IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スズケンの特許一覧

<>
  • 特許-保険薬局管理システム 図1
  • 特許-保険薬局管理システム 図2
  • 特許-保険薬局管理システム 図3
  • 特許-保険薬局管理システム 図4
  • 特許-保険薬局管理システム 図5
  • 特許-保険薬局管理システム 図6
  • 特許-保険薬局管理システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】保険薬局管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20221101BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018182703
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020052824
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000132194
【氏名又は名称】株式会社スズケン
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】安藤 井達
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-091168(JP,A)
【文献】特開2008-077506(JP,A)
【文献】特開2003-228672(JP,A)
【文献】特開2007-304635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険薬局と本部とを電気通信回線で結び、前記保険薬局における業務管理を行う保険薬局管理システムであって、
前記保険薬局またはその構成員が保有する免許及び、その更新時期に関する免許情報を記憶する免許情報記憶部と、
前記免許情報に基づき、前記免許の更新の管理を行う免許管理部と、
前記保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態に基づいて、前記保険薬局における調剤報酬の請求項目を調整する調剤報酬管理部と、
を備え
前記保険薬局において、調剤報酬の請求項目の入力を受付ける調剤報酬請求準備手段をさらに備え、
前記調剤報酬管理部は、前記調剤報酬請求準備手段において、無効な免許に紐づけられた所定の請求項目の入力の受付けを制限することを特徴とする、保険薬局管理システム。
【請求項2】
前記保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態に基づいて、前記保険薬局における処方箋の種類に応じた受付可否を判断する処方箋受付管理部を、さらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の保険薬局管理システム。
【請求項3】
前記免許管理部は、前記保険薬局に対して、該保険薬局における前記免許の更新時期までの期間に応じた警告を送信することを特徴とする、請求項1または2に記載の保険薬局管理システム。
【請求項4】
前記保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態を所定の管理機関または、一般に報知する免許状態報知部をさらに備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の保険薬局管理システム。
【請求項5】
前記保険薬局が保有する資産及び該資産の更新時期に関する資産情報を記憶する資産情報記憶部と、
前記資産情報に基づき、前記保険薬局における前記資産の更新の管理を行う資産管理部と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の保険薬局管
理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保険薬局の業務を管理する保険薬局管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
保険薬局は、保険指定を受けた薬局であり、薬剤師が「健康保険法」に基づく療養の給付の一環として保険調剤に関わる業務を取り扱う薬局である。そして、医療機関において、保険医が保険医療を行うにあたって患者に処方箋が交付され、保険薬局では、当該処方箋に基づいて保険薬剤師が行う保険調剤により、患者に薬剤が提供される。
【0003】
ここで、近年は、調剤報酬の厳格化等により、保険薬局の経営環境が厳しさを増しており、M&A等によるグループ化が進むとともに、オペレーションや管理の効率化が求められている。その結果、グループ化された複数の保険薬局を本部が管理する経営形態が増加している。しかしながら、保険薬局の業務の管理に関しては、病院の業務と比較して管理項目数は少ないもののグループに属する店舗数が多く、また、管理対象の入れ替わりが激しいために資産管理が複雑になるという課題があった。また、保険薬局における土地・建屋の契約や、未収金の管理、建屋の電気配線など設備系の実態も管理が複雑で、各店舗の設備の更新(買替)時期や修理履歴が一元管理しづらく、グループ内での一括購買や、有休資産の有効活用などのグループメリットが発揮できていないのが実状であった。さらに、在宅や、24時間365日対応などにより、機器の貸出など管理項目や管理範囲は今後も増加していくことが予想されている。
【0004】
このような薬局の管理については、以下のような技術が公知である。この技術においては、各地の加盟薬局・薬店・化粧品店からの電気通信回線を通じての要望を受けて薬品及び/又は化粧品類を供給すると共に、関連情報の提供、在庫管理および品質を目的とする期限管理等の機能を実行する、システム管理本部10が備えられる。また、前記システム管理本部との間において適宜接続可能な電気通信回線を通じて、助言、提案その他所要情報の提供を受け、さらに所要薬剤、生薬、化粧品類の供給ならびに管理を受ける加盟薬局・薬店・化粧品店群1、2、3、・・・が備えられる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-83050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような保険薬局の管理においては、資産管理もさることながら、各保険薬局において保有される免許の管理の重要性が高い。現状においては、保険薬局が保有する免許関係はアナログで管理されていることが多く、本部一括で自動管理ができるような仕組みはない。特に、グループ化による多店舗運営を行う企業では、全店舗の免許取得状況や更新期限を効率的に確認する手段を持っていない。M&Aが進む中での効率的な管理や、ボランタリーチェーンという企業跨ぎの管理を行う仕組みはない。
【0007】
さらに近年では、かかりつけ薬剤師など、薬剤師という個人が保有する免許が調剤報酬の算定に密接に関わるようになるなか、各保険薬局に所属する薬剤師の免許(退職を含む)を自動的に管理するシステムはない。また、卸業者、直販メーカー、保険薬局自身を含んだ薬剤の販売側と購入側の間の許認可確認についても、両者が保有する免許に関わる情報をタイムリーに繋ぎ、適正且つ効率的な取引を可能にするシステムが求められている。
このようなシステムは、将来における偽装医薬品や無許可先への販売等に対するリスクマネジメントとしても有効と考えられる。
【0008】
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、グループ化された保険薬局において、必要な免許及びその更新時期の管理をより確実に行うことができ、各保険薬局の機能や収益の管理を効率化できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、保険薬局と本部とを電気通信回線で結び、前記保険薬局における業務管理を行う保険薬局管理システムであって、
前記保険薬局またはその構成員が保有する免許及び、その更新時期に関する免許情報を記憶する免許情報記憶部と、
前記免許情報に基づき、前記免許の更新の管理を行う免許管理部と、
前記保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態に基づいて、前記保険薬局における調剤報酬の請求項目を調整する調剤報酬管理部と、
を備えることを特徴とする、保険薬局管理システムである。
【0010】
これによれば、各保険薬局の機能に直結する免許の管理をグループの本部にて自動的に行うことができ、グループ全体の保険薬局の機能をより効率的に管理することができる。また、保険薬局またはその構成員が保有する免許(以下、保険薬局における免許ともいう)の状態に関連する調剤報酬の請求項目を自動的に調整することができるので、より正確または効率的にグループ内の保険薬局の収益の管理、患者及び保険者への調剤報酬の算定を行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明においては、前記保険薬局において、調剤報酬の請求項目の入力を受付ける調剤報酬請求準備手段をさらに備え、
前記調剤報酬管理部は、前記調剤報酬請求準備手段において、無効な免許に紐づけられた所定の請求項目の入力の受付けを制限するようにしても構わない。
【0012】
ここで、保険薬局における調剤報酬請求に関しては、保険薬局または保険薬局の構成員が特定の免許を保有することを条件に請求される請求項目が存在する。そして、各保険薬局においては、当該免許が有効に存在することを考慮した上で、調剤報酬の請求項目が決定され請求される。これに対し本発明では、保険薬局において、調剤報酬の請求項目の入力を受付ける調剤報酬請求準備手段をさらに備えるようにし、調剤報酬管理部は、調剤報酬請求準備手段において、無効な免許に紐づけられた所定の請求項目の入力の受付けを制限するようにした。
【0013】
これによれば、その時点で無効となっている免許に基づく請求項目が含まれた形で調剤報酬の請求がなされることが抑制でき、保険薬局の免許管理の不備により不正請求がなされてしまうことを防止できる。その結果、保険薬局による調剤報酬請求の信頼性を向上させるとともに、効率化することが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、前記保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態に基づいて、前記保険薬局における処方箋の種類に応じた受付可否を判断する処方箋受付管理部を、さらに備えるようにしてもよい。
【0015】
ここで、保険薬局における処方箋の種類によっては、保険薬局または保険薬局の構成員が特定の免許を保有することを条件に受付が許可されるものが存在する。そして、各保険薬局においては、当該免許が有効に存在することを考慮した上で、処方箋の種類等に応じて受付の可否が判断される。これに対し本発明では、保険薬局において、当該保険薬局ま
たはその構成員が保有する免許の状態に基づいて、該保険薬局における処方箋の種類に応じた受付可否を判断する処方箋受付管理部を、さらに備えるようにし、当該保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態によって、受付が許可される種類の処方箋だけを受付けるようにした。
【0016】
これによれば、保険薬局またはその構成員が保有する免許の観点から、本来、受け付けることのできない種類の処方箋を受付けてしまうことや、さらに、本来、受け付けることのできない種類の処方箋に基づいた調剤報酬の不正請求をしてしまうことを防止することが可能となる。
【0017】
また、本発明においては、前記免許管理部は、前記保険薬局に対して、該保険薬局における前記免許の更新時期までの期間に応じた警告を送信するようにしてもよい。これによれば、各保険薬局における管理の不備により、当該保険薬局において必要な免許が無効となることを、より確実に防止することができる。
【0018】
また、本発明においては、前記保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態を所定の管理機関または、一般に報知する免許状態報知部をさらに備えるようにしてもよい。
【0019】
ここで、保険薬局には、当該保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態を、定期的にまたは、変更がある毎に、所定の管理機関に報知する義務が課される場合がある。この所定の管理機関の例としては、当該保険薬局が属する自治体等が挙げられる。また、保険薬局は、一般の患者が、当該保険薬局に処方箋を持参するか否か等について、誤った判断をすることを防止するため、当該保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態を一般に報知することが望まれる。
【0020】
これに対し、本発明においては、保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態を所定の管理機関または、一般に報知する免許状態報知部をさらに備えることとした。これにより、当該保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態を、定期的にまたは、変更がある毎に、所定の管理機関あるいは、一般に報知することができる。これにより、所定の管理機関から課せられている義務に自動的に対応することができるとともに、一般の患者が、当該保険薬局に処方箋を持参するか否か等について、誤った判断をすることを防止することが可能となる。
【0021】
また、本発明においては、前記保険薬局が保有する資産及び該資産の更新時期に関する資産情報を記憶する資産情報記憶部と、
前記資産情報に基づき、前記保険薬局における前記資産の更新の管理を行う資産管理部と、
をさらに備えるようにしてもよい。
【0022】
これによれば、各保険薬局またはその構成員が保有する免許とともに、各保険薬局が保有する資産の更新の管理を行うことができ、保険薬局の総合的な管理の信頼性を向上し、効率化を図ることが可能となる。
【0023】
なお、本発明においては、できる限り上記の各手段を組合せて使用することが可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、グループ化された保険薬局において、必要な免許及びその更新時期の管理をより確実に行うことができ、各保険薬局の機能や収益の管理を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例に係る保険薬局グループの管理モデルを示した図である。
図2】本発明の実施例に係る本部サーバのハードウェア構成の概略を示す図である。
図3】本発明の実施例に係る保険薬局管理システムの機能構成を示したブロック図である。
図4】本発明の実施例に係る免許管理テーブルについて示した図である。
図5】本発明の実施例に係る資産管理テーブルについて示した図である。
図6】本発明の実施例に係る免許管理ルーチンを示す、フローチャートである。
図7】本発明の実施例に係る調剤報酬管理テーブルについて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明は例示に過ぎず、本発明の構成を以下に限定する趣旨ではない。
【0027】
<実施例1>
図1は本実施例における保険薬局グループの管理モデル1について示した図である。本実施例では、保険薬局の管理主体である企業(以下、本部ともいう)2が複数の保険薬局を管理運営するモデルを前提としている。本実施例における管理モデル1の管理対象は日本を第1ブロック3、第2ブロック4・・・といった複数のブロックに分割して管理している。この第1ブロック3、第2ブロック4は、例えば、日本を地域的に分割した関西ブロック、中部ブロックというような区分けであってもよい。また、ボランタリーチェーンのような企業を跨いだ管理を行う場合も企業を超えたブロックでの区分けであってもよい。
【0028】
また、本実施例では、第1ブロック3、第2ブロック4の各ブロックには、当該ブロックに所属する保険薬局301、保険薬局302、保険薬局303・・・、保険薬局401、保険薬局402、保険薬局403・・・が紐づけられている。本部2、各ブロック3、4及び各保険薬局301・・・には、各々サーバ(後述)が設置されており、電気通信回線を用いた情報通信が可能となっている。なお、この電気通信回線は、有線、無線を問わない。また、専用回線を用いたものであってもよいし、既存の電話回線等を用いたものでもよく、インターネットを利用したものであってもよい。
【0029】
図2は、本部2に設置された本部サーバ20のハードウェア構成を示す概略構成図である。各ブロック及び各保険薬局に設置されたサーバも基本的に同等のハードウェア構成を有する。本部サーバ20は図に示すように、Central Processing Unit(CPU)200
、Random Access Memory(RAM)201、Hard Disk Drive(HDD)202、例えばNetwork Interface Card(NIC)203等のネットワークインターフェース機器を備え
る。HDD202にはOS(Operating System)やアプリケーションソフトウェアのプログラムが格納されており、CPU200がこれらのプログラムを実行することで、本明細書で説明する機能が提供される。なお、本部サーバ20は1台のコンピュータによって構成されてもよいし、複数台のコンピュータがネットワークを介して連携することで実現されてもよい。
【0030】
ここで、図1に示したような保険薬局グループを管理運営していく上で、各々の保険薬局には、店舗またはその構成員が保有していなければならない免許が存在する。そして、その中には、保険薬局に支払われる調剤報酬に影響を及ぼすものもある。また、医薬品特性に応じた医薬品の販売、購入、患者への交付という医薬品の適正流通というプロセスに影響を及ぼすものもある。これに対し、本実施例においては、保険薬局またはその構成員
が保有すべき免許をシステムとして管理し、これらの免許の更新忘れにより保険薬局の機能が損なわれたり、適正な処方箋の受付や、調剤報酬の算定、請求に影響が生じてしまうことを防止する。
【0031】
図3には、本実施例における保険薬局管理システム10の機能ブロック図を示す。本実施例では、上述のように本部2には本部サーバ20が配置されている。この本部サーバ20には、各保険薬局における各種免許に関する情報を記憶する免許情報記憶部20a、各保険薬局における資産に関する情報を記憶する資産情報記憶部20b、各保険薬局における免許の更新時期の管理を行う免許管理部20c、各保険薬局における資産の状態の管理を行う資産管理部20d、各保険薬局における各種免許に関する情報に基づいて当該保険薬局の調剤報酬項目の管理を行う調剤報酬管理部20eを有している。また、各保険薬局における各種免許に関する情報に基づいて当該保険薬局における処方箋の種類に応じた受付可否を判断する処方箋受付管理部20f、各保険薬局における各種免許に関する情報を所定の管理機関または、一般に報知する免許状態報知部20gを有している。本実施例において、免許情報記憶部20a及び資産情報記憶部20bはハード的には本部サーバ20のHDD202を用いて実現される。また、免許管理部20c、資産管理部20d及び調剤報酬管理部20e、処方箋受付管理部20f、免許状態報知部20gは、本部サーバ20のHDD202に記憶されたプログラムがCPU200において実行されることで実現される。その際、もちろん、RAM201とのデータ交換、NIC203による通信も実行される。
【0032】
また、保険薬局管理システム10においては、各ブロック3、4、・・・にはブロックサーバ30が備えられている。例えば、このブロックサーバ30には、情報集計部30aが備えられており、各ブロックに所属する保険薬局から受信した情報を集計した後、集計情報を本部サーバ20に送信するとともに、本部サーバ20からの管理情報を受信し、当該ブロックに所属する保険薬局に送信する。
【0033】
そして、各ブロック3、4、・・・に所属する保険薬局には、薬局サーバ3010、3020・・・が設けられている。薬局サーバ3010、3020・・・には、情報入出力部3010a、3020a・・が設けられており、各保険薬局における免許に関する情報や、資産に関する情報を入力するようになっている。また、本部サーバ20からブロックサーバ30、・・を経由して送付された免許に関する情報や資産に関する情報を受信し、表示することが可能となっている。
【0034】
図4には、本実施例の免許情報記憶部20aに記憶され、免許管理部20cにおいて管理される免許管理テーブルについて示す。図4に示すように、免許管理部20cによって管理されるべき免許の例としては、薬局開設許可、高度管理医療機器等販売業、麻薬小売業者、薬剤師、かかりつけ薬剤師、各種公費助成等がある。そして、これらの免許を保有する主体が、店舗自体か構成員である個人かが記録され、免許が個人に対して与えられる場合には個人名についても記録されている。
【0035】
また、各免許に対して、前回の更新日、次回の更新予定日と、次回の更新日までの日数が記録されている。この次回の更新までの日数については、本部サーバ20のカレンダーと連動しており、登録内容が日ごとに変更される。さらに、各免許が現時点で、調剤報酬請求に反映されているか否かについての情報も記録されている。これは、各保険薬局またはその構成員が保有する免許によって、調剤報酬に加点される場合や、調剤報酬を算定(処方箋の応需を含む)できるかどうかの判断があるからである。この調剤報酬請求への反映に関しては、まず、免許が調剤報酬請求に加点される免許でない場合には、反映なし(×)として記録される。また、免許が調剤報酬請求に加点される免許である場合には、反映あり(○)として記録される。調剤報酬に算定、もしくは加点される免許であっても、
更新の期限切れ等の理由で無効となっている場合には、反映なし(×)として記録される。
なお、図4に示した免許管理テーブルにおいて図示は省略しているが、各免許に応じて受付が許可される処方箋の種類が登録されている。そして、図4に示された免許が期限切れ等の理由で無効となっている場合には、当該免許に対応して許可される種類の処方箋については、受付が不可(×)として記録される。
【0036】
なお、免許管理テーブルにおいて管理されるべき免許の名称(種類)、免許のうち保有主体が店舗自体である場合の保有者については、本部サーバ20において入力されてもよい。免許のうち保有主体が個人である場合の保有者、前回更新日、次回更新日等のデータは各保険薬局において入力される。更新までの日数、調剤報酬請求への反映の有無については本部サーバ20において演算され記録される。また、この免許状況の登録および更新作業は、免許状原本をスキャンし自動的に情報をサーバ上に登録してもよいし、サーバ上に直接書き込みを行っても構わない。
【0037】
次に、図5には、資産情報記憶部20bに記憶され、資産管理部20dにおいて管理される資産管理テーブル50について示す。図5に示すように、管理すべき資産の種類としては、調剤機器関連の資産として例えば、分包機、電子天秤等を挙げることができる。その他、分注機や軟膏調剤機も挙げられる。パソコン関連の資産としては、レセプトコンピュータ、薬袋印刷機を挙げることができる。その他に、電子薬歴、モバイル端末も挙げられる。備品類としては、椅子等の什器、カウンター等を挙げることができる。その他に、ラック、照明具、観葉植物、書物も挙げられる。不動産としては、借地、店舗契約等を挙げることができる。その他に、車両、駐車場も挙げられる。加えて、現金関連の資産としては、小口現金、未収金等を挙げることができる。資産管理テーブル50では、これらの資産についての過去の修理履歴、修理報告書の有無、前回の更新(買替)日、次回の更新(買替)日等が記録され管理されている。
【0038】
次に図6には、免許管理部20cにより各保険薬局における免許の管理を行う際に実行される、免許管理ルーチンのフローチャートを示す。このルーチンは本部サーバ20のHDD202に格納されたプログラムであり、免許管理部20cの機能により定期的に実行される。本ルーチンが実行されると、まず、ステップS101において、管理対象の保険薬局が特定される。免許の管理自体は、グループを構成する全ての保険薬局に対して行われるので、ステップS101においては、予め定められた順番に従って、管理対象の保険薬局が特定される。以下、管理対象の保険薬局が保険薬局301であるとして説明を進める。S101の処理が終了するとS102に進む。
【0039】
S102においては、保険薬局301において取得されている免許のうち一つを特定する。ここでは、保険薬局301において取得されている全ての免許を免許管理テーブル40に記憶された番号順に特定していってもよい。S102の処理が終了するとS103に進む。S103においては、S102で特定した免許(以下、特定免許ともいう。)の更新時期が現時点から6ヵ月以内か否かが判定される。この際、免許管理テーブル40における特定免許の「次回更新日までの日数」のデータが参照される。ここで、特定免許の更新時期が現時点から6ヶ月より先と判定された場合には、アラートする必要もないと判断されるので、S111に進む。一方、特定免許の更新時期が現時点から6ヶ月以内と判定されると、ステップS104に進む。
【0040】
ステップS104においては、特定免許の更新時期が現時点から3ヶ月以内か否かが判定される。ここで、更新時期が現時点から3ヶ月より先と判定されると、更新時期は現時点から3ヶ月より先で6ヶ月以内と判断されるので、ステップS105に進む。一方、更新時期が現時点から3ヶ月以内と判定された場合には、ステップS106に進む。ステッ
プS105においては、当該免許の更新時期が現時点から6ヶ月以内であることを示すアラートが、ブロックサーバ30を介して保険薬局301の薬局サーバ3010に送信される。
【0041】
次に、ステップS106おいては、特定免許の更新時期が現時点から1ヶ月以内か否かが判定される。ここで、更新時期が現時点から1ヶ月より先と判定されると、更新時期は1ヶ月より先で3ヶ月以内と判断されるので、ステップS107に進む。一方、更新時期が現時点から1ヶ月以内と判定された場合には、ステップS108に進む。ステップS107においては、当該免許の更新時期が3ヶ月以内であることを示すアラートが、ブロックサーバ30を介して保険薬局301の薬局サーバ3010に送信される。
【0042】
ステップS108おいては、特定免許の更新期限が徒過している(すなわち、更新期限切れ)か否かが判定される。ここで、更新期限が徒過していない(すなわち、更新期限切れではない)と判定されると、更新時期は現時点から1ヶ月以内と判断されるので、ステップS109に進む。一方、更新期限が徒過している(すなわち、更新期限切れ)と判定された場合には、ステップS110に進む。ステップS109においては、当該免許の更新時期が現時点から1ヶ月以内であることを示すアラートが、ブロックサーバ30を介して保険薬局301の薬局サーバ3010に送信される。一方、S110においては、更新期限切れを示すアラートが、ブロックサーバ30を介して保険薬局301の薬局サーバ3010に送信される。
【0043】
ステップS105、ステップS107、ステップS109またはステップS110の処理が終了するとステップS111に進む。ステップS111においては、他に管理対象の免許があるか否かが判定される。すなわち、保険薬局301における免許管理テーブル40に記録されている全ての免許について更新時期の確認がなされたか否かが判定される。全ての免許についての確認が終了していない場合には、S102の処理に戻り、免許管理テーブル40に記録されている次の番号の免許について更新時期の確認が行われる。一方、免許管理テーブル40に記録されている全ての免許について更新時期の確認が終了したと判定された場合には、ステップS112に進む。ステップS112では、アラートとは別に、免許管理テーブル40に記録された、保険薬局301における全ての免許についての確認結果のリストがブロックサーバ30を介して保険薬局301の薬局サーバ3010に送信される。
【0044】
そして、ステップS112の処理が終了するとステップS113に進む。ステップS113においては、ステップS112で保険薬局301の薬局サーバ3010に送信された確認結果の内容に応じて処方箋の受付及び、調剤報酬の算定入力が制限される。
【0045】
次に、ステップS113の処理について詳細に説明する。図7には、免許管理テーブル40の内容を調剤報酬請求に反映するための調剤報酬管理テーブル60について示す。このテーブルでは、各免許の名称と、調剤薬局またはその構成員が当該免許を保有することで調剤報酬請求に反映される項目名、当該項目に対する調剤報酬の算定入力の制限の有無が記載されている。すなわち、免許管理テーブル40において、調剤報酬請求への反映が×(無効)とされた免許に関連する項目については、調剤報酬管理テーブル60において調剤報酬の算定入力の制限が行われる(ON)。逆に、調剤報酬請求への反映が○(有効)とされた免許に関連する項目については、調剤報酬管理テーブル60において調剤報酬の算定入力の制限が行われない(OFF)。
【0046】
ここで、保険薬局301において調剤報酬の請求が行われる際には、まず、薬局サーバ3010において、保険薬局301の構成員が、調剤報酬請求準備手段としての所定のアプリケーションを用いて、調剤報酬請求のための明細書を作成する。より具体的には、情
報入出力部3010aを用いて請求項目や請求額を入力する。本実施例においては、その際、調剤報酬管理テーブル60において、調剤報酬の算定入力の制限が行われる(ON)項目については、情報入出力部3010aによる入力ができない(例えば、エラー表示がされる)状態となる等の制御が行われる。なお、本実施例において調剤報酬管理部20eは、調剤報酬請求準備手段としての所定のアプリケーションを実行させて調剤報酬請求の補助を行う機能の他、上記したような調剤報酬の算定入力の制限を行う機能も備えている。
【0047】
なお、本実施例においては、調剤報酬管理部20eにより、調剤報酬の算定入力の制限が行われる場合には、調剤報酬請求準備手段としてのアプリケーションにおいてエラー表示がなされ入力ができない状態となる例について説明したが、本発明において調剤報酬の請求項目を調整する方法はこれに限られない。例えば、入力は可能であるがアラート表示がされる等の制御でもよいし、請求項目自体が表示されない等の制御でもよい。
【0048】
また、本実施例において、保険薬局301は、図3に示すように、当該保険薬局またはその構成員が保有する免許の状態を自動的に報知する免許状態報知部20gを備えている。この免許状態報知部20gは、保険薬局301またはその構成員が保有する免許の状態を、定期的にまたは、変更がある毎に、自治体あるいは、一般に報知する。これにより、自治体への報知義務に自動的に対応することができるとともに、一般の患者が、保険薬局301に処方箋を持参するか否かについて、誤った判断をすることを防止することが可能となる。
【0049】
また、本発明においては、図6に示した免許管理ルーチンと同様のプログラムである資産管理ルーチンを、保険薬局301、302・・が保有し、資産管理テーブル50に記録されている資産に対して実行しても構わない。この場合は、免許管理ルーチンにおける免許の更新を資産や契約の更新(買替え)に読み替えればよい。この場合には、資産管理ルーチンは、本部サーバ20のHDD202に格納されたプログラムであり、資産管理部20dの機能により定期的に実行される。
【0050】
また、本実施例においては、グループ化された保険薬局を管理運営する本部2、各ブロック3、4・・、各保険薬局301、・・・の各々にサーバを配置した。そして、免許情報記憶部20a、資産情報記憶部20b、免許管理部20c、資産管理部20d、調剤報酬管理部20eは本部サーバ20に置き、情報集計部30a、・・をブロックサーバ30、・・に置き、情報入出力部3010a、・・・は、薬局サーバ3010、・・に置いた。しかしながら、各機能の配置は上記に限られるものではない。ブロックサーバ30、・・、薬局サーバ3010、・・を省略し、保険薬局301、・・には入出力端末のみを配置するようにしてもよい。また、本部サーバ20の機能をブロックサーバ30、・・、薬局サーバ3010、・・に分散してもよいし、外部に設けられたサーバや、クラウドを含めて分散するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0051】
1・・・・・保険薬局グループ
2・・・・・本部
3・・・・・第1ブロック
4・・・・・第2ブロック
10・・・・保険薬局管理システム
20・・・・本部サーバ
30・・・・ブロックサーバ
40・・・・免許管理テーブル
50・・・・資材管理テーブル
60・・・・調剤報酬管理テーブル
200・・・CPU
201・・・RAM
202・・・HDD
203・・・NIC
301・・・保険薬局
3010・・薬局サーバ
3010a・情報入出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7