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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】音圧検出装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/04 20060101AFI20221101BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20221101BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H04R19/04
H04R1/02 106
H04R1/00 321
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019002781
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2020113874
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和哉
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-292288(JP,A)
【文献】特開平08-098289(JP,A)
【文献】特開2000-078676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 19/00-19/04
H04R 1/00- 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体の開口部に設けられ、装置筐体内へ音波を伝搬するための伝搬通路と、
前記伝搬通路を閉塞する防水性、防塵性および通気性を有するベント膜と、
前記ベント膜を通過した音波を受け、音圧を電気信号に変換する音圧センサと、
前記ベント膜を保護する保護部材と
前記伝搬通路と前記装置筐体の内部空間とを連通する連通路と、
を備え
前記伝搬通路は、前記ベント膜から前記音圧センサの方向に延在し、断面積が変化しない直線通路である、音圧検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音圧検出装置において、
前記ベント膜と前記保護部材とが設けられ、前記開口部に着脱可能な保持部を備える、音圧検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の音圧検出装置において、
前記保護部材は、前記ベント膜に対して隙間を介して対向配置される壁部と、前記隙間と筐体外部空間とを連通する通気路とを備える、音圧検出装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の音圧検出装置において、
前記保持部と前記開口部との隙間を封止する第1の封止部材を備える、音圧検出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の音圧検出装置において、
前記開口部の筐体内側出口を遮蔽するように設けられ、前記音圧センサが実装された基板と、
前記伝搬通路の音波が伝搬通路外へ漏出するのを防止する第2の封止部材とを備える、音圧検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の音圧検出装置において、
前記基板と前記筐体内側出口との間に挟持される遮蔽部材をさらに備え、
前記連通路は、前記基板および前記遮蔽部材のいずれか一方形成されている、音圧検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載の音圧検出装置において、
前記連通路は、前記開口部の筐体内側出口を遮蔽する遮蔽部材に形成されている、音圧検出装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音圧検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音を検出するセンサとして、特許文献1に記載のような音響センサチップを備えた音響センサが知られている。特許文献1に記載の音響センサでは、音圧を検出する音響センサチップはICチップと共にケース内に収納され、ケースの音響センサチップが対向する位置には音波導入用の音孔が形成されている。その音孔には、音孔を閉塞するように、防水性、防塵性および通気性を有する多孔質シートが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-271426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、雨水に曝されたり、異物が飛来するような悪環境で使用される場合、多孔質シートの前面が外部環境に露出しているので、異物が衝突して多孔質シートが破損するおそれがある。また、塵等が多孔質シートに付着して通気性が悪化すると、音圧センサによる音検出性能が低下するという問題も生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様による音圧検出装置は、装置筐体の開口部に設けられ、装置筐体内へ音波を伝搬するための伝搬通路と、前記伝搬通路を閉塞する防水性、防塵性および通気性を有するベント膜と、前記ベント膜を通過した音波を受け、音圧を電気信号に変換する音圧センサと、前記ベント膜を保護する保護部材とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、音圧検出装置の信頼性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、音圧検出装置の一実施の形態を示す外観図である。
図2図2は、音圧検出装置のA-A断面図である。
図3図3は、ベント部およびその周辺構成の拡大図である。
図4図4は、図3のB-B断面図である。
図5図5は、シールドプレートの形状を示す図である。
図6図6は、変形例1を示す図である。
図7図7は、基板の裏面側を示す図である。
図8図8は、変形例2を示す図である。
図9図9は、変形例3,4を示す図であり、(a)は変形例3を、(b)は変形例4を示す。
図10図10は、連通路の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、音圧検出装置の一実施の形態を示す外観図である。図1(a)は音圧検出装置の正面図であり、図1(b)は側面図である。音圧検出装置1は音源(例えば、スピーカ等)の近くに配置されて、音源が正常に機能しているか否かを、すなわち、音が正常に発生されているか否かを検出するために用いられる。例えば、踏切の警報音や、横断歩道における視覚障がい者用の誘導用音声などの検出に用いられる。
【0009】
図1に示すように、音圧検出装置1の各部品は、防水性の確保や外部環境からの保護のために、装置筐体2の内部に収納されている。装置筐体2の背面にはカバー3がビス固定されており、カバー3を外すことで装置筐体2内にアクセスすることができる。音圧センサ(不図示)を筐体内に完全に密封してしまうと音圧検出が困難になるので、装置筐体2の正面には、外部の音波を装置筐体2内の音圧センサ(不図示)に導くためのベント部4が着脱可能に取り付けられている。装置筐体2の図示下側の側面からは、音圧信号を出力するためのケーブル5が引き出されている。なお、音圧検出装置1に独立した電源を備え、無線で音圧データを送信するような構成であっても良い。
【0010】
(装置内構成)
図2は、音圧検出装置1のA-A断面図である。装置筐体2内には、音圧を検知する音圧センサ10や信号読み出し用のICチップ(不図示)が実装されたプリント基板(以下、単に基板と称する)11が設けられている。基板11には、ケーブル5の信号線51が接続されている。音圧センサ10には、例えば、静電容量型のMEMS音響センサチップが用いられる。MEMS音響センサチップは、MEMS(micro electro- mechanical system)技術を用いて半導体基板に形成された小型の音響センサである。
【0011】
基板11は、シールドプレート12と共に装置筐体2にビス止めされている。基板11およびシールドプレート12には音波が通過する貫通孔110,120が形成されており、基板11とシールドプレート12とは貫通孔110,120が互いに対向するように重ねられている。シールドプレート12およびシールドカバー13は、基板11に実装された電子部品に対する電磁ノイズ防止用に設けられている。
【0012】
装置筐体2の正面側(図示右側)には開口部21が設けられており、基板11およびシールドプレート12は、貫通孔110、120が開口部21に対向するように装置筐体2の内側に取り付けられている。開口部21の内周面には、雌ネジ210が形成されている。開口部21の雌ネジ210にベント部4の筒部410の外周に形成された雄ネジ411を螺合させることで、ベント部4が開口部21に着脱可能に取り付けられる。装置筐体2とカバー3との隙間はパッキン6により封止されている。
【0013】
(ベント部4)
図3は、ベント部4およびその周辺構成の拡大図である。開口部21に着脱可能に取り付けられたベント部4は、ベントボディ41と、キャップ42と、ベントボディ41内に装着されるベント膜43および押さえリング44とを備えている。開口部21に固定されたベントボディ41と装置筐体2との間に隙間があると音圧減衰の原因となるので、その隙間はパッキン45によりシールされる。また、雨水等の浸入についてもパッキン45により防止することができる。
【0014】
ベントボディ41の筒部410には、音波を音圧センサ10の方向に伝搬するための、断面積一定の直線状の伝搬通路414が形成されている。ベントボディ41の図示右端に設けられたヘッド部412の内部には、伝搬通路414の入口を閉塞する防水性、防塵性および通気性を有するベント膜43が設けられている。ベント膜43には防水性、防塵性および通気性を有する膜であれば種々のものを用いることができ、例えば、フッ素系ポリマー(ePTFEなど)やPE系多孔質フィルムなどの多孔質膜が使用される。
【0015】
ヘッド部412には、キャップ42が螺合するネジ部412aが形成されている。キャップ42をネジ部412aに螺合させてヘッド部412に取り付けると、キャップ42の内側に形成された凸部421の先端が押さえリング44を筒部410の方向に押圧する。その結果、ベント膜43の周辺が筒部端面に押し付けられて、伝搬通路414の入口がベント膜43により閉塞される。ベント膜43にはキャップ42の底部423が対向している。なお、キャップ42で押さえリング44を筒部410に押圧させる代わりに、押さえリング44をベントボディ41に圧入や接着するなどして、ベント膜43を押さえリング44と筒部410との間に保持するようにしても良い。
【0016】
図4は、図3のB-B断面図である。キャップ42が螺合するネジ部412aには、ネジ部412aの内外に貫通する貫通孔413が120度ピッチで3つ形成されている。貫通孔413は内外に直線状の貫通孔ではなくて、図3の断面図に示すようにキャップ42の方向に突出する突出部413aが形成されている。なお、図4では、突出部413aを想像線(二点鎖線)で示した。キャップ42の凸部421には、貫通孔413の場合と同様に120度ピッチで3つの貫通孔422が形成されている。キャップ42をネジ部412aに取り付けると、貫通孔422が貫通孔413と対向する。その結果、ベント部4の外側とヘッド部412の内部空間とは、貫通孔413および貫通孔422を介して連通する。
【0017】
上述したように貫通孔413には突出部413aが形成されているので、図3の矢印R1で示すように、ベント部4の外部から貫通孔413に入った音波は、突出部413aのところでいったんキャップ42の方向に折れ曲がる。その後、貫通孔422を通ってヘッド部412の内部空間に伝搬する。ヘッド部412の内部では、音圧は矢印R2のようにベント膜43方向に伝達される。このように突出部413aを設けたことにより、貫通孔413からベント部4の内部に塵や雨水等が入り難くなり、ベント膜43の目詰まりを抑制することができる。音圧は通気性を有するベント膜43を介して伝搬通路414へ伝えられ、伝搬通路414を直進して音圧センサ10へ達する。音圧を受けた音圧センサ10は、音圧情報を電気信号へと変換する。
【0018】
図3に示すように、貫通孔120が形成されたシールドプレート12は、開口部21の筐体内側出口である内周側端面211に接触するように装置筐体2に固定されているが、部品精度によってはわずかな隙間が生じる可能性がある。そのような隙間が生じると、その隙間から音波が漏れて音圧センサ10で検出される音圧が減衰するおそれがある。本実施の形態では、装置筐体2とシールドプレート12との間にOリング7を設けて伝搬通路から音波の漏れを防止し、音圧の減衰を防止するようにした。
【0019】
ところで、音圧を検出する音圧センサ10を図2に示すような装置筐体2内に収容するような構成においては、音圧センサ10による音圧検出精度を保つために、装置筐体2内の気圧と音源(スピーカ等)が存在する外部の気圧とを等しく保つのが好ましい。本実施の形態では、通気性のベント膜43を備えたベント部4を設けることで、装置筐体2内の気圧と外部の気圧とが等しくなるように調整される。すなわち、ベント部4は、上述した音圧センサ10へ音圧を効率よく伝達する伝搬通路としての機能と、気圧調整機能とを兼ね備えている。図3に示すように、シールドプレート12の基板11と対向する面123には、貫通孔120に連通する通気溝121が形成されており、この通気溝121により、装置筐体2内の気圧と伝搬通路414の気圧とが等しく保たれる。
【0020】
また、ベント部4は結露の防止にも役立つ。例えば、夏季においては、日中は直射日光を浴びて装置筐体2の温度が上昇し、かつ、湿度が高い状態に曝されるが、夜間や雨天時は装置筐体2の温度が急激に下がり、内圧が低下する。飽和水蒸気量は、温度および気圧が高い状態では多くなるが、装置筐体2の内圧が急激に低下すると、装置筐体2の内表面に結露が発生する。しかし、ベント部4を設けることで装置筐体2の内圧低下が抑制され結露の発生を防止することができる。
【0021】
(シールドプレート12)
図5は、シールドプレート12の形状を示す図である。図5(a)はシールドプレート12を基板11側から見た平面図であり、基板11に対向する面123の形状を示す。図5(b)はC1-C1断面図、図5(c)はC2―C2断面図である。なお、音圧センサ10が実装された基板11との関係が理解しやすいように、音圧センサ10および基板11を二点鎖線で示した。
【0022】
図5(a)に示すように、シールドプレート12の四隅には、シールドプレート12を装置筐体2に固定するためのビス用孔122が形成されている。シールドプレート12には、音圧センサ10と対向する位置に音圧を導く貫通孔120が形成され、さらに、貫通孔120に連通する通気溝121が貫通孔120から左右方向に延びるように形成されている。図5(b),(c)の断面図に示すように、通気溝121は断面形状が半円の溝であるがこれに限らず、V形状や矩形等の断面形状を有する溝であっても良い。
【0023】
通気溝121によって、図3に示すベント部4の伝搬通路414と装置筐体2の内部空間とが連通し、外部気圧と等しい伝搬通路414の気圧と装置筐体2内の気圧とが等しく保たれる。なお、通気溝121と基板11の面とによって形成される通路空間は、断面積が小さな細長い空間であるため、音圧の装置筐体2内への漏れは抑制される。
【0024】
上述のように、ベント部4にはベント膜43が設けられるが、ベント膜43の外気側はキャップ42の底部423が対向しているので、砂埃が舞い上がったり小石等が衝突したりするような悪環境に音圧検出装置1を配置した場合でも、小石等の異物がベント膜43に衝突するのを防止することができる。その結果、音圧センサ10の不具合を招くベント膜43の破損を防止することができ、音圧検出装置1の信頼性向上を図ることができる。また、伝搬通路414は、ベント膜43から音圧センサ10の方向に延在し、断面積が変化しない直線通路なので、音圧の減衰が抑制され、音圧センサ10による音圧検出への悪影響を防止することができる。
【0025】
(変形例1)
図6は上述した実施の形態の変形例1を示す図であり、シールドプレート12の代わりに、音圧センサ10が実装されていない面である基板11の裏面にシールド用の銅パターン111が形成されている。基板11は、開口部21の内周側端面211に接触するように設けられている。銅パターン111には、基板11の貫通孔110と対向する位置に貫通孔111aが形成されている。
【0026】
図7は、基板11の裏面側を示す図である。内周側端面211に対向する銅パターン111には、貫通孔111aに連通し、図示左右方向に延在する通気溝112が形成されている。基板11の四隅には、基板11を装置筐体2に固定するためのビス用孔113が形成されている。図5に示した通気溝121の場合と同様に、通気溝112によって、図6の伝搬通路414と装置筐体2の内部空間とが連通し、伝搬通路414の気圧と装置筐体2内の気圧とが等しく保たれる。なお、実施の形態におけるシールドプレート12およびシールドカバー13や変形例1の銅パターン111は、外部環境からの電磁ノイズ侵入防止用に設けられたものであるが、電磁ノイズ影響が問題とならないような環境で使用する場合には、シールドプレート12、シールドカバー13、銅パターン111を設けなくても構わない。
【0027】
(変形例2)
図8は上述した実施の形態の変形例1を示す図であり、ベント部4と装置筐体2との着脱構造の変形例を示したものである。図3に示した例では、ベント部4のベントボディ41に形成された雄ネジ411を装置筐体2の開口部21に設けられた雌ネジ210に螺合させることで、ベント部4を装置筐体2に着脱可能とした。変形例2では、ベントボディ41の伝搬通路414が形成されている筒部410を装置筐体2の開口部21に挿入し、ベントボディ41に形成されたフランジ部415を装置筐体2にボルト固定することで、ベント部4を装置筐体2に着脱可能に取り付けている。フランジ部415と装置筐体2との隙間はOリング416により封止されている。
【0028】
図8に示す例では、上述した図3の場合と異なり貫通孔413は直線状であるため、外部の音が入りやすいという利点があると共に、ベント部4の内部に塵等が入りやすいという欠点もある。ベント膜43が塵等により目詰まりした場合、通気性や音圧の伝達に悪影響が生じ、音圧検出装置1の性能低下を招く。そのため、ベント膜43は容易に交換できるのが好ましい。上述した実施形態や変形例1、2では、ベント膜43が保持されるベント部4が装置筐体2に対して着脱可能なので、ベント部4を交換するだけで新品のベント膜43に容易に交換することができる。
【0029】
(変形例3)
図9(a)は変形例3を示す図である。変形例3では、ベント膜43および押さえリング44を装置筐体2の開口部21内に装着する構成とした。ベント膜43および押さえリング44は、開口部21に取り付けられたキャップ42と開口部21との間に挟持される。ベント膜43および押さえリング44を開口部21内に配置し、キャップ42を開口部21に取り付けると、キャップ42の先端が押さえリング44に当接し、ベント膜43と押さえリング44とが装置筐体2とキャップ42との間に保持される。開口部21のベント膜43とシールドプレート12との間には、伝搬通路212が形成されている。
【0030】
キャップ42と装置筐体2との間のシールは、Oリング424によって行われる。キャップ42の開口部21への固定は、キャップ42の雄ネジ425を開口部21の雌ネジ210に螺合させることで行われる。キャップ42の側部には通気用の貫通孔422が形成され、キャップ42の底部423はベント膜43に対向している。
【0031】
キャップ42は開口部21に着脱可能に構成されているので、キャップ42を着脱するだけでベント膜43を容易に交換することができる。また、図3図8に示すベント部4の構成に比べて変形例3は部品点数が少なく簡単な構造なので、コスト低減を図ることができる。伝搬通路212は、ベント膜43から音圧センサ方向へと断面積が変化せず直線状に形成されているので、音圧の減衰が抑制される。
【0032】
(変形例4)
図9(b)は変形例4を示す図である。変形例3では、キャップ42の雄ネジ425を開口部21の雌ネジ210に螺合させることで、キャップ42を装置筐体2に取り付けるようにした。変形例4では、キャップ42に形成されたフランジ部426を装置筐体2にボルト固定することで、キャップ42が装置筐体2に固定されるような構成とした。フランジ部426と装置筐体2との間のシールはOリング424により行われる。変形例4の場合も変形例3の場合と同様に、キャップ42を着脱するだけでベント膜43を容易に交換することができる。また、部品点数が少なく簡単な構造なので、コスト低減を図ることができる。
【0033】
上述した実施の形態および変形例1~4の作用効果をまとめると以下のようになる。
(1)音圧検出装置1は、装置筐体2に設けられた開口部21に設けられ、装置筐体2内に音波を伝搬するための伝搬通路414と、伝搬通路414を閉塞する防水性、防塵性および通気性を有するベント膜43と、ベント膜43を通過して伝搬通路414を伝搬する音波を受け、音圧を電気信号に変換する音圧センサ10と、ベント膜43を保護する保護部材であるベントボディ41およびキャップ42とを備える。異物が飛来するような悪環境に音圧検出装置1が設けられても、ベントボディ41とキャップ42とによりベント膜43への異物の衝突を防止することができ、音圧検出装置1の信頼性向上を図ることができる。
【0034】
(2)ベント膜43とそれを保護するベントボディ41およびキャップ42とが設けられたベント部4は、装置筐体2の開口部21に着脱可能に設けられている。そのため、ベント膜43の性能が目詰まり等により劣化した場合には、ベント膜43が設けられたベント部4を一体で交換することで、ベント膜43の交換を容易に行うことができる。そのため、ベント膜43の交換に慣れていない作業員であっても容易に交換作業を行うことができ、メンテナンス性に優れている。
【0035】
なお、図3のようにベント膜43がベント部4内に保持される構成でなく、図9の変形例3、4に示すように、ベント膜43と押さえリング44とをキャップ42と開口部21との間に保持する構成であっても良い。この場合も、着脱可能な構成のキャップ42を外すだけでベント膜43の交換を容易に行うことができる。
【0036】
(3)図3図9に示すように、ベント膜43の保護部材として機能するベントボディ41とキャップ42には、ベント膜43に対して隙間を介して対向配置される壁部としての底部423と、その隙間と筐体外部空間とを連通する通気路である貫通孔413,422とが設けられている。そのため、音圧検出装置1は、ベント膜43を保護する機能と、圧力調整機能とを兼ね備えている。
【0037】
(4)図3のパッキン45や図8、9のOリング416,424のように、開口部21に装着されたベント部4やキャップ42と装置筐体2との接続部の隙間を封止する封止部材を備えることで、漏れによる音圧の減衰を防止することができる。また、雨水等の浸入についてもパッキン45により防止することができる。
【0038】
(5)図6に示すように、音圧検出装置1は、開口部21の筐体内側出口(開口部21の内周側端面211)を遮蔽するように設けられ、音圧センサ10が実装された基板11と、伝搬通路414の音波が伝搬通路外へ漏出するのを防止するOリング7とを備える。伝搬通路414および開口部21の通路を伝搬した音波の音圧を音圧センサ10で検出する場合、開口部21の出口から遠い位置で検出するよりも、開口部21の出口を基板11で遮蔽して音波が装置筐体内に拡散するのを抑えることで、音圧センサ10で検出さえる音圧の低下を抑えるのが望ましい。さらに、Oリング7を設けることで、開口部21の内周側端面211と基板11との隙間から音波が伝搬通路外へ漏出するのを防止できる。なお、図6のように、基板11を遮蔽部材として用いる場合にも、同様にOリング7を適用することができる。
【0039】
(6)さらに、図3に示すように、基板11と開口部21の内周側端面211との間に挟持されるシールドプレート12を備える構成において、基板11およびシールドプレート12のいずれか一方には、伝搬通路414と装置筐体2の内部空間とを連通する連通路である通気溝121を形成するのが好ましい。その結果、伝搬通路414の気圧と装置筐体2の内部空間の気圧とがほぼ等しくなるように調整することができ、音圧検出装置1の検出性能の低下を防止することできる。
【0040】
なお、図3に示す例では通気溝をシールドプレート12に形成したが、基板11側に形成しても良い。また、図10に示すように、基板11に連通路としての通気孔114を形成しても良く、通気溝112と同様の効果を奏する。図10に示す構成では、音圧センサ10は基板11の開口部側の面に実装されており、シールドプレート12には音圧センサ10との干渉を避けるための貫通孔124が形成されている。図6に示す構成の場合も、音圧センサ10を基板11の開口部側の面に設けても良い。
【0041】
(7)また、図6,7に示すように、開口部21の筐体内側出口(開口部21の内周側端面211)を遮蔽し、伝搬通路414と装置筐体2の内部空間とを連通する連通路が形成された遮蔽部材を備えるようにしても良い。図7では、基板11が遮蔽部材に対応し、基板11の銅パターン111に形成された通気溝112が連通路に対応する。通気溝112の場合も、上述した通気溝121と同様の作用効果を奏することができる。銅パターン111が形成されない基板11の場合には、基板11の裏面に通気溝を形成したり、図10のように通気孔114を基板11に形成しても良い。
【0042】
(8)図3,8や図9に示すように、伝搬通路414,212は、ベント膜43から音圧センサ10の方向に延在し、断面積が変化しない直線通路なので、音圧の減衰が抑制され、音圧検出性能の悪化を抑制することができる。
【0043】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。例えば、ベント膜43をベントボディ41に接着等により構成することで、押さえリング44を省略することも可能である。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1…音圧検出装置、2…装置筐体、3…カバー、4…ベント部、6,45…パッキン、7,416,424…Oリング、10…音圧センサ、11…基板、12…シールドプレート、13…シールドカバー、21…開口部、41…ベントボディ、42…キャップ、43…ベント膜、44…押さえリング、110,111a,120,422…貫通孔、112,121…通気溝、114…通気孔、410…筒部、212,414…伝搬通路、423…底部
図1
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図8
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図10