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特許7168415シム及びシム取付方法、並びにディスクブレーキ用パッド組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】シム及びシム取付方法、並びにディスクブレーキ用パッド組立体
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/095 20060101AFI20221101BHJP
   F16D 65/092 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F16D65/095 K
F16D65/092 D
F16D65/092 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018205828
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020070878
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000516
【氏名又は名称】曙ブレーキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 隆行
(72)【発明者】
【氏名】針貝 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 祐一
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102018001999(DE,A1)
【文献】特開2016-98912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にライニングが成型された裏板の裏面に取り付けられるシムであって、
前記裏板に設けられたアンカプレートの蟻ほぞ状の固定部が嵌め込まれるシム係止孔は、
前記固定部の蟻ほぞ根元部の幅より広く、且つ前記固定部の幅広部の幅より狭い開口幅を有して前記シム係止孔における前記固定部の蟻ほぞ挿入方向に沿う一部分に形成された係止部と、
前記固定部の幅広部の幅より広い開口幅を有して前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿う他の部分に形成された挿入部と、
を備えることを特徴とするシム。
【請求項2】
前記係止部が、前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿う両端側に形成され、
前記挿入部が、前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿う中央側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシム。
【請求項3】
前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿う中央部には、二分割された前記裏板の突合せ面における前記固定部の幅方向両端部に形成された面取り部にそれぞれ係合して前記蟻ほぞ挿入方向の位置決めをするための一対の固定用爪部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシム。
【請求項4】
前記固定用爪部が前記固定部を保持するキャリパホルダの蟻溝状の保持部に係止されることによって、前記シム係止孔の中央が広がる方向へ変形するのを抑止されることを特徴とする請求項3に記載のシム。
【請求項5】
前記シムは、前記裏板の裏面が対向する部分に、グリスを溜めるための複数のグリス保持用穴が設けられていることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載のシム。
【請求項6】
前記グリス保持用穴は、前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿って延びる穴であることを特徴とする請求項5に記載のシム。
【請求項7】
請求項2~請求項4の何れか1項に記載の前記シムは、前記蟻ほぞ挿入方向に沿って撓ませられた状態で、二分割された前記裏板における前記固定部が前記挿入部から前記係止部にそれぞれ挿入されることにより前記シム係止孔に嵌め込まれることを特徴とするシム取付方法。
【請求項8】
請求項1~請求項6の何れか1項に記載の前記シムが、前記裏板の裏面に取り付けられていることを特徴とするディスクブレーキ用パッド組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シム及びシム取付方法、並びにディスクブレーキ用パッド組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や鉄道等の車両用ディスクブレーキに用いられる摩擦パッドは、ディスクロータに摺接するライニングと、キャリパボディやキャリパブラケットに保持される金属製の裏板とを固着して構成される。更に、裏板の裏面には、制動時の鳴きやライニングの偏摩耗防止、或いは断熱を目的としたシム板(シム)が取付けられる(特許文献1等参照)。
シム板の取付け構造には、特許文献1に示すように、裏板の裏面中央に矩形の係止突起を設けるものがある。シム板の中央には、矩形の開口の四隅に切り込みを入れ、開口部四周の爪片を一側方へ傾斜させた係止孔が開設される。そして、係止孔を係止突起へ圧入嵌合して、裏板の裏面にシム板が取付けられる。このシム板取付け構造によれば、シム板の外周縁部に、裏板の外周縁部に外側から折り曲げて係合するための突片が不要となる。これにより、シム板は、裏板の裏面形状に合わせた形状で済む。その結果、シム板を板材から無駄なく有効に材料取りして、歩留まりの向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-30541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のシム板は、裏板とシム板との相対位置が塑性変形による圧入嵌合部に依存するため、高い組み付け精度を安定して得ることが難しかった。また、従来のシム板は、係止孔が裏板の係止突起に圧入嵌合されるため、現場での緊急対応時に、治具や工具を使用しての作業が必要となり、作業時間の短縮に不利となった。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、治具や工具を使用せずに、裏板に高精度に組み付けできるシム及びシム取付方法、並びにディスクブレーキ用パッド組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 表面にライニングが成型された裏板の裏面に取り付けられるシムであって、前記裏板に設けられたアンカプレートの蟻ほぞ状の固定部が嵌め込まれるシム係止孔は、前記固定部の蟻ほぞ根元部の幅より広く、且つ前記固定部の幅広部の幅より狭い開口幅を有して前記シム係止孔における前記固定部の蟻ほぞ挿入方向に沿う一部分に形成された係止部と、前記固定部の幅広部の幅より広い開口幅を有して前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿う他の部分に形成された挿入部と、を備えることを特徴とするシム。
【0007】
上記(1)の構成のシムによれば、シムが、例えば一般的な薄板のSUS材により形成される。このため、シムは、板面の表裏方向へ弾性限度範囲で撓みが可能となる。アンカプレートの蟻ほぞ状の固定部は、蟻ほぞ挿入方向(装着方向)の寸法よりも短い挿入部が形成されたシム係止孔に対しても、シムを撓めることにより、係止部への蟻ほぞ挿入が可能となる。シムは、固定部が係止部に係止された後、平板状に弾性復帰すると、挿入部が固定部の装着方向の寸法よりも短いため、固定部が挿入部から離脱不能となる。シムは、裏板とキャリパホルダとの間に挟持されて組み付けられると、平板状に保持され、再び撓むことによる固定部の離脱が生じなくなる。これにより、シムは、塑性変形を必要とせずに、蟻ほぞ根元部に、シム係止孔の係止部を係止して高精度に組み付けできる。
【0008】
(2) 前記係止部が、前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿う両端側に形成され、前記挿入部が、前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿う中央側に形成されていることを特徴とする上記(1)に記載のシム。
【0009】
上記(2)の構成のシムによれば、シム係止孔の蟻ほぞ挿入方向に沿う両端側に、係止部が形成される。この両端側の係止部に挟まれるシム係止孔の中央側には、挿入部が形成される。つまり、シム係止孔は、蟻ほぞ挿入方向に沿う両端側が固定部の幅広部よりも狭い開口幅となり、中央側が固定部の幅広部よりも広い開口幅となっている。これにより、二分割された裏板に設けられたアンカプレートの固定部は、それぞれシム係止孔の中央側の挿入部に挿入された後、両端側の何れか一方に移動(板面と平行にスライド)されることで、固定部の蟻ほぞ根元部が、それぞれ係止部に係止されてシム係止孔からの抜けが規制される。
【0010】
(3) 前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿う中央部には、二分割された前記裏板の突合せ面における前記固定部の幅方向両端部に形成された面取り部にそれぞれ係合して前記蟻ほぞ挿入方向の位置決めをするための一対の固定用爪部が設けられていることを特徴とする上記(2)に記載のシム。
【0011】
上記(3)の構成のシムによれば、2枚の裏板に対し、1枚のシムが組み付けられる。ここで、2枚の裏板及びライニングは、1セットの摩擦パッドを構成する。つまり、シムは、1セットの摩擦パッドにおける2個分の固定部を囲うように組み付けられる。シムは、1セットの摩擦パッドのホルダ装着部(即ち、2つの固定部)がそのままキャリパホルダへ装着されることで、1セットの摩擦パッドとキャリパホルダとの双方で挟まれて固定される。
二分割された1セットの摩擦パッドは、それぞれの裏板の突合せ面に、固定部の幅方向両端部に面取り部が形成される。1セット(2個)の摩擦パッドは、シム係止孔の中央部において、一対の裏板の突合せ面同士が突き合わされる。そのため、固定部の幅方向両端部には、それぞれ一対の面取り部が接続した二等辺三角形の小空間が形成される。シム係止孔の中央部に形成された一対の固定用爪部は、この小空間のそれぞれに係合する。これにより、2個で1セットの摩擦パッドは、面取り部が固定用爪部に当接することで、シムに対する蟻ほぞ挿入方向の移動が規制されて、同方向の位置決めがなされる。
【0012】
(4) 前記固定用爪部が前記固定部を保持するキャリパホルダの蟻溝状の保持部に係止されることによって、前記シム係止孔の中央が広がる方向へ変形するのを抑止されることを特徴とする上記(3)に記載のシム。
【0013】
上記(4)の構成のシムによれば、シム係止孔の蟻ほぞ挿入方向に沿う中央部に設けられた一対の固定用爪部は、シム係止孔の中央部において対向する一対の孔縁部からそれぞれシム係止孔の外側に曲がって形成される。シム係止孔の外側に曲がった固定用爪部は、孔縁部と90度より小さい入隅で交わる。この入隅は、固定部の蟻ほぞ根元部にほぼ沿った蟻ほぞ係止面となる。従って、蟻ほぞ状の固定部がキャリパホルダの蟻溝状の保持部に挿入れて係止されると、一対の固定用爪部も保持部に係止される。シムは、一対の固定用爪部が保持部に係止されることにより、固定部の幅方向に広がろうとするシム係止孔の変形が規制される。これにより、シムは、制動時における想定外の荷重に対しても拡幅変形しないよう対応がなされる。
【0014】
(5) 前記シムは、前記裏板の裏面が対向する部分に、グリスを溜めるための複数のグリス保持用穴が設けられていることを特徴とする上記(1)~(4)の何れか1つに記載のシム。
【0015】
上記(5)の構成のシムによれば、裏板の裏面と対向する部分に、複数のグリス保持用穴が設けられる。グリス保持用穴は、グリスが充填されることにより、保持したグリスをキャリパホルダと裏板との間に、微量ずつ供給する。供給されたグリスは、制動時の鳴きやライニングの偏摩耗防止、或いは断熱に寄与可能となる。
【0016】
(6) 前記グリス保持用穴は、前記シム係止孔の前記蟻ほぞ挿入方向に沿って延びる穴であることを特徴とする上記(5)に記載のシム。
【0017】
上記(6)の構成のシムによれば、グリス保持用穴が、蟻ほぞ挿入方向に沿って延びる穴(矩形穴)で形成される。これにより、シムは、グリス保持用穴が蟻ほぞ挿入方向に対して直交方向に長い場合に比べ、蟻ほぞ挿入方向によるキャリパホルダ組付時のグリス保持性を良好にできる。
【0018】
(7) 上記(2)~(4)の何れか1つに記載の前記シムは、前記蟻ほぞ挿入方向に沿って撓ませられた状態で、二分割された前記裏板における前記固定部が前記挿入部から前記係止部にそれぞれ挿入されることにより前記シム係止孔に嵌め込まれることを特徴とするシム取付方法。
【0019】
上記(7)の構成のシム取付方法によれば、二分割タイプの摩擦パッド1セットに対し、1枚のシムが取り付けられる。先ず、シムを幅広部で蟻ほぞ挿入方向に沿って撓ませ、この幅広部から片側の係止部へ一方の摩擦パッドを挿入する。挿入された一方の摩擦パッドは、固定部の蟻ほぞ根元部が係止部に係合して、シム係止孔の蟻ほぞ挿入方向の一方側に装着される。次いで、摩擦パッドが装着されていない側のシムを、他方の摩擦パッドに押し付け、シムを蟻ほぞ挿入方向に沿って撓ませながら上記と同様に、幅広部からもう片方の係止部へ他方の摩擦パッドを挿入する。挿入された他方の摩擦パッドは、固定部の蟻ほぞ根元部が係止部に係合して、シム係止孔の蟻ほぞ挿入方向の他方側に装着される。
【0020】
(8) 上記(1)~(6)の何れか1つに記載の前記シムが、前記裏板の裏面に取り付けられていることを特徴とするディスクブレーキ用パッド組立体。
【0021】
上記(8)の構成のディスクブレーキ用パッド組立体によれば、シムが裏板の固定部を囲うように組み付けられる。シムは、塑性変形を必要とせずに、蟻ほぞ根元部を有する固定部に、シム係止孔の係止部が係止されて裏板に対して高精度に、且つ確実に組み付けされる。また、二分割タイプの摩擦パッドでは、摩擦パッド1セットに対し、1枚のシムが取り付けられる。つまり、二分割タイプの摩擦パッド1セットが、シムによりサブアッセンブリされたディスクブレーキ用パッド組立体となる。このディスクブレーキ用パッド組立体は、キャリパホルダの下端と地面との間隔が、摩擦パッド1セット分の長さより小さい場合であっても、キャリパホルダから取り外すことができる。それは、ディスクブレーキ用パッド組立体は、キャリパホルダの下端から下側の摩擦パッドが真下に引き抜かれた後、シムを蟻ほぞ挿入方向に沿って撓めることにより、この下側の摩擦パッドをシムから脱着することが可能となる。上側の摩擦パッドは、下側の摩擦パッドが外された後のシム係止孔に移動することにより、下側の摩擦パッドと同様にキャリパホルダから取り外すことが可能となるからである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るシムによれば、ディスクブレーキ用パッド組立体を組み付けた時に弾性変形させることで、裏板に高精度に組み付けできる。
本発明に係るシム取付方法によれば、治具や工具を使用せずに、高精度に、且つ短時間の作業で裏板にシムを組み付けできる。
本発明に係るディスクブレーキ用パッド組立体によれば、シムが裏板の固定部を囲って組み付けられるので、キャリパホルダ装着状態においてはシムが破断しない限りシムの落失が発生しない。
【0023】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係るシムが摩擦パッドに取り付けられたディスクブレーキ用パッド組立体の斜視図、(b)は(a)の分解斜視図である。
図2】(a)は図1に示したシムの平面図、(b)は図1に示した摩擦パッドの平面図、(c)は図1に示したディスクブレーキ用パッド組立体の平面図である。
図3】(a)は図2の(c)におけるA-A断面図、(b)は図2の(c)におけるB-B断面図である。
図4】(a)は裏板の斜視図、(b)は裏板にライニングが固着された摩擦パッドの斜視図である。
図5】(a)は一方の摩擦パッドが取り付け途中のシムの斜視図、(b)は他方の摩擦パッドが取り付け途中の斜視図である。
図6】(a)はキャリパホルダに取り付け途中のディスクブレーキ用パッド組立体の斜視図、(b)は(a)に示したディスクブレーキ用パッド組立体をライニング側から見た斜視図である。
図7】(a)はグリス保持用穴が穿設された変形例に係るシムの平面図、(b)は摩擦パッドの平面図、(c)は変形例に係るシムが摩擦パッドに取り付けられたディスクブレーキ用パッド組立体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1の(a)は本発明の一実施形態に係るシム11が摩擦パッド13に取り付けられたディスクブレーキ用パッド組立体15の斜視図、図1の(b)は図1の(a)の分解斜視図である。
本実施形態に係るシム11は、例えば鉄道車両用ブレーキ装置のディスクブレーキ用パッド組立体に好適に用いられる。シム11は、表面にライニング17が成型された裏板19の裏面に取り付けられる。シム11の材質としては、例えば一般的な薄板のSUS材が用いられる。
【0026】
シム11は、外形が略矩形状に形成される。より正確には、一対の平行な長辺部の一方が外側に突出する凸状円弧21で形成され、他方が内側に凹む凹状円弧23で形成される。これら凸状円弧21及び凹状円弧23の中心は、鉄道車両用ブレーキ装置に用いられるディスクロータ(図示略)の中心と一致する。なお、シム11の外形状は、これに限定されない。シム11は、後述するシム係止孔以外の加工形状は自由とすることができる。
【0027】
シム11は、裏板19に設けられたアンカプレート25の蟻ほぞ状の固定部27が嵌め込まれるシム係止孔29を有する。シム係止孔29は、シム11の長手方向に長い略矩形穴で形成される。なお、シム係止孔29は、四隅の任意箇所が、固定部27の外形状に倣った面取り部31(図2の(a)参照)として形成されてもよい。
【0028】
シム11のシム係止孔29は、係止部33と、挿入部35と、を備える。
係止部33は、固定部27の蟻ほぞ根元部37の幅W1(図3の(b)参照)より広く、且つ固定部27の幅広部39の幅W2(図3の(b)参照)より狭い開口幅H1(図2の(a)参照)を有する。係止部33は、シム係止孔29における固定部27の蟻ほぞ挿入方向(図1の矢印X方向)に沿う一部分に形成される。本実施の形態では、後述するように、係止部33は、蟻ほぞ挿入方向Xに沿う両端側に形成される。
【0029】
挿入部35は、固定部27の幅広部39の幅W2より広い開口幅H2(図2の(a)参照)を有してシム係止孔29の蟻ほぞ挿入方向Xに沿う他の部分に形成される。本実施の形態では、後述するように、挿入部35は、蟻ほぞ挿入方向Xに沿う中央側に形成される。
【0030】
図2の(a)は図1に示したシム11の平面図、図2の(b)は図1に示した摩擦パッド13の平面図、図2の(c)は図1に示したディスクブレーキ用パッド組立体15の平面図である。
本実施形態において、シム11の係止部33は、シム係止孔29の蟻ほぞ挿入方向Xに沿う両端側に形成される。また、シム11の挿入部35は、シム係止孔29の蟻ほぞ挿入方向Xに沿う中央側に形成されている。つまり、シム係止孔29は、挿入部35の両側が係止部33となっている。
【0031】
シム係止孔29の蟻ほぞ挿入方向Xに沿う中央部には、一対の固定用爪部41が設けられている。一対の固定用爪部41は、二分割された裏板19の突合せ面43(図1の(b)参照)における固定部27の幅方向両端部に形成された面取り部45にそれぞれ係合する。一対の固定用爪部41は、図2の(c)に示すように、面取り部45に係合することにより、二分割された裏板19の双方を蟻ほぞ挿入方向Xに移動規制して位置決めする。
【0032】
図3の(a)は図2の(c)におけるA-A断面図、図3の(b)は図2の(c)におけるB-B断面図である。
シム11は、一対の固定用爪部41が、固定部27を保持するキャリパホルダ47(図6の(a)参照)の蟻溝状の保持部49に内側から外側へ向けて係止される。これにより、シム11は、シム係止孔29の中央が広がる方向へ変形するのを抑止される。
【0033】
ところで、本実施形態では、2枚の裏板19に対し、1枚のシム11が組み付けられる。ここで、2枚の裏板19及びライニング17は、1セットの摩擦パッド13,13を構成する。つまり、シム11は、1セットの摩擦パッド13,13における2個分の固定部27を囲うように組み付けられる。2個の摩擦パッド13は、突合せ面43を境に、裏板19、アンカプレート25、固定部27、及びライニング17が、左右対称形状で形成される。なお、2個の摩擦パッド13は、左右対称形状である以外は同一の構成を有するので、本明細書中では同一符号を付して説明する。
【0034】
図4の(a)は裏板19の斜視図、図4の(b)は裏板19にライニング17が固着された摩擦パッド13の斜視図である。
裏板19は、プレス加工により一体に形成される。裏板19は、図4の(a)に示すように、アンカプレート25の一対の平行な長辺部の一方に、蟻ほぞ根元部37を介して凸状円弧片部51が張り出して形成される。裏板19は、アンカプレート25の一対の平行な長辺部の他方に、蟻ほぞ根元部37を介して凹状円弧片部53が張り出して形成される。また、アンカプレート25の突き合わせ側と反対側の一方の短辺部には、小片部55が張り出して形成される。これら凸状円弧片部51、凹状円弧片部53、及び小片部55は、図4の(b)に示すように、アンカプレート側の面のみを表出させて、固着されるライニング17に埋入される。これにより、裏板19にライニング17が固着した摩擦パッド13が形成される。
【0035】
ライニング17は、例えば樹脂に摩擦材を混入して重合することができる。この他、ライニング17は、裏板19の表面に金属粉などの摩擦材が焼結されてもよい。裏板19は、アンカプレート25、凸状円弧片部51、凹状円弧片部53、及び小片部55に、複数の固着孔57が穿設される。固着孔57は、四角形に形成され、各辺にライニング17に埋入する折返片59(図4の(a)参照)が形成される。裏板19は、この固着孔57にライニング17が侵入して固化することにより、折返片59が埋入されて、固定強度が高められている。
【0036】
次に、本実施形態に係るシム取付方法を説明する。
図5の(a)は一方の摩擦パッド13が取り付け途中のシム11の斜視図、図5の(b)は他方の摩擦パッド13が取り付け途中の斜視図である。
本実施形態に係るシム取付方法は、シム11を、蟻ほぞ挿入方向Xに沿って撓ませた状態で、二分割された裏板19における固定部27が挿入部35から係止部33にそれぞれ挿入されることで、1セット(2個)の摩擦パッド13,13がシム係止孔29に嵌め込まれる。
【0037】
シム取付方法の手順としては、先ず、図5の(a)に示すように、シム11を幅広部39で蟻ほぞ挿入方向Xに沿って撓ませ、この幅広部39から片側の係止部33へ一方の摩擦パッド13を挿入する。挿入された一方の摩擦パッド13は、固定部27の蟻ほぞ根元部37が係止部33に係合して、シム係止孔29の蟻ほぞ挿入方向Xの一方側に装着される。
次いで、図5の(b)に示すように、摩擦パッド13が装着されていない側のシム11を、他方の摩擦パッド13に押し付け、シム11を蟻ほぞ挿入方向Xに沿って撓ませながら上記と同様に、幅広部39からもう片方の係止部33へ他方の摩擦パッド13を挿入する。挿入された他方の摩擦パッド13は、固定部27の蟻ほぞ根元部37が係止部33に係合して、シム係止孔29の蟻ほぞ挿入方向Xの他方側に装着される。これにより、1セットの摩擦パッド13,13のシム11への取り付けが完了する。
【0038】
図6の(a)はキャリパホルダ47に取り付け途中のディスクブレーキ用パッド組立体15の斜視図、図6の(b)は図6の(a)に示したディスクブレーキ用パッド組立体15をライニング側から見た斜視図である。
【0039】
ディスクブレーキ用パッド組立体15は、シム11が、2枚の裏板19の裏面に取り付けられて構成される。つまり、ディスクブレーキ用パッド組立体15は、二分割タイプの摩擦パッド1セットに対し、1枚のシム11が取り付けられて構成される。
なお、ディスクブレーキ用パッド組立体15は、単体の摩擦パッドに対し、1枚のシム11が取り付けられて構成されてもよい。
【0040】
次に、上記した実施形態の変形例を説明する。
図7の(a)はグリス保持用穴61が穿設された変形例に係るシム63の平面図、図7の(b)は摩擦パッド13の平面図、図7の(c)は変形例に係るシム63が摩擦パッド13に取り付けられたディスクブレーキ用パッド組立体65の平面図である。
【0041】
シム63は、裏板19の裏面が対向する部分に、グリスを溜めるための複数のグリス保持用穴61が設けられている。
グリス保持用穴61は、シム係止孔29の蟻ほぞ挿入方向Xに沿って延びる穴(矩形穴)として形成することができる。
【0042】
次に、上記した実施形態に係る構成の作用を説明する。
本実施形態に係るシム11では、シム係止孔29が、係止部33と、挿入部35とを備える。シム11は、裏板19に設けられたアンカプレート25の蟻ほぞ状の固定部27が、シム係止孔29に嵌め込まれて裏板19に固定される。この際、固定部27は、シム係止孔29の挿入部35に、シム11の板厚方向から挿入が可能となる。即ち、挿入部35は、固定部27の幅広部39の幅W2よりも広い開口幅H2を有している。
【0043】
シム11の板厚方向からシム係止孔29の挿入部35に挿入された固定部27は、シム11の板面と平行な方向に移動されて、シム係止孔29の係止部33に達すると、係止部33に蟻ほぞ根元部37が係止される。シム係止孔29を貫通した蟻ほぞ状の固定部27は、シム係止孔29の一対の平行な突出縁部からなる係止部33が固定部27の一対の蟻ほぞ根元部37に入り込む。これにより、固定部27は、シム11の板面に垂直な方向の抜けが、係止部33により規制されて脱落しなくなる。このようにして裏板19に装着されたシム11は、制動時の鳴きやライニング17の偏摩耗防止、或いは断熱に寄与する。
【0044】
シム11は、例えば一般的な薄板のSUS材により形成される。このため、シム11は、工具等を使用せずに、板面の表裏方向へ弾性限度範囲で撓みが可能となる。そのため、アンカプレート25の蟻ほぞ状の固定部27は、蟻ほぞ挿入方向(装着方向)の寸法よりも短い挿入部35が形成されたシム係止孔29に対しても、シム11を撓めることにより、係止部33への蟻ほぞ挿入が可能となる。シム11は、固定部27が係止部33に係止された後、平板状に弾性復帰すると、挿入部35が固定部27の装着方向の寸法よりも短いため、固定部27が挿入部35から離脱不能となる。シム11は、裏板19とキャリパホルダ47との間に挟持されて組み付けられると、平板状に保持されるので、再び撓むことによる固定部27の離脱が生じなくなる。
【0045】
これにより、シム11は、塑性変形を必要とせずに、蟻ほぞ根元部37に、シム係止孔29の係止部33を係止して高精度に組み付けできる。
【0046】
また、本実施形態のシム11では、シム係止孔29の蟻ほぞ挿入方向Xに沿う両端側に、係止部33が形成される。この両端側の係止部33に挟まれるシム係止孔29の中央側には、挿入部35が形成される。つまり、シム係止孔29は、蟻ほぞ挿入方向Xに沿う両端側が固定部27の幅広部39よりも狭い開口幅H1となり、中央側が固定部27の幅広部39よりも広い開口幅H2となっている。これにより、二分割された裏板19に設けられたアンカプレート25の固定部27は、それぞれシム係止孔29の中央側の挿入部35に挿入された後、両端側の何れか一方に移動(板面と平行にスライド)されることで、固定部27の蟻ほぞ根元部37が、それぞれ係止部33に係止されてシム係止孔29からの抜けが規制される。
【0047】
また、本実施形態のシム11では、2枚の裏板19に対し、1枚のシム11が組み付けられる。ここで、2枚の裏板19及びライニング17は、1セットの摩擦パッド13,13を構成する。つまり、シム11は、1セットの摩擦パッド13,13における2個分の固定部27を囲うように組み付けられる。シム11は、1セットの摩擦パッド13のホルダ装着部(即ち、2つの固定部27)がそのままキャリパホルダ47へ装着されることで、1セットの摩擦パッド13,13とキャリパホルダ47とに挟まれて固定される。
【0048】
二分割された1セットの摩擦パッド13,13は、それぞれの裏板19の突合せ面43に、固定部27の幅方向両端部に面取り部45が形成される。1セット(2個)の摩擦パッド13,13は、シム係止孔29の中央部において、一対の裏板19の突合せ面43同士が突き合わされる。そのため、固定部27の幅方向両端部には、それぞれ一対の面取り部45が接続した二等辺三角形の小空間が形成される。シム係止孔29の中央部に形成された一対の固定用爪部41は、この小空間のそれぞれに係合する。これにより、2個で1セットの摩擦パッド13,13は、面取り部45が固定用爪部41に当接することで、シム11に対する蟻ほぞ挿入方向Xの移動が規制されて、同方向の位置決めがなされる。
【0049】
また、本実施形態のシム11では、一対の固定用爪部41が、シム係止孔29の中央部において対向する一対の孔縁部からそれぞれシム係止孔29の外側に曲がって形成される。シム係止孔29の外側に曲がった固定用爪部41は、90度より小さい角度θ(図3の(a)参照)の入隅で孔縁部と交わる。この入隅は、固定部27の蟻ほぞ根元部37にほぼ沿って、キャリパホルダ47の保持部49が係止する蟻ほぞ係止面となる。従って、蟻ほぞ状の固定部27がキャリパホルダ47の蟻溝状の保持部49に挿入れて係止されると、一対の固定用爪部41も保持部49に係止される。シム11は、一対の固定用爪部41が保持部49に係止されることにより、固定部27の幅方向に広がろうとするシム係止孔29の変形が規制される。これにより、シム11は、制動時における想定外の荷重に対しても拡幅変形しないよう対応がなされる。
【0050】
また、本実施形態の変形例に係るシム63によれば、裏板19の裏面と対向する部分に、複数のグリス保持用穴61が設けられる。グリス保持用穴61は、グリスが充填されることにより、保持したグリスをキャリパホルダ47と裏板19との間に、微量ずつ供給する。供給されたグリスは、制動時の鳴きやライニング17の偏摩耗防止、或いは断熱に寄与可能となる。
【0051】
更に、このシム63では、グリス保持用穴61が、蟻ほぞ挿入方向Xに沿って延びる穴(矩形穴)で形成される。これにより、シム63は、グリス保持用穴61が蟻ほぞ挿入方向Xに対して直交方向に長い場合に比べ、蟻ほぞ挿入方向Xにおけるキャリパホルダ組付時のグリス保持性を良好にできる。
【0052】
本実施形態に係るシム取付方法によれば、二分割タイプの摩擦パッドでは、摩擦パッド1セットに対し、1枚のシム11(63)が取り付けられる。1枚のシム11(63)が取り付けられた二分割タイプ1セットの摩擦パッド13,13は、ディスクブレーキ用パッド組立体15(65)を構成する。ディスクブレーキ用パッド組立体15(65)は、連続する2つの固定部27の一方から、蟻溝状に形成されたキャリパホルダ47の保持部49に挿入されて組み付けられる。シム11(63)は、2個の摩擦パッド13の固定部27が保持部49に係合することで、2個の摩擦パッド13とキャリパホルダ47とに挟持されて取り付けられる。
【0053】
また、本実施形態に係るディスクブレーキ用パッド組立体15(65)では、シム11(63)が一対の裏板19の固定部27を囲うように組み付けられる。二分割タイプの摩擦パッド13,13では、摩擦パッド1セットに対し、1枚のシム11が取り付けられる。つまり、二分割タイプの摩擦パッド1セットが、シム11(63)によりサブアッセンブリされたディスクブレーキ用パッド組立体15(65)となる。
【0054】
このディスクブレーキ用パッド組立体15(65)は、キャリパホルダ47の下端と地面との間隔が、摩擦パッド1セット分の長さより小さい場合であっても、キャリパホルダ47から取り外すことができる。それは、ディスクブレーキ用パッド組立体15(65)は、キャリパホルダ47の下端から下側の摩擦パッド13が真下に引き抜かれた後、シム11(63)を蟻ほぞ挿入方向Xに沿って撓めることにより、この下側の摩擦パッド13をシム11(63)から脱着することが可能となる。上側の摩擦パッド13は、下側の摩擦パッド13が外された後のシム係止孔29に移動することにより、下側の摩擦パッド13と同様にキャリパホルダ47から取り外すことが可能となるからである。
【0055】
また、ディスクブレーキ用パッド組立体15(65)の取付作業は、上記の取り外し作業と逆手順にて同様に容易に行うことができる。
【0056】
従って、本実施形態に係るシム11,63によれば、ディスクブレーキ用パッド組立体15,65を組み付けた時に弾性変形させることで、裏板19に高精度に組み付けできる。
本実施形態に係るシム取付方法によれば、治具や工具を使用せずに、高精度に、且つ短時間の作業で裏板19にシム11,63を組み付けできる。
【0057】
本実施形態に係るディスクブレーキ用パッド組立体15(65)によれば、シム11(63)が裏板19の固定部27を囲って組み付けられるので、キャリパホルダ装着状態においてはシム11(63)が破断しない限りシム11(63)の落失が発生しない。また、キャリパホルダ47の下端と、地面との間隔が、摩擦パッド1セット分の長さよりも小さい場合であっても、キャリパホルダ47から摩擦パッド13,13を容易に取り外すことができる。
【0058】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0059】
ここで、上述した本発明に係るシム及びシム取付方法、並びにディスクブレーキ用パッド組立体の実施形態の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
[1] 表面にライニング(17)が成型された裏板(19)の裏面に取り付けられるシムであって、
前記裏板(19)に設けられたアンカプレート(25)の蟻ほぞ状の固定部(27)が嵌め込まれるシム係止孔(29)は、
前記固定部(27)の蟻ほぞ根元部(37)の幅(W1)より広く、且つ前記固定部(27)の幅広部(39)の幅(W2)より狭い開口幅(H1)を有して前記シム係止孔(29)における前記固定部(27)の蟻ほぞ挿入方向(X)に沿う一部分に形成された係止部(33)と、
前記固定部(27)の幅広部(39)の幅(W2)より広い開口幅(H2)を有して前記シム係止孔(29)の前記蟻ほぞ挿入方向(X)に沿う他の部分に形成された挿入部(35)と、
を備えることを特徴とするシム(11,63)。
[2] 前記係止部(33)が、前記シム係止孔(29)の前記蟻ほぞ挿入方向(X)に沿う両端側に形成され、
前記挿入部(35)が、前記シム係止孔(29)の前記蟻ほぞ挿入方向(X)に沿う中央側に形成されていることを特徴とする上記[1]に記載のシム(11,63)。
[3] 前記シム係止孔(29)の前記蟻ほぞ挿入方向(X)に沿う中央部には、二分割された前記裏板(19)の突合せ面(43)における前記固定部(27)の幅方向両端部に形成された面取り部(45)にそれぞれ係合して前記蟻ほぞ挿入方向(X)の位置決めをするための一対の固定用爪部(41)が設けられていることを特徴とする上記[2]に記載のシム(11,63)。
[4] 前記固定用爪部(41)が前記固定部(27)を保持するキャリパホルダ(47)の蟻溝状の保持部(49)に係止されることによって、前記シム係止孔(29)の中央が広がる方向へ変形するのを抑止されることを特徴とする上記[3]に記載のシム(11,63)。
[5] 前記シム(63)は、前記裏板(19)の裏面が対向する部分に、グリスを溜めるための複数のグリス保持用穴(61)が設けられていることを特徴とする上記[1]~[4]の何れか1つに記載のシム(63)。
[6] 前記グリス保持用穴(61)は、前記シム係止孔(29)の前記蟻ほぞ挿入方向(X)に沿って延びる穴であることを特徴とする上記[5]に記載のシム(63)。
[7] 上記[2]~[4]の何れか1つに記載の前記シム(11,63)は、前記蟻ほぞ挿入方向(X)に沿って撓ませられた状態で、二分割された前記裏板(19)における前記固定部(27)が前記挿入部(35)から前記係止部(33)にそれぞれ挿入されることにより前記シム係止孔(29)に嵌め込まれることを特徴とするシム取付方法。
[8] 上記[1]~[6]の何れか1つに記載の前記シム(11,63)が、前記裏板(19)の裏面に取り付けられていることを特徴とするディスクブレーキ用パッド組立体(15,65)。
【符号の説明】
【0060】
11…シム
15…ディスクブレーキ用パッド組立体
17…ライニング
19…裏板
25…アンカプレート
27…固定部
29…シム係止孔
33…係止部
35…挿入部
37…蟻ほぞ根元部
39…幅広部
41…固定用爪部
43…突合せ面
45…面取り部
47…キャリパホルダ
49…保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7