IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井精機工業株式会社の特許一覧

特許7168469研削盤及びそのプロービング装置の運用方法
<>
  • 特許-研削盤及びそのプロービング装置の運用方法 図1
  • 特許-研削盤及びそのプロービング装置の運用方法 図2
  • 特許-研削盤及びそのプロービング装置の運用方法 図3
  • 特許-研削盤及びそのプロービング装置の運用方法 図4
  • 特許-研削盤及びそのプロービング装置の運用方法 図5
  • 特許-研削盤及びそのプロービング装置の運用方法 図6
  • 特許-研削盤及びそのプロービング装置の運用方法 図7
  • 特許-研削盤及びそのプロービング装置の運用方法 図8
  • 特許-研削盤及びそのプロービング装置の運用方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】研削盤及びそのプロービング装置の運用方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20221101BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20221101BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20221101BHJP
   B23Q 17/12 20060101ALI20221101BHJP
   G01M 1/18 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B24B45/00 B
B24B49/10
B23Q11/00 B
B23Q17/12
G01M1/18
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019011763
(22)【出願日】2019-01-27
(65)【公開番号】P2020116714
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000174987
【氏名又は名称】三井精機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098279
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 聖
(72)【発明者】
【氏名】浅井 岳見
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-175167(JP,A)
【文献】特開2018-161716(JP,A)
【文献】特開2004-181537(JP,A)
【文献】特開2001-170863(JP,A)
【文献】特開平8-219927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
B24B 49/10
B23Q 11/00
B23Q 17/12
G01M 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥石軸を含む少なくともいずれかの回転軸に自動釣り合わせ装置を搭載すると共に、機上での測定用にプロービング装置を搭載した研削盤であって、且つ前記プロービング装置が信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えた研削盤において、 測定の際に、前記回転軸を回転させ、 前記自動釣り合わせ装置を意図的に振動を残して釣り合わせを終了させ、もしくは振動を大きめの状態で釣り合わせを終了させ、前記プロービング装置のプロービング中に、前記回転軸の回転を持続させて該プロービング装置の出力に前記振動の成分を重畳させ、デジタル変換された後の信号をローパスフィルタまたはバンドパスフィルタで濾波することにより、得たい信号周波数成分の量子化雑音を低減させることを特徴とする研削盤におけるプロービング装置の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削盤及びそのプロービング装置の運用方法に関し、特に、自動釣り合わせ装置とプロービング装置を搭載した研削盤及びそのプロービング装置の運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械にプロービング等の測定装置を搭載し、その測定装置を運用して加工した形状の寸法・軸送り精度等を機上測定するようにしている。例えば、特許文献1に記載のアナログ測定用プローブは、工作機械と共に用いられ、被加工物の表面に接触するためのスタイラスを備え、このスタイラスは、プローブ本体部から突出し、プローブ本体部に移動可能に接続される。測定用プローブは、プローブ本体部に対するスタイラスの移動を測定するためのセンサを更に備える。アナログ測定用プローブのスタイラスは、物体の形状をもしくは位置に関する情報を取得され得るように、物体に接触させ得る。アナログプローブでは、スタイラスが被加工物の表面にそって移動されるとき、スタイラスの振れの大きさ(および、随意に方向)が、連続的に検知され、振れデータをプローブの位置を表すデータと組み合わせて被加工物の詳細な測定結果を取得できる。
【0003】
近年、研削盤の高速・高精度化に対応して、そのプロービング等の測定装置に対しても高速且つ高精度な測定を可能とすることが求められており、そのための様々な提案もなされている。例えば、特許文献2記載の従来例では、加工されたワークの所定位置の座標と基準座標との差、または工作機械の所定位置の座標と基準座標との差を、あらかじめ決められたタイミングでタッチプローブにより測定した値を順次メモリに記憶し、このメモリに記憶された測定値の履歴を基準座標および許容値とともに表示するようにし、この履歴により、工作機械の熱変形による加工誤差の状況を把握する。このようなシステムにおいて扱う値は高分解能化が要求されつつある。しかしながら、高分解能な測定を実現するためには、測定装置の運用のための複雑な制御が必要となったり、精密且つ高価な測定機器を別途製作したりしなければならず、研削盤全体のコストの増加を招いてしまう。
【0004】
一方、研削盤においては、砥石フランジに設けた修正面に錘を取り付けることで、砥石の回転の不釣り合い(アンバランス)を修正することが行われており、そのための自動釣り合わせ装置も開発されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2014-517252号公報
【文献】特開2007-007822号公報
【文献】特開平8-219927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、研削盤及びそのプロービング装置の運用方法に関し、研削盤全体のコストの増加を招くこと無く、研削盤の高速・高精度化に対応した高分解能な測定を可能とするプロービング装置の開発が望まれている。
【0007】
本発明は上述のような事情から為されたものであり、その目的は、研削盤全体のコストの増加を招くこと無く、研削盤の高速・高精度化に対応した高分解能な測定を可能とするプロービング装置の運用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述した研削盤全体のコストの増加を招くこと無く高分解能な測定を可能とするプロービング装置の運用方法について、様々な観点からアプローチを試み、鋭意研究した結果、そのような研削盤の構成と、そのプロービング装置の運用方法に関する新規且つ有用な着想を得るに至った。
【0009】
即ち、本発明の研削盤におけるプロービング装置の運用方法では、砥石軸を含む少なくともいずれかの回転軸に自動釣り合わせ装置を搭載すると共に、機上での測定用にプロービング装置を搭載した研削盤であって、且つ前記プロービング装置が信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えた研削盤において、 測定の際に、前記回転軸を回転させ、 前記自動釣り合わせ装置を意図的に振動を残して釣り合わせを終了させ、もしくは振動を大きめの状態で釣り合わせを終了させ、前記プロービング装置のプロービング中に、前記回転軸の回転を持続させて該プロービング装置の出力に前記振動の成分を重畳させ、デジタル変換された後の信号をローパスフィルタまたはバンドパスフィルタで濾波することにより、得たい信号周波数成分の量子化雑音を低減させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、研削盤全体のコストの増加を招くこと無く、研削盤の高速・高精度化に対応した高分解能な測定を可能とするプロービング装置の運用方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る研削盤の機能ブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る研削盤の要部の基本構成を示す図であり、砥石によるワークの研削を行うために、プロービング装置が後退した状態を示す。
図3】本発明の実施形態に係る研削盤の要部の基本構成を示す図であり、機上測定を行うために、プロービング装置がセットされ、スタイラスがワークに接触した状態を示す。
図4】本発明の研削盤における自動釣り合わせ装置(オートバランサ)と加速度センサの取付(搭載)構成の一例を示す図である。
図5】本発明の研削盤におけるプロービング装置の運用方法を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の研削盤における自動釣り合わせ装置(オートバランサ)で意図的に残す振動を表す波形図として、振動を大きめの状態で釣り合わせを終了させた波形図であり、(A)は、釣り合わせる前の振動を表す波形、(B)は、振動を大きめで残して釣り合わせを終了させた波形である。
図7】本発明の研削盤における自動釣り合わせ装置(オートバランサ)で限界まで釣り合わせを行った上で、錘を移動させることにより不釣り合いを創出した波形図であり、(A)は、釣り合わせる前の振動を表す波形、(B)は、装置(オートバランサ)の限界まで釣り合わせた(小さな振動が残っただけの)波形、(C)は、そこから錘を移動させることにより不釣り合いを創出した波形図である。
図8】本発明の比較例として、ステップ測定時の(アナログ信号)の例を1μmで量子化できるAD変換機でデジタル変換された後の信号をローパスフィルタで濾波した波形図であり、(A)は、ステップ測定時の(アナログ信号)の例、(B)は、1μmで量子化できるAD変換機でデジタル変換された後の信号の例、(C)は、それをローパスフィルタで濾波した信号の例である。
図9】本発明の研削盤におけるプロービング装置の運用方法の一例として、重畳波形のシミュレーションを示す図であり、ステップ測定時の(アナログ信号)の例を1μmで量子化できるAD変換機でデジタル変換された後の信号をローパスフィルタで濾波した波形図あり、(A)は、意図的に振動を重畳させたアナログ信号の例、(B)は、1μmで量子化できるAD変換機でデジタル変換された後の信号の例、(C)は、それをローパスフィルタで濾波した信号の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態に係る研削盤について説明する。図1は、本実施形態に係る研削盤の機能ブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る研削盤は、制御装置100を有し、この制御装置100は、軸制御器100aと、プログラマブルコントローラ100bを含んでいる。尚、制御装置100の中は、軸制御器100a、プログラマブルコントローラ100bに分かれていなくても良い。また、軸制御器100a、プログラマブルコントローラ100b等がソフトウエアとして実装されていても良い。また、本実施形態に係る研削盤は、制御装置100のプログラマブルコントローラ100bとの間で信号を送受信する入出力器102を有し、入出力器102には、ドライバ(アンプ)104aを介するアクチュエータ104bと、本発明の要部であるオートバランサ制御器106が接続されている。更に、制御装置100の軸制御器100aには、ドライバ(アンプ)108a、108b、・・・、108c等を介して、それぞれサーボモータ(1)110a、サーボモータ(2)110b、・・・、砥石(回転)モータ110cが接続されている。尚、ドライバとアクチュエータやモータは、外見上一体になっている場合もある。
【0013】
図2は、本実施形態に係る研削盤の要部の基本構成を示す図であり、砥石によるワークの研削を行うために、プロービング装置が後退した状態を示す。図3は、本実施形態に係る研削盤の要部において、機上測定を行うために、プロービング装置がセットされ、スタイラスがワークに接触した状態を示す。ここで、本発明に係る研削盤の特徴的な構成は、砥石軸を含む少なくともいずれかの回転軸に自動釣り合わせ装置(オートバランサ)を搭載すると共に、機上での測定用にプロービング装置を搭載した研削盤である点にある。即ち、本実施形態に係る研削盤では、図2及び図3に示すように、コラム200上に、砥石台202と、この砥石台202に保持された砥石回転モータ204と、砥石回転モータ204の回転軸に取り付けられた砥石206と、例えば、砥石回転モータ204の筐体後部に回動可能なへ字状部材208aを介して取り付けられたプロービング装置208を有し、このプロービング装置208は、接触子であるスタイラス208bを備えている。また、本実施形態に係る研削盤は、ワーク台210を有し、図示X方向にコラム200が移動することにより、ワーク台210上に載置されたワーク212を、回転する砥石206によりX方向に切り込むと共に、ワーク台210が図示Y方向に移動することでワーク212を研削するようになっている。また、本実施形態に係る研削盤では、図2に示すように、へ字状部材208aが回動することで砥石206によるワーク212の研削を行うために、プロービング装置208が後退した状態とすることが可能である。一方、図3に示すように、へ字状部材208aが反対方向に回動することで、機上測定を行うために、プロービング装置208がセットされ、スタイラス208bがワーク212に接触した状態とすることも可能である。
【0014】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る研削盤における自動釣り合わせ装置(オートバランサ)と加速度センサの取付(搭載)構成について説明する。図4は、本実施形態に係る研削盤における自動釣り合わせ装置(オートバランサ)と加速度センサの取付(搭載)構成の一例を示す図である。上述したように、本発明に係る研削盤の特徴的な構成は、砥石軸を含む少なくともいずれかの回転軸に自動釣り合わせ装置(オートバランサ)を搭載する点にもある。即ち、本実施形態に係る研削盤では、図4に示すように、砥石軸である回転軸402(の回転軸筒402A)に自動釣り合わせ装置(オートバランサ)404を搭載している。また、本実施形態に係る研削盤では、図4に示すように、砥石206の径方向と同方向に感度を有する加速度センサ406が設置されている。オートバランサ404、加速度センサ406は、それぞれ上述したオートバランサ制御器106に接続されており、加速度センサ406の検出値の信号等やオートバランサ制御器106の状態信号等がオートバランサ制御器106に送出される。
【0015】
尚、図4の詳細な構成について説明すれば、砥石(回転)モータ110cの回転軸(砥石軸)402に砥石206が取り付けられており、この回転軸(砥石軸)402(の回転軸筒402A)が砥石軸モータ(ステータ)408、砥石軸モータ(ロータ)410、軸受412a、412b、スリップリング414を介して高速回転される。また、オートバランサ404は、回転軸(砥石軸)402の回転軸筒402A内に、それぞれ錘1モータ416、錘2モータ418により駆動されることで図4(B)に示す矢印方向に可動する錘1と錘2を有している。錘1モータ416、錘2モータ418は、それぞれオートバランサ制御器106により駆動制御される。
【0016】
次に、
図5乃至図9を参照して、本実施形態に係る研削盤におけるプロービング装置の運用方法を説明する。図5は、本実施形態に係る研削盤におけるプロービング装置の運用方法を説明するためのフローチャートである。図5に示すのは、フィルタリングがリアルタイムでない場合である。本実施形態に係る研削盤におけるプロービング装置の運用方法が開始されると(S501)、まず、砥石回転し、プローブが応答する回転数を選定する(S502)。そして、自動釣り合わせが行われる(S503)。次に、錘1と錘2の位置が修正され(意図的にずらす)(S504)た上で、プロービング装置208による測定が行われる(重畳信号が取得される)(S505)。得られた信号波形をフィルタリングし(S506)し、測定結果を取得・評価する(S507)ことで、フローが終了する(S508)。尚、フィルタリングは測定結果の取得の前に入れば良いので、リアルタイムでなくても良い。
【0017】
図6は、本発明の研削盤における自動釣り合わせ装置(オートバランサ)404で意図的に残す振動を表す波形図として、振動を大きめの状態で釣り合わせを終了させた波形図であり、(A)は、釣り合わせる前の振動を表す波形、(B)は、振動を大きめで残して釣り合わせを終了させた波形である。即ち、本実施形態に係る研削盤におけるプロービング装置の運用方法では、図6(A)に示すように、釣り合わせる前の振動を表す波形が得られると、図6(B) に示すように、振動を大きめで残して釣り合わせを終了させた波形を得るようにする。
【0018】
図7は、本発明の研削盤における自動釣り合わせ装置(オートバランサ)404で限界まで釣り合わせを行った上で、錘1及び/又は錘2を移動させることにより不釣り合いを創出した波形図であり、(A)は、釣り合わせる前の振動を表す波形、(B)は、装置(オートバランサ)404の限界まで釣り合わせた(小さな振動が残っただけの)波形、(C)は、そこから錘1及び/又は錘2を移動させることにより不釣り合いを創出した波形図である。即ち、本実施形態に係る研削盤におけるプロービング装置の運用方法では、図7(A)に示すように、釣り合わせる前の振動を表す波形が得られると、図7(B) に示すように、装置(オートバランサ)404の限界まで釣り合わせ、小さな振動が残っただけの波形を得ても良い。そして、この後、そこから錘1及び/又は錘2を移動させることにより不釣り合いを創出し、図7(C) に示すように、釣り合わせを終了させた波形を得るようにすることもできる
【0019】
図8は、本発明の比較例として、ステップ測定時の(アナログ信号)の例を1μmで量子化できるAD変換機でデジタル変換された後の信号をローパスフィルタで濾波した波形図であり、(A)は、ステップ測定時の(アナログ信号)の例、(B)は、1μmで量子化できるAD変換機でデジタル変換された後の信号の例、(C)は、それをローパスフィルタで濾波した信号の例である。即ち、例えば、従来のる研削盤におけるプロービング装置の運用方法では、ステップ測定時の(アナログ信号)の例では、図8(A)に示すように、釣り合わせる前の振動を表す信号が得られると、図8(B) に示すように、例えば、1μmで量子化できるAD変換機を用いてデジタル変換された後の信号は、波形変化の無い信号になってしまい、図8(C) に示すように、それをローパスフィルタで濾波した信号も、波形変化の無い信号になってしまい、意味をなさなくなる。
【0020】
これに対して、本発明の研削盤におけるプロービング装置の運用方法では、以下のような作用効果が得られる。図9は、本発明の研削盤におけるプロービング装置の運用方法の一例として、重畳波形のシミュレーションを示す図であり、ステップ測定時の(アナログ信号)の例を1μmで量子化できるAD変換機でデジタル変換された後の信号をローパスフィルタで濾波した波形図あり、(A)は、意図的に振動を重畳させたアナログ信号の例、(B)は、1μmで量子化できるAD変換機でデジタル変換された後の信号の例、(C)は、それをローパスフィルタで濾波した信号の例である。即ち、本実施形態に係る研削盤におけるプロービング装置の運用方法では、自動釣り合わせ装置(オートバランサ)404を却って不釣り合いを残す形で駆動(バランス)制御することで、図9(A)に示すように、釣り合わせる前の振動に不釣り合いにより創出された信号が(回転により周期的に)重畳される。これを、図9(B) に示すように、例えば、1μmで量子化できるAD変換機を用いてデジタル変換しても、変換後の信号は、明確な波形変化のある信号になるので、図9(C) に示すように、それをローパスフィルタで濾波した信号も、波形変化のある信号になる。但し、この変化は、AD変換機の量子化精度である1μm未満の変化となる。尚、図9の実施形態では、ローパスフィルタで濾波したが、砥石の回転により周期的な振動が得られるので、バンドパスフィルタを用いることもできる。
【0021】
以上に述べたように、本発明では、砥石軸を含む少なくともいずれかの回転軸に自動釣り合わせ装置を搭載すると共に、機上での測定用にプロービング装置を搭載した研削盤であって、且つ前記プロービング装置が信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えた研削盤において、測定の際に、前記回転軸を回転させ、前記自動釣り合わせ装置を意図的に振動を残して釣り合わせを終了させ、もしくは振動を大きめの状態で釣り合わせを終了させ、前記プロービング装置のプロービング中に、前記回転軸の回転を持続させて該プロービング装置の出力に前記振動の成分を重畳させ、デジタル変換された後の信号をローパスフィルタまたはバンドパスフィルタで濾波することにより、得たい信号周波数成分の量子化雑音を低減させる。
【0022】
以上に述べた実施形態では、本発明のプロービング装置の運用方法を研削盤に適用したが、工具を交換可能な(従って、工具毎にバランス調整の可能且つ必要な)工作機械であって、オートバランサを使用するものであれば、他の工作機械に適用できるのは、勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、いずれかの回転軸に自動釣り合わせ装置を搭載すると共に、機上での測定用にプロービング装置を搭載した工作機械であって、且つ前記プロービング装置が信号のレベルをデジタル変換により2値ではなく多段階に数値変換する機構を備えた工作機械に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
100 制御装置、100a 軸制御器、100b プログラマブルコントローラ、102 入出力器、104a ドライバ(アンプ)、 104b アクチュエータ、106 オートバランサ制御器、108a、108b、108c ドライバ(アンプ)、110a サーボモータ(1)、110b サーボモータ(2)、110c 砥石(回転)モータ、200 コラム、202 砥石台、204 砥石回転モータ、206 砥石、208a へ字状部材、208 プロービング装置、208b スタイラス、210 ワーク台、212 ワーク、 X 方向、 Y 方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9