(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】接続金具、及びその接続金具を用いた防護柵
(51)【国際特許分類】
E01F 15/04 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
E01F15/04 Z
(21)【出願番号】P 2018186305
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上原 健嗣
(72)【発明者】
【氏名】安西 咲菜恵
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-286311(JP,A)
【文献】特開2008-031824(JP,A)
【文献】特開2004-100324(JP,A)
【文献】特開2017-218849(JP,A)
【文献】特開平11-152718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 1/00
E01F 13/00-15/14
E04H 17/00-17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を空けて立設された支柱間にビーム材を差し渡してなる防護柵において支柱にビーム材を接続するための接続金具であって、支柱に取り付けられるベース部と、ビーム材の端部に取り付けられる略半円筒形状のビーム材受け部を有するベース金具を備え、
ビーム材保持部は、ビーム材の端部を下方から支持して保持する前記ビーム材受け部と、前記ビーム材端部及びビーム材受け部の上方から被せるカバー部とを備え、
前記ビーム材受け部とカバー部とは、半割り状の一対の部材により略円筒形状をなし、
前記ビーム材受け部の防護柵正面側又は背面側のいずれか一方の側壁が他方の側壁よりも低く形成されており、
前記ベース部には前記支柱へ固定するためのボルトを挿通可能な挿通孔が形成されると共に、該挿通孔が水平方向に長い長孔となされて該長孔の長手方向が前記ビーム材受け部の前記低く形成された一方の側壁側から前記他方の側壁側へ向かうように設けられて
おり、
前記ベース金具の取付角度が道路に沿うように調整されて、一方の側壁が他方の側壁よりも低く形成された前記ビーム材受け部が道路の曲がり具合に合わせて配置可能に設けられていることを特徴とする接続金具。
【請求項2】
前記ベース部とビーム材受け部は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接続金具。
【請求項3】
所定の間隔を空けて立設された複数の支柱と、前記支柱間に差し渡されるビーム材と、前記支柱と前記ビーム材の端部とを接続する請求項1又は2に記載の接続金具とを備えた防護柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路等に設置されるパネル柵やビーム柵、メッシュフェンス柵等の防護柵において、支柱とビーム材とを接続するための接続金具、及び当該接続金具を用いた防護柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路等に設置される防護柵のビーム取付構造及び取付金具としては、例えば、支柱に固定されてビームの端部を保持する金具を備えた取付構造であって、当該金具は、支柱に固定されるベース部(ベース金具)と、ビーム端部を下方から支持するビーム受け部(ビーム受け金具)と、ビーム端部の上面を覆う被せ部(被せ金具)とからなる金具によるものがある。当該取付構造においては、前記ビーム受け部と被せ部とは、上下に半割り状とした一対の部材であって、当該一対のビーム受け部と被せ部とにより形成された略円筒形状の開口内部にビーム材を保持するようになされている(特許文献1)。この従来の取付構造乃至取付金具によれば、支柱に取り付けたビーム受け部にいったんビーム材を載置して仮置きした状態で、その上から被せ金具を被せ、その上でボルト及びナットにより固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の取付構造乃至取付金具によれば、支柱に取り付けたビーム受け部にビーム材を載置する際、ビーム材の取り付け作業を行う側のビーム受け部の上端よりも高くビーム材を持ち上げて、ビーム受け部に載置する必要がある。ところが、この従来の取付構造乃至取付金具によれば、防護柵の正面側も背面側もビーム受け部の端部は同じ高さに設定されており、長尺かつ重量の大きいビーム材を持ち上げて載置することは作業者にとって大きな負担となっている。
【0005】
本発明は上述の課題を克服するためのものであり、防護柵を設置する作業者が、ビーム材を持ち上げる高さを少なくし、作業の負担をできるだけ軽くすることを可能としたビーム材の接続金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。すなわち、本発明に係る接続金具は、所定の間隔を空けて立設された支柱間にビーム材を差し渡してなる防護柵において支柱にビーム材を接続するための接続金具であって、支柱に取り付けられるベース部と、ビーム材の端部に取り付けられる略半円筒形状のビーム材受け部を有するベース金具を備え、ビーム材保持部は、ビーム材の端部を下方から支持して保持する前記ビーム材受け部と、前記ビーム材端部及びビーム材受け部の上方から被せるカバー部とを備え、前記ビーム材受け部とカバー部とは、半割り状の一対の部材により略円筒形状をなし、前記ビーム材受け部の防護柵正面側又は背面側のいずれか一方の側壁が他方の側壁よりも低く形成されており、前記ベース部には前記支柱へ固定するためのボルトを挿通可能な挿通孔が形成されると共に、該挿通孔が水平方向に長い長孔となされて該長孔の長手方向が前記ビーム材受け部の前記低く形成された一方の側壁側から前記他方の側壁側へ向かうように設けられており、前記ベース金具の取付角度が道路に沿うように調整されて、一方の側壁が他方の側壁よりも低く形成された前記ビーム材受け部が道路の曲がり具合に合わせて配置可能に設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る接続金具によれば、前記ビーム材受け部の防護柵正面側又は背面側のいずれか一方の側壁が他方の側壁よりも低く形成されているので、防護柵を設置する作業者がビーム材をビーム材受け部に載置する際、ビーム材を持ち上げる高さが低くて済むので、作業者の負担が軽くなる。
【0009】
また、本発明に係る接続金具において、前記ベース部とビーム材受け部は、一体的に形成されていてもよい。このようにすれば、防護柵の設置作業が更に容易となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記ビーム材保持部は、ビーム材の端部を下方から支持して保持するビーム材受け部と、前記ビーム材端部及びビーム材受け部の上方から被せるカバー部とを備え、前記ビーム材保持部とカバー部とは、半割り状の一対の部材により略円筒形状をなし、前記ビーム材受け部の防護柵正面側又は背面側のいずれか一方の側壁が他方の側壁よりも低く形成されているので、防護柵を設置する作業者がビーム材をビーム材受け部に載置する際、ビーム材を持ち上げる高さが低くて済み、作業者の負担が軽くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る接続金具を用いた防護柵の一実施形態を示す正面図である。
【
図3】本発明に係る接続金具を用いて支柱とビーム材を接続する様子を示す説明図であり、接続前の分解斜視図である。
【
図4】
図3に示した、接続金具を用いて支柱とビーム材を接続する様子を示す説明図であり、接続完了の状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0013】
図1から
図7は、本発明に係る接続金具、及び当該接続金具を用いた防護柵の一実施形態を示すものであり、
図1及び
図2は、接続金具を用いた防護柵を、
図3及び
図4は、接続金具を用いて支柱とビーム材を接続する様子を、そして
図5乃至
図7は、接続金具を示す図である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る接続金具4を用いた防護柵1は、間隔をおいて地面に複数立設された支柱2間にビーム材3が差し渡され、支柱2とビーム材3とが接続金具4により接続されてなるものである。接続金具4は、ベース金具5とカバー金具(カバー部)6とからなる。ベース金具5は、
図3に示すように、支柱2に当接され取り付けられるベース部51と、ベース部51から水平方向に突設され、側面視略半円固形状を備えたビーム材受け部52とが一体的に形成されたものである。また、カバー金具6は、ビーム受け部52に被せられビーム材3の端部を覆うものである。これにより、
図1~
図3に示されるように、ビーム材受け部52とカバー部6は、半割り状の一対の部材として形成され略円筒形状をなし、当該円筒形状部の開口内にビーム材3の端部が挿入され、固定される。
【0015】
図3及び
図4は、本実施形態において接続金具4を用いて支柱2とビーム材3とを接続する様子を示した図であり、
図3に示すように、ベース金具5のベース部51は挿通孔511が形成されており、支柱に形成されたボルト孔21及びベース部51の挿通孔511にボルトB1を挿通させナットN1を締結して、ベース金具5が支柱に固定される。尚、ベース部51の挿通孔511は、水平方向に長い長孔となされている。これによって、道路が左右に曲がっている場合でも、当該道路に沿うようにベース金具5の取り付け角度を調整することができ、これにより道路の曲がり具合に合わせて防護柵1を設置することが可能となる。
【0016】
この状態において、ビーム材3をビーム受け部52の円弧状の凹部に載置するのであるが、このとき、防護柵1の正面側(作業者が作業する側)のビーム受け部52の側壁521が低く形成されているので、作業者がビーム材3を持ち上げる高さが必要最小限で足り、これにより作業者の負担を低減することができる(
図3及び
図5~
図7参照)。これに対し、防護柵の背面側(作業者が作業する側の反対側)のビーム材受け部52の側壁522は、高く形成されている。これによって、作業者が正面側からビーム材3を持ち上げ、多少勢いよくビーム材受け部52に載置する動作を行う場合であっても、ビーム材3が側壁522に突き当たり、ビーム材3を背面側に落としてしまう恐れが少なくなる。
【0017】
ビーム材3をビーム材受け部52に載置して仮置きしたのち、カバー部(カバー金具)6をその上から被せる。これによりビーム材3の端部が、カバー部6により覆われる。その上で、ボルトB2を、ビーム材受け部52に形成された挿通孔523及びビーム材3に形成されたボルト孔31に挿通させる。カバー部6に形成されたボルト孔61内にはねじ溝が形成されており、ボルトB2をこのボルト孔61に螺入して、ビーム材3を接続金具4にしっかりと締結する。
【0018】
尚、ビーム材3に形成されたボルト孔31は、ビーム材3の長手方向に長い長孔として形成されている。これにより、支柱2間の多少の距離の違いがあっても、ビーム材3を公好適に取り付けることが可能である。
【0019】
以上、本発明に係る接続金具及び当該接続金具を用いた防護柵について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。例えば、
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明によれば、防護柵を設置する作業者がビーム材をビーム材受け部に載置する際、ビーム材を持ち上げる高さが低くて済み、作業者の負担が軽くなり、防護柵の設置が容易になる。
【符号の説明】
【0021】
1 防護柵
2 支柱
3 ビーム材
31 ボルト孔
4 接続金具
5 ベース金具
51 ベース部
52 ビーム材受け部
521 (正面側)側壁
522 (背面側)側壁
523 挿通孔
6 カバー部(カバー金具)
61 ボルト孔
7 ビーム材保持部