(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】動作に対する制約を特徴付けるロボットおよびロボットを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20221101BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20221101BHJP
A61B 90/25 20160101ALI20221101BHJP
【FI】
B25J9/10 A
A61B34/30
A61B90/25
(21)【出願番号】P 2017520392
(86)(22)【出願日】2015-10-30
(86)【国際出願番号】 GB2015053280
(87)【国際公開番号】W WO2016071674
(87)【国際公開日】2016-05-12
【審査請求日】2018-09-06
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-07
(32)【優先日】2014-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2015-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516263638
【氏名又は名称】シーエムアール サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー スコーラン
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/020571(WO,A1)
【文献】特表2015-524309(JP,A)
【文献】特開2013-132747(JP,A)
【文献】特開2006-312079(JP,A)
【文献】特表2013-510632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
A61B 34/00-34/37
A61B 90/00-90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースから延びるアームであって、該アームは
(a)複数の剛性アーム部材と、(b)前記ベースと前記複数の剛性アーム部材とを接合し前記アームの形状を可変とする複数のジョイントと、(c)前記複数のジョイントを駆動させる複数のドライバと、(d)各前記ジョイントの位置を検知する複数の位置センサと、(e)前記アームに
ツールシャフトを有するツールを取り付けるため、前記アームの遠位端に設けられ、前記ジョイントによって前記ベースに対する角度姿勢を可変にする取付部とを有しており、
前記複数のドライバを制御し、前記ジョイントの位置を示す前記位置センサからの入力を受信するように構成されていると共に、前記ツールが前記取付部に取り付けられポート内に位置する間、校正モードで操作可能とされている制御ユニットを備えており、
前記制御ユニットは、
(i)前記アームを、前記アームに外力の作用を及ぼすオペレータによって配置される形状に維持し、
前記オペレータが前記アームに及ぼす前記外力の作用により前記アームが
前記ツールシャフトと交差する方向に動き、前記ツール
の前記ツールシャフトが前記ツールシャフトに横方向の力を及ぼす前記ポートと接触し前記ベースに対する前記取付部の姿勢を変更させるように前記ドライバを制御し、
(ii)前記ジョイントの前記位置を示す前記位置センサ入力から、前記オペレータによって前記アームに加えられる多数の外力により配置される前記アームの前記形状
および前記ベースに対する前記取付部の前記姿勢をモニターし、
(iii)モニターされた前記アームの前記形状
および前記ベースに対する前記取付部の前記姿勢から前記アームに加えられる多数の外力について、(a)前記ベースに対する前記アームの前記遠位端の位置と、(b)前記アームの前記遠位端に対する
前記ツールシャフトの長軸方向に対応する前記ツールシャフトのベクトルを推定することにより、かつ、前記ポートの回転中心を前記ツールシャフトの
前記ベクトルが収束する平均位置として推定することにより、前記ポートの回転中心を推定する
ことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記推定された前記ポートの前
記回転中心を記憶するように構成されている請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記制御ユニットは駆動モードで動作可能であり、前記駆動モードにおいて、前記ツールが前記取付部に取り付けられた時に、前記制御ユニットは、(i)前記ツールの一部の所望の位置を示す要求信号を受信して、(ii)前記ツールの前記一部が前記所望の位置にありかつ前記ツールが前記ポートの前記回転中心と交差する前記アームの形状を算出して、(iii)前記アームが前記算出された構成となるように前記ドライバを制御する請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、重力の影響に抵抗するように前記ドライバを制御して、前記重力の影響にかかわらず各前記外力によって課される構成を前記アームに維持させるように構成されている請求項1~3の何れか1項に記載のロボット。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、重力の影響にかかわらず各前記外力下での前記アームの形状の設定に対して限定された抵抗を与えるように前記ドライバを制御するように構成されている請求項1~4の何れか1項に記載のロボット。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、前記アームに取り付けられたツールの所定のしきい値を超えて角度を形成しないように前記ドライバを制御するように構成されている請求項1~5の何れか1項に記載のロボット。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、前記ツールシャフトと平行な方向に向かって、前記アームに取り付けられた前記ツールの所定のしきい値を超えた並進に抗するように、前記ドライバを制御するように構成されている請求項1~6の何れか1項に記載のロボット。
【請求項8】
前記アームは、前記ジョイントの周りに及ぼされる力を感知するための複数の力センサをさらに備えており、前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、前記力センサの出力に応じてさらに前記ドライバを制御するように構成されている請求項1~7の何れか1項に記載のロボット。
【請求項9】
前記制御ユニットは、プロセッサと、前記校正モードを実施するために前記プロセッサによって実行可能な命令のセットを非一時的に記憶するメモリを備えている請求項1~8の何れか1項に記載のロボット。
【請求項10】
前記取付部に取り付けられたツールを備え、前記ツールは外科用ツールである請求項1~9の何れか1項に記載のロボット。
【請求項11】
前記ロボットは、外科用ロボットである請求項1~10の何れか1項に記載のロボット。
【請求項12】
ロボットを制御するための方法であって、
前記ロボットは、ベースと、前記ベースから延びるアームであって、該アームは(a)複数の剛性アーム部材と、(b)前記ベースと前記複数の剛性アーム部材とを接合し前記アームの形状を可変とする複数のジョイントと、(c)前記複数のジョイントを駆動させる複数のドライバと、(d)各前記ジョイントの位置を検知する複数の位置センサと、(e)前記アームに
ツールシャフトを有するツールを取り付けるため、前記アームの遠位端に設けられ、前記ジョイントによって前記ベースに対する角度姿勢を可変にする取付部とを有しており、
前記方法は、
前記ツールが前記取付部に取り付けられかつポート内に位置する間、
前記アームを、前記アームに外力の作用を及ぼすオペレータによって配置される形状に維持し、
前記オペレータが前記アームに及ぼす前記外力の作用により前記アームが
前記ツールシャフトと交差する方向に動き、前記ツール
の前記ツールシャフトが前記ツールシャフトに横方向の力を及ぼす前記ポートと接触し前記ベースに対する前記取付部の姿勢を変更させるように前記ドライバを制御することと、
前記ジョイントの前記位置を表す前記位置センサの入力に基づいて、前記オペレータによって前記アームに加えられる多数の外力により配置される前記アームの前記形状
および前記ベースに対する前記取付部の前記姿勢をモニターすることと、
前記モニターされた前記アームの前記形状
および前記ベースに対する前記取付部の前記姿勢から、前記アームに加えられる多数の外力について、(a)前記ベースに対する前記アームの前記遠位端の位置と、(b)前記アームの前記遠位端に対する
前記ツールシャフトの長軸方向に対応する前記ツールシャフトのベクトルを推定することにより、かつ、前記ポートの回転中心を前記ツールシャフトの
前記ベクトルが収束する平均位置として推定することにより、前記ポートの回転中心を推定すること、を含む
ことを特徴とするロボットを制御するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット、特に外科用ロボットのような機械の動作に対する機械的制約を特徴付けることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、患者9に対して侵襲的な医療処置を行う過程における外科用ロボット1を示している。ロボットは、その長さに沿って複数の可撓性ジョイント3によって連結されたアーム2を備えている。アームの遠位端4が、外科用ツールとされている。外科用ツールは薄い細長いシャフト5を有しており、シャフト5の遠位端には、医療処置に携わるための装置6が設けられている。かかる装置は、例えば、切断、把持または撮像装置であってもよい。外科用ツールは、アームのリストジョイント3aを介してアームに取り付けられている。かかるリストジョイントは、アーム2の大部分が静止している間にシャフト5が延びる方向を調節するように構成可能とされている。外科用ツールは、外科用ポート7を通して患者の体内に挿入される。かかるポートは、患者の外側組織に挿通される中空管8を有しており、ツールが挿入されたり取り除かれたりする場合やロボットが患者の身体内でツールを操作する場合に、患者の外側組織に対する破壊を制限するのに役立っている。
【0003】
患者の外側組織に対する破壊を低減するために、好ましくは、ロボットは、ツールがポートに大きな横方向の力を及ぼすことによって外側組織にストレスを与えないように、ツールを操作することが望ましい。このことを達成するための1つの方法は、ロボットのオペレータが、リストの相対位置を手動で制御して、リストがどこに位置していようとも、ツールがリストから延びてポートの中心を通過するようにすることである。しかしながら、リストの動作と連携してこのようにして手動でツールの姿勢を制御することは、作業者に高い作業負荷を及ぼすと共に高度の技能を要求する。好ましくは、ロボットの制御システムは、オペレータが、ツールがポートの自然な位置に配置されるのを助けるように、自動的に介入することが望ましい。その機能を達成するために、制御システムは、ロボットに対するポートの位置を知っていなければならない。ポートの位置は患者ごとに異なるため、制御システムは、各手順の開始時にポートの位置を知ることが必要である。
【0004】
ポートの位置を知るための1つの方法は、技術者が、手順の開始時にロボット上の基準点からポートのオフセットおよび方向を測定して、ロボットの制御システムに情報を提供することである。このアプローチは不便であり、データ入力プロセスにエラー発生のおそれがある。もう1つのアプローチとして、技術者が既知の長さの測定ツールをロボットに取り付けて、ツールの先端がポートに接触するまでロボットを手動で制御してもよい。ロボットが各ジョイントの状態を感知可能なセンサを備えている場合には、ジョイント間の距離および測定ツールの長さと共に、各センサからの情報が、ロボット上の基準点に対するポートの位置を決定するように、自動的に幾何学的に結合されていてもよい。このプロセスは、測定を自動的に行うことが可能であるという利点を有する。しかしながら、技術者によるある程度の人工的な操作を必要とする。
【0005】
さらに、これらのアプローチの各々は、ポートの外側部分の位置を測定することを含んでいる。実際には、ポートのチューブは、患者の外側の組織を通してある距離、例えば50-100mmだけ延びている。これらの組織の全体的な横方向の応力を低減するために、好ましくは、ロボットは、オペレータがポートの最も外側の部分ではなく、身体内のいくらかの深さにあることが多いポートの自然な回転中心にツールを整列した状態に保持するよう補助することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ロボットは、ベースと、前記ベースから延びると共に複数のジョイントを有しそれにより形状が可変である可撓性アームと、前記複数のジョイントを駆動させる複数のドライバと、各前記ジョイントと前記アームにツールを取り付けるための取付構造の位置を検知する複数のセンサと、を有し、前記ジョイントは、前記ベースに対する前記取付構造の角度姿勢を可変にするものである一方、前記複数のドライバを制御し、前記ジョイントの位置を示す前記センサからの入力を受信するように構成されていると共に、前記ツールが前記取付構造に取り付けられポート内につながれている間、校正モードで動作可能とされている制御ユニットを備えており、前記制御ユニットは、(i)前記アームに及ぼされる外力の作用により前記アームの形状が再設定されるように前記ドライバを制御し、(ii)前記ベースに対する前記取付構造の姿勢を変更するために、前記アームに加えられ前記ツールを介して前記ポートに伝達される外力の存在下での前記アームの形状をモニターするものであり、これにより、前記ポートの位置を推定できることを特徴とする。
【0008】
前記制御ユニットは、前記ステップ(ii)に続いて、前記モニターされた形状に応じて前記ポートの位置を推定するように操作可能であってもよい。前記制御ユニットは、取り付け箇所に対して一定の角度姿勢で延びる直線が前記外力の存在下で通過維持される点として、前記ポートの位置を推定するように構成されていてもよい。前記制御ユニットは、前記推定された位置を記憶するように構成されていてもよい。
【0009】
前記制御ユニットは駆動モードで操作可能であってもよい、前記駆動モードにおいて、前記ツールが前記取付構造に取り付けられた時に、前記制御ユニットは、前記ツールの一部の所望の位置を示す要求信号を受信して、前記ツールの前記一部が前記所望の位置にありかつ前記ツールが前記ポートの位置と交差する前記アームの形状を計算して、前記アームが前記算出された形状を採用するように前記ドライバを制御する。
【0010】
前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、重力の前記作用に抵抗するように前記ドライバを制御して、前記重力の作用とは独立して前記外力によって課される形状を前記アームに維持させるように構成されていてもよい。
【0011】
前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、前記重力の作用とは独立して前記外力下での形状の再設定に対して限定された抵抗を与えるように前記ドライバを制御するように構成されていてもよい。
【0012】
前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、中立値から前記ベースに対する前記取付構造の姿勢のずれを大きくするように前記アームを移動させる際に、前記外力下での形状の再設定に対する前記抵抗を増加させるように前記ドライバを制御するように構成されていてもよい。
【0013】
前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、前記アームに取り付けられたツールの所定のしきい値を超えて角度を形成しないように前記ドライバを制御するように構成されていてもよい。
【0014】
前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、ツールと前記アームとの間の前記インターフェースから離れる方向に向かって、前記アームに取り付けられた前記ツールの所定のしきい値を超えた並進に抗するように、前記ドライバを制御するように構成されていてもよい。
【0015】
前記アームは、前記ジョイントの周りに及ぼされる力を感知するための複数の力センサを備えていてもよい。前記制御ユニットは、前記校正モードにおいて、前記力センサの前記出力に応じて前記ドライバを制御するように構成されていてもよい。
【0016】
前記制御ユニットは、プロセッサと、前記校正モードを実施するために前記プロセッサによって実行可能な命令のセットを非一時的に記憶するメモリを備えていてもよい。
【0017】
前記ロボットは、前記取付構造に取り付けられたツールを備え、前記ツールは外科用ツールであってもよい。
【0018】
前記ロボットは、外科用ロボットであってもよい。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、ロボットを制御するための方法であって、前記ロボットは、ベースと、前記ベースから延びると共に複数のジョイントを有しそれにより形状が可変である可撓性アームと、前記複数のジョイントを駆動させる複数のドライバと、各前記ジョイントと前記アームにツールを取り付けるための取付構造との位置を検知する複数のセンサと、を備え、前記ジョイントは、前記ベースに対する前記取付構造の角度姿勢を可変にするものであり、前記方法は、ツールが前記取付構造に取り付けられかつポート内につながれている間、前記アームに加えられる外力の作用により前記アームの形状が再設定されるように前記ドライバを制御することと、前記アームに加えられ前記ツールを通して前記ポートに伝達された外力の存在下で、前記ベースに対する前記取付構造の姿勢を可変にするように、前記アームの前記形状をモニターすることと、前記ポートの前記位置を推定すること、を含むことを特徴とする。
【0020】
前記外力は、前記ドライバ以外に、例えば、ユーザが前記アームを手動で押すことによって、加えることができる。
【0021】
以下、本発明を、例示としての図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】外科的処置を実行する外科用ロボットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
外科用ロボットは、アームと、アームに取り付けられたツールとを有していてもよい。アームは、一連の可撓性ジョイントを有し、アームの形状が再設定されることを可能にすると共に、ツールの方向を変更可能にしてもよい。ロボットは、そのジョイントの形状を感知可能とされていてもよい。外科的処置のために、ポートが患者内に位置していてもよい。ポートの位置に関するロボットの知識を校正する必要がある場合には、アーム上のツールをポートに挿入することができる。アームは、ツールシャフトに対して略横方向に移動することができ、これによりポートによりツールシャフトに横方向の力が及ぼされる。アームがそのように動かされるときにアームが経験する力、および/またはポートによって及ぼされる横方向の力に応じてアームが採用する形状をモニターすることにより、ポートの位置、特にその自然な回転中心を推定することができる。その位置は、例えば、ロボットによる次の手順を実行するための角度測定点として用いることができる。
【0024】
図2は、外科用ロボットの一例を示す。ロボットは、外科処置が行われているときに定位置に固定されるベース10を備えている。ロボットは、一連の剛性アーム部材11,12,13,14,15,16,17を有している。基端側のアーム部材11は、第一回転ジョイント20によってベース10に接合されている。一連の他のアーム部材はそれぞれ、各ジョイント21,22,23,24,25,26によってすぐ前のアーム部材に接合されている。ジョイント21,22,23,24,26は、回転ジョイントである。ジョイント25は、フックまたはユニバーサルジョイントのように、軸が互いに直交する2つの回転ジョイントから構成されている。アームは、例えば、
図2のアームとは異なるように接合されてもよい。例えば、ジョイント23は省略されてもよく、および/またはジョイント25は、単一の軸を中心として回転可能であってもよい。アームは、ジョイントの各辺間の回転以外の運動を可能にするジョイント、例えば、ツールアタッチメントがアームのより近位の部分に対して直線的に摺動することができるジョイントを含んでいてもよい。
【0025】
ジョイントは、ロボットアームの遠位端30を、概ね31で表される3次元の可動範囲内の任意の点に移動させることができる可撓性をアームに与えるように構成されている。これを達成する1つの方法は、ジョイントを
図2に示すように配置することである。アームは、以下のジョイントを備えている。
-実質的に垂直な回転軸を有する最遠位ジョイント20と、
-ジョイント20の軸と交差する回転軸を有する次のジョイント21と、
-ジョイント21の軸と交差する回転軸を有し、ジョイント21とジョイント23との間に位置する次のジョイント22と、
-ジョイント22の軸と交差する回転軸を有する次のジョイント23と、
-ジョイント23の軸と交差する回転軸を有し、ジョイント23とジョイント25との間に位置する次のジョイント24と、
-2つの互いに交差する回転軸を有し、一方がジョイント24の軸に対して交差している次のジョイント25と、
-ジョイント25の軸の他方と交差する回転軸を有するジョイント26。
ジョイントの他の組み合わせおよび構成であっても、少なくともゾーン31内で、同様の動作範囲を達成できる。剛性アーム部材は、多くても少なくてもよい。
【0026】
ロボットアームの遠位端はアタッチメント32を有しており、かかるアタッチメント32によってアームの遠位端に外科用ツール33を取り外し可能に取り付けることができる。外科用ツールは、線状の剛性シャフト34と、シャフトの遠位端に作業用先端部35と、を有している。作業用先端部は、医療処置、例えば、切断、把持または撮像装置に係合するための装置を備えている。ツールが取り付けられる位置を越えて延びるアームに追加の部分があってもよい。ツールおよび/またはアタッチメント32は、ツールがアームのターミナルジョイント26の回転軸と平行に直線的に延びるように構成されていてもよい。この例では、ツールは、ジョイント26の回転軸と一致する軸に沿って延びている。
【0027】
ロボットのジョイント24,25は、可動範囲31内の任意の位置にアームの先端が保持された状態で、外科用ツール33が、円錐体内の任意の方向に向くことができるように構成されている。このような円錐体は、概ね36で示されている。このことを達成するための1つの方法は、アームの終端部が、上記のように軸が相互に配置されている一対のジョイント部24,25を含むことである。他の機構でも同様の結果を達成することができる。例えば、ジョイント26は、ツールがジョイント26の軸と平行に延出する場合、ツールの姿勢に影響を与えることができる。
【0028】
アームは、一連のモータ40,41,42,43,44,45,46,47を備えている。2つのモータによって提供される複合ジョイント25を除いて、各モータは、アームのそれぞれのジョイントの周りで回転するように構成されている。モータは、制御ユニット50によって制御されている。制御ユニットは、プロセッサ51とメモリ52を備えている。メモリは、非一時的にソフトウェアコードを記憶しており、かかるソフトウェアコードがプロセッサによって実行されて、プロセッサが本明細書で説明される方法でモータ40~47を制御している。アームはまた、一連のセンサ48,49を備えている。好ましくは、これらのセンサは、各ジョイントに対して、ジョイントの位置状態を検出する位置センサ48と、ジョイントの回転軸周りに付与されるトルクを感知する力センサ49を備えていることが望ましい。複合ジョイント25は、2対のセンサを有している。ジョイント用の位置およびトルクセンサの一方または両方は、そのジョイント用のモータと一体化されていてもよい。センサの出力は、プロセッサ51用の入力を構成する制御ユニットに送られる。また、プロセッサは、アームの動作状態を選択することを可能にする制御パネル53からの入力と、例えば操作が行われている時にオペレータがアームから必要とする三次元的な動作を制御パネルに伝えることを可能にする三次元コントローラ54からの入力と、を受け付ける。
【0029】
アームの動作は2つのモードで制御することができる。第1に、駆動モードでは、アームの形状は、3次元コントローラ54から受信した入力に基づいて設定されている。かかるモードでは、オペレータは、3次元コントローラを用いて、ツール先端部35および/またはアームの端部30の所望の位置の信号を送る。プロセッサ51は、ツール先端および/またはアーム端がその位置に配置されることになるアームのジョイントの構成を決定する。ツール先端および/またはアーム端が所望の位置に配置されることになるアームのジョイントの構成は、多数あってもよい。プロセッサは、アームと、アームの近くにあることがプロセッサに知られている他のオブジェクトとの間の衝突を回避するような、あるいは新たな形状に到達するためにジョイントの移動量を最小化するような、アルゴリズムに基づいて、それらの形状の間で選択してもよい。ひとたびプロセッサが新たな形状を選択すると、アームにその形状をもたらすために必要な状態を採用するために、ジョイント20~26に信号を送る。このように、駆動モードでは、オペレータは、アーム端部および/またはツール先端部を所望の位置に移動させるような信号を送ることができる。
【0030】
第2に、準拠モードでは、プロセッサは、アームに直接加えられる力によって配置される位置を維持するようにアームを制御する。これを達成するために、プロセッサは、位置および力センサ48,49からの入力を受け取る。位置センサによって、プロセッサは、アームの現在の形状を知る。メモリ52は、アームの各エレメントと、ツールと、ツールの質量と、アームの前述のジョイントから質量中心までの距離と、前述のジョイントに対するジョイントセンサの位置出力と質量中心との間の関係、を記憶している。その情報を用いて、プロセッサは、アームの現在の形状におけるアームのエレメントに対する重力の影響をモデル化し、アームの各ジョイントにおける重力によるトルクを推定している。次に、プロセッサは、各ジョイントのモータを駆動して、計算された重力トルクに正確に対抗するトルクを付与する。この制御方式では、オペレータは、アームの任意の部分を所望の位置に対して直接押したり引いたりすることができ、その部分は重力の影響にもかかわらずその位置に留まることから、それに応じた任意の部分に留まることになる。アームに対する力は、複数のジョイントの周りのトルクをもたらすものであってもよい。コントローラは、トルクを中和するために、ある種のジョイントを優先順位付けするようにプログラムすることができる。準拠モードでは、コントローラは自動的にアームを制御して、重力の作用とは独立して外力によって課される構成を維持する一方、重力の作用に依存しない外力の下での形状の再設定に限られた抵抗を与えるおよび/またはアームのドライバを制御して、中立値からのベースに対する取付構造の姿勢のずれを大きくするようにアームを移動させた時に、外力の下で形状の再設定に対して抵抗を増大するようにしてもよい。
【0031】
準拠モードでは、いくつかのジョイントは重力トルクを経験しない。これらのジョイント用のモータは、非通電とされていてもよい。より典型的には、各モータは、それぞれのジョイントの周りで測定されたトルクに応じて制御されていてもよい。ジョイントにおいて測定されたトルクが重力に合わせて調整される場合には、残りのトルクは、アームまたはツールを押す力によって加えられるトルクを表している。かかるトルクに応じて、コントローラは、各モータを制御して、測定されたトルクを減少させる方向にジョイントを移動させてもよいし、測定されたトルクの大きさに依存する速度で、アームが、付与された力に応じて自由だがある程度の抵抗を有して動いている感覚を提供するようにされていてもよい。
【0032】
上述したように、それを挿通してツールを操作することが可能な外科用ポートの位置をロボットが知っていることは有利である。
図2は、患者の腹壁63に挿入された外科用ポート60を示す。ポートは、腹壁を貫通して切開部の径方向外側に延在して、ポートが腹腔内に過度に押されることに抵抗するように構成されているアウタプレート61と、プレート61の内側に延在するガイドチューブ62を備えている。通路は、プレートからチューブの内端までポートを通って延びている。ツール33が所定位置に位置して患者の処置を行う際には、ツールのシャフト34は、
図2に示されるように、通路を通して腹腔内に挿入されている。
【0033】
好ましくは、ツールがその延出部の主方向と交差する1以上の軸の周りで回転できるように、アームの終端の近くに1つ以上のジョイントがあることが望ましい。
【0034】
このロボットは、ロボットが準拠モードにある時にロボットアームを操作することによって、ポートの位置、特にポートの自然な回転中心を計算することができる。まず、患者の身体の適当な位置(例えば、腹壁)にポートを挿入することによって手術用に患者を準備すると共に、ロボットの到達範囲内の固定された位置にある手術室内に患者が配置される。その後、準拠モードにあるロボットにおいて、オペレータがロボットアームとツール33の一方または両方を把持できる共に、ツールのシャフト34の長軸がポート内の通路と整列するような構成にできる。次いで、オペレータは、ツールがその長軸に対して平行に移動し、ポート内の通路内を通過するように、ロボットアームおよび/またはツールを押すことができる。この段階で、ツールは、好ましくは、ツールの先端部35がポートの通路62内に静止するように、ポート内に部分的にのみ挿入されていることが望ましい。
【0035】
ここで、ポートの通路62内にツールまたは器具33が配置された状態で、オペレータは、例えば一般的には64で示されているツールシャフト34に対して一般的には交差する方向に、ロボットアームの遠位端30を移動することができる。この運動は、ツールシャフトがポートを挿通する際に、ポートがツールシャフトに対して横方向の力を及ぼすことから、ツールがアームのジョイント(この場合は、ジョイント24,25)にトルクを加える。ここで、ジョイント24,25の軸は、ツールシャフト軸と交差している。ロボットは準拠モードで動作していることから、トルクは、ジョイント24,25の周りの運動によって調整される。操作者がロボットアームの遠位端を横方向に移動させると、コントローラ50は、ジョイントの位置を示す入力を受信する。この情報は、コントローラが、(a)ベースに対するロボットの遠位端の位置、および(b)ロボットの遠位端に対するツールシャフトのベクトル、を推定することを可能にする。ツールシャフトがポートの通路を通過するので、ポートの通路はベクトルに沿っていなければならない。ロボットアームの遠位端が移動された際には、コントローラは、複数対の遠位端位置およびツールシャフトのベクトルを計算することができる。これらのベクトルはすべて、各遠位端位置からポートの通路の位置に収束する。一連のデータ対を収集し、次いで、ツールシャフトのベクトルが収束する平均位置を解くことによって、ロボットコントローラは、ベースに対するポートの位置を推定することができる。
【0036】
コントローラ50がポート位置を推定する手助けのために、コントローラは、ロボットアームの端末部材17の姿勢とツールシャフト34の方向との関係を知っている。この関係は、標準化されているアームとツール間のインターフェース32のおかげで、ツールとは独立して一定であってもよい。あるいは、異なるツールが、異なる角度で端末部材から延在していてもよいし、その場合、オペレータは、ロボットアームに装着されたツールのタイプをコントローラに知らせるようにしてもよいし、あるいはコントローラがツールのタイプを自動的に検出して、ツールとアタッチメントとの関係についてメモリ52に記憶された情報に基づいてそのポート検出アルゴリズムを構成してもよい。あるいは、コントローラは、ロボットアームの端末部材が校正プロセス中にオペレータによって揺り動かされる際に、ロボットアームの端末部材の姿勢と、ジョイント(例えば、ジョイント24と25)の動作を通したツールシャフトの方向と、の間の関係を検知するようにしてもよい。好ましくは、ツールシャフトが直線状であって、ロボットアームの端末部材32から既知の方向に延びていることが望ましい。
【0037】
実際には、ロボットは、好ましくは近くに、より好ましくはアームの近くに、プッシュボタン55のようなユーザ入力部を備えていることが望ましい。コントローラは、オペレータがボタンを押したことに反応して校正モードに入り、ロボットの遠位端の位置とツールシャフトのベクトルの方向との対を繰り返し計算する。かかる計算は、不規則に実行してもよいし、あるいは所定の間隔、例えば0.5秒毎に実行してもよい。一旦十分な精度でポート位置を推定することができるのに十分な計算のペアが実行された場合、コントローラは、ポート位置を推定する。次に、光56または音響機のようなユーザ出力によってユーザに信号を送る、ここでユーザ出力は、ポート位置を推定するプロセスが完了したことをユーザが分かるように、アームの上または近くに再び表示してもよい。その後、コントローラは、後で使用するために、非一時的にポートの位置をメモリ52に記憶する。
【0038】
コントローラは、選択されている校正モードにおいて自動的に、アームを準拠モードに進入させるまたは維持してもよい。
【0039】
許容可能な精度でポートの位置を推定するために必要とされるデータ対の数は、アームの位置センサの精度や、オペレータが校正プロセスの間にアームを横方向に移動させる範囲のような要因に依存している。連続的な測定値を使用して導出された位置の推定値間の分散が所定のレベル未満に低下するように、一旦十分な首尾一貫した測定値が収集されると、コントローラは、位置が十分に推定されていると決定してもよい。一旦2組以上のアームジョイントデータが、ツールがポート内の角度測定点を通過する形状に対して利用可能となると、位置の推定値間に計算可能な差が存在するようになるだろう。コントローラは、この誤差推定値が所定のレベル未満に低下するまで、データを収集することができる。そして、従来のフィルタリングおよび統計的方法を、誤差推定値を得るために用いることができる。
【0040】
例えば、(i)ツールシャフトに交差する方向(例えば、方向64)に平行な部材、また(ii)かかる方向に直交するがツールシャフトに交差する部材を備えて、ロボットアームのヘッド30が2次元で移動するようなポート位置を推定する手助けをしてもよい。このことは、オペレータがヘッド30を、例えば、ポート内の通路62の自然軸に対してほぼ整列された点の周りに、回転させることにより容易に行うことができる。
【0041】
したがって、ロボットの操作の1つの方法は、以下のとおりである。
1.ロボットおよび患者が外科的処置のための位置にくるように、ポートは患者内に、そして患者はロボットの作業範囲内に配置される。
2.オペレータは、例えばコントロールパネル53を用いて、ロボットを準拠モードにする。
3.準拠モードのロボットで、オペレータは、ポート内にツールを配置する。
4.オペレータは、ボタン55を押すことにより、コントローラが校正モードを入るように信号を送る。
5.オペレータは、ロボットアームのヘッドを穏やかに揺り動かし、シャフトをポートに挿通しつつツールシャフトの方向を変化させる。
6.ロボットコントローラ50のプロセッサ51は、メモリ52に記憶されているコードを実行して、ツールシャフトベクトルが収束する位置としてポートの位置を推定する。一旦、十分な精度でポートの位置が推定されると、コントローラは推定された位置をメモリ(例えば、メモリ52)に記憶し、校正モードを出て、ユーザがロボットアームのヘッドの揺り動かしを停止することが分かるように、光56を用いてユーザに信号を送る。
【0042】
一旦、ポート位置が測定されると、その位置の知識は、ロボットが駆動モードで動作しているときのアームの形状の制御を補助するために用いることができる。処置が行われている際に、コントローラ50が、オペレータが入力装置54を用いてツール先端部35の位置を指示することを可能にしてもよいし、次にコントローラが、アームのジョイントを、先端部が所望の位置にくる形状に自動的に動かすようにしてもよい。コントローラは、メモリ52に記憶されたソフトウェアによって、(i)ツール先端部が所望の位置にありかつ(ii)ツールのシャフトが推定されたポート位置を通過するようなアームの形状を選択して、アームをその形状になるまで移動させるように構成されていてもよい。このようにして、ツール先端部を、患者の外側組織に対して比較的少ない破壊で、所望の位置に準備することができる。
【0043】
ポートの位置はまた、患者へのツールの挿入を手助けするために用いられてもよい。一旦、ツールがアームに取り付けられ、ポートを通して挿入されると、コントローラは、自動的にアームを制御して、(例えば、構成モードが開始された初期位置に基づいて)ツールがポート通路に対してほぼ整列されかつツール先端部がポートの近傍の外側に配置される形状を採用するようにしてもよい。次に、オペレータは、腕を用いてロボットアームを準拠モードで物理的に操作するか、あるいは入力装置54を用いて駆動モードでアームを制御することにより、ポートを通してツールを挿入できる。
【0044】
ポートの位置はまた、ツール先端部の誤動作による患者への損傷を回避する手助けとなるように用いられてもよい。患者内の作業領域37は、ポートの位置と関連して定義されていてもよい。それから、コントローラが、作業領域の外側におけるツール先端部の動作を控えるまたはしないようにしてもよい。作業領域は、侵襲的な処置を行う前にオペレータによって定義されていてもよい。コントローラは、作業領域の外側でのツールの先端部の動作を阻止するために、ツール先端部が予め定められた作業領域外に出ることをコントローラが許可する前に、オペレータに、オペレータが作業領域の保護を無効にする追加の入力を行うことを要求したり、あるいはツール先端部が作業領域外に出る場合にオペレータに警告を与えるようにしてもよい。
【0045】
校正手順が実行されているときには、ツールの角度形成は変化して、それゆえポート62は患者に対して幾分か回転する。この結果、校正手順は、従来のように、ポートの外部の位置よりむしろ、ポートの自然な回転中心の位置を推定する。かかるポートの自然な回転中心は、ポートが通過する患者の外側組織の順応性に依存する。このため、続く処置の間、コントローラが、ツールシャフトがその自然な回転中心を通過するように維持するならば、他の方法と比較して患者の外側組織に対する損傷を低減することができる。
【0046】
ロボットアームの遠位端が校正手順の間に横方向に過度に動かされると、ポートの過度の角度形成や、それによる患者に対する不必要な損傷が生じる可能性がある。このことは、適切な量だけロボットアームの遠位端を旋回させるようにオペレータを訓練することによって制限できる。しかし、コントローラ50はまた、校正プロセス中のヘッドの動作を制限してもよい。校正プロセスの開始時に、ロボットアームの遠位端は、ポートの軸に対してほぼ整列された中立位置にあると仮定することができる。校正プロセスの間、コントローラは、校正が開始されたことから、ロボットの遠位端がツールシャフトに対して交差するように移動した距離を知っている。その距離が所定のしきい値を超える場合、コントローラは、アームのモータを制御して、ロボットアームの遠位端が中立位置から離れるさらなる動作を控えることによって、アームの順応性を低減することができる。この目的のためにコントローラの中立位置の推定値は、測定値の対を展開してポートの位置の少なくとも大まかな推定値を構築することで、精緻化できる。
【0047】
ロボットアームの遠位端が、校正手順の間に、患者内の長手方向にさらに移動される場合には、ロボットアームの遠位端に患者の身体内へのツールの過度の移動が生じ、患者が損傷する可能性がある。このことは、ロボットアームの遠位端を主に横方向に旋回するように操作者を訓練することによって制限することができる。しかし、コントローラ50はまた、校正プロセス中にヘッドの長手方向の動作を制限してもよい。校正プロセスの開始時に、ツールは、ポートに対して整列されかつ許容可能な量までポートに挿入することができると仮定できる。校正プロセスの間、コントローラは、校正が開始されたことから、ロボットの遠位端がツールシャフトに対して平行に移動してツールの近位端から離隔した距離を知っている。その距離が所定のしきい値を超えた場合、コントローラは、アームのモータを制御して、ロボットアームの遠位端が中立位置から離れるさらなる動作に控えることによりアームの順応性を低減できる。かかる所定のしきい値は、ゼロであってもよい。
【0048】
上述の原理は、
図2に例示されたものよりも、他のタイプの外科用ロボットに当てはまる。例えば、ロボットのベースは、床や天井に取り付けられていてもよいし、あるいはベッドやトロリーやテーブルに取り付けられていてもよい。ロボットアームのジョイントおよび部材は、任意の適切な方法で提供可能である。ロボットの端末エレメントは、ツールがポートを通して挿入できるようなスライドレールを備えていてもよい。ロボットは、手術以外の目的のためのものであってもよい。例えば、ポートは、エンジン内部を見るための視聴ツールを制御できる車両エンジンやロボットのような製造された物品中の検査ポートであってもよい。
【0049】
ツール先端部に設けられた装置は、任意の適切な外科用または他の処置用、例えば、切断や保持や観察や照明や照射や接合用であってもよい。ツールが、非機能性チップを有し、単に校正手順のために意図されたものであってもよい。上記の例では、ツールのシャフトは、ポート内の通路と同様にまっすぐである。この特性は、ポートを通してツールを挿入するのを手助けすると共に、ポート位置の計算を容易にするが、ツールシャフトおよびポート通路は、共通の半径で湾曲されていてもよい。
【0050】
三次元コントローラ54は、ロボットから離れていてもよい。コントローラ50は、プログラム制御下でロボットアームを操作可能であってもよい。
【0051】
位置センサは、例えば、ポテンショメータ、光学式位置エンコーダ、超音波または無線距離センサであってもよい。力センサは、例えば、抵抗ベースの歪みゲージ、圧電歪みゲージまたは半導体歪みゲージであってもよい。ロボットのジョイントを操作するためのドライバは、回転またはリニアモータであってもよいし、モータ以外の手段、例えば、油圧式または空気圧式のピストンであってもよい。
【0052】
ポートの位置が検出されている時には、モータは動作していなくてもよい、それゆえそれらは重力に対抗しない。アームが完全な可撓性を有する場合には、力センサは省略してもよい。しかし、ツールが患者に過度の負担をかけることなく、オペレータがアームを操作することがより困難になる。
【0053】
出願人はこれによって、ここに記載の分離した各個別の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを開示しており、そのような特徴または特徴の組み合わせが当業者の共通の一般的な知識に照らして全体として本明細書に基づいて実施されることが可能な程度に開示している。なお、そのような特徴または特徴の組合せが本明細書に開示される任意の問題を解決するかどうかは関係がなく、またかかる具体的記載が特許請求の範囲を限定するものでもない。出願人は、本発明の態様は、このような個々の特徴または特徴の組み合わせから成ってもよいことを示している。以上の説明に鑑みて、種々の改変が本発明の範囲内でなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。