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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】不均一な断面を有するヒートパイプ
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/04 20060101AFI20221101BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20221101BHJP
   F28F 13/08 20060101ALN20221101BHJP
【FI】
F28D15/04 B
F28D15/02 101A
F28F13/08
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017246018
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2018162962
(43)【公開日】2018-10-18
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】15/398,790
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドローレン, ブルース リー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン アッフェレン, ダグラス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ミューリー, アルン
(72)【発明者】
【氏名】ストイア, マイケル エフ.
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05010951(US,A)
【文献】特開2008-014528(JP,A)
【文献】特開2003-262480(JP,A)
【文献】特開昭52-140459(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0354976(US,A1)
【文献】特開平09-096494(JP,A)
【文献】特開平03-046355(JP,A)
【文献】特表2005-505927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/00 - 15/06
F28F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面(116)、外面(118)、及び第1の端(122、214)から第2の端(124、216)へ続く長さ(120)を有する管(112)、
前記内面(116)に沿って前記管(112)の前記長さ(120)の方向に延在する突起部(114)であって、前記突起部(114)の間隔(126)、サイズ(128)、又は形状(130)のうちの少なくとも1つが、前記管(112)の前記第1の端(122、214)と前記管(112)の前記第2の端(124、216)との間で変化する、突起部(114)、並びに
ヒートパイプを熱源に接合するための第1の表面を有する第1のフランジ(210)、及び前記ヒートパイプをヒートシンクに接合するための第2の表面を有する第2のフランジ(212)
を備え、
前記第1のフランジ及び前記第2のフランジは、前記外面から延び、且つ前記管(112)の周方向において、前記第1の表面は前記第2の表面に対してオフセットしており、
前記管(112)、前記第1のフランジ(210)、前記第2のフランジ(212)、及び前記突起部(114)は、モノリシック(125)であり、
前記ヒートパイプは、前記ヒートパイプの長手方向においてそれぞれのフランジ(210,212)の外側に延伸しており、前記第1のフランジ(210)の外側に延伸したヒートパイプの部分の前記突起部の間隔は前記第2のフランジ(212)の外側に延伸したヒートパイプの部分の前記突起部の間隔と異なる、ヒートパイプ(101)。
【請求項2】
前記突起部(114)のうちの少なくとも1つの突起部の高さが、前記管(112)の前記長さ(120)に沿って変化する、請求項1に記載のヒートパイプ(101)。
【請求項3】
前記突起部(114)のうちの少なくとも1つの突起部が、前記第2の端(124、216)に至る前に終端する、請求項1又は2に記載のヒートパイプ(101)。
【請求項4】
前記第1の端(122、214)が蒸発器端であり、前記第2の端(124、216)が凝縮器端であり、前記凝縮器端における突起部(302)の間隔(402)が、前記蒸発器端における突起部(302)の間隔(304)未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載のヒートパイプ(101)。
【請求項5】
前記突起部(114)が、前記第1の端(122、214)から前記第2の端(124、216)へ先細りしている、請求項1から4のいずれか1項に記載のヒートパイプ(101)。
【請求項6】
前記熱源(140)と前記ヒートシンク(142)が、互いに同一平面上にない、請求項1に記載のヒートパイプ(101)。
【請求項7】
前記ヒートパイプ(101)の前記長さ(120)を低減させるように前記第1のフランジ(210)と前記第2のフランジ(212)との間の前記管(112)は実質的に直線(150)であるか、又は湾曲している、請求項6に記載のヒートパイプ(101)。
【請求項8】
プラットフォーム(154)の取り囲む構造物を考慮して、前記プラットフォーム(154)の前記熱源(140)から前記ヒートシンク(142)への最短経路を生み出すように、前記管(112)が湾曲(152)している、請求項1から7のいずれか一項に記載のヒートパイプ(101)。
【請求項9】
前記管(112)の前記長さ(120)の第1の位置における前記突起部(114)の第1の断面(156)が、前記管(112)の前記長さ(120)の第2の位置における前記突起部(114)の第2の断面(158)とは異なっている、請求項1から8のいずれか一項に記載のヒートパイプ(101)。
【請求項10】
付加製造技術を使用して材料(106)をレイダウンし、管(112)、第1のフランジ(210)、第2のフランジ(212)、及び突起部(114)を備えたヒートパイプ(101)を形成することであって、前記管(112)が、内面(116)、外面(118)、及び第1の端(122、214)から第2の端(124、216)へ続く長さ(120)を有し、前記突起部(114)が、前記内面(116)上にあり、前記管(112)の前記長さ(120)の第1の位置における前記突起部(114)の第1の断面(156)が、前記管(112)の前記長さ(120)の第2の位置における前記突起部(114)の第2の断面(158)とは異なるように形成すること、
ヒートパイプを熱源に接合するための第1の表面を有する第1のフランジ(210)、及び前記ヒートパイプをヒートシンクに接合するための第2の表面を有する第2のフランジ(212)を形成することであって、前記第1のフランジ(210)及び前記第2のフランジ(212)は、前記外面(118)から延び、且つ前記管(112)の周方向において、前記第1の表面は前記第2の表面に対してオフセットするように、第1のフランジ及び第2のフランジを形成すること、
前記ヒートパイプ(101)を熱間等方圧プレスして、多孔性を低減させること、及び
前記ヒートパイプ(101)を熱処理して、強度を増加させること
を含み、前記管(112)、前記第1のフランジ(210)、前記第2のフランジ(212)、及び前記突起部(114)は、モノリシック(125)であり、
前記ヒートパイプは、前記ヒートパイプの長手方向においてそれぞれのフランジ(210,212)の外側に延伸しており、前記第1のフランジ(210)の外側に延伸したヒートパイプの部分の前記突起部の間隔は前記第2のフランジ(212)の外側に延伸したヒートパイプの部分の前記突起部の間隔と異なる、方法。
【請求項11】
プラットフォーム(154)の取り囲む構造物を考慮して、前記プラットフォーム(154)の前記熱源(140)から前記ヒートシンク(142)への最短経路を生み出すように、前記管(112)が湾曲(152)している、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ヒートパイプに関し、特に、不均一な断面を有するヒートパイプに関する。更に特に、本開示は、適合した間隔、サイズ、又は形状のうちの少なくとも1つを有する複数の突起部を有するヒートパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートパイプは、ヒートシンクと熱源との間で熱を伝達する。ヒートパイプ内の液体は、熱源からの熱によって蒸発する。蒸気は、ヒートシンクへ移動し、液体に凝縮される。凝縮した液体は、ヒートパイプ内の突起部によって形成された溝を通って、熱源へ戻って来る。
【0003】
今日の通信衛星は、宇宙探査機毎に100を上回るヒートパイプを含む。これらのヒートパイプのほとんど全ては、アルミニウム及びアンモニアのヒートパイプである。従来、ヒートパイプのアルミニウム本体は、押し出し工程によって作られている。押し出された構造物は、パイプの長さ全体を通して均一な断面を有する。
【0004】
押し出し形状は、内部の毛細溝、外部壁又は管、及び、ある場合では、取り付けフランジを含むように設計されている。取り付けフランジは、源とシンクの位置に対して選択的に配置されている。取り付けフランジは、押し出しの後で機械加工される。取り付けフランジを機械加工することによって、取り付けフランジと外部壁との間に溶接又は他の接合部が存在しない。しかし、機械加工の工程は、更なる製造ステップを追加し、望ましくない量の製造時間を追加し得る。
【0005】
押し出しの後で、あるヒートパイプは、実質的に直線的な形状のままであり得る。しかし、ヒートパイプのかなりの部分は、源とシンクの位置に対応するために曲げられる。
【0006】
ヒートパイプの一部は、平坦な幾何学的形状において曲げられている。しかし、最も困難なヒートパイプは、三次元形状に曲げられている。ある場合では、幾何学的形状に対応するために、3回から10回までの曲げが必要とされる。複雑な三次元の幾何学的形状は、かなりの空間を占め、統合させることが困難であり得る。
【0007】
ヒートパイプの長さは、複雑な三次元の幾何学的形状に対応するために増加される。ヒートパイプの長さを増加させることは、ヒートパイプが伝達できる熱の量を低減させる。ヒートパイプの長さを増加させることは、ヒートパイプの重量も増加させる。
【0008】
従来、ヒートパイプの熱負荷を増加させるために、ヒートパイプの断面積が増加され、より大きく重い押し出し(extrusion)をもたらした。少なくともこれらの理由で、ヒートパイプを取り付けるためのフランジを調整することは、相当な複雑さ、長さ、質量、及び熱伝達能力の損失を促進し得る。したがって、少なくとも上述の問題点のうちの幾つかと、起こり得る他の問題点を考慮した方法及び装置を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0009】
例示的な一実施例では、ヒートパイプが提示される。ヒートパイプは、管と突起部を備える。管は、内面、外面、及び第1の端から第2の端へ続く長さを有する。突起部は、内面に沿って管の長さの方向に延在する。突起部の間隔、サイズ、又は形状のうちの少なくとも1つは、管の第1の端と管の第2の端との間で変化する。管と突起は、モノリシックである。
【0010】
別の例示的な一実施例では、ヒートパイプが提示される。ヒートパイプは、管と突起部を備える。管は、内面、外面、及び第1の端から第2の端へ続く長さを有する。突起部は、内面上にある。管の長さの第1の位置における突起部の第1の断面は、管の長さの第2の位置における突起部の第2の断面とは異なっている。管と突起は、モノリシックである。
【0011】
更に別の例示的な一実施例では、ヒートパイプを製造する方法が提示される。積層造形を使用して材料が横たえられ、管と突起部を備えたヒートパイプを形成する。管は、内面、外面、及び第1の端から第2の端へ続く長さを有する。突起部は、内面上にある。管の長さの第1の位置における突起部の第1の断面は、管の長さの第2の位置における突起部の第2の断面とは異なっている。ヒートパイプは、熱間等方圧プレスされて多孔性が低減される。ヒートパイプは、熱処理されて強度が増加する。
【0012】
これらの特徴及び機能は、本開示の様々な実施例で単独で実現してもよいし、更に別の実施例において組み合わせてもよい。以下の説明及び図面を参照して、これらの実施例の更なる詳細を理解することができる。
【0013】
例示的な実施例の特徴と考えられる新規の特性は、添付の特許請求の範囲に明記される。しかし、実施例並びに好ましい使用モード、更なる目的及びそれらの特徴は、添付図面を参照して、本開示の実施例についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】例示的な一実施例による、製造環境のブロック図である。
図2】例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの等角図である。
図3】例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの第1の端の等角図である。
図4】例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの第2の端の等角図である。
図5】例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの断面図である。
図6】例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの断面図である。
図7】例示的な一実施例による、ヒートパイプを製造する方法のフローチャートである。
図8】例示的な一実施例による、データ処理システムをブロック図の形態で示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
種々の例示的な実施例は、1以上の異なる検討事項を認識し考慮する。例えば、例示的な実施例は、押し出しが、製造許容誤差内の均一な断面を生成することを認識し考慮する。
【0016】
別の一実施例として、例示的な実施例は、ヒートパイプの熱伝達能力が、ヒートパイプの長さ及びヒートパイプの溝の設計によって影響されることを認識し考慮する。例示的な実施例は、利用可能な圧力水頭が、次のように表され得ることを認識し考慮する。すなわち、
ΔP-(ΔP+ΔPct)≧ΔP+ΔP
ここで、ΔPは最大毛管水頭であり、ΔPは液体圧力降下であり、ΔPは蒸気圧降下であり、ΔPは重力圧力水頭であり、ΔPctは遠心圧力水頭である。例示的な実施例は、液体圧力降下が、押し出されたアルミニウムとアンモニアのヒートパイプで大きいことを認識し考慮する。例示的な実施例は、ヒートパイプの凝縮器端において低減された圧力降下が、利用可能な圧力水頭を増加させることを認識し考慮する。例示的な実施例は、ヒートパイプの凝縮器端におけるより大きな溝が、凝縮器端における圧力降下を低減させ得ることを認識し考慮する。
【0017】
例示的な実施例は、溶接又は他の種類の接合部が、取り囲むモノリシックな材料よりも弱くなり得ることを更に認識し考慮する。溶接内の材料は、取り囲むバルク材料とは異なる材料特性を有する。例示的な実施例は、モノリシック構造物が、機械加工以外の工程を使用して製造され得ることも認識し考慮する。例えば、例示的な実施例は、機械加工以外の、押し出し、成形、及び他の製造工程が、モノリシック構造物をもたらすことを認識し考慮する。
【0018】
次に、図面、特に、図1を参照すると、例示的な一実施例による、製造環境のブロック図が描かれている。製造環境100は、ヒートパイプ101を形成する設備を含む。描かれているように、製造環境100は、積層造形の設備102を含む。
【0019】
ヒートパイプ101は、積層造形の設備102を使用して形成され得る。従来の機械加工の工程は、材料を形作る又は除去することによって構造物を形成し得る。積層造形の工程は、材料を追加することによって構造物を形成する。特に、積層造形の工程は、材料の連続的な層を追加することによって構造物を形成し得る。積層造形は、所望の部品のオンデマンドな製造を可能にし得る。
【0020】
積層造形の設備102は、三次元プリンター104又は任意の他の所望の積層造形の設備の形態を採り得る。例示的な一実施例では、積層造形の設備102が、複数の層を連続的に形成することによって、ヒートパイプ101を形成し得る。複数の層の各々の厚さは、積層造形の設備102の分解能(resolution)に応じ得る。積層造形の設備102は、材料106からヒートパイプ101を形成し得る。材料106は、金属、金属合金、又は他の所望な種類の材料のうちの少なくとも1つの形態を採り得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1または複数の種々の組み合わせが使用されてもよく、且つ列挙された各アイテムのうちの一つだけが必要とされてもよいということを意味する。換言すると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ、及びいくつかのアイテムが、列挙された中から使用され得ることを意味するが、列挙されたアイテムのすべてが必要となるわけではないことを意味する。アイテムとは、特定の対象物、物品、またはカテゴリであってよい。
【0022】
例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも一つ」は、アイテムA、アイテムA及びアイテムB、若しくはアイテムBを含みうる。この例はまた、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC、若しくはアイテムB及びアイテムCも含み得る。言うまでもなく、これらのアイテムのいずれかの組み合わせが存在し得る。他の例では、「~のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、「2個のアイテムA、1個のアイテムB、及び10個のアイテムC」、「4個のアイテムB及び7個のアイテムC」、又は他の適切な組み合わせであり得る。
【0023】
積層造形の設備102を使用してヒートパイプ101を形成することによって、ヒートパイプ101のレイアウト108が、緊密に制御され得る。積層造形の設備102を使用してヒートパイプ101を形成することによって、ヒートパイプ101のレイアウト108は、ヒートパイプ101の長さ110に沿って均一である必要はない。
【0024】
ヒートパイプ101は、管112と突起部114を含む。ある例示的な実施例では、突起部114が、「フィン」、「ランド」、又は「フィンのような構造物」とも呼ばれ得る。突起部114は「フィン」とも呼ばれ得るが、突起部114は、熱を伝導することが第1の目的ではない。管112は、内面116、外面118、及び第1の端122から第2の端124へ続く長さ120を有する。突起部114は、内面116に沿って管112の長さ120の方向に延在する。
【0025】
管112と突起部114は、材料の単一のブロックから機械加工されないが、管112と突起部114との間に接合部又は溶接は存在しない。管112と突起部114は、モノリシック125である。突起部114の間隔126、サイズ128、又は形状130のうちの少なくとも1つは、管112の第1の端122と管112の第2の端124との間で変化する。
【0026】
突起部114の間隔126、サイズ128、又は形状130のうちの少なくとも1つが変化することによって、突起部114は適合される。突起部114を適合させることによって、ヒートパイプ101の機能は影響を受ける。例えば、ヒートパイプ101の熱伝達能力は、突起部114の間隔126、サイズ128、又は形状130のうちの少なくとも1つを適合させることによって影響を受ける。
【0027】
ある例示的な実施例では、複数の突起部114のうちの少なくとも1つの突起部の高さは、管112の長さ120に沿って変化する。突起部の高さは、管112の内面116から離れるように管112の中心へ向かって突起部が延在する距離である。突起部114は、連続的に又は離散的若しくはステップのようなやり方で、間隔126、サイズ128、又は形状130のうちの少なくとも1つを変化させ得る。ある例示的な実施例では、突起部114が、第1の端122から第2の端124へ先細りしている。他の例示的な実施例では、複数の突起部114のうちの少なくとも1つの突起部が、第2の端124に至る前に終端する。
【0028】
突起部114と内面116は、溝131を形成する。溝131は、ヒートパイプ101内の作動流体132を移送する。溝131は、毛細管現象又は重力のうちの少なくとも一方によって、作動流体132を移送する。回転力がない重力ゼロの環境では、毛細管現象による力が、作動流体132を動かす全ての仕事を行う。これらの環境では、溝131が、「毛細溝」とも呼ばれ得る。「逆流(reflux)」動作では、重力の助けが存在する。
【0029】
作動流体132は、第1の端122で蒸発し、第2の端124へ移動する。作動流体132は、第2の端124で凝縮し、溝131を使用して第1の端122へ戻る。溝131の位置、形状、及びサイズは、突起部114の間隔126、サイズ128、及び形状130を制御することによって制御される。
【0030】
ある例示的な実施例では、突起部114の設計が、ヒートパイプ101内の作動流体132に作用する溝131の毛細管現象のポンピング機能を改良する。ある例示的な実施例では、第1の端122が蒸発器端134であり、第2の端124が凝縮器端136であり、蒸発器端134における突起部114の間隔126は、凝縮器端136における突起部114の間隔126未満である。
【0031】
ある例示的な実施例では、第1の端122が蒸発器端134であり、第2の端124が凝縮器端136である。これらの例示的な実施例では、突起部114の設計が、熱が凝縮器端136に加えられたときに蒸発器に伝達される熱負荷を大幅に制限する。
【0032】
ある例示的な実施例では、ヒートパイプ101が、外面118から延在するフランジ138を含む。これらの例示的な実施例では、管112、突起部114、及びフランジ138が、モノリシックである。モノリシックであることにより、識別され得る接合部が存在しない。したがって、フランジ138は、管112に溶接されず、又はさもなければ管112に接合されない。
【0033】
ある例示的な実施例では、フランジ138が、互いに対して面外にある(out of plane)。フランジ138は、互いに同一平面上にない熱源140とヒートシンク142に連結(interface with)されるように形作られ配置される。描かれているように、フランジ138は、フランジ144とフランジ146を含む。フランジ144は、ヒートパイプ101を熱源140に接合する。フランジ146は、ヒートパイプ101をヒートシンク142に接合する。
【0034】
ある例示的な実施例では、フランジ146が、ヒートパイプ101の長さ110を低減させるように形作られ配置される。ヒートパイプ101の長さ110を低減させることは、ヒートパイプ101の熱伝達能力を増加させる。ある例示的な実施例では、ヒートパイプ101が、熱源140からヒートシンク142へ、最短の三次元経路を提供する。
【0035】
管112は、形状148を有する。これらの実施例のうちの幾つかでは、管112が、実質的に直線的150である。管112が実質的に直線的150であるときに、ヒートパイプ101の長さ110は、最小化され得る。他の例示的な実施例では、管112が、湾曲152している。熱源140とヒートシンク142を有するプラットフォーム154の構成要素の幾何学的形状を考慮して、管112は湾曲152し得る。
【0036】
プラットフォーム154は、任意の所望の形態を採り得る。例示的な一実施例のための例示的な実施例が、人工衛星に関して説明されているが、例示的な一実施例は、他の種類のプラットフォームに適用されてもよい。プラットフォーム154は、例えば、移動式プラットフォーム、固定式プラットフォーム、陸上構造物、水上構造物、又は宇宙構造物であってもよい。より具体的には、プラットフォーム154が、水上艦、戦車、人員運搬機、列車、宇宙探査機、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、製造設備、建造物、及び他の適切な種類のプラットフォームであり得る。更に、プラットフォーム154は、小さいスケールであってもよく、又は、携帯電話、タブレット、コンピュータ、若しくは他の適切な種類のプラットフォームなどの、手で扱えるデバイスであってもよい。
【0037】
ある例示的な実施例では、ヒートパイプ101が、管112と突起部114を備える。管112は、内面116、外面118、及び第1の端122から第2の端124へ続く長さ120を有する。突起部114は、内面116上にある。管112の長さ120の第1の位置における突起部114の第1の断面156は、管112の長さ120の第2の位置における突起部114の第2の断面158とは異なり、管112と突起部114は、モノリシック125である。
【0038】
ある例示的な実施例では、複数の突起部114のうちの少なくとも1つの突起部の高さが、管112の長さ120に沿って変化する。ある例示的な実施例では、複数の突起部114のうちの少なくとも1つの突起部が、第2の端124に至る前に終端する。ある例示的な実施例では、突起部114が溝131を形成する。溝131は、複数の連続的に変化する溝である。
【0039】
積層造形の設備102は、ヒートパイプ形成システム160の一部分であり得る。ヒートパイプ形成システム160は、データベース162、コンピュータ援用設計ソフトウェア164、コントローラ166、及び熱処理の設備168も含み得る。
【0040】
熱処理の設備168は、積層造形の設備102によって材料106が横たえられた後で、ヒートパイプ101の材料106の材料特性を修正する、任意の所望の設備を含む。例えば、熱処理の設備168は、熱間等方圧プレス、焼き戻し、又は任意の他の所望の熱処理工程を実行する、幾つかの加熱炉、オートクレーブ、又は他の設備を含み得る。
【0041】
描かれているように、三次元プリンター104などの積層造形の設備102は、データベース162に記憶された三次元モデル170に基づいて、ヒートパイプ101を形成するために使用され得る。この例示的な実施例では、データベース162が、三次元モデル170などのモデルを記憶するように構成された、記憶デバイスであり得る。
【0042】
ある例示的な実施例では、三次元モデル170が、ヒートパイプ101を形成するために使用され得る。ある例示的な実施例では、三次元モデル170が、ヒートパイプ101を形成するための指示命令172を生成するために使用される、データファイルであり得る。ある例示的な実施例では、三次元モデル170が、プラットフォーム154に関するデータを使用して形成されたデータファイルであり得る。例えば、三次元モデル170は、熱源140とヒートシンク142との間の熱伝達の所望の量、プラットフォーム154内の熱源140の位置、プラットフォーム154内のヒートシンク142の位置、プラットフォーム154の第2の構造物、又は任意の他のプラットフォーム154の特性を考慮し得る。
【0043】
示されているように、コントローラ166は、積層造形の設備102が所望のやり方でヒートパイプ101を形成するように、三次元モデル170に基づいて、積層造形の設備102のための指示命令172を生成するように構成された、デバイスであり得る。この例示的な実施例では、コントーラ166が、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにおいて実装され得る。ソフトウェアが使用されるときに、コントローラ166によって実行される動作は、例えば、非限定的に、プロセッサユニットで動作するように構成されたプログラムコードを使用して実装され得る。ファームウェアが使用されるときに、コントローラ166よって実行される動作は、例えば、非限定的に、プロセッサユニットで動作するように永続メモリに記憶されたプログラムコードとデータとを使用して実装され得る。
【0044】
ハードウェアが用いられるときに、ハードウェアは、コントローラ166によって実行される動作を実行するように動作する、1以上の回路を含み得る。実装に応じて、ハードウェアは、回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、又は任意の数の動作を実行するよう構成された、何らかの他の適切な種類のハードウェアデバイスの形態を採り得る。
【0045】
プログラマブル論理デバイスは、特定の工程を実行するように構成されていてよい。このデバイスは、これらの工程を実行するように恒久的に構成されていてよいか、又は再構成可能であってよい。プログラマブル論理デバイスは、例えば、非限定的に、プログラマブル論理アレイ、プログラマブルアレイ論理、フィールドプログラマブル論理アレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又は他の何らかの種類のプログラマブルハードウェアデバイスの形態を採り得る。
【0046】
ある例示的な実施例では、コントローラ166によって実行される、動作、工程、又はそれらの両方が、無機構成要素と一体化した有機構成要素を使用して実行することができる。ある場合では、動作、工程、又はそれらの両方が、全体を通して、人間以外の有機構成要素によって実行され得る。例示的な一実施例として、有機半導体の回路を使用して、これらの動作、工程、又はそれらの両方を実行することができる。この例示的な一実施例では、コントローラ166が、コンピュータシステム174に実装され得る。他の例示的な実施例では、コントローラ166が、コンピュータシステム174から遠隔であり得る。
【0047】
描かれているように、指示命令172は、積層造形の設備102によって実行可能なコマンドであり得る。コントローラ166は。積層造形の設備102のために使用可能な形態にある指示命令172を生成し得る。その後、指示命令172は、積層造形の設備102に送信され、それによって、積層造形の設備102は、材料106からヒートパイプ101を形成し得る。指示命令172は、無線通信リンク、有線通信リンク、別の適切な種類の通信媒体、又はそれらの組み合わせを介して、積層造形の設備102に送信され得る。
【0048】
図1の製造環境100の、より具体的には、図1のヒートパイプ101及びヒートパイプ形成システム160並びにヒートパイプ形成システム160内の構成要素の図は、例示的な実施例が実装され得るやり方に対する物理的又は構造的な制限を示唆することを、意図していない。示されている構成要素に加えて又は代えて、他の構成要素が使用されてもよい。幾つかの構成要素は、任意選択的であってよい。更に、ブロックは、幾つかの機能的な構成要素を示すために提示されている。例示的な実施例で実施されるときに、これらのブロックのうちの1以上が、結合、分割、又は異なるブロックに結合且つ分割されてよい。
【0049】
例えば、材料106は、単一の材料である必要はない。ある例示的な実施例では、材料106が、2以上の材料であり得る。
【0050】
次に、図2を参照すると、例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの等角図が描かれている。ヒートパイプ200は、図1のヒートパイプ101の物理的な一実施態様である。ヒートパイプ200は、管202、及び管202の外面206から延在するフランジ204を含む。管202とフランジ204は、モノリシックである。
【0051】
描かれているように、管202は、実質的に直線的であり長さ208を有する。描かれているように、フランジ204のうちのフランジ210とフランジ212は、互いに対して面外である。それらのフランジは、互いに同一平面上にない熱源とヒートシンクに連結されるように形作られ配置されている。
【0052】
描かれているように、フランジ204は、ヒートパイプ200の長さ208を低減させるように、形作られ配置されている。ヒートパイプ200は、少なくとも、熱源とヒートシンクから熱を伝達するのに十分な長さを有し得る。長さ208は、ヒートパイプ200を、熱源とヒートシンクに連結させるのに十分である。例えば、第1の端214は、プラットフォームの蒸発器に連結され、第2の端216は、プラットフォームの凝縮器に連結され得る。
【0053】
次に、図3を参照すると、例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの第1の端の等角図が描かれている。ビュー300は、図2の管202の第1の端214の図である。設置されたときに、第1の端214は、プラットフォームの蒸発器に取り付けられ得る。第1の端214は、「蒸発器端」と呼ばれ得る。
【0054】
描かれているように、第1の端214は、視認できる突起部302を有する。突起部302は、第1の端214において間隔304と高さ306を有する。突起部302は、図2で示されているヒートパイプ200の長さ208と同じ程度の長さを有する。突起部302の一部は、ヒートパイプ200の長さ208の全体と等しく延在しなくてもよい。ある例示的な実施例では、複数の突起部302のうちの少なくとも1つの突起部が、形状又はサイズのうちの少なくとも一方を変化させる。
【0055】
次に、図4を参照すると、例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの第2の端の等角図が描かれている。ビュー400は、図2の管202の第2の端216の図である。設置されたときに、第2の端216は、プラットフォームの凝縮器に取り付けられ得る。第2の端216は、凝縮器端と呼ばれ得る。
【0056】
描かれているように、第2の端216は、視認できる突起部302を有する。突起部302は、第2の端216おいて間隔402と高さ404を有する。突起部302は、ヒートパイプ200の長さ208と同じ程度の長さを有する。突起部302の一部は、ヒートパイプ200の長さ208の全体と等しく延在しなくてもよい。ある例示的な実施例では、複数の突起部302のうちの少なくとも1つの突起部が、形状又はサイズのうちの少なくとも一方を変化させる。
【0057】
描かれているように、間隔402は、図3の間隔304未満である。第1の端214において存在しない更なる突起部が第2の端216において存在するので、間隔402は、間隔304未満である。この例示的な実施例では、第2の端216における突起部の高さ404が、第1の端214における突起部の高さ306と実質的に同じである。
【0058】
図3及び図4で見られ得るように、第1の端214における断面は、第2の端216における断面と同じではない。したがって、ヒートパイプ200の断面は、不均一であり、押し出しを使用して直接的に製造することはできない。
【0059】
次に、図5を参照すると、例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの断面図が描かれている。ヒートパイプ500は、図1のヒートパイプ101の物理的な一実施態様である。ヒートパイプ500は、図2のヒートパイプ200の内側の物理的な一実施態様であり得る。
【0060】
描かれているように、描写の単純さだけのために、ヒートパイプ500は、図5において複数のフランジを有さない。しかし、ヒートパイプ500は、望ましくは、熱源とヒートシンクに連結される、任意の数、位置、又は形状のフランジを有し得る。
【0061】
描かれているように、ヒートパイプ500は、内面504、外面506、及び第1の端510から第2の端512へ続く長さ508を有する、管502を有する。突起部514は、管502とモノリシックである。突起部514は、内面504に沿って管502の長さ508の方向に延在する。描かれているように、突起部514の各々は、第1の端510から第2の端512へ延在する。
【0062】
描かれているように、突起部514の各々は、第2の端512から第1の端510へ高さが減少する。突起部514の高さを低減させることは、ヒートパイプ500の不均一な断面を生成する。突起部514の形状は、ヒートパイプ500の熱抵抗性に影響を与える。
【0063】
溝516は、突起部514と内面504によって形成されている。突起部514の高さを変更することによって、溝516の形状は、第1の端510から第2の端512へ変化する。溝516を適合させることは、ヒートパイプ500の伝達能力を増加させ得る。長さ508に沿って溝516を所望の形状に適合させることによって、伝達能力は2倍以上増加され得る。溝516を適合させることによって、より小さいヒートパイプ500のサイズがもたらされ得る。ヒートパイプ500のサイズを低減させることは、ヒートパイプ500の長さ508又は直径のうちの少なくとも一方を低減させることを含む。ヒートパイプ500のサイズを低減させることによって、ヒートパイプ500の重量も低減される。
【0064】
次に、図6を参照すると、例示的な一実施例による、不均一な断面を有するヒートパイプの断面図が描かれている。ヒートパイプ600は、図1のヒートパイプ101の物理的な一実施態様である。ヒートパイプ600は、図2のヒートパイプ200の内側の物理的な一実施態様であり得る。
【0065】
描かれているように、描写の単純さだけのために、ヒートパイプ600は、図6において複数のフランジを有さない。しかし、ヒートパイプ600は、望ましくは、熱源とヒートシンクに連結される、任意の数、位置、又は形状のフランジを有し得る。
【0066】
描かれているように、ヒートパイプ600は、内面604、外面606、及び第1の端610から第2の端612へ続く長さ608を有する、管602を有する。突起部614は、管602とモノリシックである。突起部614は、内面604に沿って管602の長さ608の方向に延在する。描かれているように、突起部614の一部は、第2の端612から第1の端610へ完全に延在しない。描かれているように、突起部614の数は、第2の端612から第1の端610へ減少している。
【0067】
描かれているように、突起部614の第1の組616が、第2の端612から第1の端610に向けて延在し、位置617で終端する。第1の端610に至る前に突起部614の第1の組616を終端させることは、ヒートパイプ600の不均一な断面を生成する。
【0068】
溝618は、突起部614と内面604によって形成されている。第1の端610から第2の端612へ突起部614の数を低減させることによって、溝618の形状は、第1端610から第2の端612へ変化する。溝618を適合させることは、ヒートパイプ600の伝達能力を増加させ得る。長さ608に沿って溝618を所望の形状に適合させることによって、伝達能力は2倍以上増加され得る。溝618を適合させることによって、より小さいヒートパイプのサイズがもたらされ得る。
【0069】
次に、図7を参照すると、例示的な一実施例による、ヒートパイプを製造する方法のフローチャートが描かれている。方法700は、図1のヒートパイプ101を形成するために使用され得る。方法700は、それぞれ、図2図5、及び図6の、ヒートパイプ200、ヒートパイプ500、又はヒートパイプ600のうちの何れかを形成するために使用され得る。
【0070】
方法700は、積層造形を使用して材料を横たえて、管と突起部を備えたヒートパイプを形成する。管は、内面、外面、及び第1の端から第2の端へ続く長さを有する。突起部は、内面上にある。管の長さの第1の位置における突起部の第1の断面は、管の長さの第2の位置における突起部の第2の断面とは異なる(工程702)。方法700は、ヒートパイプを熱間等方圧プレスして、多孔性を低減させ、強度を増加させる(工程704)。方法700は、ヒートパイプを熱処理して、強度を増加させる(工程706)。その後、このプロセスは終了する。
【0071】
描かれた異なる実施例でのフローチャート及びブロック図は、例示的な一実施例の装置及び方法の幾つかの可能な実施態様の構造、機能、及び工程を示している。これに関し、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、1つの工程又はステップの、1つのモジュール、セグメント、機能、及び/又はそれらの一部分を表わし得る。
【0072】
例示的な実施例の幾つかの代替的な実施態様では、ブロックに記載された1以上の機能が、図中に記載の順序を逸脱して起こることがある。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックがほぼ同時に実行されること、又は時には含まれる機能に応じて、ブロックが逆順に実施されることもあり得る。更に、フローチャート又はブロック図に描かれているブロックに加えて、他のブロックが追加されることもある。
【0073】
例えば、方法700では、積層造形を使用して材料を横たえることが、外面から延在するフランジを形成することを更に含み得る。フランジは、互いに対して任意の角度を付けられている。別の一実施例として、方法700では、プラットフォームの取り囲む構造物を考慮して、プラットフォームの熱源からヒートシンクへの最短経路を生み出すように管が湾曲している。
【0074】
次に、図8を参照すると、例示的な実施例によるデータ処理システムが、ブロック図の形態で描かれている。図1のコンピュータシステム174を実施するために、データ処理システム800が使用され得る。示されるように、データ処理システム800は、プロセッサユニット804と、記憶デバイス806と、通信ユニット808と、入出力ユニット810と、ディスプレイ812との間に通信を提供する、通信フレームワーク802を含む。ある場合には、通信フレームワーク802は、バスシステムとして実装され得る。
【0075】
プロセッサユニット804は、任意の数の操作を実施するソフトウェアのための指示命令を実行するように構成されている。プロセッサユニット804は、実装に応じて、任意の数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、及び/又は他の種類のプロセッサを備えてもよい。ある場合には、プロセッサユニット804は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイスといったハードウェアユニット、または他の適切な型のハードウェアユニットの形態を採り得る。
【0076】
オペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又はプロセッサユニット804によって実行されるプログラムに対する指示命令は、記憶デバイス806に配置されてもよい。記憶デバイス806は、通信フレームワーク802を通じてプロセッサユニット804と通信可能であってよい。本明細書で使用されているように、記憶デバイスは、コンピュータ-可読記憶デバイスとも称され、一時的に及び/又は恒久的に情報を保存することが可能な任意のハードウェアである。この情報は、限定するものではないが、データ、プログラムコード、及び/又はその他の情報を含み得る。
【0077】
メモリ814及び固定記憶域816は、記憶デバイス806の一例である。メモリ814は、例えば、ランダムアクセスメモリ又は何らかの種類の揮発性又は不揮発性の記憶デバイスの形態を採り得る。固定記憶域816は任意の数の構成要素又はデバイスを含み得る。例えば、固定記憶域816は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え型光ディスク、書換え型磁気テープ、又はそれらの何らかの組み合わせを含み得る。固定記憶域816によって使用される媒体は着脱式であってもよく、着脱式でなくてもよい。
【0078】
通信ユニット808により、データ処理システム800は、他のデータ処理システム及び/又はデバイスと通信することができる。通信ユニット808は、物理的な及び/又は無線の通信リンクを用いて通信することができる。
【0079】
入出力ユニット810は、データ処理システム800に接続された他の装置との間で、入力の受信、及び出力の送信を可能にする。例えば、入出力ユニット810は、キーボード、マウス、及び/又は他の何らかの種類の入力デバイスを介してユーザ入力を受信することができる。別の例として、入出力ユニット810は、データ処理システム800に接続されたプリンターへの出力の送信を可能にし得る。
【0080】
ディスプレイ812は、ユーザに対して情報を表示するよう構成されている。ディスプレイ812は、例えば、限定するものではないが、モニタ、タッチスクリーン、レーザーディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、仮想表示デバイス、及び/又は他の何らかの種類のディスプレイデバイスを含み得る。
【0081】
この例示的な実施例では、異なる例示的な実施例の処理は、コンピュータに実装される指示命令を用いてプロセッサユニット804によって実施されてもよい。これらの指示命令は、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと称されることがあり、且つ、プロセッサユニット804内の1以上のプロセッサによって読み取られ実行され得る。
【0082】
これらの実施例では、プログラムコード818は、選択的に着脱可能なコンピュータ可読媒体820に機能的な形態で配置され、且つ、プロセッサユニット804によって実行するために、データ処理システム800に読込み又は転送することができる。プログラムコード818及びコンピュータ可読媒体820は、合わせてコンピュータプログラム製品822を形成する。この例示的な実施例では、コンピュータ可読媒体820は、コンピュータ可読記憶媒体824又はコンピュータ可読信号媒体826であってよい。
【0083】
コンピュータ可読記憶媒体824は、プログラムコード818を伝播または伝送する媒体というよりは、むしろ、プログラムコード818を保存するために使用される、物理的な又は有形の記憶デバイスである。コンピュータ-可読記憶媒体824は、例えば、限定するものではないが、データ処理システム800に結合される光又は磁気ディスク、或いは固定記憶デバイスの形態を採り得る。
【0084】
別の態様では、プログラムコード818は、コンピュータ可読信号媒体826を使用して、データ処理システム800に伝送され得る。コンピュータ可読信号媒体826は、例えば、プログラムコード818を包含する伝播されたデータ信号であってもよい。このデータ信号は、物理的な、及び/又は無線の通信リンクを介して伝送されることが可能な、電磁信号、光信号、及び/又は他の何らかの種類の信号であってもよい。
【0085】
図8のデータ処理システム800の図は、例示的な実施例が実装され得るやり方に対する、構造的な限定を提示することを意図していない。種々の例示的な実施例は、データ処理システム800に関して示されている構成要素に追加的な、又は代替的な構成要素を含む、データ処理システム内に実装され得る。更に、図8に示した構成要素は、例示的な実施例と異なることがあり得る。
【0086】
例示的な実施例は、不均一な断面を有するヒートパイプを形成するための方法及び装置を提供する。より具体的には、例示的な実施例は、プラットフォームの熱伝達のために適合された溝を有するヒートパイプを形成するための方法及び装置を提供する。
【0087】
積層機械加工(additive machining)は、ポンピングが困難ではない場合に、より大きい溝を使用することによって、凝縮器端における低減された圧力降下を可能にする。溝の形状は、所望のポンピングを提供するように最適化され得る。一実施例では、溝の形状が、通路に沿って複数のステップで変化する。別の一実施例では、溝の形状が、ステップのようなやり方ではなくむしろ連続的なやり方で変化する。
【0088】
今日のヒートパイプは、押し出しによって製造された内部に溝が付けられた毛細壁構造を使用する。フランジを含む、これらの管の幾何学的断面形状は、長さ全体を通して均一である。これらの例示的な実施例は、壁構造を生成するために積層機械加工を使用する。このアプローチは、長さに沿って溝の形状及び数を適合させることを可能にし、改良された熱伝達をもたらす。その上、ヒートパイプの輪郭は、源からシンクへの最短の三次元経路を生み出すように形作られ得る。熱源とヒートシンクに連結されることを必要とする外部のフランジは、最も容易な設置を伴う最短経路を可能にするための最適な形状及び位置を追加される。
【0089】
熱源とヒートシンクの伝達面が互いに対してランダムな合成角にあり、すなわち、互いに対して平面内に整列しておらず又は垂直ではない幾何学的形状において、宇宙探査機及び他のプラットフォーム内で熱源からヒートシンクへ熱を効率的に伝達することが可能になる。
【0090】
今日の押し出しヒートパイプでは、オペレータが、熱の入力と出力(源とシンク)の表面に合致する均一に押し出されたフランジを取得するために、ヒートパイプの長さに沿って7回又は8回の曲げを課すことに直面し得る。これは、ヒートパイプを、製造することが高価な、より長い、(長さのために)より少ない熱の移動を可能にする、より重いものにする。これらのヒートパイプは、設計することも非常に困難であり、高価な開発労力をもたらす。これらの三次元曲げヒートパイプは、大きな空間も占め、したがって、他の宇宙探査機のハードウェアに対して制限的であり、統合することが困難である。今日の押し出しヒートパイプの長さに沿って均一な溝の形状を有する場合、設計者は、圧力降下を低減させるために凝縮器から蒸発器への液体の容易な流れを促進するという目的で、高度な毛細管現象のポンピングを提供するために溝を小さくするという望みをバランスさせる。このバランスは、不可避的に、できるだけ多くの流体がポンプされるように十分に小さい溝と、流体を通過させるために十分に大きい溝と、の妥協点をもたらす。積層造形では、溝の寸法が、ヒートパイプの長さに沿って適合され、ヒートパイプの熱伝達能力における2倍以上の増加を提供することができる。
【0091】
積層機械加工では、ヒートパイプが、熱源とヒートシンクの熱伝達面に合うように形状が最適化されたフランジを有する、熱源からヒートシンクへの最短の又は最も便利な経路を取得するように設計され得る。同様に、ヒートパイプの内部溝構造は、ヒートパイプの長さに沿って最適化され、蒸発器における最大ポンピング水頭(最も小さい溝)及びヒートパイプの凝縮器端における伝達の最小粘性圧力降下を提供することができる。積層造形は、平坦な熱の入力面及び出力面からの熱伝達を優れて促進し、したがって、今日のヒートパイプの金属フランジにおける温度差を低減させるために、より平坦な断面を有するように円筒形状ではないヒートパイプを製造することも可能にする。より平坦なヒートパイプは、ヒートパイプ内の内部圧力と結果としての力に反作用することができず、その圧力下でより変形又は破裂し易い傾向がある。より平坦な構成は、より平坦な外部壁を支持するために、内的に又は外的にの何れかで、特徴を強化することを含み得る。例えば、補強材又はブレースが、より平坦な外部壁を支持するために存在し得る。
【0092】
ヒートパイプのための溝の適合させることは、ヒートパイプが、熱源からヒートシンクへの最短の又は最も便利な経路を採ることを可能にする。例示的な実施例のヒートパイプは、増加された熱負荷能力を有し得る。更に、例示的な実施例のヒートパイプは、低減された質量も有し得る。ヒートパイプのために溝を適合させることは、ヒートパイプに対してより複雑でない形状をもたらし得る。より複雑でないヒートパイプは、プラットフォーム内に統合させることがより容易である。
【0093】
例示的な実施例は、ヒートパイプを曲げる必要がなく、結果として工程中のステップを1つ少なくすることをもたらす。例示的な実施例は、必要な場合に円周に独立して配置されたフランジを有し得る。最適な形状を有するフランジは、熱抵抗性を低減させるという特徴を含む。例えば、ヒートパイプとフランジとの間の熱の流れの伝達を改良するために、ガセット板が配置され得る。
【0094】
適合されたヒートパイプは、より少ない及び/又はより小さいヒートパイプをもたらし得る。適合されたヒートパイプは、低減された質量及び費用をもたらし得る。
【0095】
溝構造は、ヒートパイプの長さに沿って適合され得る。部分的な熱ダイオード効果が、回復力のために組み込まれ得る。ヒートパイプの端キャップが、部品と工程の数を低減させるために含まれ得る。
【0096】
粗さが、積層造形からもたらされ得る。ヒートパイプにおける粗さは、Q×Leffを低減させ、沸騰をもたらし得る。しかし、粗さは、逆流に対して優れている。積層造形によるヒートパイプ内の粗さは、熱間等方圧プレスなどの熱処理によって低減され得る。
【0097】
例示的な実施例は、管の内側を下へ向かって延在する際に、内部のフィンが密度又は高さの何れか(又は両方)を変化させる、ヒートパイプのための方法及び装置を提供する。したがって、ウィッキング材料の断面積が、管の長さを通して変化する。これらの例示的な実施例は、ポンピング機能を改良する。
【0098】
ヒートパイプの例示的な一実施例は、可変毛細壁構造を有することとなる。ある例示的な実施例では、ヒートパイプが、フィンがヒートパイプの断面を越えて先細りしている、連続的な可変毛細壁構造を有する。
【0099】
生み出された可変断面を有する溝が付けられたヒートパイプのための装置は、積層機械加工を使用して生産される。この構造的形態は、軸方向に溝が付けられた押し出されたヒートパイプからは、生産することができない。
【0100】
その設計は、長さに沿った溝の形状及び数の適合を可能にし、改良された熱伝達をもたらす。この可変断面は、熱伝達のニーズに対するカスタマイズを可能にする。
【0101】
ヒートパイプの輪郭は、熱源からヒートシンクへの最短の三次元経路を生み出すように形作られ得る。熱源とヒートシンクに連結されるために使用される外側のフランジは、最も容易な設置を伴う最短経路を可能にするための最適な形状及び位置を追加される。これは、より短いヒートパイプが設計されることを可能にする。更に、フランジをオフセット角度において付けることは、ヒートパイプが、ヒートパイプを曲げることによる製造上の影響なしに、2つの任意に方向付けられた位置から熱を移動させることを可能にする。
【0102】
その設計は、凝縮器に対して蒸発器の近くで、より大きい密度の溝を可能にする。蒸発器の近くの溝の、このより大きな密度は、ヒートパイプがより多くの熱を伝達することを可能にする。
【0103】
熱源からヒートシンクへ効率的に熱を移動させることは、源及びシンクの熱伝達面が互いに対してランダムな角度にある幾何学的形状にある、宇宙探査機及び他のプラットフォーム内では困難である。
【0104】
例示的な実施例の特徴のうちの1つは、軸方向に溝が付けられた押し出されたヒートパイプにとっては形成されることができない構造的形状を実現できる、積層機械加工の能力である。ヒートパイプの一部の実施例は、管の内側を下へ向かって延在する際に、密度又は高さの何れか(又は両方)を変化させる内部のフィンを有し、したがって、ヒートパイプに沿って断面積が変化する。三次元プリンティングは、フランジを所望の位置及び形状で付ける能力などの、特徴を提供する。フランジを付ける、この能力は、かなり短いヒートパイプを可能にする。
【0105】
説明された従来のヒートパイプの複雑な三次元形状は、フランジをヒートシンクと熱源の位置に合致させるために、押し出しを曲げる(捩じりではない)という必要性を強制される。積層機械加工のコンセプトは、より短い、より能力が高い、より軽い積層造形されたヒートパイプを用いて、これを行うことを可能にする。他の利点は、蒸発器から凝縮器へ溝が進行する際に、溝構造を変化させることによって取得され得る。
【0106】
種々の実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的な説明であること、又は開示された形態の実施例に限定することを、意図しているわけではない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。更に、異なる実施例は、他の実施例とは異なる特徴を提供することができる。選択された1つ又は複数の実施例は、実施例の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施例の開示内容と、考慮される特定の用途に適した様々な修正例との理解を促すために選択及び記述されている。
【0107】
更に、本開示は下記の条項に係る実施例を含む。
条項1
内面、外面、及び第1の端から第2の端へ続く長さを有する管、及び
前記内面に沿って前記管の前記長さの方向に延在する突起部であって、前記突起部の間隔、サイズ、又は形状のうちの少なくとも1つが、前記管の前記第1の端と前記管の前記第2の端との間で変化する、突起部を備え、
前記管と前記突起部がモノリシックである、ヒートパイプ。
条項2
前記突起部のうちの少なくとも1つの突起部の高さが、前記管の前記長さに沿って変化する、条項1に記載のヒートパイプ。
条項3
前記突起部のうちの少なくとも1つの突起部が、前記第2の端に至る前に終端する、条項1に記載のヒートパイプ。
条項4
前記第1の端が蒸発器端であり、前記第2の端が凝縮器端であり、前記蒸発器端における突起部の間隔が、前記凝縮器端における突起部の間隔未満である、条項1に記載のヒートパイプ。
条項5
前記突起部が、前記第1の端から前記第2の端へ先細りしている、条項1に記載のヒートパイプ。
条項6
前記外面から延在するフランジを更に備え、前記管、前記突起部、及び前記フランジが、モノリシックである、条項1に記載のヒートパイプ。
条項7
前記フランジが、互いに対して面外にある、条項6に記載のヒートパイプ。
条項8
前記フランジが、互いに同一平面上にない熱源とヒートシンクに連結されるように形作られ配置されている、条項6に記載のヒートパイプ。
条項9
前記フランジが、前記ヒートパイプの前記長さを低減させるように形作られ配置されている、条項8に記載のヒートパイプ。
条項10
前記突起部の設計が、前記ヒートパイプ内の作動流体の毛細管現象のポンピング機能を改良する、条項1に記載のヒートパイプ。
条項11
プラットフォームの取り囲む構造物を考慮して、前記プラットフォームの熱源からヒートシンクへの最短経路を生み出すように、前記管が湾曲している、条項1に記載のヒートパイプ。
条項12
前記第1の端が蒸発器端であり、前記第2の端が凝縮器端であり、前記突起部の設計が、熱が前記凝縮器端に加えられたときに蒸発器に伝達される熱負荷を大幅に制限する、条項1に記載のヒートパイプ。
条項13
内面、外面、及び第1の端から第2の端へ続く長さを有する管、及び
前記内面上にある突起部を備え、
前記管の前記長さの第1の位置における前記突起部の第1の断面が、前記管の前記長さの第2の位置における前記突起部の第2の断面とは異なり、前記管と前記突起部がモノリシックである、ヒートパイプ。
条項14
前記突起部のうちの少なくとも1つの突起部の高さが、前記管の前記長さに沿って変化する、条項13に記載のヒートパイプ。
条項15
前記突起部のうちの少なくとも1つの突起部が、前記第2の端に至る前に終端する、条項13に記載のヒートパイプ。
条項16
前記ヒートパイプが、熱源からヒートシンクへの最短の三次元経路を提供する、条項13に記載のヒートパイプ。
条項17
前記突起部が、複数の連続的な可変溝を形成する、条項13に記載のヒートパイプ。
条項18
積層造形を使用して材料を横たえて、管と突起部を備えたヒートパイプを形成することであって、前記管が、内面、外面、及び第1の端から第2の端へ続く長さを有し、前記突起部が、前記内面上にあり、前記管の前記長さの第1の位置における前記突起部の第1の断面が、前記管の前記長さの第2の位置における前記突起部の第2の断面とは異なる、形成すること、
前記ヒートパイプを熱間等方圧プレスして、多孔性を低減させること、及び
前記ヒートパイプを熱処理して、強度を増加させることを含む、方法。
条項19
積層造形を使用して前記材料を横たえることが、前記外面から延在するフランジを形成することを更に含み、前記フランジが、互いに対して任意の角度を付けられている、条項18に記載の方法。
条項20
プラットフォームの取り囲む構造物を考慮して、前記プラットフォームの熱源からヒートシンクへの最短経路を生み出すように、前記管が湾曲している、条項18に記載の方法。
図1
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図8