(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20221101BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20221101BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20221101BHJP
G09G 3/3266 20160101ALI20221101BHJP
G09G 3/3225 20160101ALI20221101BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221101BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221101BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20221101BHJP
G11C 29/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G09G3/20 670E
G09G3/20 622E
G09G3/20 612K
G09G3/20 612L
G09G3/20 642P
G09G3/34 J
G09G3/20 621E
G09G3/20 680G
G09G3/36
G09G3/20 611A
G09G3/20 621M
G09G3/20 622K
G09G3/3266
G09G3/3225
G09G3/20 622D
G09G3/20 622R
G09G3/20 623U
G09G3/20 623D
G09G3/20 623C
G09G3/20 621J
G09G3/20 621D
G09G3/20 670K
G09G3/20 670H
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G09F9/00 336G
G02F1/133 505
G02F1/133 535
G11C29/00 472
(21)【出願番号】P 2018140659
(22)【出願日】2018-07-26
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】303018827
【氏名又は名称】Tianma Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河内 玄士朗
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-217344(JP,A)
【文献】特開2010-107933(JP,A)
【文献】特開2006-018200(JP,A)
【文献】特開平08-043852(JP,A)
【文献】特開2011-164328(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157649(WO,A1)
【文献】特開2018-088391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20
G09G 3/34
G09G 3/36
G09G 3/3266
G09G 3/3225
G09F 9/30
G09F 9/00
G02F 1/133
G11C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査信号線と複数の映像信号線とによって区画される複数の画素を備える表示部と、
前記複数の走査信号線に接続され、パルス信号を順次出力するシフトレジスタであって、1以上のシフトレジスタユニットを含む複数のシフトレジスタセグメントに分けられるシフトレジスタと、
前記各シフトレジスタセグメントにクロック信号を供給するクロック信号線と、
前記各シフトレジスタセグメントにスタート信号を供給するスタート信号線と、
前記各シフトレジスタセグメントに供給されるクロック信号と、前記各画素に入力される映像信号と、を生成するドライバと、
前記ドライバによる前記クロック信号及び前記映像信号の生成を制御するとともに、前記各シフトレジスタセグメントの出力を監視して、故障した前記シフトレジスタセグメントを検出するコントローラと、
前記各シフトレジスタセグメントの最終段の前記シフトレジスタユニットの出力端子に接続された一つのモニタ出力配線と、を有し、
前記各シフトレジスタセグメント内の最初段の前記シフトレジスタユニットは、前記スタート信号線を介して前記スタート信号を受信した後の所定のタイミングに前記パルス信号を出力し、
前記各シフトレジスタセグメント内の最初段以外の前記シフトレジスタユニットは、前段の前記シフトレジスタユニットが出力した前記パルス信号に基づくキャリー信号を受信した後の所定のタイミングに前記パルス信号を出力
し、
前記コントローラは、前記一つのモニタ出力配線に出力されるパルス信号と、所定の基準信号とを比較することによって、前記各シフトレジスタセグメントの故障を検出し、
前記各シフトレジスタセグメントの最終段の前記シフトレジスタユニットの出力端子は、いずれの前記走査信号線とも接続されずに、前記一つのモニタ出力配線に接続され、
前記各シフトレジスタセグメントの最終段のシフトレジスタユニットが前記キャリー信号を受信するタイミングで、前記各シフトレジスタセグメントの次段のシフトレジスタセグメントに前記スタート信号が入力される、表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記各シフトレジスタユニットは、前記各シフトレジスタユニットの出力端子に接続された負荷に電荷を供給するための出力トランジスタを有し、
前記各シフトレジスタセグメントの最終段の前記シフトレジスタユニットの前記出力端子のチャネル幅は、前記各シフトレジスタセグメントの最終段以外の前記シフトレジスタユニットの前記出力端子のチャネル幅より小さい、表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記ドライバは、前記各シフトレジスタセグメントに供給されるスタート信号を生成し、
前記シフトレジスタは、第1のシフトレジスタと、第2のシフトレジスタとを含み、
前記第1のシフトレジスタの各シフトレジスタセグメントに接続された複数の前記走査信号線は、さらに、前記第1のシフトレジスタの各シフトレジスタセグメントに対応する前記第2のシフトレジスタの各シフトレジスタセグメントに接続され、
前記コントローラは、
前記第1のシフトレジスタの全ての前記シフトレジスタセグメントに前記スタート信号を供給するように前記ドライバを制御し、
前記第1のシフトレジスタのいずれかのシフトレジスタセグメントの故障を検出した場合、前記故障を検出したシフトレジスタセグメントに向けたスタート信号の供給を停止し、前記故障を検出したシフトレジスタセグメントに対応する前記第2のシフトレジスタのシフトレジスタセグメントに向けた前記スタート信号の供給を開始するように前記ドライバを制御する、表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記ドライバは、前記各シフトレジスタセグメントに供給されるスタート信号を生成し、
前記シフトレジスタは、第1のシフトレジスタと、第2のシフトレジスタとを含み、
前記第1のシフトレジスタの各シフトレジスタセグメントに接続された複数の前記走査信号線は、さらに、前記第1のシフトレジスタの各シフトレジスタセグメントに対応する前記第2のシフトレジスタの各シフトレジスタセグメントに接続され、
前記コントローラは、
前記第1のシフトレジスタの全ての前記シフトレジスタセグメントに前記スタート信号を供給するように前記ドライバを制御し、
前記第1のシフトレジスタのいずれかのシフトレジスタセグメントの故障を検出した場合、前記第1のシフトレジスタの全てのシフトレジスタセグメントに向けたスタート信号の供給を停止し、前記第2のシフトレジスタの全てのシフトレジスタセグメントに向けた前記スタート信号の供給を開始するように前記ドライバを制御する、表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記コントローラは、
前記第2のシフトレジスタの全てのシフトレジスタセグメントに向けたスタート信号の供給が開始された後で、前記第2のシフトレジスタのいずれかのシフトレジスタセグメントの故障を検出した場合、前記故障を検出したシフトレジスタセグメントに向けたスタート信号の供給を停止し、前記故障を検出したシフトレジスタセグメントに対応する前記第1のシフトレジスタのシフトレジスタセグメントに向けた前記スタート信号の供給を開始するように前記ドライバを制御する、表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記コントローラは、故障を検出した前記シフトレジスタセグメントに対応する画素に入力される映像信号として黒を表示するための信号を出力するように前記ドライバを制御する、表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記コントローラは、故障を検出していない前記シフトレジスタセグメントに対応する画素に情報を表示するための信号を出力するように前記ドライバを制御する、表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記表示部の直下に設置されたバックライトユニットをさらに有し、
前記バックライトユニットは、それぞれが前記コントローラからの信号に応じて独立に点灯及び消灯可能なバックライトセグメントに分割され、
前記各バックライトセグメントは、前記表示部の前記各シフトレジスタセグメントに対応する領域に対応し、
前記コントローラは、故障した前記シフトレジスタセグメントを検出すると、当該故障したシフトレジスタセグメントに対応する前記表示部の領域に対応する前記バックライトセグメントを消灯するための信号を前記バックライトユニットに送信することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
複数の走査信号線と複数の映像信号線とによって区画される複数の画素を備える表示部と、
前記複数の走査信号線に接続され、パルス信号を順次出力するシフトレジスタであって、1以上のシフトレジスタユニットを含む複数のシフトレジスタセグメントに分けられるシフトレジスタと、
前記各シフトレジスタセグメントにクロック信号を供給するクロック信号線と、
前記各シフトレジスタセグメントにスタート信号を供給するスタート信号線と、
前記各シフトレジスタセグメントに供給されるクロック信号と、前記各画素に入力される映像信号と、を生成するドライバと、
前記ドライバによる前記クロック信号及び前記映像信号の生成を制御するとともに、前記各シフトレジスタセグメントの出力を監視して、故障した前記シフトレジスタセグメントを検出するコントローラと、を有し、
前記各シフトレジスタセグメント内の最初段の前記シフトレジスタユニットは、前記スタート信号線を介して前記スタート信号を受信した後の所定のタイミングに前記パルス信号を出力し、
前記各シフトレジスタセグメント内の最初段以外の前記シフトレジスタユニットは、前段の前記シフトレジスタユニットが出力した前記パルス信号に基づくキャリー信号を受信した後の所定のタイミングに前記パルス信号を出力する表示装置であって、
スタート信号生成用シフトレジスタをさらに有し、
前記スタート信号生成用シフトレジスタを構成する
複数のスタート信号生成用シフトレジスタユニット
の各々が出力するパルス信号が、前記
各シフトレジスタセグメントのスタート信号として供給される、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のLCD(Liquid Crystal Display)又はOLED(Organic Light Emitting Diode)等の表示パネルにおいては、デザイン性の観点から、狭額縁化及び曲面化等の要求がある。これらを実現するための一形態として、ドライバICを短辺一辺に実装し、ゲート駆動回路をガラス基板上に内蔵するGIP(Gate In Panel)構造を採用したパネルが一般的となりつつある。
【0003】
また、このような表示パネルにおいて、消費電力を抑制するために、ゲート線の駆動回路をセグメント化する技術が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、走査信号線に接続されるシフトレジスタが複数のグループに分けられ、ドライバICから各々のグループまで相互に独立した複数のクロック信号線が配線され、ドライバICが複数のグループに選択的にクロック信号を供給することで、消費電力を抑制することが可能な液晶表示装置が開示されている。
【0005】
一方、特許文献2には、表示装置用のシフトレジスタに関して、画素及びこれに接続されている信号線がそれぞれ設けられている少なくとも2つの表示領域を有し、互いに接続されていて、順に出力信号を生成する複数のステージをそれぞれ含む少なくとも2つのステージ群を含み、各ステージ群は表示領域のうちの1つに属する信号線に出力信号を送出することにより、シフトレジスタを複数の群に分け、必要な部分だけを表示することによって、消費電力をさらに減らすことができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-182218号公報
【文献】特開2007-004176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゲート線を駆動する信号を生成するシフトレジスタを酸化物TFT(Thin Film Transistor)又はLTPS(Low Temperature Poly Silicon)TFT等で実装することによって、シフトレジスタGIP回路が比較的簡単に実現できる。しかし、TFTで実装されるGIP回路は信頼性への懸念がある。その懸念が、厳しい環境下での動作が必要となる車載用ディスプレイへのGIP回路搭載が進展しない一因となっている。
【0008】
TFTで実装したシフトレジスタ回路は、TFT劣化によって回路内のどこかの走査線で誤動作が生じると、それ以降の走査線で正常な表示ができなくなる。これは、特にクラスター用の車載パネル等の安全部品においては、重大な事故となる。
【0009】
図16は、シフトレジスタGIP回路の構成の説明図である。
【0010】
シフトレジスタGIP回路は、
図16にその一例を示すように、複数のフリップフロップ(FF)を連結したものである。この例において、各フリップフロップには、所定の周波数のクロックCKと、それとは逆相のクロックCKBとが供給される。また、最初段のフリップフロップにはスタート信号(スタートパルス)が入力される。各段のフリップフロップがパルスを出力すると、そのパルスがゲート信号として画素のゲート線に供給されるとともに、次の段のフリップフロップにキャリー信号として入力される。これによって、最初段から順に、各段のフリップフロップがパルスを出力する。
【0011】
図17A及び
図17Bは、シフトレジスタGIP回路における不良モードの説明図である。
【0012】
シフトレジスタGIP回路の不良モードとしては、入力キャリー信号電圧の低下、又はTFTのショート不良等によっていずれかのフリップフロップの出力パルス電圧が消失し、そこでキャリー信号の伝搬が途切れることによってそれ以降の段のフリップフロップがパルスを出力しなくなるモードがある(
図17A)。以下、これを出力欠損モードと記載する。
【0013】
別の不良モードとして、ゲート線をローレベルに保持するリセットTFTの閾値電圧のシフトによってローレベルが保持できなくなる結果、ある段以降の全てのゲート線にクロック信号が出力されるモードがある(
図17B)。以下、これをクロック突き抜けモードと記載する。
【0014】
図18は、シフトレジスタGIP回路を使用した表示パネルの表示不良の説明図である。
【0015】
図18に示すGIP回路は、
図16に示したGIP回路を横方向に配置したものである。すなわち、
図16の例では最初段のフリップフロップが上端に位置するが、
図18の例では最初段のフリップフロップが右端に位置する。また、
図18ではGIP回路を構成する各フリップフロップ、クロック信号線、出力信号線及びキャリー信号線等は省略されている。
【0016】
この例において、いずれかのフリップフロップに不良が発生すると、それより後段のフリップフロップから正常にパルスが出力されなくなるため、後段の全ての領域が表示不良となる。
図18は速度計を表示する車載の表示パネルの例であるが、その大半が表示不良となることによって速度の読み取りができなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示の一態様は、複数の走査信号線と複数の映像信号線とによって区画される複数の画素を備える表示部と、前記複数の走査信号線に接続され、パルス信号を順次出力するシフトレジスタであって、1以上のシフトレジスタユニットを含む複数のシフトレジスタセグメントに分けられるシフトレジスタと、前記各シフトレジスタセグメントにクロック信号を供給するクロック信号線と、前記各シフトレジスタセグメントにスタート信号を供給するスタート信号線と、前記各シフトレジスタセグメントに供給されるクロック信号と、前記各画素に入力される映像信号と、を生成するドライバと、前記ドライバによる前記クロック信号及び前記映像信号の生成を制御するとともに、前記各シフトレジスタセグメントの出力を監視して、故障した前記シフトレジスタセグメントを検出するコントローラと、を有し、前記各シフトレジスタセグメント内の最初段の前記シフトレジスタユニットは、前記スタート信号線を介して前記スタート信号を受信した後の所定のタイミングに前記パルス信号を出力し、前記各シフトレジスタセグメント内の最初段以外の前記シフトレジスタユニットは、前段の前記シフトレジスタユニットが出力した前記パルス信号に基づくキャリー信号を受信した後の所定のタイミングに前記パルス信号を出力する、表示装置である。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一態様によれば、TFT等によるGIP回路を採用して狭額縁化を実現しながら、耐障害性の高い表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例1の表示装置の構造を示す説明図である。
【
図2】実施例1の表示装置の表示部及びシフトレジスタの詳細を示す説明図である。
【
図3】実施例1の表示装置に含まれるシフトレジスタユニットの構成を示す説明図である。
【
図4】実施例1の表示装置に含まれるシフトレジスタセグメントの構成を示す説明図である。
【
図5】実施例1の表示装置に含まれるシフトレジスタセグメントに供給されるクロック及びシフトレジスタセグメントから出力される走査信号等を示すタイミングチャートである。
【
図6】実施例1の表示装置においてシフトレジスタの誤動作が生じた場合の表示欠陥の説明図である。
【
図7】実施例2の表示装置の構造を示す説明図である。
【
図8】実施例3の表示装置のシフトレジスタの説明図である。
【
図9】実施例4の表示装置のシフトレジスタの説明図である。
【
図10A】実施例4のシフトレジスタユニットを構成するトランジスタのサイズの設計例を示す説明図である。
【
図10B】実施例4のシフトレジスタユニットを構成するトランジスタのサイズの設計例を示す説明図である。
【
図11】実施例4のモニタ信号波形の説明図である。
【
図12】実施例4の表示装置による表示補正の処理の流れを示す説明図である。
【
図13】実施例4の表示装置のシフトレジスタセグメントにおいて故障が検出された場合の処置の第1の例を示す説明図である。
【
図14A】実施例4の表示装置のシフトレジスタセグメントにおいて故障が検出された場合の処置の第2の例を示す説明図である。
【
図14B】実施例4の表示装置のシフトレジスタセグメントにおいて故障が検出された場合の処置の第2の例を示す説明図である。
【
図14C】実施例4の表示装置のシフトレジスタセグメントにおいて故障が検出された場合の処置の第2の例を示す説明図である。
【
図15】本発明の実施例5の表示装置の構成を示す斜視図である。
【
図16】シフトレジスタGIP回路の構成の説明図である。
【
図17A】シフトレジスタGIP回路における不良モードの説明図である。
【
図17B】シフトレジスタGIP回路における不良モードの説明図である。
【
図18】シフトレジスタGIP回路を使用した表示パネルの表示不良の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。
【実施例1】
【0021】
図1は、実施例1の表示装置100の構造を示す説明図である。
【0022】
表示装置100の基板105上には、多数の画素が格子状に配置された矩形の表示部101が形成されている。ここでは表示装置100の例としてLCDを説明するが、表示装置100はLCD以外のもの(例えばOLED)であってもよい。
【0023】
後述するように、基板105上には、表示部101を貫くように複数の走査信号線G(
図2参照)及び複数の映像信号線D(
図2参照)が形成されている。走査信号線と映像信号線は互いに直交しており、表示部101を格子状に区画する。隣接する二つの走査信号線Gと二つの映像信号線Dによって囲まれた領域が一つの画素となっている。なお、複数の走査信号線Gを区別する必要がある場合には、それぞれ、走査信号線G1、G2、G3のように記載する場合がある。映像信号線も同様であり、D1、D2、D3のように記載する場合がある。
【0024】
図1の例では、走査信号線が表示部101の短辺と平行に形成され、映像信号線が表示部101の長辺と平行に形成される。表示部101の一方の短辺の近傍の基板105上に、ドライバIC106が設けられる。ドライバIC106は、操作信号駆動回路(図示省略)及び映像信号駆動回路(図示省略)を含む。
【0025】
ドライバIC106には、接続端子107を介して、外部機器(図示省略)から、電源電圧、接地電圧、タイミング信号及び映像信号等の各種信号が入力される。なお、外部機器は、少なくとも、タイミング信号及び映像信号を出力するコントローラIC1204(
図12参照)を含む。すなわち、クロック信号、スタート信号及び映像信号は、ドライバIC106がコントローラIC1204の制御に従って生成し、それぞれクロック信号線、スタート信号供給配線及び映像信号線に入力される。
【0026】
表示部101の長辺の少なくとも一方(
図1の例では両方)の基板105上には、走査信号線に接続されるシフトレジスタが設けられる。各辺のシフトレジスタは、複数のシフトレジスタセグメント103に分割される。
図1には、二つの長辺の一方の側に配置されたシフトレジスタセグメント103をシフトレジスタセグメント103A、もう一方の側に配置されたシフトレジスタセグメント103をシフトレジスタセグメント103Bと記載する。これらのいずれにも共通する説明をする場合、これらを総称してシフトレジスタセグメント103とも記載する。
【0027】
なお、複数のシフトレジスタセグメント103Aの各々を区別するために、各シフトレジスタセグメント103Aをシフトレジスタセグメント103A-1、103A-2のように記載する場合がある。同様に、各シフトレジスタセグメント103Bをシフトレジスタセグメント103B-1、103B-2のように記載する場合がある(
図2参照)。
【0028】
各シフトレジスタセグメント103は、所定の数のシフトレジスタユニット(後述)を連結したものであり、各シフトレジスタユニットが一つの走査信号線に接続される。一つのシフトレジスタセグメント103に含まれる複数のシフトレジスタユニットに接続された複数の走査信号線に接続された複数の画素が、一つの表示部セグメント102を形成する。なお、
図1の例では一部の表示部セグメント102のみを図示し、他の図示を省略している。
【0029】
各シフトレジスタセグメント103には、その最初段のシフトレジスタユニットにドライバIC106からスタート信号を供給するためのスタート信号供給配線(スタート信号線)104が接続される。
図1には、シフトレジスタセグメント103Aに接続されるスタート信号供給配線104をスタート信号供給配線104A、シフトレジスタセグメント103Bに接続されるスタート信号供給配線104をスタート信号供給配線104Bと記載する。これらのいずれにも共通する説明をする場合、これらを総称してスタート信号供給配線104とも記載する。
【0030】
なお、複数のスタート信号供給配線104Aの各々を区別するために、各スタート信号供給配線104Aをスタート信号供給配線104A-1、104A-2のように記載する場合がある。同様に、各スタート信号供給配線104Bをスタート信号供給配線104B-1、104B-2のように記載する場合がある(
図2参照)。
【0031】
図1では省略されているが、各シフトレジスタセグメント103には、クロック信号線等も接続されている。その詳細については後述する(
図2等参照)。
【0032】
図2は、実施例1の表示装置100の表示部101及びシフトレジスタの詳細を示す説明図である。
【0033】
なお、
図1では、表示部101をその長辺方向が図面の左右方向と一致するように表示しているが、
図2では、表示部101をその長辺方向が図面の上下方向と一致するように表示している。
【0034】
表示部101は、格子状に配置された複数の画素を含む。各画素は、画素電極と、画素電極への映像信号の印加をON/OFFするスイッチング素子と、画素電極に対応する共通電極と、を含む。共通電極は、共通電位に電気的に接続され、対応する画素電極との間で容量を形成する。
【0035】
本実施例では、スイッチング素子としてTFTが使用される。各画素のTFTは、走査信号線G及び映像信号線Dに接続され、走査信号線Gから入力される走査信号によってオン状態となる。映像信号線D(例えば
図2の映像信号線D1、D2等)は、オン状態のTFTを介して画素電極に電圧(すなわち各画素の階調値を表す信号)を加える。
【0036】
各走査信号線G(例えば
図2の走査信号線G1、G2、G3等)には、シフトレジスタ(SR)ユニット201が接続される。所定の数のシフトレジスタユニット201が連結されてシフトレジスタ(SR)セグメント103が形成される。
図2の例では、表示部101の一方の長辺の側にシフトレジスタセグメント1(103A-1)及びシフトレジスタセグメント2(103A-2)が形成されている。
【0037】
さらに、もう一方の長辺の側にはシフトレジスタセグメント3(103B-1)及びシフトレジスタセグメント4(103B-2)が形成されている。これらは、それぞれ、シフトレジスタセグメント1(103A-1)及びシフトレジスタセグメント2(103A-2)が不良となった場合のスペアとして設けられるものであり、それらの構造はシフトレジスタセグメント1(103A-1)及びシフトレジスタセグメント2(103A-2)と同様である。
【0038】
各走査信号線Gは、一方の長辺の側のシフトレジスタセグメント103Aのシフトレジスタユニット201と、もう一方の長辺の側のシフトレジスタセグメント103Bのシフトレジスタユニット201と、の両方に接続される。表示装置100は、例えばシフトレジスタセグメント103Bを備えなくてもよいが、その場合は不良となったシフトレジスタセグメント103Aを代替することができない。
【0039】
各シフトレジスタセグメント103のシフトレジスタユニット201は、連結された順番に、走査信号線Gにパルス信号を出力する。
図2の例では、シフトレジスタセグメント1(103A-1)の最初段のシフトレジスタユニット201(すなわちシフトレジスタセグメント2(103A-2)から最も遠いシフトレジスタユニット201)が、走査信号線G1にパルス信号を出力し、次に、その隣のシフトレジスタユニット201が走査信号線G2にパルス信号を出力する。
【0040】
同様に、連結されている各シフトレジスタユニット201が順次パルス信号を出力する。そして、シフトレジスタセグメント1(103A-1)の最終段のシフトレジスタユニット201(すなわちシフトレジスタセグメント2(103A-2)に最も近いシフトレジスタユニット201)が、走査信号線Gmにパルス信号を出力すると、次に、シフトレジスタセグメント2(103A-2)の最初段のシフトレジスタユニット201(すなわちシフトレジスタセグメント1(103A-1)に最も近いシフトレジスタユニット201)が、走査信号線Gm+1にパルス信号を出力する。
【0041】
その後、同様に、シフトレジスタセグメント2(103A-2)の各シフトレジスタユニット201が順次パルス信号を出力する。同様の動作が、
図2では省略されているが、シフトレジスタセグメント2(103A-2)の後に設けられているシフトレジスタセグメント103Aにおいても行われる。
【0042】
各シフトレジスタセグメント103の最初段のシフトレジスタユニット201には、スタート信号供給配線104が接続され、それを介してスタート信号(スタートパルスとも記載する)が供給される。
図2の例では、シフトレジスタセグメント1(103A-1)、シフトレジスタセグメント2(103A-2)、シフトレジスタセグメント3(103B-1)及びシフトレジスタセグメント4(103B-2)の最初段のシフトレジスタユニット201に、それぞれ、スタート信号供給配線1(104A-1)、スタート信号供給配線2(104A-2)、スタート信号供給配線3(104B-1)及びスタート信号供給配線4(104B-2)が接続される。
【0043】
例えば、スタート信号供給配線1を介してシフトレジスタセグメント1(103A-1)の最初段のシフトレジスタユニット201にスタートパルスが供給されると、当該最初段のシフトレジスタユニット201から順にパルス信号の出力が開始される。シフトレジスタセグメント1(103A-1)の最終段のシフトレジスタユニット201によるスタートパルスの出力が行われたタイミングでシフトレジスタセグメント2(103A-2)の最初段のシフトレジスタユニット201にスタートパルスが供給され、当該最初段のシフトレジスタユニット201から順にパルス信号の出力が開始される。
【0044】
各シフトレジスタセグメント103には、4本のクロック信号線CK1~CK4が接続される。これらのクロック信号線を介して供給されるクロック信号に基づく各シフトレジスタユニット201の動作については後述する。
【0045】
図3は、実施例1の表示装置100に含まれるシフトレジスタユニット201の構成を示す説明図である。
【0046】
シフトレジスタユニット201は、クロック端子CKA、クロック端子CKB、接地端子VSS、入力端子IN、セット端子SET、リセット端子RST及び出力端子OUTを備え、トランジスタM1~M4によって構成される。
【0047】
図4は、実施例1の表示装置100に含まれるシフトレジスタセグメント103の構成を示す説明図である。
【0048】
本実施例では、連結された4つのシフトレジスタユニット201が一つの繰り返し単位を構成する。すなわち、一つのシフトレジスタセグメント103は、4の倍数個のシフトレジスタユニット201によって構成される。
図4にはシフトレジスタセグメント103に属する複数のシフトレジスタユニット201のうち6つ(ここではシフトレジスタユニット201-1~201-6)を示すが、それらのうち、走査信号線G1~G4に接続された4つ(すなわちシフトレジスタユニット201-1~201-4)が一つの繰り返し単位を構成している。
【0049】
ここで、繰り返し単位を構成するシフトレジスタユニット201-1~201-4の相互の接続、及び、それらに接続されるクロック信号線について説明する。他の繰り返し単位を構成するシフトレジスタユニット201の接続も同様である。
【0050】
クロック信号線CK1は、シフトレジスタユニット201-1のセット端子SET、シフトレジスタユニット201-2のクロック端子CKB、及び、シフトレジスタユニット201-4のクロック端子CKAに接続される。
【0051】
クロック信号線CK2は、シフトレジスタユニット201-1のクロック端子CKA、シフトレジスタユニット201-2のセット端子SET、及び、シフトレジスタユニット201-3のクロック端子CKBに接続される。
【0052】
クロック信号線CK3は、シフトレジスタユニット201-2のクロック端子CKA、シフトレジスタユニット201-3のセット端子SET、及び、シフトレジスタユニット201-4のクロック端子CKBに接続される。
【0053】
クロック信号線CK4は、シフトレジスタユニット201-1のクロック端子CKB、シフトレジスタユニット201-3のクロック端子CKA、及び、シフトレジスタユニット201-4のセット端子SETに接続される。
【0054】
シフトレジスタユニット201-1~201-4の出力端子OUTは、それぞれ、走査信号線G1~G4に接続され、走査信号を供給するとともに、下流のシフトレジスタユニット201-2~201-5の入力端子INに接続され、走査信号をキャリー信号として供給する。
【0055】
図4の例において、シフトレジスタユニット201-1は、シフトレジスタセグメント103の最初段に位置する。このため、シフトレジスタユニット201-1の入力端子INは、スタート信号供給配線(STV)104に接続され、当該シフトレジスタセグメント103に対応するスタートパルスの供給を受ける。仮にシフトレジスタユニット201-1がシフトレジスタセグメント103の最初段でない場合には、その入力端子INは、上流のシフトレジスタユニット201の出力端子OUTに接続される。
【0056】
シフトレジスタユニット201-1~201-4の接地端子VSS及びシフトレジスタユニット201-1~201-3のリセット端子RSTには、オフ信号線VEEが接続され、オフ電圧が供給される。オフ電圧の電位は、走査信号線Gのローレベルの電位である。シフトレジスタユニット201-4のリセット端子RSTには、スタート信号供給配線(STV)104に接続され、当該シフトレジスタユニット201-4が属するシフトレジスタセグメント103に対応するスタートパルスが供給される。
【0057】
図5は、実施例1の表示装置100に含まれるシフトレジスタセグメント103に供給されるクロック及びシフトレジスタセグメント103から出力される走査信号等を示すタイミングチャートである。
【0058】
ここで、
図3~
図5を参照して、シフトレジスタセグメント103に属する各シフトレジスタユニット201の動作を説明する。
【0059】
クロック信号線CK1からは、所定の周波数のクロック信号が供給される。クロック信号線CK2からは、クロック信号線CK1のクロック信号より1/4周期分遅れたクロック信号が供給される。クロック信号線CK3からは、クロック信号線CK2のクロック信号より1/4周期分遅れたクロック信号が供給される。クロック信号線CK4からは、クロック信号線CK3のクロック信号より1/4周期分遅れたクロック信号が供給される。
【0060】
シフトレジスタユニット201-1の入力端子INにスタート信号供給配線104を介してスタートパルス(
図5のSTV1)が供給され、そのタイミングでクロック信号線CK1からセット端子SETに供給されるクロック信号が立ちあがると、トランジスタM2のゲートが充電される。その後、クロック信号線CK2からクロック端子CKAに供給されるクロック信号が立ちあがると、出力端子OUTの電位がハイになる。すると、走査信号線G1に接続された各画素のTFTのゲートが充電され、各TFTがオン状態となり、各画素の画素電極に映像信号線Dの電圧が印加される。
【0061】
その後、クロック信号線CK4からクロック端子CKBに供給されるクロック信号が立ちあがると、トランジスタM3がオン状態となり、出力端子OUTに接続された走査信号線G1を介して各画素のTFTのゲートが放電し、各TFTがオフ状態となる。
【0062】
シフトレジスタユニット201-2の入力端子INには、スタートパルスよりクロック1/4周期分遅れて立ち上がる走査信号線G1の電圧が印加される。シフトレジスタユニット201-2のセット端子SETには、クロック信号線CK1のクロック信号より1/4周期分遅れたクロック信号がクロック信号線CK2から供給される。シフトレジスタユニット201-2のクロック端子CKAには、クロック信号線CK2のクロック信号より1/4周期分遅れたクロック信号がクロック信号線CK3から供給される。シフトレジスタユニット201-2のクロック端子CKBには、クロック信号線CK4のクロック信号より1/4周期分遅れたクロック信号がクロック信号線CK1から供給される。これによって、シフトレジスタユニット201-2の出力端子OUTの電位がハイになるタイミング及びその後ローになるタイミングは、これによって、シフトレジスタユニット201-1の出力端子OUTのそれらよりクロック1/4周期分遅れる。
【0063】
上記と同様に、シフトレジスタユニット201-3及び201-4が順次動作する。その後、さらに、その次の繰り返し単位に属するシフトレジスタユニット201(シフトレジスタユニット201-5等)及びそれ以降の繰り返し単位に属するシフトレジスタユニット201も上記と同様の動作をする。すなわち、各シフトレジスタユニット201は、入力端子INにパルス信号(スタートパルス又はキャリー信号)を受信した後の所定のタイミング(
図3~5の例ではクロック1/4周期後)にパルス信号を出力する。
【0064】
これによって、シフトレジスタセグメント103に属する全てのシフトレジスタユニット201が正常に動作していれば、走査信号線G1~Gmの電位は、順次、クロック1/4周期分遅れて立ち上がり、その後、立ち下がる。
【0065】
上記のシフトレジスタセグメント103(例えば
図2のシフトレジスタセグメント103A-1)の下流のシフトレジスタセグメント103(例えば
図2のシフトレジスタセグメント103A-2)の最初段のシフトレジスタユニット201の入力端子INには、走査信号線Gmの電位が立ちあがるタイミングで、当該シフトレジスタセグメント103用のスタート信号供給配線104(例えば
図2のスタート信号供給配線104A-2)を介して、スタートパルスが供給される(例えば
図5のSTV2)。以後、下流のシフトレジスタセグメント103においても上流と同様の動作が行われる。
【0066】
各シフトレジスタセグメント103へのスタートパルスの供給は、上流のシフトレジスタセグメント103を介さずに、ドライバICから行われる。このため、上流のシフトレジスタセグメント103が正常に動作しているか否かにかかわらず、下流のシフトレジスタセグメント103には正しいタイミングでスタートパルスが供給される。その結果、下流のシフトレジスタセグメント103は、自身の状態が正常であれば、上流の状態にかかわらず、正常に動作をすることができる。
【0067】
図6は、実施例1の表示装置100においてシフトレジスタの誤動作が生じた場合の表示欠陥の説明図である。
【0068】
本実施例では、各シフトレジスタセグメント103は、ドライバICからスタート信号供給配線104を介してスタートパルスを受けるため、上流のシフトレジスタセグメント103からのキャリー信号を必要としない。したがって、いずれかのシフトレジスタセグメント103のシフトレジスタユニット201に不良が発生しても、その下流のシフトレジスタセグメント103自身が正常であれば、当該下流のシフトレジスタセグメントは正常に動作することができる。
【0069】
すなわち、シフトレジスタユニット201の不良の影響は当該シフトレジスタユニット201が属するシフトレジスタセグメント103内にとどまるため、表示欠陥部601は、当該不良が発生したシフトレジスタセグメント103に対応する帯状の領域のみとなる。その結果、表示装置100の表示部101の大部分が表示されなくなるといった重大な欠陥が防止される。
【実施例2】
【0070】
以下、本発明の実施例2を説明する。実施例2のうち実施例1と共通する部分についてはその説明を省略する。
【0071】
図7は、実施例2の表示装置700の構造を示す説明図である。
【0072】
実施例1の表示装置100では、各シフトレジスタセグメント103にスタートパルスを供給する必要がある。しかし、汎用のドライバICはそのような機能を有しないため、各シフトレジスタセグメント103用のスタートパルスを生成する専用のドライバIC106を用意する必要がある。
【0073】
一方、実施例2の表示装置700は、実施例1の表示装置100が有するものと同様の複数のシフトレジスタセグメント103に加えて、各シフトレジスタセグメント103に供給されるスタートパルスを生成するためのスタート信号生成用シフトレジスタ回路701を有する。
【0074】
図7の例では、表示装置700は、複数のシフトレジスタセグメント103Aにスタートパルスを供給するスタート信号生成用シフトレジスタ回路701A、及び、複数のシフトレジスタセグメント103Bにスタートパルスを供給するスタート信号生成用シフトレジスタ回路701Bを有する。
【0075】
例えば、表示装置700がN個のシフトレジスタセグメント103Aを有する場合、スタート信号生成用シフトレジスタ回路701Aは、N段のシフトレジスタ回路を有する。スタート信号生成用シフトレジスタ回路701Aは、ドライバIC702からスタートパルスを受けると、各段のシフトレジスタユニット(図示省略)が各シフトレジスタセグメント103A向けのスタートパルスを生成して出力する。
【0076】
これによって、ドライバIC702は、スタート信号生成用シフトレジスタ回路701にスタートパルスを供給すればよく、各シフトレジスタセグメント103向けのスタートパルスを生成する必要がない。このため、汎用のドライバICを採用することができ、コストが削減される。
【0077】
本実施例においても、シフトレジスタセグメント103内のシフトレジスタユニット201が不良となった場合には、実施例1と同様に、その影響範囲を当該シフトレジスタセグメント103に対応する帯状の領域にとどめることができる。
【実施例3】
【0078】
以下、本発明の実施例3を説明する。実施例3のうち実施例1又は実施例2と共通する部分についてはその説明を省略する。
【0079】
図2及び
図4に示したように、実施例1のシフトレジスタセグメント103を構成する複数のシフトレジスタユニット201のうち、最終段のもの以外の出力端子OUTは、それぞれ走査信号線Gに接続されるとともに、下流のシフトレジスタユニット201の入力端子INにも接続される。これに対して、最終段のシフトレジスタユニット201の出力端子OUTは、走査信号線Gには接続されるが、下流のシフトレジスタユニット201の入力端子INには接続されない。
【0080】
このため、シフトレジスタセグメント103の最終段のシフトレジスタユニット201の出力端子OUTに接続される負荷の容量は、他のシフトレジスタユニット201の出力端子OUTに接続される負荷の容量と異なる。具体的には、前者の容量が後者の容量より小さくなるため、最終段のシフトレジスタユニット201の出力端子OUTに接続された走査信号線Gのゲート信号の立下り時の波形鈍りが他のシフトレジスタユニット201におけるものより小さくなり、その結果、画素電極へのフィードスルー電圧がわずかに大きくなる。これによって、最終段の走査信号線に接続された画素とそれ以外の画素との間で、液晶に印加される直流電圧成分が異なることとなり、画素を連続駆動した場合にはその相違が残像となり、表示部セグメント102の幅の周期で線状の輝度の不均一が生じる可能性がある。
【0081】
図8は、実施例3の表示装置800のシフトレジスタの説明図である。
【0082】
実施例3の表示装置800は、シフトレジスタセグメント103がシフトレジスタセグメント801によって置き換えられている点を除いて、実施例1の表示装置100と同一である。例えば、
図8に示すシフトレジスタセグメント801A-1及び801A-2は、それぞれ、
図2に示したシフトレジスタセグメント103A-1及び103A-2を置き換えるものである。
【0083】
なお、実施例3の表示装置800は、実施例2の表示装置700のシフトレジスタセグメント103をシフトレジスタセグメント801によって置き換えたものであってもよい。以下の説明は、いずれの場合にも適用することができる。
【0084】
実施例3のシフトレジスタセグメント801は、それぞれ走査信号線Gに接続された一連のシフトレジスタユニット201の後に、走査信号線Gに接続されていないダミーのシフトレジスタユニット201が接続されている点を除いて、実施例1のシフトレジスタセグメント301と同一である。
【0085】
図8の例では、シフトレジスタセグメント801A-1は、それぞれ走査信号線G1~Gmに接続されたシフトレジスタユニット201-1~201-mを含む。これらは、
図2に示したシフトレジスタセグメント103A-1に含まれるシフトレジスタユニット201と同一である。
【0086】
シフトレジスタセグメント801A-1は、さらに、シフトレジスタユニット201-mの後に接続されたダミーのシフトレジスタユニット201L1を含む。ダミーのシフトレジスタユニット201L1の入力端子INはシフトレジスタユニット201-mの出力端子OUTに接続される。
【0087】
ダミーのシフトレジスタユニット201L1の出力端子OUTは、いずれの走査信号線Gにも接続されない。また、次段のシフトレジスタセグメント801A-2の最初段のシフトレジスタユニット201-m+1には、ダミーのシフトレジスタユニット201L1にキャリー信号(すなわち前段のシフトレジスタユニット201-mの走査信号)が入力されるタイミングで、スタートパルスが入力される。
【0088】
同様に、シフトレジスタセグメント801A-2のシフトレジスタユニット201-2mの後にダミーのシフトレジスタユニット201L2が挿入される。そして、シフトレジスタユニット201-2mの出力端子OUTが走査信号線G2mだけでなくダミーのシフトレジスタユニット201L2の入力端子INにも接続される。
【0089】
これによって、走査信号線Gに接続されたシフトレジスタユニット201の出力端子OUTは、必ずその後段のシフトレジスタユニット201の入力端子INにも接続されることとなる。これによって、走査信号線Gに接続された全てのシフトレジスタユニット201の負荷容量が等しくなるため、走査信号線Gのゲート信号の波形鈍りの不均等が解消され、表示部セグメント102の境界における輝度の不均一の発生が防止される。
【実施例4】
【0090】
以下、本発明の実施例4を説明する。実施例4のうち実施例1~実施例3と共通する部分についてはその説明を省略する。
【0091】
いずれかのシフトレジスタセグメント801において出力欠損モードの故障が生じた場合、当該シフトレジスタセグメント801の全シフトレジスタユニット201のうち故障個所より後段のシフトレジスタユニット201に接続された走査信号線GがONしなくなる。シフトレジスタセグメント103についても同様である。
【0092】
一方、いずれかのシフトレジスタセグメント801においてクロック突き抜けモードの故障が生じた場合、当該シフトレジスタセグメント801の全シフトレジスタユニット201のうち故障個所より後段のシフトレジスタユニット201に接続された走査信号線Gが全て同時にON/OFFを繰り返す。シフトレジスタセグメント103についても同様である。
【0093】
いずれの場合も、故障したシフトレジスタセグメント801に対応する表示部セグメント102において正常な表示ができなくなる。この表示装置が自動車に搭載されており、例えば車速を示す数字又はハザード等の、乗員の安全にかかわる情報が表示されている表示部セグメント102に故障が生じた場合、たとえ他の表示部セグメント102が正常であっても問題となる。
【0094】
本実施例では、故障したシフトレジスタセグメント801が検出され、その結果がシステムにフィードバックされる。システムは、検出結果に基づいて、故障の影響を軽減するための種々の対策を行う。
【0095】
図9は、実施例4の表示装置900のシフトレジスタの説明図である。
【0096】
実施例4の表示装置900は、各シフトレジスタセグメント801の最終段であるダミーのシフトレジスタユニット201Lの出力端子OUTを全て接続してパネル外部に出力するためのモニタ出力配線901を有することを除いて、実施例3の表示装置800(
図8参照)と同様である。
【0097】
図10A及び
図10Bは、実施例4のシフトレジスタユニット201を構成するトランジスタ(TFT)M1~M4のサイズの設計例を示す説明図である。
【0098】
図10Aには本体の(すなわちダミーでない)シフトレジスタユニット201の設計例を、
図10Bにはダミーのシフトレジスタユニット201Lの設計例を、それぞれ示す。
図10A及び
図10Bの例では、本体、ダミーのいずれも、トランジスタM1~M4のチャネル長Lは同一である。
【0099】
ダミーのシフトレジスタユニット201LのトランジスタM1は、最終段のシフトレジスタユニット201の負荷となる。このため、ダミーのシフトレジスタユニット201LのトランジスタM1のチャネル幅Wは、本体のシフトレジスタユニット201のトランジスタM1のチャネル幅Wと同一にすることが望ましい。その結果、表示部セグメント102の境界における輝度の不均一を抑制することができる。
【0100】
本体のシフトレジスタユニット201の出力端子OUTは走査信号線Gに接続される。走査信号線Gを介して各画素のTFTのゲートを充電する十分な電荷を供給できるように、本体のシフトレジスタユニット201のトランジスタM2のチャネル幅は十分な大きさとすることが望ましい。一方、ダミーのシフトレジスタユニット201Lの出力端子OUTには走査信号線Gが接続されないため、その負荷容量は小さい。このため、ダミーのシフトレジスタユニット201LのトランジスタM2のチャネル幅Wは、本体のシフトレジスタユニット201のトランジスタM2のチャネル幅Wより小さくすることができる。その結果、ダミーのシフトレジスタユニットの占有面積を小さくすることができ、本体のシフトレジスタユニット201の設計裕度が増す。
【0101】
ダミーのシフトレジスタユニット201LのトランジスタM3のチャネル幅Wは、本体のシフトレジスタユニット201のトランジスタM3のチャネル幅Wと同一か、又はそれより大きくすることが望ましい。その結果、ローレベルのノイズが低減する。
【0102】
ダミーのシフトレジスタユニット201LのトランジスタM4のチャネル幅Wは、本体のシフトレジスタユニット201のトランジスタM4のチャネル幅Wと同一でよい。
【0103】
図11は、実施例4のモニタ出力配線901において観測されるモニタ信号波形の説明図である。
【0104】
モニタ信号波形1101は、いずれのシフトレジスタセグメント801でも故障が発生していない場合にモニタ出力配線901において観測される波形の一例である。この場合、モニタ出力配線901では、各シフトレジスタセグメント801の最終段のシフトレジスタユニット201の後に連結されたダミーのシフトレジスタユニット201Lが出力するパルスが観測される。
【0105】
このパルスが出力されるタイミングは、そのシフトレジスタセグメント801の次のシフトレジスタセグメント801の最初段のシフトレジスタユニット201が走査信号線Gにパルスを出力するタイミングに相当する。
【0106】
モニタ信号波形1102は、いずれかのシフトレジスタセグメント801において出力欠損モードの故障が発生した場合にモニタ出力配線901において観測される波形の一例である。この場合、故障が発生したシフトレジスタセグメント801ではキャリー信号がその最終段のシフトレジスタユニット201まで到達しない。このため、その後に連結されたダミーのシフトレジスタユニット201Lは、正常モードであればパルスを出力するはずのタイミングにパルスを出力しない。
【0107】
モニタ信号波形1103は、いずれかのシフトレジスタセグメント801においてクロック突き抜けモードの故障が発生した場合にモニタ出力配線901において観測される波形の一例である。この場合、故障が発生したシフトレジスタセグメント801の最終段のシフトレジスタユニット201がクロック信号を出力する。このため、その後に連結されたダミーのシフトレジスタユニット201Lは、正常モードであればパルスを出力するはずのタイミング以外のタイミングにもパルスを出力する。
【0108】
これによって、単に故障の有無を判定できるだけでなく、故障が発生しているシフトレジスタセグメント801を特定することができる。
【0109】
図12は、実施例4の表示装置による表示補正の処理の流れを示す説明図である。
【0110】
モニタ出力配線901に出力されたモニタ信号は、レベルシフト回路1201に入力される。モニタ信号のレベルは画素のTFTのゲートのハイレベル及びローレベルであるため、LSIに接続するためにレベルシフト回路1201が必要となる。レベルシフト回路1201は、表示装置100の基板105上にTFTによって作りこまれてもよいし、レベルシフトICによって実装されてもよい。
【0111】
レベルシフト回路1201によってレベルシフトしたモニタ信号は、アナログデジタル変換器(ADC)1202によってデジタル信号に変換され、コンパレータ1203によって基準信号と比較される。
【0112】
基準信号は、例えば、各シフトレジスタセグメント801が正常に動作していればモニタ出力配線901に出力されるはずのパルスのタイミングを示す信号である。この基準信号は、コントローラIC1204によって生成される。
【0113】
コンパレータ1203は、デジタル信号に変換されたモニタ信号と基準信号とを比較した結果をコントローラIC1204に出力する。コントローラIC1204は、コンパレータ1203からの入力に基づいて、いずれかのシフトレジスタセグメント801の故障を検出した場合、その故障に対応する補正信号を生成してドライバIC106に出力する。ドライバIC106は、補正信号に基づいて補正データを生成して表示部101に出力する。
【0114】
例えば、コントローラIC1204は、コンパレータ1203から入力された情報に基づいて、モニタ信号において本来パルスが検出されるべきタイミングにパルスが検出されなかったと判定した場合に、当該タイミングに対応するシフトレジスタセグメント801に出力欠損モードの故障が発生したと判定する。また、コントローラIC1204は、モニタ信号において本来パルスが検出されるべきでないタイミングにパルスが検出されたと判定した場合に、当該タイミングに対応するシフトレジスタセグメント801にクロック突き抜けモードの故障が発生したと判定する。
【0115】
故障が発生した場合の補正信号及び補正データの例として、次のようなものが挙げられる。例えば、コントローラIC1204は、故障が発生したシフトレジスタセグメント103に対応する表示部セグメント102(すなわち故障した表示部セグメント102)に黒を表示するための補正信号を生成し、ドライバIC106はその補正信号に従って黒を表示するための補正データを出力してもよい。
【0116】
具体的には、例えば出力欠損モードの故障の場合、故障したシフトレジスタセグメント801に接続された走査信号線Gの少なくとも一部に走査信号が供給されない。走査信号が供給されない領域の表示は、映像信号からのカップリングにより黒にはならないため、当該故障したシフトレジスタセグメント801に対応する全画素に黒データを供給して黒表示とすることが望ましい。一方、クロック突き抜けモードの故障の場合、故障したシフトレジスタセグメント801に接続された走査信号線Gの少なくとも一部に走査信号が出続ける。このため、コントローラIC1204は、当該故障したシフトレジスタセグメント801へのスタートパルスの供給は停止せずに、当該故障したシフトレジスタセグメント801に対応する全画素に黒データを供給する。
【0117】
あるいは、コントローラIC1204は、表示部101のうち故障していない表示部セグメント102に、当該表示部101の一部に故障が発生したことを示す警告を表示するための補正信号を生成し、ドライバIC106がその補正信号に従って警告を表示するための補正データを出力してもよい。
【0118】
上記のように故障した表示部セグメント102に黒を表示することは可能であるが、正常部と異なる動作条件となるため、画素内で微小な直流電圧が発生し、連続通電によって帯状の焼きつきが発生する可能性が高い。上記のような警告をユーザに対して表示することによって、表示装置900の交換を促すことができる。
【0119】
また、当該表示装置900を搭載した車両(図示省略)に通信機能がある場合には、コントローラIC1204は、当該通信機能を介して、当該車両のディーラーに、表示装置900が故障したことの通知を送信してもよい。これによって、ディーラーが表示装置900の交換等の対応をすることができる。
【0120】
あるいは、コントローラIC1204は、表示部101に表示すべき重要な情報を故障していない表示部セグメント102に表示するための補正信号を生成し、ドライバIC106はその補正信号に従って重要な情報を故障していない表示部セグメント102に表示するための補正データを出力してもよい。
【0121】
上記のように、セグメントごとに出力をモニタすることによって、セグメントごとに故障を検出し、それに対応する補正をすることができる。これによって、セグメントの故障による情報の欠落が最小化され、例えば表示装置900が自動車に搭載される場合には乗員の安全を確保することができる。
【0122】
本実施例のモニタ出力配線901は、ダミーのシフトレジスタユニット201Lではなく、実施例1の各シフトレジスタセグメント103の最終段のシフトレジスタユニット201の出力端子OUTに接続されてもよい。その場合も上記と同様の方法で故障を検出することができる。
【0123】
ただし、その場合、最終段のシフトレジスタユニット201の出力端子OUTには、走査信号線Gに加えてモニタ出力配線901が接続されることとなり、その負荷容量は他のシフトレジスタユニット201の負荷容量とは異なることになる。その結果、表示部セグメント102の境界において、実施例3で説明したような輝度の不均一が発生することとなる。
【0124】
本実施例では、ダミーのシフトレジスタユニット201Lの出力を利用することによって、モニタ出力配線901の引き出しによる負荷容量増が走査信号線Gに影響を与えることを防ぐことができる。また、このように走査信号線Gへの影響がなくなることから、モニタ出力配線901を1本にまとめて全シフトレジスタセグメント801で共通化することができ、配線の増加による額縁幅の増大を防ぐことができる。
【0125】
以下、実施例4の表示装置900においていずれかのシフトレジスタセグメント801に故障が検出された場合の処置のいくつかの例を説明する。
【0126】
図13は、実施例4の表示装置900のシフトレジスタセグメント801において故障が検出された場合の処置の第1の例を示す説明図である。
【0127】
図13の例では、複数のシフトレジスタセグメント801Aからなるシフトレジスタは、通常時に使用されるマスタシフトレジスタ(第1のシフトレジスタ)であり、複数のシフトレジスタセグメント801Bからなるシフトレジスタは、マスタシフトレジスタの故障時に使用されるスペアシフトレジスタ(第2のシフトレジスタ)である。全てのシフトレジスタセグメント801Aが正常である場合、シフトレジスタセグメント801Aには必要なクロック信号及びスタートパルスが供給され、シフトレジスタセグメント801Bにはスタートパルスが供給されない。クロック信号は供給されていてもよいが、回路の劣化を防ぐために、使用されていない間はクロック信号も供給されないことが望ましい。
【0128】
この例において、複数のシフトレジスタセグメント801Aの一つであるシフトレジスタセグメント801A-Nに故障が発生した場合を例として説明する。コントローラIC1204は、モニタ信号に基づいてシフトレジスタセグメント801A-Nの故障を検出すると、当該シフトレジスタセグメント801A-Nへのスタートパルスの供給を停止し、当該シフトレジスタセグメント801A-Nに対応する(すなわちそれと同一の走査信号線Gに接続された)シフトレジスタセグメント801B-Nにスタートパルス及びクロック信号の供給を開始する(すなわちシフトレジスタセグメント801B-Nをアクティベートする)。
【0129】
これによって、表示部101のうち、故障したシフトレジスタセグメント801A-Nに対応する表示部セグメント102-Nの走査信号線Gはスペアのシフトレジスタセグメント801B-Nによって駆動され、それ以外の走査信号線Gはシフトレジスタセグメント801Aによって駆動される。その結果、表示部101内の全ての領域で表示を継続することができる。
【0130】
マスタ側のシフトレジスタセグメント801A-N以外のシフトレジスタセグメント801Aに故障が発生した場合も、同様に、故障したシフトレジスタセグメント801Aへのスタートパルスの供給を停止し、それに対応するスペア側のシフトレジスタセグメント801Bへのスタートパルスの供給を開始することで、表示を継続することができる。
【0131】
その結果、同一の表示部セグメント102に対応するマスタ側のシフトレジスタセグメント801A及びスペア側のシフトレジスタセグメントの両方が故障しない限り、表示欠陥は発生しない。
【0132】
なお、上記のようなスタートパルスクロック信号の供給の開始及び停止、は、コントローラIC1204がドライバIC106を制御することによって実行される。後述する
図14A~
図14Cにおいても同様である。
【0133】
図14A~
図14Cは、実施例4の表示装置900のシフトレジスタセグメント801において故障が検出された場合の処置の第2の例を示す説明図である。
【0134】
図13に示した例と同様に、マスタ側のシフトレジスタセグメント801A-Nに故障が発生する。これを放置した場合、それに対応する表示部セグメント102-Nが表示欠陥となる(
図14A)。
【0135】
コントローラIC1204は、シフトレジスタセグメント801A-Nの故障を検出すると、故障したシフトレジスタセグメント801A-Nだけでなく、全てのマスタ側のシフトレジスタセグメント801Aを停止し、スペア側のシフトレジスタセグメント801Bを起動する(
図14B)。具体的には、マスタ側のシフトレジスタセグメント801Aへのスタートパルス及びクロック信号の供給を停止して、スペア側のシフトレジスタセグメント801Bへのスタートパルス及びクロック信号の供給を開始する。これによって、表示欠陥は解消される。
【0136】
その後、スペア側のシフトレジスタセグメント801Bのいずれか、例えばシフトレジスタセグメント801B-2に故障が発生すると、コントローラIC1204は、当該シフトレジスタセグメント801B-2へのスタートパルスの供給を停止して、当該シフトレジスタセグメント801B-2に対応するマスタ側のシフトレジスタセグメント801A-2へのスタートパルスの供給を開始する。シフトレジスタセグメント801Aへのクロックの供給が停止されていた場合はその供給も再開する(
図14C)。これによって、シフトレジスタセグメント801B-2及び801A-2に対応する表示部セグメント102-2の表示欠陥は解消される。
【0137】
スペア側の他のシフトレジスタセグメント801Bに故障が発生した場合も同様に対応するマスタ側のシフトレジスタセグメント801Aが起動する。これによって、同一の表示部セグメント102に対応するマスタ側のシフトレジスタセグメント801A及びスペア側のシフトレジスタセグメントの両方が故障しない限り、表示欠陥は解消される。
【0138】
以上のように、実施例4によれば、シフトレジスタセグメント801ごとに故障が検出され、故障したシフトレジスタセグメント801がそれに対応するシフトレジスタセグメント801によって代替される。これによって、いずれかの表示部セグメント102に対応する二つのシフトレジスタセグメント801が両方とも故障しない限り、表示欠陥が生じず、その結果、表示装置100の耐障害性が向上する。
【0139】
なお、上記の実施例4では、実施例1と同様に、各シフトレジスタセグメント801にドライバIC106からスタートパルスが供給される例を示している。しかし、実施例2と同様に、スタート信号生成用シフトレジスタ回路701から各シフトレジスタセグメント801にスタートパルスが供給されてもよい。その場合、
図14Cに示したシフトレジスタセグメントごとの切り替えはできないが、
図14Bに示したマスタ側からスペア側へのシフトレジスタセグメント801全体の切り替えは可能であり、これによって耐障害性が向上する。
【実施例5】
【0140】
以下、本発明の実施例5を説明する。実施例5のうち上記の各実施例と共通する部分についてはその説明を省略する。
【0141】
図15は、本発明の実施例5の表示装置1500の構成を示す斜視図である。
【0142】
本実施例の表示装置1500は、セグメント化された表示部およびシフトレジスタ回路から構成されるLCDパネル1501と、セグメント化されたLED(Light Emitting Diode)バックライトユニット1502と、FPC(Flexible Printed Circuits)1504等によってこれらに接続された制御回路基板1503と、から構成される。
【0143】
LCDパネル1501上に、複数の表示部セグメント102、複数のマスタ側のシフトレジスタセグメント801A、及び、複数のスペア側のシフトレジスタセグメント801Bが形成される。
【0144】
LEDバックライトユニット1502はLEDチップ(図示省略)をLCDパネル1501直下に多数配列した直下型バックライトユニットである。LEDチップはLCDパネル1501と同様にセグメント化され、LCDのセグメント(表示部セグメント102)とバックライトのセグメント1505は1対1に対応するように配置される。
【0145】
図15の例では説明のためにLCDパネル1501とLEDバックライトユニット1502とを分離して表示しているが、実際にはLEDバックライトユニット1502はLCDパネル1501の直下に配置される。各バックライトセグメント1505は、対応する各表示部セグメント102を透過する光を発する光源となる。
【0146】
バックライトの個々のセグメント1505は制御回路基板1503からの信号によって個別に点灯、消灯可能となるように接続されている。制御回路基板1503にはコントローラIC1204(
図12)が搭載され、このコントローラIC1204が各バックライトセグメント1505を点灯及び消灯する信号を生成し、LEDバックライトユニット1502に送信してもよい。
【0147】
LCDパネル1501の或るセグメントに故障が発生すると、コントローラIC1204は、シフトレジスタセグメント801のモニタ信号に基づいて故障したセグメントを同定し、この故障したセグメントに対応したバックライトセグメント1505だけを消灯し、黒表示とする。
【0148】
例えば、コントローラIC1204は、表示部セグメント102-Nに対応するマスタ側のシフトレジスタセグメント801A-N及びスペア側のシフトレジスタセグメント801B-Nの両方に故障が発生したことを検出すると、表示部セグメント102-Nに対応するバックライトセグメント1505Nを消灯する。これによって、表示部セグメント102-Nが黒表示となる。また、これによって表示に不要なLEDが消灯するため、消費電力が削減される。
【0149】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0150】
100、700、800、900 表示装置
101 表示部
102 表示部セグメント
103、801 シフトレジスタセグメント
104 スタート信号供給配線
105 基板
106、702 ドライバIC
107 接続端子
701 スタート信号生成用シフトレジスタ回路
1201 レベルシフト回路
1202 アナログデジタル変換器(ADC)
1203 コンパレータ
1204 コントローラIC