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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】融合機能改善のための視力訓練装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 5/00 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
A61H5/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019532010
(86)(22)【出願日】2016-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 KR2016014735
(87)【国際公開番号】W WO2018110741
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-11-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519099070
【氏名又は名称】エデンラックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、サンヨン
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-511486(JP,A)
【文献】特開2012-095694(JP,A)
【文献】特開平08-257077(JP,A)
【文献】特開2009-000368(JP,A)
【文献】特開2012-100761(JP,A)
【文献】国際公開第2016/078911(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0139455(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の左眼に対応する左眼イメージを提供するよう構成される第1のディスプレイと、
前記使用者の右眼に対応する右眼イメージを提供するよう構成される第2のディスプレイと、
前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイのうち少なくとも1つを制御して、前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの間の距離が減少し、かつ、前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの画像焦点が互いに融合的に一致するように前記左眼イメージ及び前記右眼イメージのうち少なくとも1つを移動し、
前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの前記画像焦点が互いに融合的に一致することを示す焦点一致確認信号を受信し、その後、更に、
前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイのうち少なくとも1つを制御して、前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの間の距離が増加するよう前記左眼イメージ及び前記右眼イメージのうち少なくとも1つを移動し、
前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの前記画像焦点が互いに融合的に一致をしないことを示す分離確認信号を受信し、
前記分離確認信号が入力された場合、前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの間の分離距離を示す情報を融合度情報として保存するよう、
構成される制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記使用者の前記融合度情報に基づいて、融合的両眼相対運動訓練が行われる訓練区間を設定し、前記訓練区間が、前記制御部が前記分離確認信号を受信した場合の前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの間の前記分離距離と、前記制御部が前記分離確認信号を受信した場合の前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの間の前記分離距離よりも短い、前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの間の他の分離距離と、を有し
前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイのうち少なくとも1つを制御して、前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの間の前記距離が設定された前記訓練区間内で減少または増加するよう前記左眼イメージ及び前記右眼イメージのうち少なくとも1つを移動するよう構成される、複視の改善のための視力訓練装置。
【請求項2】
前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイを含む、ディスプレイユニットをさらに備える、
請求項1に記載の視力訓練装置。
【請求項3】
前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイの間に配置される仕切りをさらに備え、
前記仕切りは、前記使用者の前記左眼が前記第2のディスプレイを視ることを遮り、前記使用者の前記右眼が第1のディスプレイを視ることを遮るよう構成される、
請求項1または2に記載の視力訓練装置。
【請求項4】
前記第1のディスプレイは、前記第2のディスプレイとは別個のものである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の視力訓練装置。
【請求項5】
単一のディスプレイユニットが前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイを含み、
前記視力訓練装置は、前記左眼イメージ及び前記右眼イメージを前記左眼及び前記右眼へとそれぞれ提供するよう構成される、分離フィルタを備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の視力訓練装置。
【請求項6】
前記分離フィルタは、カラーフィルタ及び偏光器のうち少なくとも1つを含む、
請求項に記載の視力訓練装置。
【請求項7】
前記使用者に焦点一致確認入力を入力させるモードである焦点一致モード、前記使用者にイメージ分離確認入力を入力させるモードである測定モード、及び、前記使用者に前記融合的両眼相対運動訓練を行わせるモードである訓練モード、のいずれかを前記使用者に選択可能に構成される使用者入力部、を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の視力訓練装置。
【請求項8】
前記使用者入力部は更に、前記イメージ分離確認入力を前記使用者から受け取ると、前記制御部に前記分離確認信号を出力し、前記焦点一致確認入力を前記使用者から受け取ると、前記制御部に焦点一致確認信号を出力するように構成される、請求項に記載の視力訓練装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記焦点一致モードにおいて、前記左眼イメージ及び前記右眼イメージの前記画像焦点が互いに融合的に一致したと判断された状態における前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイの各位置情報を保存し、
前記測定モードが選択されると、前記焦点一致モードにおいて保存された前記各位置情報が示す位置へ、前記第1のディスプレイ及び前記第2のディスプレイを移動させる、請求項に記載の視力訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は融合機能改善のための視力訓練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒトの視機能のうち融合力は左眼と右眼が別々に認識するイメージを一つのイメージに融合して認識することができる機能をいう。このような融合力が正常より低い場合、目が容易に疲れ、ひどい場合、物体が2個に見える複視現象が起き得る。
【0003】
米国公開特許第2012/0069296号には両眼視力障害を治療するためのシステムが開示されている。このシステムは左眼と右眼にそれぞれ対応する2個の個別的なディスプレイを備えて各ディスプレイに表示される映像の視野角を変化させて融合力を改善する。
【0004】
ところが融合力を改善するための従来の視力訓練装置は使用者固有の融合力を考慮せずに一般的な方式で融合訓練を行ったので融合訓練の効果に多少不備があった。また、使用者固有の融合力は使用者個人の視力特性を示す一つのパラメーターとして重要に扱われなければならない要素であるのにこれを測定及び管理することができない問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は使用者の融合力を測定及び管理することができる視力訓練装置を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は測定された使用者の融合力を反映した視力訓練を提供することができる視力訓練装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的は使用者の左眼に対応する左眼イメージと右眼に対応する右眼イメージを提供するディスプレイユニットと、使用者入力部と、左眼イメージと右眼イメージを左眼及び右眼の角膜反射像の焦点が融合的に一致された状態で提供した後、左眼イメージと右眼イメージのうち少なくとも一つを他の一つから離隔されるようにディスプレイを制御して使用者入力部を通じてイメージ分離確認が入力されると入力時の左眼イメージと右眼イメージの間の隔離距離に該当する情報を融合度情報として保存する制御部を含む視力訓練装置によって達成される。
【0008】
ディスプレイユニットは左眼イメージを提供する左側ディスプレイと右眼イメージを提供する右側ディスプレイとを含むことができ、この場合、視野分離のためのフィルタが不要であってより簡単な構成の視力訓練装置を具現化することができる。
【0009】
制御部は左眼イメージと右眼イメージを角膜反射像の焦点が不一致する状態である相互離隔された状態で提供した後、左眼イメージと右眼イメージとのうち少なくとも一つを他の一つに対して接近移動するように左側ディスプレイ及び右側ディスプレイを制御し、接近移動中前記使用者入力部を通じて焦点一致確認入力が入力される場合、左眼イメージと右眼イメージとの角膜反射像の焦点が融合的に一致したものと判断することができ、これによってより正確な測定モードの遂行が可能である。
【0010】
左眼イメージと右眼イメージとは一つのディスプレイ装置に提供され、左眼イメージと右眼イメージとを左眼及び右眼に提供するための相互相対的な融合分離用フィルタをさらに含むことによって、より簡便な構成で視力訓練を行うことができる。
【0011】
制御部は使用者に対する融合度情報を利用して融合度訓練のための訓練区間を設定し、設定された訓練区間内で左眼イメージと右眼イメージとのうち少なくとも一つのイメージを離隔及び接近移動させることによって、使用者固有の視力特性を考慮した視力訓練が可能である。
【0012】
訓練区間は融合度情報に対応する隔離距離が含まれるように訓練区間を設定する場合、視力訓練の効果を極大化することができる。
【0013】
[発明の効果]
【0014】
本発明によると、使用者の融合力を測定及び管理することができる。また、測定された使用者の融合力を考慮したパーソナライズ型融合視力訓練を提供することによって、使用者の融合力をより効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例による視力訓練装置を示す斜視図である。
【0016】
図2】本発明の実施例による視力訓練装置の制御ブロック図である。
【0017】
図3】本発明の視力訓練装置を使用した焦点一致モード過程を例示的に説明するための順序図である。
【0018】
図4図3の焦点一致モードを説明するための参考図である。
【0019】
図5】本発明の実施例による視力訓練装置を利用した測定モード動作を例示的に示す順序図である。
【0020】
図6図5の測定モードを説明するための参考図である。
【0021】
図7】本発明の他の実施例による視力訓練装置を示す概略図である。
【0022】
図8】本発明の視力訓練装置を利用した訓練モード動作を例示的に示す順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例による視力訓練装置をより詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の実施例による視力訓練装置を示す斜視図である。本視力訓練装置は仮想線で表示されたハウジング(110)の内部に左右に配置された一対の視力訓練ユニット(120)を有する。一対の視力訓練ユニット(120)の間には仕切り板(122)が設置されて左眼と右眼の視野が重ならないように互いに遮断する。
【0025】
視力訓練ユニット(120)は視線方向に沿って相互対向して配置される接眼孔(124)とディスプレイユニット(130)が設けられている。ディスプレイユニット(130)は左眼に対応する左側ディスプレイ(131)と右眼に対応する右側ディスプレイ(132)で構成され、各ディスプレイには視力訓練のためのイメージが表示されて使用者は接眼孔(124)を通じて左側ディスプレイ(131)と右側ディスプレイ(132)に表示されたイメージを視覚的に認識することができる。
【0026】
ハウジング(110)の上面には使用者から使用者入力の入力を受ける使用者入力部(160)が設けられている。使用者はこのような使用者入力部(160)を通じて測定モード、訓練モード等のモード選択と使用者確認入力等を入力する。また、ハウジング(110)には使用者の顔に取り付けるためのストラップ(不図示)または眼鏡の蔓(不図示)等が設けられることができる。
【0027】
ディスプレイユニット(130)の左側ディスプレイ(131)は使用者の左眼の視線方向の前方に左眼イメージを表示する。右側ディスプレイ(132)は使用者の右眼の視線方向の前方に右眼イメージを表示する。表示される左眼イメージと右眼イメージは点、線、風景イメージ、図形、幾何学的模様等の静的なイメージ、動画、または3Dイメージであり得る。また、イメージは色相のあるイメージであり得る。このようなイメージを提供するためにディスプレイユニット(130)はLCD、OLED等の電子的なディスプレイ装置で具現化されることができる。また、このようなディスプレイユニット(130)はスマートフォンのような外部ディスプレイ装置を取り付けて具現化されることもできる。
【0028】
レンズ(140)はレンズホルダー(142)に取り付けられて接眼孔(124)とディスプレイユニット(130)の間に配置される。使用者は接眼孔(124)とレンズ(140)を通して視線方向の前方に位置したイメージを認識する。レンズ(140)は凸レンズで具現化されることができる。凸レンズは使用者の眼球とイメージの間の焦点距離を変更して使用者がイメージを実際の距離よりより遠く位置するものと認識するようにしてイメージの遠近感を拡張させる。このようなレンズは眼球とイメージの間の光経路を屈折させる鏡に代替することができる。この場合、鏡は眼球とイメージの間の視野距離を実際の距離より延長してイメージの遠近感を拡張させる。また、レンズ(140)は必要に応じて両眼で認識されるイメージを左眼イメージと右眼イメージに分離するために偏光レンズまたはカラーレンズで具現化されることができる。
【0029】
ディスプレイ移動部(150)はディスプレイユニット(130)の左側ディスプレイ(131)及び右側ディスプレイ(132)を使用者の視線方向に沿って前後方向に移動させる。ディスプレイ移動部(150)はリードスクリュー(151)、リードスクリュー(151)に移動可能に結合される移動体(152)、及びリードスクリュー(151)を回転駆動する駆動モータ(153)を含む。
【0030】
リードスクリュー(151)はハウジング(110)に設けられた固定支持体(154)に回転可能に設置されて、駆動モータ(153)によって回転駆動される。リードスクリュー(151)の回転運動は移動体(152)の前後方向スライディング移動に切り替えられる。移動体(152)はディスプレイユニット(130)と一体に結合されているので、リードスクリュー(151)の回転駆動によってディスプレイユニット(130)が前後方向に往復移動することができる。
【0031】
仕切り板(122)はハウジング(110)の内部に設置されてハウジング(110)の内部を左眼及び右眼にそれぞれ対応する2個の部分に分離する。仕切り板(122)によって使用者の左眼は左側ディスプレイ(131)が表示する左眼イメージだけを認識し、右眼は右側ディスプレイ(132)が表示する右眼イメージだけを認識する。
【0032】
前述した本発明の実施例による視力訓練装置は二つの個別ディスプレイ装置で具現化され、各ディスプレイ装置は使用者の左眼に左眼イメージを提供するための左側ディスプレイ(131)と右眼に右眼イメージを提供するための右側ディスプレイ(132)として機能する。図示された実施例で独立された二つのディスプレイ装置を使用したが、単一ディスプレイ装置で同一の機能を行うことができる。この場合には単一のディスプレイ装置で画面を左右に区画して左眼イメージと右眼イメージを相互離隔されるように表示する。この時、左眼イメージが表示される領域を左側ディスプレイそして右眼イメージが表示される領域が右側ディスプレイに該当する。
【0033】
図2は本発明による視力訓練装置の制御ブロック図である。
【0034】
使用者入力部(160)は視力訓練装置の上面にまたは側面に提供され、制御部(190)は使用者入力部(160)を通じて使用者が入力した情報や条件を受領する。使用者入力部(160)は複数の使用者入力用ボタン(161、162、163、164、165、166、167)を有する。ボタンは具体的に電源入力ボタン(161)、使用者選択ボタン(162)、前方移動ボタン(163)と後方移動ボタン(164)、測定モード選択ボタン(165)、訓練モード選択ボタン(166)、及び焦点一致モードボタン(167)からなっている。使用者入力部(160)を通じて入力された使用者入力は制御部(190)が受領して該当使用者入力に対する動作を行うように視力訓練装置を制御する。このようなボタン形態の使用者入力部(160)はキーパッド、タッチスクリーン等に代替されることができる。図示された実施例で使用者入力部(160)は視力訓練装置に付着されているが、有線あるいは無線のリモコンで具現化されたり、スマートフォン等のようなモバイル機器のアプリによって代替されたりすることもできる。使用者入力部(160)はマイクを使用して音声認識方式で具現化されることができる。
【0035】
通信部(170)はスマートフォン、タブレットPC、使用者サーバー等のような外部装置と有線または無線で通信する。通信部(170)を通じて視力訓練装置は外部装置にデータを伝送したり、外部装置からデータの伝送を受けたりすることができる。
【0036】
メモリー(180)は使用者情報、融合度情報、訓練データ、及び視力訓練装置の動作に必要な各種データを保存する。
【0037】
制御部(190)は本発明の実施例による視力訓練装置の全般的な動作を制御する。制御部(190)は駆動モータ(153)を制御してディスプレイユニット(130)の移動を制御することができる。制御部(190)は左側ディスプレイ(131)及び右側ディスプレイ(132)にそれぞれ左眼イメージと右眼イメージを表示し、表示されたイメージがディスプレイ内で移動するように左側ディスプレイ(131)及び右側ディスプレイ(132)を制御することができる。
【0038】
本視力訓練装置は内部に取り付けられたバッテリー(不図示)を電源として駆動されたり、または外部電源と連結されて駆動されたりすることができる。
【0039】
前述した本発明の実施例による視力訓練装置は使用者が矯正眼の状態だけではなく矯正眼ではない状態でも使用が可能である。矯正眼ではない状態の場合、使用者は使用者入力部(160)の前方移動ボタン(163)と後方移動ボタン(164)を押して左側ディスプレイ(131)と右側ディスプレイ(132)を移動させて焦点距離を変更することによって、眼鏡等を着用しなくても矯正眼の状態を作って視力訓練が可能である。
【0040】
図3は本発明の実施例による視力訓練装置を利用した焦点一致モードの動作を例示的に示す順序図であり、図4図3の焦点一致モードの動作を説明するための参考図である。
【0041】
本発明の実施例による視力訓練装置は二つの個別ディスプレイ装置で具現化される。この場合、使用者の融合度情報を獲得するための測定モードを行う前に左側ディスプレイ(131)に提供される左眼イメージと右側ディスプレイ(132)に提供される右眼イメージの角膜反射像の焦点を融合的に一致させる焦点一致モードの動作が先行されなければならない。ここで、角膜反射像の焦点が融合的に一致するということは使用者の左眼は左眼イメージだけを認識して使用者の右眼は右眼イメージだけを認識するが、視機能の一つである融合機能によって使用者が実際に認識するイメージは左眼イメージと右眼イメージが重なって一つのイメージとして認識された状態を意味する。
【0042】
まず、使用者は使用者入力部(160)の電源入力ボタン(161)を押して視力訓練装置に電源を印加する。使用者は視力訓練装置を着用した後、使用者入力部(160)の焦点一致モードボタン(167)を押して焦点一致モードを選択する(S110)。
【0043】
焦点一致モードが選択されると、制御部(190)は左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージ(IMG_R)が角膜反射像の焦点が融合的に不一致となった状態である相互十分に離隔された状態で提供されるように左側ディスプレイ(131)と右側ディスプレイ(132)を制御する(S120)。角膜反射像の焦点が融合的に不一致となった状態である場合、使用者が両眼を通して認識するイメージは図4の(a)のように左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージ(IMG_R)が互いに分離された2個のイメージ(IMG)であるはずである。
【0044】
以後、制御部(190)は左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージ(IMG_R)のうち少なくとも一つを他の一つに対して漸進的に接近移動するように左側ディスプレイ(131)または右側ディスプレイ(132)を制御する(S130)。
【0045】
制御部(190)は使用者入力部(160)を通じて焦点一致確認入力が入力されるかを確認する(S140)。焦点一致確認入力は左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージ(IMG_R)が互いに接近移動することによって使用者が両眼で認識するイメージが図4の(b)のように一つのイメージ(IMG)として認識される時、使用者が使用者入力部(160)の使用者確認ボタン(162)を押すことによって入力される信号を意味する。
【0046】
使用者入力部(160)を通じて焦点一致確認入力を入力されると、制御部(190)は該当使用者の左眼に対応する左眼イメージ(IMG_L)と右眼に対応する右眼イメージ(IMG_R)の角膜反射像の焦点が融合的に一致したものと判断する。制御部(190)は角膜反射像の焦点が融合的に一致された状態における左側ディスプレイ(131)に提供された左眼イメージ(IMG_L)と右側ディスプレイ(132)に提供された右眼イメージ(IMG_R)の位置情報を測定モードの遂行のために保存する。
【0047】
図5は本発明の実施例による視力訓練装置を利用した測定モード動作を例示的に示す順序図であり、図6図5の測定モード動作を説明するための参考図である。以下、図5及び図6を参照して本発明の実施例による視力訓練装置を利用した測定モードの動作を説明する。
【0048】
まず、使用者は使用者入力部(160)の電源入力ボタン(161)を押して視力訓練装置に電源を印加する。使用者は視力訓練装置を着用した後、使用者入力部(160)の測定モード選択ボタン(165)を押して測定モードを選択する。(S210)。
【0049】
測定モードが選択されると、制御部(190)は前述した焦点一致モードで保存した位置情報を利用して左側ディスプレイ(131)と右側ディスプレイ(132)にそれぞれ左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージ(IMG_R)が角膜反射像の焦点が融合的に一致された状態で提供されるように左側ディスプレイ(131)と右側ディスプレイ(132)を制御する(S220)ここで、測定モードが前述した焦点一致モードの直後、使用者によって直ちに行われる場合、左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージ(IMG_R)は既に角膜反射像の焦点が融合的に一致された状態で左側ディスプレイ(131)と右側ディスプレイ(132)に提供されている状態であるので、ステップS220は省略されることができる。左側ディスプレイ(131)と右側ディスプレイ(132)に左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージ(IMG_R)がそれぞれ角膜反射像の焦点が融合的に一致された状態で提供される場合、使用者が両眼を通して図4の(b)のように一つのイメージ(IMG)を認識するはずである。
【0050】
以後、制御部(190)は左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージ(IMG_R)のうち少なくとも一つが他の一つから漸進的に離隔されるようにディスプレイユニット(130)を制御する(S230)。以下で、図6の(a)のように右眼イメージ(IMG_R)が左眼イメージ(IMG_L)に対して移動することを例に挙げて説明する。
右眼イメージ(IMG_R)が左眼イメージ(IMG_L)に対して漸進的に離隔されても使用者が有する固有の融合力によって所定の離隔範囲内では使用者は依然として一つのイメージとして認識するはずである。
【0051】
右眼イメージ(IMG_R)が左眼イメージ(IMG_L)に対して漸進的に離隔されることによって、使用者はある瞬間一つとして認識されるイメージ(IMG)が図6の(b)のように2個のイメージとして認識されるはずである。
【0052】
制御部(190)は使用者入力部(160)を通じてイメージ分離確認入力が入力されるかを確認する(S240)。使用者は図6の(b)のように2個のイメージとして認識される瞬間、使用者入力部(160)を通じてイメージ分離確認入力を入力する。イメージ分離確認入力は左眼イメージ(IMG_L)に対して右眼イメージ(IMG_R)が漸進的に離隔されることによって一つとして認識されたイメージ(IMG)が左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージ(IMG_R)に互いに分離認識される時点で使用者が使用者確認ボタン(162)を押すことによって入力される信号を意味する。
【0053】
使用者入力部(160)を通じてイメージ分離確認入力が入力されると、制御部(190)は右眼イメージ(IMG_R)の隔離距離(D)に該当する情報を融合度情報として保存する。隔離距離(D)は右眼イメージ(IMG_R)の移動前予め設定された視野原点(P)と移動後イメージ分離確認が入力された時点における右眼イメージ(IMG_R)の移動後視野原点(P')の間の距離である。ここで、視野原点(P)は左眼イメージ(IMG_L)と右眼イメージの(IMG_R)のうち移動されるイメージの任意の位置に設定されることができる。
【0054】
前述した本発明の実施例による視力訓練装置は焦点一致モードの遂行後、測定モードを行うことによって、使用者固有の融合度情報を測定及び確認することができる。このような融合度情報は使用者の視機能のうち融合力と関係となる要素で使用者の視力を評価するための重要なパラメーターとして使用されることができる。また、このような測定モードを通じて使用者の視力特性を把握して把握された視力特性を考慮したパーソナライズ型視力訓練を提供することによって、使用者の視力改善の効果を極大化することができる。
【0055】
図1に図示された本発明の実施例による視力訓練装置は二つの個別ディスプレイ装置を通じて使用者の左眼と右眼にそれぞれ左眼イメージと右眼イメージを区分して提供する。このような視力訓練装置は使用者の頭に取り付けて使用することができる取り付け型装置として使用されることができる。取り付け型装置の場合、使用者の眼球とディスプレイの間にイメージ分離認識のための十分な隔離距離を確保することが難しいので二つのディスプレイ装置を使用して各眼球にイメージを提供する。
【0056】
しかしながら、使用者の眼球とディスプレイの間に十分な隔離距離、例えば、30cm以上を確保することができる場合、単一ディスプレイ装置を使用して視力訓練装置を具現化することができる。
【0057】
図7は本発明の他の実施例による視力訓練装置を示す概略図である。本発明の他の実施例による視力訓練装置は単一ディスプレイ装置で具現化される。
【0058】
本発明の他の実施例による視力訓練装置は使用者の眼球と十分な隔離距離、例えば、30cm以上を置いて位置する単一ディスプレイ装置(210)と使用者の眼球の前方に位置する融合分離用フィルタ(220)を含んで具現化されることができる。この場合、図2の制御部(190)は左眼イメージと右眼イメージが重なった状態で提供されるようにディスプレイ装置(210)を制御することによって、左眼イメージと右眼イメージをその角膜反射像の焦点が融合的に一致された状態で提供することができる。従って、本発明の他の実施例による視力訓練装置は測定モードの遂行に先立って前述した焦点一致モードを行う必要がない。
【0059】
融合分離用フィルタ(220)は重なって提供される左眼イメージと右眼イメージを左眼と右眼がそれぞれ区分して認識することができる機能を行うことができる相互相対的なフィルタが使用されることができる。例えば、左眼イメージは緑色、右眼イメージは赤色で提供される場合、赤緑フィルタを通して左眼は緑色の左眼イメージだけを認識し、右眼は赤色の右眼イメージだけを認識することができる。または融合分離用フィルタ(220)は特定の方向性を有する光だけを透過させる偏光フィルタを使用して左眼イメージと右眼イメージを区分して使用者の左眼及び右眼にそれぞれ提供することができる。この場合、左眼に対応する偏光フィルタの方向性と右眼に対応する偏光フィルタの方向性は互いに異なる方向性を有するもので構成されるはずである。
【0060】
前述した本発明の他の実施例による視力訓練装置はディスプレイ装置(210)と融合分離用フィルタ(220)を含んで具現化されるものと説明されたが、ディスプレイ装置(220)と個別的な融合分離用フィルタ(220)を代替して偏光ディスプレイの構成でも具現化されることができる。この場合、偏光ディスプレイ自体がイメージの表示及び分離を全て行うはずである。
【0061】
前述した本発明の他の実施例による視力訓練装置の測定モードは、前述した図1に図示された視力訓練装置の測定モードと同一であるのでその具体的な説明は省略する。
【0062】
このような本発明の他の実施例による視力訓練装置はスマートフォンのディスプレイとボタン、そして赤緑フィルタ等のような単純な構成で具現化されることができるので、簡単な構成で時間や場所に関わらずに使用者の融合度情報を測定することができる。
[実施例]
【0063】
図8は本発明の実施例による視力訓練装置を利用した訓練モード動作を例示的に示す順序図である。
【0064】
使用者は使用者入力部(160)の電源入力ボタン(161)を押して視力訓練装置に電源を印加する。以後、使用者は視力訓練装置を着用した後、使用者入力部(160)の訓練モード選択ボタン(166)を押して訓練モードを選択する(S310)。
【0065】
訓練モードが選択されると、制御部(190)は保存された融合度情報を利用して融合度訓練のための訓練区間を設定する(S320)。訓練区間は左眼イメージと右眼イメージのうち少なくとも一つが他の一つから離隔及び接近移動する移動範囲を意味する。このような訓練区間は測定モードで測定された融合度情報に対応する隔離距離が含まれるように設定されることが好ましい。即ち、図6の(a)に図示された移動後視野原点(P')を基準に所定範囲の幅を有するように設定されることが訓練による融合力の改善効果をより極大化することができる。
【0066】
以後、制御部(190)は設定された訓練区間内で左眼イメージと右眼イメージのうち少なくとも一つを他の一つから離隔及び接近移動するようにディスプレイを制御する。
【0067】
前述した訓練モードを通じて使用者が両眼を通して認識するイメージが融合状態と非融合状態を交互に認識されることによって、使用者の融合力が改善される。
[項目1]
視力訓練装置において、
使用者の左眼に対応する左眼イメージと右眼に対応する右眼イメージを提供するディスプレイユニットと、
使用者入力部と、
上記左眼イメージと上記右眼イメージを上記左眼及び上記右眼の角膜反射像の焦点が融合的に一致された状態で提供した後、上記左眼イメージと上記右眼イメージのうち少なくとも一つを他の一つから離隔されるように上記ディスプレイユニットを制御し、上記使用者入力部を通じてイメージ分離確認が入力されると入力時の上記左眼イメージと上記右眼イメージの間の隔離距離を融合度情報として保存する制御部を含む、視力訓練装置。
[項目2]
上記ディスプレイユニットは上記左眼イメージを提供する左側ディスプレイと上記右眼イメージを提供する右側ディスプレイとを含む、項目1に記載の視力訓練装置。
[項目3]
上記制御部は上記左眼イメージと上記右眼イメージとを上記角膜反射像の焦点が融合的に不一致する状態である相互離隔された状態で提供した後、上記左眼イメージと上記右眼イメージとのうち少なくとも一つを他の一つに対して接近移動するように上記左側ディスプレイ及び上記右側ディスプレイを制御し、上記接近移動の間に上記使用者入力部を通じて焦点一致確認入力が入力される場合、上記左眼イメージと上記右眼イメージとの角膜反射像の焦点が融合的に一致された状態と判断する、項目2に記載の視力訓練装置。
[項目4]
上記左眼イメージと上記右眼イメージとは一つのディスプレイ装置に提供され、上記左眼イメージと上記右眼イメージとを上記左眼及び上記右眼に提供するための相互相対的な融合分離用フィルタをさらに含む、項目1に記載の視力訓練装置。
[項目5]
上記制御部は上記使用者に対する上記融合度情報を利用して融合度訓練のための訓練区間を設定し、設定された訓練区間内で上記左眼イメージと上記右眼イメージとのうち少なくとも一つのイメージを離隔及び接近移動させる、項目1から4のいずれか一項に記載の視力訓練装置。
[項目6]
上記訓練区間は上記融合度情報に対応する隔離距離が含まれるように上記訓練区間を設定する、項目5に記載の視力訓練装置。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8