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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ステアリングサポート
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B62D25/08 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019018049
(22)【出願日】2019-02-04
(65)【公開番号】P2020125002
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新家 裕隆
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-301518(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146783(WO,A1)
【文献】特開2017-035957(JP,A)
【文献】実開平02-099065(JP,U)
【文献】登録実用新案第3035197(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
F16B 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延びた状態で車両に搭載される棒状の部材であるステアリングメンバに取り付けられるよう構成されたステアリングサポートであって、
前記ステアリングメンバの外周面に沿って広がる状態で前記外周面に接合されるよう構成された基部と、
前記基部から突出する部位であって、前記車幅方向に並んで対面するよう構成された2つの側壁を有する部位である突出部と、
それぞれの前記側壁に設けられ、前記ステアリングサポートの下方に位置する前記車両のステアリングコラムに締結されるよう構成された締結部と、
前記突出部を補強する1つ又は2つの補強部と、
前記補強部の下側に接合され、前記補強部を補強する底部と、
を備え、
前記車幅方向の一方の側を右側、他方の側を左側とし、
前記基部において、前記右側に位置する前記側壁よりも前記右側の部分を右側方部分とし、前記左側に位置する前記側壁よりも前記左側の部分を左側方部分とし、
前記補強部は、前記右側又は前記左側の前記側壁に対応しており、対応する前記側壁から、前記基部における該側壁が位置する側の前記側方部分にわたって設けられ、該側壁を補強する
ステアリングサポート。
【請求項2】
請求項に記載されたステアリングサポートにおいて、
前記底部は、それぞれの前記側壁における前記締結部の付近に接合される
ステアリングサポート。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載されたステアリングサポートにおいて、
前記補強部は、上側に突出する少なくとも1つの段差を有する
ステアリングサポート。
【請求項4】
車幅方向に延びた状態で車両に搭載される棒状の部材であるステアリングメンバに取り付けられるよう構成されたステアリングサポートであって、
前記ステアリングメンバの外周面に沿って広がる状態で前記外周面に接合されるよう構成された基部と、
前記基部から突出する部位であって、前記車幅方向に並んで対面するよう構成された2つの側壁を有する部位である突出部と、
それぞれの前記側壁に設けられ、前記ステアリングサポートの下方に位置する前記車両のステアリングコラムに締結されるよう構成された締結部と、
前記突出部を補強する1つ又は2つの補強部と、を備え、
前記車幅方向の一方の側を右側、他方の側を左側とし、
前記基部において、前記右側に位置する前記側壁よりも前記右側の部分を右側方部分とし、前記左側に位置する前記側壁よりも前記左側の部分を左側方部分とし、
前記補強部は、前記右側又は前記左側の前記側壁に対応しており、対応する前記側壁から、前記基部における該側壁が位置する側の前記側方部分にわたって設けられ、該側壁を補強し、
前記補強部は、上側に突出する少なくとも1つの段差を有する
ステアリングサポート。
【請求項5】
請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載されたステアリングサポートにおいて、
前記補強部は、対応する前記側壁における前記締結部の付近から、前記基部における該側壁が位置する側の前記側方部分にわたって設けられる
ステアリングサポート。
【請求項6】
車幅方向に延びた状態で車両に搭載される棒状の部材であるステアリングメンバに取り付けられるよう構成されたステアリングサポートであって、
前記ステアリングメンバの外周面に沿って広がる状態で前記外周面に接合されるよう構成された基部と、
前記基部から突出する部位であって、前記車幅方向に並んで対面するよう構成された2つの側壁を有する部位である突出部と、
それぞれの前記側壁に設けられ、前記ステアリングサポートの下方に位置する前記車両のステアリングコラムに締結されるよう構成された締結部と、
前記突出部を補強する1つ又は2つの補強部と、を備え、
前記車幅方向の一方の側を右側、他方の側を左側とし、
前記基部において、前記右側に位置する前記側壁よりも前記右側の部分を右側方部分とし、前記左側に位置する前記側壁よりも前記左側の部分を左側方部分とし、
前記補強部は、前記右側又は前記左側の前記側壁に対応しており、対応する前記側壁から、前記基部における該側壁が位置する側の前記側方部分にわたって設けられ、該側壁を補強し、
前記補強部は、対応する前記側壁における前記締結部の付近から、前記基部における該側壁が位置する側の前記側方部分にわたって設けられる
ステアリングサポート。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載されたステアリングサポートにおいて、
前記右側の前記側壁に対応する前記補強部と、前記左側の前記側壁に対応する前記補強部とを備える
ステアリングサポート。
【請求項8】
請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載されたステアリングサポートにおいて、
前記締結部は、前記ステアリングコラムを締結するため、実質的に前記車幅方向に延びるボルトが挿入される穴である
ステアリングサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のステアリングメンバに取り付けられ、ステアリングを支持するステアリングサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には車幅方向に延びるステアリングメンバが搭載されており、車両のステアリングは、ステアリングメンバに取り付けられたステアリングサポートにより支持される。そして、車両の操舵感は、ステアリングメンバやステアリングサポートの剛性により変化すると考えられる。なお、操舵感とは、ハンドルを操作した際のドライバの感覚を評価するための指標である。
【0003】
特許文献1に記載されたステアリングサポートは、ボックス状の構造を有しており、ステアリングメンバの外周面の全周にわたって溶接される。これにより、ステアリングサポート及びステアリングメンバの剛性が向上する。その結果、ステアリングの振動が抑制され、操舵感が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-183462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、操舵感を定める要素の1つとして、クイック性を挙げることができる。クイック性とは、ステアリング操作が車両の挙動に反映されるまでの迅速性を示す指標である。特許文献1のステアリングサポートは、ステアリングの振動を抑制できるものの、クイック性を向上させるのは困難であった。
【0006】
本開示の一態様においては、車両のクイック性を向上するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車幅方向に延びた状態で車両に搭載される棒状の部材であるステアリングメンバに取り付けられるよう構成されたステアリングサポートであって、基部と、突出部と、締結部と、1つ又は2つの補強部と、を備える。基部は、ステアリングメンバの外周面に沿って広がる状態で外周面に接合されるよう構成される。突出部は、基部から突出する部位であって、車幅方向に並んで対面するよう構成された2つの側壁を有する部位である。締結部は、それぞれの側壁に設けられ、ステアリングサポートの下方に位置する車両のステアリングコラムに締結されるよう構成される。補強部は、突出部を補強する。ここで、車幅方向の一方の側を右側、他方の側を左側とする。また、基部において、右側に位置する側壁よりも右側の部分を右側方部分とし、左側に位置する側壁よりも左側の部分を左側方部分とする。そして、補強部は、右側又は左側の側壁に対応しており、対応する側壁から、基部における側壁が位置する側の側方部分にわたって設けられ、側壁を補強する。
【0008】
上記構成によれば、突出部の側壁と、基部における該側壁側に位置する側方部分とにわたって補強部が設けられ、突出部が側方から補強される。このため、突出部の締結部を介してステアリングコラムから加えられる車幅方向の力に対する、ステアリングサポートの剛性(以後、捩れ剛性)が向上する。これにより、ステアリングコラムを捻る力が加えられた場合に、ステアリングサポートが変形したり変位したりするのを抑制できる。さらに、基部がステアリングメンバの外周面に接合されているため、ステアリングメンバにおけるステアリングサポートの取付部分及びその周辺の剛性が向上する。これにより、走行中におけるステアリングサポートの変位及び変形が抑制され、その結果、ハンドル操作に応じてインタミシャフトが無駄なく動くようになり、クイック性を向上させることができる。
【0009】
本開示の一態様では、右側の側壁に対応する補強部と、左側の側壁に対応する補強部とを備えてもよい。
上記構成によれば、突出部が左右両側から補強されるため、ステアリングサポートの捩れ剛性がさらに向上する。このため、クイック性をより向上させることができる。
【0010】
本開示の一態様は、補強部の下側に接合され、補強部を補強する底部をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、底部により補強部が下方から補強されるため、補強部は、より一層、突出部を側方から補強できる。このため、ステアリングサポートの捩れ剛性がさらに向上し、クイック性をより向上させることができる。
【0011】
本開示の一態様では、底部は、それぞれの側壁における締結部の付近に接合されてもよい。
上記構成によれば、底部により突出部における締結部の付近の部分を補強できる。このため、ステアリングサポートの捩れ剛性が効果的に向上し、クイック性をより向上させることができる。
【0012】
本開示の一態様では、補強部は、上側に突出する少なくとも1つの段差を有していてもよい。
上記構成によれば、補強部における車幅方向の力に対する剛性が向上する。このため、ステアリングサポートの捩れ剛性がさらに向上し、クイック性をより向上させることができる。
【0013】
本開示の一態様では、補強部は、対応する側壁における締結部の付近から、基部における側壁が位置する側の側方部分にわたって設けられてもよい。
上記構成によれば、補強部により突出部をより良好に補強できる。このため、ステアリングサポートの捩れ剛性がさらに向上し、クイック性をより向上させることができる。
【0014】
本開示の一態様では、締結部は、ステアリングコラムを締結するため、実質的に車幅方向に延びるボルトが挿入される穴であってもよい。
上記構成によれば、ステアリングコラムを捻る力が加えられた場合等に、ステアリングサポートに対し車幅方向の力が作用するように促される。このため、ステアリングサポートの捩れ剛性を向上することで、ステアリングコラムを捻る力に対し良好に対処することができる。その結果、走行中にインタミシャフトが変位するのを効果的に抑制でき、クイック性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ステアリングサポート及びステアリングの側面図である。
図2】ステアリングサポートの斜視図である。
図3】ステアリングサポートの正面図である。
図4】ステアリングサポートの左側面図である。
図5】ステアリングサポートの上面図である。
図6】ステアリングサポートの下面図である。
図7】ステアリングサポートのVII-VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0017】
[1.全体の構成]
本実施形態のステアリングサポート1は、一例として鋼材により構成され、車両に搭載されたステアリングメンバ2に取り付けられる(図1参照)。以後、車両における前側、後側と、前側に向かって右側、左側とを、単に、前側、後側、右側、左側と記載する。ステアリングメンバ2は、左右方向(換言すれば、車幅方向)に延びた状態で車両に搭載される。ステアリングメンバ2は、左右方向に直交する断面が略円形であるパイプ状の部材であり、ステアリングメンバ2の右端及び左端は、車両のボディに締結される。
【0018】
ステアリングサポート1は、ブラケット21と共にステアリングメンバ2の外周面20に接合される(図1参照)。具体的には、ステアリングサポート1は、外周面20の前側に接合される。一方、ブラケット21は、ステアリングサポート1と前後方向に対面した状態で、外周面20の後側に接合される。
【0019】
そして、ステアリングサポート1及びブラケット21は、ステアリングコラム31に締結され、ステアリングコラム31を上方から支持する。ステアリングコラム31とは、車両のステアリング3を構成する部位であり、内部にステアリングシャフト32が配置される。ステアリングシャフト32とステアリングコラム31の内周面との間には、ベアリングが配置されている。ハンドル30への回転操作は、ステアリングシャフト32、ジョイント33、及び、インタミシャフト34を介して、ステアリング機構に伝達される。
【0020】
[2.ステアリングサポートの構成]
ステアリングサポート1は、中空の部材(換言すれば、ボックス状の部材)であり、基部10と、突出部11と、右補強部12と、左補強部13と、底部14とを備える(図2~7参照)。ステアリングサポート1は、突出部11が前側に突出した状態で、ステアリングメンバ2の外周面20に溶接される。
【0021】
[3.基部について]
基部10は、左右方向に延びた状態で、ステアリングメンバ2の外周面20に溶接される(図2~6参照)。基部10は、本体部100と、側面部101と、外周面接合部102と、底部接合部103とを有する。
【0022】
本体部100は、外周面20に沿って広がる壁状の部位である。
側面部101は、本体部100の上側、右側、及び、左側の縁部から外周面20に向かって突出する壁状の部位である。
【0023】
外周面接合部102は、側面部101の外周面20側の縁部から外側に突出するフランジ状の部位である。外周面接合部102は、外周面20に溶接される。
底部接合部103は、側面部101の右側及び左側の部分における下側の端部から外側に突出するフランジ状の部位である。底部接合部103は、底部14に溶接される。
【0024】
[4.突出部について]
突出部11は、基部10の本体部100における左右方向の中央付近から前側に突出する(図2~7参照)。突出部11は、右側壁110と、左側壁111と、上壁112と、右締結部113と、左締結部114と、右底部接合部115と、左底部接合部116とを有する。
【0025】
右側壁110及び左側壁111は、本体部100から前側に突出する壁状の部位である。右側壁110及び左側壁111は、左右方向に並び、且つ、対面する。なお、右側壁110は右側に位置し、左側壁111は左側に位置する。
【0026】
上壁112は、右側壁110及び左側壁111の上側の縁部を繋ぐ壁状の部位である。上壁112は、本体部100の中央における上側の縁部から前側に延びる。
右締結部113及び左締結部114は、ステアリングコラム31に締結される部位である。右締結部113は右側壁110に設けられ、左締結部114は左側壁111に設けられる。一例として、右締結部113及び左締結部114は、それぞれ、右側壁110及び左側壁111に設けられたボルト穴として構成されている(図2~4参照)。
【0027】
右底部接合部115は、右側壁110の下側の縁部に設けられたフランジ状の部位である。右底部接合部115は、右締結部113の付近(より詳しくは、右締結部113の下側)に位置する。右底部接合部115は、右側に突出する。一方、左底部接合部116は、左側壁111の下側の縁部に設けられたフランジ状の部位である。左底部接合部116は、左締結部114の付近(より詳しくは、左締結部114の下側)に位置する。左底部接合部116は、左側に突出する。右底部接合部115及び左底部接合部116は、底部14の本体部140に溶接される。
【0028】
[5.左補強部について]
左補強部13は、左側壁111に対応しており、左側壁111から、基部10における左側壁111の左側の部分(以後、左側方部分105)にわたって広がる壁状の部位である(図2~4、7参照)。より詳しくは、左補強部13は、左側壁111の左締結部114の付近から、本体部100の左側の縁部(換言すれば、左側の側面部101)の付近にわたって広がる。また、左補強部13は、左側壁111の下側の縁部、及び、本体部100の下側の縁部に沿って広がる。左補強部13は、上面視すると三角形状であり、本体部100側(換言すれば、後側)に向かうに従い左右方向の幅が広くなる。
【0029】
左補強部13は、内側面130と、外側面131と、内側段差面132と、外側段差面133と、底部接合部134とを有する。
内側面130及び外側面131は、上側を向く壁状の部位である。また、内側段差面132及び外側段差面133は、略上下方向に延びる壁状の部位である。
【0030】
外側段差面133は、左側壁111における左締結部114の付近から、本体部100の左側の縁部の付近まで延びる。より詳しくは、外側段差面133は、ボルト穴として構成された左締結部114に挿入されたボルト35を締結するナット36に隣接する位置から延びる(図4参照)。
【0031】
また、外側面131は、外側段差面133の上側の縁部から後側に広がる。また、内側段差面132は、外側面131の後側の縁部から上側に突出する。また、内側面130は、内側段差面132の上側の縁部から後側に広がり、左側壁111と本体部100とが交差する部分に隣接して設けられる。そして、内側段差面132は、内側面130と外側面131との間に段差を形成し、外側段差面133は、外側面131の前側に段差を形成する。つまり、左補強部13には、内側段差面132及び外側段差面133により、上側に突出する2つの段差が形成される。しかし、左補強部13には、1つ又は3つ以上の段差が形成されていても良い。
【0032】
底部接合部134は、外側段差面133の下側の縁部に設けられたフランジ状の部位である。底部接合部134は、外側段差面133の下側の縁部から外側に突出する。底部接合部134は、底部14の本体部140に溶接される。
【0033】
[6.右補強部について]
右補強部12は、右側壁110に対応した状態で、左補強部13と同様に構成された部位である(図2~4、7参照)。右補強部12と左補強部13とは、左右方向に直交する面に対し略対称となる形状を有する。
【0034】
右補強部12は、右側壁110から、基部10における右側壁110の右側の部分(以後、右側方部分104)にわたって広がる壁状の部位である。より詳しくは、右補強部12は、右側壁110の右締結部113の付近から、本体部100の右側の縁部(換言すれば、右側の側面部101)の付近にわたって広がる。また、右補強部12は、右側壁110の下側の縁部、及び、本体部100の下側の縁部に沿って広がる。右補強部12は、一例として上面視すると三角形状であり、本体部100側に向かうに従い左右方向の幅が広くなる。なお、この他にも、例えば、上面視した際の右補強部12の形状を台形状とすることで、本体部100側に向かうに従い右補強部12の左右方向の幅が広くなるようにしても良い。
【0035】
右補強部12は、内側面120と、外側面121と、内側段差面122と、外側段差面123と、底部接合部124とを有する。右補強部12における内側面120、外側面121、内側段差面122、外側段差面123、底部接合部124は、それぞれ、左補強部13における内側面130、外側面131、内側段差面132、外側段差面133、底部接合部134と同様の構成を有する。つまり、内側段差面122及び外側段差面123は、上側に突出する段差を形成しており、底部接合部124は、底部14の本体部140に溶接される。
【0036】
[7.上側部材について]
基部10と、突出部11と、右補強部12と、左補強部13とは、上側部材1aに含まれる(図2~7参照)。上側部材1aは、基部10の外周面接合部102及び底部接合部103と、突出部11の右底部接合部115及び左底部接合部116と、右補強部12の底部接合部124と、左補強部13の底部接合部134とにより囲まれる開口を有する。なお、上側部材1aは、1枚の板材をプレス成形することを形成されても良いし、プレス成形された複数の板材を溶接することで形成されても良い。
【0037】
[8.底部について]
底部14は、ステアリングサポート1の下面を形成する壁状の部位である(図2~7参照)。底部14は、上側部材1aの底部接合部103、115、116、124、134に溶接される。これにより、上側部材1aにおける上記開口の一部が下側から覆われ、ステアリングサポート1が形成される。ステアリングサポート1は、上側部材1aと底部14とにより囲まれた空間を有するボックス状の構造を有する(図7参照)。
【0038】
底部14は、本体部140と、締結用開口143と、外周面接合部144と、屈曲部145とを有する。なお、底部14は、1枚の板材をプレス成形することを形成されても良いし、プレス成形された複数の板材を溶接することで形成されても良い。
【0039】
本体部140は、略三角形状であり、本体部100側に向かうに従い左右方向の幅が広くなる。本体部140は、前側に部分が上側に屈曲している。以後、本体部140の前側における屈曲した部分を、前側部分141と記載し、残りの部分を後側部分142と記載する。前側部分141は、右締結部113及び左締結部114の下側に位置する。
【0040】
また、本体部140は、上側部材1aの底部接合部103、115、116、124、134に溶接される。これにより、ステアリングサポート1が上述したボックス状に構成される。すなわち、突出部11の右側壁110及び左側壁111は、本体部140から上側に突出した状態となり、上壁112は、本体部140に対面し、上壁112と本体部140との間に空間が形成される。また、右補強部12及び左補強部13の内側段差面122、123は、本体部140から上側に突出し、内側面120、130及び外側面121、131と本体部140との間に空間が形成される。
【0041】
締結用開口143は、本体部140の前端の付近に設けられた矩形の穴である。締結用開口143は、ステアリングメンバ2の内部と外部とを連通する。締結用開口143は、突出部11の右締結部113及び左締結部114の下側に位置する。また、締結用開口141は、前側部分141と後側部分142とにわたって設けられる。
【0042】
外周面接合部144は、本体部140の後側部分142における後側の縁部におけるフランジ状の部位である。外周面接合部144は、後側部分142の後側の縁部を下側に屈曲させることで形成される。外周面接合部144は、外周面20に溶接される。
【0043】
屈曲部145は、本体部140の前側、右側、及び、左側の縁部における下側に屈曲した部位である。屈曲部145により、底部14が補強される。
[9.ステアリングサポートの配置態様]
ステアリングサポート1は、基部10における外周面接合部102、及び、底部における外周面接合部144を外周面20に溶接することで、ステアリングメンバ2に取り付けられる(図2~6参照)。この時、基部10は左右方向に延びた状態となる。また、基部10には側面部101が設けられているため、本体部100と外周面20との間に空間が形成される。また、突出部11は、外周面20から前側に突出した状態となる。
【0044】
一方、ステアリングコラム31は、ステアリングサポート1及びステアリングメンバ2の下方に配置される。また、ステアリングコラム31の上部には、取付部310が設けられている。図1、4に示すように、底部14の締結用開口143から、ステアリングサポート1の内部空間(より詳しくは、突出部11の内側の空間)に取付部310が配置される。そして、図3、4に示すように、実質的に左右方向に延びるボルト35を、右締結部113及び左締結部114と、ステアリングコラム31の取付部310とに挿通し、ナット36によりボルト35が締結される。これにより、ステアリングサポート1とステアリングコラム31とが締結される。無論、ボルト以外の方法により、右締結部113及び左締結部114とステアリングコラム31とが締結されても良い。
【0045】
また、例えば、下方に延びる少なくとも1つのボルトにより、ステアリングコラム31がステアリングサポート1に締結されるようにしても良い。すなわち、右締結部を、右側壁110からステアリングサポート1の内部に突出する壁部として構成すると共に、左締結部を、左側壁111からステアリングサポート1の内部に突出する壁部として構成しても良い。また、右締結部及び左締結部に、それぞれ、ボルト穴を形成しても良い。そして、これらのボルト穴を挿通し、ステアリングコラム31に向かって下方に延びるボルトにより、ステアリングコラム31がステアリングサポート1に締結されても良い。
【0046】
[10.効果]
(1)上記実施形態によれば、右及び左補強部12、13により、突出部11が左右両側から補強される。このため、各締結部113、114を介してステアリングコラム31から加えられる左右方向の力に対する、ステアリングサポート1の剛性(以後、捩れ剛性)が向上する。これにより、ステアリングコラム31を捻る力が加えられた場合に、ステアリングサポート1が変形したり変位したりするのを抑制できる。
【0047】
また、ステアリングサポート1はボックス状の構造を有しており、これによりステアリングサポート1の剛性が向上する。また、基部10は、ステアリングメンバ2の外周面20との間に隙間を有した状態で、外周面20に接合されている。これにより、基部10の剛性が向上すると共に、ステアリングメンバ2におけるステアリングサポート1の取付部分、及びその周辺の剛性が向上する。
【0048】
このため、走行中におけるステアリングサポート1の変位及び変形が抑制され、その結果、ハンドル操作に応じてインタミシャフト34が無駄なく動くようになり、クイック性を向上させることができる。
【0049】
また、従来、アルミニウム材のダイキャストによりステアリングサポートを製造することで、ステアリングサポートの捩れ剛性を向上させ、これにより、クイック性等といった車両の操舵感を向上させていた。しかし、このようなステアリングサポートは、重く、高コストであった。これに対し、上記実施形態によれば、鋼材等をプレス成形することでステアリングサポートを製造できる。このため、重量及びコストを抑制しつつ、クイック性を向上させることができる。
【0050】
(2)また、各補強部12、13の下側に底部14が溶接されている。このため、各補強部12、13が下方から補強され、これにより、より一層、突出部11が側方から補強される。このため、ステアリングサポート1の捩れ剛性がさらに向上し、クイック性をより向上させることができる。
【0051】
(3)また、底部14は、各側壁110、111における締結部113、114の付近に溶接される。このため、突出部11における各締結部113、114の付近の部分が補強される。これにより、ステアリングサポート1の捩れ剛性が効果的に向上し、クイック性をより向上させることができる。
【0052】
(4)また、各補強部12、13には、2つの段差が形成されている。このため、各補強部12、13における左右方向の力に対する剛性が向上する。したがって、ステアリングサポート1の捩れ剛性がさらに向上し、クイック性をより向上させることができる。
【0053】
(5)また、各補強部12、13には、対応する側壁110、111における締結部113、114の付近に設けられている。これにより、突出部11をより良好に補強でき、ステアリングサポート1の捩れ剛性がさらに向上し、クイック性をより向上させることができる。
【0054】
(6)また、ステアリングコラム31を締結する際、各締結部113、114には、実質的に左右方向に延びるボルト35が挿通される。これにより、ステアリングコラム31を捻る力が加えられた場合等に、ステアリングサポート1に対し左右方向の力が作用するように促される。このため、ステアリングサポート1の捩れ剛性を向上することで、ステアリングコラム31を捻る力に対し良好に対処することができる。その結果、走行中にインタミシャフト34が変位するのを効果的に抑制でき、クイック性を向上させることができる。
【0055】
[11.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、ステアリングサポート1は、右補強部12及び左補強部13を有する。しかし、ステアリングサポート1は、右補強部12及び左補強部13のうちの一方のみを有していても良い。
【0056】
(2)上記実施形態では、ステアリングサポート1は、突出部11がステアリングメンバ2の外周面20から前側に突出するように配置される。しかし、ステアリングサポート1は、突出部11がステアリングメンバ2の外周面20から後側に突出するように配置されても良い。そして、ステアリングメンバ2の後側で、突出部11の右締結部113及び左締結部114をステアリングコラム31に締結し、ステアリングコラム31を上方から支持するようにしても良い。
【0057】
(3)上記実施形態では、ステアリングサポート1は、ステアリングメンバ2の外周面20に溶接される。しかし、ステアリングサポート1は、溶接以外の方法で外周面20に接合されても良い。また、上記実施形態では、ステアリングサポート1は、上側部材1aや底部14等の構成要素を溶接することで形成される。しかしながら、ステアリングサポート1は、これらの構成要素を溶接以外の方法で接合することで、形成されても良い。
【0058】
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…ステアリングサポート、10…基部、104…右側方部分、105…左側方部分、11…突出部、110…右側壁、111…左側壁、113…右締結部、114…左締結部、12…右補強部、122…内側段差面、123…外側段差面、13…左補強部、132…内側段差面、133…外側段差面、14…底部、2…ステアリングメンバ、20…外周面、3…ステアリング、31…ステアリングコラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7