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  • 特許-車両用フードロック装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】車両用フードロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/24 20140101AFI20221101BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20221101BHJP
   E05B 79/08 20140101ALI20221101BHJP
【FI】
E05B83/24 Z
B62D25/12 N
E05B79/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019084441
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020180493
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 明弘
(72)【発明者】
【氏名】金井 美里
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-116798(JP,A)
【文献】特開2010-285127(JP,A)
【文献】特開平2-232487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B62D 25/10-25/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカが進入する進入溝が形成されたベースと、
前記ベースに回動可能に支持され、前記ストライカを拘束するラッチ位置及び前記ストライカを解放する解放位置との間を回動するラッチと、
前記ラッチと同軸上に配置され、前記ラッチ位置にある前記ラッチとの間で前記ストライカを把持するリフトアップレバーと、
前記ラッチ位置にある前記ラッチと係合して前記ラッチを前記ラッチ位置に保持するロック位置と、前記ラッチと係合しないアンロック位置との間を回動するロックレバーと、
一端が前記ラッチ及び前記リフトアップレバーに連結され、前記ラッチ及び前記リフトアップレバーを前記解放位置方向に付勢するトーションばねと、を備えている、
車両用フードロック装置。
【請求項2】
前記トーションばねは、他端が前記ロックレバーに連結されて、前記ロックレバーを前記ロック位置方向に付勢する、
請求項1に記載の車両用フードロック装置。
【請求項3】
前記トーションばねの前記一端は、前記ラッチ及び前記リフトアップレバーのそれぞれに形成された連結孔を貫通している、
請求項1又は2に記載の車両用フードロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フードロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、車両に設けられたフードを閉鎖位置でロックする車両用フードロック装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両用フードロック装置は、ストライカ溝を有するベースと、ベースに回動可能に支持されており、ストライカ溝に進入したストライカをストライカ溝から脱出不能に係止するラッチと、ベースに回動可能に支持されており、ラッチに係止されているストライカをラッチとの間で把持するラトルレバーと、ベースとラトルレバーとの間に架け渡されており、ラッチとの間にストライカを把持しているラトルレバーをストライカに向けて付勢するラトルスプリングと、を備えている。
【0004】
ラトルスプリングは、その一端がベースに取り付けられ、その他端がラトルレバーに形成された取付部に取り付けられている。ラトルレバーの取付部は、ラトルレバーの端部を折り曲げて形成され、ラトルレバーの回動軸に沿って突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-131817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の車両用フードロック装置において、車両の右ハンドル用と左ハンドル用とではラッチやラトルレバーの構成部品が左右対称に配置される必要がある。特許文献1に記載の車両用フードロック装置では、ラトルレバーの取付部が突出しているため、右ハンドルと左ハンドル用とで別々に部品を製造する必要があるため、汎用性において改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明では、汎用性を高めることができる車両用フードロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、ストライカが進入する進入溝が形成されたベースと、前記ベースに回動可能に支持され、前記ストライカを拘束するラッチ位置及び前記ストライカを解放する解放位置との間を回動するラッチと、前記ラッチと同軸上に配置され、前記ラッチ位置にある前記ラッチとの間で前記ストライカを把持するリフトアップレバーと、前記ラッチ位置にある前記ラッチと係合して前記ラッチを前記ラッチ位置に保持するロック位置と、前記ラッチと係合しないアンロック位置との間を回動するロックレバーと、一端が前記ラッチ及び前記リフトアップレバーに連結され、前記ラッチ及び前記リフトアップレバーを前記解放位置方向に付勢するトーションばねと、を備えている、車両用フードロック装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態による車両用フードロック装置によれば、汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、本実施の形態に係る車両用フードロック装置のロック状態における構成を示す平面図であり、図1(b)は、本実施の形態に係る車両用フードロック装置のアンロック状態における構成を示す平面図である。
図2図2(a)及び(b)は、車両用フードロック装置の構成を示す斜視図である。
図3図3(a)及び(b)は、ラッチ、リフトアップレバー、及びトーションばねの構成を示す斜視図である。
図4図4は、ラッチの構成を示す平面図である。
図5図5は、リフトアップレバーの構成を示す平面図である。
図6図6は、ラッチ、リフトアップレバー及びトーションばねの一端の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
本実施の形態に係る車両用フードロック装置は、車両の車体に形成された開口部を開閉する蓋部材を閉鎖位置でロック及びアンロックする。以下の説明では、蓋部材が車両前方に設けられたエンジンルーム等の開口部を開閉するフードである場合について説明する。ただし、蓋部材としては、これに限定されず、例えば車両後方に位置するトランクルームであってもよい。
【0012】
図1(a)は、本実施の形態に係る車両用フードロック装置のロック状態における構成を示す平面図であり、図1(b)は、本実施の形態に係る車両用フードロック装置のアンロック状態における構成を示す平面図である。図2(a)及び(b)は、車両用フードロック装置の構成を示す斜視図である。図3(a)及び(b)は、ラッチ2、リフトアップレバー3、及びトーションばね5の構成を示す斜視図である。
【0013】
図1では、ストライカ9は二点鎖線で示す。なお、以下で説明では、ストライカ9の進入方向を上下方向とし、ストライカ9の進入方向に垂直な方向を左右方向とする。この左右方向は、例えば車両の車幅方向に相当する。
【0014】
車両用フードロック装置100は、車体に固定されるベース1と、ストライカ9を拘束及び解放するラッチ2及びリフトアップレバー3と、ラッチ2と係合してストライカ9が拘束される状態を保持するロックレバー4と、ラッチ2、リフトアップレバー3、及びロックレバー4に対して弾性力を付与するトーションばね5と、を備えている。
【0015】
ベース1は、例えば金属製からなる板状である。ベース1は、ストライカ9が進入する進入溝10aが形成される本体部10と、本体部10の左右両端から本体部10の板厚方向に延在して設けられた第1及び第2の側部111,112と、第1及び第2の側部111,112のそれぞれの端部からさらに張り出して形成された第1及び第2のフランジ部121,122と、を一体に有している。進入溝10aは、上下方向に深さを有する溝であり、上側が開口している。
【0016】
第1及び第2のフランジ部121,122には、車体に固定するための固定部材を取り付けるための取付穴121a,122aが形成されている。
【0017】
ラッチ2は、ベース1の本体部10に対して回動可能に支持されており、ストライカ9を拘束するラッチ位置(図1(a)参照)と、ストライカ9を解放したアンラッチ位置(図1(b)参照)との間を回動可能である。ラッチ2は、ラッチピン60によってベース1の本体部10に軸支されており、ラッチピン60の中心軸(以下、回動軸Oとする)を中心として回動する。
【0018】
ラッチ2は、ロックレバー4の長板部40に形成されたラッチ係合部400と係合する被係合部20を有している(後述する図4参照)。
【0019】
リフトアップレバー3は、ラッチ2と同軸上に配置されており、ラッチ2と共に回動軸Oを中心に回動する。リフトアップレバー3は、ストライカ9と係合する係合位置(図1(a)参照)とストライカ9と係合しない非係合位置(図1(b)参照)との間を回動する。リフトアップレバー3の係合位置はラッチ2のラッチ位置に対応し、非係合位置はラッチ2のアンラッチ位置に対応する。リフトアップレバー3は、ラッチ位置にあるラッチ2との間でストライカ9を把持する。ラッチ2とリフトアップレバー3とは、回動軸Oに沿った方向に重ねて配置され、ラッチ2がベース1の本体部10に近い位置に設けられている。ここで、ラッチ2とリフトアップレバー3の順番を入れ替えて、リフトアップレバー3がベース1の本体部10に近い位置に設けられるようにしてもよい。
【0020】
リフトアップレバー3は、ストライカ9と係合する係合溝3aを有している。リフトアップレバー3は、係合溝3a内にストライカ9を保持し、ストライカ9をラッチ位置にあるラッチ2との間でストライカ9を把持している。リフトアップレバー3は、ラッチ2がラッチ位置にある状態においてロックレバー4とは係合せず、その係合溝3a内にあるストライカ9によって保持される。
【0021】
ロックレバー4は、ベース1の本体部10に回動自在に支持されており、ラッチ位置にあるラッチ2と係合してラッチ2をラッチ位置に保持するロック位置と、ラッチ2と係合しないアンロック位置との間を回動する。ロックレバー4は、ロックピン70によって軸支されており、ロックピン70の中心軸(以下、回動軸Oとする)を中心として回動する。
【0022】
ロックレバー4は、上下に延びる長板部40と、長板部40の上端に位置するバネ連結部41と、長板部40の下端に位置するロック解除部42と、を一体に有している。長板部40には、ラッチ2と係合するラッチ係合部400が形成されている。
【0023】
図2(a)及び(b)に示すように、ロックレバー4のバネ連結部41には、トーションばね5の一端51が係止する係止孔41aが形成されている。ロックレバー4のロック解除部42には、図略の解除ケーブルが挿通する挿通孔42aが形成されている。
【0024】
トーションばね5は、ラッチピン60に巻き付けられた巻き付け部50と、巻き付け部50からロックレバー4側に屈曲して導出される延在部53と、を有している。トーションばね5の一端51は、ラッチ2及びリフトアップレバー3に連結し、他端52はロックレバー4のバネ連結部41に連結されている。
【0025】
トーションばね5は、ラッチ2及びリフトアップレバー3に対してアンラッチ位置方向(図1における反時計回り方向)の弾性力を付与すると共に、ロックレバー4に対してロック位置方向(図1における時計回り方向)の弾性力を付与している。
【0026】
図1(a)に示すように、車両用フードロック装置100のロック状態においては、ストライカ9がラッチ2によって拘束されている。ラッチ2は、ロックレバー4のラッチ係合部400と係合してラッチ位置に保持されている。リフトアップレバー3は、トーションばね5から反時計回り方向の弾性力を受けているが、係合溝3aがストライカ9と係合することにより、係合位置に保持されている。
【0027】
ロック解除の操作がされると、解除ケーブルがロックレバー4を反時計回り方向に回動させる。そうすると、ラッチ2の被係合部20とロックレバー4のラッチ係合部400との係合が解除され、ラッチ2がトーションばね5の弾性力を受けて反時計回り方向に回動すると共にストライカ9を上へ押し上げる。ラッチ2の回動に伴って、リフトアップレバー3もトーションばね5の弾性力によってラッチ2と共に反時計回り方向に回動する。これにより、ストライカ9がラッチ2から解放されて、車両用フードロック装置100のロック状態が解除される。
【0028】
図4は、ラッチ2の構成を示す平面図である。図5は、リフトアップレバー3の構成を示す平面図である。図4において、ストライカ9を二点鎖線で示す。
【0029】
ラッチ2には、ラッチピン60が挿通されるラッチ孔2bが形成されている。リフトアップレバー3には、ロックピン70が挿通されるロック孔3bが形成されている。ラッチ2及びリフトアップレバー3は、板厚方向に重ねて配置され、回動軸Oを共通に有している。
【0030】
ラッチ2には、トーションばね5の一端51が挿通される第1のバネ挿通孔2cが形成されている。リフトアップレバー3には、トーションばね5の一端が挿通される第2のバネ挿通孔3cが形成されている。第1のバネ挿通孔2c及び第2のバネ挿通孔3cが板厚方向に重なり合ってトーションばね5の一端51が貫通する貫通孔を構成する。第1のバネ挿通孔2c及び第2バネ挿通孔3cは、本発明における「連結孔」に相当する。
【0031】
ここで、第1のバネ挿通孔2cの回動軸Oを中心とした周方向の幅をAとし、第2のバネ挿通孔3cの回動軸Oを中心とした周方向の幅をBとし、ラッチ2の係合溝2aにストライカ9が係合している状態において、ストライカ9とラッチ2の係合溝2aの内面との間の隙間をCとすると、幅Aと幅Bの差分の寸法は、隙間Cの寸法以下となる(A-B≧C)。この寸法構成により、リフトアップレバー3がラッチ2に対して隙間Cの長さ分だけ相対変位可能となるので、ラッチ2とリフトアップレバー3との間でストライカ9が把持される。つまり図6に示すように、トーションばね5の一端51が第1バネ挿通孔2cにおいて変位可能になるので、第2バネ挿通孔3cにおいてトーションばね5の一端51が挿通しているリフトアップレバー3もラッチ2に対して相対変位可能となる。
【0032】
本実施の形態によれば、トーションばね5の一端51がラッチ2及びリフトアップレバー3に連結され、ラッチ2及びリフトアップレバー3を解放位置方向に付勢するので、特許文献1に記載の車両用フードロック装置のようにラトルスプリングを連結するための連結部として突出した部位を設ける必要がないので、ラッチ2及びリフトアップレバー3が表裏で利用できるシンメトリー構造となる。つまり、ラッチ2及びリフトアップレバー3は、右ハンドル用と左ハンドル用とで部品の共通化を図ることができ、汎用性が向上する。
【0033】
本実施の形態によれば、トーションばね5の一端51はラッチ2の第1のバネ挿通孔2c及びリフトアップレバー3の第2のバネ挿通孔3cを貫通しているので、右ハンドル用及び左ハンドル用とで別々の金型を用意する必要がないため、製造コストの低減を図ることができる。
【0034】
また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…ベース
2…ラッチ
2a…進入溝
2b…ラッチ孔
2c…第1のバネ挿通孔
3…リフトアップレバー
3c…第2のバネ挿通孔
4…ロックレバー
9…ストライカ
10…本体部
10a…進入溝
51…一端
52…他端
53…延在部
100…車両用フードロック装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6