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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】新生児撮影システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/00 20210101AFI20221101BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20221101BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G03B15/00 U
G03B15/02 E
H04N5/222
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021184827
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2020189621の分割
【原出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078982
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2021-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】520317332
【氏名又は名称】藤森 崇仁
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】藤森 崇仁
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111772422(CN,A)
【文献】登録実用新案第3226107(JP,U)
【文献】国際公開第2017/049371(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/00-15/05
H04N 5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新生児を撮影する撮影手段と、
前記新生児及び姿勢保持手段を収容する容器と、を備え、
前記姿勢保持手段は、前記容器の内部において移動自在に設けられ、前記新生児と前記容器の内周面との間に挟まり、
さらに前記姿勢保持手段は、前記新生児の後頭部を押圧して保持する後頭部保持部材と、前記新生児の臀部を押圧して保持する臀部保持部材とを有し、前記新生児の背中を丸めた胎児姿勢に保持する新生児撮影システム。
【請求項2】
前記姿勢保持手段と、前記新生児と、の間には、前記姿勢保持手段を覆う背景布が設けられる請求項1に記載の新生児撮影システム。
【請求項3】
前記姿勢保持手段は、緩衝作用を有する請求項1又は2に記載の新生児撮影システム。
【請求項4】
前記新生児の腹側に、主光を照射する主光源を備える請求項1~3の何れかに記載の新生児撮影システム。
【請求項5】
前記新生児の背側に、副光を照射する副光源を備える請求項4に記載の新生児撮影システム。
【請求項6】
前記主光は、前記副光よりも高い位置から照射される請求項5に記載の新生児撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新生児の撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
胎児を画像に収め、残すことは、経産婦の妊娠および出産の記録、あるいは思い出作りの方法として非常に有効に働く。
【0003】
2020年現在において、胎児を撮影する方法は、超音波によるエコー撮影による方法が一般的である。その基幹となる発明が、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭52-41578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような方法で得られる胎児の画像は、照射された超音波の反射あるいは音響インピーダンスの不連続性を計測し、それらを計算し、合成した結果出力されるものであるから、光学的に撮影した画像と比較すると、画像の質が荒くなり、演出の幅が狭まってしまうという問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載された方法では、新生児の体勢を制御することができないため、求めている体勢での画像を得ることが難しいという問題もある。
【0007】
ところで、発明者は、胎児と比べると、新生児は胎内から出ている分撮影しやすく、また、産後間もない新生児であれば、胎児とほとんど形状が変わらないことを見出した。
【0008】
そこで発明者は、上記の問題に鑑みて、胎児の画像を撮影する代わりに、産後間もない新生児をあたかも胎児であるかのように撮影することを考え出した。そして、そのためには、新生児に胎児姿勢などの胎児のような姿勢をとらせることが肝要であることを見出した。
【0009】
なお、本発明において胎児姿勢とは、背中を丸めた体勢のことを言い、好ましくは、この体勢のまま横向きに寝た状態で、膝を軽く胸に引き寄せた姿勢であるとよい。
【0010】
本願発明では、新生児に胎児姿勢をとらせることによって、新生児をあたかも胎児であるかのように撮影する撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決する本願発明は、新生児を撮影する撮影手段と、前記新生児及び姿勢保持手段を収容する容器と、を備え、前記姿勢保持手段は、前記新生児及び前記容器の内周面に当接されることによって、前記新生児を、その背中を丸めた胎児姿勢に保持する新生児撮影システムである。
【0012】
このような構成にすることによって、前記新生児を胎児姿勢で保持することができるため、前記新生児を胎児のように撮影することができるようになる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記姿勢保持手段は、前記容器内部において移動自在に設けられる。
【0014】
このような構成にすることによって、前記新生児の姿勢の調整を容易に行うことができるようになる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記姿勢保持手段と、前記新生児と、の間には、前記姿勢保持手段を覆う背景布が設けられる。
【0016】
このような構成にすることによって、前記姿勢保持手段が背景布に覆われ、撮影した際に画像に前記姿勢保持手段等の、前記新生児以外の物品が写り込むことがなくなる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記姿勢保持手段には、緩衝作用を有する。
【0018】
このような構成にすることによって、撮影時に前記新生児にかかる負担を抑えることができるようになる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記新生児の腹側に、主光を照射する主光源を備える。
【0020】
このような構成にすることによって、前記新生児の顔面が照らされるため、新生児の顔をはっきりと写した画像を撮影することが可能になる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記新生児の背側に、副光を照射する副光源を備える。
【0022】
このような構成にすることによって、胎児姿勢における背中の輪郭を、明瞭に画像に収めることができるようになる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記主光と前記副光を同時に前記新生児に照射し、前記主光は、前記副光よりも高い位置から照射される。
【0024】
このような構成にすることによって、前記新生児の身体全体に光を照射することができ、新生児の腹側を際立たせた画像を撮影することができるようになる。
【発明の効果】
【0025】
上記構成によって、新生児をあたかも胎児であるかのように撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る、新生児の撮影方法の模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る、新生児の撮影方法の説明図である。
図3】本発明の実施形態に係る、姿勢保持手段の配置図である。
図4】本発明の実施形態に係る、新生児の上面図である。
図5】本発明の実施形態に係る、照明装置の配置の模式図である。
図6】本発明の実施形態に係る、姿勢保持手段の配置の変更例である。
図7】本発明を用いて、実際に撮影された新生児の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る撮影方法について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号1は新生児を表し、符号Cはカメラなどの撮影手段を表す。
【0028】
図1は、本実施形態における新生児1の撮影方法の模式図を表し、図2は、本実施形態における新生児1の撮影方法の説明図を表している。
【0029】
図1及び図2に示すように、本実施形態における撮影システムは、新生児1を撮影する撮影手段Cと、新生児1に当接される姿勢保持手段2と、新生児1及び姿勢保持手段2を収容する容器3と、新生児1と姿勢保持手段2及び容器3との間に設けられる背景布4と、からなる。
【0030】
本実施形態において、新生児1は寝かしつけられた状態で、横向きに容器3の内部に載置される。なお、新生児1は生後二週間以内であることが好ましい。
【0031】
図3は、背景布4を取り払った本発明の実施形態の上面図を表し、図4は、背景布4を、新生児1と姿勢保持手段2との間に設けた状態を表す本発明の実施形態の上面図を表している。
【0032】
姿勢保持手段2は、柔軟性の高いクッション様の緩衝作用を持つ部材であり、図3に示すように、新生児1と、容器3と、に当接されることで新生児1の姿勢を制御する。
【0033】
また、姿勢保持手段2は、前頭部の位置を保持する前頭部保持部材2Aと、後頭部の位置を保持する後頭部保持部材2Bと、臀部の位置を保持する臀部保持部材2Cと、脚部の位置を保持する脚部保持部材2Dと、からなり、いずれも容器3および背景布4から独立した部材であり、容器3の内部を自由に移動できる。
【0034】
本実施形態に係る発明では、姿勢保持手段2の配置によって、前述した胎児姿勢を新生児1にとらせる。
【0035】
なお、姿勢保持手段2の数、大きさ、設置場所は、上に制限されず、新生児1に取らせたい姿勢によって任意に変更することができる。
また、姿勢保持手段2とは別に、新生児1と容器3との間に緩衝部材を設けることもできる。
【0036】
容器3は新生児1と、姿勢保持手段2と、を同時に収容することができる程度の大きさを持つ、縁のある容器であり、上面視した際に略円形であることが好ましい。
容器3には、例えば料理用のボウルを用いることが考えられる。
【0037】
背景布4は柔軟性を持つ平面状の布材であって、姿勢保持手段2及び容器3を覆い隠すのに十分な大きさを持つ。
【0038】
なお、背景布4は黒色にすることが好ましい。これによって光の反射を抑え、姿勢保持手段2によって形成される凹凸が、撮影される新生児1の画像に写り込むのを防ぐことができる。
また、背景布4には、新生児1を傷つけないように、レーヨンやポリエステル等の柔らかな素材を用いることが好ましい。
【0039】
図5は、本発明の実施形態に係る、照明装置の配置に係る模式図である。
なお、図5における破線の矢印は、光が照射される様子とその方向を示している。
【0040】
本実施形態に係る照明装置および照明は、主光源L1から照射される主光L11と、副光源L2から照射される副光L21と、によって構成されている。
【0041】
主光L11は、主光源L1から新生児1の腹側に向けて照射され、新生児1の顔面から脚部にかけての身体を照らす作用を持つ。
特に、主光L11は、主光源L1を新生児1の顔面よりも高い位置に設置し、新生児1に向けて照射することが好ましく、これにより新生児1の顔面に適切に光を当てることができる。
【0042】
また、主光源L1には、グリッド付きソフトボックス等を取り付けることによって、光に直進性をもたせることが好ましい。これにより新生児1の周辺に光が分散されにくくなり、背景布4等の、新生児1周辺の物品が見えにくくなる。
【0043】
副光L21は、副光源L2から照射される、新生児1を背面から照らし、胎児姿勢特有の背中の丸まりを際立たせる光である。
新生児1の正面は主光L11で照らすため、副光L21は新生児1の背面のみを照らすようにすることが好ましい。そのために、副光源L2を主光源L1よりも低い位置に設置し、新生児1の背面全体を照らすように副光L21を照射するのがよい。
さらに好ましくは、副光源L2を新生児1と略同一の高さに設置してから、新生児1に向けて副光L21を照射する。
【0044】
新生児1を効果的に撮影するためには、副光L21を、主光L11よりも弱く、幅の広い光とすることが好ましい。
したがって、副光源L2は、デフューザーや和紙など、光を一部遮る部材によって覆うとよい。
【0045】
なお、主光L11や副光L21は、純粋な白色光に限られない。
例えば赤色や黄色を多く含む光を用いることによれば、より胎内に近い環境を演出し、新生児1をより胎児のように撮影することができる。
また、主光源L1や副光源L2の配置や数は、これに限られない。
【0046】
以下、図1図7を用いて、本発明の実施の方法について説明を行う。
本発明は、新生児1を撮影する目的をもつ撮影者によって実施される。なお、撮影者は一人に限られず、複数人で協力して行うことが望ましい。
【0047】
まず、撮影者は、容器3に、姿勢保持手段2としての緩衝部材を収容し、その上に背景布4を覆いかぶせる。
【0048】
次に、撮影者は、新生児1を寝かしつけ、背景布4の上に横向きに載置する。
【0049】
次に、撮影者は、背景布4の上から姿勢保持手段2を動かし、新生児1に、図4に示すような胎児姿勢を取らせる。
【0050】
上記操作を詳述すると、撮影者は、新生児1の前頭部に前頭部保持部材2Aが当接されるように動かし、新生児1の後頭部に後頭部保持部材2Bが当接されるように動かす。これにより、新生児1の頭部が、前頭部保持部材2Aと後頭部保持部材2Bとによって挟み込まれるように保持する。
【0051】
また、撮影者は、後頭部保持部材2Bと、臀部保持部材2Cと、を動かすことによって、新生児1の後頭部と臀部に圧を加え、新生児1の背骨を背側へ曲げた状態で保持する。
このとき、新生児1の背中を容器3の縁に沿うようにして配置することが望ましく、これによって胎児姿勢における背中が丸まった姿勢を保持しやすくなる。
特に、容器3が略半円球形状である場合は、新生児1と当接する容器3の水平断面が略円形状となるため、簡便に背中が丸まった姿勢を保持することができる。
【0052】
また、撮影者は、新生児1の一方の脚において、膝を胸部まで持ち上げ、脛に他方の足を組ませた状態とし、新生児1の体勢が、この状態で保持されるように脚部保持部材2Dを動かす。
【0053】
ここで、図6に示すように、新生児1の一方の脚を容器3の外側に向け、その状態を二つの脚部保持部材2Dによって挟み込まれるように保持することもできる。これによると、新生児1が母体の腹を蹴る様子を再現することができる。
【0054】
次に、撮影者は、主光源L1及び副光源L2を用いて、主光L11を新生児1の腹側に、副光L21を新生児1の背側に照射することで適切な陰影をつける。
【0055】
最後に、撮影者は、撮影手段Cを用いて、新生児1を上部から撮影する。
【0056】
上記の操作を行うことによって、図7のように、新生児を胎児のように見せる画像を撮影することができる。
【0057】
なお、予め妊婦の腹部の写真を撮影し、腹部の上に本発明で得られた新生児の写真を乗せ置くように画像の編集をすることにより、妊産婦の腹部にあたかも胎児がいるような画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 新生児
2 姿勢保持手段
2A 前頭部保持部材
2B 後頭部保持部材
2C 臀部保持部材
2D 脚部保持部材
3 容器
4 背景布
L1 主光源
L11 主光
L2 副光源
L21 副光
C 撮影手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7