IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンドロヴィア ライフ サイエンシーズ エルエルシーの特許一覧

特許7168453哺乳類受精を達成するためのアプローチおよび授精のための期間を識別するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】哺乳類受精を達成するためのアプローチおよび授精のための期間を識別するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/06 20060101AFI20221101BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20221101BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
C12Q1/06
G01N33/483 C
G01N33/48 M
G01N33/48 P
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2018552649
(86)(22)【出願日】2016-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 US2016068204
(87)【国際公開番号】W WO2017112844
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-12-19
(31)【優先権主張番号】62/279,315
(32)【優先日】2016-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/387,348
(32)【優先日】2015-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/328,876
(32)【優先日】2016-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/328,885
(32)【優先日】2016-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/422,279
(32)【優先日】2016-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518222620
【氏名又は名称】アンドロヴィア ライフサイエンシーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】トラヴィス, アレクサンダー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カルドナ, クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ムーディー, メリッサ エー.
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン, アラナ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】オスターマイヤー, ジー. チャールズ
【審査官】北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0248302(US,A1)
【文献】国際公開第2005/009222(WO,A2)
【文献】特表2017-534850(JP,A)
【文献】Journal of Andrology,2007年,Vol.28, No.4, p.588-599
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-3/00
G01N 33/48-33/98
G01N 21/62-21/74
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを、哺乳動物の受精を達成するための生殖アプローチの指標とする方法であって、前記方法が、
0.5時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたって、受精能獲得条件で雄性被験体由来の精子細胞をインビトロで処置することにより、受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第1のサンプルを得る工程;
受精能を獲得したインビトロの精子細胞の前記第1のサンプルを固定液および蛍光標識で処置する工程
受精能を獲得したインビトロの精子細胞の前記第1のサンプルから1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を撮影して得る工程であって、前記精子細胞が、蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるG M1 局在化パターンを示し、前記t -蛍光画像が、0.1時間~18時間から選択されるインビトロ受精能獲得後時間(t )において得られる、工程
前記1つまたはそれを超える-蛍光画像において示された先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測する工程であって、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の前記パーセンテージを求める工程であって、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の前記パーセンテージが、G M1 局在化パターンの前記総数に対する、先体頂部(AA)G M1 局在化パターンの前記数および先体原形質膜(APM)G M1 局在化パターンの前記数の合計の比に対応する、工程
計測されたt-[AA GM1局在化パターンおよびAPM GM1局在化パターン]のパーセンテージを[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージと比較して、受精能状態を求める工程;および
前記求めた受精能状態に基づき哺乳動物の受精を達成するための生殖アプローチを識別する工程
を含み、35%超に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージが、高受精能状態を示し、35%より1標準偏差低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージが、中受精能状態を示し、35%より2標準偏差またはそれを超えて低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージが、低受精能状態を示す、方法。
【請求項2】
雄が、少なくとも正常の精子濃度を有し、
高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または
低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
雄が、正常未満の精子濃度を有し、
高受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または
低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(i)前記生殖アプローチが、体外受精前の精子の前受精能獲得に対応し、前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(ii)前記生殖アプローチが、卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(iii)前記生殖アプローチが、配偶子卵管内移植法(GIFT)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;または(iv)前記生殖アプローチが、囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する、請求項2または3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
0.5時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたって、受精能獲得条件で雄性被験体由来の精子細胞をインビトロで処置することにより、受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第2のサンプルを得る工程;
受精能を獲得したインビトロの精子細胞の前記第2のサンプルを固定液および蛍光標識で処置する工程
蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示す1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を撮影して得る工程であって、前記t-蛍光画像は、受精能獲得後時間tにおいて得られ、tは、tより長い時間または18時間より長い時間から選択される、工程;
前記1つまたはそれを超える-蛍光画像において示された先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測する工程であって、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを求める工程であって、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の前記パーセンテージが、G M1 局在化パターンの前記総数に対する、先体頂部(AA)G M1 局在化パターンの前記数および先体原形質膜(APM)G M1 局在化パターンの前記数の合計の比に対応する、工程
-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージをt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと比較する工程であって、前記比較が、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間または12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間から選択されるインビボ受精能獲得時間を示す、工程をさらに含み;
ここで、35%という標準から1標準偏差超の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間を示すか;または35%という標準から1標準偏差未満の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間を示し、
さらに、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差超の値に対応するとき、t-受精能状態は、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージとの比較に基づいて示されるか;またはt-[AA
M1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差未満の値に対応するとき、t-受精能状態は、[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージと、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージまたは計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとの比較に基づいて示され;
それによって、前記雄性被験体のt-受精能状態およびインビボ受精能獲得時間に基づいて、授精のための時間および受精を達成するために用いるべき生殖アプローチを示す、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
雄が、少なくとも正常な精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され、
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
雄が、正常未満の精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され、
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
雄が、少なくとも正常な精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項9】
雄が、正常未満の精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
請求項5に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記生殖アプローチが、体外受精前の精子の前受精能獲得に対応し、前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(ii)前記生殖アプローチが、卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(iii)前記生殖アプローチが、配偶子卵管内移植法(GIFT)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;または(iv)前記生殖アプローチが、囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する、請求項8または9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記時間および/または前記生殖アプローチが、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態、精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態ならびにそれらの組み合わせの1つ以上にまた基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンが、AA GM1局在化パターン、APM GM1局在化パターン、Lined-Cell GM1局在化パターン、INTER GM1局在化パターン、PAPM GM1局在化パターン、AA/PA GM1局在化パターン、ES GM1局在化パターンおよびDIFF GM1局在化パターンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記受精能を獲得したインビトロの精子細胞が6時間~12時間の範囲の固定時間にわたって固定液で処置される、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記受精能獲得時間が3時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記精子細胞が、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置される前に、冷凍保存手順で処置され、保存された、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとの差を、授精のための時間および哺乳動物の受精を達成するための生殖アプローチの指標とする方法であって、
0.5時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたって、受精能獲得条件で雄性被験体から得られた精子細胞をインビトロで処置することにより、受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞の第1のサンプルを得る工程;
0.5時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたって、受精能獲得条件で同じ雄性被験体から得られた精子細胞をインビトロで処置することにより、受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞の第2のサンプルを得る工程;
受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞の前記第1のサンプルを固定液および蛍光標識で処置する工程;
受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞の前記第2のサンプルを固定液および蛍光標識で処置する工程
蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示す1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を撮影して得る工程であって、前記t -蛍光画像が、0.1時間~18時間から選択されるインビトロ受精能獲得後時間(t )において得られ
蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示す1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を撮影して得る工程であって、前記t -蛍光画像が、0.1時間~18時間から選択されるインビトロ受精能獲得後時間(t )において得られ、
こで、tは、tより長い、工程;
前記1つまたはそれを超える-蛍光画像において示された前記蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞における先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測する工程であって、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の前記パーセンテージを求める工程であって、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の前記パーセンテージが、前記蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞におけるG M1 局在化パターンの前記総数に対する、先体頂部(AA)G M1 局在化パターンの前記数および先体原形質膜(APM)G M1 局在化パターンの前記数の合計の比に対応する、工程
前記1つまたはそれを超える-蛍光画像において示された前記蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞における先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測する工程であって、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の前記パーセンテージを求める工程であって、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の前記パーセンテージが、前記蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞におけるG M1 局在化パターンの前記総数に対する、先体頂部(AA)G M1 局在化パターンの前記数および先体原形質膜(APM)G M1 局在化パターンの前記数の合計の比に対応する、工程
-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージをt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと比較する工程であって、前記比較が、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間または12時間もしくはそれ未満の標準的なインビボ受精能獲得時間から選択されるインビボ受精能獲得時間を示す、工程を含み、
ここで、35%という標準から1標準偏差超の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間を示すか;または35%という標準から1標準偏差未満の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間を示し;
35%超に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、高受精能状態を示し;35%より1標準偏差低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、中受精能状態を示し;35%より2標準偏差またはそれを超えて低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、低受精能状態を示し;
さらに、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差超の値に対応するとき、t-受精能状態は、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージとの比較に基づいて示されるか;またはt-[AA
M1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差未満の値に対応するとき、t-受精能状態は、[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージと、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージまたは計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとの比較に基づいて示され;
それによって、前記雄のt-受精能状態およびインビボ受精能獲得時間に基づいて、前記授精のための時間および受精を達成するために用いるべき前記生殖アプローチを示す、方法。
【請求項17】
雄が、少なくとも正常な精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され、
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
雄が、正常未満の精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)前の精子の前受精能獲得または子宮内授精(IUI)前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され、
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
雄が、少なくとも正常な精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
雄が、正常未満の精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
(i)前記生殖アプローチが、体外受精前の精子の前受精能獲得に対応し、前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(ii)前記生殖アプローチが、卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(iii)前記生殖アプローチが、配偶子卵管内移植法(GIFT)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;または(iv)前記生殖アプローチが、囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する、請求項16~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記時間および/または前記生殖アプローチが、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態、精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態ならびにそれらの組み合わせの1つ以上にまた基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンが、AA GM1局在化パターン、APM GM1局在化パターン、Lined-Cell GM1局在化パターン、INTER GM1局在化パターン、PAPM GM1局在化パターン、AA/PA GM1局在化パターン、ES GM1局在化パターンおよびDIFF GM1局在化パターンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記精子細胞が、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置される前に、冷凍保存手順で処置され、保存された、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
精子細胞の前記第1のサンプルおよび精子細胞の前記第2のサンプルが、6時間~12時間の範囲の固定時間にわたって固定液で処置される、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
精子細胞の前記第1のサンプルおよび精子細胞の前記第2のサンプルに対する前記受精能獲得時間が、3時間である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2015年12月23日に出願された米国仮出願番号第62/387,348号、2016年4月28日に出願された米国仮出願番号第62/328,876号、2016年1月15日に出願された米国仮出願番号第62/279,315号、2016年4月28日に出願された米国仮出願番号第62/328,885号、および2016年11月15日に出願された米国仮出願番号第62/422,279号の利益を主張しており、これら仮出願の各々は、その全体が援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して雄性受精能の分野に関し、より詳細には、受精を達成するために用いるべき生殖アプローチを識別する方法および/または受精を達成するために授精が行われる時間を変更する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
雄性不妊症の診断は、主に、濃度、全体的な運動性、前進運動性、体積、pH、粘度および/または形態に関する標準的な精液分析の結果に基づく。しかしながら、精子の形態、運動性および濃度の測定は、精子が雌性生殖輸管内に留まっている間に起こす複雑な変化を含む受精能力を評価しない。受精能力の評価に関連する難題に加えて、精子細胞を保存するため、および長期間にわたって雄性受精能を保つために、冷凍保存が用いられることが多い。残念なことに、凍結および融解は、精子の生存能および機能に悪影響を及ぼし得る。冷凍保存は、受精能獲得を変化させ、受精期間を移動させる/制限すると報告されている。
【0004】
新たに開発される受精能検査は、精子が受精する能力ならびに妊娠を惹起し、維持する能力を測定するべきである(Oehningerら、“Sperm functional tests,”Fertil Steril.102:1528-33(2014);Wangら、“Limitations of semen analysis as a test of male fertility and anticipated needs from newer tests,”Fertil Steril.102:1502-07(2014))。射精されたばかりの精子は、形態学的に成熟しているようにみえ、運動能力があるようにみえるが、受精能力がない。それらは、まず、精子を受精できるようにさせる「受精能獲得」として知られる成熟プロセスを経なければならない(Austin,“The capacitation of the mammalian sperm,”Nature,170:326(1952);Chang,“Fertilizing capacity of spermatozoa deposited into the fallopian tubes,”Nature,168:697-8(1951))。ほとんどの種において、受精能獲得は、精子の原形質膜からステロールが除去されること(ステロール流出)ならびに炭酸水素イオンおよびカルシウムイオンが流入することに依存する(Baldiら、“Intracellular calcium accumulation and responsiveness to progesterone in capacitating human spermatozoa,”J Androl.12:323-30(1991);Bedu-Addoら、“Bicarbonate and bovine serum albumin reversibly ‘switch’ capacitation-induced events in human spermatozoa,”Mol Hum Reprod.,11:683-91(2005);Cohenら、“Lipid modulation of calcium flux through Ca2.3 regulates acrosome exocytosis and fertilization,”Dev Cell.28:310-21(2014);Gadellaら、“Bicarbonate and its role in mammalian sperm function,”Anim.Reprod.Sci.82:307-19(2004))。精子の受精能獲得中に生じるステロールの流出は、膜の流動性パターンを変化させ、特定の膜成分の再分布を可能にする(Cohenら、2014;Cross,“Role of cholesterol in sperm capacitation,”Biol Reprod.59:7-11(1998);Selvarajら、“Mechanisms underlying the micron-scale segregation of sterols and GM1 in live mammalian sperm,”J Cell Physiol.218:522-36(2007);Selvarajら、“GM1 dynamics as a marker for membrane changes associated with the process of capacitation in murine and bovine spermatozoa,”J Androl.28:588-99(2009))。
【0005】
現在のところ、臨床応用に適した高感度かつ単純な受精能獲得バイオマーカーは、たとえあったとしても、わずかである。例えば、チロシン残基のリン酸化が、受精能獲得に関して十分詳述されている(Battistoneら、“Functional human sperm capacitation requires both bicarbonate-dependent PKA activation and down-regulation of Ser/Thr phosphatases by Src family kinases,”Mol,Human Reprod.19:570-80(2013);Osheroffら、“Regulation of human sperm capacitation by a cholesterol efflux-stimulated signal transduction pathway leading to protein kinase A-mediated up-regulation of protein tyrosine phosphorylation,”Mol,Human Reprod.5:1017-26(1999);Viscontiら、“Capacitation of mouse spermatozoa.I.Correlation between the capacitation state and protein tyrosine phosphorylation,”Development,121:1129-37(1995))。しかしながら、これらの事象の評価には、何日もかかることがあり、また、半定量的評価しか提供しないため、雄性受精能の臨床評価には適していない。
【0006】
精子は、受精できるようになるためにはステロール流出を起こさなければならないことがしばらくの間知られてきた(Osheroffら、1999;Travisら、“The role of cholesterol efflux in regulating the fertilization potential of mammalian spermatozoa,”The Journal of Clinical Investigation,110:731-36(2002))。さらに、コレステロールおよび他の脂質(例えば、ガングリオシドGM1)が、精子の原形質膜内でマイクロドメインへと組織化される(Asanoら、“Biochemical characterization of membrane fractions in murine sperm:Identification of three distinct sub-types of membrane rafts,”J Cell Physiol.,218:537-48(2009);Asanoら、“Characterization of the proteomes associating with three distinct membrane raft sub-types in murine sperm,”Proteomics,10:3494-505(2010);Travisら、“Expression and localization of caveolin-1,and the presence of membrane rafts,in mouse and Guinea pig spermatozoa,”Dev Biol.,240:599-610(2001);Selvarajら、2009)。これらの膜ラフトは、シグナル伝達経路を強化することから、精子機能の媒介の、理にかなった候補になっている。興味深いことに、GM1局在化パターンの予測可能な変化は、受精能獲得のために刺激されたマウスの精子と雄ウシの精子の両方において測定されてきた(Selvarajら、2007)。そのうえ、GM1は、R型カルシウムチャネルの活性を制御し、先体のエキソサイトーシス、ひいては受精成功に必須の一過性のカルシウム流動を引き起こす(Cohenら、2014)。これらの知見は、精子の機能、ゆえに雄性受精能を評価するためにGM1局在化パターンを使用できることを実証する。
【0007】
様々なGM1局在化パターンが識別されており、それらは、受精能獲得または受精能未獲得に関連している。特に、先体頂部(apical acrosome)(AA)のGM1局在化パターンおよび先体原形質膜(APM)のGM1局在化パターンが、ウシおよびヒトの精子において受精能獲得に関連している。精子の受精能獲得は、Cap-ScoreTM精子機能検査(「Cap-ScoreTM検査」または「Cap-Score」)によって生成されるCap-ScoreTM値として定量的に表現でき、([先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数+先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数]/標識されたGM1局在化パターンの総数)として定義され、ここで、各局在化パターンの数が計測され、次いで、最終的にパーセンテージスコアに変換される。APM GM1局在化パターンおよびAA GM1局在化パターンに加えて、他の標識された局在化パターンには、Lined-Cell GM1局在化パターン、中間部(INTER)GM1局在化パターン、先体後部(post acrosomal)原形質膜(PAPM)GM1局在化パターン、先体頂部/先体後部(AA/PA)GM1局在化パターン、赤道部(equatorial segment)(ES)GM1局在化パターンおよび散在性(DIFF)GM1局在化パターンが含まれた(Travisら、“Impacts of common semen handling methods on sperm function,”The Journal of Urology,195(4),e909(2016))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Oehningerら、“Sperm functional tests,”Fertil Steril.102:1528-33(2014)
【文献】Wangら、“Limitations of semen analysis as a test of male fertility and anticipated needs from newer tests,”Fertil Steril.102:1502-07(2014)
【文献】Austin,“The capacitation of the mammalian sperm,”Nature,170:326(1952)
【文献】Chang,“Fertilizing capacity of spermatozoa deposited into the fallopian tubes,”Nature,168:697-8(1951)
【文献】Baldiら、“Intracellular calcium accumulation and responsiveness to progesterone in capacitating human spermatozoa,”J Androl.12:323-30(1991)
【文献】Bedu-Addoら、“Bicarbonate and bovine serum albumin reversibly ‘switch’ capacitation-induced events in human spermatozoa,”Mol Hum Reprod.,11:683-91(2005)
【文献】Cohenら、“Lipid modulation of calcium flux through CaV2.3 regulates acrosome exocytosis and fertilization,”Dev Cell.28:310-21(2014)
【文献】Gadellaら、“Bicarbonate and its role in mammalian sperm function,”Anim.Reprod.Sci.82:307-19(2004)
【文献】Cohenら、2014;Cross,“Role of cholesterol in sperm capacitation,”Biol Reprod.59:7-11(1998)
【文献】Selvarajら、“Mechanisms underlying the micron-scale segregation of sterols and GM1 in live mammalian sperm,”J Cell Physiol.218:522-36(2007)
【文献】Selvarajら、“GM1 dynamics as a marker for membrane changes associated with the process of capacitation in murine and bovine spermatozoa,”J Androl.28:588-99(2009)
【文献】Battistoneら、“Functional human sperm capacitation requires both bicarbonate-dependent PKA activation and down-regulation of Ser/Thr phosphatases by Src family kinases,”Mol,Human Reprod.19:570-80(2013)
【文献】Osheroffら、“Regulation of human sperm capacitation by a cholesterol efflux-stimulated signal transduction pathway leading to protein kinase A-mediated up-regulation of protein tyrosine phosphorylation,”Mol,Human Reprod.5:1017-26(1999)
【文献】Viscontiら、“Capacitation of mouse spermatozoa.I.Correlation between the capacitation state and protein tyrosine phosphorylation,”Development,121:1129-37(1995)
【文献】Osheroffら、1999;Travisら、“The role of cholesterol efflux in regulating the fertilization potential of mammalian spermatozoa,”The Journal of Clinical Investigation,110:731-36(2002))
【文献】Asanoら、“Biochemical characterization of membrane fractions in murine sperm:Identification of three distinct sub-types of membrane rafts,”J Cell Physiol.,218:537-48(2009)
【文献】Asanoら、“Characterization of the proteomes associating with three distinct membrane raft sub-types in murine sperm,”Proteomics,10:3494-505(2010)
【文献】Travisら、“Expression and localization of caveolin-1,and the presence of membrane rafts,in mouse and Guinea pig spermatozoa,”Dev Biol.,240:599-610(2001);Selvarajら、2009)
【文献】Travisら、“Impacts of common semen handling methods on sperm function,”The Journal of Urology,195(4),e909(2016)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
ある実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第1のサンプルを蛍光標識で処置する。1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を得る。それらの画像は、蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示す。t-蛍光画像は、0.1時間~5時間;0.1時間~8時間;0.1~12時間;または0.1時間~18時間から選択されるインビトロ受精能獲得後時間(t)において得られる。t-蛍光画像において示された蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に対して、先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測して、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを求める。計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージに関連する受精能状態を判定し、ここで、35%超に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、高受精能状態を示し;35%より1標準偏差低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、中受精能状態を示し;35%より2標準偏差またはそれを超えて低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、低受精能状態を示す。計測されたt-[AA GM1局在化パターンおよびAPM GM1局在化パターン]のパーセンテージを、[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージと比較する。受精能状態に基づいて受精を達成するために生殖アプローチを識別する。
【0010】
雄が少なくとも正常な精子濃度を有する前述の実施形態の一例において、(i)高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得(pre-capacitating sperm)、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0011】
雄が正常未満の精子濃度を有する前述の実施形態の別の例において、(i)高受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0012】
前述の各実施形態の一例では、受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第2のサンプルを蛍光標識で処置し、ここで、その受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第2のサンプルおよび受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第1のサンプルは、同じ雄に関連する。蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示している1つまたはそれを超えるt-蛍光画像が得られ、ここで、t-蛍光画像は、受精能獲得後時間tにおいて得られ、ここで、tは、tより長い時間または18時間より長い時間から選択される。t-蛍光画像において示された蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に対する先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測して、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを求める。t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとを比較して、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間(late in vivo capacitation time)または12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間から選択されるインビボ受精能獲得時間を判定する。35%という標準から1標準偏差超の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間を示すか;または35%という標準から1標準偏差未満の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間を示す。さらに、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差超の値に対応するとき、t-受精能状態は、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージとの比較に基づいて判定されるか;または35%という標準から1標準偏差未満の値に対応するとき、t-受精能状態は、[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージと、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージまたは計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとの比較に基づいて判定される。雄のt-受精能状態およびインビボ受精能獲得時間に基づいて、授精のための時間および用いるべき生殖アプローチが、受精を達成するために識別される。
【0013】
雄が少なくとも正常な精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の一例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0014】
雄が正常未満の精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の一例において、(i)t-高受精能状態のための生殖アプローチは、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0015】
雄が少なくとも正常な精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0016】
雄が正常未満の精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0017】
ある実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞のサンプルを蛍光標識で処置し、受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞のサンプルを蛍光標識で処置する。1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を得る。それらのt-蛍光画像は、蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示す。また、1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を得る。そのt-蛍光は、蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示す。t-蛍光画像は、0.1時間~5時間;0.1時間~8時間;0.1~12時間;または0.1時間~18時間から選択されるインビトロ受精能獲得後時間(t)に得られ;t-蛍光画像は、受精能獲得後時間tにおいて得られ、ここで、tは、tより長い。t-蛍光画像において示された蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に対して、先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測して、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを求める。また、t-蛍光画像において示された蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に対して、先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測して、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを求める。t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージをt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと比較して、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間または12時間もしくはそれ未満の標準的なインビボ受精能獲得時間から選択されるインビボ受精能獲得時間を判定する。35%という標準から1標準偏差超の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間を示すか;または35%という標準から1標準偏差未満の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間を示す。35%超に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、高受精能状態を示し;35%より1標準偏差低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、中受精能状態を示し;35%より2標準偏差またはそれを超えて低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、低受精能状態を示す。さらに、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差超の値に対応するとき、t-受精能状態は、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージとの比較に基づいて判定されるか;またはt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差未満の値に対応するとき、t-受精能状態は、[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージと、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージまたは計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとの比較に基づいて判定される。雄のt-受精能状態およびインビボ受精能獲得時間に基づいて、受精を達成するために用いるべき授精のための時間および生殖アプローチが識別される。
【0018】
雄が少なくとも正常な精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の一例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0019】
雄が正常未満の精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態のための生殖アプローチは、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)前の精子の前受精能獲得または子宮内授精(IUI)前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0020】
雄が少なくとも正常な精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0021】
雄が正常未満の精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0022】
1つの実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する。蛍光標識で処置された受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示すデータを生成する。前記データは、0.1時間~5時間;0.1時間~8時間;0.1~12時間;または0.1時間~18時間(t);およびtより長い時間(t)から選択されるインビトロ受精能獲得後時間において得られる。次いで、それらの時点における1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンのデータを用いて、雄の受精能状態データを特徴づける。その雄の受精能状態データに基づいて、受精を達成するために用いるべき授精のための時間および生殖アプローチを識別する。1つの実施形態において、精子細胞を、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置する前に冷凍保存し、保管した。別の実施形態では、精子細胞をインビトロにおいて受精能獲得条件で処置し、それらの時点における1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンのデータを用いて受精能状態を評価し、次いで、精子を冷凍保存し、保管した。
【0023】
さらに別の実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する。蛍光標識された受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超える蛍光画像を得る。精子細胞をインビトロにおいて様々な長さの時間にわたって受精能獲得条件で処置した後、蛍光標識された受精能獲得したインビトロの精子サンプルに対するCap-Score値を計測する。そのCap-Score値を、それらの時点おける受精能状態が既知の雄に関連する参照Cap-Score値と比較する。そのCap-Score値に基づいて、授精のための時間および受精を達成するために用いる生殖アプローチを識別する。1つの実施形態では、精子細胞を、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置する前に冷凍保存し、保管した。別の実施形態では、精子細胞をインビトロにおいて受精能獲得条件で処置し、それらの時点における1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンのデータを用いて受精能状態を評価し、次いで、精子を冷凍保存し、保管した。
【0024】
さらに別の実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する。蛍光標識された受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超える蛍光画像を得る。精子細胞を冷凍保存手順で処置し、インビトロにおいて様々な長さの時間にわたって受精能獲得条件で処置した後、蛍光標識された受精能獲得したインビトロの精子サンプル対するCap-Score値を計測する。そのCap-Score値を、それらの時点おける受精能状態が既知の雄に関連する参照Cap-Score値と比較する。それらの時点におけるCap-Score値に基づいて、受精を達成するために用いるための、授精のための時間および生殖アプローチを識別する。
【0025】
なおもさらに別の実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する。それらの精子細胞を冷凍保存手順で処置し、インビトロにおいて様々な長さの時間にわたって受精能獲得条件で処置した後、受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示すデータを生成する。次いで、それらの時点における1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンのデータを用いて、雄の受精能状態データを特徴づける。その雄の受精能状態データに基づいて、受精を達成するために用いるべき授精のための時間および生殖アプローチを識別する。
【0026】
別の実施形態において、本開示は、哺乳動物の妊娠を成功させるために適切な方法を識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する。蛍光標識された受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超える蛍光画像を得る。蛍光標識された受精能獲得したインビトロの精子サンプルに対するCap-Score値を計測する。そのCap-Score値を、受精能力のある雄に関連する参照Cap-Score値と比較する。そのCap-Score値に基づいて、妊娠を成功させるのに適切な機構を明らかにする。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法であって、
受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第1のサンプルを蛍光標識で処置する工程;
蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるG M1 局在化パターンを示す1つまたはそれを超えるt -蛍光画像を得る工程であって、前記t -蛍光画像は、0.1時間~5時間;0.1時間~8時間;0.1~12時間;または0.1時間~18時間から選択されるインビトロ受精能獲得後時間(t )において得られる、工程;
前記t -蛍光画像において示された前記蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞に対する先体頂部(AA)G M1 局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)G M1 局在化パターンの数およびG M1 局在化パターンの総数を計測する工程であって、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージを求める工程;
計測されたt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージに関連する受精能状態を判定する工程であって;
ここで、35%超に対応する[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージは、高受精能状態を示し、35%より1標準偏差低い値に対応する[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージは、中受精能状態を示し;35%より2標準偏差またはそれを超えて低い値に対応する[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージは、低受精能状態を示す、工程;
計測されたt -[AA G M1 局在化パターンおよびAPM G M1 局在化パターン]のパーセンテージを[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の前記参照パーセンテージと比較する工程;および
受精を達成するために、受精能状態に基づいて生殖アプローチを識別する工程
を含む、方法。
(項目2)
雄が、少なくとも正常の精子濃度を有し、
高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または
低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目3)
雄が、正常未満の精子濃度を有し、
高受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または
低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
(i)前記生殖アプローチが、体外受精前の精子の前受精能獲得に対応し、前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(ii)前記生殖アプローチが、卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(iii)前記生殖アプローチが、配偶子卵管内移植法(GIFT)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;または(iv)前記生殖アプローチが、囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する、項目2または3のいずれかに記載の方法。
(項目5)
受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第2のサンプルを蛍光標識で処置する工程であって、ここで、受精能を獲得したインビトロの精子細胞の前記第2のサンプルおよび受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第1のサンプルは、同じ雄に関連している、工程;
蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるG M1 局在化パターンを示す1つまたはそれを超えるt -蛍光画像を得る工程であって、前記t -蛍光画像は、受精能獲得後時間t において得られ、t は、t より長い時間または18時間より長い時間から選択される、工程;
前記t -蛍光画像において示された前記蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞に対する先体頂部(AA)G M1 局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)G M1 局在化パターンの数およびG M1 局在化パターンの総数を計測する工程であって、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージを求める工程;
-[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージをt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージと比較する工程であって、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間または12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間から選択されるインビボ受精能獲得時間を判定する工程をさらに含み;
ここで、35%という標準から1標準偏差超の値に対応する、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間を示すか;または35%という標準から1標準偏差未満の値に対応する、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間を示し、
さらに、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差超の値に対応するとき、t -受精能状態は、計測されたt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージと[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージとの比較に基づいて判定されるか;またはt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差未満の値に対応するとき、t -受精能状態は、[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージと、計測されたt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージまたは計測されたt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとの比較に基づいて判定され;
前記雄のt -受精能状態およびインビボ受精能獲得時間に基づいて、授精のための時間および受精を達成するために用いるべき生殖アプローチを識別する、
項目4に記載の方法。
(項目6)
雄が、少なくとも正常な精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され、
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
項目5に記載の方法。
(項目7)
雄が、正常未満の精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され、
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
項目5に記載の方法。
(項目8)
雄が、少なくとも正常な精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
項目5に記載の方法。
(項目9)
雄が、正常未満の精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
項目5に記載の方法。
(項目10)
(i)前記生殖アプローチが、体外受精前の精子の前受精能獲得に対応し、前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(ii)前記生殖アプローチが、卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(iii)前記生殖アプローチが、配偶子卵管内移植法(GIFT)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;または(iv)前記生殖アプローチが、囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する、項目8または9のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記識別工程が、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態、精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態ならびにそれらの組み合わせの1つ以上にまた基づく、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記1つより多いG M1 局在化パターンが、AA G M1 局在化パターン、APM G M1 局在化パターン、Lined-Cell G M1 局在化パターン、INTER G M1 局在化パターン、PAPM G M1 局在化パターン、AA/PA G M1 局在化パターン、ES G M1 局在化パターンおよびDIFF G M1 局在化パターンを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記精子細胞が、少なくとも1時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間の受精能獲得時間;0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~24時間;12時間~24時間;または18時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたってインビトロにおいて受精能獲得条件で処置される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記受精能を獲得したインビトロの精子細胞が、少なくとも0.5時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間;少なくとも30時間;少なくとも36時間;または少なくとも48時間の固定時間、0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~18時間;6~18時間;6~24時間;12時間~24時間;18時間~24時間;18~30時間;18~36時間;24~30時間;24~26時間;18~48時間;24~48時間;または36~48時間の範囲の固定時間にわたって固定液で処置される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記精子細胞が、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置される前に、冷凍保存手順で処置され、保存された、項目14に記載の方法。
(項目16)
哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法であって、
受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞のサンプルを蛍光標識で処置する工程;
受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞のサンプルを蛍光標識で処置する工程;
蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるG M1 局在化パターンを示す1つまたはそれを超えるt -蛍光画像を得る工程、
蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるG M1 局在化パターンを示す1つまたはそれを超えるt -蛍光画像を得る工程であって、
前記t -蛍光画像は、0.1時間~5時間;0.1時間~8時間;0.1~12時間;または0.1時間~18時間から選択されるインビトロ受精能獲得後時間(t )において得られ;前記t -蛍光画像は、受精能獲得後時間t において得られ、ここで、t は、t より長い、工程;
前記t -蛍光画像において示された前記蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞に対する先体頂部(AA)G M1 局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)G M1 局在化パターンの数およびG M1 局在化パターンの総数を計測する工程であって、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージを求める工程;
前記t -蛍光画像において示された前記蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt -精子細胞に対する先体頂部(AA)G M1 局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)G M1 局在化パターンの数およびG M1 局在化パターンの総数を計測する工程であって、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージを求める工程;
-[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージをt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージと比較する工程であって、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間または12時間もしくはそれ未満の標準的なインビボ受精能獲得時間から選択されるインビボ受精能獲得時間を判定する工程を含み、
ここで、35%という標準から1標準偏差超の値に対応する、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間を示すか;または35%という標準から1標準偏差未満の値に対応する、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間を示し;
35%超に対応する[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージは、高受精能状態を示し;35%より1標準偏差低い値に対応する[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージは、中受精能状態を示し;35%より2標準偏差またはそれを超えて低い値に対応する[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージは、低受精能状態を示し;
さらに、t -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差超の値に対応するとき、t -受精能状態は、計測されたt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージと[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージとの比較に基づいて判定されるか;またはt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差未満の値に対応するとき、t -受精能状態は、[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]の参照パーセンテージと、計測されたt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージまたは計測されたt -[AA G M1 局在化パターン+APM G M1 局在化パターン]のパーセンテージとの比較に基づいて判定され;
前記雄のt -受精能状態およびインビボ受精能獲得時間に基づいて、授精のための時間および受精を達成するために用いるべき生殖アプローチを識別する
を含む、方法。
(項目17)
雄が、少なくとも正常な精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され、
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
項目16に記載の方法。
(項目18)
雄が、正常未満の精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)前の精子の前受精能獲得または子宮内授精(IUI)前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択され、
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
項目16に記載の方法。
(項目19)
雄が、少なくとも正常な精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、項目16に記載の方法。
(項目20)
雄が、正常未満の精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有し;
-高受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;
-中受精能状態に対する生殖アプローチが、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または
-低受精能状態に対する生殖アプローチが、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される、
項目16に記載の方法。
(項目21)
(i)前記生殖アプローチが、体外受精前の精子の前受精能獲得に対応し、前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(ii)前記生殖アプローチが、卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;(iii)前記生殖アプローチが、配偶子卵管内移植法(GIFT)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応するか;または(iv)前記生殖アプローチが、囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応し、授精前の前受精能獲得のための時間が、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する、項目17~20のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記識別工程が、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態、精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態ならびにそれらの組み合わせの1つ以上にまた基づく、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記1つより多いG M1 局在化パターンが、AA G M1 局在化パターン、APM G M1 局在化パターン、Lined-Cell G M1 局在化パターン、INTER G M1 局在化パターン、PAPM G M1 局在化パターン、AA/PA G M1 局在化パターン、ES G M1 局在化パターンおよびDIFF G M1 局在化パターンを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記精子細胞が、少なくとも1時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間の受精能獲得時間;0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~24時間;12時間~24時間;または18時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたってインビトロにおいて受精能獲得条件で処置される、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記受精能を獲得したインビトロの精子細胞が、少なくとも0.5時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間;少なくとも30時間;少なくとも36時間;または少なくとも48時間の固定時間、0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~18時間;6~18時間;6~24時間;12時間~24時間;18時間~24時間;18~30時間;18~36時間;24~30時間;24~26時間;18~48時間;24~48時間;または36~48時間の範囲の固定時間にわたって固定液で処置される、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記精子細胞が、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置される前に、冷凍保存手順で処置され、保存された、項目25に記載の方法。
(項目27)
哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法であって、
受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する工程;
前記蛍光標識で処置された受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超えるG M1 局在化パターンを示すデータを生成する工程であって、前記データは、0.1時間~18時間(t )または18時間超(t )から選択されるインビトロ受精能獲得後時間において得られる、工程;
前記インビトロ受精能獲得後時間における1つまたはそれを超えるG M1 局在化パターンの前記データに基づいて雄の受精能状態データを特徴づける工程;および
前記インビトロ受精能獲得後時間における前記雄の受精能状態データに基づいて、授精のための時間および受精を達成するために用いるべき生殖アプローチを識別する工程
を含む、方法。
(項目28)
前記精子細胞が、少なくとも1時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間の受精能獲得時間;0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~24時間;12時間~24時間;または18時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたってインビトロにおいて受精能獲得条件で処置される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記受精能を獲得したインビトロの精子細胞が、少なくとも0.5時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間;少なくとも30時間;少なくとも36時間;または少なくとも48時間の固定時間、0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~18時間;6~18時間;6~24時間;12時間~24時間;18時間~24時間;18~30時間;18~36時間;24~30時間;24~26時間;18~48時間;24~48時間;または36~48時間の範囲の固定時間にわたって固定液で処置される、項目27または28のいずれかに記載の方法。
(項目30)
前記精子細胞が、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置される前に、冷凍保存手順で処置され、保存された、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記特徴づけ工程が、
受精能を獲得したインビトロの精子細胞のG M1 局在化パターンを示すデータと、既知の受精能状態を有する雄に対する受精能を獲得したインビトロの精子細胞のG M1 局在化パターンを示すデータを比較すること
を含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記特徴づけ工程が、
所定の数の前記受精能を獲得したインビトロの精子細胞に対して、標識されたG M1 局在化パターンの各々の数を測定すること;
標識されたG M1 局在化パターンの総数の合計に対する、AA G M1 局在化パターンの数とAPM G M1 局在化パターンの数との合計の比を計算すること;および
M1 局在化パターンの前記比を、既知の受精能状態を有する雄に対するG M1 局在化パターンの参照比と比較すること
をさらに含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記雄の受精能状態データを、既知の雄性受精能状態および関連する既知の授精のための時間および関連する既知の生殖アプローチのデータと比較する工程をさらに含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記既知の受精能状態が、3時間以内の精子受精能獲得によって受精能力ありとなる状態;12時間以内の精子受精能獲得によって受精能力ありとなる状態、12~24時間の受精能獲得によって受精能力ありとなる状態;および受精能力が無い状態を含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記生殖アプローチが、性交;頸管内授精(ICI)、子宮内授精(IUI)、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、配偶子卵管内移植法(GIFT)および囲卵腔内精子注入法(SUZI)からなる群より選択される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記識別工程が、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態、精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態ならびにそれらの組み合わせの1つ以上にまた基づく、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記1つより多いG M1 局在化パターンが、AA G M1 局在化パターン、APM G M1 局在化パターン、Lined-Cell G M1 局在化パターン、INTER G M1 局在化パターン、PAPM G M1 局在化パターン、AA/PA G M1 局在化パターン、ES G M1 局在化パターンおよびDIFF G M1 局在化パターンである、項目36に記載の方法。
(項目38)
哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法であって、
受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する工程;
蛍光標識された受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超える蛍光画像を得る工程、
前記蛍光標識された受精能を獲得したインビトロの精子サンプルに対するCap-Score値を計測する工程であって、前記Cap-Score値は、8時間未満(t )、8時間~12時間の範囲(t )または12時間超(t )から選択されるインビトロ受精能獲得後時間において得られる、工程;
前記Cap-Score値を、前記インビトロ受精能獲得後時間における既知の受精能状態の雄に関連する参照Cap-Score値と比較する工程;および
前記インビトロ受精能獲得後時間における前記Cap-Score値に基づいて、授精のための時間および受精を達成するために用いるべき生殖アプローチを識別する工程
を含む、方法。
(項目39)
前記精子細胞が、少なくとも1時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間の受精能獲得時間;0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~24時間;12時間~24時間;または18時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたってインビトロにおいて受精能獲得条件で処置される、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記受精能を獲得したインビトロの精子細胞が、少なくとも0.5時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間;少なくとも30時間;少なくとも36時間;または少なくとも48時間の固定時間、0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~18時間;6~18時間;6~24時間;12時間~24時間;18時間~24時間;18~30時間;18~36時間;24~30時間;24~26時間;18~48時間;24~48時間;または36~48時間の範囲の固定時間にわたって固定液で処置される、項目38または39のいずれかに記載の方法。
(項目41)
前記精子細胞が、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置される前に、冷凍保存手順で処置され、保存された、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記Cap-Score値を、既知の雄性受精能状態および関連する既知の授精のための時間および関連する既知の生殖アプローチに対する参照Cap-Score値と比較する工程をさらに含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記既知の受精能状態が、3時間以内の精子受精能獲得によって受精能力ありとなる状態;12時間以内の精子受精能獲得によって受精能力ありとなる状態、12~24時間の受精能獲得によって受精能力ありとなる状態;および受精能力が無い状態を含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記生殖アプローチが、性交;頸管内授精(ICI)、子宮内授精(IUI)、体外受精(IVF)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、体外受精前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)および囲卵腔内精子注入法(SUZI)からなる群より選択される、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記識別工程が、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態 精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態ならびにそれらの組み合わせの1つ以上にさらに基づく、項目44に記載の方法。
(項目46)
Cap-Scoreが、標識されたG M1 局在化パターンの総数の合計に対する、AA
M1 局在化パターンの数とAPM G M1 局在化パターンの数との合計の比に対応し、前記標識されたG M1 局在化パターンの各々は、受精能獲得したインビトロの精子サンプルに対して測定される、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記1つまたはそれを超える標識されたG M1 局在化パターンが、AA G M1 局在化パターン、APM G M1 局在化パターン、Lined-Cell G M1 局在化パターン、INTER G M1 局在化パターン、PAPM G M1 局在化パターン、AA/PA
M1 局在化パターン、ES G M1 局在化パターンおよびDIFF G M1 局在化パターンを含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
哺乳動物の妊娠を成功させるために適切な機構を識別する方法であって、
受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する工程;
蛍光標識された受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超える蛍光画像を得る工程;
前記蛍光標識された受精能獲得したインビトロの精子サンプルに対するCap-Score値を計測する工程;
前記Cap-Score値を、既知の受精能状態の雄に関連する参照Cap-Score値と比較する工程;および
前記Cap-Score値に基づいて、授精のための時間および受精を達成するために用いるべき生殖アプローチを識別する工程
を含む、方法。
(項目49)
前記判定工程が、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態 精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態のうちの1つまたはそれを超えるものにも基づく、項目48に記載の方法。
(項目50)
精子膜の剪断を防止するのに十分な直径サイズの開口部を有する広口ピペットを用いて精液サンプルを処理する工程;および
精子膜を損傷し得る試薬を使用せずに前記精液サンプルを処理する工程
をさらに含む、項目48または49のいずれかに記載の方法。
(項目51)
精子膜を損傷し得る試薬を使用せずに前記精液サンプルを処理する工程が、
前記処理された精液サンプルを受精能獲得培地、固定液、およびG M1 局在化パターンを測定するための試薬に曝露すること
を含む、項目50に記載の方法。
(項目52)
精子膜を損傷し得る試薬が、(i)プロテアーゼ;(ii)ヌクレアーゼ、(iii)粘液溶解薬;(iv)リパーゼ;(v)エステラーゼおよび(vi)グリコシドヒドロラーゼからなる群より選択される、項目51に記載の方法。
(項目53)
Cap-Scoreについてのパーセント変化が個体内で最小になるように、1つまたはそれを超える標識されたG M1 局在化パターンに対する集団サイズを決定する工程
をさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記1つまたはそれを超える標識されたG M1 局在化パターンが、AA G M1 局在化パターン、APM G M1 局在化パターン、Lined-Cell G M1 局在化パターン、中間部(INTER)G M1 局在化パターン、先体後部原形質膜(PAPM)G M1 局在化パターン、先体頂部/先体後部(AA/PA)G M1 局在化パターン、赤道部(ES)G M1 局在化パターンおよび散在性(DIFF)G M1 局在化パターンを含む、項目53に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0027】
前述の要旨ならびに以下の発明の詳細な説明は、添付の図面とともに読むと、よりよく理解される。
【0028】
図1A図1Aは、x軸に示されている平均Cap-Scoreおよびy軸に示されている対応する標準偏差のプロットを示している。すべての画像に対する平均SDが3であることが見出され、それは横実線によって示されている。点線は、SDの一次従属性を示している(y=0.06x+0.02;r=0.69;p=0.00)。
【0029】
図1B図1Bは、x軸に示されている平均Cap-Scoreおよびy軸に示されている変動係数のプロットを示している。すべての画像に対するCoVが13であることが見出され、それは横実線によって示されている。点線は、平均Cap-Scoreに対するCoVの一次従属性を示している(y=-0.32x+0.22;r=-0.84;p=0.00)。
【0030】
図2A図2Aは、操作者間のCap-Score平均値の再現性を示している。各々最大5,000個の精子を含む10枚のつなぎあわされた画像を、「正常未満」(正常な雄の集団に対するCap-Score平均値の結果より1SD超低い)に対して得た。2人の異なる判読者が、各画像を20回ランダムにリサンプリングし、各回150個の細胞をカウントすることによってCap-Scoreを測定した(判読者1が白色バー、判読者2が灰色バー)。
【0031】
図2B図2Bは、操作者間のCap-Score平均値の再現性を示している。各々最大5,000個の精子を含む10枚のつなぎあわされた画像を、正常な雄の集団に対するCap-Score平均値の結果より1SD低いと上記のように分類される「推定正常」に対して得た。2人の異なる判読者が、各画像を20回ランダムにリサンプリングし、各回150個の細胞をカウントすることによってCap-Scoreを測定した(判読者1が白色バー、判読者2が灰色バー)。
【0032】
図3A図3Aは、操作者間のCap-Score分散の再現性を示している。各々最大5,000個の精子を含む10枚のつなぎあわされた画像を、「正常未満」(正常な雄の集団に対するCap-Score平均値の結果より1SD超低い)に対して得た。2人の異なる判読者が、各画像を20回ランダムにリサンプリングし、各回150個の細胞をカウントすることによってCap-Scoreを測定した(判読者1が白色バー、判読者2が灰色バー)。
【0033】
図3B図3Bは、操作者間のCap-Score分散の再現性を示している。各々最大5,000個の精子を含む10枚のつなぎあわされた画像を、正常な雄の集団に対するCap-Score平均値の結果より1SD低いと上記のように分類される「推定正常」に対して得た。2人の異なる判読者が、各画像を20回ランダムにリサンプリングし、各回150個の細胞をカウントすることによってCap-Scoreを測定した(判読者1が白色バー、判読者2が灰色バー)。
【0034】
図4図4は、正常なヒト精子、およびインビトロ受精能獲得条件下で形成する不妊雄の精子におけるGM1の様々な局在化パターンを示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
本明細書中に記載されるように、精子が受精能獲得するための時間は、異なる雄の間および異なる雄の中で異なる。雄の精子受精能獲得のための時間を判定することを用いることにより、授精のための時間、および受精を達成するためにその授精の時間の間に用いるべき生殖アプローチを識別することができることが発見された。
【0036】
M1は、モノシアロテトラヘキソシルガングリオシドのことを指し、ガングリオシドのガングリオシリーズのメンバーである。
【0037】
ヒトの精子の場合、精子がインビトロの受精能獲得条件下に置かれたとき、図4に示されているような8つの異なるGM1局在化パターンが報告されている。位置パターンを可視化するために、受精能を獲得した精子を、検出可能な蛍光標識を有する、GM1に対する標識分子(例えば、コレラ毒素b)で処置した。
【0038】
INTERは、蛍光シグナルの大部分が赤道部の周りに帯として存在し、先体を覆っている原形質膜にいくらかのシグナルがある、精子細胞を特徴とする。通常、その蛍光シグナルには勾配があり、大部分が赤道部にあり、先端に向かって徐々に少なくなっていく。精子頭部の縁において赤道部を横断する帯で蛍光シグナル強度が高まっていることが多い。
【0039】
先体頂部「AA」は、頂端に向かって蛍光シグナルが濃縮されており、明るさが強く、シグナルを有する面積が減少している、精子細胞を特徴とする。
【0040】
先体原形質膜「APM」は、先体を覆っている原形質膜に、分散した蛍光シグナルを示す精子細胞を特徴とする。APMのシグナルは、赤道の明るいINTER帯から先端に向かって頂端に移動して見られるか、またはAAとの連続体であるように、さらに上から始まり先端に向かって、より小さい領域で見られる。
【0041】
先体後部原形質膜「PAPM」は、蛍光シグナルがもっぱら先体後部の原形質膜に存在する精子細胞を特徴とする。
【0042】
先体頂部先体後部「AA/PA」は、蛍光シグナルが、先体を覆っている原形質膜と先体後部の原形質膜の両方に位置する精子細胞を特徴とする。赤道部は、蛍光シグナルを示さない。
【0043】
赤道部「ES」は、明るい蛍光シグナルがもっぱら赤道部に位置する精子細胞を特徴とする。赤道部「ES」は、赤道領域を横断する精子頭部の肥厚を伴うことがある。
【0044】
散在性「DIFF」は、散在した蛍光シグナルが精子頭部全体にわたって位置する精子細胞を特徴とする。
【0045】
Lined-Cellは、先体後部領域および先体を覆っている原形質膜の上部ならびに赤道部の下部に散在性の蛍光シグナル(すなわち、先体後部/赤道の帯)を有する精子細胞を特徴とする。蛍光シグナルは、赤道部の周囲には見られない。
【0046】
検出可能な蛍光標識を有する、GM1に対する標識分子(例えば、コレラ毒素b)で精子細胞を処置することによって、様々なGM1局在化パターンが識別される。次いで、標識された精子細胞は、当業者に公知のように蛍光顕微鏡を用いて可視化される。
【0047】
Cap-Scoreは、[先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数+先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数]を[標識されたGM1局在化パターンの総数]で除算した比と定義される(Travisら、“Impacts of common semen handling methods on sperm function,”The Journal of Urology,195(4),e909(2016))。異なるGM1局在化パターンの数に到達するために、少なくとも100個の精子細胞に対して、局在化パターンの数を数える。
【0048】
本願の目的で、「t」は、インビトロの受精能獲得条件で精子細胞を処置した後の時間の長さに対応し、0.1時間~5時間;0.1時間~8時間;0.1~12時間;または0.1時間~18時間から選択される。
【0049】
本願の目的で、「t」は、インビトロの受精能獲得条件で精子細胞を処置した後の時間の長さに対応し、18時間より長いかまたはtより長い。
【0050】
本願の目的で、画像は、(i)デジタル画像;(ii)操作者が接眼レンズを通して直接見たGM1パターン;または(iii)フローサイトメトリーによって識別されたGM1パターンを意味すると理解される。
【0051】
本願の目的で、「授精」は、生殖アプローチに依存した意味を有すると理解される。例えば、「性交」の場合、授精は、精子が雌の生殖管に入っていくことを意味すると理解される。例えば、「頸管内授精(ICI)」の場合、授精は、精子が雌の子宮頸部に入っていくことを意味すると理解される。「子宮内授精(IUI)」の場合、授精は、精子が雌の子宮に入ったときのことを意味すると理解される。「体外受精(IVF)」の場合、授精は、卵細胞(卵母細胞)を含む培地の液滴に精子を入れて、精子と卵細胞との同時のインキュベーションが可能になったときのことを意味すると理解される。「体外受精前の精子の前受精能獲得」の場合、授精は、卵細胞(卵母細胞)を含む培地の液滴に精子を入れて、精子と卵細胞との同時のインキュベーションが可能になったときのことを意味すると理解される。「卵細胞質内精子注入法(ICSI)」の場合、授精は、精子または事前に受精能を獲得した精子を卵細胞内に注入することを意味すると理解される。「配偶子卵管内移植法(GIFT)」の場合、授精は、精子または事前に受精能を獲得した精子および卵細胞を雌のファロピウス管に注入することを意味すると理解される。「囲卵腔内精子注入法(SUZI)」の場合、授精は、単一の精子細胞または単一の事前に受精能を獲得した精子細胞を透明帯の直下に注入することを意味すると理解される。本願の目的で、用語「冷凍保存」とは、使用するために細胞を凍結、保管および解凍するプロセス全体のことを指す。
【0052】
下記の本明細書中で使用されるとき、雄は、哺乳動物である。ある実施形態において、雄は、ヒトである。別の実施形態において、雄は、非ヒト哺乳動物である。1つのそのような実施形態において、雄は、コンパニオンアニマルである。別の実施形態において、雄は、農業用動物である。1つのそのような実施形態において、雄は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ科動物(camellid)またはスイギュウである。
【0053】
ある実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第1のサンプルを蛍光標識で処置する。1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を得る。それらの画像は、蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示す。それらのt-蛍光画像は、0.1時間~5時間;0.1時間~8時間;0.1~12時間;または0.1時間~18時間から選択されるインビトロ受精能獲得後時間(t)において得られる。t-蛍光画像において示された蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に対して、先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測して、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを求める。計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージに関連する受精能状態を判定し、ここで、35%超に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、高受精能状態を示し;35%より1標準偏差低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、中受精能状態を示し;35%より2標準偏差またはそれを超えて低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、低受精能状態を示す。計測されたt-[AA GM1局在化パターンおよびAPM GM1局在化パターン]のパーセンテージを、[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージと比較する。受精を達成するために、受精能状態に基づいて生殖アプローチを識別する。
【0054】
雄が少なくとも正常な精子濃度を有する前述の実施形態の一例において、(i)高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0055】
雄が正常未満の精子濃度を有する前述の実施形態の別の例において、(i)高受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0056】
精子が事前に受精能を獲得し、生殖アプローチが体外受精前の精子の前受精能獲得に対応する前述の実施形態の場合、前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する。
【0057】
精子が事前に受精能を獲得し、生殖アプローチが卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応する実施形態の場合、授精前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する。
【0058】
精子が事前に受精能を獲得し、生殖アプローチが配偶子卵管内移植法(GIFT)に対応する実施形態の場合、授精前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する。
【0059】
精子が事前に受精能を獲得し、生殖アプローチが囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応する実施形態の場合、授精前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する。
【0060】
前述の各実施形態の一例において、受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第2のサンプルを蛍光標識で処置する(ここで、その受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第2のサンプルおよび受精能を獲得したインビトロの精子細胞の第1のサンプルは、同じ雄に関連する)。蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示している1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を得る。t-蛍光画像は、受精能獲得後時間tにおいて得られ、ここで、tは、tより長い時間または18時間より長い時間から選択される。t-蛍光画像において示された蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に対する先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測して、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを求める。t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと比較することにより、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間または12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間から選択されるインビボ受精能獲得時間を判定する。35%という標準から1標準偏差超の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間を示すか;または35%という標準から1標準偏差未満の値に対応するt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間を示す。さらに、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差超の値に対応するとき、t-受精能状態は、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージとの比較に基づいて判定されるか;またはt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差未満の値に対応するとき、t-受精能状態は、[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージと、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージまたは計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとの比較に基づいて判定される。雄のt-受精能状態およびインビボ受精能獲得時間に基づいて、受精を達成するために、授精のための時間および用いるべき生殖アプローチが識別される。
【0061】
雄が少なくとも正常な精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の一例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0062】
雄が正常未満の精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の一例において、(i)t-高受精能状態のための生殖アプローチは、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0063】
雄が少なくとも正常な精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0064】
雄が正常未満の精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0065】
精子が事前に受精能を獲得し、生殖アプローチが体外受精前の精子の前受精能獲得に対応する前述の実施形態の場合、前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する。
【0066】
精子が事前に受精能を獲得し、生殖アプローチが卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応する実施形態の場合、授精の前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する。
【0067】
精子が事前に受精能を獲得し、生殖アプローチが配偶子卵管内移植法(GIFT)に対応する実施形態の場合、授精の前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する。
【0068】
精子が事前に受精能を獲得し、生殖アプローチが囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応する実施形態の場合、授精の前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間インキュベートすることに対応する。
【0069】
前述の各実施形態の一例において、識別する工程は、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態、精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態ならびにそれらの組み合わせの1つ以上にまた基づく。
【0070】
前述の各実施形態の一例において、1つより多いGM1局在化パターンは、AA GM1局在化パターン、APM GM1局在化パターン、Lined-Cell GM1局在化パターン、INTER GM1局在化パターン、PAPM GM1局在化パターン、AA/PA GM1局在化パターン、ES GM1局在化パターンおよびDIFF GM1局在化パターンを含む。
【0071】
前述の各実施形態の一例において、精子細胞は、少なくとも1時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間という受精能獲得時間;0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~24時間;12時間~24時間;または18時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたってインビトロにおいて受精能獲得条件で処置される。
【0072】
前述の各実施形態の一例において、受精能を獲得したインビトロの精子細胞は、少なくとも0.5時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間;少なくとも30時間;少なくとも36時間;または少なくとも48時間という固定時間、0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~18時間;6~18時間;6~24時間;12時間~24時間;18時間~24時間;18~30時間;18~36時間;24~30時間;24~26時間;18~48時間;24~48時間;または36~48時間の範囲の固定時間にわたって固定液で処置される。
【0073】
前述の各実施形態の一例において、精子細胞は、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置する前に冷凍保存手順で処置され、保管された。
【0074】
ある実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞のサンプルを蛍光標識で処置し、受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞のサンプルを蛍光標識で処置する。1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を得る。それらのt-蛍光画像は、蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示す。また、1つまたはそれを超えるt-蛍光画像を得る。そのt-蛍光は、蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に関連する1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示す。t-蛍光画像は、0.1時間~5時間;0.1時間~8時間;0.1~12時間;または0.1時間~18時間から選択されるインビトロ受精能獲得後時間(t)において得られ;t-蛍光画像は、受精能獲得後時間tにおいて得られ、ここで、tは、tより長い。t-蛍光画像において示された蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に対して、先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測して、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを求める。また、t-蛍光画像において示された蛍光標識された受精能を獲得したインビトロのt-精子細胞に対して、先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数およびGM1局在化パターンの総数を計測して、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージを求める。t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージをt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと比較して、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間または12時間もしくはそれ未満の標準的なインビボ受精能獲得時間から選択されるインビボ受精能獲得時間を判定する。35%という標準から1標準偏差超の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間超の遅いインビボ受精能獲得時間を示すか;または35%という標準から1標準偏差未満の値に対応する、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差は、12時間未満の標準的なインビボ受精能獲得時間を示す。35%超に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、高受精能状態を示し;35%より1標準偏差低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、中受精能状態を示し;35%より2標準偏差またはそれを超えて低い値に対応する[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージは、低受精能状態を示す。さらに、t-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差超の値に対応するとき、t-受精能状態は、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージと[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージとの比較に基づいて判定されるか;またはt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージの差が、35%という標準から1標準偏差未満の値に対応するとき、t-受精能状態は、[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]の参照パーセンテージと、計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージまたは計測されたt-[AA GM1局在化パターン+APM GM1局在化パターン]のパーセンテージとの比較に基づいて判定される。雄のt-受精能状態およびインビボ受精能獲得時間に基づいて、受精を達成するために用いるべき授精のための時間および生殖アプローチが識別される。
【0075】
雄が少なくとも正常な精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の一例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0076】
雄が正常未満の精子濃度および遅いインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態のための生殖アプローチは、性交のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精(ICI)前の精子の前受精能獲得または子宮内授精(IUI)前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;子宮内授精(IUI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;配偶子卵管内移植法(GIFT)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること;囲卵腔内精子注入法(SUZI)のタイミングを遅いインビボ受精能獲得時間に変更すること、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0077】
雄が少なくとも正常な精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、性交、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得;子宮内授精(IUI);子宮内授精前の精子の前受精能獲得;または体外受精(IVF)もしくは体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0078】
雄が正常未満の精子濃度および標準的なインビボ受精能獲得時間を有する前述の実施形態の別の例において、(i)t-高受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか;(ii)t-中受精能状態に対する生殖アプローチは、頸管内授精(ICI)、頸管内授精前の精子の前受精能獲得、子宮内授精(IUI)または子宮内授精前の精子の前受精能獲得;体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得からなる群より選択されるか、または(iii)t-低受精能状態に対する生殖アプローチは、体外受精(IVF)、体外受精前の精子の前受精能獲得、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、卵細胞質内精子注入法の前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)、配偶子卵管内移植法の前の精子の前受精能獲得、囲卵腔内精子注入法(SUZI)または囲卵腔内精子注入法の前の精子の前受精能獲得からなる群より選択される。
【0079】
前述の各実施形態の一例において、識別する工程は、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態、精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態ならびにそれらの組み合わせの1つ以上にまた基づく。
【0080】
前述の各実施形態の一例において、1つより多いGM1局在化パターンは、AA GM1局在化パターン、APM GM1局在化パターン、Lined-Cell GM1局在化パターン、INTER GM1局在化パターン、PAPM GM1局在化パターン、AA/PA GM1局在化パターン、ES GM1局在化パターンおよびDIFF GM1局在化パターンを含む。
【0081】
前述の各実施形態の一例において、精子細胞は、少なくとも1時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間という受精能獲得時間;0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~24時間;12時間~24時間;または18時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたってインビトロにおいて受精能獲得条件で処置される。
【0082】
前述の各実施形態の一例において、受精能を獲得したインビトロの精子細胞は、少なくとも0.5時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間;少なくとも30時間;少なくとも36時間;または少なくとも48時間という固定時間、0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~18時間;6~18時間;6~24時間;12時間~24時間;18時間~24時間;18~30時間;18~36時間;24~30時間;24~26時間;18~48時間;24~48時間;または36~48時間の範囲の固定時間にわたって固定液で処置される。
【0083】
前述の各実施形態の一例において、精子細胞は、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置する前に冷凍保存手順で処置され、保管された。
【0084】
1つの実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する。蛍光標識で処置された受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンを示すデータを生成する。前記データは、0.1時間~5時間;0.1時間~8時間;0.1~12時間;または0.1時間~18時間(t);およびtより長い時間(t)から選択されるインビトロ受精能獲得後時間において得られる。次いで、それらの時点における1つまたはそれを超えるGM1局在化パターンのデータを用いて、雄の受精能状態データを特徴づける。その雄の受精能状態データに基づいて、受精を達成するために用いるべき授精のための時間および生殖アプローチを識別する。1つの実施形態において、精子細胞は、インビトロにおいて受精能獲得条件で処置する前に冷凍保存され、保管された。
【0085】
1つのそのような実施形態において、精子細胞は、インビトロにおいて、少なくとも1時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間の受精能獲得時間;0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~24時間;12時間~24時間;または18時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたって受精能獲得条件で処置される。1つの実施形態において、受精能獲得条件は、インビトロにおける2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンへの曝露を含む。別の実施形態において、非受精能獲得条件は、インビトロにおいて様々な長さの時間にわたって炭酸水素イオン、カルシウムイオン、およびステロール流出のメディエーター(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)のいずれへの曝露も行わないことを含む。
【0086】
1つのそのような他の実施形態において、受精能を獲得したインビトロの精子細胞は、少なくとも0.5時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間の固定時間;0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~24時間;12時間~24時間;または18時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたって固定液で処置される。1つの実施形態において、固定液は、パラホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドを含む。
【0087】
前述の実施形態の一例において、雄の受精能状態データは、受精能を獲得したインビトロの精子細胞のGM1局在化パターンを示すデータを、受精能状態が既知である雄に対する受精能を獲得したインビトロの精子細胞のGM1局在化パターンを示す参照データと比較することによって特徴づけられる。1つのそのような実施形態において、所定の数の受精能を獲得したインビトロの精子細胞に対して、標識された各GM1局在化パターンの数が測定される。次いで、標識されたGM1局在化パターンの総数の合計に対する、先体頂部(AA)GM1局在化パターンの数と先体原形質膜(APM)GM1局在化パターンの数との合計の比が計算される。次いで、そのGM1局在化パターンの比は、受精能状態が既知である雄に対する局在化パターンの参照比と比較される。そのような実施形態において、その1つより多いGM1局在化パターンは、先体頂部(AA)GM1局在化パターン、先体原形質膜(APM)GM1局在化パターン、Lined-Cell GM1局在化パターン、中間部(INTER)GM1局在化パターン、先体後部原形質膜(PAPM)GM1局在化パターン、先体頂部/先体後部(AA/PA)GM1局在化パターン、赤道部(ES)GM1局在化パターンおよび散在性(DIFF)GM1局在化パターンに対応する。
【0088】
前述の実施形態の別の例において、雄の受精能状態データは、既知の授精のための時間に関連しかつ既知の生殖アプローチに関連する既知の雄性受精能状態のデータと比較される。そのような実施形態において、既知の受精能状態には、3時間以内の精子受精能獲得によって受精能力ありとなる状態;12時間以内の精子受精能獲得によって受精能力ありとなる状態、12~24時間の受精能獲得によって受精能力ありとなる状態;および受精能力が無い状態が含まれる。
【0089】
前述の実施形態において、生殖アプローチは、自然な授精アプローチおよび当該分野で公知のような人工の授精アプローチに対応し得る。1つの実施形態において、生殖アプローチには、性交;頸管内授精(ICI)、子宮内授精(IUI)、体外受精(IVF)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、体外受精前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)および囲卵腔内精子注入法(SUZI)が含まれる。
【0090】
生殖アプローチが性交に対応する実施形態の場合、性交のための時間は、超音波検査によって可視化されるとき、雌の排卵のタイミングに対して決定され、かつ/あるいは月経周期のタイミング、排卵タイミングキットの使用、体温の変化、または卵胞成長および排卵を誘導するためにデザインされた1種もしくはそれを超えるホルモンの1回もしくはそれを超える注射に対するタイミングに基づいて予測される。例えば、授精時間は、排卵時間の96時間前;排卵時間の72時間前;排卵時間の48時間前;排卵時間の24時間前;排卵時間の12時間前;排卵時間の6時間前;または排卵時間に対応し得る。
【0091】
生殖アプローチがICIまたはIUIに対応する実施形態の場合、授精のための時間は、超音波検査によって可視化されるとき、雌の排卵のタイミングに対して決定され、かつ/あるいは月経周期のタイミング、排卵タイミングキットの使用、体温の変化、または卵胞成長および排卵を誘導するためにデザインされた1種もしくはそれを超えるホルモンの1回もしくはそれを超える注射に対するタイミングに基づいて予測される。例えば、授精時間は、排卵時間の96時間前;排卵時間の72時間前;排卵時間の48時間前;排卵時間の24時間前;排卵時間の12時間前;排卵時間の6時間前;または排卵時間に対応し得る。
【0092】
生殖アプローチがIVFに対応する実施形態の場合、授精のための時間は、前核形成の判定の3時間前;前核形成の判定の4時間前;前核形成の判定の6時間前;前核形成の判定の12時間前;前核形成の判定の18時間前;前核形成の判定の24時間前;または前核形成の判定の30時間前に対応する。
【0093】
生殖アプローチが体外受精前の精子の前受精能獲得に対応する実施形態の場合、前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間にわたってインキュベートすることに対応する。
【0094】
生殖アプローチが卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応する実施形態の場合、授精前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間にわたってインキュベートすることに対応する。
【0095】
生殖アプローチが配偶子卵管内移植法(GIFT)に対応する実施形態の場合、授精前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間にわたってインキュベートすることに対応する。
【0096】
生殖アプローチが囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応する実施形態の場合、授精前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間にわたってインキュベートすることに対応する。
【0097】
前述の実施形態のいくつかの場合において、授精のため時間および生殖アプローチを識別するために他のパラメータを使用してもよい。その他のパラメータとしては、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態、精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態ならびにそれらの組み合わせのうちの1つまたはそれを超えるものが挙げられ得る。
【0098】
別の実施形態において、本開示は、哺乳動物の受精を達成するためのアプローチを識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する。蛍光標識された受精能を獲得したインビトロの精子細胞1つまたはそれを超える蛍光画像を得る。精子細胞をインビトロにおいて様々な長さの時間にわたって受精能獲得条件で処置した後、蛍光標識された受精能獲得したインビトロの精子サンプルに対するCap-Score値を計測する。そのCap-Score値を、それらの時点おける、受精能状態が既知の雄に関連する参照Cap-Score値と比較する。そのCap-Score値に基づいて、受精を達成するために用いるための授精のための時間および生殖アプローチを識別する。
【0099】
1つのそのような実施形態において、精子細胞は、インビトロにおいて少なくとも1時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間の受精能獲得時間;0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~24時間;12時間~24時間;または18時間~24時間の範囲の受精能獲得時間にわたって受精能獲得条件で処置される。別の実施形態において、非受精能獲得条件は、インビトロにおいて様々な長さの時間にわたって、炭酸水素イオン、カルシウムイオン、およびステロール流出のメディエーター(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)のいずれへの曝露も行わないことを含む。
【0100】
1つの他のそのような実施形態において、受精能を獲得したインビトロの精子細胞は、少なくとも0.5時間;少なくとも3時間;少なくとも12時間;少なくとも18時間;少なくとも24時間;少なくとも30時間;少なくとも36時間;または少なくとも48時間の時間、0.5時間~3時間;3時間~12時間;6時間~12時間;3時間~18時間;6~18時間;6~24時間;12時間~24時間;18時間~24時間;18~30時間;18~36時間;24~30時間;24~26時間;18~48時間;24~48時間;または36~48時間の範囲の固定時間にわたって固定液で処置される。1つの実施形態において、固定液は、パラホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドを含む。
【0101】
前述の実施形態の一例において、Cap-Score値は、既知の授精のための時間に関連しかつ既知の生殖アプローチに関連する既知の雄性受精能状態に対する参照Cap-Score値と比較される。そのような実施形態において、既知の受精能状態には、3時間以内の精子受精能獲得によって受精能力ありとなる状態;12時間以内の精子受精能獲得によって受精能力ありとなる状態、12~24時間の受精能獲得によって受精能力ありとなる状態;および受精能力が無い状態が含まれる。
【0102】
前述の(forgoing)実施形態の場合において、Cap-Scoreは、標識されたGM1局在化パターンの総数の合計に対する、AA GM1局在化パターンの数とAPM GM1局在化パターンの数の合計(各々が、受精能獲得したインビトロの精子サンプルに対して測定される)の比に対応する。そのような実施形態において、1つまたはそれを超える標識されたGM1局在化パターンは、AA GM1局在化パターン、APM GM1局在化パターン、Lined-Cell GM1局在化パターン、INTER GM1局在化パターン、PAPM GM1局在化パターン、AA/PA GM1局在化パターン、ES GM1局在化パターンおよびDIFF GM1局在化パターンを含む。
【0103】
前述の実施形態において、生殖アプローチは、自然な授精アプローチおよび当該分野で公知のような人工の授精アプローチに対応し得る。1つの実施形態において、生殖アプローチには、性交;頸管内授精(ICI)、子宮内授精(IUI)、体外受精(IVF)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、体外受精前の精子の前受精能獲得、配偶子卵管内移植法(GIFT)および囲卵腔内精子注入法(SUZI)が含まれる。
【0104】
生殖アプローチが性交に対応する実施形態の場合、性交のための時間は、超音波検査によって可視化されるとき、雌の排卵のタイミングに対して決定され、かつ/あるいは月経周期のタイミング、排卵タイミングキットの使用、体温の変化、または卵胞成長および排卵を誘導するためにデザインされた1種もしくはそれを超えるホルモンの1回もしくはそれを超える注射に対するタイミングに基づいて予測される。例えば、授精時間は、排卵時間の96時間前;排卵時間の72時間前;排卵時間の48時間前;排卵時間の24時間前;排卵時間の12時間前;排卵時間の6時間前;または排卵時間に対応し得る。
【0105】
生殖アプローチがICIまたはIUIに対応する実施形態の場合、授精のための時間は、超音波検査によって可視化されるとき、雌の排卵のタイミングに対して決定され、かつ/あるいは月経周期のタイミング、排卵タイミングキットの使用、体温の変化、または卵胞成長および排卵を誘導するためにデザインされた1種もしくはそれを超えるホルモンの1回もしくはそれを超える注射に対するタイミングに基づいて予測される。例えば、授精時間は、排卵時間の96時間前;排卵時間の72時間前;排卵時間の48時間前;排卵時間の24時間前;排卵時間の12時間前;排卵時間の6時間前;または排卵時間に対応し得る。
【0106】
生殖アプローチがIVFに対応する実施形態の場合、授精のための時間は、前核形成の判定の3時間前;前核形成の判定の4時間前;前核形成の判定の6時間前;前核形成の判定の12時間前;前核形成の判定の18時間前;前核形成の判定の24時間前;または前核形成の判定の30時間前に対応する。
【0107】
生殖アプローチが体外受精前の精子の前受精能獲得に対応する実施形態の場合、前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間にわたってインキュベートすることに対応する。
【0108】
生殖アプローチが卵細胞質内精子注入法(ICSI)に対応する実施形態の場合、授精前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間にわたってインキュベートすることに対応する。
【0109】
生殖アプローチが配偶子卵管内移植法(「GIFT」)に対応する実施形態の場合、授精前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間にわたってインキュベートすることに対応する。
【0110】
生殖アプローチが囲卵腔内精子注入法(SUZI)に対応する実施形態の場合、授精前の前受精能獲得のための時間は、受精能獲得のための1つまたはそれを超える刺激を含む培地中で精子を、授精前に24時間;授精前に18時間;授精前に12時間;授精前に6時間;授精前に4時間;授精前に3時間;または授精前に1時間にわたってインキュベートすることに対応する。
【0111】
さらに別の実施形態において、本開示は、哺乳動物の妊娠を成功させるために適切な機構を識別する方法を提供する。受精能を獲得したインビトロの精子細胞を蛍光標識で処置する。蛍光標識された受精能を獲得したインビトロの精子細胞の1つまたはそれを超える蛍光画像を得る。精子細胞をインビトロにおいて様々な長さの時間にわたって受精能獲得条件で処置した後、蛍光標識された受精能獲得したインビトロの精子サンプルに対するCap-Score値を計測する。そのCap-Score値を、受精能力のある雄に関連する参照Cap-Score値と比較する。そのCap-Score値に基づいて、妊娠を成功させるために適切な機構を明らかにする。1つの実施形態において、その決定は、以下:患者の人口統計的データ、雌性パートナーの生殖状態 精子の濃度、全体的な運動性、前進運動性、精液の体積、精液のpH、精液の粘度および/または精子の形態の1つ以上にまた基づく。
【0112】
前述の実施形態のいずれかの例において、精液サンプルは、精子膜の剪断を防止するのに十分な直径サイズの開口部を有する広口ピペットを用いて処理され、かつ精液サンプルは、精子膜を損傷し得る試薬を使用せずに処理される。1つのそのような実施形態において、処理された精液サンプルは、受精能獲得培地、固定液、およびGM1局在化パターンを判定するための試薬に曝露される。
【0113】
ある実施形態において、精子膜を損傷し得る試薬は、(i)プロテアーゼ;(ii)ヌクレアーゼ(iii)粘液溶解薬;(iv)リパーゼ;(v)エステラーゼおよび(vi)グリコシドヒドロラーゼからなる群より選択される。同様に精子が受精能獲得刺激に応答する能力を干渉し得る化合物の例としては、(i)プロテアーゼ(キモトリプシン、トリプシン、コラゲナーゼ、ブロメラインを含むがこれらに限定されない);(ii)ヌクレアーゼ(ドルナーゼ、HindIII、EcoRIを含むこれらに限定されない);(iii)粘液溶解薬(エルドステイン、アセチルシステイン、グアイフェネシン(Guiafenesin)を含むがこれらに限定されない);(iv)リパーゼ(ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼC、リポタンパク質リパーゼを含むがこれらに限定されない);(v)エステラーゼ(コリンエステラーゼ、チオエステラーゼ、アルカリホスファターゼを含むがこれらに限定されない);および(vi)グリコシドヒドロラーゼ(アルファ-アミラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、ノイラミニダーゼ(neuorminodases)およびリゾチームを含むがこれらに限定されない)が挙げられる。
【0114】
前述の実施形態のいずれかの例において、1つまたはそれを超える標識されたGM1局在化パターンに対する集団サイズは、Cap-Scoreに関するパーセント変化が個体内で最小になるように決定される。いくつかのそのような実施形態において、1つまたはそれを超える標識されたGM1局在化パターンは、AA GM1局在化パターン、APM GM1局在化パターン、Lined-Cell GM1局在化パターン、中間部(INTER)GM1局在化パターン、先体後部原形質膜(PAPM)GM1局在化パターン、先体頂部/先体後部(AA/PA)GM1局在化パターン、赤道部(ES)GM1局在化パターンおよび散在性(DIFF)GM1局在化パターンを含む。
【実施例
【0115】
以下の実施例は、本発明の範囲内の例証的な実施形態をさらに説明し、実証する。本発明の真意および範囲から逸脱することなく多くのバリエーションが可能であるので、実施例は、もっぱら例証のために与えられ、本発明の限定と解釈されるべきでない。
【0116】
実施例1
精子取扱い方法
粘度を低下させる3つの一般的な方法を評価した。射精液を:1)0.25、1.25または2時間インキュベートした。2)改変ヒト卵管液(Irvine Scientific;Santa Anna,CA)で1:1希釈し、次いで、広口ホールピペット(「WOTP」)またはパスツールピペット(「PP」)に通した。3)キモトリプシン(「chymo」)で酵素的に消化した。パイロット研究によって、皮下針通過が、運動性および膜完全性に悪影響を及ぼし、さらに研究できないことが明らかになった。液化のあと、サンプルを洗浄し、受精能獲得(CAP)条件および非受精能獲得(NC)条件下でインキュベートした。蛍光顕微鏡法によって、上に記載された計算に従ってCap-Score値を得た。
【0117】
Cap-Score TM の信頼性および再現性
同意雄からの精液サンプルを液化した後、精子を洗浄し、インキュベートし、固定し、次いで、蛍光顕微鏡法によってGM1局在化パターンについて評価した。1つのサンプル内のスコアリングの精度と、同じサンプルをスコアリングする判読者間のばらつきの両方を評価した。不等分散を用いるスチューデントのt検定を、Microsoft Excel(2013)を使用して行った。
【0118】
従来の精液分析パラメータとのCap-Scoreの相関関係
同意患者からの精液サンプルを液化し、洗浄し、非受精能獲得条件下と受精能獲得条件下の両方においてインキュベートした。WHOガイドラインに従って、精液分析を行った。蛍光顕微鏡法によってCap-Score値を得た。Microsoft Excel(2013)およびXLSTAT(2015)を使用して統計分析を行った。
【0119】
受精能が実証された男性と、受精能について評価されている男性とを比較した、Cap-Score TM を用いた受精能獲得の評価
2つのコホート:1)受精能が判明している(妊娠中のパートナーがいるかまたは3歳未満の子をもうけた)コホートおよび2)初めて精液分析を受けようとしている患者の同意男性に対するCap-Score値を測定した。液化の後、精子を洗浄し、300万個を非受精能獲得(NC)条件および受精能獲得(CAP)条件下において3時間インキュベートした。精子を一晩固定し、GM1局在化パターンを蛍光顕微鏡法によって評価した。
【0120】
結果
液化時間、希釈およびピペッティングは、Cap-Score値を変化させなかった。コントロール(インキュベーションのみ)サンプル、WOTP処理サンプルおよびPP処理サンプルは、41±4、40±5および41±6というCap-Score値を有した(n=5;CAP)。chymoを用いてサンプルを液化したとき、受精能獲得刺激に対する応答の低下が観察された(P=0.03)。コントロールサンプルは、40±6というCap-Score値を有した(n=5;CAP)のに対して、酵素的に液化されたサンプルは、31±4というCap-Score値を有した(n=5;CAP)。chymoは、膜タンパク質を切断できるプロテアーゼであるので、Cap-Score値の低下が標識の変化に起因するかを判定するために調べた。受精能獲得刺激に曝露されなかったサンプルを比較したところ、差は観察されなかった。コントロールサンプルおよび酵素的に液化したサンプルは、22±4および21±5というCap-Score値を有した(n=5;NC)。これらのデータは、chymoによる精液の処理は、臨床行為において広く用いられているが、精子が受精能獲得刺激に応答する能力を阻害し得るという認識を裏付ける。
【0121】
同様に精子が受精能獲得刺激に応答する能力を干渉し得る化合物のクラスとしては、(i)プロテアーゼ(キモトリプシン、トリプシン、コラゲナーゼ、ブロメラインを含むがこれらに限定されない);(ii)ヌクレアーゼ(ドルナーゼ、HindIII、EcoRIを含むこれらに限定されない);(iii)粘液溶解薬(エルドステイン、アセチルシステイン、グアイフェネシンを含むがこれらに限定されない);(iv)リパーゼ(ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼC、リポタンパク質リパーゼを含むがこれらに限定されない);(v)エステラーゼ(コリンエステラーゼ、チオエステラーゼ、アルカリホスファターゼを含むがこれらに限定されない);および(vi)グリコシドヒドロラーゼ(アルファ-アミラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、ノイラミニダーゼおよびリゾチームを含むがこれらに限定されない)が挙げられる。
【0122】
最大2時間の液化時間、ならびにWOTPおよび/またはPPを用いた機械的液化は、受精能獲得に影響しなかった。対照的に、chymoなどの酵素の使用は、Cap-ScoreTM検査によって計測したとき、精子が受精能を獲得する能力を低下させた。これらの結果は、精液処理方法がどのように精子の機能に影響するかを知ることの重要性を示している。
【0123】
50、100、150および200個の精子を評価したときのCap-Score値に関するパーセント変化(%Δ=(y-y)/y)を比較することによって、精度を評価した。精子が50個増加する毎に、11、6および5%という値の変化が、観察された(n≧23)。保守的であるために、少なくとも150個の細胞のGM1局在化パターンをカウントすることによって、Cap-Score値を測定した。判読者内および判読者間のばらつきを評価するために、複数の視野から取り出した画像を合わせることによって、最大5,000個の精子を含む8つの大きな画像ファイルを生成した。2人の異なる判読者を訓練し、それらの判読者が、各画像を20回、ランダムにリサンプリングし、各回150個の細胞をカウントすることによって、Cap-Score値を測定した。同じサンプルをスコアリングしたとき、個々の判読者は、3Cap-Score単位という平均SDを報告した。同じサンプルをスコアリングしたときの判読者間の差は、0.00~1.52であり、任意の所与のサンプルに対する判読者間の差の平均は、1であった。多重比較のためにボンフェローニの補正を適用すると、判読者間の差は、いずれの画像ファイルについても観察されなかった(p値は0.02~0.99の範囲であった)。
【0124】
Cap-Scoreは、液化時間またはWOTPもしくはPPによる機械的液化によって影響されなかった(n=5)が、洗浄およびインキュベーションの後、2時間の液化またはPP通過を経たサンプルは、より大きな運動性の低下を示した(p=0.02、3E-3)。針の使用は、精子を損傷したので、さらに調査しなかった。chymoによる液化は、CAPサンプルではCap-Scoreを低下させた(p=0.03)が、NCサンプルでは低下させなかった(p=0.74)。chymoとともにインキュベートされたサンプル(n=5;3mg/ml)は、膜の損傷に起因してスコアリングできなかったが、NC条件下において運動性の増加を示した(p=9E-4)。
【0125】
実施例2
この実施例は、受精能のある男性(コホート1、妊娠中または最近子をもうけた)と潜在的な低受精能/不妊の男性(コホート2、受精能が疑われている男性)との間のコホート比較を用いて行われた。Cap-Scoreと従来の精液測定との関係性も調べた。
【0126】
すべての研究が、WIRBによって承認された(20152233)。精液サンプルを液化し、洗浄し、非受精能獲得条件および受精能獲得条件下でインキュベートした。精子を一晩固定し、蛍光顕微鏡法によってCap-Scoreを測定した。精液の質の測定をWHOに従って評価した。T検定、ANOVAおよび相関分析を、Microsoft Excel(2013)およびXLSTATを使用して行った。
【0127】
コホート1のCap-Score平均値は、35.3であった(SD=7.7%;n=76人のドナー;187個の収集物)。コホート2のCap-Scoreは、それより低く(p=1.0E-03)、33.6%(41/122)が、予想された16%に対して、コホート1の平均値より1SDより低いCap-Scoreを有した。コホート2の場合、Cap-Scoreと、形態(p=0.28)、運動性(p=0.14)または濃度(p=0.67)との間に関係性は観察されなかった。コホート2の男性の93.4%(114/122)が、正常な運動性を示したが、彼らの30.7%(35/114)が、平均値より1SD低いCap-Scoreを有した。同様に、122人中101人の男性(82.7%)が、正常な濃度を示し、32.6%(33/101)が、平均値より1SD低いCap-Scoreを有した。これらの結果は、受精能獲得の欠陥が、受精が困難な男性に共通すること、およびCap-Scoreが、精液分析を補完する機能的なデータを提供することを示している。
【0128】
精子が受精能を獲得する能力は、受精能力のある男性と受精が困難な男性との間で異なる。受精能獲得は、受精に必要であるので、Cap-Scoreは、標準的な精液分析に対して重要な機能的補完を提供でき、最も適切な受精能処置の選択を助け得る。
【0129】
精液の質の一般的な測定は、主観的であり、判読者内および判読者間で異なり得ることから、雄性受精能の評価を困難にしている。Cap-ScoreTM検査は、雄性受精能にとって不可欠な、精子が受精能を獲得する能力を評価する。本明細書中に示されるデータは、Cap-ScoreTM検査が、判読者内および判読者間において高度に再現性があり、信頼できることを示し、このことは、雄性不妊症を診断しようとするときに重要な検討材料である。
【0130】
41人の受精能力のある男性のCap-Scoreの平均値(μ=39)およびSD(σ=7)を用いて、ロバストな受精能力のある受精能獲得プロファイルを確立するために必要な、受精能力があると判明している男性の数を推定した。検出力分析のために、平均値についての許容範囲を3%に設定し、差を検出する確率を90%として、p<0.01レベルの両側t検定を適用した。結果は、有効な基準が≧85個体で確立され得ることを示唆した。41人のユニークなドナーからの125個の観察結果を用いて、正常な受精能力のある予備的な基準を作成した。Cap-Score値をドナーごとに平均し、次いで、z-スコアに変換した((X-μ)/σ;X=観察結果、μ=39;σ=7)。これにより、μが0に、σが1に変換された。変換された値は、σ(S.D.)を単位とするμ(平均値)からの距離を表す。受精能検査を受けようとしている93人の男性のCap-Score値に対して、正常な受精能力のある基準を検査した。このコホートは、受精能力のある集団より有意に低くスコアリングされ(p=1.6E-5)、27%および38%が、≦-2のz-スコアおよび-1~-2のz-スコアを有した。35%だけが、平均値の近くにまたは平均値より高くスコアリングされた。これらのデータは、受精能検査を受けようとしている多くの男性が、受精能力のある男性と比較して、受精能獲得に欠陥があることを示唆している。
【0131】
実施例3
実施例1および2において用いられた手順を実施例3でも用いた。
【0132】
従来の精液分析は、サンプルが卵子に受精する能力に関する情報をほとんど提供しない。受精能獲得は、受精に必要であり、GM1局在化を用いて評価できる。2つの男性コホートのCap-Score値を比較することによって、受精能を獲得する能力の有意差が明らかになった。ロバストな受精能獲得プロファイルが、異常を識別するために定義および使用され得る。著しいことに、16%という予想される結果に対して、受精能が疑われている男性の33%が、≦-1のz-スコアを有した。Cap-ScoreTM検査を従来の分析と組み合わせることが、雄性不妊症の診断において役立つと判明するはずである。
【0133】
不妊症の専門家に問い合わせた122人の男性からのサンプルを分析したところ、13~52%の範囲のCap-Scoreを有した。分散分析を行って、Cap-Score値および精子の形態を比較した。サンプルを、0、1、2、3または≧4%の正常形態を有するとして分類し(≧4%のスコアが、WHOで正常と見なされる)、Cap-Scoreの平均値を群間で比較した。Cap-Score値と形態との関係性は、観察されなかった(P=0.67)。次に、精子濃度(3×10~210×10/mLの範囲)を、ピアソン積率相関係数を用いてCap-Score値と比較したところ、関連は見られなかった(r=0.01、P=0.90)。最後に、Cap-Score値を、全体的な%運動性(15~80%の範囲)を比較したところ、それらの2つの測定結果は、無関係であると判断された(r=0.14 P=0.21)。WHO基準によって正常と分類された複数のドナーは、正常の平均値より2SD超低いCap-Score値を有したことから、正常に見える精子であっても機能の異常を有し得るという認識が裏付けられた。
【0134】
従来の精液分析は、雄性不妊症の症例の50%しか識別しない。本研究は、Cap-Score値と標準的な精液分析パラメータとの間に関連性がほとんどないことを示す。受精能獲得は、受精に必要であるので、Cap-Score検査を従来の精液評価に加えることによって、特発性不妊症の症例を識別することと、最も適切な処置のために臨床医が夫婦に助言するのを助けることの両方が可能になるだろう。
【0135】
本明細書中に提示されるデータは、男性のCap-Score値が、推奨される補助生殖医療(例えば、体外受精(IVF)または卵細胞質内精子注入法(ICSI))を含む、哺乳動物の妊娠の成功にとって適切な機構に対する指針を提供し得ることを実証している。その男性は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得る。Cap-Score値は、精液分析の他の成分(濃度、全体的な運動性、前進運動性、体積、pH、粘度および/または形態を含む)と組み合わせて考慮され得る。例えば、同じCap-Scoreを有する2人の男性の精子数または精子運動性が異なる場合、それらの男性に対して推奨される補助生殖医療は、異なり得る。さらに、雌性パートナーの受精能状態または性と生殖に関する健康も、臨床医によって考慮されるだろう。
実施例4
【0136】
同意男性の精液サンプルを液化し、洗浄し、アリコートを非受精能獲得(NC)条件または受精能獲得(CAP)条件下でインキュベートした。それらの同意男性には、妊娠中のパートナーがいることに基づいて受精能力があると分類された男性、または最近、生物学的に父親になった男性が含まれた。それらの同意男性には、受精能検査を受けようとしている男性も含まれた。受精能獲得条件は、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンへのインビトロ曝露を含む。非受精能獲得条件には、様々な時間にわたって、炭酸水素イオン、カルシウムイオン、およびステロール流出のメディエーター(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)のいずれにもインビトロにおいて曝露しないことが含まれる。次いで、インビトロにおいて受精能を獲得された精子およびインビトロにおいて受精能を獲得されなかった精子を固定液(例えば、パラホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒド)中で固定した。次いで、固定されたインビトロにおいて受精能を獲得された精子およびインビトロにおいて受精能を獲得されなかった精子を、蛍光標識されたコレラ毒素bサブユニットで標識した。
【0137】
1つのデータセットに対しては、精子サンプルを受精能獲得条件または非受精能獲得条件において3時間インキュベートし、固定し、標識し、次いで、分析した(「0日目」)。第2のデータセットに対しては、精子サンプルを受精能獲得条件または非受精能獲得条件において3時間インキュベートし、一晩固定し、標識し、次いで、分析した(「1日目」)。第3のデータセットに対しては、精子サンプルを受精能獲得条件または非受精能獲得条件において3時間インキュベートし、固定し、標識し、次いで、分析した。第3のデータセットに対しては、精子サンプルを受精能獲得条件または非受精能獲得条件において24時間インキュベートし、固定し、標識し、次いで、分析した。(「24hrCap」)。精子の受精能獲得を、GM1の局在化(Cap-ScoreTM)を用いて評価した。
【0138】
36人の受精能力のある男性からの102個の精子サンプルを0日目および1日目に評価した。0日目と1日目との間で、Cap-Scoreの上昇が、81%(83/102)の精子サンプルにおいて観察され、44%の精子サンプル(45/102)が、1標準偏差超のCap-Scoreの上昇(7%)を有した。
【0139】
受精能の処置を受けようとしている17人の男性からの精子サンプルを0日目および1日目に評価した。0日目と1日目との間で、Cap-Scoreの上昇が、29%(5/17)において観察され、それらのCap-Scoreは、1標準偏差超、上昇した(7%)。
【0140】
このCap-Scoreの変化が、生理学的であるのか、または一晩固定液中に存在したことのアーチファクトであるのかを判定するために、9人の受精能力のある男性からの精液サンプルを、0日目、1日目、および受精能獲得培地または非受精能獲得培地中でのインビトロでの24時間のインキュベーション後に分析し、次いで、固定した。インビトロにおいて受精能を獲得されなかったすべてのサンプルが、等しく(19±2、23±2および20±1%というCap-Score)、インビトロにおいて受精能を獲得されたサンプル(それぞれ28±1、34±2および31±2%というCap-Score)とは異なった。1日目のCap-Scoreは、0日目のCap-Scoreより有意に高かった(p=0.03)。しかしながら、固定液中で一晩インキュベートされた(1日目)または受精能獲得培地中で一晩インキュベートされた(24hrCap)、インビトロにおいて受精能を獲得されたサンプルのCap-Scoreは、同じだった(p=0.33)。
【0141】
以前の文献と一致して、これらのデータは、受精能獲得に関わる精子膜の変化が、なおもある特定の固定液中で経時的に生じることを示している。これらのデータは、精子が、異なる射精液中では異なる時点において受精能獲得を達成することを示唆している。これが、個体に対して再現性があるのかを確かめるために、25人の受精能力のある男性からの91個のサンプルを早いまたは遅い受精能獲得サンプルとして分類した(1日目-0日目>7)。ドナー内での変化の一致の平均値は、76%であったことから、受精能獲得タイミングが、男性の中で高度に一致することが示された。
実施例5
【0142】
8人の受精能力のある男性(妊娠中のパートナーがいるかまたは最近子をもうけた男性)からの精液サンプルを用いて、受精能獲得のタイミングに対する冷凍保存の影響を調べた。液化された射精液を分割し;半分を直ちに処理し(新鮮)、もう半分を、グリセロールを含む検査用卵黄緩衝液(Irvine Scientific)中で冷凍保存した。続いて、冷凍保存されたサンプルを解凍し、処理した(CryoT)。新鮮アリコートおよびCryoTアリコートを洗浄し、次いで、非受精能獲得(NC)条件および受精能獲得(CAP)条件下で3時間インキュベートした。受精能獲得のタイミングは、男性の間で異なり、1日目のCap-Score(受精能獲得を促進する/可能にする条件下での一晩のインキュベーションの後)から0日目のCap-Score(3時間のインキュベーションの後に分析された)へのCap-Scoreの差を比較することによって評価され得る。
【0143】
Cap-Scoreは、0日目と1日目の両方に対してNC CryoT処置において、新鮮と比較して、上昇した。0日目の場合は、155%上昇し((新鮮-CryoT)/新鮮;11±1.6%対28±2.4%;n=7;p=0.00)、1日目の場合は79%上昇した(19±2.6%対34±2.7%;n=8;p=0.00)。逆に、CAP処置に対するCap-Scoreは、0日目(26±3.1%対30±2.5%;n=7;p=0.31)と1日目(34±2.9%対34±1.7%;n=8;p=0.86)の両方で同じままだった。CryoTサンプルに対する27±3.5%および31±8.6%という解凍後および洗浄後の運動性の平均は、合理的な解凍後の生存率を示唆する。0日目および1日目に対するサンプルを比較したとき、受精能獲得のタイミングの差(1日目-0日目;n=7)は、NC処置(10±2.2%対8±2.7%)またはCAP処置(8±3.8%対5±2.3%)について新鮮サンプルとCryoTサンプルとの間で観察されなかった。
実施例6
【0144】
検体の収集についてのすべての手順が、WIRBによって承認された(プロトコル#20152233)。精液サンプルを、禁欲の最低2日後および最大5日後に手によるマスターベーションによって同意男性から収集した。運動性精子細胞が10×10個より少ないサンプルをこの研究から外した。
【0145】
射精液を37℃で少なくとも15分間かつ2時間未満にわたって液化した。液化の後、300×gでの10分間のEnhance S-Plus Cell Isolation Media(Vitrolife、reference:15232 ESP-100-90%)を介した遠心分離によって精漿から精子を取り出した。これらの細胞を回収し、約4mlの改変ヒト卵管液培地(mHTF;Irvine Scientific;reference90126)に再懸濁し、600×gで10分間ペレットにした。それらの精子を、受精能獲得刺激を含むおよび含まないmHTFに再懸濁し、3時間インキュベートした。インキュベーションの後、サンプルを、記載のとおり(Selvaraj V,ら、“Segregation of micron-scale membrane sub-domains in live murine sperm,”J Cell Physiol.206:636-46(2006))、パラホルムアルデヒド(Electron Microscopy Sciences;Hatfield,PA)で少なくとも30分間固定した後、標識した。
【0146】
サンプルを、Alexa Fluor 488に結合体化された2μg/mLのコレラ毒素B(CTB;Thermo Fisher:C34775)で標識した。10分後、5μlの標識された精子を顕微鏡用スライドにのせ、カバーガラスで覆い、イメージングステーションに移した。
【0147】
イメージングステーションは、CFI60 Plan Apochromat Lambda 40×対物レンズ、C-FL AT GFP/FITCロングパスフィルターセット、Hamamatsu ORCA-Flash 4.0カメラ、H101F-ProScan IIIオープンフレーム正立顕微鏡電動H101Fフラットトップステージ、およびNIS Elementsソフトウェアを実行する64ビットイメージングワークステーションが備え付けられたNikon Eclipse NI-E顕微鏡(Nikon;Melville,NY)からなった。これらのシステムを、最大5,000個の精子を含む15×15個のつなぎあわされた画像セットを自動的に捕捉するようにプログラムした。
【0148】
Cap-Score SFTは、ガングリオシドGM1の局在化パターンを検出し、分析する。2人の独立した判読者を、ヒト精子の受精能獲得に関連するGM1局在化パターンを識別するように訓練した。受精能獲得を経たサンプル内の精子の割合を求め、Cap-Scoreとして報告した。
【0149】
power(Faulら、“G Power 3:A flexible statistical power analysis program for the social,behavioral,and biomedical sciences,”Behav Res Methods.39:175-91(2007))を用いて検出力分析を行った。スチューデントのt検定を、Microsoft Excel(2013)を使用して行った。線形回帰および等分散性のバートレットの検定を、XLSTAT Version2015.5.01.22912において行った。
結果
【0150】
Cap-Scoreの精度を測定する際の最初の工程は、サンプルごとにカウントすべき細胞数を定義することであった。一般に、カウントされる細胞数が増加するにつれて、精度は高まる。しかしながら、Cap-Scoreは、追加の観察結果によって変化するものではないので、ある点において追加の細胞のカウントは、冗長になる。追加の細胞のカウントが必要なくなる点を識別するために、50、100、150および200個の精子のときのCap-Scoreのパーセント変化を評価した(表1)。
【0151】
【表1】
【0152】
50または100個の精子をカウントしたときのCap-Scoreのパーセント変化は、100または150および150または200個の精子をカウントしたときのパーセント変化と比べて大きかった。これらの観察結果は、Cap-Scoreの精度が、100個超の精子をカウントすることによってわずかに改善されるという認識を裏付けた。しかしながら、50または100および150または200をカウントしたときのパーセント変化に対する95%信頼区間は、重複しなかったことから、少なくとも150個の細胞をカウントしたときのパーセント変化の有意な減少が示唆される。保守的であるために、少なくとも150個の細胞のGM1局在化パターンをカウントすることによって、Cap-Scoreを測定した。
【0153】
Cap-Scoreの信頼性をさらに調べるため、および精液の質の客観的尺度としてのCap-Scoreの潜在性を評価するために、そのCap-Scoreの測定値を調べることにより、個々の判読者内の精度を測定した。精度は、測定値と真の値との近さとして定義される。未知集団の真の値は、その中心傾向、すなわち平均値によって推定され得る。データセットが強い中心傾向を有するかまたは弱い中心傾向を有するかは、その分散、すなわち精度の逆数に基づいて判断できる(JCGM/WG2 2008)。換言すると、分散が大きくなるにつれて、精度は低下する。標準偏差(SD)および変動係数(CoV)が、サンプル内の分散の量を見積もる。0に近い標準偏差は、それらのデータポイントが、平均値あたりに密集する傾向があることを示す一方で、高い標準偏差は、それらのデータポイントが広がっていることを示す。同様に、CoVは、平均値に対する分散の量(CoV=SD/平均値)を表すので、平均値が互いに大幅に異なったとしても、1つのデータシリーズと別のデータシリーズとのばらつきの程度を比較するのに有用である。
【0154】
判読者内のCap-Scoreの精度を評価する前に、各判読者がサンプリングする画像の数を推定した。この目的を達成するために、受精能力があると推定される(妊娠中の妻または3歳未満の子がいる)男性集団に対するCap-Scoreの平均値よりも1SD低いカットオフに基づいて、2つの精液ドナー群を定義した。「より低いCap-Score」を有する群のCap-Scoreの平均値は、27であり、「受精能力があると推定される」群は、40であった。各群の標準偏差は、それぞれ5.2および4.9であった。検出力分析を、差が存在する場合は差を検出する確率を90%(1-ベータ=0.90)としてp<0.05およびp<0.01レベルの両側検定を用いて行った。これらの分析の結果は、それぞれサンプル10個および14個の画像(1群あたり5および7個)がサンプリングされるべきであることを示唆した。保守的であるために、「より低いCap-Score」群および「受精能力があると推定される」群の中のそれぞれ10個の画像を生成した。1群あたりこの数の画像をサンプリングすることによって、低いCap-Score値または高いCap-Score値のせいで生じ得る再現性の差を識別するために各画像を十分に調べることが保証された。
【0155】
Cap-Score SFTの精度を評価するために、2人の異なる判読者が、それぞれ最大5,000個の精子を含む10個の画像を「より低いCap-Score」群および「受精能力があると推定される」群からランダムにリサンプリングすることによってCap-Scoreを測定し、各判読者が20回リサンプリングした。SDおよびCoVは、各判読者に対する画像毎に基づいて計算された。画像および判読者の平均SDは、3(図1A)であり、平均CoVは、13%であった(図1B)。SDとCoVの両方が、Cap-Scoreに対して直線関係を示した。したがって、より高いCap-Scoreを読むことに関連するより大きな分散が存在したが、これは、より大きなCap-Scoreの大きさに起因するとみられた。同じ精子集団を同じまたは異なる判読者がランダムにリサンプリングしたとき、Cap-Score値は、真の値のあたりに密集したので、これらのデータは高い精度で一致した。これらの分散および(または)ばらつきの尺度は、小さく安定しているので、それらは、判読者内の高度なCap-Score再現性を明らかにする。
【0156】
一般に、分布は、その平均値および分散を用いて説明され得る。平均値は、分布の配置を示し、分散は、そのデータがどれだけ散らばっているかを説明する。平均値は同じであるが分散が異なる場合、2つの分布を想定できる。例えば、一方の分布は、通常のベル型に似ていて、他方は、もっと平らで、より多くの極値を有する。判読者の間における同様のCap-Score分布を実証するために、「より低いCap-Score」群および「受精能力があると推定される」群の各々に対して、10個のつなぎあわされた画像を得た。2人の異なる判読者が、各画像を20回、ランダムにリサンプリングすることによって、Cap-Scoreを測定した。各画像ファイルは、サンプリングされた精子より数桁多い精子を含むので、ランダムな各リサンプリングは、個々の射精液内からの細胞の異なるサブサンプルであった。
【0157】
Cap-Scoreの平均値の1という平均差が、20個の異なる画像に対して、判読者の間で観察された(図3)。ボンフェローニの補正を適用すると、識別可能な差は観察されなかった。同様に、Cap-Scoreの分散は、判読者の間で異ならなかった(図3)。これらのデータは、同じ精子集団をリサンプリングするとき、独立した判読者が同様のCap-Score分布を得るので、Cap-Scoreは判読者の間で再現性のあるという認識を裏付ける。まとめると、これらのデータは、Cap-Score SFTが、判読者内および判読者間で高度に再現性があって信頼できるという強い証拠を提供する。これは、雄性生殖の適格性を評価しようとするとき、重要な検討材料である。
【0158】
本研究で提示されたデータは、Cap-Score SFTが、判読者内および判読者間で高度に再現性があって信頼できることを実証する。取得されたデータおよび画像ファイルは、Cap-Scoreの評価における研究室内および研究室間の継続した品質管理(QC)および品質保証(QA)に対する根拠として役立つはずである。例えば、判読者がCap-Scoreを読む日々の能力を実証するために、20個中2個の画像ファイル(「より低いCap-Score」群および「受精能力があると推定される」群から1つずつ)がランダムに選択され、毎日スコアリングされ得る。確立された平均値から許容できる範囲の外の値が得られる場合(Westgardら、“A multi-rule Shewhart chart for quality control in clinical chemistry,”Clin Chem.27:493-50(1981)、研究室の管理者は、改善について相談され得る。これらのデータを用いることにより、個々の判読者を経時的に追跡すること、およびCap-Scoreの測定における潜在的変化を識別することもできる。同様に、新しい人員および(または)研究室を訓練し、読む輪番に組み込むとき、複数の画像ファイルをスコアリングし、彼らのCap-Scoreを確立された値と比較することによって、彼らの読む能力を評価できる。そのようなアプローチがあれば、研究室内と研究室間の両方で比較可能なデータが保証され得る。継続した内部および外部のQAおよびQCを介するだけで、精子の機能評価の高い基準を維持できる。
【0159】
雄性受精能の診断は、歴史的に、精子の機能;すなわち、受精する能力を評価できないことに悩まされてきた(Oehningerら、“Sperm functional tests,”Fertil Steril.102:1528-33(2014);Wangら、“Limitations of semen analysis as a test of male fertility and anticipated needs from newer tests,”Fertil Steril.102:1502-07(2014))。そのような診断能力があれば、従来の精液評価の記述的判定に対する機能的な補完が提供されるだろう。受精能力が欠損している精子を識別することにより、特発性不妊症として現在カテゴリー化されているものをより具体的に診断することが可能になり得る。さらに実際的に重要であることは、この情報が、妊娠を達成するために最も適切なARTの形態について臨床医が夫婦に助言するのを助けることを可能にし得ることである。先に特定した目標を達成するために、精子機能の多くのアッセイが提案されてきた(例えば、ハムスター帯貫通(hamster zona penetration)アッセイ(Barrosら、“Human Sperm Penetration into Zona-Free Hamster Oocytes as a Test to Evaluate the Sperm Fertilizing Ability,”Andrologia.11:197-210(1979);Rogersら、“Analysis of human spermatozoal fertilizing ability using zona-free ova,”Fertil Steril.32:664-70)1979)、精子-ZP結合検査(Liuら、“Clinical application of sperm-oocyte interaction tests in in vitro fertilization-embryo transfer and intracytoplasmic sperm injection programs,”Fertil Steril.82:1251-63(2004)および頸管粘液貫通アッセイ(Alexander,“Evaluation of male infertility with an in vitro cervical mucus penetration test,”Fertil Steril.36:201-8(1981);Mengeら、“Interrelationships among semen characteristics,antisperm antibodies,and cervical mucus penetration assays in infertile human couples.”Fertil Steril.51:486-92(1989);Eggert-Kruseら、“Prognostic value of in vitro sperm penetration into hormonally standardized human cervical mucus,”Fertil Steril.51:317-23(1989)。しかしながら、それらの使用は、計画を行う上で実際的な形式で必要な材料を得ることが非常に難しいことにより限定されてきた。この現在の空白を満たすために、精子が卵母細胞に受精するために必要な生理学的変化を起こす能力を評価するための診断ツールが開発された。
【0160】
本開示は、本発明の真意または不可欠な属性から逸脱せずに、他の特定の形態で具体化され得る。したがって、前述の明細書ではなく、本開示の範囲を示す添付の請求項を参照するべきである。前述の説明は、本開示の好ましい実施形態に関するが、他のバリエーションおよび改変が当業者に明らかであり、本開示の真意または範囲から逸脱せずに他のバリエーションおよび改変が行われ得ることに注意する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4