(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】料金計算端末装置、端末判定装置及び賃走料金計算システム
(51)【国際特許分類】
G07B 13/00 20060101AFI20221101BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20221101BHJP
【FI】
G07B13/00 L
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2018153042
(22)【出願日】2018-08-16
【審査請求日】2021-07-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】堀内 克充
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124596(JP,A)
【文献】特開2009-198418(JP,A)
【文献】特開2017-120580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0100394(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00-17/04
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置情報に基づいて該車両の賃走料金を計算処理するためのアプリケーションソフトウェアのプログラムと、該プログラムによる前記賃走料金の計算処理に適用する料金制情報とが記憶される記憶部と、
前記プログラムの起動時にサーバに起動を通知する起動通知部と、
前記起動通知部による起動の通知に呼応した前記サーバからの乗降地点情報を受信する地点情報受信部と、
前記地点情報受信部が受信した前記乗降地点情報の乗降地点間を賃走した場合の仮想の前記賃走料金を、前記料金制情報を適用して前記起動したプログラムにより計算処理する仮想計算部と、
前記仮想計算部が計算処理した前記仮想の賃走料金を前記サーバに通知する料金通知部と、
前記料金通知部による前記仮想の賃走料金の通知に呼応した前記サーバからの、該サーバが前記料金制情報を適用して計算した前記乗降地点間の賃走料金に基づいた、通知した前記仮想の賃走料金に対する正当性の有無の判定結果を受信する判定結果受信部と、
前記判定結果受信部が受信した前記判定結果が正当性なしの場合に、前記起動したプログラムによる前記賃走料金の計算処理を無効化する無効化部と、
を備える料金計算端末装置。
【請求項2】
前記地点情報受信部が受信した前記乗降地点情報の乗降地点間の走行ルートを特定するルート特定部をさらに備え、前記仮想計算部は、前記ルート特定部が特定した前記走行ルートで前記乗降地点間を賃走した場合の前記仮想の賃走料金を計算処理する請求項1記載の料金計算端末装置。
【請求項3】
車両の賃走料金を計算処理するためのアプリケーションソフトウェアのプログラムの起動通知を前記車両の料金計算端末装置から受信する起動受信部と、
前記起動通知の通知元の車両の前記料金計算端末装置に乗降地点情報を送信する地点情報送信部と、
前記乗降地点情報の送信に呼応した該乗降地点情報の受信元の前記料金計算端末装置からの、受信した前記乗降地点情報の乗降地点間を賃走した場合の仮想の前記賃走料金の計算結果を受信する計算結果受信部と、
前記計算結果受信部が受信した前記仮想の賃走料金の正当性の有無を、前記乗降地点情報の乗降地点と前記賃走料金の計算処理に適用する料金制情報とに基づいて計算処理した前記賃走料金との比較により判定する正当性判定部と、
前記正当性判定部による判定結果を、前記乗降地点情報の受信元の前記料金計算端末装置に送信する判定結果送信部と、
を備える端末判定装置。
【請求項4】
前記地点情報送信部は、前記起動通知の受信によりトリガされて選択肢の中から無作為に抽出された2つの地点を前記乗降地点とする前記乗降地点情報を前記起動通知の通知元の車両の前記料金計算端末装置に送信する請求項3記載の端末判定装置。
【請求項5】
前記乗降地点情報の乗降地点間の走行ルートを特定するルート特定部をさらに備え、前記正当性判定部は、前記ルート特定部が特定した前記走行ルートで前記乗降地点間を賃走した場合の前記賃走料金との比較により、前記計算結果受信部が受信した前記仮想の賃走料金の正当性の有無を判定する請求項3又は4記載の端末判定装置。
【請求項6】
前記正当性判定部による判定結果を、前記乗降地点情報の受信元の前記料金計算端末装置と関連付けた、前記料金計算端末装置毎の正当性情報を記憶する正当性情報記憶部をさらに備える請求項3、4又は5記載の端末判定装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載の料金計算端末装置と、
請求項3、4、5又は6記載の端末判定装置と
を備え、
前記料金計算端末装置の前記起動通知部は、前記プログラムの起動時に、前記サーバに相当する前記端末判定装置に前記プログラムの起動を通知し、
前記料金計算端末装置の前記地点情報受信部は、前記起動通知部による起動の通知に呼応した前記乗降地点情報を、前記サーバに相当する前記端末判定装置から受信し、
前記料金計算端末装置の前記料金通知部は、前記料金計算端末装置の前記仮想計算部が計算処理した前記仮想の賃走料金を、前記サーバに相当する前記端末判定装置に通知し、
前記料金計算端末装置の前記判定結果受信部は、前記サーバに相当する前記端末判定装置から、前記端末判定装置が前記料金制情報を適用して計算した前記乗降地点間の賃走料金に基づいた、通知した前記仮想の賃走料金に対する正当性の有無の判定結果を受信する、
賃走料金計算システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の賃走料金を計算する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、タクシーの乗車料金、運転代行業者による運転代行料金等の、車両の賃走料金は、車両に搭載した専用のメータを用いて計算される。
【0003】
例えば、タクシーの乗車料金は、車両の走行速度及び走行距離に応じた走行パルスに基づいて、車載のタクシーメータが計算する。この計算には、所轄官庁による認可(型式認定)を受けてタクシーメータのROMに記憶された封印済の料金制情報が用いられる。
【0004】
これに対し、タクシーメータの新しい形態として、車両の走行パルスに依存しないでタクシーの乗車料金を計算することが検討されている。このような形態のタクシーメータは、「ソフトメータ」と呼ばれることがある。
【0005】
このソフトメータでは、車載コンピュータから得られる車両の自己診断機能(OBD;On-board diagnostics)の情報と、車載のGPS受信機から得られる車両の位置情報とを組み合わせて、車両の走行状態を検出する。そして、検出した走行状態と上述した料金制情報とを用いて、タクシーの乗車料金を算出し表示する。
【0006】
このようなソフトメータは、例えば、飲食店のレジシステムのように、スマートフォン又はタブレット端末等の、通信機能を有する携帯端末を用いて実現することができる。
【0007】
なお、ソフトメータが計算する乗車料金の正当性を担保する提案として、ソフトメータが、サーバからダウンロードした料金制情報を乗車料金の計算に用いる前に、料金制情報と共にダウンロードした電子署名の内容で料金制情報の正当性を確認するものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、ソフトメータは、市販のスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末をハードウェアに用いるので、乗車料金を計算するアプリケーションソフトウェアが改ざんされたり、ハードウェア自体が改ざんされる可能性がある。ソフトメータに用いるハードウェアの正当性、あるいは、ソフトメータのアプリケーションソフトウェアの正当性は、料金制情報の正当性が電子署名によって担保されても、連鎖的に保証されるものではない。
【0010】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、例えばソフトメータが計算するタクシーの乗車料金等、車載の携帯端末が車両の位置情報に基づいて計算する車両の賃走料金の正当性を、確保することができる料金計算端末装置及び端末判定装置と、この料金計算端末装置及び端末判定装置を用いて好適な賃走料金計算システムとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明の第1の態様による料金計算端末装置は、
車両の位置情報に基づいて該車両の賃走料金を計算処理するためのアプリケーションソフトウェアのプログラムと、該プログラムによる前記賃走料金の計算処理に適用する料金制情報とが記憶される記憶部と、
前記プログラムの起動時にサーバに起動を通知する起動通知部と、
前記起動通知部による起動の通知に呼応した前記サーバからの乗降地点情報を受信する地点情報受信部と、
前記地点情報受信部が受信した前記乗降地点情報の乗降地点間の走行ルートを特定するルート特定部と、
前記ルート特定部が特定した前記走行ルートで前記乗降地点間を賃走した場合の仮想の前記賃走料金を、前記料金制情報を適用して前記起動したプログラムにより計算処理する仮想計算部と、
前記仮想計算部が計算処理した前記仮想の賃走料金を前記サーバに通知する料金通知部と、
前記料金通知部による前記仮想の賃走料金の通知に呼応した前記サーバからの、該サーバが前記料金制情報を適用して計算した前記乗降地点間の賃走料金に基づいた、通知した前記仮想の賃走料金に対する正当性の有無の判定結果を受信する判定結果受信部と、
前記判定結果受信部が受信した前記判定結果が正当性なしの場合に、前記起動したプログラムによる前記賃走料金の計算処理を無効化する無効化部と、
を備える。
【0012】
本発明の第1の態様による料金計算端末装置によれば、車両の賃走料金計算用のアプリケーションソフトウェアのプログラムを起動すると、その旨がサーバに通知される。そして、プログラムの起動を通知されたサーバからの乗降地点情報を受信すると、受信した乗降地点情報の乗降地点間を賃走した場合の仮想の賃走料金が、起動したプログラムと料金制情報とを用いて計算される。なお、計算された仮想の賃走料金はサーバに通知される。
【0013】
ここで、料金計算端末装置から仮想の賃走料金の通知を受けたサーバでは、料金計算端末装置に通知した乗降地点情報の乗降地点間の賃走料金が、料金計算端末装置と同じ料金制情報を適用して計算される。
【0014】
サーバが行う賃走料金の計算には、例えば、内容の正当性が認証等により保証された料金制情報及び賃走料金計算用のアプリケーションソフトウェアのプログラムを用いることができる。
【0015】
また、サーバでは、計算された賃走料金との比較結果に基づいて、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金の正当性の有無が判定され、判定結果が料金計算端末装置に送信される。
【0016】
なお、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金の正当性は、例えば、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金がサーバで計算された賃走料金と一致するか否かを基準にして、判定することができる。
【0017】
そして、料金計算端末装置では、サーバから受信した仮想の賃走料金に関する正当性の有無の判定結果が正当性なしの場合、起動したプログラムによる賃走料金の計算処理が無効化される。
【0018】
このため、車両の位置情報と賃走料金の料金制情報、並びに、起動したプログラムを用いて車両に搭載した料金計算端末装置が計算する車両の賃走料金の正当性を、確保することができる。
【0019】
また、本発明の第2の態様による料金計算端末装置は、本発明の第1の態様による料金計算端末装置において、前記地点情報受信部が受信した前記乗降地点情報の乗降地点間の走行ルートを特定するルート特定部をさらに備え、前記仮想計算部は、前記ルート特定部が特定した前記走行ルートで前記乗降地点間を賃走した場合の前記仮想の賃走料金を計算処理する。
【0020】
本発明の第2の態様による料金計算端末装置によれば、本発明の第1の態様による料金計算端末装置において、サーバから受信した乗降地点情報から、その乗降地点情報の乗降地点間の走行ルートが特定される。そして、特定された走行ルートで乗降地点間を賃走した場合の仮想の賃走料金が、起動したプログラムと料金制情報とを用いて計算される。
【0021】
このため、仮想の賃走料金を計算する根拠となる乗降地点間の走行ルートを特定して計算した仮想の賃走料金の正当性を、サーバに判定させることができる。
【0022】
さらに、上記目的を達成するため本発明の第3の態様による端末判定装置は、
車両の賃走料金を計算処理するためのアプリケーションソフトウェアのプログラムの起動通知を前記車両の端末装置から受信する起動受信部と、
前記起動通知の通知元の車両の前記端末装置に乗降地点情報を送信する地点情報送信部と、
前記乗降地点情報の送信に呼応した該乗降地点情報の受信元の前記端末装置からの、受信した前記乗降地点情報の乗降地点間を賃走した場合の仮想の前記賃走料金の計算結果を受信する計算結果受信部と、
前記計算結果受信部が受信した前記仮想の賃走料金の正当性の有無を、前記乗降地点情報の乗降地点と前記賃走料金の計算処理に適用する料金制情報とに基づいて計算処理した前記賃走料金との比較により判定する正当性判定部と、
前記正当性判定部による判定結果を、前記乗降地点情報の受信元の前記端末装置に送信する判定結果送信部と、
を備える。
【0023】
本発明の第3の態様による端末判定装置によれば、車両の端末装置から賃走料金を計算処理するためのアプリケーションソフトウェアのプログラムの起動通知を受信すると、通知元の端末装置に乗降地点情報が送信される。
【0024】
ここで、乗降地点情報を受信した通知元の端末装置では、受信した乗降地点情報の乗降地点間を賃走した場合の仮想の賃走料金が、起動したプログラムと料金制情報とを用いて計算される。なお、計算された仮想の賃走料金はサーバに通知される。
【0025】
そして、端末判定装置では、料金計算端末装置に通知した乗降地点情報の乗降地点間の賃走料金が、料金計算端末装置と同じ料金制情報を適用して計算される。このとき、賃走料金の計算には、例えば、内容の正当性が認証等により保証された料金制情報及び賃走料金計算用のアプリケーションソフトウェアのプログラムを用いることができる。
【0026】
また、乗降地点間の賃走料金を計算した端末判定装置では、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金との比較結果に基づいて、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金の正当性の有無が判定される。判定結果は、仮想の賃走料金の通知元の端末装置に送信される。
【0027】
なお、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金の正当性は、例えば、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金が、自身で計算した賃走料金と一致するか否かを基準にして、判定することができる。
【0028】
そして、端末判定装置から仮想の賃走料金の正当性の判定結果を受信した端末装置では、判定結果が正当性なしの場合、起動したプログラムによる賃走料金の計算処理が無効化される。
【0029】
このため、車両の位置情報と賃走料金の料金制情報、並びに、起動したプログラムを用いて車両に搭載した端末装置が計算する車両の賃走料金の正当性を、確保することができる。
【0030】
また、本発明の第4の態様による端末判定装置は、本発明の第3の態様による端末判定装置において、前記地点情報送信部は、前記起動通知の受信によりトリガされて選択肢の中から無作為に抽出された2つの地点を前記乗降地点とする前記乗降地点情報を前記起動通知の通知元の車両の前記端末装置に送信する。
【0031】
本発明の第4の態様による端末判定装置によれば、本発明の第3の態様による端末判定装置において、プログラムの起動通知の通知元の端末装置に送信される乗降地点情報は、起動通知を受信する都度無作為に抽出された2つの地点を乗降地点とするものとなる。
【0032】
したがって、車両の端末装置において賃走料金計算用のプログラムが起動される度に判定される、端末装置が計算した仮想の賃走料金の正当性を、その都度選択肢から抽出した乗降地点に基づいて新たに判定することができる。
【0033】
さらに、本発明の第5の態様による端末判定装置は、本発明の第3又は第4の態様による端末判定装置において、前記乗降地点情報の乗降地点間の走行ルートを特定するルート特定部をさらに備え、前記正当性判定部は、前記ルート特定部が特定した前記走行ルートで前記乗降地点間を賃走した場合の前記賃走料金との比較により、前記計算結果受信部が受信した前記仮想の賃走料金の正当性の有無を判定する。
【0034】
本発明の第5の態様による端末判定装置によれば、本発明の第3又は第4の態様による端末判定装置において、端末装置に送信した乗降地点情報から、その乗降地点情報の乗降地点間の走行ルートが特定される。そして、特定された走行ルートで乗降地点間を賃走した場合の賃走料金が、端末装置で仮想の賃走料金を計算したのと同じ料金制情報を用いて計算される。
【0035】
このため、端末装置が仮想の賃走料金を計算する根拠となる乗降地点間の走行ルートを特定した上で、端末装置と同じ料金制情報を用いて計算した乗降地点間の賃走料金に基づいて、端末装置が計算した仮想の賃走料金の正当性を判定することができる。
【0036】
また、本発明の第6の態様による端末判定装置は、本発明の第3、第4又は第5の態様による端末判定装置において、前記正当性判定部による判定結果を、前記乗降地点情報の受信元の前記端末装置と関連付けた、前記端末装置毎の正当性情報を記憶する正当性情報記憶部をさらに備える。
【0037】
本発明の第6の態様による端末判定装置によれば、本発明の第3、第4又は第5の態様による端末判定装置において、端末判定装置が、端末装置を搭載した車両の管理者において運用される場合に、各車両の端末装置の有効無効の情報を一括管理することができる。
【0038】
さらに、上記目的を達成するため本発明の第7の態様による賃走料金計算システムは、
本発明の第1又は第2の態様による料金計算端末装置と、
本発明の第3、第4、第5又は第6の態様による端末判定装置と、
を備える。
【0039】
なお、本発明の第1又は第2の態様による料金計算端末装置におけるサーバは、本発明の第3、第4、第5又は第6の態様による端末判定装置に相当する。また、本発明の第3、第4、第5又は第6の態様による端末判定装置における端末装置は、本発明の第1又は第2の態様による料金計算端末装置に相当する。
【0040】
そして、本発明の第7の態様による賃走料金計算システムによれば、料金計算端末装置において、車両の賃走料金計算用のアプリケーションソフトウェアのプログラムを起動すると、料金計算端末装置は、その旨を端末判定装置に通知する。
【0041】
料金計算端末装置からプログラムの起動通知を受信した端末判定装置は、通知元の端末装置に乗降地点情報を送信する。
【0042】
端末判定装置からの乗降地点情報を受信した料金計算端末装置は、受信した乗降地点情報の乗降地点間を賃走した場合の仮想の賃走料金を、起動したプログラムと料金制情報とを用いて計算する。そして、計算した仮想の賃走料金を端末判定装置に通知する。
【0043】
料金計算端末装置から仮想の賃走料金の通知を受けた端末判定装置は、仮想の賃走料金の通知元の料金計算端末装置に通知した乗降地点情報の乗降地点間の賃走料金を、料金計算端末装置と同じ料金制情報を適用して計算する。
【0044】
このとき、端末判定装置が行う賃走料金の計算には、例えば、内容の正当性が認証等により保証された料金制情報及び賃走料金計算用のアプリケーションソフトウェアのプログラムを用いることができる。
【0045】
そして、端末判定装置は、計算した賃走料金との比較結果に基づいて、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金の正当性の有無を判定する。
【0046】
なお、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金の正当性は、例えば、料金計算端末装置から通知された仮想の賃走料金が端末判定装置で計算した賃走料金と一致するか否かを基準にして、判定することができる。仮想の賃走料金の正当性を判定した端末判定装置は、判定結果を料金計算端末装置に送信する。
【0047】
端末判定装置から仮想の賃走料金の正当性の判定結果を受信した料金計算端末装置は、受信した判定結果が正当性なしの場合、起動したプログラムによる賃走料金の計算処理を無効化する。
【0048】
このため、車両に搭載した料金計算端末装置において、車両の位置情報と賃走料金の料金制情報、並びに、起動した賃走料金計算用のプログラムを用いて計算する、車両の賃走料金の正当性を、端末判定装置の判定により確保することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、車載の携帯端末が車両の位置情報に基づいて計算する車両の賃走料金の正当性を、確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の一実施形態に係る賃走料金計算システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図1の携帯端末の電気的な概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のサーバの電気的な概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図2の携帯端末のCPUがRAMに格納されたプログラムにしたがって実行する賃走料金計算処理用のアプリケーションソフトウェアの起動時に行う処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図3のサーバのCPUが外部記憶装置にインストールされたプログラムにしたがって実行する携帯端末による賃走料金の計算結果の正当性を判定するための処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0052】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0053】
図1は本発明の一実施形態に係る賃走料金計算システムの概略構成を示す説明図である。
図1に示す本実施形態の賃走料金計算システム1は、タクシー車両3(請求項中の車両に相当)に搭載される携帯端末(請求項中の料金計算端末装置、端末装置に相当)5により計算されるタクシー車両3の賃走料金の正当性を確保するシステムである。
【0054】
そして、賃走料金計算システム1は、携帯端末5に加えて、携帯端末5と広域無線通信網7及び広域通信網9を介して通信を行うサーバ11(請求項中のサーバ、端末判定装置に相当)とを有している。サーバ11は、タクシー車両3を管理するための管理部署13に配置される。管理部署13には、例えば、タクシー業者の営業所等が該当する。
【0055】
携帯端末5は、携行可能な端末機であり、例えば、スマートフォン又はタブレット端末等の、通信機能を有する携帯端末を用いて実現することができる。
【0056】
携帯端末5は、例えば、タクシー車両3の乗務員が携行して必要なときに乗客に表示画面を提示するように使用することができる。携帯端末5は、あるいは、後部座席の乗客が表示画面を常時視認できるように、タクシー車両3の助手席のヘッドレストの後ろに取り付けてもよい。
【0057】
そして、携帯端末5は、
図2のブロック図に示すように、CPU15、ROM17、RAM19、表示部21、タッチパネル23、通信部25、GPSユニット27及びバッテリ29を有している。
【0058】
CPU15は、ROM17に格納されたプログラム及びRAM19にインストールされたアプリケーションソフトウェアのプログラムにしたがって、各種の処理を行う。
【0059】
RAM19にインストールされたアプリケーションソフトウェアは、例えば、タクシー車両3の走行ルートを特定するプログラムを含んでいる。このプログラムは、GPSユニット27で検出される携帯端末5の現在位置と、RAM19にインストールされた道路地図マスタとから、タクシー車両3の走行ルートを特定するソフトウェアである。
【0060】
また、RAM19にインストールされたアプリケーションソフトウェアは、例えば、タクシー車両3の賃走料金を算出するプログラムを含んでいる。このプログラムは、タクシー車両3のタリフ状態と、タクシー車両3の賃走料金の料金制マスタ(請求項中の料金性情報に相当)と、タクシー車両3の走行ルートとから、タクシー車両3の賃走料金を算出するソフトウェアである。
【0061】
タクシー車両3のタリフ状態は、例えば、表示部21上に配置されたタッチパネル23の操作で入力される。また、タクシー車両3の料金制マスタは、RAM19にインストールされている。この料金制マスタは、タクシー車両3の賃走料金を算出するのに用いるタリフ定数を定義したデータベースである。タリフ定数は、賃走料金の基本料金、タクシー車両3の走行距離等に応じて基本料金に加算されるじ後料金等の金額を含んでいる。
【0062】
したがって、本実施形態では、請求項中の記憶部がRAM19によって構成されている。
【0063】
なお、タクシー車両3の走行ルートを特定するソフトウェアでは、サーバ11から通知される乗客の乗降地点情報(乗車地点及び降車地点の情報)と道路地図マスタとから、タクシー車両3の仮想の走行ルートを特定することもできる。
【0064】
また、タクシー車両3の賃走料金を算出するソフトウェアでは、タクシー車両3の賃走料金の料金制マスタと、タクシー車両3の仮想の走行ルートとから、タクシー車両3の仮想の賃走料金を算出することもできる。
【0065】
さらに、タクシー車両3の賃走料金を算出するソフトウェアは、このソフトウェアによって計算されるタクシー車両3の賃走料金の正当性を確認するための処理を起動時に行うためのプログラムを含んでいる。起動時の処理内容については後述する。
【0066】
バッテリ29は、携帯端末5の各部に動作用の電力を供給する。
【0067】
サーバ11は、
図3のブロック図に示すように、サーバ本体30、キーボード31、マウス33及びディスプレイ35を有している。
【0068】
サーバ本体30は、CPU37、ROM39、RAM41、外部インタフェース部43及び外部記憶装置45を有している。
【0069】
CPU37は、ROM39に格納されているプログラムに基づいて、RAM41をワークエリアとして利用しつつ、キーボード31、マウス33等からの入力内容に応じた処理を行う。処理の内容、処理によって得られた結果は、必要に応じてディスプレイ35に表示される。
【0070】
また、CPU37は、タクシー車両3の携帯端末5が算出するタクシー車両3の賃走料金の正当性を判定するための処理を行う。携帯端末5が算出する賃走料金の正当性の判定処理については後述する。
【0071】
なお、外部記憶装置45には、タクシー車両3の賃走料金を算出するアプリケーションソフトウェア、タクシー車両3の賃走料金の料金制マスタ、タクシー車両3の走行ルートを特定するソフトウェア、及び、携帯端末5の有効/無効のデータベースが格納されている。データベース以外のソフトウェア、マスタはいずれも、携帯端末5のRAM19に記憶されているソフトウェア、マスタと同一の内容であるものとする。
【0072】
また、外部記憶装置45に格納されている、タクシー車両3の賃走料金を算出するアプリケーションソフトウェア、及び、タクシー車両3の賃走料金の料金制マスタは、内容の正当性が認証等により保証されたものであってもよい。
【0073】
次に、携帯端末5のCPU15がROM17に格納されたプログラムにしたがって実行する、賃走料金計算処理用のアプリケーションソフトウェアの起動時に行う処理の手順を、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0074】
携帯端末5のCPU15は、ROM17のプログラムを実行し賃走料金計算処理用のアプリケーションソフトウェアを起動すると、まず、ソフトウェアの起動をサーバ11に通知する信号を通信部25から広域無線通信網7に出力させる(ステップS11)。
【0075】
そして、CPU15は、起動通知の信号の出力から一定時間内に、サーバ11からの乗降地点情報としての2点の位置情報(緯度、経度データ)を通信部25により受信したか否かを確認する(ステップS13)。
【0076】
2点の位置情報を受信していない場合は(ステップS13でNO)、ステップS11にリターンし、受信した場合は(ステップS13でYES)、CPU15は、受信した2点の位置情報を乗車地点及び降車地点に割り当てて、乗降地点間のタクシー車両3の走行ルートを特定する(ステップS15)。
【0077】
なお、サーバ11からの2点の位置情報中にどちらが乗車地点でどちらが降車地点かが定義されている場合は、その定義にしたがって2点の位置情報の一方を乗車地点に、他方を降車地点に割り当てる。
【0078】
また、2点の位置情報中に乗車地点及び降車地点が定義されていない場合は、予め定められたルールにしたがって、一方を乗車地点に、他方を降車地点に割り当てる。
【0079】
そして、CPU15は、特定した走行ルートでタクシー車両3が乗降地点間を賃走した場合の仮想の賃走料金を、RAM19の料金制マスタを参照して計算し(ステップS17)、計算結果をサーバ11に送信する(ステップS19)。
【0080】
続いて、CPU15は、サーバ11からの有効判定通知を一定時間内に受信したか否かを確認し(ステップS21)、受信した場合は(ステップS21でYES)、ソフトメータ動作可能状態に移行させ(ステップS23)、起動時の一連の処理を終了する。
【0081】
ソフトメータ動作可能状態では、CPU15は、タッチパネル23の操作で入力されたタクシー車両3のタリフ状態と、RAM19の料金制マスタと、タクシー車両3の位置情報及びRAM19の道路地図マスタとから、賃走料金を計算する処理の実行を許可する。
【0082】
また、サーバ11からの有効判定通知を一定時間内に受信していない場合は(ステップS21でNO)、CPU15は、表示部21にエラーを表示させるエラー通知後にソフトメータ動作不可能状態に移行させ(ステップS25)、起動時の一連の処理を終了する。
【0083】
ソフトメータ動作不可能状態では、CPU15は、タッチパネル23の操作で入力されたタクシー車両3のタリフ状態と、RAM19の料金制マスタと、タクシー車両3の位置情報及びRAM19の道路地図マスタとから、賃走料金を計算する処理の実行を禁止する。
【0084】
続いて、サーバ11のCPU37が外部記憶装置45に格納されたプログラムにしたがって実行する、携帯端末5による賃走料金の計算結果の正当性を判定するための処理の手順を、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0085】
サーバ11のCPU37は、携帯端末5からの賃走料金計算処理用のアプリケーションソフトウェアの起動通知を外部インタフェース部43により受信したか否かを確認する(ステップS31)。
【0086】
ソフトウェアの起動通知を受信していない場合は(ステップS31でNO)、ステップS31をリピートする。
【0087】
また、ソフトウェアの起動通知を受信した場合は(ステップS31でYES)、CPU37は、ランダムな2点を抽出してその2点の位置情報(緯度、経度データ)を生成する(ステップS33)。そして、CPU37は、生成した2点の位置情報(緯度、経度データ)を、ソフトウェアの起動通知の通知元の携帯端末5に送信する(ステップS35)。
【0088】
さらに、CPU37は、外部記憶装置45から料金制マスタを読み出し(ステップS37)、携帯端末5に送信した2点の位置情報(緯度、経度データ)を乗車地点及び降車地点に割り当てて、乗降地点間のタクシー車両3の走行ルートを特定する(ステップS39)。
【0089】
なお、携帯端末5に送信した2点の位置情報中にどちらが乗車地点でどちらが降車地点かが定義されている場合は、その定義にしたがって2点の位置情報の一方を乗車地点に、他方を降車地点に割り当てる。
【0090】
また、2点の位置情報中に乗車地点及び降車地点が定義されていない場合は、携帯端末5と同じルールにしたがって、一方を乗車地点に、他方を降車地点に割り当てる。
【0091】
そして、CPU37は、特定した走行ルートでタクシー車両3が乗降地点間を賃走した場合の賃走料金を、外部記憶装置45の料金制マスタを参照して計算する(ステップS41)。
【0092】
さらに、CPU37は、2点の位置情報(緯度、経度データ)の送信から一定時間内に、ソフトウェア起動の通知元の携帯端末5から賃走料金の計算結果を受信したか否かを確認する(ステップS43)。そして、計算結果を受信していない場合は(ステップS43でNO)、後述するステップS47に処理を移行する。
【0093】
また、携帯端末5から賃走料金の計算結果を受信した場合は(ステップS43でYES)、CPU37は、受信した計算結果の賃走料金が、自ら計算した賃走料金と一致するか否かを確認する(ステップS45)。そして、一致しない場合は(ステップS45でNO)、ステップS47に処理を移行する。
【0094】
ステップS47では、CPU37は、ディスプレイ35にエラーを表示させるエラー通知を行う。
【0095】
そして、CPU37は、ソフトウェア起動の通知元の携帯端末5に対する無効判定通知を外部インタフェース部43から送信させる(ステップS49)。
【0096】
さらに、CPU37は、ソフトウェア起動の通知元の携帯端末5を無効な携帯端末5として、外部記憶装置45の有効/無効のデータベース(請求項中の正当性情報記憶部に相当)に登録(記憶)させた後(ステップS51)、一連の処理を終了する。
【0097】
また、ステップS43で携帯端末5から受信した計算結果の賃走料金が、自ら計算した賃走料金と一致した場合(YES)は、CPU37は、ソフトウェア起動の通知元の携帯端末5に対する有効判定通知を外部インタフェース部43から送信させる(ステップS53)。
【0098】
さらに、CPU37は、ソフトウェア起動の通知元の携帯端末5を有効な携帯端末5として、外部記憶装置45の有効/無効のデータベースに登録(記憶)させた後(ステップS55)、一連の処理を終了する。
【0099】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の賃走料金計算システム1では、
図4のフローチャートにおけるステップS11が、請求項中の起動通知部に相当する処理となっている。
【0100】
また、本実施形態では、
図4中のステップS13が請求項中の地点情報受信部に相当する処理となっており、
図4中のステップS15が請求項中の(料金計算端末装置の)ルート特定部に相当する処理となっている。
【0101】
さらに、本実施形態では、
図4中のステップS17が請求項中の仮想計算部に相当する処理となっており、
図4中のステップS19が請求項中の料金通知部に相当する処理となっている。
【0102】
また、本実施形態では、
図4中のステップS21が請求項中の判定結果受信部に相当する処理となっており、
図4中のステップS25が請求項中の無効化部に相当する処理となっている。
【0103】
さらに、本実施形態では、
図5のフローチャートにおけるステップS31が請求項中の起動受信部に相当する処理となっており、
図5中のステップS33及びステップS35が請求項中の地点情報送信部に相当する処理となっている。
【0104】
また、本実施形態では、
図5中のステップS41が請求項中の(端末判定装置の)ルート特定部に相当する処理となっており、
図5中のステップS43が請求項中の計算結果受信部に相当する処理となっている。
【0105】
さらに、本実施形態では、
図5中のステップS45が請求項中の正当性判定部に相当する処理となっており、
図5中のステップS49が請求項中の判定結果送信部に相当する処理となっている。
【0106】
以上に説明した本実施形態の賃走料金計算システム1では、タクシー車両3の乗務員が携行する携帯端末5で賃走料金計算用のプログラムを起動すると、その通知を受けたサーバ11が2点の位置に関する乗降地点情報をランダムに決定し、携帯端末5に通知する。
【0107】
そして、携帯端末5とサーバ11との双方が、乗降地点間の走行ルートと賃走料金とを同じ料金制で計算して、携帯端末5からサーバ11に賃走料金の計算結果を送信する。
【0108】
サーバ11は、携帯端末5から受信した賃走料金の計算結果が自身で計算した賃走料金と一致するか否かによって、携帯端末5が有効か無効かを判定し、判定結果を携帯端末5に通知すると共に、自らデータベースに登録する。
【0109】
このため、携帯端末5において、GPSユニット27で検出したタクシー車両3の現在位置と、RAM19の道路地図マスタ及び料金制マスタと、携帯端末5のタッチパネル23の操作で入力されるタクシー車両3のタリフ状態とから計算した賃走料金の正当性を、サーバ11が計算した賃走料金との一致/不一致に基づく判定によって確保することができる。
【0110】
なお、本実施形態では、タクシー車両3の乗務員が携行する携帯端末5で計算されるタクシー車両3の賃走料金の正当性を判定する場合について説明した。
【0111】
しかし、本発明は、例えば、運転代行業者が係員が携行する携帯端末で計算される賃走料金(運転代行料金)の正当性を判定する場合等にも適用可能である。
。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、車両の賃走料金を専用のメータによらず汎用の携帯端末を用いて計算する際に適用して極めて有用である。
【符号の説明】
【0113】
1 賃走料金計算システム
3 タクシー車両
5 携帯端末(料金計算端末装置、端末装置)
7 広域無線通信網
9 広域通信網
11 サーバ(端末判定装置)
13 管理部署
15 携帯端末のCPU(起動通知部、地点情報受信部、仮想計算部、料金通知部、判定結果受信部、無効化部、料金計算端末装置のルート特定部)
17 携帯端末のROM
19 携帯端末のRAM(記憶部)
21 表示部
23 タッチパネル
25 通信部
27 GPSユニット
29 バッテリ
30 サーバ本体
31 キーボード
33 マウス
35 ディスプレイ
37 サーバ本体のCPU(起動受信部、地点情報送信部、計算結果受信部、正当性判定部、判定結果送信部、端末判定装置のルート特定部)
39 サーバ本体のROM
41 サーバ本体のRAM
43 外部インタフェース部
45 外部記憶装置(正当性情報記憶部)