(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】シート積載装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/36 20060101AFI20221101BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B65H31/36
B41J29/38
(21)【出願番号】P 2018229529
(22)【出願日】2018-12-07
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 守
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-76912(JP,A)
【文献】特開2012-96869(JP,A)
【文献】特開2018-70329(JP,A)
【文献】特開2008-13340(JP,A)
【文献】特開2015-30610(JP,A)
【文献】特開2015-16970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00 - 31/40
B41J 29/00 - 29/70
B65H 37/00 - 37/06
41/00
45/00 - 47/00
B65H 29/00 - 29/10
29/26 - 29/30
29/34 - 29/51
G04D 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置で画像形成されたシートを積載するシート積載装置において、
前記画像形成装置から受け取ったシートを載置する載置手段と、
前記載置手段に載置されたシートの端部を規制可能な規制手段と、
前記載置手段の上方に昇降自在に配置され、前記載置手段に載置されたシートの上面に当接して、前記シートの端部が前記規制手段に突き当たるように前記シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の昇降方向の位置を調整可能な調整手段と、
前記載置手段に載置されたシートを排出する排出手段と、
前記排出手段により排出されたシートが積載される積載手段と、を備え、
前記調整手段は、シートが前記載置手段に載置されることを待機している状態で、前記画像形成装置から受け取ったシートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率の場合に比べて、受け取ったシートに形成された画像の画像比率が前記第1の画像比率よりも大きい第2の画像比率の場合の方が、前記搬送手段の昇降方向の位置を前記載置手段から離れた位置とする、
ことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記画像形成装置から受け取ったシートを前記載置手段に向けて排出する別の排出手段を備え、
前記搬送手段は、シートを前記別の排出手段による搬送方向と逆方向に搬送する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記別の排出手段によるシートの搬送方向に関して前記搬送手段の下流側に設けられ、前記載置手段に載置されたシートを前記規制手段に向けて搬送する別の搬送手段を備え、
前記搬送手段は、前記別の搬送手段によりシートが搬送されている間は、前記載置手段から離れた待機位置に位置し、
前記調整手段は、シートに形成された画像の画像比率が前記第1の画像比率の場合に前記待機位置を第1の高さ位置とし、シートに形成された画像の画像比率が前記第2の画像比率の場合に前記待機位置を前記第1の高さ位置よりも前記載置手段から離れた第2の高さ位置とする、
ことを特徴とする、請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記載置手段に複数のシートを載置してシート束とする処理を含む画像形成ジョブを実行する場合において、
前記調整手段は、
装置の起動時又は前記画像形成装置から1枚目のシートを受け取る前は、前記搬送手段の昇降方向の位置を所定の位置とする、
ことを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載のシート積載装置。
【請求項5】
シートに形成された画像の画像比率が前記第1の画像比率の場合の前記搬送手段の昇降方向の位置は、前記所定の位置である、
ことを特徴とする、請求項4に記載のシート積載装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置と、
前記画像形成装置で画像形成されたシートを積載する、請求項1ないし5の何れか1項に記載のシート積載装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置で画像形成されたシートを積載するシート積載装置、及び、画像形成装置及びシート積載装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート積載装置として、処理トレイ上に画像形成されたシートを排出し、排出されたシートに掻き込みベルトを当接させ、更に規制部材に向けてシートを搬送してシートの端部を整合させる構成が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の構成の場合、掻き込みベルトは、ホームポジションでシートが処理トレイに載置されることを待機している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように掻き込みベルトなどのシートを搬送する搬送手段がホームポジションでシートが処理トレイ(載置手段)に載置されることを待機する構成の場合、シートに形成された画像の画像比率が高いと、シートがカールして待機中の搬送手段にシートが接触し、シート上の画像に傷をつけてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、載置手段に載置されるシートの画像比率が高くても画像に傷をつけることを抑制できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、画像形成装置で画像形成されたシートを積載するシート積載装置において、前記画像形成装置から受け取ったシートを載置する載置手段と、前記載置手段に載置されたシートの端部を規制可能な規制手段と、前記載置手段の上方に昇降自在に配置され、前記載置手段に載置されたシートの上面に当接して、前記シートの端部が前記規制手段に突き当たるように前記シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段の昇降方向の位置を調整可能な調整手段と、前記載置手段に載置されたシートを排出する排出手段と、前記排出手段により排出されたシートが積載される積載手段と、を備え、前記調整手段は、シートが前記載置手段に載置されることを待機している状態で、前記画像形成装置から受け取ったシートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率の場合に比べて、受け取ったシートに形成された画像の画像比率が前記第1の画像比率よりも大きい第2の画像比率の場合の方が、前記搬送手段の昇降方向の位置を前記載置手段から離れた位置とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、載置手段に載置されるシートの画像比率が高くても画像に傷をつけることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
【
図2】第1の実施形態に係るシート処理装置の概略構成断面図。
【
図3】第1の実施形態に係る画像形成システムの制御ブロック図。
【
図4】第1の実施形態に係る排出ローラとローレットベルトの駆動構成を示す斜視図。
【
図5】第1の実施形態に係るパドルとローレットベルトの位置を示す図で、(a)ホームポジションを、(b)ローレットベルトを下降させた状態を、それぞれ示す図。
【
図6】第1の実施形態に係るパドルとローレットベルトの位置を示す図で、(a)待機位置を、(b)パドルを下降させた状態を、それぞれ示す図。
【
図7】第1の実施形態に係るパドルとローレットベルトの位置を示す図で、(a)ローレットベルトを下降させた状態を、(b)ローレットベルトを若干上昇させた状態を、それぞれ示す図。
【
図8】第1の実施形態に係るパドルとローレットベルトの位置を示す図で、(a)ローレットベルトを、再度、下降させた状態を、(b)ローレットベルトを若干上昇させた状態を、それぞれ示す図。
【
図9】(a)第1の実施形態に係るローレットベルトの動作を説明する表、(b)(a)の各番号におけるローレットベルトの高さ位置を示すグラフ。
【
図10】シートを待機している状態のローレットベルトの位置を示す図で、シートの画像比率が、(a)低Dutyの場合を、(b)高Dutyの場合でローレットベルトの位置が(a)と同じ場合を、(c)高Dutyの場合でローレットベルトの位置が(a)よりも高い場合を、それぞれ示す図。
【
図11】シートの画像比率が、(a)低Dutyの場合の、(b)高Dutyの場合の、それぞれシートの掻き込み時の状態を示す図。
【
図12】第1の実施形態に係るシート受け入れ時のパドル及びローレットベルトの動作を示すフローチャート。
【
図13】第2の実施形態に係るシート受け入れ時のパドル及びローレットベルトの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、
図1ないし
図12を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成システムの概略構成について、
図1を用いて説明する。
【0010】
[画像形成システム]
図1は、本実施形態に係る画像形成システム100の全体構成を概略的に示している。同図に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置101と、これに併設されるシート処理装置102とから構成される。画像形成装置101は、給送ユニット10と、画像形成ユニット20と、画像読取ユニット30とで構成される。シート処理装置102は、中継搬送ユニット60と後処理ユニット70とで構成される。
【0011】
[画像形成装置]
まず、画像形成装置101について説明する。画像形成装置101の給送ユニット10は、画像形成装置101の下部に設けられており、それぞれ異なるサイズの画像形成用シートを収納する複数のカセット機構10a,10b,10c,10d及び大容量カセット10eで構成され、例えば、ユーザなどの操作者が入力部86(
図3)により指定したサイズのシートを給送経路P1に繰り出す。また、給送ユニット10は、手差しトレイ10fも含む。各カセット機構10a,10b,10c,10dは、装置ハウジング1から着脱可能に設置され、それぞれ内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給送機構とが内蔵されている。
【0012】
給送経路P1には、大容量カセット10eと、手差しトレイ10fとが接続されている。この大容量カセット10eと手差しトレイ10fとは、装置ハウジング1の一方側の側方(
図1における右側)に設けられており、装置ハウジング1には各々に対応するシート供給口(給送開口)16,17が設けられている。大容量カセット10eは、大量に消費するサイズのシートを収納するオプションユニットで構成される。手差しトレイ10fは、分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシートなどの特殊シートを供給可能なように構成される。つまり、本実施形態において用いられるシートには、印刷用の普通紙以外の種々のシート材が含まれる。シート材の例としては、薄紙及び厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シートのようなプラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材が挙げられる。
【0013】
給送経路P1には、各カセット機構10a,10b,10c,10dおよび大容量カセット10eから給送経路P1a,P1b,P1eを経由して供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラ対11と、レジストレーションローラ対12とが設けられている。レジストレーションローラ対12は、給送経路P1の終端部に設けられ、シート先端(搬送方向の下流端)に当接することでシートの斜行を補正した後、画像形成ユニット20へ向けてシートを送り出す。また、手差しトレイ10fから供給されるシートは、給送経路P1fを経由してレジストレーションローラ対12に送られる。
【0014】
なお、各カセット機構10a,10b,10c,10dおよび大容量カセット10eにはそれぞれ給送機構の例であるピックアップローラ13と分離機構の例である搬送ローラ対14とが設けられており、これらによってシートを1枚ずつ給送経路P1に供給する。装置ハウジング1内で手差しトレイ10fのシート供給口17の近傍には、搬送ローラ対15が設けられており、ユーザによって手差し供給されたシートをレジストレーションローラ対12に向けて搬送する。
【0015】
画像形成ユニット20は、カセット機構10aの上方で、搬送パスP2上に設けられており、例えばインクジェット方式の印刷ヘッドを有する画像形成部21を備えている。画像形成部21は搬送パスP2を挟んで搬送ベルト22と対向する位置に設けられている。画像形成部21は搬送パスP2に沿って搬送ベルト22に支持されて搬送されるシートにインクなどの液体を噴射することによりシートに液体を付着させて印刷する。本実施形態の画像形成部21は、シートの搬送方向と交差する方向(特に、搬送方向に直交する幅方向)の所定範囲に亘ってインクを同時に噴射可能なラインヘッドで構成されている。
【0016】
なお、本開示の画像形成部はインクジェット方式に限定されることはなく、例えば回転する感光ドラムと、その周囲に配置された、レーザ発光器やLED発光器などの発光器、現像器、クリーナーとを備えた電子写真ユニットとしてもよい。その場合、感光ドラムに発光器で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器を用いてトナーを付着させる。この感光ドラムに画像形成するタイミングに合わせて、搬送パスP2にシートを搬送し、転写チャージャーで感光ドラムから該シート上にトナー像を転写する。転写チャージャーのシート搬送方向下流側に配置されている定着ローラは、シートに転写されたトナー像に対して、ハロゲンヒータ等の熱源が発する熱を加えてトナーを溶融させる。その後、温度低下に伴ってトナーがシートに固着することにより、シートに定着した画像が得られる。
【0017】
画像形成ユニット20によって画像形成処理が施されたシートは、シート反転パスP3か、第1排出部40aに排出するための搬送パスP4か、中継搬送ユニット60に搬送するための搬送パスP5に搬送される。経路切換部23は、シートの搬送先に応じて不図示の切換部材が移動し、シートを搬送パス(P3,P4,P5)のいずれかに案内する。
【0018】
シート反転パスP3は、シートの表裏を反転させるための搬送パスで、両面印刷の際に使用したり、片面印刷でも、フェイスダウン(シートの印刷面を下に向けた状態)で後述する後処理ユニット70に搬送したりする場合に用いる。
【0019】
搬送パスP4はシートを第1排出部40aに排出するための搬送パスである。シートを第1排出部40aに排出する場合は、経路切換部23により搬送パスP2から搬送パスP4にシートが受け渡され、シートの印刷面(両面印刷の場合は2回目に印刷した面)が下方を向いたフェイスダウンの状態でシートがシート載置面(載置部)41に排出される。搬送パスP4は、略水平の搬送パスP2から経路切換部23を起点に上方に湾曲(円弧を描くように)しており、湾曲部の終端から装置ハウジング1に設けられたシート排出口24に向かうように形成されている。
【0020】
シートが中継搬送ユニット60に搬送される場合は、経路切換部23による経路の切り替えは行わず、シートは搬送パスP2に沿ってストレートに搬送される。なお、シートを中継搬送ユニット60に搬送する際に、フェイスアップ(シートの印刷面を上に向けた状態)で搬送する場合はシート反転パスP3による反転処理は行わずに、フェイスダウンで搬送する場合はシート反転パスP3を用いてシートの表裏を反転してから搬送する。
【0021】
画像読取ユニット30は、第1排出部40aおよび搬送パスP4の上部に設けられており、原稿の画像を読み取る画像読取部33と、給送される原稿を載置する原稿給送トレイ31と画像読取部33で読取済みの原稿が排出される原稿排出トレイ32とで構成される。画像読取ユニット30は画像読取部33で読み取った原稿画像を画像データに光電変換して、電気信号として画像形成ユニットへ出力する。なお、原稿を載置するプラテンと、プラテンに沿って往復動するキャリッジと、キャリッジに設けられた画像読取部33とを用いて原稿の画像を読み取ってもよい。
【0022】
[シート処理装置]
次に、シート処理装置102について説明する。シート処理装置102の中継搬送ユニット60は、画像形成ユニット20で画像形成処理されたシートを後処理ユニット70に搬送するためのユニットで、経路切換部61を有している。経路切換部61は、シートを後処理ユニット70の積載手段としてのスタックトレイ171に排出するための搬送パスP5と、シートを後処理ユニット70のユニットハウジング71上面のシート載置面71aに排出するための搬送パスP6と、で搬送パスを切り替える。搬送パスP5を通過するシートは排出ローラ62によって後処理ユニット70に向けて排出され、搬送パスP6を通過するシートは排出ローラ63によって後処理ユニット70のシート載置面71aに向けて排出される。後処理ユニット70のシート載置面71aは画像形成システム100の第2排出部40bを構成し、スタックトレイ171は画像形成システム100の第3排出部40cを構成する。
【0023】
シート処理装置102のシート排出先をスタックトレイ171とシート載置面71aとのどちらにするかは、シートに対して綴じ処理等の後処理を行うか否かで切り替える。本実施形態では、シート載置面71aに対してシートをストレートに排出するため、シートをフェイスダウンで排出したい場合は第1排出部40aに、フェイスアップで排出したい場合は第2排出部40bに排出するようにモード分けしてもよい。なお、搬送パスP6に設けられた排出ローラ63がシート搬送方向と直交する幅方向に移動可能に構成された場合は、第2排出部40bではシートを幅方向にシフトさせることでジョグ排出をすることができる。
【0024】
後処理ユニット70は、中継搬送ユニット60から受け取ったシートに対して綴じ処理等の後処理を施すユニットである。本実施形態の後処理ユニットは、搬送された複数のシートを部揃え集積してシート束を形成し、そのシート束に対して綴じ処理をするシート綴じ処理機構が搭載されている。
【0025】
なお、本実施形態では、画像形成装置101と後処理ユニット70との間に中継搬送ユニット60が介在する構成を説明するが、後処理ユニット70を画像形成装置101に直接連結してもよい。つまり、後処理ユニット70は、中継搬送ユニット60を組み合わされていない単独のユニットでも処理装置として機能する。また、後処理ユニット70は、シートに後処理を施す機能を有するか否かに関わらず、画像形成装置等から受け取ったシートを積載するシート積載装置の例でもある。
【0026】
図2を用いて、シート積載装置としての後処理ユニット70の構成を説明する。後処理ユニット70はユニットハウジング71内に、シート供給口72、搬送パスP5、排出ローラ73a、73b、載置手段としての処理トレイ74、シート搬入部材(75a、75b)、ステープル綴じ処理部76、規制手段としてのシート端規制部材77、幅方向端部規制手段としての幅整合部材79、および、排出手段としての束排出部材78が格納され、シート供給口72の反対側に上下動可能なスタックトレイ171が設けられている。なお、排出ローラ73bが別の排出手段に相当する。
【0027】
シート搬入部材は、別の搬送手段としてのパドル75aと、搬送手段としてのローレットベルト75bとで構成され、処理トレイ74上のシート後端(排出ローラ73bにより搬送されるシートの搬送方向上流端)をシート端規制部材77に突き当てる方向にシートを搬送するための部材である。即ち、中継搬送ユニット60及びシート供給口72を介して画像形成装置101から受け取ったシートは、排出ローラ73a、73bにより搬送され、処理トレイ74に載置される。この際、パドル75a及びローレットベルト75bにより、排出ローラ73bによる搬送方向と逆方向にシートを搬送し、シートの端部をシート端規制部材77に突き当てる。シート端規制部材77は、後述する束排出部材78によりシートの排出方向に関して、処理トレイ74の上流端部に位置し、処理トレイ74に載置されたシートの上流端部を規制可能である。パドル75aおよびローレットベルト75bはそれぞれシートから離間した退避位置とシートに接触して回転する作動位置との間で移動可能に構成され、作動位置において
図2における反時計回り方向に回転することでシートを搬送する。
【0028】
幅整合部材79は、後処理ユニット70におけるシート幅方向(束排出部材78によるシートの排出方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向))にそれぞれの移動可能な一対の整合部材で構成され、シート幅方向に関して、処理トレイ74に載置されたシートの端部位置を規制する。幅整合部材79は、シートの側端(シート幅方向の端縁)から離間した退避位置と、シート幅方向に関してシートを整合する際の目標位置(整合位置)に対応する作動位置との間で移動可能に構成される。幅整合部材79は、少なくとも一方の整合部材が、シートの側端に接触しながら退避位置から作動位置に移動することで、処理トレイ74に排出されたシートを整合位置に整合させる。なお、必ずしも両側の整合部材が移動する必要はなく、いずれか一方の整合部材は後処理ユニット70の枠体に対して固定の規制部材で、他方の整合部材のみが移動して固定の規制部材に対してシート幅方向の整合動作を行うようにしてもよい。また、他方の整合部材はシート幅方向の端縁に接触して移動する必要はなく、シート上面に接触してシート幅方向に移動可能な部材や、シート幅方向にシートを搬送するローラ部材を設けることでシート幅整合動作は可能である。
【0029】
ステープル綴じ処理部76は、処理トレイ74上でシート搬送方向およびシート幅方向において整合・集積されたシート束に対して綴じ処理を行うものである。ステープル綴じ処理部76はシート幅方向において移動可能に構成され、シート束のコーナ部やシート端規制部材77に接触するシート端縁の所望の位置に綴じ処理が可能である。なお、本実施形態ではステープル針を用いた針綴じ機構を採用しているが、ステープル針を用いない針無し綴じ機構を採用してもよく、針綴じ機構と針無し綴じ機構とをそれぞれ後処理ユニット70のフロント側(画像形成システム100の正面側、
図1の手前側)とリア側(
図1の奥側)にそれぞれ設けて、ユーザの設定に応じて針綴じと針無し綴じとを切り替えるようにしてもよい。
【0030】
束排出部材78はシート束の後端縁を押し出すことで処理トレイ74上のシート束をスタックトレイ171に排出する。束排出部材78は、シート束が形成されるまでは処理トレイ74の下方に退避しており、処理トレイ74上でシート束が形成された後に(綴じ処理を行う場合は綴じ処理を行った後)ガイド部材78aに沿って移動することでシート束の後端縁に接触して、シート束をスタックトレイ171に向けて押し出すように構成されている。なお、束排出部材78は、上述のようにステープル処理されたシート束以外に、ステープル処理されていないシート束も排出可能である。
【0031】
なお、ここまで記載した排出ローラ73a、73b、処理トレイ74、シート搬入部材(75a、75b)、ステープル綴じ処理部76、シート端規制部材77、幅整合部材79、および束排出部材78の構成の詳細は、例えば特開2015-16970号公報等に記載されており、針綴じのみならず、針無し綴じやパンチ(穴あけ)、折り処理等のさまざまな後処理ユニットを適用することが可能である。また、綴じ処理を行わずにシートをシート幅方向にシフトしてスタックトレイ171に排出することもでき、これも後処理に含めることができる。シートを幅方向にシフトさせる場合は、幅整合部材79で整合する位置を変更するか、排出ローラ73a、73bがシート幅方向にシフトする機構によりシートの排出位置を変更することで達成できる。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の後処理ユニット70(および中継搬送ユニット60)は、画像形成装置101の側方で置台50の上に設置されている。置台50は設置部51と脚部52と開口53とで構成され、画像形成装置101の側方に設けられたフック部材54を開口53に引っかけることで固定する。設置部51は不図示のスライドレールが設けられており、後処理ユニット70は
図1の左右方向にスライド移動可能に構成されている。後処理ユニット70(および中継搬送ユニット60)が画像形成装置101から離間することで、シートが詰まった際のジャム解消処理を行うことができる。
【0033】
後処理ユニット70が設置部51の先端側へ移動した際は、置台50に対して反時計回り方向に力がかかるが、脚部52がフック部材54と画像形成装置101の側面部1cに支えられるため、置台50が倒れることはない。
【0034】
[排出構成]
本実施形態では、処理されたシートを排出する排出部が複数設けられている。第1排出部40aは、上述した通り、画像形成部21によって画像形成処理されたシートをフェイスダウンでストレート排出するか、シート反転パスP3でシートの表裏を反転してフェイスアップで排出するための排出部である。第1排出部40aは画像形成装置101の所謂胴内排出部であって、装置ハウジング1の立ち面1a、天井面1bおよび載置面41で区画された空間で構成される。
【0035】
第2排出部40bは、後処理ユニット70のユニットハウジング上面(71a)を用いた排出部で、画像形成部21によって画像形成処理されたシートをフェイスアップでストレート排出するか、シート反転パスP3でシートの表裏を反転してフェイスダウンで排出する。つまり、第1排出部40aと第2排出部40bとはユーザの設定によってどちらにも排出可能にされるが、生産性を考えると、フェイスダウンの場合は第1排出部40aへ、フェイスアップの場合は第2排出部40bへ排出することが望ましい。
【0036】
また、画像形成部21による画像形成処理によってシートに付着するインクの量によって(例えば、後述の画像比率に関する情報に基づいて)第1排出部40aに排出するか第2排出部40b排出するかを振り分けることも可能である。例えば、画像比率が低い場合はシートに付着したインクを乾燥させる必要が無いので、上述の通りフェイスダウンの場合は第1排出部40aへ、フェイスアップの場合は第2排出部40bへそのまま排出する。しかし、画像比率が高い場合はシートに付着したインクを乾燥させる必要があるため、一旦シート反転パスP3にシートを搬送して排出までの時間を稼ぐことでシートを乾燥させる。シートをシート反転パスP3で搬送した後は第1排出部40aへはフェイスアップのシートが排出され、第2排出部40bへはフェイスダウンのシートが排出される。なお、シート反転パスP3にファン等の乾燥部材を設けるとより乾燥効果を高めることができる。
【0037】
第3排出部40cは後処理ユニット70のスタックトレイ171で、後処理ユニット70で後処理されたシートが排出される。このスタックトレイ171は昇降可能に構成されており、シート積載量に応じて昇降する。また、本実施形態の後処理ユニット70はシートを幅方向にシフトさせる機構を有しているため、ステープル綴じ処理をしなくてもスタックトレイ171上でシートを幅方向にシフトさせた状態で排出させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、画像比率に関する情報に基づいて後処理ユニット70による後述の処理が行われる。しかし、例えば、後処理ユニット70による処理に適した範囲の限度を超えた高い画像比率の画像が形成されたシート(例えば、濃い色の全面ベタ画像等が印刷されたシート)は、第1排出部40aか第2排出部40bに排出されるようにしてもよい。
【0039】
また、後処理ユニット70で後処理を行う場合はストレート排出に比べて生産性が落ちてしまう。よって、生産性重視のモードの場合も第1排出部40aか第2排出部40bに排出するようにしてもよい。
【0040】
[制御構成]
図3は、本実施形態の画像形成システム100の制御構成を示した図である。画像形成装置101とシート処理装置102とはそれぞれ制御CPU81,87を有しており、相互に情報をやりとりすることができる。画像形成装置101の第1制御CPU81は、画像形成制御部82と、第1駆動制御部83と、読取制御部84と第1信号制御部85に接続されている。読取制御部84は、画像読取ユニット30の画像読取部33が読み取った画像データを取得し、印刷データとして第1制御CPU81に送る。第1制御CPU81は読取制御部84から受け取った印刷データを画像形成制御部82に送り、画像形成制御部82は画像形成部21を制御して画像形成処理を行う。また、第1制御CPU81は第1信号制御部85に接続された各種センサからの入力情報(シート端部の検知等)に応じて第1駆動制御部に命令を出し、シートを搬送するローラの駆動モータ(搬送駆動モータ)や切換部材駆動部を制御してシートを搬送する。また、第1制御CPU81は、ユーザからの印刷モード、排出モード、後処理モード等の情報を入力する入力部86と接続されており、入力された情報に応じて各制御部を制御し、またシート処理装置102の第2制御CPU87にモード情報を送信する。
【0041】
入力部86からは「画像形成モード」と「後処理モード」の設定を行う。画像形成モードはカラー・モノクロ印刷、両面・片面印刷などのモード設定と、シートサイズ、シート種類(シートの坪量、材質等)、プリントアウト部数、拡大・縮小印刷、などの画像形成条件を設定する。また「後処理モード」は、例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じ処理モード」「エコ綴じ処理モード」「ジョグ仕分けモード」などに設定する。なお図示の装置には「マニュアル綴じモード」が設けられ、このモードは画像形成装置101の第1制御CPU81とは別にオフラインでシート束の綴じ処理動作を実行する。
【0042】
シート処理装置102の第2制御CPU87は後処理ユニット70に設けられており、この第2制御CPU87で後処理ユニット70だけではなく中継搬送ユニット60の動作も制御する。第2制御CPU87は、第2駆動制御部88と第2信号制御部89とに接続されており、第2制御CPU87は第2信号制御部89に接続された各種センサからの入力情報(シート端部の検知等)に応じて第2駆動制御部88に命令を出し、シート処理装置102の動作を制御する。第2駆動制御部88は、第2制御CPU87の命令に基づき、シートを搬送するローラを駆動する搬送駆動モータM1や、中継搬送ユニット60の経路切換部61に配置された切換部材を駆動する切換部材駆動部M2を制御してシートを搬送させる。また、第2駆動制御部88は、ステープル綴じ処理部76を駆動するステープル駆動部M3、幅整合部材79を駆動する幅整合駆動部M4、並びにパドル75aを昇降させるパドル昇降モータM52及びローレットベルト75bを昇降させるローレット昇降モータM51とも接続されており、これらの駆動部を制御することで後処理ユニット70に後処理動作を実行させる。
【0043】
また、第1制御CPU81は第2制御CPU87に後処理モードとシート枚数情報(束形成枚数)、部数情報及び画像形成するシートのサイズや厚さ等のシート種類情報などのデータを転送する。これに加えて、第1制御CPU81は画像形成処理を終了する都度、ジョブ終了信号を第2制御CPU87に転送する。また、本実施形態では、印刷情報、特にシートの画像比率に関する情報(例えば、インクの吐出量)を第1制御CPU81が第2制御CPU87に転送する。印刷情報は、シートの画像比率に関する情報の他に、画像読取ユニット30で読み取った画像情報、もしくはその画像情報から算出したインク吐出量等が含まれる。
【0044】
ここで、「画像比率(印字率)」とは、シートの画像形成可能な全領域の面積に対して画像が形成される領域の面積の比率である。例えば、シートに対して画像形成部21が画像形成可能な全領域に最大濃度の画像を形成する全面ベタ画像は、画像比率100%である。インクジェット方式の画像形成装置の場合、画像比率が高いと、そのシートに形成する画像に使用するインクの量も多くなる。なお、以下の説明において、画像比率に基づく動作の制御に用いられる、画像比率に関する情報の種類は特に限定されない。画像比率に関する情報の例としては、インクジェット方式におけるインクの吐出量を積算したカウント値、電子写真方式において画素毎のドットの有無を指定する信号を積算したカウント値(ビデオカウント値)が挙げられる。また、シートの搬送方向に関して、画像形成部21の下流、排出ローラ73bの上流のシートの搬送パスの何れかの箇所に、画像形成部21でシートに形成された画像を読み取り可能なCISなどセンサを設け、このセンサの情報を画像比率に関する情報としても良い。このセンサは、画像形成装置101又はシート処理装置102の何れにあっても良い。
【0045】
[ローレットベルトについて]
次に、搬送手段としてのローレットベルト75bの詳細について、
図2及び
図4を用いて説明する。
図4は、排出ローラ73a、73b及びローレットベルト75bの駆動構成を示す斜視図である。排出ローラ73a、73bは、搬送駆動モータM1により回転駆動される。このために、排出ローラ73aの回転軸73a1の端部に設けられたプーリ73a2と、搬送駆動モータM1の出力軸に設けられたプーリとにベルト701が掛け渡されており、ベルト701、プーリ73a2及び回転軸73a1を介して、排出ローラ73aが搬送駆動モータM1により回転駆動される。また、排出ローラ73bの回転軸73b1の端部に設けられたプーリ73b2と、回転軸73a1に設けられたプーリ73a3とにベルト702が掛け渡されており、回転軸73a1、プーリ73a3、ベルト702、プーリ73b2及び回転軸73b1を介して、排出ローラ73bが搬送駆動モータM1により回転駆動される。
【0046】
ローレットベルト75bは、処理トレイ74の上方に昇降自在に配置されており、図示の例では、シート幅方向に2個間隔をあけて配置されている。ローレットベルト75bは、例えば、ゴムなどの柔軟性を有し、且つ、摩擦力の高い無端状のベルト部材であり、駆動ローラ75b1と、アイドルローラ75b2との間にニップ支持されている。本実施形態のローレットベルト75bは、表面に細かい凹凸が形成されている。駆動ローラ75b1は、搬送駆動モータM1により回転駆動され、これにより、ローレットベルト75bも回転駆動される。図示の例は、回転軸75b3の端部に設けられたプーリと、排出ローラ73bの回転軸73b1に設けられたプーリ73b3とにベルト703が掛け渡されており、回転軸73b1、ベルト703、回転軸75b3及び不図示の伝達機構を介して、駆動ローラ75b1が搬送駆動モータM1により回転駆動される。
【0047】
また、ローレットベルト75bは、調整手段としてのローレット昇降モータM51により
図2の上下方向に昇降自在に移動可能である。具体的には、ローレット昇降モータM51と駆動伝達機構710を介して駆動連結された回転軸711に昇降アーム712が設けられており、昇降アーム712の先端にローレットベルト75bの回転軸75b3が回転自在に支持されている。本実施形態では、
図4のローレット昇降モータM51を回転軸線方向に関して図の手前側から見た場合に、ローレット昇降モータM51が時計方向(CW)に回転すると、ローレットベルト75bが上昇し、同じく反時計方向(CCW)に回転すると、ローレットベルト75bが下降する。
【0048】
また、本実施形態では、ローレット昇降モータM51は、パルスモータであり、パルス数によりローレットベルト75bの昇降方向の位置を調整可能である。なお、ローレットベルト75bの昇降方向の位置の調整は、例えば、回転軸711に回転方向の位相を検知可能なエンコーダを設けて、このエンコーダの信号に基づいてモータを制御するようにしても良い。或いは、昇降アーム712或いは回転軸75b3の昇降方向の位置を検知可能なセンサを設けて、このセンサの信号に基づいてモータを制御するようにしても良い。このような場合、ローレット昇降モータM51は、パルスモータ以外のモータであっても良い。
【0049】
[ローレットベルト及びパドルの動作]
次に、処理トレイ74上におけるシートの整合時のローレットベルト75b及びパドル75aの動作について、
図5ないし
図9を用いて詳しく説明する。なお、
図5ないし
図8では、ステープル綴じ処理部76、束排出部材78及びガイド部材79aを省略して示している。
【0050】
ローレットベルト75b及びパドル75aは、排出ローラ73a、73bが回転している間は回転している。即ち、画像形成装置101からシート供給口72を介して受け取ったシートは、排出ローラ73a、73bにより処理トレイ74に向けて搬送されるが、この際、ローレットベルト75b及びパドル75aは回転している。そして、回転している状態のローレットベルト75b又はパドル75aが下降して処理トレイ74上のシートに当接することで、シートをシート端規制部材77に向けて搬送する(掻き込む)。一方、ローレットベルト75b又はパドル75aが上昇して処理トレイ74から離間することで、処理トレイ74上のシートに作用しなくなる。
【0051】
ローレットベルト75bは、
図4で説明したように、搬送駆動モータM1により回転駆動され、ローレット昇降モータM51により昇降方向に移動する。また、パドル75aは、不図示の伝達機構により搬送駆動モータM1により回転駆動され、パドル昇降モータM52(
図3)により昇降方向に移動する。但し、ローレットベルト75bとパドル75aの少なくとも一方は、搬送駆動モータM1とは別の駆動モータにより駆動するようにしても良い。以下で説明する動作は、シート処理装置102の第2制御CPU87が、搬送駆動モータM1、ローレット昇降モータM51、パドル昇降モータM52の駆動を制御することで行われる。また、以下の説明では、
図9(a)の表の最も左の列に記載の番号に沿って説明する。
【0052】
[
図9(a)の番号「1」]
まず、ローレットベルト75b及びパドル75aは、画像形成システムが画像形成ジョブを実行していない状態では、
図5(a)に示す所定の位置としてのホームポジション(HP)に位置する。即ち、ローレットベルト75b及びパドル75aは、装置の起動時又は画像形成装置101から1枚目のシートを受け取る前は、処理トレイ74から離間した退避位置の一例であるホームポジションに位置している。
【0053】
[
図9(a)の番号「2」]
次に、画像形成装置101で画像形成された複数のシートを処理トレイ74に載置してシート束とするシート束整合処理を含む画像形成ジョブを実行する。ジョブが入力されると、画像形成装置101の第1制御CPU81からシート処理装置102の第2制御CPU87(
図3)にシートの情報が通知される。
【0054】
すると、
図5(b)に示すように、ローレットベルト75bが下降して処理トレイ74の上面又は処理トレイ74に既に載置されているシートの上面に当接する。即ち、画像形成ジョブが実行され、且つ、1枚目のシートが処理トレイ74に載置される前に、一度、ローレットベルト75bを当接させる動作(イニシャル時の当接動作)を行う。イニシャル時の当接動作は、シート又はシート束が処理トレイ74に既にある場合に、シート又はシート束のズレを防止するための動作である。なお、シートが処理トレイ74になければ、ローレットベルト75bが処理トレイ74に接触することになる。
【0055】
また、イニシャル時の当接動作は、次のような場合にも実行可能である。即ち、画像形成ジョブが実行中で、且つ、次のシートが処理トレイ74に載置される前にも実行可能である。この場合のイニシャル時の当接動作(第5の当接動作)では、ホームポジションから移動して処理トレイ74に既に載置されているシートの上面に当接し、このシートの端部がシート端規制部材77に突き当たるようにシートを搬送する。
【0056】
例えば、画像形成ジョブの実行中に、何らかの理由で連続して搬送されるシート間の間隔が開いたり、画像形成装置101のカセットのシートがなくなったり、何れかの搬送パスでシートがジャムし、このジャム処理を行ったりした後などには、ローレットベルト75b及びパドル75aは、
図5(a)に示すように、一度、ホームポジションに戻る(イニシャル動作)。そして、次のシートの情報が通知されると、
図5(b)に示すように、ローレットベルト75bを下降させて、処理トレイ74上にあるシートを掻き込む動作を行う。
【0057】
図5(a)、(b)の動作は、上述のようなイニシャル時に行う動作であり、この動作以降のシート受け入れ時には、次の
図6以降(
図9(a)の番号「3」以降)の動作を行う。
【0058】
[
図9(a)の番号「3」]
次に、
図6(a)に示すように、1枚目又は次のシートSが処理トレイ74に載置される前に、ローレットベルト75bが処理トレイ74から離れる方向に移動する離間動作を行う。この際、ローレットベルト75bは、処理トレイ74から離れた所定の上昇位置(待機位置)まで上昇する。本実施形態では、シートSの後端(排出ローラ73a、73bの搬送方向上流端)が排出ローラ73bを抜けた直後に、ローレットベルト75bが上昇する。このような離間動作は、ローレットベルト75bの下方位置にシートSを受け入れるために行う。即ち、ローレットベルト75bは、シートが処理トレイ74に載置されることを待機している状態では、処理トレイ74から離れた待機位置に位置する。
【0059】
そして、
図6(b)に示すように、シートSが排出ローラ73bから抜け出て処理トレイ74上に排出されたら、パドル75aを下降させ、処理トレイ74に載置されたシートSをシート端規制部材77に向けて搬送する。パドル75aは、排出ローラ73bによるシートSの搬送方向に関してローレットベルト75bの下流側に設けられており、回転することで処理トレイ74に載置されたシートSを、待機位置にあるローレットベルト75bの下方位置まで搬送する。言い換えれば、ローレットベルト75bは、パドル75aによりシートが搬送されている間は、待機位置に位置している。
【0060】
[
図9(a)の番号「4」]
次に、
図7(a)に示すように、シートSが処理トレイ74に載置された場合に、ローレットベルト75bは、シートSの上面に当接し、シートSの端部(後端)がシート端規制部材77に突き当たるようにシートSを搬送する第1の当接動作を行う。即ち、
図6(b)で、パドル75aによりシートSがシート端規制部材77に向けて搬送されたら、ローレットベルト75bを下降させ、シートSの上面に当接させる。この際、パドル75aはホームポジションまで上昇させる。
【0061】
そして、ローレットベルト75bによりシートSを更に搬送し、シートSの後端をシート端規制部材77に突き当てる。このように、第1の当接動作は、シートSをシート端規制部材77に向けて搬送し(掻き込み)、シートSの後端をシート端規制部材77に突き当てるために行う。
【0062】
[
図9(a)の番号「5」]
次に、
図7(b)に示すように、ローレットベルト75bを第1の当接動作時よりも低い圧力でシートSの上面に当接するように移動して、幅整合部材79によるシートSの幅方向の端部位置の規制を行う第2の当接動作を行う。即ち、第2の当接動作では、ローレットベルト75bを若干上昇させて、ローレットベルト75bのシートSに対する当接圧を軽減し、シートSを幅方向に移動可能とする。そして、この状態で、幅整合部材79によりシートSの幅方向の整合を行う。
【0063】
[
図9(a)の番号「6」]
次に、
図8(a)に示すように、ローレットベルト75bを第2の当接動作時よりも高い圧力でシートSに上面に当接し、シートSの端部(後端)がシート端規制部材77に突き当たるようにシートSを搬送する第3の当接動作を行う。即ち、第3の当接動作では、シートSの幅方向の整合後、再度、シートSの後端をシート端規制部材77に突き当てるべく、第1の当接動作と同様の当接圧となるようにローレットベルト75bを下降させる。そして、ローレットベルト75bによりシートの搬送を行う。
【0064】
[
図9(a)の番号「7」]
更に、
図8(b)に示すように、ローレットベルト75bを第3の当接動作時よりも低い圧力でシートSの上面に当接するように移動させる第4の当接動作を行う。即ち、第4の当接動作では、シートのダメージを軽減すべく、ローレットベルト75bを若干上昇させる。
【0065】
以上が、1枚目のシートS又はジャム処理などでイニシャル動作を行った際に処理トレイ74上にあったシートSの後端及び幅方向の整合を行う処理である。次に、2枚目のシート又はイニシャル動作後の次のシートを受け入れる場合には、
図9(a)の番号「3」から開始する。
【0066】
簡単に説明すると、排出ローラ73bから2枚目又は次のシートが処理トレイ74に排出されると、ローレットベルト75bが待機位置に移動し(
図6(a))、パドル75aが下降してシートを掻き込む(
図6(b))。そして、ローレットベルト75bを下降させてシートを更に掻き込み、シートの後端をシート端規制部材77に突き当てる(
図7(a))。その後、ローレットベルト75bを若干上昇させて、処理トレイ74上に載置されたシート(又はシート束)と今回搬送されたシートにより形成されるシート束の幅整合を行い(
図7(b))、ローレットベルト75bを再度下降させて、このシート束の後端をシート端規制部材77に突き当てる(
図8(a))。更に、ローレットベルト75bを若干上昇させて、シートのダメージを軽減した状態で、次のシートが搬送されるのを待機する。
【0067】
このような動作をそのジョブで指定されたシートの枚数分繰り返し、処理トレイ74上に所望のシート枚数のシート束を得る。そして、ステープル綴じ処理を行うなど、シート束に所望の処理を行って、或いは、処理を行わずにそのまま、シート束を束排出部材78(
図2)によりスタックトレイ171に排出する。
【0068】
[待機位置におけるローレットベルトの高さ位置について]
ここで、画像形成装置101でシートに形成された画像の画像比率が高い(高Dutyである)と、シートがカールした状態で排出ローラ73bから排出される可能性がある。この際、
図6(a)に示したように、ローレットベルト75bは、待機位置に位置しているが、待機位置におけるローレットベルト75bの高さ(昇降方向の位置)によっては、カールしたシートが待機中のローレットベルト75bに接触し、シート上の画像に傷をつけてしまう虞がある。この点について、
図10(a)~(c)を用いて説明する。
【0069】
まず、
図10(a)に示すように、ローレットベルト75bの待機位置における高さがホームポジション(HP)であるとする。この場合に、画像形成装置101でシートSに形成された画像の画像比率が低い(低Dutyである)と、シートSがカールしない或いはカールしてもそのカール量が小さいため、
図10(a)に示すように、シートSがローレットベルト75bに接触せずに処理トレイ74上に載置される。例えば、パドル75aによりシートがローレットベルト75b側に搬送されている間に、シートの上面の画像がローレットベルト75bに擦れにくい。
【0070】
一方、画像形成装置101でシートSに形成された画像の画像比率が高い(高Dutyである)と、シートSがカールするため、ローレットベルト75bがHPで待機していると、
図10(b)に示すように、シートSがローレットベルト75bに接触しながら処理トレイ74上に載置されてしまう。例えば、パドル75aによりシートがローレットベルト75b側に搬送されている間に、シートの上面の画像がローレットベルト75bに擦れてしまう。
【0071】
そこで、本実施形態では、
図10(c)に示すように、シートSに形成された画像の画像比率が高い(高Dutyである)場合には、ローレットベルト75bの待機位置を、
図10(a)に示す位置よりも高い位置としている。即ち、ローレット昇降モータM51は、シートが処理トレイ74に載置されることを待機している状態で、画像形成装置101から受け取ったシートの画像比率が第1の画像比率(低Duty)の場合に比べて、受け取ったシートの画像比率が第1の画像比率よりも大きい第2の画像比率(高Duty)の場合の方が、ローレットベルト75bの昇降方向の位置を処理トレイ74から離れた位置とする。
【0072】
例えば、画像比率が所定値未満の場合には、第1の画像比率(低Duty)であるとし、ローレットベルト75bの待機位置を第1の高さ位置(例えばHP)とする。これに対して、画像比率が所定値以上の場合には、第2の画像比率(高Duty)であるとし、ローレットベルト75bの待機位置を第1の高さ位置よりも高い(処理トレイ74から離れた)第2の高さ位置(例えばHPよりも高い位置)とする。
【0073】
ここで、上述の所定値は、例えば、画像比率70%とする。即ち、画像比率が70%未満の第1の画像比率の場合には、ローレットベルト75bの待機位置を第1の高さ位置とし、画像比率が70%以上の第2の画像比率の場合には、ローレットベルト75bの待機位置を第2の高さ位置とする。なお、所定値は、例えば、画像比率60%、80%などであっても良い。所定値は、画像形成で使用するインクやトナーの性質、搬送パスの長さなどを考慮して適宜設定可能である。
【0074】
また、シートの材質やその時の温度、湿度などの環境に応じて所定値を可変としても良い。例えば、所定値として、60%、70%、80%など複数の値を有し、例えば、薄紙を使用する場合には、所定値を60%に設定し、普通紙を使用する場合には70%に設定し、厚紙やコート紙を使用する場合には80%に設定するようにしても良い。更には、湿度が高い場合には、所定値が低くなるようにしても良い。なお、この場合には、例えば、画像形成装置101が有する温度、湿度を検知可能な不図示の環境センサの検知値を用いる。
【0075】
更に、待機中のローレットベルト75bの昇降方向の位置は、複数段階としても良い。例えば、シートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率の場合には第1の高さ位置、画像比率が第1の画像比率よりも大きい第2の画像比率の場合には第1の高さ位置よりも高い第2の高さ位置、画像比率が第2の画像比率よりも大きい第3の画像比率の場合には第2の高さ位置よりも高い第3の高さ位置としても良い。
【0076】
[ローレットベルトのシートに対する当接圧について]
また、処理トレイ74上に載置されたシートに形成された画像の画像比率が高い(高Dutyである)と、ローレットベルト75bがシートの上面に当接することで、シート上の画像に傷をつけてしまう虞がある。そこで、本実施形態では、ローレット昇降モータM51は、画像形成装置101から受け取ったシートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率(低Duty)の場合に比べて、受け取ったシートに形成された画像の画像比率が前記第1の画像比率よりも大きい第2の画像比率(高Duty)の場合の方が、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧を小さくする。
【0077】
例えば、画像比率が所定値未満の場合には、第1の画像比率(低Duty)であるとし、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧を第1の当接圧とする。これに対して、画像比率が所定値以上の場合には、第2の画像比率(高Duty)であるとし、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧を第1の当接圧よりも小さい第2の当接圧とする。なお、所定値については、「待機位置におけるローレットベルトの高さ位置について」の説明と同様である。
【0078】
また、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧は、複数段階としても良い。例えば、シートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率の場合には第1の当接圧、画像比率が第1の画像比率よりも大きい第2の画像比率の場合には第1の当接圧よりも小さい第2の当接圧、画像比率が第2の画像比率よりも大きい第3の画像比率の場合には第2の当接圧よりも小さい第3の当接圧としても良い。
【0079】
本実施形態では、ローレットベルト75bの昇降方向の位置を調整することで、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧を調整する。具体的には、
図11(a)に示す、シートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率(低Duty)である場合に対して、
図11(b)に誇張して示すように、画像比率が第2の画像比率(高Duty)である場合の方が、ローレットベルト75bの昇降方向の高さ位置を高くすることで、当接圧を小さくしている。
【0080】
ここで、
図5ないし
図9を用いて説明したように、本実施形態では、ローレットベルト75bが処理トレイ74上のシートに当接する動作が、以下のように5つある。
イニシャル時の当接動作 :
図5(b)及び
図9(a)の番号「2」
第1の当接動作 :
図7(a)及び
図9(a)の番号「4」
第2の当接動作 :
図7(b)及び
図9(a)の番号「5」
第3の当接動作 :
図8(a)及び
図9(a)の番号「6」
第4の当接動作 :
図8(b)及び
図9(a)の番号「7」
【0081】
そして、ローレット昇降モータM51は、これら第1ないし第4の当接動作及びイニシャル時の当接動作の少なくとも何れかの当接動作において、シートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率の場合に比べて、シートに形成された画像の画像比率が第2の画像比率の場合の方が、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧を小さくする。本実施形態では、全ての当接動作において、第2の画像比率である場合の方が当接圧を小さくしている。但し、例えば、第2、第4の当接動作のように、シートに対する当接圧を小さくする動作の場合には、第1の画像比率と第2の画像比率とで当接圧を変更しないようにしても良い。
【0082】
また、上述のようにローレットベルト75bのシートに対する当接圧を小さくした場合、ローレットベルト75bによるシートの搬送性能が低下する場合がある。このため、当接圧を小さくした場合には、ローレットベルト75bによるシートの搬送時間を長くするようにしても良い。即ち、ローレットベルト75bは、シートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率(低Duty)の場合に比べて、シートに形成された画像の画像比率が第2の画像比率(高Duty)の場合の方が、シートの端部(後端)がシート端規制部材77に突き当たるようにシートを搬送する搬送時間を長くする。
【0083】
例えば、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧が第1の当接圧である場合、ローレットベルト75bによる搬送時間を第1の搬送時間とする。これに対して、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧が第1の当接圧よりも小さい第2の当接圧である場合、ローレットベルト75bによる搬送時間を第1の搬送時間よりも長い第2の搬送時間とする。
【0084】
また、ローレットベルト75bによる搬送時間は、シートに対する当接圧が複数段階であれば、これに合わせた複数段階としても良い。例えば、第1の当接圧の場合に第1の搬送時間、第1の当接圧よりも小さい第2の当接圧の場合に第1の搬送時間よりも長い第2の搬送時間、第2の当接圧よりも小さい第3の当接圧の場合に第2の搬送時間よりも長い第3の搬送時間としても良い。
【0085】
なお、上述の説明では、シートの形成された画像の画像比率に基づいて、ローレットベルト75bの当接圧を変更したが、処理トレイ74に載置された状態でローレットベルト75bが当接する領域に対して画像が占める割合に基づいて当接圧を変更するようにしても良い。即ち、処理トレイ74に載置されたシートに対してローレットベルト75bが当接する領域は、概ね決まっている。例えば、シートの後端からシートの搬送方向に関して所定の長さの領域にローレットベルト75bが当接し得る。
【0086】
したがって、この領域に対して画像が占める割合が大きければ、ローレットベルト75bが当接することで、この画像に傷が付き易い。一方、この領域から外れた領域、例えば、シートの先端側の領域は、ローレットベルト75bが当接しにくいので、この領域にある画像に対しては、ローレットベルト75bによる傷が付きにくい。例えば、シートの後端側にのみベタ画像が形成されている場合である。
【0087】
このため、シートの後端からシートの搬送方向に関して所定の長さの領域に対して画像が占める割合に基づいて、上述と同様にローレットベルト75bのシートに対する当接圧を変更するようにしても良い。即ち、ローレット昇降モータM51は、画像形成装置101から受け取ったシートの上面のうち、処理トレイ74に載置された状態でローレットベルト75bが当接する領域に対して画像が占める割合が第1の割合の場合に比べて、受け取ったシートのこの領域に対して画像が占める割合が第1の割合よりも大きい第2の割合の場合の方が、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧を小さくするようにしても良い。
【0088】
[シート束整合処理の流れの一例]
次に、
図9及び
図12を用いて、本実施形態におけるシート束整合処理の流れの一例について説明する。本実施形態では、シート処理装置102の第2制御CPU87が、画像形成装置101の第1制御CPU81から画像比率に関する情報を取得し、その情報に基づいてローレットベルト75bの高さ位置を制御するようにしている。ローレットベルト75bの高さ位置は、
図9(a)、(b)に示すように、ホームポジション(HP)を0とした場合に、ローレット昇降モータM51に送るパルス量(pls)を変更することで行っている。
図9(b)の横軸は、ローレットベルト75bの動作を示す
図9(a)の表の最も左の列に記載の番号に対応しており、縦軸は、HPからのパルスの送り量によりローレットベルト75bの高さ位置を示している。また、
図9(b)のグラフの上側の線が高Dutyの場合を、下側の線が低Dutyの場合を、それぞれ示している。
【0089】
図12は、例えば、処理トレイ74に複数のシートを載置してシート束とするシート束整合処理を含む画像形成ジョブを実行した場合の、パドル75a及びローレットベルト75bの動作の流れを示している。
図12の「ローレットベルトの動作(1)~(7)」は、それぞれ、
図9(a)の表の最も左の列に記載の番号に対応しており、各番号の動作に対応している。
【0090】
画像形成ジョブが開始されると、パドル75a及びローレットベルト75bは、ホームポジション(HP)に位置している(S1)。次に、第2制御CPU87は、画像形成装置101からシート処理装置102に受け渡されるシートに形成された画像の画像比率が所定値以上であるか否かを判断する(S2)。
【0091】
シートの画像の画像比率が所定値未満(低Duty)である場合には(S2のNo)、S3に進み、シート処理装置102がシートを受け取る。そして、第2制御CPU87に次のシートの情報が通知されると、第2制御CPU87は、ローレット昇降モータM51を反時計方向(CCW)に回転させて、HPからローレットベルト75bを下降させ、シートをシート端規制部材77に突き当てるように搬送する(S4)。この際、ローレット昇降モータM51へのパルスの送り量を82[pls]とすることで、ローレットベルト75bを処理トレイ74又は処理トレイ74上のシートに高い方の当接圧(第1の当接圧)で当接させる(イニシャル時の当接動作)。
【0092】
次いで、第2制御CPU87は、受け取ったシートが排出ローラ73bを抜けた直後に、ローレット昇降モータM51を時計方向(CW)に回転させて、ローレットベルト75bを待機位置まで上昇させる(S5)。ここでは、画像比率が低Dutyなので、待機位置は低い方の高さであるホームポジションである。更に、パドル75aを下降させて、パドル75aにより処理トレイ74上のシートをシート端規制部材77に向けて掻き込む(S6)。
【0093】
次いで、第2制御CPU87は、パドル75aをホームポジションまで上昇させ(S7)、パドル75aが上昇を開始してから68ms後に、ローレット昇降モータM51を反時計方向(CCW)に回転させて、ローレットベルト75bを下降させる(S8)。このときのローレット昇降モータM51へのパルスの送り量を82[pls]としている。そして、ローレットベルト75bによりシートを搬送し、シートの後端をシート端規制部材77に突き当てる(第1の当接動作)。
【0094】
次いで、第2制御CPU87は、第1の当接動作(
図9(a)の番号「4」の動作)後、105ms経過した後に、ローレット昇降モータM51を時計方向(CW)に回転させて、ローレットベルト75bを若干上昇させる(S9)。このときのローレット昇降モータM51へのパルスの送り量を72[pls]として、シートへの当接圧を軽減させている。そして、この状態で、幅整合部材79によりシートSの幅方向の整合を行う(第2の当接動作)。
【0095】
次いで、第2制御CPU87は、シートの幅整合後、50ms経過した後に、ローレット昇降モータM51を反時計方向(CCW)に回転させて、ローレットベルト75bを下降させる(S10)。このときのローレット昇降モータM51へのパルスの送り量を82[pls]としている。そして、ローレットベルト75bにより幅整合したシートを搬送し、シートの後端をシート端規制部材77に突き当てる(第3の当接動作)。
【0096】
更に、第2制御CPU87は、第3の当接動作(
図9(a)の番号「6」の動作)後、50ms経過した後に、ローレット昇降モータM51を時計方向(CW)に回転させて、ローレットベルト75bを若干上昇させる(S11)。このときのローレット昇降モータM51へのパルスの送り量を79[pls]として、シートへの当接圧を軽減させている。その後、整合処理したシートが画像形成ジョブで形成されるシート束の最終シートである場合には(S12のYes)、シート束整合処理を終了する。
【0097】
一方、S2で、シートの画像の画像比率が所定値以上(高Duty)である場合には(S2のYes)、S13に進み、シート処理装置102がシートを受け取る。そして、第2制御CPU87に次のシートの情報が通知されると、第2制御CPU87は、ローレット昇降モータM51を反時計方向(CCW)に回転させて、HPからローレットベルト75bを下降させる(S14)。この際、ローレット昇降モータM51へのパルスの送り量を79[pls]とすることで、ローレットベルト75bを処理トレイ74又は処理トレイ74上のシートに低い方の当接圧(第2の当接圧)で当接させる。
【0098】
次いで、第2制御CPU87は、受け取ったシートが排出ローラ73bを抜けた直後に、ローレット昇降モータM51を時計方向(CW)に回転させて、ローレットベルト75bを待機位置まで上昇させる(S15)。ここでは、画像比率が高Dutyなので、待機位置はホームポジションよりも高い高さである。更に、パドル75aを下降させて、パドル75aにより処理トレイ74上のシートをシート端規制部材77に向けて掻き込んで(S16)、パドル75aをホームポジションまで上昇させる(S17)。
【0099】
その後に行うS18~S21は、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧が異なるだけで、S8~S11と同様である。即ち、S18、S20では、ローレット昇降モータM51へのパルスの送り量を79[pls]とし、S19では、ローレット昇降モータM51へのパルスの送り量を69[pls]とし、S21では、ローレット昇降モータM51へのパルスの送り量を76[pls]としている。
【0100】
S12において、整合処理したシートが画像形成ジョブで形成されるシート束の最終シートでない場合には(S12のNo)、S22に進み、S2と同様に、次のシートに形成された画像の画像比率が所定値以上であるか否かを判断し、所定値未満(低Duty)であれば(S22のNo)、シートを受け取って(S23)、S5に進む。一方、次のシートに形成された画像の画像比率が所定値以上(高Duty)であれば(S22のYes)、シートを受け取って(S24)、S15に進む。
【0101】
このような本実施形態によれば、処理トレイ74に載置されるシートの画像比率が高くても画像に傷をつけることを抑制できる。即ち、シートSに形成された画像の画像比率が高い(高Dutyである)場合には、ローレットベルト75bの待機位置を、画像比率が低い(低Dutyである)場合よりも高い位置としている。画像比率が高い場合、シートがカールするが、このようにすることで、シートがカールしてもシートの上面の画像がローレットベルト75bにより傷ついてしまうことを抑制できる。
【0102】
また、本実施形態の場合、画像形成装置101から受け取ったシートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率(低Duty)の場合に比べて、受け取ったシートに形成された画像の画像比率が前記第1の画像比率よりも大きい第2の画像比率(高Duty)の場合の方が、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧を小さくしている。このようにすることで、シートに形成された画像の画像比率が高くても、ローレットベルト75bがシートの上面に当接してもシート上の画像に傷をつけてしまうことを抑制できる。
【0103】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、
図1ないし
図3を参照しつつ、
図13を用いて説明する。本実施形態では、画像形成装置101から受け取ったシートに形成された画像の画像比率が前記第1の画像比率よりも大きい第2の画像比率(高Duty)の場合には、ローレットベルト75bを処理トレイ74に載置されたシートの上面に当接させないようにしている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0104】
本実施形態では、ローレット昇降モータM51は、画像形成装置101から受け取ったシートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率(低Duty)の場合にローレットベルト75bを処理トレイ74に載置されたシートの上面に当接させる。一方、ローレット昇降モータM51は、シートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率よりも大きい第2の画像比率(高Duty)の場合には、ローレットベルト75bを処理トレイ74に載置されたシートの上面に当接させないようにしている。言い換えれば、ローレットベルト75bのシートに対する当接圧を0にしている。したがって、画像比率が第2の画像比率の場合、パドル75aのみにより処理トレイ74上のシートの後端がシート端規制部材77に突き当たるようにシートを搬送している。
【0105】
また、上述のようにパドル75aのみによりシートを搬送した場合、ローレットベルト75bで搬送するよりもシートの搬送性能が低下する場合がある。このため、パドル75aのみでシートを搬送する場合には、パドル75aによるシートの搬送時間を長くするようにしても良い。即ち、パドル75aは、シートに形成された画像の画像比率が第1の画像比率(低Duty)の場合に比べて、シートに形成された画像の画像比率が第2の画像比率(高Duty)の場合の方が、シートの端部(後端)がシート端規制部材77に突き当たるようにシートを搬送する搬送時間を長くする。
【0106】
[シート束整合処理の流れの一例]
次に、
図13を用いて、本実施形態におけるシート束整合処理の流れの一例について説明する。本実施形態では、シート処理装置102の第2制御CPU87が、画像形成装置101の第1制御CPU81から画像比率に関する情報を取得し、その情報に基づいて、処理トレイ74に載置されたシートをパドル75aのみで搬送するか否かを制御するようにしている。
【0107】
図13は、例えば、処理トレイ74に複数のシートを載置してシート束とするシート束整合処理を含む画像形成ジョブを実行した場合の、パドル75a及びローレットベルト75bの動作の流れを示している。
図13の「ローレットベルトの動作(1)~(7)」は、それぞれ、
図9(a)の表の最も左の列に記載の番号に対応しており、各番号の「低Duty」の動作に対応している。
【0108】
画像形成ジョブが開始されると、パドル75a及びローレットベルト75bは、ホームポジション(HP)に位置している(S101)。次に、第2制御CPU87は、画像形成装置101からシート処理装置102に受け渡されるシートに形成された画像の画像比率が所定値以上であるか否かを判断する(S102)。
【0109】
シートの画像の画像比率が所定値未満(低Duty)である場合には(S102のNo)、S103に進み、シート処理装置102がシートを受け取る。S103~S112の動作は、
図12のS3~S12と同様であるため、説明を省略する。
【0110】
S102で、シートの画像の画像比率が所定値以上(高Duty)である場合には(S102のYes)、S113に進み、シート処理装置102がシートを受け取る。そして、第2制御CPU87に次のシートの情報が通知されると、第2制御CPU87は、パドル75aを下降させて、パドル75aにより処理トレイ74上のシートをシート端規制部材77に向けて掻き込む(S114)。その後、パドル75aをホームポジションまで上昇させる(S115)。この際、ローレットベルト75bは、ホームポジションに位置したままである。なお、パドル75aにより搬送している間に、シートの幅方向の整合も行う。
【0111】
S112において、整合処理したシートが画像形成ジョブで形成されるシート束の最終シートでない場合には(S112のNo)、S116に進み、S102と同様に、次のシートに形成された画像の画像比率が所定値以上であるか否かを判断し、所定値未満(低Duty)であれば(S116のNo)、シートを受け取って(S117)、S105に進む。一方、次のシートに形成された画像の画像比率が所定値以上(高Duty)であれば(S116のYes)、シートを受け取って(S113)、S114に進む。
【0112】
このような本実施形態の場合も、処理トレイ74に載置されるシートの画像比率が高くても画像に傷をつけることを抑制できる。即ち、画像形成装置101から受け取ったシートに形成された画像の画像比率が高い場合には、ローレットベルト75bを使用せずにパドル75aのみでシートを搬送する。パドル75aは、通常、ローレットベルト75bよりもシートに対する接触面積が少なく、シートに与えるダメージが小さいため、パドル75aのみで搬送することで、シートの上面に傷を付けることを抑制できる。
【0113】
また、本実施形態の場合も、第1の実施形態と同様に、ローレットベルト75bの待機位置を、シートに形成された画像の画像比率が第2の画像比率(高Duty)である場合に、第1の画像比率(低Duty)である場合よりも処理トレイ74から離れた位置とする。
【0114】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、処理トレイ上のシートをシート規制部材に突き当てる搬送手段を、表面に凹凸があるローレットベルトとしていたが、搬送手段は、表面に凹凸がないベルトでも、ローラであっても良い。また、別の搬送手段は、搬送手段よりもシートにダメージを与えにくいものであれば、パドル以外の構成でも良く、例えば、搬送手段よりも当接圧や摩擦力が低いベルトやローラなどであっても良い。
【0115】
また、上述の各実施形態では、シート処理装置102は第2制御CPU87により制御していたが、この第2制御CPU87を省略して、画像形成装置101の第1制御CPU81によりシート処理装置102も制御するようにしても良い。また、第2制御CPU87がある構成であっても、画像比率に基づいて行うローレットベルトやパドルの制御については、第1制御CPU81により行っても良い。
【0116】
更に、本発明のシート積載装置は、上述の後処理ユニット以外にも、画像形成装置と一体に構成されたものであっても良い。
【符号の説明】
【0117】
21・・・画像形成部/70・・・後処理ユニット(シート積載装置)/73b・・・排出ローラ(別の排出手段)/74・・・処理トレイ(載置手段)/75a・・・パドル(別の搬送手段)/75b・・・ローレットベルト(搬送手段)/77・・・シート端規制部材(規制手段)/78・・・束排出部材(排出手段)/79・・・幅整合部材(幅方向端部規制手段)/100・・・画像形成システム/101・・・画像形成装置/102・・・シート処理装置/171・・・スタックトレイ(積載手段)/M51・・・ローレット昇降モータ