(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】磁気結合型コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20221101BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F27/00 R
(21)【出願番号】P 2017219940
(22)【出願日】2017-11-15
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】長野 将典
(72)【発明者】
【氏名】松田 明久
(72)【発明者】
【氏名】山口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】寺内 直也
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-263059(JP,A)
【文献】特開2012-89760(JP,A)
【文献】特開2016-131208(JP,A)
【文献】特開2017-76700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F17/00-21/12
H01F27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域、前記第1の領域の上側に配された第2の領域、及び前記第1の領域の下側に配された第3の領域を有する本体と、
前記本体の前記第2の領域内に設けられ、上下方向に延伸するコイル軸の周りに巻回された上側コイル導体と、
前記本体の前記第3の領域内に設けられ、前記コイル軸の周りに巻回された下側コイル導体と、
を備え、
前記上側コイル導体は、前記コイル軸に沿う方向において互いから離間して配置された複数の上側導体パターンを有し、
前記複数の上側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1上側導体パターンは、前記コイル軸の周方向に沿って延伸する周回部と、前記周回部の一方の端と外部電極とを接続する引出導体と、を備え、前記第1上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのターン数の平均よりも大きい、
磁気結合型コイル部品。
【請求項2】
前記複数の上側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのうち前記第1上側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2上側導体パターンのターン数よりも大きい、
請求項1に記載の磁気結合型コイル部品。
【請求項3】
第1の領域、前記第1の領域の上側に配された第2の領域、及び前記第1の領域の下側に配された第3の領域を有する本体と、
前記本体の前記第2の領域内に設けられ、上下方向に延伸するコイル軸の周りに巻回された上側コイル導体と、
前記本体の前記第3の領域内に設けられ、前記コイル軸の周りに巻回された下側コイル導体と、
を備え、
前記上側コイル導体は、複数の上側導体パターンを有し、
前記複数の上側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのターン数の平均よりも大きく、
前記複数の上側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのうち前記第1上側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2上側導体パターンのターン数よりも大きく、
前記第2上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのうち前記第2上側導体パターンより前記第1の領域から遠位に配された第3上側導体パターンのターン数よりも大きい、
磁気結合型コイル部品。
【請求項4】
第1の領域、前記第1の領域の上側に配された第2の領域、及び前記第1の領域の下側に配された第3の領域を有する本体と、
前記本体の前記第2の領域内に設けられ、上下方向に延伸するコイル軸の周りに巻回された上側コイル導体と、
前記本体の前記第3の領域内に設けられ、前記コイル軸の周りに巻回された下側コイル導体と、
を備え、
前記上側コイル導体は、複数の上側導体パターンを有し、
前記複数の上側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのターン数の平均よりも大きく、
前記本体は、前記第1上側導体パターンの一端と他端との間に延在する第1上側開放領域と、前記複数の上側導体パターンのうち前記第1上側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2上側導体パターンの一端と他端との間に延在する第2上側開放領域と、を有し、
前記第2上側開放領域は、前記コイル軸の方向から見た場合に、第1上側開放領域と重複しない、
磁気結合型コイル部品。
【請求項5】
第1の領域、前記第1の領域の上側に配された第2の領域、及び前記第1の領域の下側に配された第3の領域を有する本体と、
前記本体の前記第2の領域内に設けられ、上下方向に延伸するコイル軸の周りに巻回された上側コイル導体と、
前記本体の前記第3の領域内に設けられ、前記コイル軸の周りに巻回された下側コイル導体と、
を備え、
前記上側コイル導体は、複数の上側導体パターンを有し、
前記複数の上側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのターン数の平均よりも大きく、
前記下側コイル導体は、複数の下側導体パターンを有し、
前記複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのターン数の平均よりも大きい、
磁気結合型コイル部品。
【請求項6】
前記複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのうち前記第1下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2下側導体パターンのターン数よりも大きい、
請求項5に記載の磁気結合型コイル部品。
【請求項7】
前記第2下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのうち前記第2下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第3下側導体パターンのターン数よりも大きい、
請求項6に記載の磁気結合型コイル部品。
【請求項8】
前記第1下側導体パターンは、前記コイル軸の周方向に沿って延伸する周回部と、前記周回部の一方の端と外部電極とを接続する引出導体と、を備える、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の磁気結合型コイル部品。
【請求項9】
前記本体は、前記第1下側導体パターンの一端と他端との間に延在する第1下側開放領域と、前記複数の下側導体パターンのうち前記第1下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2下側導体パターンの一端と他端との間に延在する第2下側開放領域と、を有し、
前記第2下側開放領域は、前記コイル軸の方向から見た場合に、前記第1下側開放領域と重複しない、
請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の磁気結合型コイル部品。
【請求項10】
第1の領域、前記第1の領域の上側に配された第2の領域、及び前記第1の領域の下側に配された第3の領域を有する本体と、
前記本体の前記第2の領域内に設けられ、上下方向に延伸するコイル軸の周りに巻回された上側コイル導体と、
前記本体の前記第3の領域内に設けられ、前記コイル軸の周りに巻回された下側コイル導体と、
を備え、
前記下側コイル導体は、前記コイル軸に沿う方向において互いから離間して配置された複数の下側導体パターンを有し、
前記複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンは、前記コイル軸の周方向に沿って延伸する周回部と、前記周回部の一方の端と外部電極とを接続する引出導体と、を備え、前記第1下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのターン数の平均よりも大きい、
磁気結合型コイル部品。
【請求項11】
前記複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのうち前記第1下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2下側導体パターンのターン数よりも大きい、
請求項10に記載の磁気結合型コイル部品。
【請求項12】
第1の領域、前記第1の領域の上側に配された第2の領域、及び前記第1の領域の下側に配された第3の領域を有する本体と、
前記本体の前記第2の領域内に設けられ、上下方向に延伸するコイル軸の周りに巻回された上側コイル導体と、
前記本体の前記第3の領域内に設けられ、前記コイル軸の周りに巻回された下側コイル導体と、
を備え、
前記下側コイル導体は、複数の下側導体パターンを有し、
前記複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのターン数の平均よりも大きく、
前記複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのうち前記第1下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2下側導体パターンのターン数よりも大きく、
前記第2下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのうち前記第2下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第3下側導体パターンのターン数よりも大きい、
磁気結合型コイル部品。
【請求項13】
第1の領域、前記第1の領域の上側に配された第2の領域、及び前記第1の領域の下側に配された第3の領域を有する本体と、
前記本体の前記第2の領域内に設けられ、上下方向に延伸するコイル軸の周りに巻回された上側コイル導体と、
前記本体の前記第3の領域内に設けられ、前記コイル軸の周りに巻回された下側コイル導体と、
を備え、
前記下側コイル導体は、複数の下側導体パターンを有し、
前記複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのターン数の平均よりも大きく、
前記本体は、前記第1下側導体パターンの一端と他端との間に延在する第1下側開放領域と、前記複数の下側導体パターンのうち前記第1下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2下側導体パターンの一端と他端との間に延在する第2下側開放領域と、を有し、
前記第2下側開放領域は、前記コイル軸の方向から見た場合に、前記第1下側開放領域と重複しない、
磁気結合型コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気結合型コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気結合型コイル部品は、通常、互いに磁気結合する一組のコイル導体を有する。代表的な磁気結合型コイル部品として、コモンモードチョークコイル、トランス及びカップルドインダクタがある。磁気結合型コイル部品においては、一般に、一組のコイル導体間の結合が高いことが望ましい。
【0003】
積層プロセスによって作製される従来の磁気結合型コイル部品が特開2016-131208号公報(特許文献1)に記載されている。この磁気結合型コイル部品は、絶縁材料からなる絶縁本体に埋め込まれた一組のコイルユニットを有している。この一組のコイルユニットは、各ユニットのコイル導体の巻回軸が略一致するとともに当該コイルユニット同士が密着するように互いに接合されており、これにより当該一組コイル導体間の結合が高められるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の磁気結合型コイル部品においては、絶縁本体のうち一組のコイル導体の間にあるコイル間領域を通過する磁束が存在する。このコイル間領域を通過する磁束は、当該一組のコイル導体間の結合に寄与しない漏れ磁束となる。このような漏れ磁束は、当該一組のコイル導体間の結合を悪化させる原因となる。
【0006】
磁気結合型コイル部品においては、積層された複数の絶縁膜の各々に導体パターンが形成されており、この導体パターン同士をビアで電気的に接続することによりコイル導体が形成される。当該複数の絶縁膜のうち、積層方向の両端にある絶縁膜に形成される導体パターンは、引出導体を介して外部電極に接続される。このため、積層方向の両端にある絶縁膜に形成される導体パターンは、他の導体パターンに比べてターン数が少ない。例えば、上記特許文献1において、積層方向両端にある導体パターン(上記特許文献1の
図3において符号11c1及び11c6で指し示されている。)は、コイル軸の周りに3/5ターン程度巻回されているのに対し、その間にある他の導体パターン(同図において符号11c2~11c5で指し示されている。)は7/8ターン程度巻回されている。
【0007】
積層方向の一方の端にある導体パターンは、漏れ磁束が通過するコイル間領域に隣接している。このコイル間領域に隣接する導体パターンのターン数が小さいと、当該コイル間領域の磁気抵抗が低下するため、漏れ磁束が多く生じてしまう。よって、磁気結合型コイル部品において、2つのコイル導体の間のコイル間領域に隣接する導体パターンのターン数が小さいと、当該2つのコイル導体の間の結合が悪化する。
【0008】
本発明の目的の一つは、コイル導体間の結合が改善された磁気結合型コイル部品を提供することである。本発明のこれ以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態における磁気結合型コイル部品は、第1の領域、前記第1の領域の上側に配された第2の領域、及び前記第1の領域の下側に配された第3の領域を有する本体と、前記本体の前記第2の領域内に設けられ、上下方向に延伸するコイル軸の周りに巻回された上側コイル導体と、前記本体の前記第3の領域内に設けられ、前記コイル軸の周りに巻回された下側コイル導体と、を備える。当該実施形態において、前記上側コイル導体は、複数の上側導体パターンを有し、前記複数の上側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのターン数の平均よりも大きい。本発明の一実施形態においては、前記複数の上側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのうち前記第1上側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2上側導体パターンのターン数よりも大きい。本発明の一実施形態においては、前記第2上側導体パターンのターン数が、前記複数の上側導体パターンのうち前記第2上側導体パターンより前記第1の領域から遠位に配された第3上側導体パターンのターン数よりも大きい。本発明の一実施形態において、前記第1上側導体パターンは、前記コイル軸の周方向に沿って延伸する周回部と、前記周回部の一方の端と外部電極とを接続する引出導体と、を備える。
【0010】
上記の各該実施形態によれば、複数の上側導体パターンのうち上側コイル導体と下側コイル導体との間にある第1の領域の最も近くに配された第1上側導体パターンにより、上側コイル導体と下側コイル導体との間の領域における磁気抵抗を大きくすることができる。これにより、上側コイル導体と下側コイル導体との間の領域を通過する漏れ磁束をより効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記本体は、前記第1上側導体パターンの一端と他端との間に延在する第1上側開放領域と、前記複数の上側導体パターンのうち前記第1上側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2上側導体パターンの一端と他端との間に延在する第2上側開放領域と、を有し、前記第2上側開放領域は、前記コイル軸の方向から見た場合に、第1上側開放領域と重複しない。
【0012】
当該実施形態によれば、第1上側開放領域と第2上側開放領域とが重複することによる磁気抵抗の低下を防止することができる。これにより、上側コイル導体と下側コイル導体との間の領域を通過する漏れ磁束をより効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の一実施形態においては、前記下側コイル導体は、複数の下側導体パターンを有し、前記複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのターン数の平均よりも大きい。本発明の一実施形態においては、前記複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのうち前記第1下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2下側導体パターンのターン数よりも大きい。本発明の一実施形態においては、前記第2下側導体パターンのターン数が、前記複数の下側導体パターンのうち前記第2下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第3下側導体パターンのターン数よりも大きい。本発明の一実施形態において、前記第1下側導体パターンは、前記コイル軸の周方向に沿って延伸する周回部と、前記周回部の一方の端と外部電極とを接続する引出導体と、を備える。
【0014】
上記の各該実施形態によれば、複数の下側導体パターンのうち上側コイル導体と下側コイル導体との間にある第1の領域の最も近くに配された第1下側導体パターンにより、上側コイル導体と下側コイル導体との間の領域における磁気抵抗を大きくすることができる。これにより、上側コイル導体と下側コイル導体との間の領域を通過する漏れ磁束をより効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記本体は、前記第1下側導体パターンの一端と他端との間に延在する第1下側開放領域と、前記複数の下側導体パターンのうち前記第1下側導体パターンよりも前記第1の領域から遠位に配された第2下側導体パターンの一端と他端との間に延在する第2下側開放領域と、を有し、前記第2下側開放領域は、前記コイル軸の方向から見た場合に、前記第1下側開放領域と重複しない。
【0016】
当該実施形態によれば、第1下側開放領域と第2下側開放領域とが重複することによる磁気抵抗の低下を防止することができる。これにより、上側コイル導体と下側コイル導体との間の領域を通過する漏れ磁束をより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によれば、結合係数が改善された磁気結合型コイル部品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコイル部品の斜視図である。
【
図2】
図1のコイル部品に含まれる2つのコイルユニットのうち一方の分解斜視図である。
【
図3】
図1のコイル部品に含まれる2つのコイルユニットのうち他方の分解斜視図である。
【
図4】
図1のコイル部品をI-I線で切断した断面を模式的に示す図である。
【
図5a】
図2の絶縁膜20a5及び上側導体パターン25a5を示す平面図である。
【
図5b】
図2の絶縁膜20a4及び上側導体パターン25a4を示す平面図である。
【
図5c】
図2の絶縁膜20a3及び上側導体パターン25a3を示す平面図である。
【
図5d】
図2の絶縁膜20a2及び上側導体パターン25a2を示す平面図である。
【
図5e】
図2の絶縁膜20a1及び上側導体パターン25a1を示す平面図である。
【
図6a】
図3の絶縁膜20b1及び下側導体パターン25b1を示す平面図である。
【
図6b】
図3の絶縁膜2b2及び下側導体パターン25b2を示す平面図である。
【
図6c】
図3の絶縁膜20b3及び下側導体パターン25b3を示す平面図である。
【
図6d】
図3の絶縁膜20b4及び下側導体パターン25b4を示す平面図である。
【
図6e】
図3の絶縁膜20b5及び下側導体パターン25b5を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0020】
図1から
図3を参照して本発明の一実施形態に係るコイル部品1について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコイル部品1の斜視図であり、
図2は、
図1のコイル部品1に含まれるコイルユニット1aの分解斜視図であり、
図3は、
図1のコイル部品1に含まれるコイルユニット1bの分解斜視図であり、
図4は、
図1のコイル部品をI-I線で切断した断面を模式的に示す図である。
図2ないし
図4においては、説明の便宜のために、外部電極の図示が省略されている。
【0021】
これらの図には、コイル部品1の一例として、差動信号を伝送する差動伝送回路からコモンモードノイズを除去するためのコモンモードチョークコイルが示されている。コモンモードチョークコイルは、本発明を適用可能な磁気結合型コイル部品の一例である。コモンモードチョークコイルは、後述するように積層プロセス、薄膜プロセス、又はこれら以外の公知の方法によって作製される。本発明は、コモンモードチョークコイル以外にも、トランス、カップルドインダクタ及びこれら以外の様々なコイル部品に適用することができる。
【0022】
図示のように、本発明の一実施形態におけるコイル部品1は、上側コイルユニット1aと下側コイルユニット1bとを備える。
【0023】
上側コイルユニット1aは、絶縁性に優れた絶縁材料から成る上側本体11aと、この上側本体11aに埋設された上側コイル導体25aと、当該上側コイル導体25aの一端と電気的に接続された外部電極21aと、当該上側コイル導体25aの他端と電気的に接続された外部電極21bと、を備える。上側本体11aは、直方体形状を有する。
【0024】
下側コイルユニット1bは、上側コイルユニット1aと同様に構成される。具体的には、下側コイルユニット1bは、絶縁材料から成る下側本体11bと、この下側本体11bに埋設された下側コイル導体25bと、当該下側コイル導体25bの一端と電気的に接続された外部電極21cと、当該下側コイル導体25bの他端と電気的に接続された外部電極21dと、を備える。下側本体11bは、直方体形状を有する。
【0025】
上側コイル導体25aは、上側本体11a内においてコイル軸Aの周りに巻回されている。下側コイル導体25bは、
下側本体 11b内においてコイル軸Aの周りに巻回されている。コイル軸Aは、
図1のT軸と平行に延伸していてもよい。本明細書においてコイル部品1の上下方向に言及する際には、コイル軸Aに沿う方向をコイル部品1の上下方向とすることがある。コイル軸AがT軸と平行に延伸する場合には、T軸方向において負側から正側に向かう方向が上方向とされ、T軸方向において正側から負側に向かう方向が下方向とされてもよい。本明細書では、可能な限り、この用法に従って、T軸方向において負側から正側に向かう方向を上方向とし、T軸方向において正側から負側に向かう方向を下方向として説明を行う。例えば、コイル部品1を構成する一組のコイルユニットのうち、T軸方向の正側にあるコイルユニットを上側コイルユニット1aと呼び、T軸方向の
負側にあるコイルユニットを下側コイルユニット1bと呼ぶのは、上下についての上記の用法に従ったものである。コイル軸Aは、T軸と垂直な方向、例えばL軸方向に沿って延伸しても良い。この場合もコイル軸Aに沿う方向をコイル部品1の上下方向とすることができる。したがって、コイル部品1の上下方向は、図示の実施形態のようにT軸と平行な方向であってもよく、他の実施形態においてはT軸と垂直な方向であってもよい。
【0026】
本明細書においては、コイル部品1の「長さ」方向、「幅」方向、及び「厚さ」方向はそれぞれ、
図1の「L」方向、「W」方向、及び「T」方向とする。
【0027】
上側本体11aは、その下面において下側本体11bの上面と接合されている。上側本体11a及び下側本体11bは、互いに接合されることにより、本体10を構成する。よって、本体10は、上側本体11aと、この上側本体11aに接合された下側本体11bと、を有する。
【0028】
本体10は、第1の主面10a、第2の主面10b、第1の端面10c、第2の端面10d、第1の側面10e、及び第2の側面10fを有する。本体10は、これらの6つの面によってその外面が画定される。第1の主面10aと第2の主面10bとは互いに対向し、第1の端面10cと第2の端面10dとは互いに対向し、第1の側面10eと第2の側面10fとは互いに対向している。
図1において第1の主面10aは本体10の上側にあるため、第1の主面10aを「上面」と呼ぶことがある。同様に、第2の主面10bを「下面」と呼ぶことがある。コイル部品1は、第2の主面10bが回路基板(不図示)と対向するように配置されるので、第2の主面10bを「実装面」と呼ぶこともある。
【0029】
外部電極21a及び外部電極21cは、本体10の第1の端面10cに設けられる。外部電極21b及び外部電極21dは、本体10の第2の端面10dに設けられる。各外部電極は、図示のように、本体10の上面及び下面まで延伸する。各外部電極の形状及び配置は、図示された例には限定されない。例えば、外部電極21a~21dはすべて本体10の下面10bに設けられてもよい。この場合、上側コイル導体25a及び下側コイル導体25bは、ビアを介して、本体10の下面10bに設けられた外部電極21a~21dと接続される。
【0030】
図2を参照して上側本体11a及び当該上側本体11a内に設けられる上側コイル導体25aについてさらに説明する。図示のように、上側本体11aは、上側コイル層20a、当該上側コイル層20aの上面に設けられた上側第1カバー層18a、及び当該上側コイル層20aの下面に設けられた上側第2カバー層19aを備える。
【0031】
上側コイル層20aは、積層された絶縁膜20a1~20a5を備える。上側本体11aにおいては、T軸方向の負側から正側に向かって、上側第2カバー層19a、絶縁膜20a1、絶縁膜20a2、絶縁膜20a3、絶縁膜20a4、絶縁膜20a5、上側第1カバー層18aの順に積層されている。上側コイル層20aと上側第1カバー層18aとの境界、上側コイル層20aと上側第2カバー層19aとの境界、絶縁膜20a1~20a5同士の境界は、コイルユニット1aの製法によっては明瞭に確認できないことがある。
【0032】
絶縁膜20a1~20a5は、絶縁性に優れた絶縁材料からなる。絶縁膜20a1~20a5用の材料は、磁性材料であってもよいし、非磁性材料であってもよい。絶縁膜20a1~20a5用の磁性材料として、フェライト材料、軟磁性合金、樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料、又はこれら以外の任意の公知の磁性材料を用いることができる。絶縁膜20a1~20a5用の非磁性材料として、SiO2やAl2O3などの無機材料粒子(ガラス系粒子)、樹脂にSiO2やAl2O3などの無機材料粒子(ガラス系粒子)、を分散させた複合材料、樹脂、又はガラス材料を用いることができる。
【0033】
絶縁膜20a1~20a5用の材料となるフェライトには、Ni-Zn系フェライト、Ni-Zn-Cu系フェライト、Mn-Zn系フェライト、又はこれら以外の任意のフェライトが含まれる。
【0034】
絶縁膜20a1~20a5用の材料となる軟磁性合金には、Fe-Si系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Si-B-Cr系合金、又はこれら以外の任意の軟磁性合金が含まれる。
【0035】
絶縁膜20a1~20a5が樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料からなる場合、当該樹脂として、絶縁性に優れた熱硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)樹脂、フェノール(Phenolic)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、又はポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂を用いることができる。当該フィラー粒子として、フェライト材料の粒子、金属磁性粒子、SiO2やAl2O3などの無機材料粒子、ガラス系粒子、又はこれら以外の任意の公知のフィラー粒子を用いることができる。本発明に適用可能なフェライト材料の粒子は、例えば、Ni-Znフェライトの粒子またはNi-Zn-Cuフェライトの粒子である。本発明に適用可能な金属磁性粒子は、例えば、(1)金属系のFeもしくはNi、(2)合金系のFe-Si-Cr、Fe-Si-Al、もしくはFe-Ni、(3)非晶質のFe―Si-Cr-B-C、もしくはFe-Si-B-Cr、またはこれらの混合材料の粒子である。
【0036】
絶縁膜20a1~20a5の各々の上面には、上側導体パターン25a1~25a5が形成される。上側導体パターン25a1~25a5は、導電性に優れた金属又は合金から成る導電ペーストを、スクリーン印刷法により印刷することにより形成される。この導電ペーストの材料としては、Ag、Pd、Cu、Al又はこれらの合金を用いることができる。上側導体パターン25a1~25a5は、これ以外の材料及び方法により形成されてもよい。上側導体パターン25a1~25a5は、例えば、スパッタ法、インクジェット法、又はこれら以外の公知の方法で形成されてもよい。
【0037】
絶縁膜20a2~絶縁膜20a5の所定の位置には、上側ビアVa1~Va4がそれぞれ形成される。上側ビアVa1~Va4は、絶縁膜20a2~絶縁膜20a5の所定の位置に、絶縁膜20a2~絶縁膜20a5をT軸方向に貫く貫通孔を形成し、当該貫通孔に導電ペーストを埋め込むことにより形成される。
【0038】
上側導体パターン25a1~25a5の各々は、隣接する導体パターンと上側ビアVa1~Va4を介して電気的に接続される。このようにして接続された上側導体パターン25a1~25a5が、スパイラル状の上側コイル導体25aを形成する。すなわち、上側コイル導体25aは、上側導体パターン25a1~25a5及び上側ビアVa1~Va4を有する。
【0039】
上側導体パターン25a1の上側ビアVa1に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21aに接続される。上側導体パターン25a5の上側ビアVa4に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21bに接続される。
【0040】
上側コイル導体25aは、T軸方向の一方の端部であるコイル面26aと、T軸方向の他方の端部であるコイル面27aと、を有する。
【0041】
上側第1カバー層18a及び上側第2カバー層19aは、複数の絶縁膜が積層された積層体であってもよい。上側第1カバー層18aを構成する絶縁膜は、絶縁膜20a1~20a5と同様に、様々な磁性材料又は非磁性材料から形成される。上側第1カバー層18a及び上側第2カバー層19aを構成する絶縁膜に用いられる磁性材料には、フェライト、樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料、又はこれら以外の任意の公知の磁性材料が含まれる。上側第1カバー層18a及び上側第2カバー層19aを構成する絶縁膜に用いられる非磁性材料には、SiO2やAl2O3などの無機材料粒子(ガラス系粒子)、樹脂にSiO2やAl2O3などの無機材料粒子(ガラス系粒子)、を分散させた複合材料、樹脂、又はガラス材料が含まれる。
【0042】
上側第1カバー層18aは、上側コイル層20aの上面に、上側コイル導体25aのコイル面26aと対向するように設けられる。上側第2カバー層19aは、上側コイル層20aの下面に、上側コイル導体25aのコイル面27aと対向するように設けられる。
【0043】
図3を参照して下側本体11b及び当該下側本体11b内に設けられる下側コイル導体25bについてさらに説明する。図示のように、下側本体11bは、下側コイル層20b、当該下側コイル層20bの上面に設けられた下側第1カバー層18b、及び当該下側コイル層20bの下面に設けられた下側
第2カバー層19bを備える。
【0044】
下側コイル層20bは、積層された絶縁膜20b1~20b5を備える。下側本体11bにおいては、T軸方向の正側から負側に向かって、下側第1カバー層18b、絶縁膜20b1、絶縁膜20b2、絶縁膜20b3、絶縁膜20b4、絶縁膜20b5、下側第2カバー層19bの順に積層されている。下側コイル層20bと下側第1カバー層18bとの境界、下側コイル層20bと下側第2カバー層19bとの境界、絶縁膜20b1~20b5同士の境界は、コイルユニット1bの製法によっては明瞭に確認できないことがある。
【0045】
絶縁膜20b1~20b5の各々の上面には、下側導体パターン25b1~25b5が形成される。下側導体パターン25b1~25b5は、上側導体パターン25a1~25a5と同様の方法で形成され得る。
【0046】
絶縁膜20b1~絶縁膜20b4の所定の位置には、下側ビアVb1~Vb4がそれぞれ形成される。下側ビアVb1~Vb4は、絶縁膜20b1~絶縁膜20b4の所定の位置に、絶縁膜20b1~絶縁膜20b4をT軸方向に貫く貫通孔を形成し、当該貫通孔に導電材料を埋め込むことにより形成される。
【0047】
下側導体パターン25b1~25b5の各々は、隣接する導体パターンと下側ビアVb1~Vb4を介して電気的に接続される。このようにして接続された下側導体パターン25b1~25b5が、スパイラル状の下側コイル導体25bを形成する。すなわち、下側コイル導体25bは、下側導体パターン25b1~25b5及び下側ビアVb1~Vb4を有する。
【0048】
下側導体パターン25b1の下側ビアVb1に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21dに接続される。下側導体パターン25b5の下側ビアVb4に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21cに接続される。
【0049】
下側コイル導体25bは、T軸方向の一方の端部であるコイル面26bと、T軸方向の他方の端部であるコイル面27bと、を有する。
【0050】
下側第1カバー層18b及び下側第2カバー層19bは、複数の絶縁膜が積層された積層体であってもよい。
【0051】
下側第1カバー層18bは、下側コイル層20bの上面に、下側コイル導体25bのコイル面26bと対向するように設けられる。下側第2カバー層19bは、下側コイル層20bの下面に、下側コイル導体25bのコイル面27bと対向するように設けられる。
【0052】
絶縁膜20b1~絶縁膜20b5、下側第1カバー層18b、及び下側第2カバー層19bを構成する絶縁膜は、絶縁膜20a1~20a5と同様に、様々な磁性材料又は非磁性材料から形成される。絶縁膜20b1~絶縁膜20b5、下側第1カバー層18b、及び下側第2カバー層19bを構成する絶縁膜を構成する絶縁膜に用いられる磁性材料には、フェライト、軟磁性合金、樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料、又はこれら以外の任意の公知の磁性材料が含まれる。これらの絶縁膜に用いられる非磁性材料には、SiO2やAl2O3などの無機材料粒子(ガラス系粒子)、樹脂にSiO2やAl2O3などの無機材料粒子(ガラス系粒子)、を分散させた複合材料、樹脂、又はガラス材料が含まれる。
【0053】
絶縁膜20a1~絶縁膜20a5、上側第1カバー層18aを構成する絶縁膜、上側第2カバー層19aを構成する絶縁膜、絶縁膜20b1~絶縁膜20b5、下側第1カバー層18bを構成する絶縁膜、及び下側第2カバー層19bを構成する絶縁膜は、その全てがフェライト材料から形成されてもよく、その全てが軟磁性合金材料から形成されてもよく、その全てが樹脂に多数のフィラー粒子を分散させた複合材料から形成されてもよい。絶縁膜20a1~絶縁膜20a5、上側第1カバー層18aを構成する絶縁膜、上側第2カバー層19aを構成する絶縁膜、絶縁膜20b1~絶縁膜20b5、下側第1カバー層18bを構成する絶縁膜、及び下側第2カバー層19bを構成する絶縁膜においては、その一部の絶縁膜がそれ以外の絶縁膜と異なる材料から形成されてもよい。
【0054】
コイル部品1は、上記のコイルユニット1aとコイルユニット1bとを接合することにより得られる。このコイル部品1は、外部電極21aと外部電極21bとの間に配されている上側コイル導体25aと、外部電極21cと外部電極21dとの間に配されている下側コイル導体25bと、を有する。この2つのコイルの各々は、例えば、差動伝送回路における2本の信号線とそれぞれ接続される。このようにして、コイル部品1は、コモンモードチョークコイルとして動作することができる。
【0055】
コイル部品1は、第3のコイル(不図示)を含むことができる。第3のコイルを備えるコイル部品1は、上側コイルユニット1aと同様に構成されたもう1つのコイルユニットを追加的に備える。当該追加のコイルユニットには、上側コイルユニット1a及び下側コイルユニット1bと同様にコイル導体が設けられ、当該コイル導体が追加的な外部電極と接続される。このような3つのコイルを含むコイル部品は、例えば、3本の信号線を有する差動伝送回路用のコモンモードチョークコイルとして用いられる。
【0056】
コイル部品1の断面が
図4に示されている。
図4は、
図1のコイル部品をI-I線で切断した断面を模式的に示す図である。
図4においては、コイル導体から発生する磁束(磁力線)が矢印で記載されている。
図4においては、説明の便宜のために、外部電極21a~21d及び個別の絶縁膜間の境界の図示は省略されている。
【0057】
図示のように、本体10は、上側コイル導体25aのコイル面27aと下側コイル導体25bのコイル面26bとの間に配された第1の領域30と、当該第1の領域30と上側第1カバー層18aとの間に配された第2の領域40aと、当該第1の領域30と下側第2カバー層19bとの間に配された第3の領域40bと、を有する。
【0058】
本発明の一実施形態において、第1の領域30は、上側第2カバー層19a及び下側第1カバー層18bを含む。第1の領域30は、上側第2カバー層19a及び下側第1カバー層18bのみから構成されてもよい。第1の領域30は、上側第2カバー層19a及び下側第1カバー層18bに加えて、追加的な絶縁膜又はその一部を含んでもよい。第1の領域30は、上側コイル導体25aの下面27aに直接に接していても良く、上側コイル導体25aの下面27aと他の絶縁膜を介して間接的に接していても良い。第1の領域30は、下側コイル導体25bの上面26bに直接に接していても良く、下側コイル導体25bの上面26bと他の絶縁膜を介して間接的に接していても良い。
【0059】
本発明の一実施形態において、第2の領域40aは、絶縁膜20a1~絶縁膜20a5を含む。第2の領域40aは、絶縁膜20a1~絶縁膜20a5のみから構成されてもよい。第2の領域40aは、絶縁膜20a1~絶縁膜20a5に加えて、絶縁材料からなる追加的な絶縁膜を含んでもよい。
【0060】
本発明の一実施形態において、第3の領域40bは、絶縁膜20b1~絶縁膜20b5を含む。第3の領域40bは、絶縁膜20b1~絶縁膜20b5のみから構成されてもよい。第3の領域40bは、絶縁膜20b1~絶縁膜20b5に加えて、絶縁材料からなる追加的な絶縁膜を含んでもよい。
【0061】
第2の領域40aは、第1の領域30と直接に接していてもよい。第3の領域40bは、第1の領域30と直接に接していてもよい。
【0062】
上側コイル導体25aは、本体10の第2の領域40a内に設けられている。図示の実施形態において、上側コイル導体25aは、コイル面26aが第2の領域40aから上側第1カバー層18a側に露出し、また、コイル面27aが第2の領域40aから第1の領域30側に露出するように設けられている。
【0063】
下側コイル導体25bは、本体10の第3の領域40b内に設けられている。図示の実施形態において、下側コイル導体25bは、コイル面26bが第3の領域40bから第1の領域30側に露出し、また、コイル面27bが第3の領域40bから下側第2カバー層19b側に露出するように設けられている。
【0064】
下側コイル導体25bは、上側本体11aと同様にコイル軸Aの周りに巻回されている。本明細書において、上側本体11aのうち上側コイル導体25aの内側の領域を上側コア35aと呼び、下側本体11bのうち下側コイル導体25bの内側の領域を下側コア35bと呼ぶことがある。
【0065】
次に、
図5aないし
図5e及び
図6aないし
図6eを参照して、上側コイル導体25a及び下側コイル導体25bについてさらに説明する。
図5aないし
図5eはそれぞれ絶縁膜20a5~絶縁膜20a1及びこれらの絶縁膜に形成されている導体パターン25a5~導体パターン25a1を示す平面図であり、
図6aないし
図6eはそれぞれ絶縁膜20b1~絶縁膜20b5及びこれらの絶縁膜に形成されている導体パターン25b1~導体パターン25b5を示す平面図である。これらの図においては、説明の便宜のために、外部電極の図示が省略されている。
【0066】
図5aに示されているように、絶縁膜20a5には、導体パターン25a5が形成されている。導体パターン25a5は、周回部25a5aと、引出導体22bと、を有する。引出導体22bは、周回部25a5aの一端から外部電極21bまで概ね直線状に延伸している。周回部25a5aは、引出導体22bとの接続点からコイル軸Aの周方向に沿って時計回り方向にビアVa4との接続点まで延伸している。
【0067】
図5bに示されているように、絶縁膜20a4には、導体パターン25a4が形成されている。導体パターン25a4は、ビアVa4を介して導体パターン25a5と電気的に接続されている。導体パターン25a4は、ビアVa4との接続点からコイル軸Aの周方向に沿って時計回り方向にビアVa3との接続点まで延伸している。
【0068】
図5cに示されているように、絶縁膜20a3には、導体パターン25a3が形成されている。導体パターン25a3は、ビアVa3を介して導体パターン25a4と電気的に接続されている。導体パターン25a3は、ビアVa3との接続点からコイル軸Aの周方向に沿って時計回り方向にビアVa2との接続点まで延伸している。
【0069】
図5dに示されているように、絶縁膜20a2には、導体パターン25a2が形成されている。導体パターン25a2は、ビアVa2を介して導体パターン25a3と電気的に接続されている。導体パターン25a2は、ビアVa2との接続点からコイル軸Aの周方向に沿って時計回り方向にビアVa1との接続点まで延伸している。
【0070】
図5eに示されているように、絶縁膜20a1には、導体パターン25a1が形成されている。上側導体パターン25a1は、周回部25a1aと、引出導体22aと、を有する。周回部25a1aは、ビアVa1を介して導体パターン25a2と電気的に接続されている。周回部25a1aは、ビアVa1との接続点からコイル軸Aの周方向に沿って時計回り方向に延伸している。引出導体22aは、周回部25a1aのビアVa1との接続点とは反対側の端から外部電極21aまで概ね直線状に延伸している。
【0071】
上述したように、上側導体パターン25a1~25a5の各々が隣接する導体パターンと上側ビアVa1~Va4を介して接続されることにより、スパイラル状の上側コイル導体25aが形成される。図示の実施形態において、上側コア35aは、平面視で概ね楕円形の外縁を有する。上側コア35aの平面視における外縁は、楕円形以外の様々な形状を取り得る。上側コア35aの平面視における外縁は、例えば、円、矩形その他の多角形、またはこれら以外の様々な形状を取ることができる。
【0072】
図5a~
図5eには、平面視で上側コア35aの外縁に外接する長方形形状の仮想線36aが描かれている。本明細書においては、この仮想的な仮想線を外接長方形36aと呼ぶことがある。コイル軸Aは、この外接長方形36aの対角線の交点を通ってもよい。
【0073】
図6aに示されているように、絶縁膜20b1には、導体パターン25b1が形成されている。導体パターン25b1は、周回部25b1aと、引出導体22dと、を有する。引出導体22dは、周回部25b1aの一端から外部電極21dまで概ね直線状に延伸している。周回部25b1aは、引出導体22dとの接続点からコイル軸Aの周方向に沿って反時計回り方向にビアVb1との接続点まで延伸している。
【0074】
図6bに示されているように、絶縁膜20b2には、導体パターン25b2が形成されている。導体パターン25b2は、ビアVb1を介して導体パターン25b1と電気的に接続されている。導体パターン25b2は、ビアVb1との接続点からコイル軸Aの周方向に沿って反時計回り方向にビアVb2との接続点まで延伸している。
【0075】
図6cに示されているように、絶縁膜20b3には、導体パターン25b3が形成されている。導体パターン25b3は、ビアV
b2を介して導体パターン25b2と電気的に接続されている。導体パターン25b3は、ビアVb2との接続点からコイル軸Aの周方向に沿って反時計回り方向にビアVb3との接続点まで延伸している。
【0076】
図6dに示されているように、絶縁膜20b4には、導体パターン25b4が形成されている。導体パターン25b4は、ビアVb3を介して導体パターン25b3と電気的に接続されている。導体パターン25b4は、ビアVb3との接続点からコイル軸Aの周方向に沿って反時計回り方向にビアVb4との接続点まで延伸している。
【0077】
図6eに示されているように、絶縁膜20b5には、導体パターン25b5が形成されている。下側導体パターン25b5は、周回部25b5aと、引出導体22cと、を有する。周回部25b5aは、ビアVb4を介して導体パターン25b4と電気的に接続されている。周回部25b5aは、ビアVb4との接続点からコイル軸Aの周方向に沿って反時計回り方向に延伸している。引出導体22cは、周回部25b5aのビアVb4との接続点とは反対側の端から外部電極21cまで概ね直線状に延伸している。
【0078】
上述したように、下側導体パターン25b1~25b5の各々が隣接する導体パターンと下側ビアVb1~Vb4を介して接続されることにより、スパイラル状の下側コイル導体25bが形成される。コイル層20bにおいて、下側コイル導体25bの内側の領域を下側コア35bと呼ぶことがある。図示の実施形態において、下側コア35bは、平面視で概ね楕円形の外縁を有する。下側コア35bの平面視における外縁は、楕円形以外の様々な形状を取り得る。下側コア35bの平面視における外縁は、例えば、円、矩形その他の多角形、またはこれら以外の様々な形状を取ることができる。
【0079】
図6a~
図6eには、平面視で下側コア35bの外縁に外接する長方形形状の仮想線36bが描かれている。本明細書においては、この仮想的な仮想線を外接長方形36bと呼ぶことがある。外接長方形36bは、外接長方形36aと同形状に形成され、また、平面視において外接長方形36aと重複する位置に配されても良い。この場合、コイル軸Aは、この外接長方形36bの対角線の交点も通る。
【0080】
上記の本体10、上側導体パターン25a1~25a5、下側導体パターン25b1~25b5、引出導体22a~22d、及び外部電極21a~21dの形状及び配置は例示であり、これらの構成要素に様々な変形を行ったものも本発明に適用され得る。例えば、外部電極21a~21dはいずれも、本体10の下面10bに設けられても良い。この場合、引出導体22a~22dは、絶縁膜上に形成されるのではなく、絶縁膜を貫くビア導体として形成される。よって、上側導体パターン25a5は、引出導体22bを含まず、周回部25a5aのみから構成されてもよい。同様に、上側導体パターン25a1は、引出導体22aを含まずに周回部25a1aのみから構成されてもよく、下側導体パターン25b1は、引出導体22dを含まずに周回部25b1aのみから構成されてもよく、下側導体パターン25b5は、引出導体22cを含まずに周回部25b5aのみから構成されてもよい。本発明に適用可能な上側導体パターン、下側導体パターン、及び引出導体は、本明細書及び添付の図面に例示されたものには限られない。
【0081】
図示のように、上側導体パターン25a1~25a5の各々について、コイル軸Aの周方向において、その一端と他端との間には、導体パターンが形成されていない開放領域が存在する。例えば、
図5aに示されているように、上側本体11aにおいて、コイル軸Aの周方向における導体パターン25a5の両端の間には、上側導体パターン25a5が形成されていない開放領域28a5が存在する。開放領域28a5は、導体パターン25a5の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角α5の範囲に延在している。開放領域28a5は、平面視において(すなわち、コイル軸Aの方向から見た場合に)、導体パターン25a5の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36aと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25a5は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a5と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25a5は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a5と重複しない中心角(360°-α5)の範囲に延在している。
【0082】
以下で説明するように、上側導体パターン25a2~25a5についても、同様にして開放領域を定めることができる。例えば、
図5bに示されているように、上側本体11aにおいて、コイル軸Aの周方向における上側導体パターン25a4の両端の間には、上側導体パターン25a4が形成されていない開放領域28a4が存在する。開放領域28a4は、導体パターン25a4の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角α4の範囲に延在している。開放領域28a4は、平面視において、導体パターン25a4の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36aと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25a4は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a4と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25a4は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a4と重複しない中心角(360°-α4)の範囲に延在している。
【0083】
図5cに示されているように、上側本体11aにおいて、コイル軸Aの周方向における上側導体パターン25a3の両端の間には、上側導体パターン25a3が形成されていない開放領域28a3が存在する。開放領域28a3は、導体パターン25a3の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角α3の範囲に延在している。開放領域28a3は、平面視において、導体パターン25a3の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36aと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25a3は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a3と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25a3は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a3と重複しない中心角(360°-α3)の範囲に延在している。
【0084】
図5dに示されているように、上側本体11aにおいて、コイル軸Aの周方向における上側導体パターン25a2の両端の間には、上側導体パターン25a2が形成されていない開放領域28a2が存在する。開放領域28a2は、導体パターン25a2の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角α2の範囲に延在している。開放領域28a2は、平面視において、導体パターン25a2の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36aと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25a2は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a2と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25a2は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a2と重複しない中心角(360°-α2)の範囲に延在している。
【0085】
図5eに示されているように、上側本体11aにおいて、コイル軸Aの周方向における上側導体パターン25a1の両端の間には、上側導体パターン25a1が形成されていない開放領域28a1が存在する。開放領域28a1は、導体パターン25a1の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角α1の範囲に延在している。開放領域28a1は、平面視において、導体パターン25a1の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36aと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25a1は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a1と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25a1は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28a1と重複しない中心角(360°-α1)の範囲に延在している。
【0086】
下側導体パターン25b1~25b5についても、上側導体パターン25a1~25a5と同様にして開放領域を定めることができる。具体的には、
図6aに示されているように、下側本体11bにおいて、コイル軸Aの周方向における下側導体パターン25b1の両端の間には、下側導体パターン25b1が形成されていない開放領域28b1が存在する。開放領域28b1は、導体パターン25b1の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角β1の範囲に延在している。開放領域28b1は、平面視において(すなわち、コイル軸Aの方向から見た場合に)、導体パターン25b1の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36bと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25b1は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b1と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25b1は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b1と重複しない中心角(360°-β1)の範囲に延在している。
【0087】
図6bに示されているように、下側本体11bにおいて、コイル軸Aの周方向における下側導体パターン25b2の両端の間には、下側導体パターン25b2が形成されていない開放領域28b2が存在する。開放領域28b2は、導体パターン25b2の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角β2の範囲に延在している。開放領域28b2は、平面視において(すなわち、コイル軸Aの方向から見た場合に)、導体パターン25b2の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36bと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25b2は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b2と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25b2は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b2と重複しない中心角(360°-β2)の範囲に延在している。
【0088】
図6cに示されているように、下側本体11bにおいて、コイル軸Aの周方向における下側導体パターン25b3の両端の間には、下側導体パターン25b3が形成されていない開放領域28b3が存在する。開放領域28b3は、導体パターン25b3の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角β3の範囲に延在している。開放領域28b3は、平面視において(すなわち、コイル軸Aの方向から見た場合に)、導体パターン25b3の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36bと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25b3は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b3と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25b3は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b3と重複しない中心角(360°-β3)の範囲に延在している。
【0089】
図6dに示されているように、下側本体11bにおいて、コイル軸Aの周方向における下側導体パターン25b4の両端の間には、下側導体パターン25b4が形成されていない開放領域28b4が存在する。開放領域28b4は、導体パターン25b4の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角β4の範囲に延在している。開放領域28b4は、平面視において(すなわち、コイル軸Aの方向から見た場合に)、導体パターン25b4の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36bと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25b4は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b4と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25b4は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b4と重複しない中心角(360°-β4)の範囲に延在している。
【0090】
図6eに示されているように、下側本体11bにおいて、コイル軸Aの周方向における下側導体パターン25b5の両端の間には、下側導体パターン25b5が形成されていない開放領域28b5が存在する。開放領域28b5は、導体パターン25b5の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分がなす中心角β
5の範囲に延在している。開放領域28b5は、平面視において(すなわち、コイル軸Aの方向から見た場合に)、導体パターン25b5の両端の各々とコイル軸Aとを結ぶ2つの線分と、仮想線36bと、によって画される領域であってもよい。導体パターン25b5は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b5と重複しない領域に延在している。すなわち、導体パターン25b5は、コイル軸Aの周囲において、開放領域28b5と重複しない中心角(360°-β5)の範囲に延在している。
【0091】
本発明の一実施形態においては、上側コイル導体25aは、当該上側コイル導体25aを構成する複数の上側導体パターンのうち本体10の第1の領域30の最も近くに配されたもののターン数が当該複数の上側導体パターンのターン数の平均よりも大きくなるように構成される。図示の実施形態においては、上側コイル導体25aは、上側導体パターン25a1~上側導体パターン25a5で構成されており、このうち上側導体パターン25a1が第1の領域30の最も近くに配されている。よって、上側導体パターン25a1のターン数が、上側コイル導体25aを構成する上側導体パターン25a1~上側導体パターン25a5のターン数の平均よりも大きい。
【0092】
本明細書において、コイル軸の周りに巻回されている導体パターンのターン数は、当該コイル軸の周りの周方向において当該導体パターンが形成されている領域の割合を示す。
所定の導体パターンのターン数は、当該導体パターンが延在する領域の中心角を用いて表すことができる。例えば、図示の実施形態において、導体パターン25a1は、コイル軸Aの周方向において中心角(360°-α1)の範囲に延在している。よって、導体パターン25a1は、コイル軸Aの周りの周方向に(360°-α1)/360°(=1-α1/360)ターンだけ巻回されている。つまり、導体パターン25a1のターン数は、(1-α1/360)ターンである。α1が正の値を取る場合には、導体パターン25a1のターン数は1未満となる。α1は、0又は負の値も取り得る。例えば、
図5eの実施形態において、周回部25a1aをコイル軸Aの周方向へさらに延伸させると、α1は負の値となる。以上と同様に、導体パターン25a2のターン数は(1-α2/360)ターンであり、導体パターン25a3のターン数は(1-α3/360)ターンであり、導体パターン25a4のターン数は(1-α4/360)ターンであり、導体パターン25a5のターン数は(1-α5/360)ターンである。α2~α5も正、0、又は負の値を取り得る。また、上側導体パターン25a1~上側導体パターン25a5のターン数の平均は、
1-((α1+α2+α3+α4+α5)/5)/360ターンである。
【0093】
よって、上側導体パターン25a1のターン数が、上側コイル導体25aを構成する上側導体パターン25a1~上側導体パターン25a5のターン数の平均よりも大きい場合には、
(1-α1/360)>1-((α1+α2+α3+α4+α5)/5)/360 (式1)
が成立する。この式1を整理すると以下の式2となる。
α1<(α2+α3+α4+α5)/4 (式2)
この式2から分かるように、本発明の一実施形態においては、絶縁膜20a1~20a5の各々の開放領域28a1~28a5の中心角α1~α5の大きさを対比すると、第1の領域30の最も近くに配されている絶縁膜20a1における開放領域28a1の中心角α1が、他の絶縁膜20a2~20a5のそれぞれにおける開放領域28a2~28a5のそれぞれの中心角α2~α5の平均(すなわち、(α2+α3+α4+α5)/4)よりも小さくなっている。このように開放領域28a1を小さくすることにより、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間の領域(第1の領域30と開放領域28a1とを含む領域)における磁気抵抗を大きくすることができる。これにより、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間の領域からの漏れ磁束が抑制される。
【0094】
本発明の一実施形態においては、上側コイル導体25aを構成する複数の上側導体パターンのうち前記第1の領域30の最も近くに配された上側導体パターン25a1のターン数が、当該上側導体パターン25a1よりも第1の領域30から遠位に配された上側導体パターン25a2のターン数よりも大きい。この場合、以下の式が成り立つ。
1-α1/360>1-α2/360 (式3)
式3の左辺は、上側導体パターン25a1のターン数を表し、式3の右辺は、上側導体パターン25a2のターン数を表している。
式3を整理すると、
α1<α2 (式4)
となる。
【0095】
当該実施形態によれば、式4から明らかなように、開放領域28a1が小さくなるため、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間の領域(第1の領域30と開放領域28a1とを含む領域)における磁気抵抗を大きくすることができる。よって、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間の領域からの漏れ磁束が抑制される。
【0096】
上側導体パターン25a2のターン数は、当該上側導体パターン25a2よりも第1の領域30から遠位に配された上側導体パターン25a3のターン数より大きくてもよい。上側導体パターン25a3のターン数は、当該上側導体パターン25a3よりも第1の領域30から遠位に配された上側導体パターン25a4のターン数より大きくてもよい。上側導体パターン25a4のターン数は、当該上側導体パターン25a4よりも第1の領域30から遠位に配された上側導体パターン25a5のターン数より大きくてもよい。このように、上側コイル導体25aは、当該上側コイル導体25aを構成する上側導体パターンのターン数は、第1の領域30から遠ざかるほど小さくなるように構成されてもよい。
【0097】
図示の実施形態では、上側導体パターン25a1のターン数は概ね5/6ターンであり(中心角α1が概ね60°であり)、上側導体パターン25a2のターン数は概ね3/4ターンであり(中心角α2が概ね90°であり)、上側導体パターン25a3のターン数は概ね2/3ターンであり(中心角α3が概ね120°であり)、上側導体パターン25a4のターン数は概ね7/12ターンであり(中心角α4が概ね150°であり)、上側導体パターン25a5のターン数は概ね1/2ターンである(中心角α5が概ね180°である)。
【0098】
次に、下側コイル導体25bを構成する下側導体パターンの各々のターン数について説明する。本発明の一実施形態においては、下側コイル導体25bは、当該下側コイル導体25bを構成する複数の下側導体パターンのうち本体10の第1の領域30の最も近くに配されたもののターン数が当該複数の下側導体パターンのターン数の平均よりも大きくなるように構成される。図示の実施形態においては、下側コイル導体25bは、下側導体パターン25b1~下側導体パターン25b5で構成されており、このうち下側導体パターン25b1が第1の領域30の最も近くに配されている。よって、下側導体パターン25b1のターン数が、下側コイル導体25bを構成する下側導体パターン25b1~下側導体パターン25b5のターン数の平均よりも大きい。
【0099】
下側導体パターン25b1~下側導体パターン25b5のターン数について説明する。
当該導体パターンの各々が延在する領域の中心角を用いて表すと次のようになる。導体パターン25b1は、コイル軸Aの周方向において中心角(360°-β1)の範囲に延在している。よって、導体パターン25b1は、コイル軸Aの周りの周方向に(360°-β1)/360°ターン(=(1-β1/360)ターン)だけ巻回されている。つまり、導体パターン25b1のターン数は、(1-β1/360)ターンである。これと同様に、導体パターン25b2のターン数は(1-β2/360)ターンであり、導体パターン25b3のターン数は(1-β3/360)ターンであり、導体パターン25b4のターン数は(1-β4/360)ターンであり、導体パターン25b5のターン数は(1-β5/360)ターンである。また、下側導体パターン25b1~下側導体パターン25b5のターン数の平均は、1-((β1+β2+β3+β4+β5)/5)/360ターンである。β1が正の値を取る場合には、導体パターン25b1のターン数は1未満となる。
β1~β5は、正、0又は負の値を取り得る。
【0100】
よって、下側導体パターン25b1のターン数が、下側コイル導体25bを構成する下側導体パターン25b1~下側導体パターン25b5のターン数の平均よりも大きい場合には、
(1-β1/360)>1-((β1+β2+β3+β4+β5)/5)/360 (式5)
が成立する。この式5を整理すると以下の式6となる。
β1<(β2+β3+β4+β5)/4 (式6)
この式6から分かるように、本発明の一実施形態においては、絶縁膜20b1~20b5の各々の開放領域28b1~28b5の中心角β1~β5の大きさを対比すると、第1の領域の最も近くに配されている絶縁膜20b1における開放領域28b1の中心角β1が、他の絶縁膜20b2~20b5のそれぞれにおける開放領域28b2~28b5のそれぞれの中心角β2~β5の平均(すなわち、(β2+β3+β4+β5)/4)よりも小さくなっている。このように開放領域28b1を小さくすることにより、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間の領域(第1の領域30と開放領域28b1とを含む領域)における磁気抵抗を大きくすることができる。これにより、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間の領域からの漏れ磁束が抑制される。
【0101】
本発明の一実施形態においては、下側コイル導体25bを構成する複数の下側導体パターンのうち前記第1の領域30の最も近くに配された下側導体パターン25b1のターン数が、当該下側導体パターン25b1よりも第1の領域30から遠位に配された下側導体パターン25b2のターン数よりも大きい。この場合、以下の式が成り立つ。
1-β1/360>1-β2/360 (式7)
式7の左辺は、下側導体パターン25b1のターン数を表し、式7の右辺は、下側導体パターン25b2のターン数を表している。
式7を整理すると、
β1<β2 (式8)
となる。
【0102】
当該実施形態によれば、式8から明らかなように、開放領域28b1が小さくなるため、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間の領域(第1の領域30と開放領域28b1とを含む領域)における磁気抵抗を大きくすることができる。よって、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間の領域からの漏れ磁束が抑制される。
【0103】
下側導体パターン25b2のターン数は、当該下側導体パターン25b2よりも第1の領域30から遠位に配された下側導体パターン25b3のターン数より大きくてもよい。下側導体パターン25b3のターン数は、当該下側導体パターン25b3よりも第1の領域30から遠位に配された下側導体パターン25b4のターン数より大きくてもよい。下側導体パターン25b4のターン数は、当該下側導体パターン25b4よりも第1の領域30から遠位に配された下側導体パターン25b5のターン数より大きくてもよい。このように、下側コイル導体25bは、当該下側コイル導体25bを構成する下側導体パターンのターン数は、第1の領域30から遠ざかるほど小さくなるように構成されてもよい。
【0104】
図示の実施形態では、下側導体パターン25b1のターン数は概ね5/6ターンであり(中心角β1が概ね60°であり)、下側導体パターン25b2のターン数は概ね3/4ターンであり(中心角β2が概ね90°であり)、下側導体パターン25b3のターン数は概ね2/3ターンであり(中心角β3が概ね120°であり)、下側導体パターン25b4のターン数は概ね7/12ターンであり(中心角β4が概ね150°であり)、下側導体パターン25b5のターン数は概ね1/2ターンである(中心角β5が概ね180°である)。
【0105】
本発明の一実施形態において、開放領域28a2は、コイル軸Aの方向から見た場合に(平面視において)、開放領域28a1と重複しないように配される。
図5d及び
図5eに示されているように、図示の実施形態においては、開放領域28a1と開放領域28a2とは、コイル軸Aの方向から見た場合に互いと重複しない位置に配されている。当該実施形態によれば、開放領域28a1と開放領域28a2とが重複することによる磁気抵抗の低下を防止することができる。これにより、上側コイル導体25aと下側コイル導体25bとの間の領域を通過する漏れ磁束をより効果的に抑制することができる。開放領域28a3は、コイル軸Aの方向から見た場合に(平面視において)開放領域28a2と重複しないように配されてもよい。開放領域28a4は、コイル軸Aの方向から見た場合に(平面視において)開放領域28a3と重複しないように配されてもよい。開放領域28a5は、コイル軸Aの方向から見た場合に(平面視において)開放領域28a4と重複しないように配されてもよい。
【0106】
本発明の一実施形態において、開放領域28b2は、コイル軸Aの方向から見た場合に(平面視において)、開放領域28b1と重複しないように配される。
図6a及び
図6bに示されているように、図示の実施形態においては、開放領域28b1と開放領域28b2とは、コイル軸Aの方向から見た場合に互いと重複しない位置に配されている。当該実施形態によれば、開放領域28b1と開放領域28b2とが重複することによる磁気抵抗の低下を防止することができる。これにより、上側コイル導体25
aと下側コイル導体25bとの間の領域を通過する漏れ磁束をより効果的に抑制することができる。開放領域28b3は、コイル軸Aの方向から見た場合に(平面視において)開放領域28b2と重複しないように配されてもよい。開放領域28b4は、コイル軸Aの方向から見た場合に(平面視において)開放領域28b3と重複しないように配されてもよい。開放領域28b5は、コイル軸Aの方向から見た場合に(平面視において)開放領域28b4と重複しないように配されてもよい。
【0107】
上記の実施形態は、適宜組み合わせ可能である。例えば、上側導体パターン25a1のターン数が上側コイル導体25aを構成する上側導体パターン25a1~上側導体パターン25a5のターン数の平均よりも大きく、且つ、下側導体パターン25b1のターン数が下側コイル導体25bを構成する下側導体パターン25b1~下側導体パターン25b5のターン数の平均よりも大きくてもよいし、上側コイル導体25a及び下側コイル導体25bの一方についてのみ当該ターン数の条件が満たされていても良い。また、上側導体パターン25a1のターン数が上側コイル導体25aを構成する上側導体パターン25a1~上側導体パターン25a5のターン数の平均よりも大きく、且つ、上側導体パターン25a1のターン数が上側導体パターン25a2のターン数より大きくても良く、このターン数に関する条件のうち一方のみが成り立っていてもよい。下側導体パターン25b1のターン数が下側コイル導体25bを構成する下側導体パターン25b1~下側導体パターン25b5のターン数の平均よりも大きく、且つ、下側導体パターン25b1のターン数が下側導体パターン25b2のターン数より大きくても良く、このターン数に関する条件のうち一方のみが成り立っていてもよい。
【0108】
次に、コイル部品1の製造方法の一例を説明する。コイル部品1は、例えば積層プロセスによって製造することができる。以下では、積層プロセスを用いたコイル部品1の製造方法について説明する。
【0109】
まず、絶縁膜20a1~絶縁膜20a5、絶縁膜20b1~絶縁膜20b5、上側第1カバー層18aを構成する各絶縁膜、下側第1カバー層18bを構成する各絶縁膜、上側第2カバー層19aを構成する各絶縁膜、及び下側第2カバー層19bを構成する各絶縁膜となるグリーンシートを作成する。これらのグリーンシートは、例えば、フェライト、軟磁性合金、フィラー粒子を分散させた樹脂、又はこれら以外の絶縁材料から形成される。以下では、グリーンシートは、軟磁性合金から形成されるものとする。Fe-Si系合金、Fe-Ni系合金、Fe-Co系合金、Fe-Cr-Si系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Si-B-Cr系合金、又はこれら以外の任意の軟磁性合金から成る軟磁性金属粒子にバインダ樹脂及び溶剤を加えてスラリーを作成し、このスラリーをプラスチック製のベースフィルムの表面に塗布する。この塗布されたスラリーを乾燥させることでグリーンシートが作成される。
【0110】
次に、絶縁膜20a2~絶縁膜20a5となる各グリーンシート及び絶縁膜20b1~絶縁膜20b4となる各グリーンシートの所定の位置に、各グリーンシートをT軸方向に貫く貫通孔を形成する。
【0111】
次に、絶縁膜20a1~絶縁膜20a5となる各グリーンシートの上面及び絶縁膜20b1~絶縁膜20b5となる各グリーンシートの上面の各々に、導電ペーストをスクリーン印刷法により印刷することで、当該各グリーンシートに導体パターンを形成する。また、各グリーンシートに形成された各貫通孔に導電ペーストを埋め込む。このようにして絶縁膜20a1~絶縁膜20a5となるグリーンシートに形成された導体パターンは、それぞれ上側導体パターン25a1~上側導体パターン25a5となり、各貫通孔に埋め込まれた金属が上側ビアVa1~Va4となる。また、絶縁膜20b1~絶縁膜20b5となるグリーンシートに形成された導体パターンは、それぞれ下側導体パターン25b1~下側導体パターン25b5となり、各貫通孔に埋め込まれた金属が下側ビアVb1~Vb4となる。各導体パターン及び各ビアは、スクリーン印刷法以外にも公知の様々な方法で形成され得る。
【0112】
次に、絶縁膜20a1~絶縁膜20a5となる各グリーンシートを積層して上側コイル積層体を得る。絶縁膜20a1~絶縁膜20a5となる各グリーンシートは、当該各グリーンシートに形成されている上側導体パターン25a1~25a5の各々が隣接する導体パターンと上側ビアVa1~Va4を介して電気的に接続されるように積層される。同様に、絶縁膜20b1~絶縁膜20b5となる各グリーンシートを積層して下側コイル積層体を得る。絶縁膜20b1~絶縁膜20b5となる各グリーンシートは、当該各グリーンシートに形成されている下側導体パターン25b1~25b5の各々が隣接する導体パターンと下側ビアVb1~Vb4を介して電気的に接続されるように積層される。
【0113】
次に、上側第1カバー層18a用の各グリーンシートを積層して上側第1積層体を形成し、上側第2カバー層19a用の各グリーンシートを積層して上側第2積層体を形成し、下側第1カバー層18b用の各グリーンシートを積層して下側第1積層体を形成し、下側第2カバー層19b用の各グリーンシートを積層して下側第2積層体を形成する。
【0114】
次に、下側第2積層体、下側コイル積層体、下側第1積層体、上側第2積層体、上側コイル積層体、及び上側第1積層体をT軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順序で積層し、この積層された各積層体をプレス機により熱圧着することで本体積層体が得られる。本体積層体は、下側第2積層体、下側コイル積層体、下側第1積層体、上側第2積層体、上側コイル積層体、及び上側第1積層体を形成せずに、準備したグリーンシート全てを順番に積層して、この積層されたグリーンシートを一括して熱圧着することにより形成しても良い。
【0115】
次に、ダイシング機やレーザ加工機等の切断機を用いて上記本体積層体を所望のサイズに個片化することで、チップ積層体が得られる。次に、このチップ積層体を脱脂し、脱脂されたチップ積層体を加熱処理する。このチップ積層体の端部に対して、必要に応じて、バレル研磨等の研磨処理を行う。
【0116】
次に、このチップ積層体の両端部に導体ペーストを塗布することにより、外部電極21a~外部電極21dを形成する。外部電極21a~外部電極21dには、必要に応じて、半田バリア層及び半田濡れ層の少なくとも一方が形成されてもよい。以上により、コイル部品1が得られる。
【0117】
上記の製造方法に含まれる工程の一部は、適宜省略可能である。コイル部品1の製造方法においては、本明細書において明示的に説明されていない工程が必要に応じて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、本発明の趣旨から逸脱しない限り、随時順番を入れ替えて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、可能であれば、同時に又は並行して実行され得る。
【0118】
各絶縁膜となるグリーンシートは、フェライト又はフィラー粒子を分散させた樹脂から形成されてもよい。コイル部品1は、公知の方法を用いることにより、フェライト又はフィラー粒子を分散させた樹脂から形成されたグリーンシートを用いて製造されてもよい。
【0119】
コイル部品1に含まれる各絶縁膜は、各種のフィラー粒子を分散させた樹脂を仮硬化させた絶縁シートから形成されてもよい。かかる絶縁シートについては、脱脂を行う必要がない。
【0120】
コイル部品1は、スラリービルド法又はこれ以外の任意の公知の方法により製造されてもよい。
【0121】
コイル部品1は、積層プロセスによって形成されるので、従来の組立型のカップルドインダクタよりも小型化が容易である。
【0122】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0123】
1 コイル部品
10 本体
25a 上側コイル導体
25b 下側コイル導体
28a1~28a5,28b1~28b5 開放領域
30 第1の領域
40a 第2の領域
40b 第3の領域