(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】移動通信のための、フェーズドアレイ無線周波数ネットワーク
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20221101BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20221101BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20221101BHJP
【FI】
H04B7/06 950
H04W16/28
H04W88/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017130150
(22)【出願日】2017-07-03
【審査請求日】2020-05-27
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー ディー.スタック
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/081459(WO,A1)
【文献】特開2008-118484(JP,A)
【文献】特開2008-258746(JP,A)
【文献】特開2008-131346(JP,A)
【文献】特開2003-018083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04W 16/28
H04W 88/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノードにおける第1フェーズドアレイアンテナビームを用いて、ヘッダとペイロードデータとを含む無線周波数「RF」変調データパケットを受信し、
前記ペイロードデータをRF変調された状態で維持しつつ、前記ヘッダを復調し、
前記復調されたヘッダ内の経路情報を特定し、
前記経路情報に従って第2フェーズドアレイアンテナビームを用いて、前記アクセスノードから前記RF変調データを送信する、ことを含む方法。
【請求項2】
前記経路情報は、複数のアクセスノードを特定する経路を含み、
前記送信は、前記RF変調データパケットを、前記経路により特定された前記アクセスノードのうちの1つに送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記経路により特定された前記アクセスノードと関連する送信遅延を軽減するために、前記経路情報を再構成することにより少なくとも1つの異なるアクセスノードを特定することをさらに含み、
前記送信は、前記再構成された経路情報に従って実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記送信は、前記第2フェーズドアレイアンテナビームを、前記経路情報によって特定される前記アクセスノードのうちの1つに向けて電子的に方向制御することを含み、前記方法は、
前記経路情報に基づいて、前記アクセスノードの複数のフェーズドアレイアンテナのうちの1つを選択することをさらに含み、
前記送信は、前記選択されたフェーズドアレイアンテナから前記第2フェーズドアレイアンテナビームを送信することを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記経路情報は、送信先装置に関連する位置を含み、
前記送信は、予め規定された期間及び帯域幅で前記RF変調データパケットを送信することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記アクセスノードから送信するための前記RF変調データパケットを用意するために、前記ヘッダを再変調することをさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
無線周波数「RF」変調データパケットを含む第1フェーズドアレイアンテナビームを受信するように構成された第1アンテナであって、前記RF変調データパケットは、ヘッダ及びペイロードデータを含むものである、第1アンテナと、
前記ペイロードデータをRF変調された状態で維持しつつ、経路情報を特定するために、前記RF変調データパケットの前記ヘッダを復調するように構成された復調回路と、
前記経路情報に従って、前記RF変調データパケットを含む第2フェーズドアレイアンテナビームを送信するように構成された第2アンテナと、を含むシステム。
【請求項8】
前記経路情報は、複数のアクセスノードを特定する経路を含み、
前記RF変調データパケットは、前記第2フェーズドアレイアンテナビームによって、前記経路により特定された前記アクセスノードのうちの1つに送信される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
複数の実行可能な命令を保存するように構成されたメモリと、
前記命令を実行するように構成されたプロセッサと、をさらに含むシステムであって、前記命令は、前記経路により特定された前記アクセスノードと関連する送信遅延を軽減するために、前記経路情報を再構成することにより少なくとも1つの異なるアクセスノードを特定する命令であり、
前記第2アンテナは、前記再構成された経路情報に従って、前記第2フェーズドアレイアンテナビームを送信するように構成されている、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
RF変調制御チャネルをさらに含み、
少なくとも前記第1フェーズドアレイアンテナビームは、前記RF変調制御チャネルを含み、
前記RF変調制御チャネルは、制御サーバにより供給された送信遅延情報を含み、
前記経路情報は、前記送信遅延情報を用いて再構成される、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
変調回路をさらに含み、前記再構成された経路情報は、前記第2フェーズドアレイアンテナビームの送信前に前記変調回路によりRF変調される、請求項
9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2フェーズドアレイアンテナビームを、前記経路情報により特定される前記アクセスノードのうちの1つに向けて電子的に方向制御するように構成されたビームステアリング回路をさらに含み、前記プロセッサは、前記ビームステアリング回路に対して、ステアリング制御信号を送信するように構成されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項13】
RFアレイ・スイッチマトリクスをさらに含み、前記RFアレイ・スイッチマトリクスは、複数のアンテナのうちの1つを選択するように構成されており、前記選択したアンテナから前記第2フェーズドアレイアンテナビームが送信される、請求項
7~12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記アンテナビームの各々は、複数のRF変調通信チャネルを含み、
前記RF変調通信チャネルの各々は、前記RF変調データパケットを複数含み、前記複数のRF変調データパケットは、前記経路情報に従って対応する送信元装置と対応する送信先装置との間で送受信される、請求項
7~13のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、移動通信ネットワークに関し、具体的には、例えば、移動通信ネットワークのための高帯域幅の無線周波数フェーズドアレイアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信の分野において、無線移動通信ネットワーク用の容量及び周波数帯域幅を増大するための努力が続けられている。移動無線技術の進歩や、無線移動装置及びユーザの数の急激な増加により、既存の無線通信ネットワークに対する需要が高まっている。
【0003】
したがって、移動型の音声通信及びデータ通信の両方への高まる需要に対応する必要がある。これは、無線移動装置が集中し、既存の周波数スペクトルの混雑及び重複を招いている都市部において特に求められていることである。残念ながら、現存の無線移動通信ネットワークでは、無線通信ネットワークのニーズに対応するために必要な有効範囲、容量、及び帯域幅が不足している。
【0004】
従来の無線通信技術には、全方向性アンテナを用いた固定セルラー用アンテナの位置に依存するものもある。全方向性アンテナは、典型的には、全方位角方向(azimuth directions)にRF電力を放射する。しかしながら、全方向アンテナは、アンテナの真上及び真下の地域を十分にカバーしていない。さらに、人口密度の高い地域において多くの固定セルラー用全方向性アンテナを用いる場合、信号同士の干渉や重複が問題となる。
【0005】
指向性アンテナは、見通し範囲(line-of-sight)をカバーすることができる。典型的な指向性アンテナセルは、120度の3つのセクタに分割されている。指向性アンテナにより、有効範囲が拡大される。しかしながら、既存の指向性アンテナは、多くの加入者及び無線装置技術に対応するには帯域幅及びデータ速度が限られている。さらに、広範囲で人口密度の高い地域で十分な容量を提供するには、多くのセルサイト(cell site)が必要となる。残念ながら、大型の基地局(cell towers)は、大都市圏では制限されている。
【0006】
無線技術が進歩し、加入者の数が増え続けると、無線ネットワークの容量や帯域幅に対する要求も将来的に高まることが予想される。したがって、移動型の音声及びデータ通信のために高帯域幅及び高データ速度を実現するように改良された無線移動通信ネットワークが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
1つ又は複数の例に従って本明細書で開示されているシステム及び方法は、高帯域幅及び高データ速度の移動型音声及びデータ通信を実現するために無線周波数(RF)フェーズドアレイ通信ネットワークを用いることにより、無線移動通信の分野において改良されたアプローチを提供している。いくつかの例において、RFフェーズドアレイ通信ネットワークは、複数のアクセスノードとして実現される。各アクセスノードは、無線移動装置間のRF通信を行うための複数のRFフェーズドアレイアンテナを含む。
【0008】
一例において、方法は、フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノードにおける第1フェーズドアレイアンテナビームを用いて、ヘッダとペイロードデータとを含む無線周波数RF変調データパケットを受信し、前記ペイロードデータをRF変調された状態で維持しつつ、前記ヘッダを復調し、前記復調されたヘッダ内の経路情報を特定し、前記経路情報に従って第2フェーズドアレイアンテナビームを用いて、前記アクセスノードから前記RF変調データを送信する、ことを含む。
【0009】
他の例において、システムは、無線周波数RF変調データパケットを含む第1フェーズドアレイアンテナビームを受信するように構成された第1アンテナであって、前記RF変調データパケットは、ヘッダ及びペイロードデータを含むものである、第1アンテナと、前記ペイロードデータをRF変調された状態で維持しつつ、経路情報を特定するために、前記RF変調データパケットの前記ヘッダを復調するように構成された復調回路と、前記経路情報に従って、前記RF変調データパケットを含む第2フェーズドアレイアンテナビームを送信するように構成された第2アンテナと、を含む。
【0010】
さらに他の例において、方法は、送信元装置により、ヘッダ及びペイロードデータを含むデータパケットを生成し、前記ヘッダは、前記送信元装置及び送信先装置を特定し、前記ペイロードデータは、フェーズドアレイ通信ネットワーク上で前記送信元装置から前記送信先装置に送信されるデータを含み、無線周波数RF変調データパケットを供給するために、前記送信元装置により、前記データパケットを変調し、前記送信元装置により、前記フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノードに対して、前記RF変調データパケットを含むフェーズドアレイアンテナビームを送信する、ことを含む。
【0011】
さらに他の例において、装置は、複数の実行可能な命令を保存するように構成されたメモリと、ヘッダ及びペイロードデータを含むデータパケットを生成するために前記命令を実行するように構成されたプロセッサであって、前記ヘッダは、前記装置及び送信先装置を特定し、前記ペイロードデータは、フェーズドアレイ通信ネットワーク上で前記装置から前記送信先装置に送信されるデータを含むものである、プロセッサと、前記データパケットに対して無線周波数RF変調を行うように構成された変調回路と、前記フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノードに対して、前記RF変調データパケットを含むフェーズドアレイアンテナビームを送信するように構成されたアンテナと、を含む。
【0012】
他の例において、方法は、制御サーバにおいて、フェーズドアレイ通信ネットワークに対するアクセス要求を受信し、前記制御サーバにより、通信チャネルを割り当て、前記制御サーバにより、前記通信チャネルに関連する経路情報を特定し、前記要求に対する応答を、前記制御サーバから前記フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノードに送信する、ことを含み、前記応答は、前記通信チャネル及び前記経路情報を特定する。
【0013】
他の例において、制御サーバは、複数の実行可能な命令を保存するように構成されたメモリと、前記命令を実行するように構成されたプロセッサと、を含み、前記命令は、フェーズドアレイ通信ネットワークに対するアクセス要求を処理し、通信チャネルを割り当て、前記通信チャネルに関連する経路情報を特定し、前記要求に対する応答を、前記フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノードに送信するための命令であって、前記応答は、前記通信チャネル及び前記経路情報を特定する。
【0014】
本発明の範囲は、請求の範囲により規定されるものであり、参照によりこのセクションに盛り込まれている。以下に詳細に説明する1つ又は複数の実施例を考慮することにより、当業者は、本発明の実施例をより深く理解するとともに、付加的な利点を実現することができるであろう。最初に、添付の図面を参照しながら、これらの図面について簡単な説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施例による、フェーズドアレイ通信ネットワークを示す図である。
【
図2】本開示の一実施例による、フェーズドアレイ通信ネットワークに対するユーザ装置のインターフェースを示す図である。
【
図3】本開示の一実施例による、アクセスノードを示す概略図である。
【
図4】本開示の一実施例による、ユーザ装置を示すブロック図である。
【
図5】本開示の一実施例による、制御サーバを示すブロック図である。
【
図6】本開示の一実施例による、円筒型アクセスノードを示す斜視図である。
【
図7A-7B】本開示の実施例による、アンテナビームに含まれる様々なチャネル及びデータを示す図である。
【
図8A】本開示の一実施例による、データパケットを示すブロック図である。
【
図8B】本開示の一実施例による、制御チャネルを示すブロック図である。
【
図8C】本開示の一実施例による、放送チャネルを示すブロック図である。
【
図9A】本開示の一実施例による、複数のアクセスノードを通る経路の例を示す図である。
【
図9B】本開示の一実施例による、1つのアクセスノードを通る経路の例を示す図である。
【
図9C】本開示の一実施例による、様々な種類の大気の影響に関する周波数に対する減衰のいくつかのグラフを示す図である。
【
図10】本開示の一実施例による、フェーズドアレイ通信ネットワークを用いた処理を示す図である。
【
図11】本開示の一実施例による、ユーザ装置が、フェーズドアレイ通信ネットワークとネットワーク接続する処理を示す図である。
【
図12】本開示の一実施例による、制御サーバが、フェーズドアレイ通信ネットワークとインターフェース接続する処理を示す図である。
【
図13】本開示の一実施例による、フェーズドアレイ通信ネットワークを介した所定のRF変調データパケットの経路についての処理を示す図である。
【
図14】本開示の一実施例による、フェーズドアレイ通信ネットワークを介したRF変調データパケットの動的な経路についての処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施例は、無線移動通信のために高帯域幅及び高データ速度を実現するフェーズドアレイ通信ネットワークを提供する。フェーズドアレイ通信ネットワークは、ネットワーク全体に分散配置された多くのアクセスノードを提供する。アクセスノードは、多くの小型フェーズドアレイアンテナを含み、これらのアンテナは、無線移動装置間の音声及びデータ通信のための複数の無線周波数(RF)信号を送信又は受信することが可能である。データ通信及び/又は音声通信を含むRF変調データパケットは、経路に基づいて、1つ又は複数のアクセスノードを通って送信元装置から送信先装置へルーティングされる。
【0017】
様々な例において、アクセスノードのフェーズドアレイアンテナは、ヘッダ及びペイロードデータを含むRF変調データパケットを受信する。ヘッダは、ペイロードデータ804から切り離されて、送信先装置及び経路情報を特定するために復調される。その際、ヘッダのみが復調され、ペイロードデータはRFキャリア周波数で変調された状態が維持される。RF変調データパケットは、他の特定されたアクセスノードにRFキャリア周波数で送信され、送信先装置で復調される。したがって、経路上においてRF変調周波数でペイロードデータを維持することにより、高データ速度及び広帯域幅を実現することができる。さらに、高データ速度を維持することにより、ルーティングにおける混雑を緩和させることができる。
【0018】
いくつかの例においては、送信元装置から1つ又は複数のアクセスノードを通り送信先装置へ至る経路が、予め規定されている。この場合、経路に関連するアクセスノードを特定するためにヘッダが復調され、特定されたアクセスノードを介して、RFキャリア周波数でRF変調データパケットが送信される。
【0019】
いくつかの例においては、送信先装置を特定するために、アクセスノードにおいてヘッダが復調され、送信先装置の位置に基づいて、複数のアクセスノードから最短経路が決定される。なお、RF変調データは、経路全体にわたってRFキャリア周波数で送信される。
【0020】
いくつかの例においては、送信遅延により経路が混雑している。フェーズドアレイアンテナ通信ネットワークにおいて、制御サーバから各アクセスノードに対して、送信遅延情報が提供される。アクセスノードは、送信遅延を軽減するために少なくとも1つの異なるアクセスノードを特定し、特定したアクセスノードを追加して経路情報を再構成する。ヘッダは、再構成された経路情報により更新され、RF周波数で再変調される。さらに、再構成された経路情報に従って、RF変調データパケットを送信先装置にルーティングすることにより、経路の混雑が緩和される。
【0021】
いくつかの例において、RF変調データパケットは、フェーズドアレイ通信ネットワークを介して、送信元装置から送信先装置まで電子的に方向制御される。この場合、アクセスノードで生成されたRF変調データパケットを含むフェーズドアレイアンテナビームは、経路情報で特定される他のアクセスノード、及び/又は、データパケットヘッダで特定される送信先装置に向けて、電子的に方向制御される。高帯域幅の狭RFビームを供給するために、フェーズドアレイアンテナのうちの1つ又は複数においてアンテナビームが形成される。高帯域幅の狭RFビームにより、RFデータパケットは、受信側アクセスノード及び/又は送信先装置への指向性を有することができる。さらに、高指向性の狭アンテナビームは、同一チャネル干渉を低減し、隣接していないアクセスノードにおいてビーム周波数の再利用を可能とすることにより、通信ネットワーク容量を増大することができる。
【0022】
小型のフェーズドアレイアンテナによると、複数のフェーズドアレイアンテナを各アクセスノードに組み込むことができ、多くの音声及びデータ通信を同時に行うことができる。この結果、大都市圏において容量を増大させることができる。さらに、人口密度の高い地域の全体にわたって多くのアクセスノードを設けることができ、例えば、これらのアクセスノードを照明用ポール、信号機、及び、建物などの既存のインフラストラクチャに取り付けることができる。
【0023】
様々な例において、本明細書に記載の移動通信技術を有利に用いることにより、人口密度の高い地域における無線移動装置間で、高帯域幅かつ高データ速度の通信を行うことができる。例えば、通信ネットワークを通る経路上で、ペイロードデータをRF変調周波数で維持することにより、無線通信ネットワークのニーズに対応するための高データ速度及び広帯域幅を実現することができる。送信遅延に基づいて経路を再構成することができるため、通信ネットワークの容量を維持することができる。さらに、高帯域幅の狭RFビームを電子的に方向制御することにより、隣接していないアクセスノードにおいてビーム周波数の再利用が可能となり、無線通信ネットワークの容量を増やすことができる。さらに、既存のインフラストラクチャは、複数のRF周波数変調された音声及びデータ通信を送受信するための小型フェーズドアレイアンテナを多く含むアクセスノードに、容易に対応することができる。
【0024】
図1は、本開示の一例による、フェーズドアレイ通信ネットワーク100を示す。フェーズドアレイ通信ネットワーク100は、無線移動装置140A~D(例えば、ユーザ装置)のユーザ142A~D間において、高帯域幅かつ高データ速度の音声及びデータ通信を提供するように構成される。フェーズドアレイ通信ネットワーク100は、複数のアクセスノード130A~Hで構成される。アクセスノード130A~Hは、通信ネットワーク100全体に分散配置されており、送信元装置140から送信先装置140への音声及びデータ送信に用いる高帯域幅で狭い無線周波数(RF)アンテナビーム134A~Mを供給する。さらに、アクセスノード130A~Hは、送信先装置140から送信元装置140への音声及びデータ送信に用いる高帯域幅で狭い無線周波数(RF)アンテナビーム136A~Mを供給する。
【0025】
様々な例において、アクセスノード130A~Hは、複数のRFフェーズドアレイアンテナ132、例えば、アクセスノード130Bのフェーズドアレイアンテナ132A~Dを介して、RF変調アンテナビーム134A~Mを送受信する。なお、フェーズドアレイ通信ネットワーク100の各アクセスノード130A~Hは、より多い数又は少ない数のフェーズドアレイアンテナ132を有していてもよく、
図1に示すRFフェーズドアレイアンテナ132の数は、例示のみを目的としたものである。これに関して、各アクセスノード130A~Hは、RFアンテナビーム134A~M及び136A~Mを受信するための複数のRFフェーズドアレイアンテナ132を有する。各アクセスノード130は、RFアンテナビーム134A~M及び136A~Mを送信するための複数のRFフェーズドアレイアンテナ132を有する。この点において、フェーズドアレイ通信ネットワーク100は、フェーズドアレイアンテナのRF信号間の信号干渉を低減するために、受信用及び送信用のRFフェーズドアレイアンテナ132を別個に備える二重アンテナシステム(duplex antenna system)を提供する。
【0026】
送信元装置140Aは、フェーズドアレイ通信ネットワーク100におけるアクセスノード130A~Cを介して、送信先装置140Bとの通信を確立することができる。これに関して、アクセスノード130A~Dのフェーズドアレイアンテナ132により供給されるRFアンテナビーム134A~Dの経路は、送信元装置140Aと送信先装置140Bとの間の通信リンクを提供する。
【0027】
様々な例においては、複数の送信元及び送信先の装置140の通信により送信元装置140Aと送信先装置140Bとの間の経路が混雑し、結果として、送信遅延が発生する場合がある。したがって、送信元装置140Aと送信先装置140Bとの間の経路を再構成して、送信遅延を軽減することが考えられる。例えば、アクセスノード130Bからアクセスノード130Hへの迂回経路を選択し、アクセスノード130Bからのアンテナビーム134Eをアクセスノード130Hに送信することができる。アクセスノード130Hからのアンテナビーム134Fは、アクセスノード130Cに送信される。経路は、アクセスノード130Cへ続き、さらに送信先装置140Bへと続き、ここで経路が終端する。このように、フェーズドアレイ通信ネットワーク100は、通信ネットワーク容量を維持するために、効率的なRF信号ルーティングを行う。
【0028】
いくつかの例において、フェーズドアレイアンテナ通信ネットワーク100を通る経路は、送信元装置140Aで始まり、(例えば、アンテナビーム134A及び134G~Iを介して)制御サーバ150にルーティングされる。例えば、送信元装置140Aは、制御チャネル(例えば、
図2に示すような制御チャネル253)を介してフェーズドアレイ通信ネットワーク100に対するアクセス要求を行う。アクセスノード130A及び130D~Fは、このアクセス要求を制御サーバ150に送信する。アクセスノード130Fが制御サーバ150への接続を供給することにより、経路が終端する。同様に、制御サーバ150は、アクセスノード130F~D及び130Aを通る制御チャネル235を介して(例えば、アンテナビーム136I~G及び136Aを介して)、アクセス要求に対する応答を送信する。
【0029】
いくつかの例において、アクセスノード130は、衛星リンクを介した送信を行う。この場合、送信元装置140Aは、衛星110を介して送信先装置140Bと通信を行う。いくつかの例においては、衛星110は、地球低軌道(LEO)衛星である。送信元装置140Aにより開始される通信は、アクセスノード130Aからアクセスノード130Gへ送信される。アクセスノード130Gは、衛星ゲートウェイ120Aに対して、アンテナビーム134Kを介して当該通信を送信する。衛星ゲートウェイ120Aは、アップリンクアンテナビーム115Aを介して、衛星110に対して当該通信を送信する。衛星110は、送信された通信を処理し、ダウンリンクアンテナビーム115Bを介して、衛星ゲートウェイ120Bに対して当該通信を送信する。衛星ゲートウェイ120Bは、アンテナビーム134Mを介して、アクセスノード130Hに対して当該通信を送信する。当該通信は、アクセスノード130Hから、アクセスノード130Cを通って送信先装置140Bへと送信されて、経路が終端する。
【0030】
いくつかの例において、アクセスノード130は、衛星110と直接通信を行うために高RF電力を供給する。例えば、アクセスノード130G及び130Hは、衛星110と直接通信を行うためにアンテナビーム134/136を送受信可能な高RF電力のアクセスノード130として構成することができる。この場合、アクセスノード130Gは、衛星110に対してアップリンクアンテナビーム115Aを直接送信することができる。衛星110は、通信を処理して、アクセスノード130Hに対して衛星ダウンリンクアンテナビーム115Bを直接送信することができる。さらに、この通信は、アクセスノード130Hからアクセスノード130Cを通り送信先装置140Bへと送信され、これにより、経路が終端する。
【0031】
いくつかの例においては、1つのアクセスノード130が、送信元装置140と送信先装置140との間の経路を提供してもよい。例えば、送信元装置140C及び送信先装置140Dは、両方とも、アクセスノード130AのRF信号到達範囲内にあってもよい。アクセスノード130Aは、送信元装置140Cと送信先装置140Dとの間の通信リンクを確立するための送受信フェーズドアレイアンテナ132を有する。送信元装置140C及び送信先装置140Dの両方がRF信号到達範囲内にある状態で、アクセスノード130Aは、通信リンクを提供する。
【0032】
制御サーバ150は、フェーズドアレイ通信ネットワーク100と外部ネットワーク180とのインターフェースを提供するためにセントラルオフィス160と通信可能である。セントラルオフィス160は、ゲートウェイ170と接続してネットワーク180への通信リンクを提供することができる。ネットワーク180は、例えば、加入者に対して移動無線通信サービスを提供する多くの利用可能なネットワークのうちの1つである。この場合、フェーズドアレイ通信ネットワーク100は、送信元装置140に対して、ネットワーク180の加入者との通信リンクを提供することができる。
【0033】
図2は、本開示の一実施例によるフェーズドアレイ通信ネットワーク100に対する、ユーザ装置140のインターフェースを示す。この図示例においては、送信元装置140A及び送信先装置140Bは、双方向リアルタイム通信を行うために、それぞれ、フェーズドアレイ通信ネットワーク100のアクセスノード130A及び130Cとインターフェース接続している。同様に、制御サーバ150は、双方向リアルタイム通信を行うために、放送チャネル237及び複数の制御チャネル235(例えば、制御チャネル235A及び235B)を介して、フェーズドアレイ通信ネットワーク100とインターフェース接続している。
【0034】
様々な例において、アクセスノード130Aは、アンテナビーム134A及び136Aを介して、送信元装置140Aとの通信を行う。これに関して、アンテナビーム134Aは、送信元装置140Aからアクセスノード130Aに向けられており、アンテナビーム136Aは、アクセスノード130Aから送信元装置140Aに向けられている。アンテナビーム134A/136Aは、RF変調通信チャネル233A/233Bと、RF変調制御チャネル235Aとを含む。通信チャネル233A/233Bは、例えば、装置140Aと装置140Bとの間の双方向RF変調の音声及び/又はデータ送信を実現する。制御チャネル235Aは、制御サーバ150により提供される。一般に、制御チャネル235は、装置140と、アクセスノード130と、制御サーバ150との間の双方向リアルタイム通信を実現する。
【0035】
図2に示すように、アクセスノード130Aは、アンテナビーム134B及び136Bを介して、フェーズドアレイ通信ネットワーク100の他のアクセスノード130と双方向通信を行う。アンテナビーム134B及び136Bは、複数の通信チャネル233(例えば、装置140A/140Bと関連する通信チャネル233A/233B、及び、他の装置140と関連する他の通信チャネル233)と、送信元装置140Aと関連する少なくとも1つの制御チャネル235Aと、放送チャネル237とを含む。本明細書で説明するように、放送チャネル237は、フェーズドアレイ通信ネットワーク100に適用可能な情報をアクセスノード130に伝達するために、制御サーバ150により提供される。
【0036】
図2は、アンテナビーム134C/136Cと通信可能なアクセスノード130Cを示している。アンテナビーム134C/136Cは、複数の通信チャネル233(例えば、装置140A/140Bと関連する通信チャネル233A/233B、及び、他の装置140と関連する他の通信チャネル233)と、送信元装置140Bと関連する制御チャネル235Bと、放送チャネル237とを含む。アクセスノード130Cは、アンテナビーム134D/136Dを介して、送信先装置140Bと通信を行う。アンテナビーム134D/136Dは、通信チャネル233A/233B及び制御チャネル235Bのデータを含む。説明するように、通信チャネル233A/233Bは、装置140Aと装置140Bとの間の双方向の音声及び/又はデータ送信を実現する。制御チャネル235Bは、制御サーバ150により供給され、装置140Bと、アクセスノード130Cと、制御サーバ150との間で双方向通信を実現する。
【0037】
図3は、本開示の一実施例による、アクセスノード130Bを示す模式図である。アクセスノード130Bは、
図1に示すフェーズドアレイ通信ネットワーク100の一部を形成する。アクセスノード130Bは、アンテナビーム134/136を送受信するために用いられる。図示のように、アクセスノード130Bは、複数のフェーズドアレイアンテナ132A~Dを含む。各フェーズドアレイアンテナ132は、アンテナビーム134/136の送受信を行うための受信フェーズドアレイアンテナ312と送信フェーズドアレイアンテナ314とを含む。フェーズドアレイアンテナ312及び314の各々は、複数のアンテナ素子(例えば、
図6に示すアンテナ素子638)を含む。これに関して、アクセスノード130Bの例においては、4つの受信アンテナ312及び4つの送信アンテナ314が設けられている。なお、これより少ない数又は多い数のフェーズドアレイアンテナ132がアクセスノード130Bに含まれていてもよい。
【0038】
図3に示す例において、アクセスノード130Bは、プロセッサ310と、メモリ320と、GPS装置330と、RF増幅器331A~Dと、RF増幅器332A~Dと、デカプラ(decouplers)333A~Dと、結合器334A~Dと、復調回路335と、変調回路337と、モデム340とを含む。説明のため、1つの受信フェーズドアレイアンテナ312Aの信号経路について説明する。なお、残りの受信フェーズドアレイアンテナ312B~Dの信号経路も同様である。受信フェーズドアレイアンテナ312Aは、複数のRF変調データパケット(例えば、
図8Aに示すRF変調データ800)を含むフェーズドアレイアンテナビーム134Aを受信する。RF変調データパケット800は、RF変調ヘッダ(例えば、
図8Aに示すRF変調ヘッダ802)と、RF変調ペイロードデータ(例えば、
図8Aに示すRF変調ペイロードデータ804)とを含む。いくつかの例においては、RF変調データパケット800は、ビームステアリング回路316Aにより処理される信号であり、当該回路において、受信アンテナビーム134のゲインを最大にするとともに干渉RF信号を少なくするために、RF変調データパケット800の信号の振幅及び位相が調整される。プロセッサ310は、RF変調データパケット800の信号処理のために、ビームステアリング回路316A(から316H)にステアリング制御信号318A(から318H)を送信する。RF変調データパケット800は、RF増幅器331Aにより増幅される。カプラ333Aは、RF変調データパケット800のRF変調ヘッダ802部分を分離するために用いられる。いくつかの例において、ヘッダ802は、バイナリ位相シフトキーイング(binary phase shift keying)を用いて変調されるが、他の変調技術を用いてもよい。復調回路335は、ヘッダ802を復調して、復調したヘッダをモデム340に供給する。モデム340は、ヘッダ802をデコードして、デコードしたデータをプロセッサ310に渡す。
【0039】
いくつかの例において、RF変調ヘッダ802は、アクセスノード130Bで受信される際、復調されていない。これに関して、ヘッダ内の経路情報802Kや他のデータ(例えば、
図8Aに示される他のデータ802A~L)が更新されていない場合、復調の必要はない。他の例においては、RF変調ヘッダ802は、プロセッサ310によりサンプリングされており、復調の必要がない。
【0040】
プロセッサ310は、復調されたヘッダ802から、送信元装置140A、送信先装置140B、及び経路情報(例えば、
図8Aに示す経路情報802K)を識別するように構成される。経路情報802Kは、プロセッサ310を介してメモリ320に送られて保存される。プロセッサ310は、後に、メモリ320から経路情報802Kを取り出すことができる。GPS装置330は、本明細書で説明するように、経路を特定する際に用いる地理座標をアクセスノード130Bに供給するために、プロセッサ310と通信するように構成される。いくつかの例においては、他のコンポーネント350は、フェーズドアレイ通信ネットワーク100の制御サーバ150に対してアクセスノード130Bの地理座標を送信するために、GPS装置330に接続されたアンテナを含む。これに関して、制御サーバ150は、RF変調データパケット800における経路特定を容易にするために、通信ネットワーク100内の各アクセスノード130から送信される位置情報を用いてもよい。
【0041】
アクセスノード130Bは、RF変調データ800を送信するように構成されている。これに関して、送信フェーズドアレイアンテナ314A~Dは、送信RF変調データ800を送信するように構成されている。説明のため、1つの送信フェーズドアレイアンテナ314Aの信号経路について説明する。いくつかの例において、ヘッダ802は、RF変調ヘッダ802を供給するために変調回路337により再変調される。他の例においては、本明細書に説明されているように、RF変調ヘッダは、アクセスノード130Bにより受信される際にサンプリングされており、再変調の必要がない。結合器334Aは、RF変調ヘッダ802とペイロードデータ804とを結合して、RF変調データパケット800を形成する。
【0042】
いくつかの例においては、経路情報802Kは予め規定されており(例えば、静的経路)、予め規定された経路情報802に基づいて、送信フェーズドアレイアンテナ314Aが選択される。他の例においては、RF変調データパケット800は、アクセスノード130C及び/又は送信先装置140Bに向けて電子的に方向制御される。この場合、ビームステアリング回路316Bを用いて、送信フェーズドアレイアンテナ314Aのビームが、アクセスノード130C及び/又は送信先装置140Bに向けて方向制御される。ビームステアリング回路316Bは、RF変調データパケット800の信号処理を行い、送信方向に最大ゲインを有する狭アンテナビーム134を供給する。プロセッサ310は、RF変調データパケット800の信号処理のために、ビームステアリング回路316Bにステアリング制御信号318Bを送信する。
【0043】
さらに他の例においては、送信先装置140Bの位置に基づいて、アクセスノード130B内で、経路が生成される。その際、RFアレイ・スイッチマトリクス339が、送信フェーズドアレイアンテナ314Aを送信先装置140Bに向けて切り替えることにより、送信先装置140Bへの最短経路が提供される。いくつかの例において、プロセッサ310は、送信フェーズドアレイアンテナ314Aを送信先装置140Bに向けて電子的に方向制御する。RF増幅器332Aは、アクセスノード130C及び/又は送信先装置140Bに対する送信を行う前に、RF変調データパケット800を増幅する。
【0044】
様々な例においては、本明細書において説明するように、制御チャネル235は、アクセスノード130BによりRF変調形式で受信される。復調回路335は、例えば、制御チャネル235を復調して、データ806A~I(
図8Bに示すようなデータ806A~I)を、送信遅延情報及び経路情報を処理するためのプロセッサ310に供給するように構成されている。制御チャネル235は、送信フェーズドアレイアンテナ314を介したアクセスノード130Bからの送信の前に、変調回路337により再変調される。
【0045】
図4は、本開示の一実施例によるユーザ装置140を示すブロック図である。本明細書で説明するように、ユーザ装置140は、概して、送信元装置140A、140Cと、送信先装置140B、140Dとを含む。一例において、ユーザ装置は、プロセッサ410と、メモリ420と、ディスプレイ430と、ユーザ制御部440と、マイク450と、スピーカ455と、フェーズドアレイアンテナ460と、送受信モジュール470と、変復調回路480と、GPS装置480とを含む。アンテナ460は、好適には、フェーズドアレイアンテナである。しかしながら、アンテナ460は、他の指向性アンテナ、多素子アンテナ、ビームステアリングアンテナ、又はビームフォーミングアンテナであってもよい。
【0046】
様々な例において、ユーザ装置140は、例えば、他の携帯電話と音声及び/又はデータを送受信するための携帯電話として実現される。
【0047】
プロセッサ410は、例えば、本明細書で説明する様々な処理を行うための命令を実行するために、マイクロプロセッサ、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、マイクロコントローラ、ロジックデバイス(例えば、処理動作を行うように構成されたプログラム可能なロジックデバイス)、デジタル信号処理(DSP)装置、実行可能な命令を(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、又は、他の命令)を保存するための1つ又は複数のメモリ、及び/又は、他の処理装置やメモリの適切な組み合わせを含みうる。プロセッサ410は、本明細書で説明する方法及び処理ステップを実行するために、コンポーネント420、430、440、450、455、460、470、及び480とインターフェース接続して通信を行うように構成される。
【0048】
メモリ420は、一例において、データ及び情報を保存するための1つ又は複数のメモリ装置(例えば、1つ又は複数のメモリ)を含む。1つ又は複数のメモリ装置は、揮発性メモリ装置及び不揮発性メモリ装置などの様々なメモリを含みうる。これらの例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は他の種類のメモリなどが挙げられる。一例において、メモリは、ヘッダ802から受け取る経路情報802K、及び/又は、制御チャネル235から受け取る経路情報806Fを保存するように構成される。
【0049】
ディスプレイ430は、一例において、液晶ディスプレイ(LCD)、又は、様々な種類の公知のディスプレイである。ユーザ制御部440は、様々な例において、キーパッドを含む。ユーザ制御部は、ディスプレイ430と一体化させて、ユーザ入力装置とディスプレイの両方、例えば、ディスプレイ430の一部としてのタッチスクリーンとして動作してもよい。ディスプレイ430は、ディスプレイ電子部品を含み、これらの部品は、ディスプレイ430に動画や他の画像を表示するために、プロセッサ410により利用されてもよい。プロセッサ410は、ユーザ制御部からの制御入力信号を感知するように構成されるとともに、当該ユーザ制御部から受信及び感知した制御入力信号に応答するように構成される。
【0050】
プロセッサ410は、マイク450とインターフェース接続しており、フェーズドアレイアンテナ460による送信のために、マイク450で受信した音波を電気信号に変換するように構成される。同様に、フェーズドアレイアンテナにより受信されるRF信号は、プロセッサ410により低周波電気信号に変換され、スピーカ455に送信されて音波に変換される。
【0051】
フェーズドアレイアンテナ460は、アンテナビーム134/136を送受信するように構成された複数のアンテナ素子を含む。送受信モジュール(T/Rモジュール)470は、RF送受信モジュールを含み、当該モジュールは、フェーズドアレイアンテナ460による送信を行うためにRF信号を増幅したり、フェーズドアレイアンテナ460から受信したRF信号を増幅したりする。
【0052】
いくつかの例において、変復調回路480の変調部は、フェーズドアレイアンテナ460による送信の前に、ヘッダ802及びペイロードデータ804を含むデータパケット800、並びに、制御チャネル235をRF変調するように構成されている。時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、及び/又は、符号分割多元接続(CDMA)の変調方式を用いて、データパケット800のペイロードデータ804の部分、及び、制御チャネル235を変調してもよい。いくつかの例においては、時分割複信を用いてデータパケット800を変調してもよい。周波数分割複信などの他の複信方式も考えられる。いくつかの例においては、二位相偏移変調(BPSK)を用いてヘッダ802を変調してもよい。変復調回路480の復調部は、ヘッダ802及びペイロードデータ804を含む受信したRF変調データパケット800、並びに、RF変調された制御チャネル235を復調するように構成されている。
【0053】
いくつかの例においては、GPS装置490は、ユーザ装置140の位置を提供する。他のコンポーネント495は、GPSアンテナ495を含み、当該アンテナは、ユーザ装置140の位置信号をアクセスノード130のGPSアンテナ340に送信する。いくつかの例においては、他のコンポーネント495は、アンテナビーム134/136を受信するように構成されたアンテナ495を含む。これに関して、アンテナ495は、RFアンテナビーム134/136を受信可能な任意の断端(stump)アンテナ又はフレックス(flex)アンテナであってもよい。
【0054】
プロセッサ410は、(例えば、フェーズドアレイアンテナ460から制御チャネル情報を受信することにより)フェーズドアレイアンテナ460と通信する。プロセッサ410は、コマンド情報、制御情報、及び/又は、他の情報を、ユーザ装置140の他のコンポーネント(例えば、T/Rモジュール470、変復調器480、及び/又は、GPS装置490)に送信するように構成され、及び/又は、コマンド情報、制御情報、及び/又は、他の情報を、ユーザ装置140の他のコンポーネント(例えば、T/Rモジュール470、変復調器480、及び/又は、GPS装置490)から受信するように構成される。
【0055】
図5は、本開示の一実施例による制御サーバ150を示すブロック図である。制御サーバ150は、本明細書で説明するように、ユーザ装置140及びアクセスノード130に対して応答及び情報を供給するために、制御チャネル235を介してフェーズドアレイ通信ネットワーク100とインターフェース接続する。様々な例において、制御サーバ150は、プロセッサ510と、メモリ520と、ユーザインターフェース530と、通信インターフェース550とを含む。いくつかの例において、制御サーバは、さらに、フェーズドアレイアンテナ560と、送受信モジュール570(例えば、T/Rモジュール)と、変復調回路580とを含む。
【0056】
プロセッサ510は、ユーザ装置140のプロセッサ410と同様である。これに関して、プロセッサ510は、例えば、本明細書に記載された様々な処理を行うための命令を実行するために、マイクロプロセッサ、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、マイクロコントローラ、ロジックデバイス(例えば、処理動作を行うように構成されたプログラム可能なロジックデバイス)、デジタル信号処理(DSP)装置、実行可能な命令を(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、又は、他の命令)を保存するための1つ又は複数のメモリ、及び/又は、他の処理装置やメモリの適切な組み合わせを含みうる。プロセッサ510は、本明細書で説明する方法及び処理ステップを実行するために、コンポーネント520、530、540、550、560、570、及び580とインターフェース接続して通信を行うように構成される。
【0057】
様々な例においては、処理動作及び/又は命令は、ソフトウェア及び/又はプロセッサ510の一部としてのハードウェア、又は、メモリコンポーネント520に保存されたコード(例えば、ソフトウェア又はコンフィギュレーションデータ)にて統合されてもよい。本明細書に開示されている処理動作及び/又は命令の例は、非一時的な方法(例えば、メモリ、ハードドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、又は、フラッシュメモリ)で機械可読媒体540に保存され、本開示の様々な方法を実行するために、コンピュータ(例えば、ロジック又はプロセッサに基づくシステム)により実行される。
【0058】
メモリ520は、一例において、データ及び情報を保存するための1つ又は複数のメモリ装置(例えば、1つ又は複数のメモリ)を含む。1つ又は複数のメモリ装置は、揮発性メモリ装置及び不揮発性メモリ装置などの様々なメモリを含みうる。これらの例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は他の種類のメモリなどが挙げられる。
【0059】
ユーザインターフェース530は、ユーザ入力/インターフェース装置のための汎用インターフェースを含む。このユーザ入力/インターフェース装置は、1つ又は複数のユーザ作動型の入力制御信号を生成するように構成された、1つ又は複数の押ボタン、スライドバー、回転可能ノブ、又はキーボードなどの1つ又は複数のユーザ作動型のコンポーネントを有する。プロセッサ510は、ユーザインターフェース530からの制御入力信号を感知するように構成されるとともに、当該インターフェースから受信及び感知した制御入力信号に応答するように構成される。
【0060】
一例において、通信インターフェース550は、ネットワーク及び当該ネットワークにおける他の装置と通信可能なネットワークインターフェースコンポーネント(NIC)として実現される。様々な例において、通信インターフェース550は、1つ又は複数の有線又は無線の通信インターフェースを含む。このような通信インターフェースの例としては、ネットワークとの通信用に構成された、イーサネット接続、IEEE802.11規格に基づく無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)コンポーネント、無線ブロードバンドコンポーネント、移動セルラーコンポーネント、無線衛星コンポーネント、或いは、無線周波数(RF)コンポーネント、マイクロ波周波数(MWF)コンポーネント及び/又は赤外線周波(IRF)コンポーネントを含む他の様々な種類の無線通信インターフェースが挙げられる。したがって、通信インターフェース550は、無線通信のために接続されたアンテナを含みうる。他の例においては、通信インターフェース550は、ネットワークとの通信用に構成された、DSL(例えば、デジタル加入者回線)モデム、PSTN(公衆交換電話網)モデム、イーサネット装置、及び/又は、様々な他の種類の有線や無線のネットワーク通信装置とインターネット接続するように構成されてもよい。
【0061】
他の例において、フェーズドアレイアンテナ560、送受信モジュール570、及び、変復調回路580は、ユーザ装置140のフェーズドアレイアンテナ460、送受信モジュール470、及び、変復調回路480と同様に実現されてもよい。これに関して、フェーズドアレイアンテナ560、送受信モジュール570、及び、変復調回路580は、フェーズドアレイ通信ネットワーク100内において、RF変調制御チャネル235及びRF変調放送チャネル237をルーティングするためのアクセスノード130に対するRF無線インターフェースを形成している。
【0062】
図6は、本開示の一実施例による、円筒型アクセスノード130を示す斜視図である。
図6の例に示すように、円筒型アクセスノード130は、外面605に接続された複数のフェーズドアレイアンテナ632を含む。なお、アクセスノード130は、複数のフェーズドアレイアンテナ632を外面に接続可能な立方体または他の幾何学的構造体として実現することができる。
【0063】
各フェーズドアレイアンテナ632は、複数のアンテナ素子638を含む。いくつかの例において、フェーズドアレイアンテナ632は、8×8の行列状に配置された64個のアンテナ素子638を含む。いくつかの例においては、これより少ない数又は多い数のアンテナ素子638及び当該アンテナ素子638の行列配置が可能である。いくつかの例においては、各フェーズドアレイアンテナ632の寸法は、約20ミリメートル×20ミリメートル角である。しかしながら、他の例においては、フェーズドアレイアンテナ632の寸法は、20ミリメートル角よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。さらに他の例において、フェーズドアレイアンテナ632は、直径が約20ミリメートルの円形であってもよい。しかしながら、20ミリメートル以上及び/又は以下の直径を有する円形フェーズドアレイアンテナ632であってもよい。
【0064】
図示の例においては、フェーズドアレイアンテナ632により、RFアンテナビーム134/136は360度のビーム範囲を有することができる。したがって、フェーズドアレイアンテナ632により、大容量の無線移動通信が可能となる。さらに、本明細書で説明するように、フェーズドアレイアンテナ632は、1つ又は複数のフェーズドアレイアンテナ632で形成されたアンテナビーム134/136に対して、高帯域幅の電子的なビームステアリングを行う。高指向性の狭アンテナビーム134/136は、同一チャネル干渉を低減し、隣接していないアクセスノード139においてアンテナビーム134/136の周波数の再利用を可能とすることにより、フェーズドアレイ通信ネットワーク100の容量を増大することができる。
【0065】
いくつかの例において、複数のフェーズドアレイアンテナ632は、円筒型アクセスノード130の上面に接続されており、アップリンクアンテナビーム115Aを衛星110に直接送信するとともに、衛星110からダウンリンクアンテナビーム115Bを受信する。この場合、アクセスノード130を高RF電力のアクセスノード130として構成して、地上及び宇宙用無線移動フェーズドアレイ通信ネットワーク100に対してフレキシブルなRF通信リンクを提供することができる。
【0066】
図7A及び7Bは、本開示の実施例による、アンテナビーム134/136に含まれる様々なチャネル及びデータを示す。アンテナビーム134/136は、アクセスノード130のフェーズドアレイアンテナ132で形成される。アクセスノード130は、複数のアンテナビーム134/136を供給する複数のフェーズドアレイアンテナ132を含む。
【0067】
図7Aに示すアンテナビーム134/136は、複数のRF変調通信チャネル233A~Nと、複数のRF変調制御チャネル235A~Mと、複数のRF変調ランダムアクセスチャネル735(例えば、制御チャネル235のランダムアクセスチャネル735)とを含む。アンテナビーム134/136は、高データ速度でRF変調通信チャネル233の送信を同時に行うために、広い帯域幅を有する。各RF変調通信チャネル233は、対応する送信元装置140と対応する送信先装置140との間のリアルタイムの双方向通信に関連している。各通信チャネル233は、本明細書で説明するように、複数のデータパケット800を含む。
【0068】
いくつかの例においては、各RF変調通信チャネル233は、直交周波数分割多元接続(OFDMA)の変調方式を用いて変調されているため、1つのアンテナビーム134/136において、複数のRF変調通信チャネル233を送信することができる。他の例においては、他の変調技術、例えば、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)を用いることも可能である。高指向性のアンテナビーム134/136により、同じ周波数帯域のアンテナビーム134/136を、隣接していないアクセスノード130で再利用することができる。
【0069】
送信元装置140が最初に電源投入されるか、或いは送信元装置140がアクセスノード130の電気RF信号の範囲内に最初に存在する初期化期間において、フェーズドアレイ通信ネットワーク100と通信を行うために、制御チャネル235のランダムアクセスチャネル735が送信元装置140に供給される。送信元装置140は、アンテナビーム134に含まれて送信されるRF変調ランダムアクセスチャネル735を用いて、アクセスノード130を介して制御サーバ150に要求を送信することにより、フェーズドアレイ通信ネットワーク100にアクセスを要求することができる。
【0070】
図7Bは、アンテナビーム134/136の他の例を示す。
図7Bに示すアンテナビーム134/136は、複数のRF変調通信チャネル233A~Nと、複数のRF変調制御チャネル235A~Mと、複数のRF変調放送チャネル237A~Pとを含む。
図7Aと同様に、各RF変調通信チャネル233は、対応する送信元装置140と対応する送信先装置140との間のリアルタイムの双方向通信に関連している。
【0071】
RF変調制御チャネル235A~Mは、アクセスノード130間、及び、ユーザ装置140とフェーズドアレイ通信ネットワーク100との間の通信を可能にする。例えば、制御サーバ150は、ネットワーク100へのアクセス要求に応答して、アクセスノード130を介して送信元装置140に送信されるアンテナビーム136内の制御チャネル235を用いて、送信元装置140に応答(例えば、
図8Bに示す応答806I)を送信する。送信元装置140Aと送信先装置140Bとの間の通信用経路の範囲内における各アクセスノード130に対して、送信遅延情報(例えば、
図8Bに示す送信遅延806Hなど)が送信される。
【0072】
RF変調放送チャネル237A~Pは、制御サーバ150と、フェーズドアレイ通信ネットワーク100のアクセスノード130との間の通信を可能にする。例えば、制御サーバは、アンテナビーム136に含まれて送信される放送チャネル237を介して、ネットワーク130内の各アクセスノード130に対して、利用可能な通信チャネル233を送信する。
【0073】
図8Aは、本開示の一実施例によるデータパケット800を示すブロック図である。データパケット800は、装置140A/140B間でデータ及び/又は音声データを通信するために、送信元装置140A及び/又は送信先装置140Bにより供給される。データパケット800は、RF変調通信チャネル233を介して送信され、アンテナビーム134/136により、対応する送信元装置140Aと送信先装置140Bとの間で受け渡される。
【0074】
データパケット800は、ヘッダ802とペイロードデータ804とを含む。ヘッダ802は、ユーザ識別情報802Aと、ユーザ位置802Bと、送信先識別情報802Cと、送信先位置802Dと、認証要求802Eと、アクセス要求802Fと、ハンドオーバー要求802Gと、割り当て帯域幅802Hと、割り当て通信チャネル802Iと、時間及び帯域幅要求802Jと、経路情報802Kと、アクセスノード送信遅延802Lとを含む。いくつかの例においては、ヘッダ802は、二位相偏移変調(BPSK)を用いて変調される。BPSKは、比較的単純な変調方法であり、アクセスノード130におけるヘッダ802の復調を簡易化することができる。
【0075】
ヘッダ802は、フェーズドアレイ通信ネットワーク100を介した送信先装置140Bへのデータパケット800のルーティングに関する情報を提供する。例えば、ヘッダ802は、送信元装置140Aの識別情報と位置、送信先装置140Bの識別情報と位置、及び、経路を識別するための経路情報802Kを提供する。いくつかの例において、ヘッダ802は、複数のアクセスノード130を通る経路を識別するために第1アクセスノード130で復調され、それ以降の再変調や復調は、経路の残りの部分全体にわたって不要である。いくつかの例において、経路は、送信遅延を軽減するために再構成され、再構成された経路情報802Kがヘッダ802に供給される。
【0076】
ペイロードデータ804は、例えば、音声データ及び/又は他の形態のデジタルデータやアナログデータを含みうる。ペイロードデータは、RF変調されて、データパケット800の一部として送信先装置140Bに送信される。ペイロードデータ804は、データパケット800が送信先装置140Bに到達するまで復調されない。この点で、ペイロードデータ804をRF変調形式で送信先装置140Bに送信することにより、高データ速度で移動無線通信を行うことができる。
【0077】
図8Bは、本開示の一実施例による、制御チャネル235を示すブロック図である。制御チャネル235は、システム識別情報806A(例えば、フェーズドアレイ通信ネットワーク100)と、認証状態806Bと、アクセス要求承認806Cと、割り当て帯域幅806Dと、割り当てチャネル806Eと、経路情報806Fと、アクセスノード識別情報806Gと、送信遅延情報806Hと、応答806Iとを含む。
【0078】
様々な例において、制御チャネル235(235A、235B)は、制御サーバ150と、アクセスノード130と、ユーザ装置140との間の双方向通信を実現する。例えば、RF変調制御チャネル235は、制御サーバ150により供給される送信遅延情報806Hをアクセスノード130に送信する。他の例において、RF変調制御チャネル235は、制御サーバ150により供給される再構成された経路情報806Fを、経路に沿って、アクセスノード130の各々に送信する。他の例において、RF変調制御チャネル235は、送信元装置140Aに応答を送信する。
【0079】
図8Cは、本開示の一実施例による、放送チャネル237を示すブロック図である。放送チャネル237は、システム識別情報808A(例えば、フェーズドアレイ通信ネットワーク100)と、利用可能な帯域幅808Bと、利用可能なチャネル808Cと、パイロットトーン808Dと、ハンドオーバー情報808Eと、コール通知808Fとを含む。
【0080】
様々な例において、放送チャネル237は、制御サーバ150とアクセスノード130との間の双方向通信を実現する。放送チャネル237は、制御サーバ150により供給される利用可能な帯域幅808B及び利用可能なチャネル808Cを、アンテナビーム134/136を介して、アクセスノード130に供給する。さらに、放送チャネルは、アクセスノード130に近接するユーザ装置140の信号強度を特定するために用いられるパイロットトーン808Dを、アクセスノード130に供給する。いくつかの例において、放送チャネル237は、ネットワーク100に接続されたユーザ装置140にコール通知を供給する。
【0081】
図9Aは、本開示の一実施例による、複数のアクセスノード130を通る経路の例を示す。
図9Aに示すように、送信元装置140A及び送信先装置140Bは、ネットワーク100上で通信する。図示例においては、各アクセスノード130A~Cは、複数の高指向性アンテナビーム134/136を含み、これらのアンテナビームは、各アクセスノード130A~Cから周方向に放射される。
【0082】
ネットワーク100を介した送信元装置140Aと送信先装置140Bとの間の経路は、アクセスノード130A~Cを含む。フェーズドアレイアンテナ132(図示略)により供給される複数のアンテナビーム134A~D及び136A~Dは、複数のデータパケット800を、対応する送信元装置140Aと対応する送信先装置140Bとの間で送信するための通信チャネル233(図示略)を含む。
【0083】
いくつかの例においては、経路情報802Kが供給されており、アクセスノード130は、経路情報802Kに従ってアンテナビーム134/136を選択及び送信する。例えば、アクセスノード130Bは、アクセスノード130Aからアンテナビーム134Bを受信する。アクセスノード130Bは、アクセスノード130Cに向けられたフェーズドアレイアンテナ132を選択して、アンテナビーム134Cをアクセスノード130Cに送信する。いくつかの例においては、アクセスノード130Bのアンテナビーム134Cは、アクセスノード130Cに電子的にステアリングされる。
【0084】
いくつかの例においては、各アクセスノード130A~Cは、送信先装置140Bの位置(例えば、ヘッダ802の送信先装置の位置802D)、及び、送信先装置140Bに対するアクセスノード130の近さに基づいて、他のアクセスノード130への経路を特定する。例えば、アクセスノード130Bは、アクセスノード130Cが、送信先装置140Bに最も近いアクセスノードであると特定する。この場合、アクセスノード130Bは、送信先装置140Bの方向においてアクセスノード130Cに向かって、アンテナビーム134Cを送信する。
【0085】
いくつかの例においては、送信元装置140Aから送信先装置140Bへのアンテナビーム134A~D及び136A~Dの送信は、予め規定された期間及び帯域幅で確立される。他の例において、送信元装置140Aから送信先装置140Bへのアンテナビーム134A~D及び136A~Dの送信期間は、装置140Aと装置140Bとの間の通信が終了するまで継続する。
【0086】
図9Bは、本開示の一実施例による、1つのアクセスノード130を通る経路の例を示す。
図9Bに示すように、送信元装置140A及び送信先装置140Bは、1つのアクセスノード130Aを介して通信する。送信元装置140A及び送信先装置140Bは、両方とも、アクセスノード130Aの電気RF信号の範囲内にある。この場合、アクセスノード130Aは、装置間でデータパケット800を送受信するために、アンテナビーム134N/136Nを送信元装置140Aに送信し、アンテナビーム134O/136Oを送信先装置140Bに送信する。送信においてアクセスノード130を追加する必要がないため、1つのアクセスノードのルーティングにより装置間で効率的に通信を行うことができる。さらに、ビームステアリングを用いて、高データ速度で高指向性のアンテナビーム134N/136N及び134O/136Oを提供することができる。
【0087】
いくつかの例においては、送信先装置140Bがアクセスノード130A内の異なる位置に移動すると、元の位置における電気RF信号の強度が弱まる可能性がある。この場合、アクセスノード130Aのアンテナビーム134O/136Oは、アクセスノード130Aの範囲内で装置140Bを追跡し、当該装置とともに移動してもよい。この場合、アクセスノード130Aは、アンテナビーム134O/136Oを供給するために異なるフェーズドアレイアンテナ132を選択することができる。
【0088】
図9A及び9Bに示すように、フェーズドアレイ通信ネットワーク100における容量を増大するために、アクセスノード130内の隣接していない位置、及び、アクセスノード130間で隣接していない位置においてアンテナビーム134/136を再利用することができる。
【0089】
図9Cは、本開示の一実施例による、様々な種類の大気の影響に関する周波数に対する減衰のいくつかのグラフを示す。グラフ902は、約1ギガヘルツ(GHz)から約350GHzの範囲で乾燥空気中を移動する放射信号に対する減衰作用を示す。グラフ904は、約3ギガヘルツ(GHz)から約350GHzの範囲で水蒸気中を移動する放射信号に対する減衰作用を示す。グラフ906は、約1ギガヘルツ(GHz)から約350GHzの範囲における放射信号に対する全体の天頂減衰作用(total zenith attenuation effect)を示す。様々な例において、このような天頂減衰情報(zenith attenuation information)は、地上通信及び低仰角で用いられるフェーズドアレイアンテナビームに生じうる減衰を予測するのに用いられる。
【0090】
一般に、より高い周波数帯域(例えば、より短い波長)でフェーズドアレイ通信ネットワーク100を動作させることにより、移動無線通信の性能を向上させることができる。例えば、高RF帯域(例えば、10GHz~110GHz)での動作により、多くの高ゲインアンテナ素子638を用いた寸法の小さいフェーズドアレイアンテナ632を実現することができる。アンテナ素子638の数を増やすことにより、より狭いアンテナビーム134/136を生成することができ、結果として、フェーズドアレイアンテナ632で送受信されるアンテナビーム134/136の指向性を高めることができる。なお、好適なRF帯域を選択する際、移動するアンテナビーム134/136の減衰の原因となる乾燥空気や水蒸気などの大気の影響を考慮してもよい。これに関して、周波数、波長、アンテナの寸法に関する考慮事項、及び、好適な大気減衰を組み合わせることにより、好ましい動作RF帯域を特定することができる。
【0091】
グラフ902、904、及び906は、概して、約3GHzから約350GHzにかけて減衰量が増大している様子と、減衰のピーク点(peaks)及びヌル点(nulls)とを示している。これに関して、より長い距離を移動するアンテナビーム134/136に対する大気の影響を軽減するためには、減衰がナルである周波数を、好適には高RF帯域で選択してもよい。グラフ904及び906は、両方とも、約20GHzから約30GHzにかけて減衰量が増大しており、減衰ピーク952が、約23GHzにおいて10分の5デシベル(dB)であることを示している。グラフ902及び906は、両方とも、約60GHzで減衰ピーク954、約130GHzで減衰ピーク956を示している。グラフ904及び906は、両方とも、約180GHzから約320GHzにかけて複数の減衰ピーク958を示している。
【0092】
図示のように、放射信号は、約65GHzから約110GHzの範囲にわたって、減衰量が著しく少ないことを示している。特に、グラフ902は、94GHz(例えば、要素番号959で示す)及びそれに近い周波数(例えば、要素番号960で示す約150GHzの位置)で減衰量が著しく少ないことを示す。
【0093】
したがって、約65GHzから約110GHz(好ましくは、94GHz又はそれに近い周波数)の範囲内でアンテナビーム134/136を介してフェーズドアレイ通信ネットワーク100を動作させることにより、高帯域幅及び高データ速度を実現することができるとともに放射信号特性を向上させることができる(例えば、大気の影響による減衰量が少ない)。約65GHzから約110GHz(例えば、W帯域)の動作周波数で寸法の小さいフェーズドアレイアンテナ632を実現可能なため、高ゲインで指向性の高い狭アンテナビーム134/136を提供することができる。なお、W帯域は性能を向上させることができるが、フェーズドアレイ通信ネットワーク100は、他のRF帯域、例えば、500メガヘルツ(MHz)から110GHzの範囲、好適には、10GHzから50GHzのRF帯域における1つ又は複数の周波数で動作させることもできる。
【0094】
図10は、本開示の一実施例による、フェーズドアレイ通信ネットワーク100を用いた処理を示す。
【0095】
ブロック1005において、いくつかの例においては、電源オン時に送信元装置140Aが初期化され、フェーズドアレイ通信ネットワーク100へのアクセスを要求する。他の例においては、送信元装置140Aはフェーズドアレイ通信ネットワーク100の近くに移動して、アクセスを要求する。RF変調アンテナビーム134に含まれる制御チャネル235を介して、送信元装置140Aからフェーズドアレイ通信ネットワーク100のアクセスノード130にアクセス要求802Fが送信される。制御サーバ150にアクセス要求802Fを供給するために、複数の特定されたアクセスノード130が、制御サーバ150への所定の経路に沿ってRF変調アンテナビーム134を送信する。
【0096】
ブロック1010において、制御サーバ150が、通信チャネル233と帯域幅とを含む応答を供給し、経路情報を特定する。制御サーバ150は、制御チャネル235に上記応答を供給する。制御チャネル235は、RF変調され、RF変調アンテナビーム136を介してアクセスノード130から送信元装置140Aへ送信される。
【0097】
ブロック1015において、送信元装置140Aは、ヘッダ802とペイロードデータ804とを含むデータパケット800を生成する。ヘッダ802は、経路情報802Kを含み、当該経路情報は、複数のアクセスノード130を特定する経路を含む。データパケット800は、RF変調され、RF変調アンテナビーム134を介して送信元装置140Aからアクセスノード130へ送信される。
【0098】
ブロック1020において、送信元装置140Aは、送信先装置140BからRF変調データパケット800を受信する。その際、アクセスノード130から、第2のフェーズドアレイアンテナビーム136Aが送信される。第2のフェーズドアレイアンテナビーム136Aは、複数のRF変調通信チャネル233を含む。複数のRF変調通信チャネル233のうちの1つは、第2のRF変調データパケット800を含み、当該データパケットは、送信先装置140Bにより供給される第2のペイロードデータ804を含む。
【0099】
図11は、本開示の一実施例による、送信元装置140Aが、フェーズドアレイ通信ネットワーク100とインターフェース接続する処理を示す。
【0100】
ブロック1105において、送信元装置140Aはデータパケット800を生成する。データパケット800は、ヘッダ802とペイロードデータ804とを含む。ヘッダ802は、送信元装置140Aの識別情報と、送信先装置104Bの識別情報と、経路情報802Kとを含む。いくつかの例においては、ペイロードデータ804は、音声データ及び/又は他の形態のデジタル信号やアナログ信号を含みうる。
【0101】
ブロック1110において、データパケット800は、送信元装置140Aによって無線周波数(RF)変調される。いくつかの例においては、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、及び/又は、符号分割多元接続(CDMA)の変調方式を用いて、データパケット800のペイロードデータ804の部分を変調してもよい。他の例においては、直交周波数分割多元接続(OFDMA)の変調方式を用いてペイロードデータ804が変調される。他の例においては、他の変調技術、例えば、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)を用いることも可能である。いくつかの例においては、二位相偏移変調(BPSK)を用いてヘッダ802が変調される。
【0102】
ブロック1115において、RF変調データパケット800は、送信元装置140Aによってアクセスノード130に送信される。いくつかの例において、送信元装置140Aは、フェーズドアレイアンテナ460を含む。フェーズドアレイアンテナは、アンテナビーム134を形成し、当該アンテナビーム134を介して、RF変調データパケット800をアクセスノード130に送信する。
【0103】
図12は、本開示の一実施例による、制御サーバ150が、フェーズドアレイ通信ネットワークとインターフェース接続する処理を示す。
【0104】
ブロック1205において、制御サーバ150は、送信元装置140Aから、フェーズドアレイ通信ネットワーク100に対するアクセス要求を受信する。送信元装置104Aは、例えば、電源が投入されており、且つ、送信元装置140Aの近傍のアクセスノード130にアクセスを要求するRF信号を送信した状態である。この要求は、送信元装置140A識別情報と、送信先装置140Bの識別情報とを含む。アクセスノード130は、次に、この要求を制御サーバ150に送信する。
【0105】
ブロック1210において、制御サーバ150は、送信元装置140Aを認証する。認証の後、制御サーバ105は、通信チャネル233と、帯域幅と、経路情報とを割り当てる。経路情報は、複数のアクセスノードを含む経路を含む。
【0106】
ブロック1215において、制御サーバ150は、通信チャネル233と、帯域幅と、経路情報とを、制御チャネル235に供給する。制御チャネル235は、RF変調され、アンテナビーム136を介してアクセスノード130へ送信される。アクセスノード130は、RF変調された制御チャネル235を含むアンテナビーム136を送信元装置140Aに送信する。
【0107】
図13は、本開示の一実施例による、フェーズドアレイ通信ネットワーク100を介した所定のRF変調データパケット800の経路についての処理を示す。
【0108】
ブロック1305において、アクセスノード130は、送信元装置140Aから送信されたアンテナビーム134を介して複数のRF変調データパケット800を受信する。RF変調データパケット800は、RF変調ヘッダ802とペイロードデータ804とを含む。
【0109】
ブロック1310において、アクセスノードは、ペイロードデータ804をRF変調された状態で維持しつつ、ヘッダ802を復調する。いくつかの例においては、RF変調データパケット800のうち選択された一部のみのヘッダ802が復調される。ヘッダ802は、経路情報802Kを含み、当該経路情報は、複数のアクセスノード130を特定する経路を含む。アクセスノード130は、復調されたヘッダ802から経路情報802Kを特定する。いくつかの例においては、ヘッダ802は前回から更新されていないため、ヘッダ802を復調する必要がない。この場合、RF変調ヘッダ802は、経路情報802Kを確認することのみを目的としてサンプリングされる。
【0110】
ブロック1315において、アクセスノード130は、当該アクセスノード130から送信するためのRF変調データパケット800を供給するために、ヘッダ802を再変調する。いくつかの例においては、ヘッダ802は復調されていないため、再変調する必要がない。
【0111】
ブロック1320において、アクセスノード130は、経路情報802Kに従って、アンテナビーム136を介してRF変調データパケット800を送信する。その際、アクセスノード130は、例えば、当該アクセスノード130の複数のフェーズドアレイアンテナ132のうち、経路に沿って特定されたアクセスノード130に向かう1つのアンテナを選択する。アンテナビーム136は、選択されたフェーズドアレイアンテナ132から送信される。
【0112】
図14は、本開示の一実施例による、フェーズドアレイ通信ネットワーク100を介したRF変調データパケット800の動的な経路についての処理を示す。
【0113】
ブロック1405において、アクセスノード130は、送信元装置140Aからのアンテナビーム134を介してRF変調データパケット800を受信する。RF変調データパケット800は、RF変調ヘッダ802とペイロードデータ804とを含む。
【0114】
ブロック1410において、アクセスノード130は、ペイロードデータ804をRF変調された状態で維持しつつ、ヘッダ802を復調する。ヘッダ802は、送信元装置140Aの識別情報と、送信先装置140Bの識別情報と、経路情報802Kとを含む。いくつかの例においては、ヘッダ802は更新されていないため、ヘッダ802を復調する必要がない。この場合、RF変調ヘッダ802は、経路情報802Kの確認のためにサンプリングされる。
【0115】
ブロック1415において、アクセスノード130は、復調されたヘッダ802から経路情報802Kを特定する。
【0116】
ブロック1420において、アクセスノード130は、特定された経路で送信遅延が発生しているか否かを特定する。各アクセスノード130の送信遅延は、RF変調された制御チャネル235によりアクセスノード130に通知することができる。
【0117】
ブロック1422において、送信遅延が生じていることが特定されると、アクセスノード130は、経路により特定されたアクセスノード130に関連する送信遅延を軽減するために少なくとも1つのアクセスノード130を特定し、更新された経路情報802Kを用いてヘッダ802を再構成する。更新された経路情報を含むヘッダ802は、RF変調データパケット800を供給するために再変調される。
【0118】
いくつかの例においては、制御サーバ150は、送信遅延を軽減するために、少なくとも1つの異なるアクセスノード130を特定することにより経路情報806Fを再構成する。この場合、更新された経路情報806Fは、制御チャネル235により、再構成された経路情報806Fの経路において特定されるアクセスノード130に送信される。
【0119】
ブロック1423において、再構成された経路情報802Kに従って、RF変調データパケット800が送信される。
【0120】
ブロック1430においては、ブロック1410の経路情報802Kに従って、RF変調データパケット800が送信される。
【0121】
本開示を考慮すると、本明細書に記載した様々な例によるフェーズドアレイ通信ネットワークを用いて無線移動通信信号をルーティングすることにより、大容量が要求されるエリアにおいて、高帯域幅、高データ速度、及び、大容量の無線移動通信を実現できることが分かるであろう。これに関して、ベースバンドに復調することなく、ネットワークを介してRF変調データパケットを送信し、送信遅延を軽減するために経路を再構成し、複数のRF変調データパケットを含む高帯域幅の狭RFアンテナビームを選択的にルーティングすることにより、人口密度の高い都市部において、信頼度の高い高効率の無線移動通信を実現することができる。
【0122】
本開示によって提示される様々な例は、適用可能な場合、ハードウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実施することができる。また、本明細書に記載した様々なハードウェアコンポーネント及び/又はソフトウェアコンポーネントは、適用可能な場合、本開示の思想から逸脱することなく、互いに組み合わせて、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はこれら両方を含む複合コンポーネントとすることができる。また、本明細書に記載した様々なハードウェアコンポーネント及び/又はソフトウェアコンポーネントは、適用可能な場合、本開示の思想から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、又はこれら両方を含むサブコンポーネントに分けることができる。また、適切な場合、ソフトウェアコンポーネントをハードウェアコンポーネントとして実施することも、またその逆も想定される。
【0123】
本開示による、プログラムコード及び/又はデータなどのソフトウェアは、1つ又は複数のコンピュータ可読媒体に格納することができる。また、本明細書に明記されたソフトウェアが、ネットワークの態様及び/又は他の態様の、1つ又は複数の汎用又は特定の目的のコンピュータ及び/又はコンピュータシステムを用いて実施されることも想定される。適切であれば、本明細書に記載された様々なステップの順序を、変更したり、組み合わせて複合工程としたり、サブステップに分けたりしても、本明細書に記載の特徴を実現することができる。
【0124】
さらに、本開示は、以下の付記による例を含む。
【0125】
付記1.フェーズドアレイ通信ネットワーク(100)のアクセスノード(130B)における第1フェーズドアレイアンテナビーム(134B)を用いて、ヘッダ(802)とペイロードデータ(804)とを含む無線周波数「RF」変調データパケット(800)を受信し(1305,1405)、
前記ペイロードデータをRF変調された状態で維持しつつ、前記ヘッダを復調し(1310,1410)、
前記復調されたヘッダ内の経路情報(802K)を特定し(1310,1410)、
前記経路情報に従って第2フェーズドアレイアンテナビーム(134C)を用いて、前記アクセスノードから前記RF変調データを送信する(1320,1423,1430)、ことを含む方法。
【0126】
付記2.前記経路情報は、複数のアクセスノード(130A~C)を特定する経路(140A~140B)を含み、
前記送信は、前記RF変調データパケットを、前記経路により特定された前記アクセスノード(130B)のうちの1つに送信することを含む、付記1に記載の方法。
【0127】
付記3.前記経路により特定された前記アクセスノードと関連する送信遅延(802L)を軽減するために、前記経路情報を再構成すること(1422)により少なくとも1つの異なるアクセスノード(130H)を特定することをさらに含み、
前記送信は、前記再構成された経路情報に従って実行される、付記2に記載の方法。
【0128】
付記4.少なくとも前記第1アンテナビームは、RF変調制御チャネル(235)を含み、前記RF変調制御チャネルは、制御サーバ(150)により供給された送信遅延情報(806H)を含み、
前記再構成は、前記送信遅延情報を用いて実行される、付記3に記載の方法。
【0129】
付記5.前記送信の前に、前記RF変調データパケットを更新するために、前記再構成された経路情報をRF変調する(1422)ことをさらに含む、付記3に記載の方法。
【0130】
付記6.前記送信は、前記第2フェーズドアレイアンテナビームを、前記経路情報によって特定される前記アクセスノードのうちの1つに向けて電子的に方向制御することを含む、付記1に記載の方法。
【0131】
付記7.前記経路情報に基づいて、前記アクセスノードの複数のフェーズドアレイアンテナのうちの1つを選択すること(1320)をさらに含み、
前記送信は、前記選択されたフェーズドアレイアンテナ(132B)から前記第2フェーズドアレイアンテナビームを送信することを含む、付記1に記載の方法。
【0132】
付記8.前記アンテナビーム(134A~D)の各々は、複数のRF変調通信チャネル(235)を含み、
前記RF変調通信チャネルの各々は、前記RF変調データパケットを複数含み、前記複数のRF変調データパケットは、前記経路情報に従って対応する送信元装置(140A)と対応する送信先装置(140B)との間で送受信される、付記1に記載の方法。
【0133】
付記9.前記RF変調データパケットの前記ヘッダは、前記RF変調通信チャネルの各々に関連する対応する送信元装置及び対応する送信先装置を特定する、付記8に記載の方法。
【0134】
付記10.前記経路情報は、送信先装置(140B)に関連する位置を含む、付記1に記載の方法。
【0135】
付記11.前記送信は、予め規定された期間及び帯域幅で前記RF変調データパケットを送信することを含む、付記1に記載の方法。
【0136】
付記12.前記アクセスノードから送信するための前記RF変調データパケットを用意するために、前記ヘッダを再変調すること(1315)をさらに含む、付記1に記載の方法。
【0137】
付記13.前記アクセスノードにおける前記第1フェーズドアレイアンテナビームを用いて、前記RF変調データパケットを複数受信し(1305)、
前記RF変調データパケットのうち選択された一部のみのヘッダを復調し(1310)、
前記アクセスノードからの前記第2フェーズドアレイアンテナビームを用いて、前記RF変調データパケットを送信する(1320)、ことをさらに含む、付記1に記載の方法。
【0138】
付記14.前記第1フェーズドアレイアンテナビーム及び前記第2フェーズドアレイアンテナビームは、約65ギガヘルツ「GHz」から約110GHzの範囲のRFキャリア周波数で動作する、付記1に記載の方法。
【0139】
付記15.無線周波数「RF」変調データパケット(800)を含む第1フェーズドアレイアンテナビーム(134B)を受信するように構成された第1アンテナ(132A)であって、前記RF変調データパケットは、ヘッダ(802)及びペイロードデータ(804)を含むものである、第1アンテナと、
前記ペイロードデータをRF変調された状態で維持しつつ、経路情報(802K)を特定するために、前記RF変調データパケットの前記ヘッダを復調するように構成された復調回路(335)と、
前記経路情報に従って、前記RF変調データパケットを含む第2フェーズドアレイアンテナビーム(134C)を送信するように構成された第2アンテナ(132B)と、を含むシステム。
【0140】
付記16.前記経路情報は、複数のアクセスノード(130A~C)を特定する経路(140A~D)を含み、
前記RF変調データパケットは、前記第2フェーズドアレイアンテナビームによって、前記経路により特定された前記アクセスノードのうちの1つ(130B)に送信される、付記15に記載のシステム。
【0141】
付記17.複数の実行可能な命令を保存するように構成されたメモリ(320)と、
前記命令を実行するように構成されたプロセッサ(310)と、をさらに含むシステムであって、前記命令は、前記経路により特定された前記アクセスノードと関連する送信遅延(802L)を軽減するために、前記経路情報を再構成することにより少なくとも1つの異なるアクセスノード(130H)を特定する命令であり、
前記第2アンテナは、前記再構成された経路情報に従って、前記第2フェーズドアレイアンテナビームを送信するように構成されている、付記16に記載のシステム。
【0142】
付記18.RF変調制御チャネル(235)をさらに含み、
少なくとも前記第1フェーズドアレイアンテナビームは、前記RF変調制御チャネルを含み、
前記RF変調制御チャネルは、制御サーバにより供給された送信遅延情報(806H)を含み、
前記経路情報は、前記送信遅延情報を用いて再構成される、付記17に記載のシステム。
【0143】
付記19.変調回路(337)をさらに含み、前記再構成された経路情報は、前記第2フェーズドアレイアンテナビームの送信前に前記変調回路によりRF変調される、付記17に記載のシステム。
【0144】
付記20.前記第2フェーズドアレイアンテナビームを、前記経路情報により特定される前記アクセスノードのうちの1つに向けて電子的に方向制御するように構成されたビームステアリング回路(316)をさらに含み、前記プロセッサは、前記ビームステアリング回路(316)に対して、ステアリング制御信号(318)を送信するように構成されている、付記17に記載のシステム。
【0145】
付記21.RFアレイ・スイッチマトリクス(339)をさらに含み、前記RFアレイ・スイッチマトリクスは、複数のアンテナ(132A~D)のうちの1つを選択するように構成されており、前記選択したアンテナから前記第2フェーズドアレイアンテナビームが送信される、付記15に記載のシステム。
【0146】
付記22.前記アンテナビームの各々は、複数のRF変調通信チャネル(233)を含み、
前記RF変調通信チャネルの各々は、前記RF変調データパケットを複数含み、前記複数のRF変調データパケットは、前記経路情報に従って対応する送信元装置(140A)と対応する送信先装置(140B)との間で送受信される、付記15に記載のシステム。
【0147】
付記23.前記RF変調データパケットの前記ヘッダは、前記RF変調通信チャネルの各々に関連する対応する送信元装置及び対応する送信先装置を特定する、付記22に記載のシステム。
【0148】
付記24.前記経路情報は、送信先装置(140B)に関連する位置を含む、付記15に記載のシステム。
【0149】
付記25.前記RF変調データパケットは、予め規定された期間及び帯域幅で送信される、付記15に記載のシステム。
【0150】
付記26.変調回路(337)をさらに含み、前記ヘッダは、前記第2アンテナからの送信前に前記変調回路により再変調される、付記15に記載のシステム。
【0151】
付記27.前記第1フェーズドアレイアンテナビームは、複数のRF変調データパケット(800)を含み、
前記RF変調データパケットのうち選択された一部のみのヘッダ(802)が復調され、
前記RF変調データパケットは、前記第2フェーズドアレイアンテナビームを用いて送信される、付記15に記載のシステム。
【0152】
付記28.前記第1フェーズドアレイアンテナビーム及び前記第2フェーズドアレイアンテナビームは、約65ギガヘルツ「GHz」から約110GHzの範囲のRFキャリア周波数で動作する、付記15に記載のシステム。
【0153】
付記29.送信元装置(140A)により、ヘッダ(802)及びペイロードデータ(804)を含むデータパケット(800)を生成し(1015)、前記ヘッダは、前記送信元装置及び送信先装置(140B)を特定し、前記ペイロードデータは、フェーズドアレイ通信ネットワーク(100)上で前記送信元装置から前記送信先装置に送信されるデータを含み、
無線周波数「RF」変調データパケットを供給するために、前記送信元装置により、前記データパケットを変調し(1015)、
前記送信元装置により、前記フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノード(130A)に対して、前記RF変調データパケットを含むフェーズドアレイアンテナビーム(134A)を送信する(1015)、ことを含む方法。
【0154】
付記30.前記フェーズドアレイアンテナビームは、第1フェーズドアレイアンテナビームであり、前記RF変調データパケットは、第1RF変調データパケットであり、前記ペイロードデータは、第1ペイロードデータであり、前記方法は、
前記アクセスノードからの第2フェーズドアレイアンテナビーム(136A)を用いて、前記第2フェーズドアレイアンテナビームにより供給された複数のRF変調通信チャネル(233)のうちの1つを介して、第2RF変調データパケットを受信する(1020)ことをさらに含み、前記第2RF変調データパケットは、前記送信先装置により供給された第2ペイロードデータを含む、付記29に記載の方法。
【0155】
付記31.前記第1及び第2のフェーズドアレイアンテナビームにより、前記アクセスノードを介した前記送信元装置と前記送信先装置との間の双方向リアルタイム通信が行われる、付記30に記載の方法。
【0156】
付記32.前記第1及び第2ペイロードデータは、音声データを含む、付記30に記載の方法。
【0157】
付記33.前記フェーズドアレイアンテナビームは、前記フェーズドアレイ通信ネットワークへのアクセス要求(802F)を含み、
前記フェーズドアレイアンテナビームは、第1フェーズドアレイアンテナビームであり、
前記方法は、前記アクセスノードからの第2フェーズドアレイアンテナビーム(136A)を用いて、前記アクセス要求に対する応答(806I)を受信する(1010)ことをさらに含み、前記応答は、前記送信先装置に関連する通信チャネル(233)を特定する、付記29に記載の方法。
【0158】
付記34.メモリ(420)と、プロセッサ(410)と、変調回路(480)と、アンテナ(460)と、を含む装置であって、
前記メモリは、複数の実行可能な命令を保存するように構成されており、
前記プロセッサは、ヘッダ(802)とペイロードデータ(804)とを含むデータパケット(800)を生成するために前記命令を実行するように構成されており、前記ヘッダは、前記装置及び送信先装置(140B)を特定し、前記ペイロードデータは、フェーズドアレイ通信ネットワーク(100)上で前記装置から前記送信先装置に送信されるデータを含み、
前記変調回路は、前記データパケットに対して無線周波数「RF」変調を行うように構成されており、
前記アンテナは、前記フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノード(130A)に対して、前記RF変調データパケットを含むフェーズドアレイアンテナビーム(134A)を送信するように構成されている、装置。
【0159】
付記35.前記フェーズドアレイアンテナビームは、第1フェーズドアレイアンテナビームであり、前記RF変調データパケットは、第1RF変調データパケットであり、前記ペイロードデータは、第1ペイロードデータであり、前記装置は、
前記装置の前記フェーズドアレイアンテナにおいて前記アクセスノードから受信した第2フェーズドアレイアンテナビーム(136A)をさらに含み、前記第2フェーズドアレイアンテナビームは、複数のRF変調通信チャネル(233)を含み、前記複数のRF変調通信チャネルのうちの1つを介して第2RF変調データパケットが受信され、前記第2RF変調データパケットは、前記送信先装置により供給された第2ペイロードデータを含む、付記34に記載の装置。
【0160】
付記36.前記第1及び第2のフェーズドアレイアンテナビームにより、前記アクセスノードを介した前記装置と前記送信先装置との間の双方向リアルタイム通信が行われる、付記35に記載の装置。
【0161】
付記37.前記第1及び第2ペイロードデータは、音声データを含む、付記35に記載の装置。
【0162】
付記38.前記フェーズドアレイアンテナビームは、前記フェーズドアレイ通信ネットワークへのアクセス要求(802F)を含み、
前記アンテナは第1アンテナであり、
前記フェーズドアレイアンテナビームは、第1フェーズドアレイアンテナビームであり、
前記装置は、前記アクセスノードから第2フェーズドアレイアンテナビーム(136A)を受信するように構成された第2アンテナをさらに含み、前記第2フェーズドアレイアンテナビームは、前記アクセス要求に対する応答(806I)を含み、前記応答は、前記送信先装置に関連する通信チャネル(233)を特定する、付記34に記載の装置。
【0163】
付記39.制御サーバ(150)において、フェーズドアレイ通信ネットワーク(100)に対するアクセス要求(802F)を受信し(1005)、
前記制御サーバにより、通信チャネル(233)を割り当て(1010)、
前記制御サーバにより、前記通信チャネルに関連する経路情報(806F)を特定し(1010)、
前記要求に対する応答(806I)を、前記制御サーバから前記フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノード(130)に送信する(1010)、ことを含み、前記応答は、前記通信チャネル及び前記経路情報を特定する、方法。
【0164】
付記40.前記送信は、前記制御サーバにより供給された制御チャネル(235)により、前記応答を渡す(1010)ことを含む、付記39に記載の方法。
【0165】
付記41.前記経路情報により特定された前記アクセスノードに関連する送信遅延を軽減するために、前記制御サーバにより、少なくとも1つの異なるアクセスノード(130)を特定することによって前記経路情報を更新し(1422)、
前記制御チャネルを用いて、前記更新された経路情報を送信する(1422)、ことをさらに含む、付記40に記載の方法。
【0166】
付記42.前記経路情報は、送信元装置(140A)と送信先装置(140B)との間に前記通信チャネルを供給する複数のアクセスノード(130)を特定する、付記41に記載の方法。
【0167】
付記43.前記通信チャネルは、前記フェーズドアレイ通信ネットワークと通信可能な送信元装置(140A)及び送信先装置(140B)と関連している、付記39に記載の方法。
【0168】
付記44.複数の実行可能な命令を保存するように構成されたメモリ(520)と、
前記命令を実行するように構成されたプロセッサ(510)と、を含む制御サーバであって、前記命令は、
フェーズドアレイ通信ネットワーク(100)に対するアクセス要求(802F)を処理し、
通信チャネル(233)を割り当て、
前記通信チャネルに関連する経路情報(806F)を特定し、
前記要求に対する応答(806I)を、前記フェーズドアレイ通信ネットワークのアクセスノード(130)に送信するための命令であって、前記応答は、前記通信チャネル及び前記経路情報を特定する、制御サーバ。
【0169】
付記45.前記プロセッサは、制御チャネル(235)を用意するとともに、前記制御チャネルにより前記応答を送信するために前記命令を実行するように構成されている、付記44に記載の制御サーバ。
【0170】
付記46.前記プロセッサは、前記命令を実行するように構成されており、前記命令は、
前記経路情報により特定された前記アクセスノードと関連する送信遅延を軽減するために、少なくとも1つの異なるアクセスノード(130)を特定し、
特定された前記少なくとも1つの異なるアクセスノードに基づいて前記経路情報を更新し、
前記制御チャネルを用いて、前記更新された経路情報を送信するための命令である、付記45に記載の制御サーバ。
【0171】
付記47.前記経路情報は、送信元装置(140A)から送信先装置(140B)までの複数のアクセスノードを含む、付記46に記載の制御サーバ。
【0172】
付記48.前記通信チャネルは、前記フェーズドアレイ通信ネットワークと通信可能な送信元装置(140A)及び送信先装置(140B)と関連している、付記44に記載の制御サーバ。
【0173】
上述した例は、本発明を説明するものであって、何ら限定を加えるものではない。また、本発明の原理に従って、多くの改変及び変形が可能である。したがって、本発明の範囲は、以下の請求の範囲によってのみ定義される。