(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】流量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/684 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
G01F1/684 B
(21)【出願番号】P 2018174658
(22)【出願日】2018-09-19
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八百幸 誠二
(72)【発明者】
【氏名】上田 和明
(72)【発明者】
【氏名】戸田 翔大
(72)【発明者】
【氏名】吉田 優介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健悟
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-053600(JP,A)
【文献】特表2004-519690(JP,A)
【文献】特表2006-522921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/68-1/699
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路(111)を流れる被計測流体の流量を測定する流量測定装置(10A~10N,10P~10S)であって、
前記管路において前記被計測流体の主流方向(Y)に交差する方向に互いに対向するように配置される第1側壁部(51)と第2側壁部(52)とを有する中空のハウジング(50)であって、前記管路において前記主流方向の上流側に向かって開口し、前記被計測流体が流入する導入口(55)と、前記第1側壁部に設けられ、前記被計測流体が流出する導出口(56)と、が設けられたハウジングと、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記導入口と前記導出口とを接続し、前記被計測流体が流通する第1流路(61)と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記第1流路から分岐し、前記第1流路の前記被計測流体が分流する第2流路(70)と、
前記第2流路に配置され、前記第2流路を流れる前記被計測流体の流量を検出する検出部(75)と、
前記第1側壁部の外壁面を構成し、前記主流方向における前記第1側壁部の上流側端部から前記導出口にわたって前記主流方向に沿って連続している平坦面(51p)と、
を備え、
前記第1側壁部は、前記平坦面の下流側に形成され、前記主流方向における下流に向かうにつれて前記主流方向と直交する方向に沿って前記導入口から離れた位置に位置するように前記主流方向に対して傾斜する傾斜側面を有し、
前記導出口は、前記傾斜側面に形成され、前記主流方向に対して斜めに開口している、流量測定装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の流量測定装置であって、
前記導出口は第1導出口(56)であり、
前記平坦面は第1平坦面(56p)であり、
前記第2側壁部には、前記第1流路に接続され、前記第1流路の前記被計測流体が流出する第2導出口(57)が設けられており、
前記第2側壁部は、前記第2側壁部の外壁面を構成し、前記主流方向における前記第2側壁部の上流側端部から前記第2導出口にわたって前記主流方向に沿って連続している第2平坦面(52p)を有する、流量測定装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の流量測定装置であって、
前記第1流路は、前記導出口側の端部に、前記導出口に近い部位ほど前記導入口から離れた位置に位置するように、前記主流方向に対して傾斜している端部傾斜面(63a)を有し、
前記端部傾斜面は、前記導入口と対向する部位を含み、前記導出口まで連続している、流量測定装置。
【請求項4】
請求項
2記載の流量測定装置であって、
前記第1流路は、
前記第1導出口側の端部に、前記第1導出口に近い部位ほど前記導入口から離れた位置に位置するように、前記主流方向に対して傾斜している第1端部傾斜面(63a)であって、前記導入口と対向する部位を含み、前記第1導出口まで連続している第1端部傾斜面を有し、
前記第2導出口側の端部に、前記第2導出口に近い部位ほど前記導入口から離れた位置に位置するように、前記主流方向に対して傾斜している第2端部傾斜面(66a)であって、前記導入口と対向する部位を含み、前記第2導出口まで連続している第2端部傾斜面を有する、流量測定装置。
【請求項5】
請求項
4記載の流量測定装置であって、
前記ハウジング内の前記導入口と対向する位置に、前記第1端部傾斜面と前記第2端部傾斜面とが交差する角部(65)が形成されている、流量測定装置。
【請求項6】
請求項
2、請求項
4、および、請求項
5のいずれか一項に記載の流量測定装置であって、
前記第1側壁部は、前記主流方向における前記第1導出口の下流側に、前記第1側壁部から外方に張り出している第1張出部(64)を有し、
前記第2側壁部は、前記主流方向における前記第2導出口の下流側に、前記第2側壁部から外方に張り出している第2張出部(67)を有する、流量測定装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の流量測定装置であって、
前記検出部は、前記第1流路から前記検出部へと向かう方向に前記被計測流体が流れるときの流量を順流での流量として出力し、前記検出部から前記第1流路へと向かう方向に前記被計測流体が流れるときの流量を逆流での流量として出力する、流量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、管路を流れる被計測流体の流量を計測する種々の流量測定装置が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、被計測流体をハウジング内に取り込み、ハウジング内の流路の分岐構造によって被計測流体から水分や粒子などの異物が分離させ、異物が分離された被計測流体の流量を検出部において測定する流量測定装置が開示されている。特許文献1の技術では、管路における被計測流体の主流方向における導出口の上流側に設けた張出部によって、導出口近傍に負圧を発生させ、水分や粒子などの異物をハウジング外部へと誘導している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術のように導出口近傍に負圧を発生させると、その負圧により、ハウジング内の検出部へと通じる流路に、通常とは異なる予期しない被計測流体の流れが生じる可能性がある。このように、流体計測装置においては、計測誤差の発生を抑制するために、ハウジング内において被計測流体の予期しない流れが生じることが抑制されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態は、管路(111)を流れる被計測流体の流量を計測する流量測定装置(10A~10N,10P~10S)として提供される。この形態の流量測定装置は、前記管路において前記被計測流体の主流方向(Y)に交差する方向に互いに対向するように配置される第1側壁部(51)と第2側壁部(52)とを有する中空のハウジング(50)であって、前記主流方向の上流側に向かって開口し、前記被計測流体が流入する導入口(55)と、前記第1側壁部に設けられ、前記被計測流体が流出する導出口(56)と、が設けられたハウジングと、前記ハウジングの内部に設けられ、前記導入口と前記導出口とを接続し、前記被計測流体が流通する第1流路(61)と、前記ハウジングの内部に設けられ、前記第1流路から分岐し、前記第1流路の前記被計測流体が分流する第2流路(70)と、前記第2流路に配置され、前記第2流路を流れる前記被計測流体の流量を検出する検出部(75)と、前記第1側壁部の外壁面を構成し、前記主流方向における前記第1側壁部の上流側端部から前記導出口にわたって前記主流方向に沿って連続している平坦面(51p)と、を備え、前記第1側壁部は、前記平坦面の下流側に形成され、前記主流方向における下流に向かうにつれて前記主流方向と直交する方向に沿って前記導入口から離れた位置に位置するように前記主流方向に対して傾斜する傾斜側面を有し、前記導出口は、前記傾斜側面に形成され、前記主流方向に対して斜めに開口している。
本開示の他の形態は、管路(111)を流れる被計測流体の流量を計測する流量測定装置(10A~10N,10P~10S)として提供される。この形態の流量測定装置は、前記管路において前記被計測流体の主流方向(Y)に交差する方向に互いに対向するように配置される第1側壁部(51)と第2側壁部(52)とを有する中空のハウジング(50)であって、前記主流方向の上流側に向かって開口し、前記被計測流体が流入する導入口(55)と、前記第1側壁部に設けられ、前記被計測流体が流出する導出口(56)と、が設けられたハウジングと、前記ハウジングの内部に設けられ、前記導入口と前記導出口とを接続し、前記被計測流体が流通する第1流路(61)と、前記ハウジングの内部に設けられ、前記第1流路から分岐し、前記第1流路の前記被計測流体が分流する第2流路(70)と、前記第2流路に配置され、前記第2流路を流れる前記被計測流体の流量を検出する検出部(75)と、前記第1側壁部の外壁面を構成し、前記主流方向における前記第1側壁部の上流側端部から前記導出口にわたって前記主流方向に沿って連続している平坦面(51p)と、を備え、前記第1側壁部は、前記導出口に対して前記主流方向における下流側に連続して前記第1側壁部から外方に張り出している張出部(64)を有する。
【0007】
この形態の流量測定装置によれば、管路内において、導出口が管路内の主流方向に交差する方向に開口するように配置される。そのため、管路内に被計測流体の逆流が生じたときに、導出口を通じてその逆流の動圧がハウジング内の流路に伝達されることを抑制でき、導出口から流入する被計測流体によってハウジング内の流路に渦が形成されることを抑制できる。また、正面壁部と導出口との間に平坦面が設けられていることによって、導出口近傍での被計測流体の流れを円滑化できるため、導出口近傍に負圧が発生することを抑制できる。よって、そうした導出口近傍での負圧の発生によって、ハウジング内の流路において被計測流体の予期しない流れが生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】流量測定装置の取り付け位置における管路の概略断面図。
【
図3】管路に固定された流量測定装置の固定部の概略平面図。
【
図4】
図2に示す4-4切断における第1実施形態の流量測定装置の概略断面図。
【
図5】
図4に示す5-5切断における第1実施形態のハウジングの概略断面図。
【
図6】第2実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図7】第3実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図8】第4実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図9】第5実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図10】第6実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図11】第7実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図12】第8実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図13】第9実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図14】第10実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図15】第11実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図16】第12実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図17】第13実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図18】第14実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図19】第15実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図20】第16実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図21】第17実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【
図22】第18実施形態における流量測定装置のハウジングの構成を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.第1実施形態:
図1を参照する。第1実施形態における流量測定装置10Aは、例えば、燃焼システム100において用いられる。燃焼システム100は、車両等に搭載されて当該車両の駆動力を発生する。燃焼システム100は、吸気部110と、内燃機関120と、排気部130と、ECU140と、を備える。流量測定装置10Aは吸気部110に含まれる。
【0010】
吸気部110は、流量測定装置10Aの他に、管路111と、エアクリーナ112と、スロットルバルブ113と、を備える。管路111は、内燃機関120に接続されている。管路111には、内燃機関120に供給される吸入空気が流れる。吸入空気には、後述するように排気ガスが混合されていてもよい。以下では、管路111において管路111の中心軸に沿った燃焼室121に向かう吸入空気の流れ方向を「主流方向」と呼ぶ。
【0011】
エアクリーナ112と、流量測定装置10Aと、スロットルバルブ113とは、主流方向の上流側から、この順で、管路111に取り付けられている。エアクリーナ112は、吸入空気に含まれる塵や埃を除去する。流量測定装置10Aは、吸入空気の流量を計測する。燃焼システム100では、吸入空気が流量測定装置10Aの被計測流体であり、流量測定装置10Aの測定結果は吸気量を表す。スロットルバルブ113は、内燃機関120に供給される吸気量を調整する。
【0012】
内燃機関120は、燃焼室121と、吸気通路122と、インジェクタ123と、吸気弁124と、点火プラグ125と、ピストン126と、排気通路127と、排気弁128と、を備える。燃焼室121は、吸気通路122を介して、吸気部110の管路111に接続されている。
【0013】
吸気通路122には、インジェクタ123と吸気弁124とが設けられている。インジェクタ123は、管路111から吸気通路122に流入した吸入空気に、燃料を噴射して混合する。燃焼室121には、吸入空気に燃料が混合された混合ガスが流入する。吸気弁124は、吸気通路122の出口に設けられている。燃焼室121への混合ガスの流入は吸気弁124の開閉によって制御される。
【0014】
点火プラグ125は、燃焼室121に流入した混合ガスに着火する。内燃機関120では、燃焼室121における混合ガスの燃焼圧によってピストン126が押されて運動する。燃焼室121は、排気通路127を通じて排気部130に接続されている。排気通路127の入口には排気弁128が設けられている。燃焼室121から排気通路127への排気ガスの排出は、排気弁128の開閉によって制御される。
【0015】
排気部130は、排ガス管路131と、空燃比センサ132と、を備える。排ガス管路131は、排気通路127に接続されており、燃焼室121から排出された排気ガスを車両の外部へと導く。なお、排ガスの一部は、図示しない循環路を通じて、管路111の吸入空気に混合されてもよい。空燃比センサ132は、排ガス管路131に取り付けられており、排ガスに含まれる酸素量を検出する。
【0016】
ECU140は、燃焼システム100の動作を制御する。ECU140は、マイクロコンピュータと電源回路等によって構成される演算処理回路である。マイクロコンピュータは、例えば、プロセッサ(CPU)と、RAM、ROM、および、フラッシュメモリ等の記憶媒体と、入出力部と、を含む。ECU140は、CPUがRAM上に読み込んだプログラムや命令を実行することによって、燃焼システム100を制御するための種々の機能を発揮する。ECU140の機能の少なくとも一部は、ECU140を構成するアナログ回路によって実現されていてもよい。
【0017】
ECU140は、例えば、流量測定装置10Aや、空燃比センサ132、図示されていない燃焼圧センサ等から取得される計測結果を用いて、スロットルバルブ113の開度や、インジェクタ123から噴射される燃料噴射量を制御する。また、ECU140は、吸気弁124および排気弁128の開閉や、点火プラグ125による混合ガスの点火を制御する。その他に、ECU140は、EGR量の制御をおこなってもよい。
【0018】
図2および
図3を参照する。
図2および
図3には、互いに直交する3方向を示すX,Y,Z軸が図示されている。X軸方向は、流量測定装置10Aの取り付け位置における管路111の中心軸に直交する。X軸方向は、Z軸方向を下としてY軸方向に沿って見たときに右方向を向いている。Y軸方向は、流量測定装置10Aの取り付け位置における管路111の中心軸に平行であり、流量測定装置10Aの取り付け位置における被計測流体の主流方向に一致する。Z軸方向は、管路111に対する流量測定装置10Aの本体部20の挿入方向に一致する。X軸、Y軸、および、Z軸は、他の参照図においても、適宜、図示されている。なお、以下の説明では、特に断らない限り、X軸方向、Y軸方向、および、Z軸方向と言うときは、それぞれの正の方向を意味しており、-X軸方向、-Y軸方向、および、-Z軸方向と言うときは、それぞれの正の方向とは反対の負の方向を意味している。
【0019】
図2を参照する。流量測定装置10Aは、管路111内に配置されて被計測流体に曝される本体部20と、管路111に固定される固定部30と、管路111の外部に配置されるコネクタ部40と、を備える。本体部20は、管路111に設けられた開口部111oを通じて、管路111内に、Z軸方向に挿入される。本体部20の構成の詳細については後述する。
【0020】
図2に示すように、固定部30は、本体部20における管路111の開口部111o側の基端部21に連結されている。固定部30が、管路111の開口部111oに固定されることによって、本体部20の挿入方向における先端部22は、管路111の内壁面から離間した位置に保持される。第1実施形態では、流量測定装置10Aは、本体部20の基端部21が重力方向上側となり、先端部22が重力方向下側となるように管路111に取り付けられる。つまり、第1実施形態では、Z軸方向は重力方向に沿った方向である。
【0021】
固定部30は、封止部32と、フランジ33と、を備える。封止部32は、管路111の開口部111oを気密に封止する。Z軸方向に平行な方向に見たときに封止部32の外周形状は、開口部111oの開口形状とほぼ一致する。封止部32の外周には、開口部111oの内周面に気密に接触するOリング32rが嵌められている。なお、
図4では、便宜上、Oリング32rの図示は省略されている。封止部32の-Z軸方向側にはフランジ33が設けられている。
【0022】
図3に示すように、フランジ33は、X軸方向およびY軸方向に沿って張り出した平板状の部位である。フランジ33は、ボルト34によって管路111に締結される。フランジ33には、ボルト34が挿入されるボルト孔が設けられている。また、管路111のボルト孔に対応する位置にはボルト34を受け入れる
図2に示すボス111bが設けられている。
図3では、便宜上、ボス111bの位置を破線で図示してある。フランジ33がボルト34によって管路111に固定されることによって、本体部20のハウジング50が管路111内の予め決められた位置に固定される。
【0023】
図2および
図3に示すように、コネクタ部40は、フランジ33からX軸方向に延び出た位置に設けられている。
図2に示すように、コネクタ部40は、フランジ33によって管路111の外周面から離間した位置に保持されている。コネクタ部40は、図示しない信号線を介して本体部20の後述する検出部に電気的に接続されている。コネクタ部40は、図示しないケーブルを介して、ECU140に電気的に接続されており、測定結果を表す信号をECU140に出力する。
【0024】
図2を参照する。第1実施形態では、流量測定装置10Aは、さらに、温度センサ41を備えている。温度センサ41は、封止部32に固定されており、本体部20からX軸方向に離間した位置において、本体部20と平行に封止部32からZ軸方向に延び出ている。温度センサ41は、管路111を流れる被計測流体の温度を計測し、その計測結果を、コネクタ部40を通じてECU140に出力する。他の実施形態では、温度センサ41は、省略されてもよい。
【0025】
図2、
図4、および、
図5を参照して流量測定装置10Aの本体部20の構成を説明する。本体部20は、内部空間を有する中空のハウジング50を備える。
図2および
図4に示すように、第1実施形態では、ハウジング50は、平板な直方体形状を有している。
図2に示すように、ハウジング50は、管路111での被計測流体の主流方向であるY軸方向に交差する方向において、互いに対向する第1側壁部51と第2側壁部52とを有している。第1実施形態では、第1側壁部51と第2側壁部52とはX軸方向および-X軸方向に互いに対向している。第1側壁部51は、-X軸方向側に位置し、第2側壁部52はX軸方向側に位置している。第1実施形態では、固定部30によって本体部20が管路111に固定されているときに、第1側壁部51と第2側壁部52とは、
図5に示すように、全体として管路111での被計測流体の主流方向であるY軸方向に沿って配置される。
【0026】
図5に示すように、ハウジング50は、第1側壁部51と第2側壁部52との間に、第1側壁部51と第2側壁部52のそれぞれに交差する正面壁部53と背面壁部54とを有する。
図4に示すように、ハウジング50のZ軸方向の長さは、Y軸方向の長さより大きい。また、
図5に示すように、ハウジング50のX軸方向の長さはY軸方向の長さよりも小さい。
【0027】
図2を参照する。ハウジング50は、正面壁部53と第2側壁部52との間の角部からX軸方向に突起している軸状の保護突起部42を有している。保護突起部42は省略されてもよい。
【0028】
図2、
図4、および、
図5を参照する。ハウジング50には、管路111を流れる被計測流体をハウジング50の内部に取り込むための導入口55が設けられている。導入口55は、固定部30によって本体部20が管路111に固定されているときに、管路111での被計測流体の主流方向の上流側に向かって開口する。第1実施形態では、導入口55は、正面壁部53において開口している。導入口55は、
図2に示すように、Z軸方向における正面壁部53の端部に設けられている。導入口55は、管路111の中心軸に近い位置に配置されるように設けられていることが望ましい。
【0029】
図4および
図5を参照する。第1側壁部51には、導入口55からハウジング50内部に取り込まれた被計測流体が流出する導出口56が設けられている。第1実施形態では、導出口56は、第1側壁部51において、管路111での被計測流体の主流方向における上流側の端部よりも下流側の端部に近い位置、つまり、Y軸方向に寄った位置に設けられている。導出口56が第1側壁部51に設けられている理由については後述する。
【0030】
図5を参照する。第1側壁部51は、その外壁面を構成する平坦面51pを有している。平坦面51pは、主流方向における第1側壁部51の上流側端部、つまり、-Y軸方向における端部から導出口56にわたって被計測流体の主流方向であるY軸方向に沿って連続している。平坦面51pは、平坦面51pに沿った被計測流体の主流方向の流れに実質的な変化を生じさせるような凸部や凹部が設けられていない平滑な壁面である。
【0031】
なお、本明細書において、ある主体がある方向に「沿って」いる、と言うときは、その主体の姿勢は、その対象とする方向に平行な姿勢には限定されない。その主体は、その対象とする方向に対してある程度の傾斜角を有する姿勢を有していてもよい。例えば、その主体は、対象とする方向に対して、概ね10°以下の角度で傾斜する姿勢を有していてもよい。また、その主体の全体が対象とする方向に直線的に沿っていなくともよい。従って、例えば、その主体の一部または全体が湾曲していても、その主体を全体として見たときに概ね、その対象とする方向に沿っていればよい。
【0032】
後述するように、流量測定装置10Aでは、導出口56を有する第1側壁部51に、この平坦面51pが設けられていることによって、以下に説明するハウジング50内の流路に予期しない被計測流体の流れが発生することが抑制されている。
【0033】
ハウジング50の内部には、導入口55と導出口56とを接続する第1流路61が設けられている。第1実施形態では、第1流路61は、導入口55からY軸方向に沿って直線状に延びている直線流路部62を含む。
【0034】
第1流路61は、導入口55とY軸方向に対向する端部壁面63を有している。端部壁面63は、背面壁部54の-Y軸方向側の壁面であり、X軸方向およびZ軸方向に沿って設けられており、Y軸方向に対してほぼ直交する。端部壁面63は、導出口56まで延びている。端部壁面63によって、第1流路61の端部において被計測流体のY軸方向への流れが遮られる。
【0035】
図4を参照する。ハウジング50の内部には、第1流路61から分岐する第2流路70が設けられている。第1実施形態では、第2流路70は、第1流路61から-Z軸方向側に分岐している。
【0036】
第2流路70は、第1流路61から背面壁部54側に向かって斜めに分岐して、本体部20の基端部21側に向かって-Z軸方向に直線状に延びている入口側流路70aを有している。また、第2流路70は、入口側流路70aに接続され、入口側流路70aから正面壁部53側に向かって-Y軸方向に延びている中間流路70bを有している。さらに、第2流路70は、中間流路70bの-Y方向側の端部から本体部20の先端部22側に向かって、第1流路61の手前まで、Z軸方向に直線状に延びている出口側流路70cを有している。出口側流路70cは、第1側壁部51において開口している出口72に接続されている。
【0037】
第2流路70の途中には、第2流路70を流れる被測定流体の流量を検出する検出部75が設けられている。第1実施形態では、検出部75は中間流路70bに設けられている。第1実施形態では、検出部75は、温度差方式によって被計測流体の流量を検出する。検出部75は、被計測流体を加熱する図示しない加熱ヒータと、被計測流体の流れ方向に沿って配置された図示しない複数の温度センサと、を有している。温度センサは、例えば、感温抵抗体によって構成され、加熱ヒータは、例えば、発熱抵抗体によって構成される。温度センサは、加熱ヒータの上流側と下流側の両方に配置されている。検出部75は、加熱ヒータの上流側と下流側との温度差から被計測流体の流量を検出する。
【0038】
第1実施形態では、検出部75は、第2流路70において被計測流体が第1流路61から検出部75に向かう方向に流れているときの被計測流体の流量を順流での流量として出力する。また、検出部75は、第2流路70において被計測流体が検出部75から第1流路61に向かう方向に流れているときの被計測流体の流量を逆流での流量として出力する。上述した温度差方式を採用している第1実施形態の検出部75は、温度勾配の向きによって、被計測流体の流れ方向が、順流方向でるのか逆流方向であるのかを判別することができる。
【0039】
図4および
図5を参照して、流量測定装置10Aのハウジング50内での被測定流体の流れを説明する。管路111を主流方向に流れる被計測流体は、導入口55を通じてハウジング50内の第1流路61に導入される。導入口55が-Y軸方向に向かって開口しているため、管路111を主流方向に流れる被計測流体をハウジング50内へと円滑に導入することができる。導入口55から導入された被計測流体は、直線流路部62に沿ってY軸方向に流れる。直線流路部62を有していることよって、第1流路61における被計測流体の流れが円滑化され、第1流路61での被計測流体の圧力損失が低減される。よって、ハウジング50内における被計測流体の流通が促進される。
【0040】
図5を参照する。直線流路部62に沿って端部壁面63まで流れた被計測流体は、端部壁面63によって導出口56に向かって-X軸方向に誘導され、導出口56を通じてハウジング50の外部へと流出する。被計測流体に含まれる塵や水分など被計測流体の分子よりも重い異物は、端部壁面63に衝突し、端部壁面63に沿った被計測流体の流れによって、導出口56へと導かれ、そのままハウジング50の外部へと排出される。
【0041】
図4を参照する。第1流路61に導入された被計測流体の一部は第2流路70へと分流する。上述したように、被計測流体に含まれる異物は、端部壁面63に衝突した後、導出口56へと導かれるため、第2流路70への進入が抑制される。第1実施形態では、第2流路70が第1流路61よりも重力方向上側に位置しているため、質量の重い異物が第2流路70へと進入することがより効果的に抑制されている。検出部75は、異物が分離された第2流路70を流れる被計測流体の流量を検出する。検出部75を通過した被計測流体は、出口側流路70cを経て出口72からハウジング50の外部へと流出する。
【0042】
ここで、燃焼システム100の管路111では、被計測流体が内燃機関120から流量測定装置10Aの方向に流れる逆流が生じる場合がある。この場合でも、流量測定装置10Aでは、導出口56が第1側壁部51において被計測流体の流れ方向に交差する方向に開口しているため、導出口56を通じて、その逆流の動圧がハウジング50内の流路61,70に伝達されてしまうことが抑制される。これによって、導出口56から流入する被計測流体によって、ハウジング50内の流路61,70において渦が形成されることが抑制されるため、ハウジング50内の流路61,70での被計測流体の流れが円滑化される。そのため、管路111での気体の流れの変化に対する応答遅れの発生を抑制することができ、検出部75における流量の計測誤差の発生が抑制される。
【0043】
また、上述したように、流量測定装置10Aでは、導出口56が開口している第1側壁部51には、主流方向における平坦面51pが設けられている。これによって、管路111において被計測流体が主流方向に流れているときに、導出口56の近傍領域に、ハウジング50内の被計測流体を導出口56から外部へと導くような負圧が発生することが抑制されている。そのため、その負圧によって、第2流路70の被計測流体が導出口56の方へと吸引され、第2流路70において検出部75から第1流路61へと向かう逆流方向の被計測流体の流れが生じることが抑制される。つまり、流量測定装置10Aによれば、管路111内での被計測流体の流れが主流方向であるときに、ハウジング50内の第2流路70において被計測流体が逆流することが抑制される。よって、そうしたハウジング50内での予期しない逆流の発生によって、検出部75の計測結果の正確性が損なわれてしまうことが抑制される。上述したように、第1実施形態の検出部75は、第2流路70での被計測流体の流れ方向が順流方向か逆流方向であるかを区別してその流量を検出する。そのため、前述のように、管路111内とハウジング50内とで被計測流体の流れ方向が相違することが抑制されれば、流量測定装置10Aの測定精度が著しく向上する。
【0044】
以上のように、第1実施形態の流量測定装置10Aによれば、ハウジング50の簡素な構成により、ハウジング50内の流路61,70において予期しない被計測流体の流れが生じることが抑制され、計測誤差の発生が抑制される。その他に、第1実施形態の流量測定装置10Aによれば、第1実施形態中で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0045】
2.種々の実施形態:
以下では、第1実施形態の流量測定装置10Aの構成を一部改変した構成を第2実施形態~第18実施形態として説明する。以下の各実施形態の構成は、特段の説明を設けていない構成については、第1実施形態で説明した構成と共通する。また、第1実施形態と共通する構成部には、第1実施形態と共通する符号を付して説明する。以下の各実施形態の構成においても、第1実施形態と共通する構成を有していることによって、第1実施形態で説明した種々の作用効果を奏することができる。
【0046】
2-1.第2実施形態:
図6を参照する。第2実施形態の流量測定装置10Bでは、第1流路61の導出口56側の端部に、管路111での被計測流体の主流方向に対して傾斜する傾斜面として構成された端部傾斜面63aが設けられている。端部傾斜面63aは、導入口55に対してY軸方向に対向する部位を有し、導出口56まで連続している。端部傾斜面63aは、導出口56に近い部位ほど導入口55から離れた位置に位置するように、Y軸方向に対して傾斜している。
【0047】
第2実施形態の流量測定装置10Bによれば、端部傾斜面63aによって、第1流路61の直線流路部62から導出口56までの被計測流体の流れが円滑化され、第1流路61での被計測流体の圧力損失が低減される。そのため、ハウジング50内における被計測流体の流通が促進される。また、端部傾斜面63aによって、直線流路部62から導出口56へと被計測流体中の異物が円滑に誘導されるため、そうした異物の導出口56からの排出性が高められている。
【0048】
2-2.第3実施形態:
図7を参照する。第3実施形態の流量測定装置10Cは、上記の第2実施形態で説明した端部傾斜面63aをY軸方向側に窪むように湾曲させた端部凹湾曲面63bを有している。端部凹湾曲面63bは、導入口55と対向する部位を有し、導出口56まで連続し、導出口56に近い部位ほど導入口55から離れた位置に位置するように主流方向に対して傾斜している端部傾斜面の一態様である。端部凹湾曲面63bの湾曲面は、直線流路部62の壁面との間の角部が丸められるように、直線流路部62の壁面になだらかにつながっている。端部凹湾曲面63bによれば、直線流路部62から導出口56への被計測流体の流れを、第2実施形態よりも円滑化できる。また、直線流路部62の壁面と端部凹湾曲面63bとの間に鋭角な角部が形成されることが抑制されるため、そうした角部に被計測流体に含まれていた異物が滞留してしまうことが抑制される。
【0049】
2-3.第4実施形態:
図8を参照する。第4実施形態の流量測定装置10Dは、上記の第2実施形態で説明した傾斜面として構成された端部傾斜面63aを-Y軸方向側に隆起するように湾曲させた端部凸湾曲面63cを有している。端部凸湾曲面63cは、導入口55と対向する部位を有し、導出口56まで連続し、導出口56に近い部位ほど導入口55から離れた位置に位置するように、主流方向に対して傾斜している端部傾斜面の一態様である。第4実施形態の端部凸湾曲面63cによれば、導出口56からハウジング50の外部へと流出するときの被計測流体の流れ方向を、管路111での被計測流体に主流方向に近づけることができる。よって、被計測流体およびそれに含まれる異物の導出口56からの流出が円滑化される。
【0050】
2-4.第5実施形態:
図9を参照する。第5実施形態の流量測定装置10Eは、第1流路61に、第2実施形態で説明した端部傾斜面63aが設けられている。また、第5実施形態の流量測定装置10Eでは、管路111の主流方向における平坦面51pの下流側、つまり、Y軸方向側に、傾斜側面51iが形成されており、導出口56は、その傾斜側面51iにおいて開口している。傾斜側面51iは、-Y軸方向側に向くようにY軸方向に対して傾斜しており、導出口56は、-Y軸方向に斜めに開口している。
【0051】
第5実施形態の流量測定装置10Eによれば、導出口56が-Y軸方向に斜めに開口しているため、管路111において生じた被計測流体の逆流による動圧が導出口56を通じてハウジング50内の流路61,70に伝達されることが、より一層抑制される。なお、他の実施形態では、第1流路61には、端部傾斜面63aの代わりに、第1実施形態の流量測定装置10Aと同様な端部壁面63が設けられてもよい。
【0052】
2-5.第6実施形態:
図10を参照する。第6実施形態の流量測定装置10Fの構成は、平面状の傾斜壁面である端部傾斜面63aの代わりに、第3実施形態で説明したのと同様な湾曲した傾斜壁面である端部凹湾曲面63bが設けられている点以外は、第5実施形態の流量測定装置10Eとほぼ同じである。第6実施形態の流量測定装置10Fによれば、導出口56が設けられた傾斜側面51iを有していることによって、第5実施形態で説明したのと同様な作用効果を奏することができる。また、端部凹湾曲面63bを有していることによって、第3実施形態で説明したのと同様な作用効果を奏することができる。なお、他の実施形態では、第1流路61に、端部凹湾曲面63bの代わりに、第4実施形態で説明したのと同様な端部凸湾曲面63cが設けられてもよい。
【0053】
2-6.第7実施形態:
図11を参照する。第7実施形態の流量測定装置10Gは、導出口56のY軸方向側、つまり、管路111での被計測流体の主流方向における下流側に、第1側壁部51から外方に張り出している張出部64が形成されている。また、第1側壁部51には、平坦面51pのY軸方向側に、第5実施形態で説明したのと同様な傾斜側面51iが設けられており、導出口56はその傾斜側面51iにおいて開口している。
【0054】
張出部64は、傾斜側面51iおよび導出口56よりも-X軸方向に張り出した壁部である。張出部64は、管路111で生じた被計測流体の逆流の動圧が導出口56に到達することを抑制する邪魔板として機能する。よって、管路111で生じた被計測流体の逆流に起因して、ハウジング50内の流路61,70において、導出口56から流入する被計測流体によって渦が形成されることが、より一層抑制される。
【0055】
また、第7実施形態の流量測定装置10Gでは、第5実施形態の流量測定装置10Eと同様に、導出口56が-Y軸方向側に斜めに開口している。そのため、第5実施形態において説明したのと同様に、管路111で生じた被計測流体の逆流による動圧がハウジング50内の流路61,70に伝達されることがさらに抑制される。なお、他の実施形態では、第1側壁部51の傾斜側面51iは省略されてもよい。
【0056】
2-7.第8実施形態:
図12を参照する。第8実施形態の流量測定装置10Hは、端部壁面63の代わりに、第2実施形態で説明したのと同様な端部傾斜面63aを備えている点以外は、第7実施形態の流量測定装置10Gの構成とほぼ同じである。なお、張出部64の-Y軸方向側の壁面は、端部傾斜面63aから連続した傾斜面によって構成されている。第8実施形態の流量測定装置10Hであれば、端部傾斜面63aによって、導出口56を通じたハウジング50外部への被計測流体および異物の流出が円滑化される。
【0057】
2-8.第9実施形態:
図13を参照する。第9実施形態の流量測定装置10Iは、端部傾斜面63aの代わりに、第3実施形態で説明したのと同様な端部凹湾曲面63bを備えている点と、張出部64が端面64tを有している点以外は、第8実施形態の流量測定装置10Hの構成とほぼ同じである。
【0058】
第9実施形態の流量測定装置10Iでは、端部凹湾曲面63bを備えていることによって、導出口56を通じたハウジング50外部への被計測流体および異物の流出がより一層、円滑化されている。張出部64の-X軸方向における端面64tは、Y軸方向に向くように傾斜している。端面64tは、管路111において生じた被計測流体の逆流を導出口56から離れる方向に誘導する。よって、第9実施形態の流量測定装置10Iによれば、管路111で生じた被計測流体の逆流による動圧が導出口56を通じてハウジング50内の流路61,70へと伝達されることが、より一層抑制される。
【0059】
なお、他の実施形態では、第1流路61には、端部凹湾曲面63bの代わりに、第4実施形態で説明した-Y軸方向側に隆起する湾曲面を構成する端部凸湾曲面63cが設けられてもよい。また、張出部64の端面64tは、上述した各実施形態の張出部64に適用されてもよい。
【0060】
2-9.第10実施形態:
図14を参照する。第10実施形態の流量測定装置10Jの構成は、張出部64の-X軸方向における端部に段部64cが設けられている点以外は、第7実施形態の流量測定装置10Gとほぼ同じである。張出部64のY軸方向側には、階段状に-Y軸方向に窪んだ段部64cが形成されている。第10実施形態の流量測定装置10Jでは、段部64cの段差によって、管路111に生じた被計測流体の逆流が導出口56へと向かうことが抑制される。よって、管路111で生じた被計測流体の逆流による動圧が導出口56を通じてハウジング50内の流路61,70へと伝達されることがより一層、抑制される。なお、張出部64の段部64cは、上述した各実施形態の張出部64に適用されてもよい。
【0061】
2-10.第11実施形態:
図15を参照する。第11実施形態の流量測定装置10Kの構成は、段部64cが、張出部64のY軸方向側ではなく、-Y軸方向側に設けられている点以外は、第10実施形態の流量測定装置10Jとほぼ同じである。第11実施形態の流量測定装置10Kの構成であっても、段部64cによって、管路111で生じた逆流が導出口56に向かうことを抑制することができる。第11実施形態の段部64cは、上述の各実施形態における張出部64に適用されてもよい。
【0062】
2-11.第12実施形態:
図16を参照する。第12実施形態の流量測定装置10Lでは、第1側壁部51の導出口56に加えて、第2側壁部52の導出口57が追加されている。以下、2つの導出口56,57を区別するために、第1側壁部51の導出口56を「第1導出口56」とも呼び、第2側壁部52の導出口57を「第2導出口57」とも呼ぶ。
【0063】
第2導出口57は、第1流路61に接続されている。第2導出口57は、第1導出口56に対してX軸方向に対向する位置に設けられている。端部壁面63は、第1導出口56と第2導出口57との間にわたって連続している。第12実施形態の流量測定装置10Lによれば、第2導出口57を有することによって、ハウジング50内部での被計測流体の流通がより一層促進される。また、ハウジング50内部からの被計測流体中の異物の排出がより一層促進される。
【0064】
第12実施形態の流量測定装置10Lは、第1側壁部51の平坦面51pに加えて、第2側壁部52に、第2側壁部52の外壁面を構成する平坦面52pを有している。以下、2つの平坦面51p,52pを区別するために、第1側壁部51の平坦面51pを「第1平坦面51p」とも呼び、第2側壁部52の平坦面52pを「第2平坦面52p」とも呼ぶ。
【0065】
第2平坦面52pは、主流方向における第2側壁部52の上流側端部、つまり、-Y軸方向における端部から第2導出口57にわたって被計測流体の主流方向に沿って連続している。第2平坦面52pは、第2平坦面52pに沿った被計測流体の主流方向の流れに実質的な変化を生じさせるような凸部や凹部が設けられていない平滑な壁面である。
【0066】
第2側壁部52の第2平坦面52pによって、管路111において被計測流体が主流方向に流れているときに、第2導出口57の近傍領域に、ハウジング50内の被計測流体を第2導出口57から外部へと導くような負圧が発生することが抑制される。そのため、その負圧によって、第2流路70の被計測流体が第2導出口57の方へと吸引され、第2流路70において検出部75から第1流路61へと向かう逆流方向の被計測流体の流れが生じることが抑制される。よって、そうしたハウジング50内での予期しない被計測流体の逆流の発生によって、検出部75の計測結果の正確性が損なわれてしまうことが抑制される。
【0067】
2-12.第13実施形態:
図17を参照する。第13実施形態の流量測定装置10Mの構成は、第1流路61の端部に、第1導出口56側の端部傾斜面63aと第2導出口57側の端部傾斜面66aとが追加されている点以外は、第12実施形態の流量測定装置10Lとほぼ同じである。以下では、第1導出口56側の端部傾斜面63aを「第1端部傾斜面63a」とも呼び、第2導出口57側の端部傾斜面66aを「第2端部傾斜面66a」とも呼ぶ。
【0068】
第1端部傾斜面63aは、第2実施形態で説明したように、Y軸方向において導入口55と対向する部位を有し、第1導出口56まで連続している。第1端部傾斜面63aは、第1導出口56に近い部位ほど導入口55から離れた位置に位置するように、Y軸方向に対して傾斜している。
【0069】
第2端部傾斜面66aは、Y軸方向において導入口55と対向する部位を有し、第2導出口57まで連続している端部壁面である。第2端部傾斜面66aは、第2導出口57に近い部位ほど導入口55から離れた位置に位置するように、Y軸方向に対して傾斜している。
【0070】
流量測定装置10Mでは、第1端部傾斜面63aによって、第1流路61から第1導出口56への被計測流体および被計測流体中の異物の流れが円滑化されている。また、同様に、第2端部傾斜面66aによって、第1流路61から第2導出口57への被計測流体および被計測流体中の異物の流れが円滑化されている。
【0071】
流量測定装置10Mのそれら2つの端部傾斜面63a,66aの間には、第1端部傾斜面63aと第2端部傾斜面66aとが交差することによって、-Y軸方向に突き出ている角部65が形成されている。角部65は、Y軸方向において導入口55と対向する位置に設けられている。角部65は、直線流路部62の中心軸を延長した延長線上に位置することが望ましい。角部65は、第1流路61を流れる被計測流体を第1導出口56と第2導出口57とに円滑に分岐させる分岐部として機能する。角部65によって、第1流路61から2つの導出口56,57への被計測流体の流れが円滑化される。なお、他の実施形態では、2つの端部傾斜面63a,66aの間には、角部65を切り欠いたような端面が設けられていてもよい。
【0072】
2-13.第14実施形態:
図18を参照する。第14実施形態の流量測定装置10Nは、第1端部傾斜面63aをY軸方向側に窪むように湾曲させた第1端部凹湾曲面63bと、第2端部傾斜面66aをY軸方向側に窪むように湾曲させた第2端部凹湾曲面66bと、を有する。第14実施形態の流量測定装置10Nにおけるその他の構成は、第13実施形態の流量測定装置10Mとほぼ同じである。
【0073】
第1端部凹湾曲面63bは、導入口55と対向する部位を含み、第1導出口56まで連続し、第1導出口56に近い部位ほど導入口55から離れた位置に位置するように、主流方向に対して傾斜している第1端部壁部の一態様である。第2端部凹湾曲面66bは、導入口55と対向する部位を含み、第2導出口57まで連続し、第2導出口57に近い部位ほど導入口55から離れた位置に位置するように、主流方向に対して傾斜している第2端部壁部の一態様である。第14実施形態の流量測定装置10Nによれば、第1流路61から2つの導出口56,57への被計測流体の流れを円滑化することができる。
【0074】
2-14.第15実施形態:
図19を参照する。第15実施形態の流量測定装置10Pは、第1端部傾斜面63aを-Y軸方向側に隆起するように湾曲させた第1端部凸湾曲面63cと、第2端部傾斜面66aを-Y軸方向側に隆起するように湾曲させた第2端部凸湾曲面66cと、を有する。第15実施形態の流量測定装置10Pにおけるその他の構成は、第13実施形態の流量測定装置10Mとほぼ同じである。
【0075】
第1端部凸湾曲面63cは、導入口55と対向する部位を含み、第1導出口56まで連続し、第1導出口56に近い部位ほど導入口55から離れた位置に位置するように、主流方向に対して傾斜している第1端部壁部の一態様である。第2端部凸湾曲面66cは、導入口55と対向する部位を含み、第2導出口57まで連続し、第2導出口57に近い部位ほど導入口55から離れた位置に位置するように、主流方向に対して傾斜している第2端部壁部の一態様である。第15実施形態の流量測定装置10Pによれば、第1流路61から2つの導出口56,57への被計測流体の流れを円滑化することができる。
【0076】
2-15.第16実施形態:
図20を参照する。第16実施形態の流量測定装置10Qの構成は、第1端部凸湾曲面63cの代わりに、第13実施形態で説明した端部傾斜面63aが設けられている点以外は、第15実施形態の流量測定装置10Pとほぼ同じである。このように、第1流路61における第1導出口56側の流路形状と第2導出口57側の流路形状とが非対称に構成されていてもよい。
【0077】
なお、他の実施形態では、第1端部傾斜面63aの代わりに、第1端部凹湾曲面63bが設けられてもよい。また、第2端部凸湾曲面66cの代わりに、第2端部凹湾曲面66bが設けられてもよい。第1端部傾斜面63aの代わりに第1端部凹湾曲面63bが設けられている場合には、第2端部凸湾曲面66cの代わりに、第2端部傾斜面66aが設けられてもよい。第1端部傾斜面63aの代わりに第1端部凸湾曲面63cが設けられる場合には、第2端部凸湾曲面66cの代わりに、第2端部傾斜面66aや第2端部凹湾曲面66bが設けられてもよい。
【0078】
2-16.第17実施形態:
図21を参照する。第17実施形態の流量測定装置10Rの構成は、以下に説明する点以外は、第13実施形態の流量測定装置10Mとほぼ同じである。第17実施形態の流量測定装置10Rは、第1側壁部51に、第1導出口56が設けられた傾斜側面51iを有し、第2側壁部52に、第2導出口57が設けられた傾斜側面52iを有している。
【0079】
第1側壁部51の傾斜側面51iは、第5実施形態で説明したように、第1平坦面51pよりY軸方向側に設けられており、-Y軸方向側に向くようにY軸方向に対して傾斜している。傾斜側面51iに設けられている第1導出口56は、-Y軸方向に向かって斜めに開口している。また、第2側壁部52の傾斜側面52iは、第2平坦面52pよりY軸方向側に設けられており、-Y軸方向側に向くようにY軸方向に対して傾斜している。傾斜側面52iに設けられている第2導出口57は、-Y軸方向に向かって斜めに開口している。
【0080】
第17実施形態の流量測定装置10Rによれば、管路111において生じた被計測流体の逆流による動圧が、第1導出口56および第2導出口57を通じてハウジング50内部の流路61,70に伝達されることが抑制される。なお、他の実施形態では、第1側壁部51側の傾斜側面51iと第2側壁部52側の傾斜側面52iのいずれか一方が省略されてもよい。また、他の実施形態では、2つの端部傾斜面63a,66aの代わりに、X軸方向に沿った端部壁面63が設けられてもよい。あるいは、2つの端部傾斜面63a,66aの代わりに、端部凹湾曲面63b,66bや、端部凸湾曲面63c,66cが設けられてもよい。
【0081】
2-17.第18実施形態:
図22を参照する。第18実施形態の流量測定装置10Sの構成は、第1導出口56側の張出部64と、第2導出口57側の張出部67と、が追加されている点以外は、第17実施形態の流量測定装置10Rとほぼ同じである。以下では、第1導出口56側の張出部64を「第1張出部64」とも呼び、第2導出口57側の張出部67を「第2張出部67」とも呼ぶ。
【0082】
第1張出部64は、第1導出口56のY軸方向側に設けられた壁部であり、第1導出口56より-X軸方向に張り出している。第2張出部67は、第2導出口57のY軸方向側に設けられた壁部であり、第2導出口57よりX軸方向に張り出している。
【0083】
第18実施形態の流量測定装置10Sによれば、2つの張出部64,67が、管路111で生じた被計測流体の逆流が2つの導出口56,57の方に流れることを抑制する邪魔板として機能する。そのため、管路111で被計測流体の逆流が生じたときに、その逆流による動圧が2つの導出口56,57を通じてハウジング50内の流路61,70に伝達されることが抑制される。よって、ハウジング50内の流路61,70において、第1導出口56から流入する被計測流体による渦の形成が抑制される。
【0084】
なお、他の実施形態では、2つの張出部64,67のいずれか一方が省略されてもよい。また、他の実施形態では、2つの張出部64,67の少なくとも一方に第10実施形態や第11実施形態で説明したような段部64cが設けられてもよい。他の実施形態では、2つの傾斜側面51i,52iのうちの少なくとも一方が省略されてもよい。また、他の実施形態では、2つの端部傾斜面63a,66aの代わりに、X軸方向に沿った端部壁面63が設けられてもよい。あるいは、2つの端部傾斜面63a,66aの代わりに、端部凹湾曲面63b,66bや、端部凸湾曲面63c,66cが設けられてもよい。
【0085】
3.他の実施形態:
上記の各実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように改変することも可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記の各実施形態と同様に、本開示の技術を実施するための形態の一例として位置づけられる。
【0086】
(1)他の実施形態1:
上記の各実施形態において、ハウジング50は直方体形状以外の形状を有していてもよい。例えば、ハウジング50は、Y軸方向を長手方向とする楕円断面を有する楕円柱状の形状を有していてもよい。
【0087】
(2)他の実施形態2:
上記の各実施形態において、導出口56を有する第1側壁部51がX軸方向側となり、第2側壁部52が-X軸方向側となるように入れ替えられてもよい。
【0088】
(3)他の実施形態3:
上記の各実施形態において、検出部75は、温度差方式の代わりに、他の方式の流量センサが用いられてもよい。検出部75は、例えば、コリオリ式やカルマン渦式のセンサが採用されてもよい。検出部75は、順流方向の流量と逆流方向の流量とを区別して検出しなくてもよい。
【0089】
(4)他の実施形態2:
上記の各実施形態の流量測定装置10A~10N,10P~10Sは、車両に搭載される燃焼システム100の管路111以外に取り付けられてもよい。各実施形態の流量測定装置10A~10N,10P~10Sは、例えば、燃料電池システムにおいて燃料電池に発電に用いられる反応ガスを供給する配管に取り付けられてもよい。
【0090】
本開示の技術は、流量測定装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、流量測定装置に用いられるハウジングや、流量測定装置における流路構造、流量測定システム等の形態で実現することができる。
【0091】
本開示の技術は、上述の実施形態や他の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須ではないと説明されているものに限らず、その技術的特徴が本明細書中に必須であると説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
10A~10N,10P~10S 流量測定装置、50 ハウジング、51 第1側壁部、51p 平坦面、52 第2側壁部、55 導入口、56 導出口、61 第1流路、70 第2流路、75 検出部、111 管路