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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】放電制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20221101BHJP
   F01N 11/00 20060101ALI20221101BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20221101BHJP
   F01N 3/028 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H05H1/24
F01N11/00
F01N3/08 C
F01N3/028
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019067883
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167072
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松元 裕次
(72)【発明者】
【氏名】小久保 一成
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123711(JP,A)
【文献】特表平03-502636(JP,A)
【文献】特開2016-96656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00 - 1/54
F01N 3/08
F01N 11/00
F01N 3/028
H02M 3/00 - 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側コイルおよび二次側コイルを有して電圧変換を行うトランスと、前記一次側コイルへの通電を制御するドライバとを備えて、放電によりプラズマを発生させるプラズマリアクタに電気エネルギーを供給するフライバック方式の電源回路を制御する放電制御装置であって、
前記一次側コイルに電流が流れている通電状態から、前記一次側コイルに電流が流れていない非通電状態に切り替わったときに前記ドライバに発生するフライバック電圧を検出するように構成された電圧検出部と、
前記電圧検出部により検出された前記フライバック電圧に基づいて、前記プラズマリアクタの容量値の増加を検出するように構成された異常検出部と
を備える放電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放電制御装置であって、
前記異常検出部は、前記電圧検出部により検出された前記フライバック電圧が、予め設定された劣化判定電圧未満である場合に、前記プラズマリアクタの容量値が増加していると判断する放電制御装置。
【請求項3】
一次側コイルおよび二次側コイルを有して電圧変換を行うトランスと、前記一次側コイルへの通電を制御するドライバとを備えて、放電によりプラズマを発生させるプラズマリアクタに電気エネルギーを供給するフライバック方式の電源回路を制御する放電制御方法であって、
前記一次側コイルに電流が流れている通電状態から、前記一次側コイルに電流が流れていない非通電状態に切り替わったときに前記ドライバに発生するフライバック電圧に基づいて、前記プラズマリアクタの容量値の増加を検出する異常検出手順を備える放電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマリアクタに電気エネルギーを供給する電源回路を制御する放電制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フライバック型昇圧トランスの一次コイルへの電圧の印加停止からリアクタ印加電流のピーク値が取得されるまでに経過した時間が所定時間以下である場合に、プラズマリアクタにおける放電が異常であると判断する放電異常検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-18778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、二次側の電流を直接検出して、プラズマリアクタにおいて放電異常が発生しているか否かを判断している。昇圧回路の二次側の電圧は数kVの高電圧であるため、例えば、非接触式の電流センサを用い、絶縁を確保した状態で電流検出を行う必要がある。このように、特許文献1に記載の技術では、電流センサの絶縁を確保するための部品または作業が必要となり、製造コストの増加または装置構成の複雑化という問題が生じる可能性がある。
【0005】
本開示は、製造コストを低減、または、装置構成を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、フライバック方式の電源回路を制御する放電制御装置であって、電圧検出部と、異常検出部とを備える。電源回路は、一次側コイルおよび二次側コイルを有して電圧変換を行うトランスと、一次側コイルへの通電を制御するドライバとを備えて、放電によりプラズマを発生させるプラズマリアクタに電気エネルギーを供給する。
【0007】
電圧検出部は、一次側コイルに電流が流れている通電状態から、一次側コイルに電流が流れていない非通電状態に切り替わったときにドライバに発生するフライバック電圧を検出するように構成される。
【0008】
異常検出部は、電圧検出部により検出されたフライバック電圧に基づいて、プラズマリアクタの容量値の増加を検出するように構成される。
このように構成された本開示の放電制御装置は、ドライバに発生するフライバック電圧に基づいて、プラズマリアクタの容量値の増加を検出する。これにより、本開示の放電制御装置は、二次側コイルに流れる二次電流と、二次側コイルに発生する二次電圧とを用いることなく、プラズマリアクタの異常を検出することができる。このため、本開示の放電制御装置は、絶縁を確保するための部品または作業を不要とすることができ、製造コストを低減、または、装置構成を簡素化することができる。
【0009】
本開示の一態様では、異常検出部は、電圧検出部により検出されたフライバック電圧が、予め設定された劣化判定電圧未満である場合に、プラズマリアクタの容量値が増加していると判断するようにしてもよい。
【0010】
本開示の別の一態様は、フライバック方式の電源回路を制御する放電制御方法であって、異常検出手順を備える。異常検出手順は、一次側コイルに電流が流れている通電状態から、一次側コイルに電流が流れていない非通電状態に切り替わったときにドライバに発生するフライバック電圧に基づいて、プラズマリアクタの容量値の増加を検出する。
【0011】
本開示の放電制御方法は、本開示の一態様の放電制御装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本開示の一態様の放電制御装置と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】浄化システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】プラズマリアクタ、トランスおよび放電制御装置の構成を示す回路図である。
図3】放電制御処理を示すフローチャートである。
図4】初期診断処理を示すフローチャートである。
図5】浄化時診断処理を示すフローチャートである。
図6】放電によるエネルギーの流れを示す回路図である。
図7】PWM信号、一次電流、一次端子間電圧および二次エネルギーの変化を示すタイミングチャートである。
図8】PWM信号、一次電流、一次端子間電圧およびフライバック電圧の変化を示すタイミングチャートである。
図9】プラズマリアクタの等価回路を示す図である。
図10】放電制御装置の動作の具体例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本開示の実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の浄化システム1は、図1に示すように、電子制御装置2、プラズマリアクタ3、トランス4、バッテリ5、放電制御装置6および温度センサ7,8を備える。
【0014】
電子制御装置2は、浄化システム1を搭載する車両のエンジンを制御する。以下、電子制御装置2をエンジンECU2という。ECUは、Electronic Control Unitの略である。
【0015】
プラズマリアクタ3は、誘電体バリア放電によってプラズマを発生させる。これにより、プラズマリアクタ3は、車両のエンジンから排出される排気ガス中の粒子状物質および炭化水素などを除去する。
【0016】
トランス4は、プラズマリアクタ3を駆動するための高電圧を出力する。バッテリ5は、エンジンECU2、トランス4および放電制御装置6に電源電圧VBを供給する。
放電制御装置6は、トランス4に電流が流れている通電状態と、トランス4に電流が流れていない非通電状態とを交互に切り替えることにより、プラズマリアクタ3による放電を制御する。また放電制御装置6は、通信線を介して、エンジンECU2との間でデータ通信を行う。
【0017】
温度センサ7は、トランス4の温度を検出し、検出結果を示す検出信号を放電制御装置6へ出力する。温度センサ8は、放電制御装置6内に搭載されている後述のドライバ32の温度を検出し、検出結果を示す検出信号を放電制御装置6へ出力する。なお、ドライバ32は、図2に示している。
【0018】
図2に示すように、プラズマリアクタ3は、放電電極11が埋め込まれた複数の第1電極パネルと、放電電極12が埋め込まれた複数の第2電極パネルとを備える。複数の第1電極パネルと複数の第2電極パネルとは、排気ガスの流通方向に沿って、所定の間隔を空けて交互に配置される。そしてプラズマリアクタ3は、互いに隣接する第1電極パネルと第2電極パネルとの間で電圧が印加されることにより、プラズマを発生させる。
【0019】
トランス4は、一次側コイル21と、二次側コイル22とを備える。一次側コイル21は、一端がバッテリ5の正極に接続され、他端が放電制御装置6に接続される。二次側コイル22は、一端がプラズマリアクタ3の放電電極11に接続されるとともに他端がプラズマリアクタ3の放電電極12に接続される。
【0020】
放電制御装置6がトランス4を上記の通電状態にすることにより、一次側コイル21に電流が流れてエネルギーが蓄積される。その後、放電制御装置6がトランス4を上記の非通電状態にすると、一次側コイル21への通電が遮断される。これにより、一次側コイル21に蓄えらえたエネルギーが二次側コイル22に伝達され、二次側コイル22に高電圧が発生する。すなわち、トランス4は、フライバック方式で高電圧を発生させる。
【0021】
放電制御装置6は、マイクロコンピュータ31(以下、マイコン31)、ドライバ32、ゲートドライバ33、抵抗34、電流積分回路35,36、電流検出回路37、回生検出回路38および電圧検出回路39,40を備える。
【0022】
マイコン31は、CPU51、ROM52およびRAM53を備える。マイクロコンピュータの各種機能は、CPU51が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROM52が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、CPU51が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、放電制御装置6を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0023】
またマイコン31は、電圧出力端子54および電圧入力端子55,56,57,58,59を備える。
ドライバ32は、Nチャネル型MOSFETである。ドライバ32のドレインは、トランス4の一次側コイル21に接続される。ドライバ32のソースは、抵抗34を介して接地される。
【0024】
ゲートドライバ33は、その入力端子が抵抗41を介してマイコン31の電圧出力端子54に接続される。またゲートドライバ33は、その出力端子が抵抗42を介してドライバ32のゲートに接続される。ゲートドライバ33は、マイコン31の電圧出力端子54から出力されるPWM信号を入力し、PWM信号の電圧レベルに応じて、ドライバ32のオン状態とオフ状態とを切り替えるためにドライバ32のゲートに印加されるゲート制御電圧Vgsを出力する。具体的には、ゲートドライバ33は、PWM信号がハイレベルであるときに、ゲート制御電圧Vgsをハイレベルにし、PWM信号がローレベルであるときに、ゲート制御電圧Vgsをローレベルにする。PWMは、Pulse Width Modulationの略である。
【0025】
ドライバ32は、ゲートに印加されるゲート制御電圧Vgsがハイレベルになると、オン状態となる。これにより、ドライバ32のドレインとソースとの間で電流が流れる。一方、ドライバ32は、ゲートに印加されるゲート制御電圧Vgsがローレベルになると、オフ状態となる。これにより、ドライバ32のドレインとソースとの間で電流が流れなくなる。
【0026】
抵抗34は、一端がドライバ32のソースに接続され、他端が接地される。
電流積分回路35は、オペアンプ61、抵抗62およびコンデンサ63を備える。オペアンプ61の非反転入力端子は、抵抗34の一端に接続される。オペアンプ61の反転入力端子は、抵抗62を介して抵抗34の他端に接続される。オペアンプ61の出力端子は、電圧入力端子58に接続される。コンデンサ63は、一端がオペアンプ61の出力端子に接続され、他端がオペアンプ61の反転入力端子に接続される。このように構成された電流積分回路35は、ドライバ32側から接地側へ向けて抵抗34に電流が流れるときに抵抗34の両端で発生する電圧を時間で積分した供給電流積分電圧Visiを出力する。
【0027】
電流積分回路36は、オペアンプ66、抵抗67およびコンデンサ68を備える。オペアンプ66の非反転入力端子は、抵抗34の他端に接続される。オペアンプ66の反転入力端子は、抵抗67を介して抵抗34の一端に接続される。オペアンプ66の出力端子は、電圧入力端子59に接続される。コンデンサ68は、一端がオペアンプ66の出力端子に接続され、他端がオペアンプ66の反転入力端子に接続される。このように構成された電流積分回路36は、接地側からドライバ32側へ向けて抵抗34に電流が流れるときに抵抗34の両端で発生する電圧を時間で積分した回生電流積分電圧Viriを出力する。
【0028】
電流検出回路37は、オペアンプ71および抵抗72,73,74,75を備える。オペアンプ71の出力端子は、電圧入力端子57に接続される。抵抗72は、抵抗34の一端とオペアンプ71の非反転入力端子との間に接続される。抵抗73の一端は電圧V1(本実施形態では、例えば2.5V)が印加され、抵抗73の他端はオペアンプ71の非反転入力端子に接続される。抵抗74は、抵抗34の他端とオペアンプ71の反転入力端子との間に接続される。抵抗75は、オペアンプ71の反転入力端子と出力端子との間に、帰還抵抗として接続される。すなわち、オペアンプ71と抵抗72,73,74,75とにより、差動増幅回路が形成されている。このため、オペアンプ71は、抵抗34の両端で発生する電圧を増幅した電圧Vipを出力する。
【0029】
回生検出回路38は、オペアンプ81、抵抗82,83およびコンデンサ84を備える。オペアンプ81の反転入力端子は、抵抗75と抵抗74とを介して抵抗34の他端に接続される。オペアンプ81の出力端子は、抵抗43とダイオード44とを介して、オペアンプ61の反転入力端子に接続される。さらに、オペアンプ81の出力端子は、抵抗23を介してゲートドライバ33の入力端子に接続される。このため、ゲートドライバ33は、回生検出回路38の出力信号がハイレベルであるときに、ゲート制御電圧Vgsをハイレベルにし、回生検出回路38の出力信号がローレベルであるときに、ゲート制御電圧Vgsをローレベルにする。
【0030】
抵抗82は、一端がオペアンプ81の非反転入力端子に接続され、他端が接地される。抵抗83の一端は電圧V2(本実施形態では、例えば5V)が印加され、抵抗83の他端はオペアンプ81の非反転入力端子に接続される。コンデンサ84は、一端がオペアンプ81の出力端子に接続され、他端がオペアンプ81の反転入力端子に接続される。
【0031】
電圧検出回路39は、抵抗91,92を備える。抵抗91は、一端がバッテリ5の正極に接続され、他端が電圧入力端子55に接続される。抵抗92は、一端が電圧入力端子55に接続され、他端が接地される。
【0032】
電圧検出回路40は、抵抗96,97を備える。抵抗96は、一端が一次側コイル21の他端に接続され、他端が電圧入力端子56に接続される。抵抗97は、一端が電圧入力端子56に接続され、他端が接地される。
【0033】
また電圧出力端子54は、抵抗45とダイオード46とを介して、オペアンプ66の反転入力端子に接続される。
次に、放電制御装置6のCPU51が実行する放電制御処理の手順を説明する。放電制御処理は、車両のアクセサリ電源がオフ状態からオン状態に切り替わることにより放電制御装置6に電源が供給されてマイコン31が起動した直後に開始される処理である。
【0034】
放電制御処理が実行されると、CPU51は、図3に示すように、まずS20にて、初期診断処理を実行する。
ここで、初期診断処理の手順を説明する。
【0035】
初期診断処理が実行されると、CPU51は、図4に示すように、まずS110にて、トランス4の内部温度の異常を診断する。具体的には、CPU51は、温度センサ7からの検出信号が示す温度(以下、電源回路内部温度)が、予め設定された使用温度範囲(本実施形態では、例えば-40℃~+85℃)内であるか否かを判断する。ここで、電源回路内部温度が使用温度範囲内である場合には、CPU51は、RAM53に設けられた初期温度異常フラグをクリアする。一方、電源回路内部温度が使用温度範囲外である場合には、CPU51は、初期温度異常フラグをセットする。
【0036】
次にS120にて、CPU51は、バッテリ5の電圧の異常を診断する。具体的には、CPU51は、電圧検出回路39から電圧入力端子55に入力した電圧に基づいて、バッテリ5の電圧(以下、電源電圧)が、予め設定された動作電圧範囲(本実施形態では、例えば10V~16V)内であるか否かを判断する。ここで、電源電圧が動作電圧範囲内である場合には、CPU51は、RAM53に設けられた初期電圧異常フラグをクリアする。一方、電源電圧が動作電圧範囲外である場合には、CPU51は、初期電圧異常フラグをセットする。
【0037】
次にS130にて、CPU51は、トランス4の内部故障を診断する。具体的には、CPU51は、まず、予め設定された初期診断用デューティのPWM信号を電圧出力端子54から出力する。これにより、プラズマリアクタ3は、後述するS50で実行される放電よりも低いエネルギーで放電し、プラズマを発生させる。そしてCPU51は、ドライバ32がオン状態であるときに、電流検出回路37から電圧入力端子57に入力した電圧Vipに基づいて、一次側コイル21に流れた電流の大きさ(以下、一次側コイル電流値)が、予め設定されたトランス断線判定値未満であるか否かを判断する。ここで、一次側コイル電流値がトランス断線判定値未満である場合には、CPU51は、RAM53に設けられた初期断線異常フラグをセットする。一方、一次側コイル電流値がトランス断線判定値以上である場合には、CPU51は、初期断線異常フラグをクリアする。
【0038】
ここで、放電によるエネルギーの流れを説明する。
図6に示すように、ドライバ32がオフ状態からオン状態に切り替わると、一次側コイル21に一次電流Iが流れ、一次側コイル21の端子間電圧V(以下、一次端子間電圧V)が発生することにより、一次側コイル21に供給エネルギーEsupが蓄積される。その後、ドライバ32がオン状態からオフ状態に切り替わると、一次側コイル21に蓄積された供給エネルギーEsupが二次側コイル22に伝達され、二次側コイル22に高電圧が発生し、プラズマリアクタ3で放電が発生する。このときに、ドライバ32のドレインとソースとの間にフライバック電圧Vflyが発生する。
【0039】
ここで、二次側コイル22の端子間電圧を二次端子間電圧Vという。また、プラズマリアクタ3の放電で消費されるエネルギーを放電エネルギーEdisという。プラズマリアクタ3は静電容量性負荷であるため、放電で消費されなかったエネルギーは一次側へ回生される。このエネルギーを回生エネルギーEregという。
【0040】
したがって、放電エネルギーEdisと、放電エネルギーEdisおよび回生エネルギーEregとの間で、式(1)に示す関係が成立する。そして、放電エネルギーEdisが低い場合には、供給エネルギーEsupと回生エネルギーEregとは互いに略等しくなる。すなわち、供給エネルギーEsupと回生エネルギーEregとの間で、式(2)に示す関係が成立する。
【0041】
【数1】

図7に示すように、時刻tにおいて、PWM信号がローレベルからハイレベルに切り替わると、一次電流Iが徐々に増加するとともに、一次端子間電圧Vが電源電圧VBになる。そして、時刻tにおいて、PWM信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、一次電流Iが急激に減少して0[A]になるとともに、一次端子間電圧Vが電源電圧VBから負側まで急激に低下して、プラズマリアクタ3において放電が発生する。放電が発生している期間は、時刻tから時刻tまでの間である。放電終了後、一次電流Iが負側で振動しながら減衰し、時刻tで0[A]になる。一次端子間電圧Vは、時刻tから時刻tまでの間に電源電圧VBとなり、時刻tで0[V]となる。そして、次にPWM信号がローレベルからハイレベルに切り替わる時刻tになるまで、一次電流Iは0[A]を維持し、一次端子間電圧Vは0[V]を維持する。
【0042】
すなわち、時刻tから時刻tまでの期間は、エネルギー供給期間Tsupである。時刻tから時刻tまでの期間は、放電期間Tdisである。時刻tから時刻tまでの期間は、回生期間Tregである。
【0043】
CPU51は、電圧入力端子58に入力される供給電流積分電圧Visiに基づいて、式(3)により供給エネルギーEsupを算出する。またCPU51は、電圧入力端子59に入力される回生電流積分電圧Viriに基づいて、式(4)により回生エネルギーEregを算出する。
【0044】
なお、式(3),(4)中のRshは、抵抗34の抵抗値である。式(3)中のRgsは、抵抗62の抵抗値である。式(3)中のCgsは、コンデンサ63の静電容量である。式(4)中のRgrは、抵抗67の抵抗値である。式(4)中のCgrは、コンデンサ68の静電容量である。
【0045】
また、式(3)により算出される供給エネルギーEsupは、式(5)により算出される供給エネルギーEsupに相当する。式(4)により算出される回生エネルギーEregは、式(6)により算出される回生エネルギーEregに相当する。式(5)のtは、図7の時刻tに対応する。式(5)のtは、図7の時刻tに対応する。式(6)のtは、図7の時刻tに対応する。式(6)のtは、図7の時刻tに対応する。
【0046】
【数2】

そしてS140に移行すると、図4に示すように、CPU51は、プラズマリアクタ3のオープン異常を診断する。プラズマリアクタ3のオープン異常とは、プラズマリアクタ3が割れたり、プラズマリアクタ3で断線が発生したりすることである。
【0047】
まず、プラズマリアクタ3のオープンを検出する方法を説明する。
図9に示すように、プラズマリアクタ3の等価回路は、コンデンサ16と、このコンデンサ16と直列に接続されるコンデンサ17とによって表される。
【0048】
プラズマリアクタ3の静電容量をC、コンデンサ16の静電容量をC、コンデンサ17の静電容量をCと表記すると、プラズマリアクタ3の静電容量は、式(7)で表される。なお、C>Cである。
【0049】
そして、供給エネルギーEsupは、式(8)で表される。式(8)より、二次端子間電圧Vは、式(9)で表される。
【0050】
【数3】

また、一次側コイル21の巻数をn、二次側コイル22の巻数をmと表記すると、フライバック電圧Vflyは、式(10)で表される。このため、式(9)および式(10)より、フライバック電圧Vflyは、式(11)で表される。
【0051】
プラズマリアクタ3において割れ又は断線が発生すると、コンデンサ17の静電容量Cが低下する。プラズマリアクタ3において割れ又は断線が発生したときのコンデンサ17の静電容量をCdoと表記すると、式(12)に示す関係が成立する。
【0052】
さらに、割れ又は断線が発生したときにおけるプラズマリアクタ3の静電容量をCopenと表記すると、式(13)に示す関係が成立する。
【0053】
【数4】

したがって、割れ又は断線が発生したときにおけるフライバック電圧Vflyは、割れ又は断線が発生していないときにおけるフライバック電圧Vflyより大きくなる。
【0054】
図8に示すように、放電期間Tdis中にフライバック電圧Vflyが発生する。実線で示す曲線L1は、プラズマリアクタ3が正常であるときのフライバック電圧Vflyである。実線で示す曲線L2は、プラズマリアクタ3で割れ又は断線が発生しているときのフライバック電圧Vflyである。
【0055】
したがって、CPU51は、S140にて、まず、初期診断用デューティのPWM信号を電圧出力端子54から出力し、電圧検出回路40から電圧入力端子56に入力した電圧に基づいて、フライバック電圧Vflyを算出する。そしてCPU51は、算出したフライバック電圧Vflyが予め設定されたオープン判定電圧を超えているか否かを判断する。ここで、フライバック電圧Vflyがオープン判定電圧を超えている場合には、CPU51は、RAM53に設けられた初期オープンフラグをセットする。一方、フライバック電圧Vflyがオープン判定電圧以下である場合には、CPU51は、初期オープンフラグをクリアする。
【0056】
S140の処理が終了すると、CPU51は、図4に示すように、S150にて、プラズマリアクタ3の劣化異常を診断する。プラズマリアクタ3の劣化異常とは、例えば、放電電極11と放電電極12との間に煤が詰まることである。
【0057】
まず、プラズマリアクタ3の劣化を検出する方法を説明する。
放電電極11と放電電極12との間に煤が詰まると、コンデンサ16の静電容量Cが増加する。プラズマリアクタ3において煤の詰まりが発生したときの静電容量CをCgcと表記すると、式(14)に示す関係が成立する。
【0058】
さらに、煤の詰まりが発生したときにおけるプラズマリアクタ3の静電容量をCclogと表記すると、式(15)に示す関係が成立する。
【0059】
【数5】

したがって、煤の詰まりが発生したときにおけるフライバック電圧Vflyは、煤の詰まりが発生していないときにおけるフライバック電圧Vflyより小さくなる。
【0060】
図8に示すように、放電期間Tdis中にフライバック電圧Vflyが発生する。実線で示す曲線L1は、プラズマリアクタ3が正常であるときのフライバック電圧Vflyである。実線で示す曲線L3は、プラズマリアクタ3で煤の詰まりが発生しているときのフライバック電圧Vflyである。
【0061】
したがって、CPU51は、S150にて、まず、初期診断用デューティのPWM信号を電圧出力端子54から出力し、電圧検出回路40から電圧入力端子56に入力した電圧に基づいて、フライバック電圧Vflyを算出する。そしてCPU51は、算出したフライバック電圧Vflyが予め設定された劣化判定電圧未満であるか否かを判断する。ここで、フライバック電圧Vflyが劣化判定電圧未満である場合には、CPU51は、RAM53に設けられた初期劣化フラグをセットする。一方、フライバック電圧Vflyが劣化判定電圧以上である場合には、CPU51は、初期劣化フラグをクリアする。
【0062】
S150の処理が終了すると、CPU51は、図4に示すように、初期診断処理を終了する。
そして、初期診断処理を終了すると、CPU51は、図3に示すように、S30にて、エンジンECU2から定期的に受信するエンジン駆動情報に基づいて、車両のエンジンが始動したか否かを判断する。エンジン駆動情報は、エンジンの駆動状態(例えば、エンジン回転数)を示す情報である。
【0063】
ここで、エンジンが始動していない場合には、CPU51は、S30の処理を繰り返すことにより、エンジンが始動するまで待機する。そして、エンジンが始動すると、CPU51は、S40にて、初期制御を実行する。具体的には、CPU51は、まず、予め設定された最大デューティ(本実施形態では、例えば45%)のPWM信号を電圧出力端子54から出力し、プラズマリアクタ3にプラズマを発生させる。
【0064】
そしてCPU51は、最大デューティでプラズマリアクタ3が駆動している間(以下、初期駆動期間)に、消費エネルギー、排気ガス温度、煤濃度および気圧のデータを取得する。
【0065】
消費エネルギーは、初期駆動期間中にプラズマリアクタ3の放電で消費されたエネルギーである。CPU51は、初期駆動期間中に、供給エネルギーEsupおよび回生エネルギーEregを繰り返し算出する。またCPU51は、初期駆動期間中に、供給エネルギーEsupから回生エネルギーEregを減算した減算値を繰り返し算出する。またCPU51は、初期駆動期間中に算出した減算値を積算し、この積算値を消費エネルギーとする。そしてCPU51は、算出した消費エネルギーの値を、消費エネルギーのデータとして取得する。
【0066】
またCPU51は、エンジンECU2から定期的に送信される排気ガス温度情報を初期駆動期間中に受信し、受信した排気ガス温度情報が示す排気ガス温度の値を、排気ガス温度のデータとして取得する。CPU51は、エンジンECU2から定期的に送信される煤濃度情報を初期駆動期間中に受信し、受信した煤濃度情報が示す煤濃度の値を、煤濃度のデータとして取得する。CPU51は、エンジンECU2から定期的に送信される気圧情報を初期駆動期間中に受信し、受信した気圧情報が示す気圧の値を、気圧のデータとして取得する。
【0067】
さらにCPU51は、初期駆動期間中に取得した煤濃度のデータに基づいて、初期駆動期間中に浄化された煤の量(以下、初期浄化煤量)を算出する。そしてCPU51は、消費エネルギー、初期浄化煤量、排気ガス温度および気圧をパラメータとして補正係数が予め設定された補正係数算出マップを参照して、補正係数を決定する。この補正係数は、S50の浄化電源制御で用いられる。
【0068】
次にCPU51は、S50にて、浄化電源制御を実行する。具体的には、CPU51は、まず、前回の浄化電源制御を実行してから予め設定された実行周期(本実施形態では、例えば1秒)が経過するまで待機する。そして、実行周期が経過すると、CPU51は、取得した最新の排気ガス温度、煤濃度および気圧のデータに基づき、排気ガス温度、煤濃度および気圧をパラメータとして目標消費エネルギーが予め設定された目標算出マップを参照して、目標消費エネルギーを決定する。またCPU51は、決定した目標消費エネルギーに、S40で決定した補正係数を乗じた乗算値を、補正目標エネルギーとして算出する。
【0069】
そしてCPU51は、入力された最新の供給電流積分電圧Visiに基づいて、式(3)により供給エネルギーEsupを算出する。またCPU51は、入力された最新の回生電流積分電圧Viriに基づいて、式(4)により回生エネルギーEregを算出する。さらにCPU51は、算出された供給エネルギーEsupから回生エネルギーEregを減じた減算値を、制御エネルギーとして算出する。
【0070】
またCPU51は、例えば比例ゲイン、積分ゲインおよび微分ゲインを用いたフィードバック制御(すなわち、PID制御)により、算出された補正目標エネルギーと、算出された制御エネルギーとの偏差が0になるように、PWM信号のデューティを算出する。そしてCPU51は、算出したデューティに設定されたPWM信号を電圧出力端子54から出力する。
【0071】
次に、CPU51は、S60にて、浄化時診断処理を実行する。
ここで、浄化時診断処理の手順を説明する。浄化時診断処理が実行されると、CPU51は、図5に示すように、まずS210にて、ドライバ32の過熱保護を実行する。具体的には、CPU51は、まず、温度センサ8からの検出信号が示す温度(以下、ドライバ温度)が、予め設定された故障判定温度以上であるか否かを判断する。ここで、ドライバ温度が故障判定温度以上である場合には、CPU51は、RAM53に設けられたドライバ過熱フラグをセットし、電圧出力端子54からのPWM信号の出力を禁止する。一方、ドライバ温度が故障判定温度未満である場合には、CPU51は、ドライバ過熱フラグをクリアする。
【0072】
次にS220にて、CPU51は、バッテリ5の電圧の異常を診断する。具体的には、CPU51は、S120と同様にして、電源電圧が動作電圧範囲内であるか否かを判断する。ここで、電源電圧が動作電圧範囲内である場合には、CPU51は、RAM53に設けられた浄化時電圧異常フラグをクリアする。一方、電源電圧が動作電圧範囲外である場合には、CPU51は、浄化時電圧異常フラグをセットする。
【0073】
次にS230にて、CPU51は、ドライバ32の過電圧保護を実行する。具体的には、CPU51は、まず、電圧検出回路40から電圧入力端子56に入力した電圧に基づいて、フライバック電圧Vflyを算出する。そしてCPU51は、算出したフライバック電圧Vflyが予め設定された故障判定電圧以上であるか否かを判断する。ここで、フライバック電圧Vflyが故障判定電圧以上である場合には、CPU51は、RAM53に設けられたドライバ過電圧フラグをセットし、電圧出力端子54からのPWM信号の出力を禁止する。一方、フライバック電圧Vflyが故障判定電圧未満である場合には、CPU51は、ドライバ過電圧フラグをクリアする。
【0074】
次にS240にて、CPU51は、トランス4の内部故障を診断する。具体的には、CPU51は、S130と同様にして、ドライバ32がオン状態であるときに、電流検出回路37から電圧入力端子57に入力した電圧Vipに基づいて、一次側コイル電流値がトランス断線判定値未満であるか否かを判断する。ここで、一次側コイル電流値がトランス断線判定値未満である場合には、CPU51は、RAM53に設けられた浄化時断線異常フラグをセットする。一方、一次側コイル電流値がトランス断線判定値以上である場合には、CPU51は、浄化時断線異常フラグをクリアする。
【0075】
次にS250にて、CPU51は、プラズマリアクタ3のオープン異常を診断する。具体的には、CPU51は、まず、S140と同様にして、電圧検出回路40から電圧入力端子56に入力した電圧に基づいて、フライバック電圧Vflyを算出する。そしてCPU51は、算出したフライバック電圧Vflyがオープン判定電圧を超えているか否かを判断する。ここで、フライバック電圧Vflyがオープン判定電圧を超えている場合には、CPU51は、RAM53に設けられた浄化時オープンフラグをセットする。一方、フライバック電圧Vflyがオープン判定電圧以下である場合には、CPU51は、浄化時オープンフラグをクリアする。
【0076】
そして、S250の処理が終了すると、CPU51は、浄化時診断処理を終了する。
浄化時診断処理が終了すると、CPU51は、図3に示すように、S70にて、エンジンECU2から定期的に受信するエンジン駆動情報に基づいて、車両のエンジンが停止したか否かを判断する。ここで、エンジンが停止していない場合には、CPU51は、S50に移行する。一方、エンジンが停止した場合には、CPU51は、放電制御処理を終了する。
【0077】
次に、放電制御装置6の動作の具体例を説明する。
図10に示すように、時刻tにおいて、PWM信号がローレベルからハイレベルに切り替わると、ゲート制御電圧Vgsがローレベルからハイレベルに切り替わる。これにより、一次電流Iが徐々に増加するとともに、一次端子間電圧Vが電源電圧VBになる。また、一次電流Iの増加に伴って、供給電流積分電圧Visiが徐々に上昇する。
【0078】
そして、時刻tにおいて、PWM信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、ゲート制御電圧Vgsがハイレベルからローレベルに切り替わる。これにより、一次電流Iが急激に減少して0[A]になる。また、一次端子間電圧Vが負側まで急激に低下するとともに二次端子間電圧Vが急激に上昇して、プラズマリアクタ3において放電が発生する。また、フライバック電圧Vflyが急激に上昇する。
【0079】
放電が発生している期間は、時刻tから時刻tまでの間である。放電終了後、一次電流Iは、負側で振動しながら減衰し、時刻tで0[A]になる。時刻tから時刻tまでに流れる一次電流Ipは、回生電流である。一次端子間電圧Vは、時刻tから時刻tまでの間で電源電圧VBとなり、時刻tで0[V]となる。また、二次端子間電圧Vは、時刻tから時刻tまでの間に、正側と負側との間で振動しながら減衰する。
【0080】
また、時刻tから時刻tまでに流れる一次電流Iによって、回生電流積分電圧Viriが徐々に上昇する。また、回生検出回路38の出力電圧Visrは、時刻tにローレベルからハイレベルに切り替わり、時刻tにハイレベルからローレベルに切り替わる。そして、出力電圧Visrがローレベルからハイレベルに切り替わったときに、供給電流積分電圧Visiがリセットされて0[V]になる。なお、回生検出回路38の出力電圧Visrに応じて、ゲート制御電圧Vgsは、時刻tにローレベルからハイレベルに切り替わり、時刻tにハイレベルからローレベルに切り替わる。
【0081】
そして、ゲート制御電圧Vgsがローレベルからハイレベルに切り替わる時刻tにおいて、電圧出力端子54の電圧Virrがローレベルからハイレベルに切り替わると、回生電流積分電圧Viriがリセットされて0[V]になる。
【0082】
このように構成された放電制御装置6は、フライバック方式の電源回路を制御する。電源回路は、一次側コイル21および二次側コイル22を有して電圧変換を行うトランス4と、一次側コイル21への通電を制御するドライバ32とを備えて、放電によりプラズマを発生させるプラズマリアクタ3に電気エネルギーを供給する。
【0083】
電圧検出回路40は、一次側コイル21に電流が流れている通電状態から、一次側コイル21に電流が流れていない非通電状態に切り替わったときにドライバ32に発生するフライバック電圧Vflyを検出する。放電制御装置6は、検出されたフライバック電圧Vflyに基づいて、プラズマリアクタ3の容量値の増加を検出する。
【0084】
放電制御装置6は、フライバック電圧Vflyが、予め設定されたオープン判定電圧を超えている場合に、プラズマリアクタ3においてオープンが発生していると判断する。
放電制御装置6は、フライバック電圧Vflyが、予め設定された劣化判定電圧未満である場合に、プラズマリアクタ3の容量値が増加していると判断する。
【0085】
このように放電制御装置6は、ドライバ32に発生するフライバック電圧Vflyに基づいて、プラズマリアクタ3の容量値の増加を検出する。これにより、放電制御装置6は、二次側コイル22に流れる二次電流と、二次側コイル22に発生する二次電圧とを用いることなく、プラズマリアクタ3の異常を検出することができる。このため、放電制御装置6は、絶縁を確保するための部品または作業を不要とすることができ、製造コストを低減、または、装置構成を簡素化することができる。
【0086】
以上説明した実施形態において、トランス4およびドライバ32は電源回路に相当し、電圧検出回路40は電圧検出部に相当する。
また、S150は異常検出部および異常検出手順としての処理に相当する。
【0087】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
例えば上記実施形態では、式(3),(4)を用いて供給エネルギーEsupおよび回生エネルギーEregを算出する形態を示したが、式(5),(6)を用いて供給エネルギーEsupおよび回生エネルギーEregを算出するようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0089】
上述した放電制御装置6の他、当該放電制御装置6を構成要素とするシステム、当該放電制御装置6としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、放電制御方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0090】
3…プラズマリアクタ、4…トランス、6…放電制御装置、21…一次側コイル、22…二次側コイル、32…ドライバ、40…電圧検出回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10