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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ポリウレタン樹脂組成物水性分散体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/08 20060101AFI20221101BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221101BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20221101BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20221101BHJP
   C08G 18/12 20060101ALI20221101BHJP
   C08G 18/79 20060101ALI20221101BHJP
   C08G 18/80 20060101ALI20221101BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20221101BHJP
   C08L 75/12 20060101ALI20221101BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20221101BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20221101BHJP
   C09D 11/324 20140101ALI20221101BHJP
【FI】
C08G18/08 038
B41J2/01 501
B41M5/00 120
C08G18/00 C
C08G18/08 004
C08G18/12
C08G18/79 010
C08G18/80 070
C08K5/00
C08L75/12
C08L101/12
C09D11/30
C09D11/324
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017238187
(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公開番号】P2018095876
(43)【公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2016240815
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】丸谷 美紀
(72)【発明者】
【氏名】横井 知身
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-256236(JP,A)
【文献】特開2002-294020(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143573(WO,A1)
【文献】特開平09-255867(JP,A)
【文献】特開平10-053709(JP,A)
【文献】特開平10-025325(JP,A)
【文献】特開2000-007909(JP,A)
【文献】特開平08-269429(JP,A)
【文献】特開平08-170063(JP,A)
【文献】特開平08-170064(JP,A)
【文献】特開平09-157625(JP,A)
【文献】特開平10-330720(JP,A)
【文献】特開平04-293986(JP,A)
【文献】特開2012-067278(JP,A)
【文献】特開2001-011146(JP,A)
【文献】特開2014-189568(JP,A)
【文献】特開2011-202004(JP,A)
【文献】特開2009-215506(JP,A)
【文献】特表2011-523428(JP,A)
【文献】特開2012-251062(JP,A)
【文献】特開2014-129617(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102277119(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
C08L 1/00-101/16
C09D 1/00-201/10
C09J 1/00-201/10
B41M 5/00- 5/52
B41J 2/00- 2/525
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水とポリウレタン樹脂(U)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)と粘着性付与剤(T)を含有するポリウレタン樹脂組成物水性分散体の製造方法であって、
ポリウレタン樹脂(U)が、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)と鎖伸長剤(d)との反応物であるポリウレタン樹脂であり、
前記ウレタンプレポリマー(P)が、ポリオール(a)(下記化合物(c)に該当するものを除く)と、ポリイソシアネート(b)と、カルボキシル基又はアミノ基及び2個の水酸基を含有する化合物(c)との反応物であり、
前記化合物(c)がカルボキシル基と2個の水酸基を含有する化合物(c1)、3級アミノ基と2個の水酸基を含有する化合物(c2)又は4級アンモニウム基と2個の水酸基を含有する化合物(c2’)であり、
ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)がポリイソシアネート化合物(I)とイソシアネートブロック化剤(e)との反応物であり、イソシアネートブロック化剤(e)が環の構成単位としてイミノ基と窒素-炭素2重結合とを有する5員環化合物であり、前記ウレタンプレポリマー(P)と粘着性付与剤(T)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)と中和剤を混合後、水中に分散した後に前記ウレタンプレポリマー(P)と前記伸長剤(d)を反応させるポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q)の製造方法。
【請求項2】
粘着性付与剤(T)の水酸基価が100~350mgKOH/gである請求項1に記載のポリウレタン樹脂組成物水性分散体の製造方法。
【請求項3】
ポリイソシアネート化合物(I)が、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネートを含有する請求項1又は2に記載のポリウレタン樹脂組成物水性分散体の製造方法。
【請求項4】
ポリイソシアネート化合物(I)が、末端基がイソシアネート基であるウレタンプレポリマーを含有する請求項1~3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物水性分散体の製造方法。
【請求項5】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)の含有量が(U)の重量に基づいて1~150重量%である請求項1~4のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物水性分散体の製造方法。
【請求項6】
水性分散体(Q)がインクジェットインク用である請求項1~5のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物水性分散体の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の製造方法によってポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q)を製造する工程、前記ポリウレタン樹脂組成物水分散体(Q)、顔料、及び保湿安定助剤(M)を含有するインクジェットインク(L)を製造する工程を含む、インクジェットインク(L)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン樹脂組成物水性分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン樹脂は、優れた柔軟性、密着性、耐薬品性、機械的強度及び耐衝撃性を有することから、従来、塗料、接着剤、繊維加工処理剤、紙処理剤及びインキ等に使用されてきた。密着性向上の観点から、ウレタン樹脂とブロックイソシアネート等の架橋剤とを併用する場合が多いが、ブロックイソシアネートは基本的には疎水性のため、溶剤系での使用に限られるという課題があった。近年、作業環境改善の観点からVOC規制により、各分野において水系化の動きが活発化しており、水系薬剤に親和性の高いブロックイソシアネートの開発にも拍車がかかっている。例えば、分子中にノニオン性極性基を有するブロック化ポリイソシアネート化合物を含有するポリウレタンエマルションが開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載のブロック化ポリイソシアネート化合物はノニオン性極性基を有する為、水との親和性が高く、ブロックイソシアネート基の経時安定性が悪いという問題があった。
また、ブロックイソシアネート基の安定性向上とウレタン樹脂の密着性向上の観点から、水分散可能なポリカーボネート系ウレタン樹脂の末端にブロックイソシアネート基を導入したポリウレタン樹脂水分散体が開示されている(特許文献2~4参照)。
しかしながら、特許文献2に記載のポリウレタン樹脂水分散体は末端にブロックイソシアネート基を導入しているため、密着性向上を狙ってブロックイソシアネート基含量を上げるとウレタン樹脂の分子量が低下し、乾燥皮膜の物性(破断強度、破断伸度)の低下が顕著となり、密着性と乾燥皮膜の物性の両立が困難であるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-45072号公報
【文献】国際公開WO2010-098316号公報
【文献】国際公開WO2010-098317号公報
【文献】国際公開WO2010-098318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、乾燥皮膜の物性と密着性が共に優れるポリウレタン樹脂組成物水性分散体を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、水とポリウレタン樹脂(U)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)と粘着性付与剤(T)を含有するポリウレタン樹脂組成物水性分散体の製造方法であって、
ポリウレタン樹脂(U)が、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とカルボキシル基又はアミノ基及び2個の水酸基を含有する化合物(c)との反応物であって末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)と鎖伸長剤(d)との反応物であるポリウレタン樹脂組成物であり、ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)がポリイソシアネート化合物(I)とイソシアネートブロック化剤(e)との反応物であり、イソシアネートブロック化剤(e)が環の構成単位としてイミノ基と窒素-炭素2重結合とを有する5員環化合物であり、前記ウレタンプレポリマー(P)と粘着性付与剤(T)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)と中和剤を混合後、水中に分散した後に前記ウレタンプレポリマー(P)と前記伸長剤(d)を反応させるポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q)の製造方法;インクジェットインク用樹脂組成物水分散体(Q)、顔料(P)、及び保湿安定助剤(M)を含有するインクジェットインクの製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のポリウレタン樹脂組成物水性分散体は粘着性付与剤とブロック化ポリイソシアネート化合物を含有しポリウレタン樹脂組成物水性分散体の乾燥皮膜は、優れた破断強度と破断伸度を示し、紙との密着性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<ポリウレタン樹脂(U)>
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、カルボキシル基またはアミノ基と2個の水酸基を含有する化合物(c)及び鎖伸長剤(d)を必須構成原料とするポリウレタン樹脂である。以下各成分について説明する。
【0008】
ポリオール(a)としては数平均分子量(以下、Mnと略記)300以上のポリオール(a1)、及びMn300未満の低分子ポリオール(a2)が挙げられる。
尚、本発明におけるポリオールのMnはポリエチレングリコールを標準としてゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものである。但し、低分子ポリオールのMnは化学式からの計算値である。
【0009】
ポリオール(a)は以下に記載のものの内、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0010】
Mn300以上のポリオール(a1)としては、ポリエーテルポリオール(a11)及びポリエステルポリオール(a12)等が挙げられる。
【0011】
ポリエーテルポリオール(a11)としては、脂肪族ポリエーテルポリオール及び芳香族環含有ポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0012】
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシアルキレンポリオール[ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)等]、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリプロピレングリコール等]、ポリオキシエチレン/プロピレンポリオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0013】
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、PTMG1000[Mn=1,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG2000[Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG3000[Mn=3,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTGL2000[Mn=2,000の変性ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、保土谷化学工業(株)製]、PTGL3000[Mn=3,000の変性ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、保土谷化学工業(株)製]、及びサンニックスジオールGP-3000[Mn=3,000のポリプロピレンエーテルトリオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
【0014】
芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下、EOと略記)付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物及びビスフェノールAのEO20モル付加物等]及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、POと略記)付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物、ビスフェノールAのPO5モル付加物等]等のビスフェノール骨格を有するポリオール並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
【0015】
(a11)のMnは、ポリウレタン樹脂(U)の機械物性の観点から、好ましくは300以上、より好ましくは300~10,000、更に好ましくは300~6,000である。
【0016】
ポリエステルポリオール(a12)としては、縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール及びヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。
【0017】
縮合型ポリエステルポリオールは、低分子量(Mn300未満)多価アルコールと炭素数2~10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのポリエステルポリオールである。
低分子量多価アルコールとしては、Mn300未満の2価~8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール及びMn300未満の2価~8価又はそれ以上のフェノールのアルキレンオキサイド(EO、PO、1,2-、1,3-、2,3-又は1,4-ブチレンオキサイド等を表し、以下AOと略記)低モル付加物が使用できる。
縮合型ポリエステルポリオールに使用できる低分子量多価アルコールの内好ましいのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサングリコール、ビスフェノールAのEO又はPO低モル付加物及びこれらの併用である。
【0018】
縮合型ポリエステルポリオールに使用できる炭素数2~10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等)、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの併用が挙げられる。
【0019】
縮合型ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3-メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
【0020】
縮合型ポリエステルポリオールの市販品としては、サンエスター2610[Mn=1,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、サンエスター4620[Mn=2,000のポリテトラメチレンアジペートジオール]、サンエスター2620[Mn=2,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、クラレポリオールP-2010[Mn=2,000のポリ-3-メチル-1,5-ペンタンアジペートジオール]、クラレポリオールP-3010[Mn=3,000のポリ-3-メチル-1,5-ペンタンアジペートジオール]及びクラレポリオールP-6010[Mn=6,000のポリ-3-メチル-1,5-ペンタンアジペートジオール]等が挙げられる。
【0021】
ポリラクトンポリオールは、上記低分子量多価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4~12のラクトン(例えばγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン及びε-カプロラクトン)等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
【0022】
ポリカーボネートポリオールとしては、上記低分子量多価アルコールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1~6のジアルキルカーボネート、炭素数2~6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6~9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。低分子量多価アルコール及びアルキレンカーボネートはそれぞれ2種以上併用してもよい。
【0023】
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、3-メチル-5-ペンタン-カーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
【0024】
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、ニッポラン980R[Mn=2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製]、クラレポリオールC-3090[Mn=3,000のポリ(3-メチル-5-ペンタンジオール/ヘキサメチレン)カーボネートジオール]、及びT4672[Mn=2,000のポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]等が挙げられる。
【0025】
ヒマシ油系ポリオールには、ヒマシ油、及びポリオール又はAOで変性された変性ヒマシ油が含まれる。変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換及び/又はAO付加により製造できる。ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油、ヒマシ油のEO(4~30モル)付加物等が挙げられる。
【0026】
ポリエステルポリオール(a12)の内好ましいのは、縮合型ポリエステルポリオール及びポリラクトンポリオールである。
【0027】
Mn300未満の低分子ポリオール(a2)としては、脂肪族2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びこれらのEO及び/又はPO付加物等)、脂肪族3価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン及びこれらのEO及び/又はPO付加物等)及び4価以上の脂肪族アルコール(ペンタエリスルトール、ソルビトール及びこれらのEO及び/又はPO付加物等)が挙げられる。(a2)の内、耐水性、耐熱黄変性の観点から好ましいのは、2~3価の脂肪族アルコールであり、脂肪族3価アルコールはポリウレタン樹脂粒子中に架橋構造を形成させることが出来、ウレタン皮膜の耐水性、及び耐薬品性向上という効果を得ることが出来る点で好ましい。脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6-ヘキサンジオールが特に好ましく、脂肪族3価アルコールとしては、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
【0028】
ポリウレタン樹脂(U)の必須構成成分であるポリイソシアネート(b)としては、従来ポリウレタン樹脂製造に使用されているものが使用できる。ポリイソシアネート(b)としては、2~3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数6~20(イソシアネート基中の炭素を除く、以下同様)の芳香族ポリイソシアネート(b1)、炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネート(b2)、炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネート(b3)、炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)及び(b1)~(b4)の誘導体(例えばイソシアヌレート化物)が挙げられる。
【0029】
炭素数6~20の芳香族ポリイソシアネート(b1)としては、例えば1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-又はp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、クルードMDI等が挙げられる。
【0030】
炭素数2~18の脂肪族ポリイソシアネート(b2)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
【0031】
炭素数4~15の脂環式ポリイソシアネート(b3)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-又は2,6-ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0032】
炭素数8~15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)としては、例えばm-及び/又はp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
【0033】
ポリイソシアネート(b)の内、得られる皮膜の機械的強度及び耐候性の観点から好ましいのは(b2)及び(b3)、更に好ましいのは(b3)、特に好ましいのはIPDI及び水添MDIである。
【0034】
本発明のポリウレタン樹脂(U)は、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)以外にカルボキシル基又はアミノ基及び2個の水酸基を含有する化合物(c)も必須の構成原料である。
【0035】
カルボキシル基又はアミノ基及び2個の水酸基を含有する化合物(c)としては、カルボキシル基と2個の水酸基を含有する化合物(c1)及びアミノ基と2個の水酸基を含有する化合物(c2)が挙げられる。
(c1)としては、ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロールヘプタン酸及び2,2-ジメチロールオクタン酸)、酒石酸等、並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
【0036】
(c1)の塩に用いられる中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1~20のアミン化合物又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
【0037】
(c1)の内、得られる皮膜の樹脂物性及びポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から好ましいのは、2,2-ジメチロールプロピオン酸及び2,2-ジメチロールブタン酸及びこれらの塩類であり、更に好ましいのは2,2-ジメチロールプロピオン酸及び2,2-ジメチロールブタン酸のアンモニア又は炭素数1~20のアミン化合物による中和塩である。
【0038】
アミノ基と2個の水酸基を含有する化合物(c2)において、アミノ基とは3級アミノ基のプロトンで中和された基 、未中和の該3級アミノ基、及び4級アンモニウム基を指すものとする。
例えばカチオン性基として3級アミノ基を有し、水酸基を有する化合物、炭素数1~20の3級アミノ基含有ジオール[N-アルキルジアルカノールアミン(例えばN-メチルジエタノールアミン、N-プロピルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン及びN-メチルジプロパノールアミン)及びN,N-ジアルキルモノアルカノールアミン(例えばN,N-ジメチルエタノールアミン)等]等の化合物、およびこれを中和剤で中和した塩が挙げられる。
【0039】
(c2)に用いられる中和剤としては、例えば炭素数1~10のモノカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロパン酸等)、炭酸、炭酸ジメチル、硫酸ジメチル、メチルクロライド及びベンジルクロライド等が挙げられる。
【0040】
(c1)及び(c2)に用いられる中和剤は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水分散工程前、水分散工程中又は水分散後のいずれの時期に添加しても良いが、ウレタン樹脂の安定性及び水性分散体の安定性の観点から、水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。また、脱溶剤時に揮発した中和剤を脱溶剤後に追添加しても良く、追添加する中和剤種は上記記載のものから自由に選択することができる。
【0041】
(c)の使用量は、ウレタン樹脂組成物水性分散体の安定性の観点から、(U)中のカルボキシル基とアミノ基の合計の含有量が、(U)の重量に基づいて、好ましくは1.2~5.0重量%、より好ましくは1.2~4.8重量%、更に好ましくは1.2~4.5重量%となるよう調節する。
(c2)の場合、アミノ基の含有量は、3級アミノ基中の窒素原子のみの重量%を指す。
【0042】
鎖伸長剤(d)としては、Mn又は化学式量300未満の低分子ポリオール(a2)、水、炭素数2~10のジアミン類(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン)、炭素数2~10のポリアルキレンポリアミン類(例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びテトラエチレンペンタミン)、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)、炭素数2~30のポリエポキシ化合物(例えば、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル等)及び炭素数2~10のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。
【0043】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、必要により反応停止剤を使用することができる。反応停止剤としては、炭素数1~8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ類及びカルビトール類等)、炭素数1~10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。
【0044】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、必要により酸化防止剤、着色防止剤、耐候安定剤、可塑剤及び離型剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤の使用量は(U)の重量に基づいて好ましくは10重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
【0045】
粘着性付与剤(T)は、得られる塗膜に対し密着性を付与するためのものである。
好ましく用いることのできる粘着付与剤(T)としては、例えば、ロジン、ロジン誘導体、石油系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂などが挙げられる。
ロジン誘導体としては、重合ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、およびこれらのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、エチレングリコールエステル等が挙げられる。
テルペン系樹脂としては、テルペン樹脂、ジペンテン樹脂、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が挙げられる。
石油系樹脂としては、炭素数5個の石油留分を重合した石油樹脂、マレイン酸変性、フタル酸変性した石油樹脂等が挙げられる。
粘着性付与成分(T)は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用しても良い。
【0046】
本発明において、粘着性付与剤(T)は、密着性の観点から、ロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂、石油系樹脂が好ましい。
【0047】
粘着性付与剤(T)の含有量は、密着性の観点から、ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づき、好ましくは1~150重量%、更に好ましくは3~120重量%、特に好ましくは5~90重量%である。
【0048】
粘着性付与剤(T)の水酸基価は、密着性の観点から、好ましくは100~350mgKOH/g、更に好ましくは120~320mgKOH/g、特に好ましくは140~300mgKOH/gである。
【0049】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)は、ポリイソシアネート化合物(I)のイソシアネート基をイソシアネートブロック化剤(e)でブロックしたブロック化ポリイソシアネート化合物である。以下各成分について説明する。
【0050】
ポリイソシアネート化合物(I)としては、ポリイソシアネート(b)のビュレット体(I1)、ポリイソシアネート(b)のイソシアヌレート体(I2)およびポリオール(a)とポリイソシアネート(b)のプレポリマー(I3)等が挙げられる。
【0051】
ポリイソシアネート化合物(I)のイソシアネート基含量は、(I)の重量に対するイソシアネート基(分子量42)の重量%として計算される。(I)のイソシアネート基含量は密着性の観点から、好ましくは2.0~30.0重量%、更に好ましくは2.5~28.0重量%、特に好ましくは3.0~25.0重量%である。
【0052】
イソシアネートブロック化剤(e)としては、炭素数2~6のラクタム(例えばε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム等)、炭素数1~15のオキシム[例えばアセトオキシム、メチルエチルケトオキシム(MEKオキシム)、メチルイソブチルケトオキシム(MIBKオキシム)、シクロヘキサノンオキシム等]、炭素数2~15の第二級アミン[例えば脂肪族アミン(ジメチルアミン、ジイソピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソブチルアミン等)、炭素数4~15の脂環式アミン(メチルヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等)、芳香族アミン(アニリン、ジフェニルアミン等)]、炭素数6~20のフェノールおよびアルキルフェノール[例えばフェノール、クレゾール、エチルフェノール、n-プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n-ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール、ジイソプロピルフェノール、ジ-t-ブチルフェノール等]、環の構成単位としてイミノ基と窒素-炭素2重結合とを有する5員環化合物[例えばイミダゾール、2-メチルイミダゾール、ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール等]、イミン[例えばエチレンイミン、ポリエチレンイミン等]、活性メチレン含有化合物[例えばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等]、特許公開2002-309217号公報及び特許公開2008-239890号公報に記載のブロック化剤、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの内、好ましいものは、炭素数1~15のオキシム、炭素数2~15の第二級アミン、環の構成単位としてイミノ基と窒素-炭素2重結合とを有する5員環化合物、活性メチレン含有化合物であり、更に好ましくはメチルエチルケトオキシム、ジイソプロピルアミン、3,5-ジメチルピラゾール、マロン酸ジエチル、である。
【0053】
本発明におけるブロック化ポリイソシアネート化合物(J)は、イソシアネート化合物(I)とブロック化剤(e)を反応させて得られる。
即ち、添加の方法には、(1)(I)に(e)を添加する方法、(2)(e)に(I)を添加する方法が含まれる。これらの内、反応の再現性の観点から好ましいのは、(1)の方法である。
【0054】
前記(1)~(2)の方法における反応温度は、副反応抑制の観点から好ましくは20~120℃、更に好ましくは40~110℃である。反応時間は副反応抑制の観点から好ましくは0.5~5時間、更に好ましくは0.5~4時間である。
【0055】
ポリイソシアネート化合物(I3)におけるポリオール(a)とポリイソシアネート(b)のウレタン化反応を促進させるために公知のウレタン化触媒を使用することも可能である。ウレタン化触媒としては、金属触媒[錫系(トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート及びジブチルチンマレエート等)、鉛系(オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛及びオクテン酸鉛等)、コバルト系(ナフテン酸コバルト等)、ビスマス系{ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート等}及び水銀系(フェニル水銀プロピオン酸塩等)等]、アミン触媒[トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン、ジアザビシクロアルケン類{1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン}等;ジアルキルアミノアルキルアミン類{ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノオクチルアミン及びジプロピルアミノプロピルアミン等]又は複素環式アミノアルキルアミン類[2-(1-アジリジニル)エチルアミン及び4-(1-ピペリジニル)-2-ヘキシルアミン等]の炭酸塩又は有機酸塩(ギ酸塩等)等;N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、トリエチルアミン、ジエチルエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン等]、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0056】
反応触媒の使用量は、得られるブロック化ポリイソシアネート化合物(J)の重量に基づいて、好ましくは1%以下、より好ましくは0.001~0.1%である。
【0057】
本発明のブロック化ポリイソシアネート化合物(J)は、その粘度調整を目的として、更に可塑剤及び/又は有機溶剤(S2)を含有することができる。
【0058】
可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル[ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジラウリルフタレ-ト、ジステアリルフタレート及びジイソノニルフタレート(DINP)等のフタル酸エステル等]、脂肪族カルボン酸エステル[メチルアセチルリシノレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジ-2-エチルヘキシルセバケート(DOS)、アジピン酸-プロピレングリコールポリエステル及び2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート等]、リン酸エステル[トリフェニルホスフェート及びトリクレジルホスフェート等]及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらの内、(A)との相溶性の観点から好ましいのは芳香族カルボン酸エステル、更に好ましいのはDOP及びDINPである。
【0059】
有機溶剤(S2)としては、ケトン系溶剤(例えばアセトン及びメチルエチルケトン)、エステル系溶剤(例えば酢酸エチル、ニ塩基酸エステル(DBE))、エーテル系溶剤(例えばテトラヒドロフラン)、アミド系溶剤(例えばN,N-ジメチルホルムアミド及びN-メチルピロリドン)、アルコール系溶剤(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン)等]を含有してもよい。
【0060】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)の含有量は、密着性及び機械物性の観点から、ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づき、好ましくは1~150重量%、更に好ましくは3~120重量%、特に好ましくは5~90重量%である。
【0061】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)のブロック化剤の解離温度を低下させて、低温硬化を速めるために、ブロックドイソシアネート解離触媒(f)を使用してもよい。解離触媒(f)としては、金属触媒(f1)やアミン触媒(f2)が挙げられる。金属触媒(f1)やアミン触媒(f2)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
上記金属触媒(f1)としては、金属(M)と炭素の結合を有する有機金属化合物(f11)、該金属(M)との配位結合を有する金属錯体(f12)、および該金属(M)のカルボン酸塩(f13)からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0063】
上記有機金属化合物(f11)としてはジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ-2-エチルヘキサネート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジマレート、ジブチル錫ジオキサイド、ジオクチル錫オキサイド等の有機錫、チタン酸テトラ-n-ブチル、チタン酸テトライソプロピル等の有機チタン、有機ビスマス、有機鉛、有機ニッケル等が挙げられる。
【0064】
上記金属錯体(f12)としては、金属(M)のアセチルアセトナート塩等であり、例えば、錫アセチルアセトナート、ビスマスアセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート、鉛アセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、マンガンアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート等が挙げられる。
【0065】
上記カルボン酸金属塩(f13)としてはカルボン酸錫系(オクチル酸錫、酢酸錫、ラウリン酸錫、オレイン酸錫等)、カルボン酸ビスマス系(オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等)、カルボン酸鉛系(オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛等)、カルボン酸ニッケル系(オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル等)、カルボン酸チタン系(テレフタル酸チタン等)等が挙げられる。
【0066】
上記金属触媒(f1)の内で好ましいのは、金属(M)がSn、Bi、Ti、Pb、Zr、Fe、Al、Zn、及びMnからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属(M1)である有機金属化合物(f111)、該金属(M1)との配位結合を有する金属錯体(f121)、並びに該金属(M)のカルボン酸塩(f131)であり、更に好ましいのはジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、錫アセチルアセトナート、ビスマスアセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナートである。
【0067】
アミン触媒(f2)としては、1~3級アミン(f21)、4級アンモニウム塩(f22)が挙げられる。アミン触媒は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
1~3級アミン(f21)としては、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、N-メチル-(ジメチルアミノプロピル)アミノエタノールアミン、ジモルホリノジエチルエーテル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-s-トリアジン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、メチルモルホリン、エチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデセン-7、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデセン-7の弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-ノネン-5、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-ノネン-5の弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)、1,2-ジメチルテトラヒドロピリミジン、2-ジメチルテトラヒドロピリミジンの弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)、テトラメチルグアニジンなどが挙げられる。
【0069】
4級アンモニウム塩(f22)としては下記の4級アンモニウムの弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)が挙げられる。4級アンモニウムとしては、テトラメチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、プロピルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、ヘプチルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、ノニルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ウンデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、トリデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、1-メチル-1-アザニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタニウム、1,1-ジメチル-4-メチルピペリジニウム、1-メチルモルホリニウム、1-メチルピペリジニウム、トリアルキルヒドロキシプロピルアンモニウムとしては(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、(2-ヒドロキシプロピル)トリエチルアンモニウム、(2-ヒドロキシプロピル)トリプロピルアンモニウム、(2-ヒドロキシプロピル)トリブチルアンモニウム、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、トリメチルアミノエトキシエタノール等が挙げられる。
【0070】
アミン触媒(f2)の内で好ましいのは、酸解離定数(pKa)が11以上の強塩基を含有しているアミン触媒で、更に好ましいのは、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデセン-7、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデセン-7の弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-ノネン-5、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-ノネン-5の弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)、テトラメチルアンモニウムの弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)、メチルトリエチルアンモニウムの弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)、テトラエチルアンモニウムの弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)、(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムの弱酸塩(フェノール塩、2-エチルヘキサン酸塩、ギ酸塩等)である。
【0071】
ポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q)はポリウレタン樹脂組成物(K)からなる粒子を含有する。該粒子の体積平均粒子径(Dv)は、0.01~1μmであり、ポリウレタン樹脂組成物水性分散体の分散安定性の観点から、好ましくは0.02~0.2μmである。(Dv)が0.01μm以上であると粘度が適正でありハンドリング性が良好であり、1μm以下であると分散安定性が良い。
【0072】
(Q)の体積平均粒子径(Dv)は、(U)中のイオン性基、分散剤量及び分散工程で使用する分散機の種類及び運転条件によってきまる。従って、(Q)の体積平均粒子径(Dv)を所望の範囲とするためには、分散工程において、後述の回転式分散機、超音波式分散機及び混練機から選択される装置を用いると共に、必要により(U)中に導入されるイオン性基の含有量と、必要により添加する分散剤(h)の量を適宜調整すればよい。
体積平均粒子径(Dv)は光散乱粒度分布測定装置で測定される。
【0073】
<ポリウレタン樹脂水性分散体、その製造方法>
本発明におけるポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q)は、水とポリウレタン樹脂(U)及び粘着性付与剤(T)、ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)からなるポリウレタン樹脂組成物(K)を含有するポリウレタン樹脂組成物水性分散体である。上記ポリウレタン樹脂(U)は、ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及びカルボキシル基またはアミノ基と2個の水酸基を含有する化合物(c)を必須構成原料とするウレタンプレポリマー(P)と粘着性付与剤(T)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)と中和剤とを所定の重量比で混合後、水中に分散した後に(P)と反応性を有する鎖伸長剤(d)を反応させることにより製造されるのが好ましい。また、(U)は分子中に架橋構造を有していることが好ましく、(U)へ架橋構造を導入するためには、ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)及び/又は鎖伸長剤(d)に3官能以上の多官能モノマーを使用することにより、(U)中に架橋構造を導入することが可能である。
【0074】
また、ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及びカルボキシル基またはアミノ基と2個の水酸基を含有する化合物(c)を有機溶剤(S1)存在下で反応させて末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)の溶剤溶液(P1)を得た後、溶剤溶液(P1)と粘着性付与剤(T)と、ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)と中和剤との混合物を水で乳化させた後、鎖伸長剤(d)を反応させた後に有機溶剤(S1)を溜去することにより製造されてもよい。
【0075】
有機溶剤(S1)はケトン系溶剤(例えばアセトン及びメチルエチルケトン)、エステル系溶剤(例えば酢酸エチル)、エーテル系溶剤(例えばテトラヒドロフラン)、アミド系溶剤(例えばN,N-ジメチルホルムアミド及びN-メチルピロリドン)、アルコール系溶剤(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン)等が使用されるが、アセトンが好ましい。
本発明におけるポリウレタン樹脂組成物水性分散体は、(P)の分散性及び水性分散体の安定性の観点から、必要により(P)と(T)と(J)と中和剤の混合物を分散剤(h)の存在下で水に分散させることができる。
【0076】
分散剤(h)としては、ノニオン性界面活性剤(h1)、アニオン性界面活性剤(h2)、カチオン性界面活性剤(h3)、両性界面活性剤(h4)及びその他の乳化分散剤(h5)が挙げられる。(h)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0077】
(h1)としては、例えばAO付加型ノニオン性界面活性剤及び多価アルコール型ノニオン性界面活性剤が挙げられる。AO付加型としては、炭素数10~20の脂肪族アルコールのEO付加物、フェノールのEO付加物、ノニルフェノールのEO付加物、炭素数8~22のアルキルアミンのEO付加物及びポリプロピレングリコールのEO付加物等が挙げられ、多価アルコール型としては、多価(3~8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2~30)の脂肪酸(炭素数8~24)エステル(例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエート等)及びアルキル(炭素数4~24)ポリ(重合度1~10)グリコシド等が挙げられる。
【0078】
(h2)としては、例えば炭素数8~24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を有する硫酸エステル又はエーテル硫酸エステル及びそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を1個又は2個有するスルホコハク酸塩;炭素数8~24の炭化水素基を有するリン酸エステル又はエーテルリン酸エステル及びそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1~100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];炭素数8~24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等];並びに炭素数8~24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム等]が挙げられる。
【0079】
(h3)としては、例えば第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]並びにアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]が挙げられる。
【0080】
(h4)としては、例えばベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[β-ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0081】
(h5)としては、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシル基含有(共)重合体及び米国特許第5906704号明細書に記載のウレタン基又はエステル基を有する乳化分散剤[例えばポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]等が挙げられる。
【0082】
分散剤(h)は、ウレタンプレポリマー(P)のウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、(P)と(J)の混合中、混合後、(P)と(J)の混合物の水分散工程前、水分散工程中又は水分散後のいずれの時期に添加しても良いが、(P)と(J)の混合物の分散性及び水性分散体の安定性の観点から、(P)と(J)の混合中、混合後、(P)と(J)の混合物の水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。
【0083】
(h)の含有量はポリウレタン樹脂組成物(K)の重量に基づいて好ましくは0.01~20重量%、より好ましくは0.01~10重量%、更に好ましくは0.1~5重量%である。
【0084】
本発明におけるポリウレタン樹脂組成物水性分散体は、有機溶剤(S1)[ケトン系溶剤(例えばアセトン及びメチルエチルケトン)、エステル系溶剤(例えば酢酸エチル)、エーテル系溶剤(例えばテトラヒドロフラン)、アミド系溶剤(例えばN,N-ジメチルホルムアミド及びN-メチルピロリドン)、アルコール系溶剤(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン)等]を含有してもよい。
【0085】
本発明において、ウレタンプレポリマー(P)は、ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、カルボキシル基またはアミノ基と2個の水酸基を含有する化合物(c)を、加熱可能な設備で加熱して反応することで得られる。例えば、容器中に(P)の原料を仕込んで均一撹拌後、加熱乾燥機や加熱炉で無撹拌下に加熱する方法や、簡易加圧反応装置(オートクレーブ)、コルベン、一軸若しくは二軸の混練機、プラストミル又は万能混練機等で、攪拌又は混練しながら加熱して反応する方法等が挙げられる。なかでも、攪拌又は混練しながら加熱して反応する方法は、得られる(P)の均質性が高くなり、得られる皮膜の機械的物性、耐久性、耐薬品性及び耐磨耗性等がより優れる傾向があるため好ましい。
【0086】
ウレタンプレポリマー(P)を製造する際の反応温度は、(P)のアロハネート基及びビューレット基の含有量の観点から、60~120℃が好ましく、更に好ましくは60~110℃であり、最も好ましくは60~100℃である。また、(P)を製造する際の時間は、使用する設備により適宜選択することができるが、一般的に1分~100時間が好ましく、更に好ましくは3分~30時間であり、特に好ましくは5分~20時間である。この範囲であれば、本発明の効果を十分に発揮できる(P)が得られる。
【0087】
ウレタン化反応速度をコントロールするために、公知の反応触媒(オクチル酸錫及びビスマスオクチル酸塩等)及び反応遅延剤(リン酸等)等を使用することができる。これらの触媒又は反応遅延剤の添加量は、(P)の重量に基づき、好ましくは0.001~3重量%、更に好ましくは0.005~2重量%、特に好ましくは0.01~1重量%である。
【0088】
ウレタンプレポリマー(P)と粘着性付与剤(T)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)を混合する装置としては、プレポリマー(P)の合成に用いられた装置をそのまま使用することができる。
【0089】
ウレタンプレポリマー(P)を水中に分散する装置としては、分散能力のある装置(A)であれば使用可能であるが、温度調整及び分散能力等の観点から、回転式分散混合装置(A1)、超音波式分散機(A2)又は混練機(A3)を用いることが好ましく、なかでも分散能力が特に優れる(A1)が更に好ましい。
【0090】
回転式分散混合装置(A1)の主たる分散原理は、駆動部の回転等によって処理物に外部から剪断力を与えて微粒子化し、分散させるというものである。また、(A1)は、常圧、減圧又は加圧下で稼働させることができる。
【0091】
回転式分散混合装置(A1)としては、例えばマックスブレンドやヘリカル翼等の一般的な攪拌羽を有する混合装置、TKホモミキサー[プライミクス(株)製]、クレアミックス[エムテクニック(株)製]、フィルミックス[プライミクス(株)製]、ウルトラターラックス[IKA(株)製]、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]、キャビトロン(ユーロテック社製)及びバイオミキサー[日本精機(株)製]等が例示される。
【0092】
回転式分散混合装置(A1)を用いてウレタンプレポリマー(P)と粘着性付与剤(T)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)の混合物を分散処理する際の回転数は、分散能力の観点から、好ましくは10~30000rpm、より好ましくは20~20000rpm、更に好ましくは30~10000rpmである。
【0093】
超音波式分散装置(A2)の主たる分散原理は、駆動部の振動によって処理物に外部からエネルギーを与えて微粒子化し、分散させるというものである。また、(A2)は、常圧、減圧又は加圧下で稼働させることができる。
【0094】
超音波式分散装置(A2)としては、池本理化工業(株)、コスモ・バイオ(株)及び(株)ギンセン等から市販されている超音波式分散装置等を使用できる。
【0095】
超音波式分散装置(A2)を用いてウレタンプレポリマー(P)と粘着性付与剤(T)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)の混合物を分散処理する際の振動数は、分散能力の観点から、好ましくは1~100kHz、より好ましくは3~60kHz、特に好ましくは10~30kHzである。
【0096】
混練機(A3)の主たる分散原理は、(A3)の回転部で処理物を練ることでエネルギーを与えて微粒子化し、分散させるというものである。また(A3)は、常圧、減圧又は加圧下で稼働させることができる。
混練機(A3)としては、二軸押出機[池貝(株)製PCM-30等]、ニーダー[(株)栗本鐵工所製KRCニーダー等]、万能混合機[プライミクス(株)製ハイビスミックス等]及びプラストミル[(株)東洋精機製作所製ラボプラストミル等]等が例示される。
【0097】
混練機(A3)を用いてウレタンプレポリマー(P)と粘着性付与剤(T)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)の混合物を分散処理する際の回転数は、分散能力の観点から、好ましくは1~1000rpm、より好ましくは3~500rpm、特に好ましくは10~200rpmである。
分散装置(A)に供給されるウレタンプレポリマー(P)と粘着性付与剤(T)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)の混合物と水の重量比は、目的とする水性分散体の樹脂成分含有量によって適宜選択されるが、好ましくは{(P)+(T)+(J)}/水=10/2~10/100であり、より好ましくは10/5~10/50である。
分散装置(A)にて分散を行う際は、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、抑泡剤、酸化防止剤、着色防止剤、可塑剤及び離型剤等から選ばれる添加剤を1種以上を添加することができる。また、必要に応じて、分散後に脱溶剤、濃縮、希釈等を行ってもよい。
【0098】
ウレタンプレポリマー(P)と粘着性付与剤(T)とブロック化ポリイソシアネート化合物(J)の混合物を分散させた後に、鎖伸長剤(d)を反応させる装置としては特に限定されないが、分散装置(A)、コルベン、スタティックミキサー等で混合しながら反応させるのが好ましい。
【0099】
本発明の製造方法で得られるポリウレタン樹脂組成物水性分散体の固形分濃度(揮発性成分以外の成分の含有量)は、水性分散体の取り扱い易さの観点から、好ましくは20~65重量%、更に好ましくは25~55重量%である。固形分濃度は、水性分散体約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
【0100】
本発明の製造方法で得られるポリウレタン樹脂組成物水性分散体の粘度は、好ましくは1~100,000mPa・s、更に好ましくは5~5,000mPa・sである。粘度はBL型粘度計を用いて、25℃の定温下で測定することができる。
【0101】
本発明の製造方法で得られるポリウレタン樹脂組成物水性分散体のpHは、好ましくは6~12、更に好ましくは7~10である。pHは、pH Meter M-12[堀場製作所(株)製]で25℃で測定することができる。
【0102】
ポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q)をインクジェットインク用に用いる場合、(Q)以外にさらに顔料(P)、保湿安定助剤(M)、水性分散体樹脂又は水溶性樹脂、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤、凍結防止剤及び水等を含有することができる。
【0103】
顔料(P)としては、水への溶解度が1以下の無機顔料(例えば白色顔料、黒色顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料及びメタリック顔料)並びに有機顔料(例えば天然有機顔料合成系有機顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、顔料色素型アゾ顔料、水溶性染料からつくるアゾレーキ、難溶性染料からつくるアゾレーキ、塩基性染料からつくるレーキ、酸性染料からつくるレーキ、キサンタンレーキ、アントラキノンレーキ、バット染料からの顔料及びフタロシアニン顔料)等が挙げられる。顔料の含有量は、インクジェットインク(L)の重量に基づいて好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
【0104】
保湿安定助剤(M)としては、特に限定されないが、水酸基を有する化合物であって、沸点が100℃以上であるものが好ましい。例えば、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
【0105】
水性分散体樹脂又は水溶性樹脂としては、例えば本発明におけるポリウレタン樹脂以外の水性分散性又は水溶性のポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0106】
粘度調整剤としては増粘剤、例えば無機系粘度調整剤(ケイ酸ソーダやベントナイト等)、セルロース系粘度調整剤(Mnが20,000以上のメチルセルロール、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等)、タンパク質系粘度調整剤(カゼイン、カゼインソーダ及びカゼインアンモニウム等)、アクリル系(Mnが20,000以上のポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸アンモニウム等)及びビニル系粘度調整剤(Mnが20,000以上のポリビニルアルコール等)が挙げられる。
【0107】
消泡剤としては、長鎖アルコール(オクチルアルコール等)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレート等)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン及びポリエーテル変性シリコーン等)等が挙げられる。
【0108】
防腐剤としては、有機窒素硫黄化合物系防腐剤及び有機硫黄ハロゲン化物系防腐剤等が挙げられる。
劣化防止剤及び安定化剤(紫外線吸収剤及び酸化防止剤等)としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系及びベンゾトリアゾール系劣化防止剤及び安定化剤等が挙げられる。
【0109】
凍結防止剤としては、エチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。
粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤の含有量は、インクジェットインク(L)の重量に基づいてそれぞれ好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。
【実施例
【0110】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下において部は重量部を表す。
【0111】
製造例1 <ブロック化ポリイソシアネート化合物(J-1)の製造>
撹拌機及び温度計を備えた反応容器にヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(I2-1)[旭化成社製「デュラネートTPA-100」 ]45.1部及び溶剤として二塩基酸エステル「DBE」[三協化学(株)製]を30部、3,5-ジメチルピラゾール(e-1)24.9部を仕込んで、70℃で2時間ブロック化反応を行い、ブロック化ポリイソシアネート化合物 (J-1)の70%溶液を得た。
【0112】
実施例1 <ポリウレタン樹脂水性分散体(Q-1)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にMn2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(a1-1)[ニッポラン980R:東ソー(株)製]217部、1,4-ブタンジオール(a2-1)3部、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(b-1)119部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(c-1)21.5部及びアセトン154部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー(P-1)のアセトン溶液を製造した。
次いで、粘着性付与剤、テルペンフェノール樹脂(「マイティエースG125」、水酸基価100~150mgKOH/g、ヤスハラケミカル社製)(T-1)36部、製造例1で得られたブロック化ポリイソシアネート化合物(J-1)溶液51.5部、トリエチルアミン(中和剤)11.3部、アセトン119部を加え、均一化した後、水787部を200rpmで撹拌しながら加え混合物を分散させた。得られた分散体に鎖伸長剤である10重量%のジエチレントリアミン水溶液23.3部を加え、減圧下に65℃で8時間かけてアセトンを留去し、ポリウレタン樹脂水性分散体(Q-1)を得た。
【0113】
実施例2 <ポリウレタン樹脂水性分散体(Q-2)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にMn2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(a1-2)[PTMG 2000:三菱ケミカル(株)製]190部、1,4-ブタンジオール(a2-1)21部、イソホロンジイソシアネート(b-2)132部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(c-1)17.2部及びアセトン154部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー(P-2)のアセトン溶液を製造した。
次いで、粘着性付与剤、テルペンフェノール樹脂(「マイティエースG125」、水酸基価100~150mgKOH/g、ヤスハラケミカル社製)(T-1)36部、製造例1で得られたブロック化ポリイソシアネート化合物(J-1)溶液51.5部、トリエチルアミン(中和剤)9.1部、アセトン119部を加え、均一化した後、水787部を200rpmで撹拌しながら加え混合物を分散させた。得られた分散体に鎖伸長剤である10重量%のジエチレントリアミン水溶液23.3部を加え、減圧下に65℃で8時間かけてアセトンを留去し、ポリウレタン樹脂水性分散体(Q-2)を得た。
【0114】
<実施例3>
実施例1において、テルペンフェノール樹脂(T-1)36部の代わりに粘着性付与剤、テルペンフェノール樹脂(「マイティエースK125」、水酸基価200~250mgKOH/g、ヤスハラケミカル社製)(T-2)36部を使用する以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q-3)を得た。
【0115】
<実施例4>
実施例1において、テルペンフェノール樹脂(T-1)36部の代わりに粘着性付与剤、ロジン誘導体(「パインクリスタルD-6011」、水酸基価110~125mgKOH/g、荒川化学社製)(T-3)36部を使用する以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q-4)を得た。
【0116】
<実施例5>
実施例1において、テルペンフェノール樹脂(T-1)36部の代わりに粘着性付与剤、石油樹脂(「アルコンM100」荒川化学社製)(T-4)36部を使用する以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q-5)を得た。
【0117】
<比較例1>
実施例1において、テルペンフェノール樹脂(T-1)36部を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして比較ポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q’-1)を得た。
【0118】
<比較例2>
実施例1において、ブロック化ポリイソシアネート化合物(J-1)溶液51.5部を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして比較ポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q’-2)を得た。
【0119】
<比較例3> 撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にMn2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(a1-2)[PTMG 2000:三菱ケミカル(株)製]251部、1,4-ブタンジオール(a2-1)17部、イソホロンジイソシアネート(b-2)92部、及びアセトン154部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー(P’-1)のアセトン溶液を製造した。
次いで、乳化剤としてのポリオキシアルキレンアルキルエーテル(三洋化成工業製 「ナロアクティー CL120」)36部、粘着性付与剤、テルペンフェノール樹脂(「マイティエースG125」、水酸基価100~150mgKOH/g、ヤスハラケミカル社製)(T-1)36部、製造例1で得られたブロック化ポリイソシアネート化合物(J-1)溶液51.5部、アセトン119部を加え、均一化した後、水787部を200rpmで撹拌しながら加え混合物を分散させた。得られた分散体に鎖伸長剤である10重量%のジエチレントリアミン水溶液14.9部を加え、減圧下に65℃で8時間かけてアセトンを留去し、ポリウレタン樹脂水性分散体(Q’-3)を得た。
【0120】
<比較例4>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にMn2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(a1-1)[ニッポラン980R:東ソー(株)製]250部、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(b-1)105部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(c-1)17.8部及びアセトン93.4部を仕込んで85℃で12時間攪拌してウレタン化反応を行い、次いでメチルエチルケトンオキシム(e-2)7.1部を仕込み、85℃で3時間反応させウレタンプレポリマー(P’-)のアセトン溶液を製造した。
次いで、トリエチルアミン(中和剤)9.5部、アセトン275部を加え、均一化した後、水667部を200rpmで撹拌しながら加え混合物を分散させた。得られた分散体に鎖伸長剤である10重量%のジエチレントリアミン水溶液42.5部を加え、減圧下に65℃で8時間かけてアセトンを留去し、分子内の末端にブロックイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂水性分散体(Q’-4)を得た。
【0121】
【表1】
【0122】
実施例6~10、比較例5~8 <インクジェットインクの製造と評価>
実施例1~5、比較例1~4で得られたポリウレタン樹脂水性分散体(Q-1)~(Q-5)、(Q’-1)~(Q’-4)23部、顔料[カーボンブラック水分散体(「Aqua-Black162」、東海カーボン(株)製、固形分20wt%)15部、保湿安定助剤、プロピレングリコール20部、グリセリン20部、及びイオン交換水22部を配合し、10分間混合して、インクジェットインク(L-1)~(L-5)、(L’-1)~(L’-4)を得た。
【0123】
【表2】
【0124】
評価方法
<ポリウレタン樹脂組成物の皮膜物性(破断強度、破断伸度)>
ポリウレタン樹脂組成物水分散体10部を、縦10cm×横20cm×深さ1cmのポリプロピレン製モールドに、水分乾燥後のフィルム膜厚が200μmになる量を流し込み、室温で12時間乾燥後、循風乾燥機で105℃で3時間加熱乾燥することによって得られるフィルムの物性測定を行い、破断強度、及び破断伸度を測定した。
尚、破断強度及び破断伸度の測定は、JIS K7311に記載の5.引張試験に基づいて行った。
【0125】
<画像の密着性>
作製した水性インク(L-1)~(L-)、(L’-1)~(L’-)を5cm×20cmのコート紙[「オーロラコート」、日本製紙製]に乾燥後の膜厚が2μmとなるよう塗布し、140℃で10分乾燥し、塗膜を作製した。この塗膜面をセロテープ(登録商標)にて剥離テストを行い、残留する1mm角塗膜の数を調べた。表示は分子に残留数を、分母にはじめにクロスカットした数を示した。
【0126】
表1に示したように、実施例1~5の本発明のポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q-1)~(Q-5)は、乾燥皮膜の物性(破断強度と破断伸度)に優れることがわかる。
一方、(c)を構成原料として含まないポリウレタン樹脂水性分散体(Q’-3)の比較例3は破断強度は不良であり、分子内の末端にブロックイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂水性分散体(Q’-4)の比較例4も破断強度と破断伸度が不良である。
表2のインキ(L)での紙との密着性で示したように、実施例6~10は優れた剥離試験結果であった。一方、比較例1~4のポリウレタン樹脂水性分散体を用いた比較例5~8は密着性が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明のポリウレタン樹脂組成物水性分散体は、インクジェットインク、水性塗料組成物、水性接着剤組成物、水性繊維加工処理剤組成物(顔料捺染用バインダー組成物、不織布用バインダー組成物、補強繊維用集束剤組成物、抗菌剤用バインダー組成物及び人工皮革・合成皮革用原料組成物等)、水性コーティング組成物(防水コーティング組成物、撥水コーティング組成物及び防汚コーティング組成物等)、水性紙処理剤組成物や水性インキ組成物等に好適に使用できる。