(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】無端のフィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置
(51)【国際特許分類】
D01D 5/098 20060101AFI20221101BHJP
D01D 5/08 20060101ALI20221101BHJP
D01D 5/088 20060101ALI20221101BHJP
D01D 5/092 20060101ALI20221101BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
D01D5/098
D01D5/08 101
D01D5/088
D01D5/092 101
D04H3/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019081747
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2020-06-30
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ニチュケ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ノイエンホーファー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ゲオルク・ゴイス
(72)【発明者】
【氏名】デートレフ・フライ
(72)【発明者】
【氏名】トリスタン・クレチュマン
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-003080(JP,A)
【文献】特開昭57-035013(JP,A)
【文献】実開昭61-007579(JP,U)
【文献】特開昭56-096908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D1/00-13/02
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端フィラメント(1)、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメント(1)で構成された紡糸フリースを製造する装置であって、前記無端フィラメント(1)を紡出する紡糸口金(2)が設けられており、紡出された前記フィラメント(1)を冷却空気で冷却する冷却チャンバ(4)が設けられ、該冷却チャンバ(4)の2つの対向する側にそれぞれ1つの空気供給室(5,6)が配置されており、これら対向する空気供給室(5,6)から冷却空気を前記冷却チャンバ(4)へ導入可能であり、前記両空気供給室(5,6)の各々には、それぞれ、前記フィラメント(1)へ当たる冷却空気流を整流する少なくとも1つの整流装置(18)が設けられており、整流装置(18)は、前記フィラメント(1)あるいはフィラメントの流れの移動方向に対して横方向へ向いた複数の流れ通路(19)を備えており、該流れ通路(19)が通路壁部(20)で画定されており、前記整流装置(18)の開放された面積が、85%より大きく、好ましくは90%より大きく、前記流れ通路(19)の直径D
iに対する前記流れ通路(19)の長さLの比率L/D
i
が1.5~9であ
り、少なくとも1つの整流装置(18)が、その冷却空気流入側ES及びその冷却空気流出側ASにおいて少なくとも1つの流れスクリーン(21)を備えており、該流れスクリーン(21)が、前記流れ通路(19)の長手方向に対して好ましくは横方向に、有利には垂直に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記紡糸口金(2)と前記冷却チャンバ(4)の間にモノマー吸引装置(7)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記各空気供給室(5,6)が、少なくとも2つに、好ましくは2つの室部分(16,17)に分割され、これらの室部分からそれぞれ異なる温度の冷却空気を供給することが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの流れスクリーン(21)が、0.1~0.4mmの、好ましくは0.15~0.34mmのメッシュ幅を有しており、前記少なくとも1つの流れスクリーン(21)が、好ましくは0.05~0.32mm、有利には0.07~0.28mmのワイヤ厚さを有していることを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの流れスクリーン(21)の開放された面積が、20~50%、好ましくは25~45%であることを特徴とする請求項
1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記整流装置(18)の前記開放された面積が、91%より大きく、好ましくは92%よりも大きいことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記比率L/D
iが2~8、好ましくは2.5~7.5、有利には2.5~7、非常に有利には3~6.5であることを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記整流装置(18)の前記流れ通路(19)が、多角形の断面、好ましくは四角形~八角形の断面、特に好ましくは六角形の断面を有していることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記整流装置(18)の前記流れ通路(19)が、丸みのある断面、好ましくは円形又はだ円形の断面を有していることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記流れ通路(19)の前記通路壁部(20)が
、ウィング状に形成されており、好ましくは、隣り合う2つの
ウィング状の前記通路壁部(20)の間の間隔が3~12mm、有利には5~10mmであることを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記冷却空気が通過する、前記整流装置(18)の内部面積が、前記整流装置(18)の流れ断面1m
2につき、5~50m
2、好ましくは7.5~45m
2、有利には10~40m
2であることを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記整流装置(18)の前記流れ通路(19)の長さLが、15~65mm、好ましくは20~60mm、有利には20~55mm、非常に有利には25~50mmであることを特徴とする請求項1~
11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記流れ通路(19)の内径D
iあるいは最小の内径D
iが、2~15mm、好ましくは3~12mm、有利には4~11mm、非常に有利には5~10mmであることを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記フィラメント(1)が、2000m/分より大きな、好ましくは2200m/分より大きな糸速度で当該装置を通って流れるか、あるいは4000m/分より大きな、特に5000m/分より大きな糸速度で当該装置を通って流れるという条件で設定されていることを特徴とする請求項1~
13のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端フィラメント、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメントで構成された紡糸フリースを製造する装置であって、無端フィラメントを紡出する紡糸口金が設けられており、紡出されたフィラメントを冷却空気で冷却する冷却チャンバが設けられ、該冷却チャンバの2つの対向する側にそれぞれ1つの空気供給室が配置されており、これら対向する空気供給室から冷却空気を冷却チャンバへ導入可能であり、空気供給室には、導入された冷却空気流を整流する整流装置が設けられた、前記装置に関するものである。-紡糸フリースは、本発明の範囲では、特に、スパンボンド方法に従い製造されたスパンボンド不織布を意図している。無端フィラメントは、例えば10~60mmの大幅によりわずかな長さを有する短繊維のそのほぼ無端の長さに基づき区別される。
【背景技術】
【0002】
上述の種類の装置は、実務から様々な実施形態において知られている。これら公知の装置の多くは、これにより製造される紡糸フリースがその面延長にわたって常に十分に均一に形成されていないという欠点を有している。これにより製造される多くの紡糸フリースは、空所あるいは欠陥箇所の形態の不都合な不均一性を有している。不均一性の数は、通常、処理量とともに、あるいは糸速度の上昇とともに増大する。典型的な空所は、このような紡糸フリースにおいていわゆる「しずく」によって生じる。この空所は、柔軟な、あるいは可溶性の1つ又は複数のフィラメントが切れることで生じ、これにより、紡糸フリースにおける欠陥箇所を生じさせる溶融物蓄積が生じる。このような欠陥箇所は、通常、2mm×2mmより大きな大きさを有している。-紡糸フリースにおける欠陥箇所は、いわゆる「ハードピース」によっても生じ得る。これは、以下のように生じる:応力損失により、フィラメントは、弛緩し、はね返り、紡糸フリース面における欠陥箇所を生じさせる糸玉を形成し得る。このような欠陥箇所は、通常、2mm×2mmよりも小さい。公知の方法に従って製造された多くの紡糸フリースあるいはスパンボンド不織布は、とりわけ、その製造時に大きな処理量で動作されるときにこのような不均一性を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに対して、本発明の基礎となる技術的な問題は、特に200kg/h/mより大きな処理量において、及び/又は大きな糸速度において、少なくともほぼ欠陥箇所なくあるいは障害なく形成され、非常に均一な紡糸フリースを生成することが可能な、無端フィラメントから成る紡糸フリースを製造する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術的な問題を解決するために、本発明は、無端フィラメント、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメントで構成された紡糸フリースを製造する装置であって、前記無端フィラメントを紡出する紡糸口金が設けられており、紡出された前記フィラメントを冷却空気で冷却する冷却チャンバが設けられ、該冷却チャンバの2つの対向する側にそれぞれ1つの空気供給室が配置されており、これら対向する空気供給室から冷却空気を前記冷却チャンバへ導入可能であり、前記両空気供給室のうち少なくとも1つ、好ましくは両空気供給室の各々には、それぞれ、前記フィラメントへ当たる冷却空気流を整流する少なくとも1つの整流装置が設けられており、1つの整流装置は、前記フィラメントあるいはフィラメントの流れの移動方向に対して横方向へ向いた多数の流れ通路を備えており、該流れ通路が通路壁部で画定されており、前記整流装置の開放された面積が、85%より大きく、好ましくは90%より大きく、前記流れ通路の内径Diに対する前記流れ通路の長さLの比率L/Diが1~15、好ましくは1~10、有利には1.5~9であることを特徴としている。
【0005】
整流装置の開放された面積は、91%より大きく、好ましくは92%より大きく、特に有利には92.5%より大きいことが推奨される。ここで、整流装置の開放された面積は、特に整流装置の自由流れ断面に関するものであり、したがって、この自由流れ断面は、通路壁部あるいは通路壁部の厚さ及び/又は場合によっては流れ通路間あるいは通路壁部間に配置されたスペーサによって画定されていない。この開放された面積の計算には、特に整流装置の範囲に配置され、とりわけ整流装置の前あるいは後ろに配置されたメッシュを有する流れスクリーンは算入されない。合目的には、この流れスクリーン又はこれに類する構成要素は、開放された面積の計算において考慮されない。整流装置の開放された面積が全ての流れ通路の開放された部分面積の和によってのみ整流装置の全体面積に対する比率において演算されることが推奨される。上述の開放された面(面積)及び整流装置の全体面(全体面積)は、横方向に、特に流れ通路に対して垂直に、あるいは本質的に垂直に配置されており、そのため、整流装置の断面を形成している。
【0006】
Diによって流れ通路の内径が意図されている。したがって、流れ通路については、1つの通路壁部から対向する通路壁部までが測定される。流れ通路がその断面について異なる直径を有していれば、Diは、特に流れ通路の最小の内径を意図している。したがって、ここでは、及び以下では、最小の内径Diは、流れ通路がその断面について異なる内径を有している場合に、流れ通路において測定した最小の内径に関するものである。したがって、最小の内径は、規則的な六角形の形態の断面において、2つの対向するコーナ間ではなく、2つの対向する側の間で測定される。流れ通路の内径Diに対する流れ通路の長さLの割合L/Diが2~8、好ましくは2.5~7.5、有利には2.5~7、非常に有利には3~6.5であることが推奨される。特に推奨される実施形態によれば、比率L/Diは、4~6、特に4.5~5.5である。複数の流れ通路において、流れ通路の異なる長さL及び/又は流れ通路の異なる内径Diあるいは最小の内径Diが存在すべき場合には、Lは平均の長さを意図し、及び/又はDiは平均の内径あるいは最小の内径を意図している。
【0007】
ここでは、及び以下では、機械方向(MD)は、堆積装置あるいは堆積スクリーンベルトに堆積されたフィラメントあるいはフリース堆積物を搬出する方向を意図している。両空気供給室あるいは整流装置が機械方向に対して横方向(CD方向)へ延在していること、及びしたがって冷却空気が本質的に機械方向(MD)あるいは機械方向とは反対に導入されることが本発明の範囲にある。
【0008】
本発明による整流装置によって、特に均等で均一な冷却空気流入を設備の幅方向にわたってあるいはCD方向において得ることが可能である。本発明は、冷却あるいは冷却チャンバにおける冷却への影響によって、及び特に整流装置の特別な構成によって、非常に有効なフィラメント堆積あるいはフリース堆積の均質化が得られるという認識に基づくものである。本発明による冷却及び特に整流装置の構成に基づき、驚くべきことに、ほぼ欠陥箇所あるいは障害箇所を有さない均質な紡糸フリースを得ることが可能である。このことは、とりわけ、より大きな処理量及び後述する特別なより大きな糸速度についても当てはまる。
【0009】
冷却チャンバに対する冷却空気供給がフィラメントの移動あるいは下流へ向いたフィラメントの流れによる冷却空気の吸引によって、及び/又は例えば少なくとも1つのブロワを用いた冷却空気のアクティブな吹込みあるいは導入によって行われることが本発明の範囲にある。本発明による整流装置は、フィラメントの整向された(空気の)吹き付けが、合目的には、横方向に、好ましくはフィラメント軸線に対して垂直に、あるいはフィラメントの流れ方向に対して垂直に引き起こされるべきである。さらに、整流装置が均一な、あるいは均等なフィラメントの冷却空気流入を保証することも本発明の範囲にある。フィラメントの均等な冷却空気流入は、ここでは、好ましくは均等な、あるいは均一な、機械方向に対して横方向の装置の幅にわたる、すなわちCD方向にわたる流入を意図している。基本的には、冷却空気チャンバあるいは整流装置の高さにわたって流入は異なっていてよい。本発明による整流装置が特に空気流ベクトルの均一な方向に配慮するものであることが推奨され、合目的には、空気速度はほぼ変化しないままである。本発明による整流装置の構成は、特に冷却チャンバにおけるフィラメントの均一な、あるいは整向された冷却空気の吹き付けの上述の効果を満たす。-好ましい実施形態によれば、対向する両空気供給室からそれぞれ冷却空気について同一の、あるいは本質的に同一の体積流量が冷却チャンバへ導入される。しかし、基本的には、両空気供給室から冷却空気についてそれぞれ異なる体積流量が冷却チャンバへ導入されることも本発明の範囲にある。
【0010】
本発明の実証された実施形態は、各空気供給室が少なくとも2つの室部分に分割されており、これら室部分からそれぞれ異なる温度の冷却空気を供給可能であることを特徴としている。このとき、推奨すべきは、各空気供給室が上下に重ねて、あるいは垂直方向に上下に重ねて配置された2つの室部分を備えており、これら室部分から異なる温度の冷却空気が供給される。合目的には、2つの空気供給室の対向する2つの室部分から同一温度の冷却空気が冷却チャンバへ導入される。本発明の好ましい実施形態によれば、各空気供給室が2つのみの室部分に分割されており、これら室部分からそれぞれ異なる温度の冷却空気を供給可能である。他の実施形態によれば、空気供給室は3つ以上の室部分を備えており、これら室部分から異なる温度の冷却空気を冷却チャンバへ導入することが可能である。-好ましくは、整流装置は、空気供給室の各室部分の範囲に設けられている。合目的には、整流装置は、空気供給室の全ての室部分にわたって延在している。好ましい一実施形態によれば、整流装置は、割り当てられた空気供給室の全高及び/又は全幅にわたって、あるいは割り当てられた空気供給室の全高及び/又は全幅にわたって延在している。
【0011】
本発明の特に推奨すべき一実施形態は、少なくとも1つの整流装置がその冷却空気流入側に、及び/又はその冷却空気流出側に少なくとも1つの流れスクリーンを備えていることを特徴としている。ここで、流れスクリーンあるいは流れスクリーンの面が横方向に、及び好ましくは整流装置の流れ通路の長手方向に対して垂直あるいは本質的に垂直に配置されていることが本発明の範囲にある。推奨すべきは、整流装置が、その冷却空気流入側にも、またその冷却空気流出側にもこのような流れスクリーンを備えている。合目的には、流れスクリーンは、整流装置の冷却空気流入側及び/又は冷却空気流出側において貼設あるいは予負荷の下で保持あるいは固定されている。流れスクリーンが整流装置の冷却空気流入側及び/又は冷却空気流出側において直接整流装置に配置されているか、あるいは接触していることが本発明の範囲にある。好ましくは設けられた流れスクリーンにより、フィラメントの均等な流入が冷却空気によってサポートされることとなる。-上記のように扱われ、請求項1において請求される整流装置の開放された面積の決定時に整流装置の前あるいは後ろに配置された流れスクリーンは考慮されないままであることが本発明の範囲にある。
【0012】
流れスクリーンが0.1~0.5mm、合目的には0.1~0.4mm、好ましくは0.15~0.34mmのメッシュ幅を有していることが推奨される。ここで、メッシュ幅は、流れスクリーンあるいは流れスクリーンのスクリーン織物の対向する2つのワイヤの間隔を意図している。このとき、メッシュ幅により、特にメッシュの対向する2つのワイヤの最小間隔が意図されている。流れスクリーンが異なる長さの辺を有する長方形状のメッシュを有していれば、より長い両辺の間の間隔がメッシュ幅によって意図されている。推奨すべきは、流れスクリーンは、0.05~0.35mm、好ましくは0.05~0.32mm、有利には0.06~0.30mm、非常に有利には0.07~0.28mmのワイヤ厚さあるいは平均のワイヤ厚さを有している。流れスクリーンがそのスクリーン面にわたって同一あるいは同一の大きさのメッシュ又は本質的に同一あるいは同一の大きさのメッシュを有していることが本発明の範囲にある。合目的には、スクリーン面にわたる、同一の幾何形状あるいは本質的に同一の幾何形状のメッシュの均等な分配が存在する。
【0013】
本発明の推奨すべき実施形態によれば、流れスクリーンの開放された面積は、15~55%、合目的には20~50%、好ましくは25~45%である。ここで、流れスクリーンの開放された面積は、特に、流れスクリーンの、メッシュワイヤによって占められていない開放された面積、したがって、流れスクリーンの、冷却空気が自由に流通可能な面積を意図している。
【0014】
本発明の好ましい実施形態は、整流装置と、その冷却空気流入側及び/又はその冷却空気流出側に配置された流れスクリーンとが共通のフレームによって収容されることを特徴としている。これにより、整流装置と流れスクリーンの間のいわば固定あるいは安定的な結合が生じ、この結合は、全体的に空気供給室に固定されることが可能である。好ましくは、冷却チャンバの対向する両側には、あるいは両空気供給室には、整流装置及び少なくとも1つの流れスクリーンを有する少なくとも1つのこのようなフレームが配置される。
【0015】
本発明によれば、整流装置の流れ通路あるいは整流装置は、フィラメントの流れ方向に対して横方向に、合目的には装置の長手中心軸線Mに対して横方向に配置されている。本発明の好ましい一実施形態によれば、流れ通路は、フィラメントの流れ方向あるいは装置の長手中心軸線Mに対して垂直に、あるいは本質的に垂直に向けられている。流れ通路が機械方向(MD)に対して直交するように向けられた平面に対して、あるいは装置の長手中心軸線Mを通って延びる垂直平面に対して垂直に、あるいは本質的に垂直に向けられていることが本発明の範囲にある。しかし、基本的には、流れ通路が上述の平面に対して傾斜して配置され得ることも可能である。このとき、整流装置の流れ通路の傾斜した向きの角度は、画一的であるか、又は異なっていてもよい。ここで、流れ通路の向きあるいは配置について言及すれば、これは、特に流れ通路の長手軸線の向きあるいは配置を意図している。整流装置の流れ通路が線形あるいは本質的に線形に形成されていることが本発明の範囲にある。
【0016】
本発明の非常に有利な実施形態は、整流装置の流れ通路が多角形状の断面を有しており、好ましくは四角形~八角形の断面を有していることを特徴としている。本発明の非常に推奨すべき実施形態は、整流装置の流れ通路が六角形の断面をもって構成されていることを特徴としている。したがって、この好ましい場合について、流れ通路はいわばハニカム状に構成されている。
【0017】
本発明の別の有利な実施形態によれば、整流装置の流れ通路は、丸みのある断面を有しており、好ましくは、流れ通路は、円形又はだ円形の断面で形成されている。このとき、円形の断面が有利である。
【0018】
本発明の更なる実施形態は、流れ通路の通路壁部が翼状あるいはウィング状に形成されていることを特徴としている。ここで、ウィング状の通路壁部は、特に流通する冷却空気についての一方向を向いた機能を果たす。合目的には、翼状あるいはウィング状の通路壁部の間には長方形状あるいは本質的に長方形状の流れ通路が形成されている。隣り合う2つの翼状あるいはウィング状の通路壁部の最小の間隔は、2~15mm、好ましくは3~12mm、有利には5~10mmである。
【0019】
本発明の非常に推奨すべき実施形態は、冷却空気が通過する、整流装置の内部面積が、整流装置の流れ断面1m2につき、5~50m2、好ましくは7.5~45m2、有利には10~40m2であることを特徴としている。このとき、冷却空気が通過する内部面積は、整流装置の流れ断面1m2につき流通あるいは流入する流れ通路の通路壁部の面積の合計から算出される。この通過する内部面積の演算時には、整流装置の流れスクリーンは考慮されないままであることが本発明の範囲にある。
【0020】
本発明の非常に好ましい実施形態によれば、整流装置の流れ通路の長さLが、15~65mm、好ましくは20~60mm、有利には20~55mm、非常に有利には25~50mmである。-推奨すべきは、流れ通路の内径あるいは最小内径Diは、2~15mm、好ましくは3~12mm、有利には4~11mm、非常に有利には5~10mmである。-流れ通路が整流装置においてコンパクトかつ互いに密に配置されていることが本発明の範囲にある。好ましくは、整流装置では、流れ通路が流れ通路に隣接し、一実施形態によれば、スペーサのみが流れ通路間に配置されることが可能である。推奨すべきは、流れ通路あるいは流れ通路の数なくとも大部分の相互の間隔は、流れ通路の最小の内径Diよりも小さいか、あるいは大幅に小さい。合目的には、整流装置における流れ通路は、最密充填の原理により配置されている。
【0021】
各空気供給室には断面積QZを有する、冷却空気を供給するための少なくとも1つの供給管路が接続されていることが本発明の範囲にあり、供給管路のこの断面積QZは、供給室への冷却空気の移行時に空気供給室の断面積QLへ拡大し、この断面積QLは、供給管路の断面積QZの少なくとも二倍の大きさであり、好ましくは三倍の大きさであり、有利には少なくとも四倍の大きさである。合目的には、供給管路の断面積QZは、空気供給室の断面積QLに対して3~15倍へ拡大される。本発明の一実施形態によれば、空気供給室へ供給される冷却体積流量は、複数の部分体積流量へ分割され、これら部分体積流量は、別の部分供給管路及び/又はセグメント化された供給管路のセグメントを通って流れる。このとき、冷却体積流量は、特に2~5、好ましくは2~3の部分体積流量へ分割されることができる。各部分体積流量が別の部分供給管路を通って流れると、部分供給管路の断面積QZが空気供給室の該当する室部分の断面積QLへ拡大される。このとき、断面積QLは、好ましくは、部分供給管路の断面積QZの少なくとも二倍の大きさ、好ましくは少なくとも三倍大きさである。供給管路あるいは部分供給管路の断面積QZが段階的に、特に多段に、又は連続的に空気供給室の断面積QLあるいは空気供給室の室部分の断面積へ拡大されることが推奨される。
【0022】
本発明の特に推奨すべき実施形態によれば、空気供給室へ導入される冷却空気流を均等化するための少なくとも1つの平坦な均等化要素が、整流装置の前での冷却空気の流れ方向における空気供給室において、及び整流装置に対して間隔をもって配置されている。平坦な均等化要素が複数の開口部を有していること、及び平坦な均等化要素の自由な開放された面積が平坦な均等化要素の全面積の1~20%、好ましくは2~18%、有利には2~15%であることが本発明の範囲にある。一実施形態によれば、少なくとも1つの均等化要素が、複数の孔開口部を有する、孔要素として、特に孔プレートとして形成されており、孔開口部は、好ましくは1~10mm、有利には1.5~9mm、非常に有利には1.5~8mmの開口部直径を有している。他の一実施形態によれば、均等化要素が、複数の、あるいは多数のメッシュを有する均等化スクリーンとして形成されており、均等化スクリーンは、好ましくは0.1~0.5mm、有利には0.12~0.4mm、非常に有利には0.15~0.35mmのメッシュ幅を有している。少なくとも1つの平坦な均等化要素が、少なくとも50mm、好ましくは少なくとも80mm、有利には少なくとも100mmの間隔a1で冷却空気の流れ方向において、対応する空気供給室の整流装置の前に、あるいはこの整流装置の流れスクリーンの前に配置されていることが推奨される。合目的には、複数の均等化要素が、整流装置に対する間隔をもって、冷却空気の流れ方向において相前後して、及び互いに離間して空気供給室に配置されている。このとき、空気供給室において流れ方向に相前後して配置された2つの均等化要素の間の間隔は、少なくとも50mm、好ましくは少なくとも80mm、有利には少なくとも100mmである。
【0023】
本発明による装置では、無端フィラメントは、紡糸口金を用いて紡出され、空気供給室及び整流装置を有する冷却チャンバへ供給される。フィラメントを繰り出す少なくとも1つの紡糸ビームが機械方向(MD方向)に対して横方向に配置されていることが本発明の範囲にある。本発明の非常に有利な実施形態によれば、このとき、紡糸ビームは、機械方向に対して垂直あるいは本質的に垂直に向けられている。しかし、本発明の範囲では、紡糸ビームが機械方向に対して傾斜して配置されていることも可能である。本発明に非常に有利な実施形態によれば、紡糸口金あるいは紡糸ビームと冷却チャンバの間には少なくとも1つのモノマー吸引装置が設けられている。モノマー吸引装置により、紡糸口金の下方のフィラメント形成空間から空気が吸引される。これにより、無端フィラメントの近傍で出る、モノマー、オリゴマー、分解生成物及びこれらに類するもののような気体を本発明による装置から排出することが可能である。合目的には、モノマー吸引装置は、少なくとも1つの吸引チャンバを備えており、この吸引チャンバには、好ましくは少なくとも1つの吸引ブロワが接続されている。フィラメントの流れ方向において、空気供給室及び整流装置を有する本発明による冷却チャンバがモノマー吸引装置に接続されていることが推奨される。
【0024】
フィラメントが冷却チャンバからフィラメントを延伸させる延伸装置へ導入されることが本発明の範囲にある。合目的には、冷却チャンバを延伸装置の延伸竪穴に接続する中間通路が冷却チャンバに接続されている。
【0025】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、冷却チャンバ及び延伸装置から成るユニットあるいは冷却チャンバ、中間通路及び延伸竪穴から成るユニットは、閉じたシステムとして形成されている。このとき、閉じたシステムは、特に、冷却チャンバへの冷却空気の供給以外にこのユニットへの別の空気供給がなされないことを意図している。本発明により用いられる整流装置は、とりわけ、このような閉じたシステムにおける利点によって特徴付けられている。ここで、空気流あるいは冷却空気流の容易かつ有効な均質化が可能である。
【0026】
好ましくは、フィラメントの流れ方向において、少なくとも1つのディフューザが延伸装置に接続されており、フィラメントは、このディフューザを通してガイドされる。ディフューザがフィラメントの体積方向において拡大するディフューザ断面あるいは末広がりのディフューザ断面を含むことが推奨される。フィラメントがフィラメント堆積あるいはフリース堆積のための堆積装置に堆積されることが本発明の範囲にある。合目的には、堆積装置は、堆積スクリーンベルトあるいは空気が通過する堆積スクリーンベルトである。堆積装置によって、あるいは堆積スクリーンベルトによって、フィラメントから形成されるフリース帯が機械方向(DM)において搬出される。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくともフィラメントの堆積範囲においてプロセス空気が堆積装置あるいは堆積スクリーンベルトを通して吸引され、あるいは下方から吸引される。これにより、特に安定的なフィラメント堆積あるいはフリース堆積が達成される。本発明の範囲では、有利な意義が、本発明による整流装置との組合せにおいてこの吸引に付随する。-合目的には、堆積装置における堆積後、フリース帯は、別の処理措置へ、特にカレンダ処理へ供給される。
【0028】
2000m/分を越える糸速度あるいはフィラメント速度、特に2200m/分又は2500m/分を越える糸速度で、例えば3000m/分の範囲の糸速度で処理され得るように本発明による装置が構成されるか、あるいは規定化されることが本発明の範囲にある。このフィラメント速度により、ポリオレフィン、特にポリプロピレンから成るフィラメントあるいは紡糸フリースの生成の範囲で動作され得る。ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)から成るフィラメントあるいは紡糸フリースの製造中には、本発明による装置によって、4000m/分を越える、また5000m/分を越える糸速度あるいはフィラメント速度も実現可能である。上述の大きな糸速度については、ポリオレフィンについても、またポリエステルについても、整流装置を有する本発明による空気供給室の構成が特に実証されている。
【0029】
本発明は、本発明による装置が最適な品質の紡糸フリース、とりわけその平坦な延長にわたる均等な特性を有する紡糸フリースを達成することができるという認識に基づくものである。フリースあるいはフリース表面における欠陥箇所あるいは障害箇所は、完全に防止され得るか、又は少なくとも大幅に最小化されることが可能である。これら利点は、特に、150kg/h/mを越える、又は200kg/h/mを越える装置の高い処理量においても得ることができる。空気供給室あるいは整流装置の本発明による構成により、冷却チャンバへの最適な冷却空気供給が保証され、この冷却空気供給により、最終的には、紡糸フリース帯の有利な特性が得られる。本発明の範囲では、非常に均一あるいは均等な冷却空気供給を実現することができるとともに、この冷却空気の有利な供給により、フィラメントは、フリース帯における不都合な欠陥箇所が防止されるか、又は大幅に最小化され得るようにポジティブに影響される。それにもかかわらず、本発明による装置は、比較的単純かつわずかな手間の措置によって実現されることが可能である。したがって、本発明による装置は、コストにおいても傑出している。
【0030】
以下に、1つの実施例のみを示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による装置の垂直方向の概略的な断面図である。
【
図2】冷却チャンバ及び空気供給室から成る冷却装置を有する、
図1に基づく拡大された部分を概略的に示す図である。
【
図3】前方及び後方に接続された流れスクリーンを有する整流装置から成るユニットの概略的な斜視図である。
【
図4】断面において六角形状あるいはハニカム状の流れ通路を有する整流装置部分の断面を概略的に示す図である。
【
図5】断面において円形状の流れ通路を有する、
図4に基づく対象を概略的に示す図である。
【
図6】整流装置の流れ通路のウィング状の通路壁部を有する、
図4に基づく対象を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
各図には、無端フィラメント1、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメント1で構成された紡糸フリースを製造する本発明による装置が示されている。この装置は、無端フィラメント1を紡糸するための紡糸口金2を含んでいる。紡糸された当該無端フィラメント1は、冷却チャンバ4と、この冷却チャンバ4の対向する2つの側に配置された空気供給室5,6とを有する冷却装置3へ導入される。冷却チャンバ4及び空気供給室5,6は、機械方向MDに対して横方向へ、したがって装置のCD方向へ延在している。対向する空気供給室5,6から冷却空気が冷却チャンバ4へ導入される。紡糸口金2と冷却装置3の間には、好ましくは、及び本実施例では、モノマー吸引装置7が配置されている。このモノマー吸引装置7により、紡糸プロセスにおいて生じる邪魔な気体を装置から排除することが可能である。このような気体は、例えばモノマー、オリゴマーあるいは分解生成物及びこのような物質であり得る。
【0033】
フィラメント流れ方向FSにおいて、フィラメント1が延伸される延伸装置8が冷却装置3に後続配置されている。延伸装置8は、好ましくは、及びこの実施例では、中間通路9を備えており、この中間通路は、冷却装置3を延伸装置8の延伸竪穴(ダクト)10に接続させるものである。特に好ましい実施形態及びこの実施例によれば、冷却装置3及び延伸装置8から成るユニットあるいは冷却装置3、中間通路9及び延伸竪穴10から成るユニットは、閉じたシステムとして形成されている。このとき、閉じたシステムは、冷却装置3における冷却空気の供給以外にこのユニットへの別の空気供給がなされないことを意図している。
【0034】
合目的には、及びこの実施例では、フィラメント流れ方向FSにおいて延伸装置8にディフューザ11が接続されており、このディフューザによって、フィラメント1がガイドされる。一実施形態及びこの実施例によれば、延伸装置8あるいは延伸竪穴10とディフューザ11の間には、セカンダリ空気をディフューザ11へ導入するためのセカンダリ空気入口隙間12が設けられている。ディフューザ11を通過した後、フィラメント1は、好ましくは、及びこの実施例では、堆積スクリーンベルト13として形成された堆積装置に排出される。そして、フィラメント堆積物あるいはフリース帯14は、合目的には、及びこの実施例では、堆積スクリーンベルト13によって機械方向MDへ排出あるいは搬出される。推奨すべきは、及びこの実施例では、堆積装置の下方あるいは堆積スクリーンベルト13の下方には、空気あるいはプロセス空気を堆積装置あるいは堆積スクリーンベルト13を通して吸引する吸引装置が設けられている。このために、好ましくは、及びこの実施例では、ディフューザ出口の下方に吸引範囲15が堆積スクリーンベルト13の下方に配置されている。合目的には、及びこの実施例では、吸引範囲15が少なくともディフューザ出口の幅Bにわたって延在している。好ましくは、及びこの実施例では、吸引範囲15の幅bは、ディフューザ出口の幅Bよりも大きい。
【0035】
好ましい実施形態によれば、及びこの実施例では、各空気供給室5,6は、2つの室部分16,17に分割されており、これら室部分からそれぞれ異なる温度の冷却空気を供給可能である。したがって、好ましくは、及びこの実施例では、上側の室部分16からそれぞれ温度T1の冷却空気を供給可能であり、一方、下側の両室部分17からはそれぞれ温度T1とは異なる温度T2の冷却空気を供給可能である。一実施形態によれば、及びこの実施例では、各空気供給室5,6には、冷却チャンバ側にそれぞれ1つの整流装置18が配置されており、当該整流装置は、好ましくは、及びこの実施例では、空気供給室5,6の両室部分16,17にわたって延在している。
【0036】
両整流装置18は、フィラメント1へ当たる冷却空気流を整流するために用いられる。このとき、好ましくは、及びこの実施例では、各整流装置18がフィラメント流れ方向FSに対して垂直に向いた多数の流れ通路19を備えている。これら流れ通路19は、それぞれ通路壁部20によって画定されているとともに、好ましくは線形に形成されている。
【0037】
好ましい実施形態によれば、及びこの実施例では、各整流装置18の開放された面積は、整流装置18の全面積の90%を超えている。推奨すべきは、及びこの実施例では、流れ通路19の最小の内径Diに対する流れ通路19の長さLの割合は、1~10の範囲、合目的には1~9の範囲にある。
【0038】
非常に実証された実施形態によれば、及びこの実施例では、各整流装置18は、その冷却空気流入側ESにも、また冷却空気流出側ASにも流れスクリーン21を備えている。好ましくは、及びこの実施例では、整流装置18の両流れスクリーン21は、整流装置18の直前あるいは直後に配置されている。
【0039】
推奨すべきは、及びこの実施例では、整流装置18の両流れスクリーン21あるいは当該流れスクリーン21の面は、整流装置18の流れ通路19の長手方向に対して垂直に向けられている。流れスクリーン21が0.1~0.5mm、好ましくは0.1~0.4mm、有利には0.15~0.34mmのメッシュ幅wを有していることが実証された。さらに、流れスクリーン21が0.05~0.35mm、好ましくは0.05~0.32mm、有利には0.07~0.28mmのワイヤ厚さdを有していれば好ましい。流れスクリーン21のメッシュ幅wが整流装置18の流れ通路19の最小の内径Diよりも本質的に小さいことは、本発明の範囲内にある。流れスクリーン21のメッシュ幅wは、流れ通路19の最小の直径Diの1/6よりも小さく、非常に好ましくは1/8よりも小さく、特に好ましくは1/10よりも小さい。推奨すべきは、流れスクリーン21の、開放され、ワイヤによって占められていない面積は、流れスクリーン21の全面積の50%までであり、好ましくは25~45%である。
【0040】
図4~
図6には、本発明により用いられる整流装置の流れ通路19の典型的な断面が示されている。推奨される実施形態によれば、及び
図4によるこの実施例では、整流装置18の流れ通路19は六角形状あるいはハニカム状の断面を有している。最小の内径D
iは、ここでは六角形の対向する側間で測定される(
図4参照)。-
図5によるこの実施例では、整流装置18の流れ通路19は円形状の断面を有している。-
図6には、ウィング状の通路壁部20を有する本発明による整流装置18の一実施形態が示されている。このウィング状の通路壁部20は、合目的には、及びこの実施例では、スペーサ22によって互いに分離されており、当該スペーサも同様にこの流れ通路の通路壁部を形成している。ウィング状の通路壁部20は、断面において弓状に湾曲して形成されている(
図6の右側参照)。基本的に、ウィング状の通路壁部20は、直線状にも形成されることが可能であり、この場合、整流装置18は格子のように構成されている。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.無端フィラメント(1)、特に熱可塑性の合成樹脂から成る無端フィラメント(1)で構成された紡糸フリースを製造する装置であって、前記無端フィラメント(1)を紡出する紡糸口金(2)が設けられており、紡出された前記フィラメント(1)を冷却空気で冷却する冷却チャンバ(4)が設けられ、該冷却チャンバ(4)の2つの対向する側にそれぞれ1つの空気供給室(5,6)が配置されており、これら対向する空気供給室(5,6)から冷却空気を前記冷却チャンバ(4)へ導入可能であり、前記両空気供給室(5,6)の各々には、それぞれ、前記フィラメント(1)へ当たる冷却空気流を整流する少なくとも1つの整流装置(18)が設けられており、整流装置(18)は、前記フィラメント(1)あるいはフィラメントの流れの移動方向に対して横方向へ向いた複数の流れ通路(19)を備えており、該流れ通路(19)が通路壁部(20)で画定されており、前記整流装置(18)の開放された面積が、85%より大きく、好ましくは90%より大きく、前記流れ通路(19)の直径Diに対する前記流れ通路(19)の長さLの比率L/Diが1~15、好ましくは1~10、有利には1.5~9であることを特徴とする装置。
2.前記紡糸口金(2)と前記冷却チャンバ(4)の間にモノマー吸引装置(7)が配置されていることを特徴とする上記1.に記載の装置。
3.前記各空気供給室(5,6)が、少なくとも2つに、好ましくは2つの室部分(16,17)に分割され、これらの室部分からそれぞれ異なる温度の冷却空気を供給することが可能であることを特徴とする上記1.又は2.に記載の装置。
4.少なくとも1つの整流装置(18)が、その冷却空気流入側ES及び/又はそれ冷却空気流出側ASにおいて少なくとも1つの流れスクリーン(21)を備えており、該流れスクリーン(21)が、前記流れ通路(19)の長手方向に対して好ましくは横方向に、有利には垂直に配置されていることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の装置。
5.前記少なくとも1つの流れスクリーン(21)が、0.1~0.4mmの、好ましくは0.15~0.34mmのメッシュ幅を有しており、前記少なくとも1つの流れスクリーン(21)が、好ましくは0.05~0.32mm、有利には0.07~0.28mmのワイヤ厚さを有していることを特徴とする上記4.に記載の装置。
6.前記少なくとも1つの流れスクリーン(21)の開放された面積が、20~50%、好ましくは25~45%であることを特徴とする上記4.又は5.に記載の装置。
7.前記整流装置(18)の前記開放された面積が、91%より大きく、好ましくは92%よりも大きいことを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の装置。
8.前記比率L/Diが2~8、好ましくは2.5~7.5、有利には2.5~7、非常に有利には3~6.5であることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の装置。
9.前記整流装置(18)の前記流れ通路(19)が、多角形の断面、好ましくは四角形~八角形の断面、特に好ましくは六角形の断面を有していることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の装置。
10.前記整流装置(18)の前記流れ通路(19)が、丸みのある断面、好ましくは円形又はだ円形の断面を有していることを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載の装置。
11.前記流れ通路(19)の前記通路壁部(20)が、翼状あるいはウィング状に形成されており、好ましくは、隣り合う2つの翼状の前記通路壁部(20)の間の間隔が3~12mm、有利には5~10mmであることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の装置。
12.前記冷却空気が通過する、前記整流装置(18)の内部面積が、前記整流装置(18)の流れ断面1m2につき、5~50m2、好ましくは7.5~45m2、有利には10~40m2であることを特徴とする上記1.~11.のいずれか1つに記載の装置。
13.前記整流装置(18)の前記流れ通路(19)の長さLが、15~65mm、好ましくは20~60mm、有利には20~55mm、非常に有利には25~50mmであることを特徴とする上記1.~12.のいずれか1つに記載の装置。
14.前記流れ通路(19)の内径Diあるいは最小の内径Diが、2~15mm、好ましくは3~12mm、有利には4~11mm、非常に有利には5~10mmであることを特徴とする上記1.~13.のいずれか1つに記載の装置。
15.前記フィラメント(1)が、2000m/分より大きな、好ましくは2200m/分より大きな糸速度で当該装置を通って流れるか、あるいは4000m/分より大きな、特に5000m/分より大きな糸速度で当該装置を通って流れるという条件で設定されていることを特徴とする上記1.~14.のいずれか1つに記載の装置。