載の方法。
6. 前記中間形状(13)の形成のために、前記ファイバー要素(11)は、コンパクトにされた形状、渦巻き形状、糸玉形状、波形または捻じられた形状、または、巻回形状にされ、このことによって、前記ファイバー要素(11)の係止が防止されていることを特徴とする上記1から5のいずれか一つに記載の方法。
7. 前記転移温度(T2)は、40℃から50℃までの値を有して選択されることを特徴とする上記1から6のいずれか一つに記載の方法。
8. 前記ファイバー要素(11)は、2体積%以上でもって、前記セメントマトリックス(10)内へと投入されることを特徴とする上記1から7のいずれか一つに記載の方法。
9. 前記ファイバー要素(11)は、5mmから50mmまでの長さ、及び/または、0.1mmから2mmまでの直径を有して、前記セメントマトリックス(10)内へと投入されることを特徴とする上記1から8のいずれか一つに記載の方法。
10. 上記1から9のいずれか一つによる方法でもって製造される、マイクロファイバー強化コンクリート(1)。
11. 前記ファイバー要素(11)は、銅基及び/または鉄基を備える形状記憶合金を有することを特徴とする上記10に記載のマイクロファイバー強化コンクリート(1)。
12. 固体コンクリート内における前記ファイバー要素(11)は、相互に、及び/または、前記セメントマトリックス(10)と係止されていることを特徴とする上記10または11に記載のマイクロファイバー強化コンクリート(1)。
【符号の説明】
【0030】
1 マイクロファイバー強化コンクリート
10 セメントマトリックス
11 ファイバー要素
12 ファイバー形状
13 中間形状
14 フレッシュコンクリート
15 終端係止部
101 ファイバー要素の準備、および、転移温度を超える温度への、これらファイバー要素の加熱
102 ファイバー形状のトレーニング
103 トレーニングされたファイバー要素の冷却
104 ファイバー要素の可塑的な変形
105 セメントマトリックス内へのファイバー要素の導入、および、フレッシュコンクリートの打込み
106 転移温度への、フレッシュコンクリートの加熱
107 マイクロファイバー強化コンクリートの収受
T1 ファイバー形状のトレーニングのための温度
T2 転移温度
【図 】