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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】手乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/48 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
A47K10/48 A
A47K10/48 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019108346
(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公開番号】P2020199097
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591066465
【氏名又は名称】日本エアーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(72)【発明者】
【氏名】塚原 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 真一
(72)【発明者】
【氏名】平沢 紘介
(72)【発明者】
【氏名】岡本 守
(72)【発明者】
【氏名】大重 一義
(72)【発明者】
【氏名】磯部 好秀
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-318759(JP,A)
【文献】米国特許第06038786(US,A)
【文献】再公表特許第2017/057597(JP,A1)
【文献】特開2007-075335(JP,A)
【文献】特開2000-023875(JP,A)
【文献】特開2007-090035(JP,A)
【文献】特開平10-052654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/48
F24F 13/08-13/32
B05B 1/00- 3/18;7/00-9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手に付着している水分を乾燥させる乾燥槽を備えた手乾燥装置であって、
空気を前記乾燥槽に向けて吹き出し可能なノズルと、
パルスエアを発生するパルスエア発生部とを備え、
前記ノズルは、前記乾燥槽に水平に設けられた四角筒状のケーシングを備え、
前記ケーシングの長手方向に沿う一つの角部に、前記ケーシングの長手方向に延びるスリット状ノズルが設けられ、
前記パルスエア発生部によって発生したパルスエアを前記ノズルの前記スリット状ノズルから前記乾燥槽に挿入された手に向けて噴射することを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記パルスエア発生部は、ケーシングと、このケーシングの内部に軸回りに回転可能に設けられた羽根と、前記ケーシングに、前記羽根の軸方向に対向して設けられた空気吹込み口および空気吹出し口とを備え、
前記羽根は前記空気吹込み口から吹き込まれた空気によって軸回りに回転して、前記空気吹込み口を連続的に開閉することによって、前記空気を前記空気吹出し口からパルスエアとして吹き出して、前記ノズルに供給することを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
手に付着している水分を乾燥させる手乾燥装置であって、
空気を吹き出し可能なノズルと、
パルスエアを発生するパルスエア発生部とを備え、
前記パルスエア発生部によって発生したパルスエアを前記ノズルから手に向けて噴射し、
前記パルスエア発生部は、互いに対向して平行に配置され、かつ空気が流通可能な開口をそれぞれ有する複数の平板状のスライドダンパと、複数の前記スライドダンパのうち、少なくとも一つの前記スライドダンパをその面方向に往復動させる往復動手段とを備え、
前記往復動手段によって少なくとも一つの前記スライドダンパをその面方向に往復動させて、前記開口を連続的に開閉することによって、複数の前記スライドダンパのうちの一方側のスライドダンパから吹き付けられた空気を他方側の前記スライドダンパの開口からパルスエアとして吹き出して、前記ノズルに供給することを特徴とする手乾燥装置。
【請求項4】
手に付着している水分を乾燥させる手乾燥装置であって、
空気を吹き出し可能なノズルと、
パルスエアを発生するパルスエア発生部とを備え、
前記パルスエア発生部によって発生したパルスエアを前記ノズルから手に向けて噴射し、
前記パルスエア発生部は、筒状のケーシングと、このケーシングの一端部に設けられた空気吹込み口と、前記ケーシングの内部に設けられて、前記ケーシングの軸方向に延在するともに軸回りに回転する回転羽根とを備え、
前記ノズルは、前記ケーシングの周壁部に設けられて、前記ケーシングの軸方向に延在するスリット状に形成され、
前記回転羽根は前記ノズルに寄せて配置され、
前記回転羽根は前記空気吹込み口から吹き込まれた空気またはモータによって軸回りに回転することによって、前記空気を前記ノズルからパルスエアとして吹き出すことを特徴とする手乾燥装置。
【請求項5】
前記ケーシングの外側に、前記ノズルから吹き出す前記パルスエアに向けて前記ケーシングの外側の空気を誘引する誘引ガイドが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の手乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手洗い乾燥機やハンドドライヤーに設けられて、手に付着している水分を乾燥させる手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浮遊粒子・菌および異物混入防止が特に重視される電子工業、医薬品、食品分野などの製造工程(本室)はクリーンルーム等により清浄環境に保たれており、入室前には準清浄環境の前室にて更衣、手洗いが行なわれる。手洗い後の乾燥には再汚染防止のためハンドドライヤー(手指乾燥機)が使用されることが多い。一般的なハンドドライヤーでは吹出ノズルから吹き出された高速気流により、手指に付着した水滴を吹き飛ばし非接触かつ短時間で乾燥が行える。
このようなハンドドライヤーの一例として特許文献1に記載のものが知られている。
このハンドドライヤーは、ケースと、乾燥槽と、吹出しノズルとを備えている。
【0003】
ケースは、乾燥槽が収容されるものであり、矩形箱状に形成されている。ケースは乾燥槽を収容するケース本体と、このケース本体の上部開口部に着脱可能に取り付けられた上部カバーとを備えている。上部カバーには、乾燥槽の上方において開口する手指挿入口が設けられている。
また、乾燥槽の上部でかつ、手指挿入口より後側には、吹出しノズルが設けられ、この吹出しノズルは、その先端縁に設けられた先端開口から空気を乾燥槽の内部に向けて吹き出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-223456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したハンドドライヤーや手洗い乾燥機では、吹出しノズルから手に空気を連続的に吹き付けることによって手から水分を吹き飛ばして手を乾燥させているため、乾燥にある程度の時間を要していた。また、水分の吹き飛ばしの効果を高めるために、手もみをするなど使用者に手間をかけるばかりか、乾燥槽の内部が狭い場合、手もみをするのが困難になる場合もある。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、従来に比して手を短時間で乾燥させることができるとともに、使用者に手もみなどの手間をかけることがない手乾燥装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の手乾燥装置は、手に付着している水分を乾燥させる手乾燥装置であって、
空気を吹き出し可能なノズルと、
パルスエアを発生するパルスエア発生部とを備え、
前記パルスエア発生部によって発生したパルスエアを前記ノズルから手に向けて噴射することを特徴とする。
このような手乾燥装置は、手洗い乾燥機やハンドドライヤーに設けられる。
【0008】
本発明においては、手を乾燥させる際に、パルスエア発生部によって発生したパルスエアをノズルから手に向けて噴射するので、エアーが手に断続的に吹き付けられる。したがって、手に付着した水分が叩き落とされるようにして吹き飛ばされるので、従来に比して手を短時間で乾燥させることができるとともに、使用者に手もみなどの手間をかけることがない。
【0009】
また、本発明の前記構成において、前記パルスエア発生部は、ケーシングと、このケーシングの内部に軸回りに回転可能に設けられた羽根と、前記ケーシングに、前記羽根の軸方向に対向して設けられた空気吹込み口および空気吹出し口とを備え、
前記羽根は前記空気吹込み口から吹き込まれた空気によって軸回りに回転して、前記吹込み口を連続的に開閉することによって、前記空気を前記空気吹出し口からパルスエアとして吹き出して、前記ノズルに供給してもよい。
【0010】
このような構成によれば、羽根が空気吹込み口からケーシングに吹き込まれた空気によって軸回りに回転して、空気吹込み口を連続的に開閉するので、ケーシングには、空気が脈動するようにして吹き込まれ、空気吹出し口から吹き出されるので、パルスエアを容易に発生させることができる。
【0011】
また、本発明の前記構成において、前記パルスエア発生部は、互いに対向して平行に配置され、かつ空気が流通可能な開口をそれぞれ有する複数の平板状のスライドダンパと、複数の前記スライドダンパのうち、少なくとも一つの前記スライドダンパをその面方向に往復動させる往復動手段とを備え、
前記往復動手段によって少なくとも一つの前記スライドダンパをその面方向に往復動させて、前記開口を連続的に開閉することによって、複数の前記スライドダンパのうちの一方側のスライドダンパから吹き付けられた空気を他方側の前記スライドダンパの開口からパルスエアとして吹き出して、前記ノズルに供給してもよい。
【0012】
このような構成によれば、往復動手段によって少なくとも一つのスライドダンパをその面方向に往復動させて、開口を連続的に開閉するので、一方側のスライドダンパに吹き付けられた空気は脈動するようにして他方側のスライドダンパの開口から吹き出されるので、パルスエアを容易に発生させることができる。
また、スライドダンパが有する開口の形状、大きさ、配置や、往復動手段によるスライドダンパの往復速度を適宜調整することによって、パルスエアの状態を任意に制御できる。
【0013】
また、本発明の前記構成において、前記パルスエア発生部は、筒状のケーシングと、このケーシングの一端部に設けられた空気吹込み口と、前記ケーシングの内部に設けられて、前記ケーシングの軸方向に延在するともに軸回りに回転する回転羽根とを備え、
前記ノズルは、前記ケーシングの周壁部に設けられて、前記ケーシングの軸方向に延在するスリット状に形成され、
前記回転羽根は前記ノズルに寄せて配置され、
前記回転羽根は前記空気吹込み口から吹き込まれた空気またはモータによって軸回りに回転することによって、前記空気を前記ノズルからパルスエアとして吹き出してもよい。
【0014】
ここで、前記回転羽根は。回転軸に羽根が当該回転軸の軸方向に延在するようにして取り付けられるが、当該羽根は厚さがほぼ一定の平板状の羽根であってもよいし、厚さが羽根の端部側ほど薄くなるような立体羽根であってもよい。
【0015】
このような構成によれば、回転羽根が空気吹込み口から吹き込まれた空気またはモータによって軸回りに回転するので、ケーシング内の空気は回転羽根によって風速、風向が変化し、これによってケーシング内の空気はパルス状となってノズルから吹き出すので、パルスエアを容易に発生させることができる。
また、回転羽根をモータによって回転させるので、回転羽根の回転速度を制御することによって、パルスエアの状態を任意に制御できる。
【0016】
また、本発明の前記構成において、前記パルスエア発生部は、筒状のケーシングと、このケーシングの一端部に設けられた空気吹込み口と、前記ケーシングの内部にフリー状態で設けられた塊状体とを備え、
前記ノズルは、前記ケーシングの周壁部に設けられて、前記ケーシングの軸方向に延在するスリット状に形成され、
前記塊状体は前記空気吹込み口から吹き込まれた空気によって前記ケーシングの内部で躍ることによって、前記空気をノズルからパルスエアとして吹き出してもよい。
【0017】
ここで、前記塊状体としてはケーシングの内部に空気吹込み口から吹き込まれた空気によって容易に浮遊しながら踊ることができるものであれば、形状は問わないが、例えば発砲スチロール製の球体が好適に使用される。また、塊状体は、球体に限ることなく、楕円球状態、長円球状体でもよく、さらに、三角形以上の断面多角形状の塊状体であってもよい。また、塊状体はケーシングの内部に複数設けるのが好ましいが、1個であってもよい。
【0018】
このような構成によれば、ケーシングの内部に設けられた塊状体に、空気吹込み口から吹き込まれた空気が当たって、塊状体がケーシングの内部で躍るため、ケーシングの内部の空気は風速、風向が変化し、これによってケーシング内の空気はパルス状となってノズルから吹き出すので、パルスエアを容易に発生させることができる。
【0019】
また、本発明の前記構成において、前記ケーシングの外側に、前記ノズルから吹き出す前記パルスエアに向けて前記ケーシングの外側の空気を誘引する誘引ガイドが設けられていてもよい。
【0020】
このような構成によれば、誘引ガイドによって外側の空気をノズルから吹き出すパルスエアに向けて誘引するので、パルスエアの風量を増大できる。したがって、手をより短時間で乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パルスエアをノズルから手に向けて噴射するので、手に付着した水分が叩き落とされるようにして吹き飛ばされる。したがって、従来に比して手を短時間で乾燥させることができるとともに、使用者に手もみなどの手間をかけることがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施の形態の手乾燥装置が設けられたハンドドライヤーの一例を示すもので、その正断面図である。
図2】同、側断面図である。
図3】本実施の形態の手乾燥装置の吹出しノズルを示すもので、(a)は底面図、(b)は(a)におけるA矢視図、(c)は正面図、(d)は(c)におけるB-B線断面図である。
図4】本実施の形態の手乾燥装置のパルスエア発生部を示すもので、(a)は平面図、(b)側面図、(c)は底面図である。
図5】同、側断面図である。
図6】本実施の形態の手乾燥装置のパルスエア発生部の第1変形例を示す正断面図である。
図7】本実施の形態の手乾燥装置のパルスエア発生部の第2変形例を示すもので、(a)は正面図、(b)は(a)におけるB-B線断面図である。
図8】本実施の形態の手乾燥装置のパルスエア発生部の第3変形例を示すもので、(a)は正面図、(b)は(a)におけるB-B線断面図である。
図9】本実施の形態の手乾燥装置において、誘引ガイドを設けた状態を示すパルスエア発生部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1および図2は本実施の形態に係る手乾燥装置10を備えたハンドドライヤーを示すもので、図1はハンドドライヤーの正断面図、図2はハンドドライヤーの側断面図である。
本実施の形態のハンドドライヤーは、ケース1と、このケース1内に設けられた手乾燥装置10とを備えている。
【0024】
ケース1は矩形箱状に形成されており、このケース1内には、乾燥槽2が収容されている。ケース1は乾燥槽2を収容するケース本体1aと、このケース本体1aの上部開口部に着脱可能に取り付けられた上部カバー1bとを備えている。
上部カバー1bには、乾燥槽2の上方において開口する手指挿入口1cが設けられている。この手指挿入口1cは、図1に示すように、横長の長円状の開口となっている。また、上部カバー1bの後部(図2において右側部)には、上方に膨出している膨出部1dが設けられている。
【0025】
乾燥槽2は、矩形箱状に形成されており、その上部に開口が設けられている。この開口の上方に手指挿入口1cが配置されており、乾燥槽2は、開口と手指挿入口1cにより外部と連通している。乾燥槽2の底壁部2dは後側(図2において右側)に向かうにしたがって、漸次下方に傾斜しており、当該底壁部2dの最も後側(図2において右側)の壁面は略水平になっている。そして、この略水平の壁面に排水口6が垂設され、この排水口6には、ケース本体1aの下部に設けられる下部ドレンパン8に向けて延びる排水管7が接続されている。
【0026】
また、乾燥槽2には、漏洩防止板4が乾燥槽2の前壁部に対して15°~30°の間で傾斜して取り付けられている。漏洩防止板4は、矩形板状に形成され、その略中央部に、後述する吹出しノズル11のノズル11cから吹き出される空気が通過可能な開口部を有している。漏洩防止板4を乾燥槽2内に、当該漏洩防止板4の下端部を乾燥槽2の底壁部2dに当接した状態で設けた場合、当該底壁部2dと漏洩防止板4の下端縁との間には、空気が流れる隙間が形成される。
このような漏洩防止板4では、吹出しノズル11からの空気(吹出気流)は、漏洩防止板4に設けられた開口部を通って乾燥槽2の前壁部に衝突して跳ね返るが、この跳ね返った空気は、漏洩防止板4によって手指挿入口1c側に飛散するのが防止される。
【0027】
また、ケース1の内部には手乾燥装置10が設けられている。この手乾燥装置10は、吹出しノズル11と、パルスエアを発生するパルスエア発生部12と、パルスエア発生部12に空気を供給する空気供給部13とを備えている。
【0028】
吹出しノズル11は、図1に示すように、ケース1の正面視において、ケース1の左右側壁部間に延在して設けられており、その先端縁に設けられたノズル11cから空気を乾燥槽2の内部に向けて吹き出すようになっている。図2に示すように、吹出しノズル11のノズル11c先端部は、乾燥槽2の前壁部の下端部近傍に向けて水平面に対して50°~60°程度傾斜している。また、吹出しノズル11は上部カバー1bの膨出部1dの内側に配置され、上部カバー1bをケース本体1aに取り付けた状態において、吹出しノズル11および乾燥槽2の略上半分は当該上部カバー1bによって覆われている。
また、上部カバー1bをケース本体1aに取り付けた状態において、上部カバー1bの手指挿入口1cは乾燥槽2の開口の上方に位置しており、手指挿入口1cおよび開口から乾燥槽2に手指を挿入することができるようになっている。
【0029】
吹出しノズル11は、図3に示すように、四角筒状のケーシング11aと、このケーシング11aの一端部に接続された接続管11bとを備えている。接続管11bは屈曲部を有しており、この屈曲部によって接続管11bの開口部はケーシング11aの軸方向と直交する方向に開口している。したがって、この開口から供給される空気は、接続管11bを通ってケーシング11aの内部に流入するようになっている。なお、吹出しノズル11は、図1に示すように、接続管11bを下方に向けた状態でケース1の内部に設けられている。
ケーシング11aは、断面L形の長尺なL形部材を断面ロ字形となるように組み合わせて形成された四角筒状のものであり、L形部材どうしの縁部が重ね合わせられたうえで、この重ね合わせられた部分が点溶接TやリベットR等によって結合されている。
また、ケーシング11aの長手方向に沿う一つの角部には、ケーシング11aの軸方向の延びるスリット状のノズル11c,11cが軸方向に離間して設けられている。そして、このノズル11c,11cからケーシング11aの内の空気を吹き出すようになっている。
【0030】
このような吹出しノズル11は、図1および図2に示すように、乾燥槽2の上部の奥側に、ケーシング11aが水平になるように、かつノズル11cが乾燥槽2の内部に向くようにして設置され、この状態において接続管11bの先端開口部は下方に向けられている。そして、下方に向けられた接続管11bの先端開口部に、後述する連結管34が接続されている。
なお、図2に示す吹出しノズル11では、ノズル11cがケーシング11aの角部から斜め下方に延出しているが、図3に示すように、ケーシング11aの角部にスリット状に形成されていてもよい。
【0031】
前記パルスエア発生部12は、図4および図5に示すように、ケーシング20と、このケーシング20の内部に軸回りに回転可能に設けられた羽根21と、ケーシング20に、羽根21の軸方向に対向して設けられた空気吹込み口22および空気吹出し口23とを備えている。
ケーシング20は内部が中空な円盤状に形成されており、円筒状のケーシング本体20aと、このケーシング本体20aの一端部(図5において上端部)の開口を塞ぐ円板状の蓋部20bとを備えている。ケーシング本体20aの一端部の外周部には円板状のフランジ部20cが形成されている。
また、ケーシング本体の他端部(図5において下端部)は底板によって閉塞されているが、この底板には空気吹込み口22が設けられている。空気吹込み口22は円形状に形成され、その中心は底板の中心(ケーシング本体20aの中心)から離間している。つまり、空気吹込み口22の中心はケーシング本体の中心に対して偏心している。また、空気吹込み口22の直径は前記底板の半径より小さくなっている。また、空気吹込み口22の外周側には円筒状の突出部24が空気吹込み口22と同軸に設けられている。
【0032】
また、蓋部20bには空気吹出し口23が設けられている。この空気吹出し口23は全体的に蓋部20bと同軸の円形状に形成されている。また、空気吹出し口23は、蓋部20bの中心に対して同軸に設けられ、直径が異なる複数のリング状の部材25aと、蓋部20bの中心から放射に延びる複数の直線状の部材25bとによって画成された複数の吹出し口23aによって構成されている。
【0033】
羽根21は平面視において半円状に形成され、図5に示すように、当該半円の直径の中心に円筒状の回転軸21aが設けられ、羽根21は回転軸21aの軸に対して傾斜している。また、回転軸21aの内部には軸受21bが設けられ、この軸受21bにねじ26が支持軸として挿入されている。ねじ26は蓋部20bの中心部から軸受21bの中心部に挿通され、さらに、ケーシング本体20aの中央部に設けられた凸部に形成されたねじ孔26aにねじ込まれている。したがって、羽根21はねじ26によって支持された軸受21bを介して回転軸21aとともに軸回りに回転可能となっている。
【0034】
このような構成のパルスエア発生部12では、羽根21が空気吹込み口22からケーシング20の内部に吹き込まれた空気によって軸回りに回転して、空気吹込み口22を連続的に開閉することによって、空気を空気吹出し口23からパルスエアとして吹き出すようになっている。
【0035】
そして、このようなパルスエア発生部12は、図1および図2に示すように、その空気吹込み口22を下方に向けるとともに空気吹出し口23を上方に向けて、空気供給部13に取り付けられている。
すなわちまず、空気供給部13は、ケーシング30と、このケーシング30の内部でかつ底部に設けられたファン31と、ケーシング30の内部でかつファン31の上方に設けられたHEPAフィルタ等のフィルタ32とを備えている。そして、フィルタ32より下方でかつケーシング30の内部が1次チャンバ30aとなり、フィルタ32より上方でかつケーシング30の内部が2次チャンバ30bとなっている。
【0036】
ケーシング30の上壁部には筒状の吹出し部33が設けられており、この吹出し部33の下端開口に臨むようにしてパルスエア発生部12がケーシング30の上壁部の下面に固定されている。なお、パルスエア発生部12の固定は、当該パルスエア発生部12のフランジ部20cをケーシング30の上壁部の内面に固定することにより行えばよい。
ファン31は外部の空気を底部から吸い込んで、ケーシング30の1次チャンバ30aに吹き出すようになっており、この吹出された空気はフィルタ32を通ることで塵等の異物が除去されたうえで、フィルタ32より上方の2次チャンバ30bに吹き出され、さらに、パルスエア発生部12の空気吹込み口22からパルスエア発生部12の内部(ケーシング20の内部)に吹き込まれるようになっている。
そして、パルスエア発生部12ではケーシング20の内部に吹き込まれた空気によって羽根21が軸回りに回転して、空気吹込み口22を連続的に開閉することによって、空気を空気吹出し口23からパルスエアとして吹き出すようになっている。
【0037】
また、吹出し部33には連結管34の下端部が接続され、当該連結管34の上端部は吹出しノズル11の接続管11bに接続されている。
したがって、パルスエア発生部12の空気吹出し口23から吹き出されたバルスエアは吹出し部33、連結管34、接続管11bを介して吹出しノズル11のケーシング11aの内部に吹き込まれ、ノズル11cから乾燥槽2の内部に向けて吹き出されるようになっており、乾燥槽2の内部に手指挿入口1cから手を挿入することによって、手にパルスエアが吹き付けられる。
【0038】
以上のように本実施の形態のハンドドライヤーによれば、手を乾燥させる際に、パルスエア発生部12によって発生したパルスエアを吹出しノズル11のノズル11cから手に向けて噴射するので、エアーが手に断続的に吹き付けられる。したがって、手に付着した水分が叩き落とされるようにして吹き飛ばされるので、従来に比して手を短時間で乾燥させることができるとともに、使用者に手もみなどの手間をかけることがない。
【0039】
また、パルスエア発生部12は、ケーシング20と、このケーシング20の内部に軸回りに回転可能に設けられた羽根21と、ケーシング20に、羽根21の軸方向に対向して設けられた空気吹込み口22および空気吹出し口23とを備え、羽根21は空気吹込み口22から吹き込まれた空気によって軸回りに回転して、空気吹込み口22を連続的に開閉することによって、空気を空気吹出し口23からパルスエアとして吹き出して、連結管34を介して吹出しノズル11に供給するので、パルスエアを容易に発生させることができるとともに、吹出しノズル11のノズル11cからパルスエアを容易に吹出させることができる。
【0040】
次に、パルスエア発生部の変形例について説明する。
図6に示すように、第1変形例のパルスエア発生部40は、互いに対向して平行に配置され、かつ空気が流通可能な開口をそれぞれ有する一対の平板状のスライドダンパ41,42を備え、ケーシング30の1次チャンバ30aに設けられている。
【0041】
上側のスライドダンパ41は、矩形板状に形成され、その一辺に沿って長尺なスリット状の開口が他辺に沿って所定間隔で複数設けられている。また、このスライドダンパ41の端部はケーシング20の対向する内壁に固定されている。
下側のスライドダンパ42も矩形板状に形成され、その一辺に沿って長尺なスリット状の開口が他辺に沿って所定間隔で複数設けられている。また、スライドダンパ42の端部はケーシング20の対向する壁部との間に所定の間隔を隔てて配置され、往復動手段45,45によって図6において左右に往復動自在に支持されている。往復動手段45は、例えばソレノイド45によって構成され、このソレノイド45がケーシング20の対向する壁部に固定され、ソレノイド45の駆動軸45aがスライドダンパ42の端部に連結されている。
【0042】
そして、ソレノイド45の駆動軸45aを軸方向に往復動させることによって、下側のスライドダンパ42が図6において左右に往復動するようになっている。スライドダンパ42が左右に往復動することによって、上側のスライドダンパ41の開口と下側のスライドダンパ42の開口とがスライドダンパ41,42の厚さ方向において重なって両開口が上下に連続して空気が抜ける場合と、上側のスライドダンパ41の開口と下側のスライドダンパ42の開口とがスライドダンパ41,42の厚さ方向において重ならず空気が遮断される場合とが連続的に生じることになる。つまり、スライドダンパ41の開口が連続的に開閉する。
【0043】
したがって、往復動手段45によって下側のスライドダンパ42を往復動させながら、ファン31を回転させると、ファン31から吹き出された空気は下側のスライドダンパ42に当たり、脈動するようにして上側のスライドダンパ41の開口から吹き出されるので、パルスエアを容易に発生させることができる。
また、スライドダンパ41,42が有する開口の形状、大きさ、配置や、往復動手段45によるスライドダンパ41,42の往復速度を適宜調整することによって、パルスエアの状態(パルエアの脈動の間隔、パルエアの風量、風速等)を任意に制御できる。
【0044】
スライドダンパ41の開口から吹き出されるパルスエアは、図1および図2に示すように、吹出し部33、連結管34、接続管11bを介して吹出しノズル11のケーシング11aの内部に吹き込まれ、ノズル11cから乾燥槽2の内部に向けて吹き出され、乾燥槽2の内部に手指挿入口1cから手を挿入することによって、手にパルスエアが吹き付けられる。
なお、スライドダンパ41,42に設ける開口はスリット状に限ることはない。例えば所定間隔で配置された複数の孔であってもよいし、孔とスリットとの組み合わせであってもよい。また、スライドダンパ41,42は少なくとも一方を往復動させればよく、その方向はスライドダンパ41,42の面方向であれば、どの方向であってもよい。
また、スライドダンパ41,42は、ケーシング30の2次チャンバ30bに設けてもよい。
さらに、スライドダンパの数が3枚以上であってもよいし、3枚以上の場合は少なくとも一つのスライドダンパを面方向において往復動させればよい。
【0045】
図7に示すように、第2変形例のパルスエア発生部50は、四角筒状のケーシング51と、このケーシング51の一端部に設けられた空気吹込み口52と、ケーシング51の内部に設けられた回転羽根53と、ノズル54とを備えている。なお、回転羽根53はケーシング51の内部に設けられるが、図7においては、回転羽根53を破線ではなくて、実線で記載している。
【0046】
ケーシング51の他端部は閉塞されており、一端部に接続管55が接続されている。この接続管55は屈曲部を有しており、この屈曲部によって接続管55の一端開口部、つまり吹込み口52は、ケーシング51の軸方向と直交する方向に開口している。したがって、この吹込み口52から供給される空気は、接続管55を通ってケーシング51の内部に流入するようになっている。
ノズル54は、ケーシング51の周壁部の4つの角部のうちの1つの角部に設けられている。このノズル54は、前記1つの角部にケーシングの軸方向に延在するスリット状に形成されている。
【0047】
なお、ケーシング51は図3に示すような四角筒状のケーシング11aによって構成し、また、ノズル54は図3に示すようなケーシング11aの角部に設けられたノズル11cによって構成し、さらに、接続管55は図3に示すような接続管11bによって構成してもよい。このようにすれば、部品を転用できる。つまり、図3に示すケーシング11aをケーシング51として、その内部に回転羽根53を設ければよい。
【0048】
回転羽根53は、ケーシング51の軸方向に延在するともに軸回りに回転するようになっている。具体的には、回転羽根53は羽根53aと回転軸53bとによって構成されている。回転軸53bは、ケーシング51の内部に当該ケーシング51の軸方向と平行に設けられ、回転軸53bの両端部はケーシング51の軸方向の両端側に設けられている端板に軸受を介して回転可能に支持されている。この回転軸53bに羽根53aが設けられている。羽根53aは金属製の帯板をその長手方向に沿う中心線回りで複数回、周方向に所定角度だけ捩って形成されたものあり、帯板の中心線に沿って回転軸53bが設けられ、この回転軸53bに羽根53aが設けられている。
また、回転羽根53はスリット状のノズル54に寄せて配置され、空気吹込み口52からケーシング51内に吹き込まれた空気によって軸回りに回転することによって、当該空気をノズル54からパルスエアとして吹き出すようになっている。
【0049】
このようなパルスエア発生部50では、回転羽根53が空気吹込み口52から吹き込まれた空気によって回転軸53bを介して軸回りに回転するので、ケーシング51内の空気は回転羽根53によって風速、風向が変化し、これによってケーシング51内の空気はパルス状となってノズル54から吹き出すので、パルスエアを容易に発生させることができる。
また、回転羽根53の回転軸53bをモータによって回転させてもよく、この場合、回転羽根53の回転速度を制御することによって、パルスエアの状態(パルエアの脈動の間隔、パルエアの風量、風速等)を任意に制御できる。
【0050】
図8に示すように、第3変形例のパルスエア発生部60は、四角筒状のケーシング51と、このケーシング51の一端部に設けられた空気吹込み口52と、ケーシング51の内部にフリー状態で設けられた複数の塊状体61と、ノズル54とを備えている。つまり、第3変形例のパルスエア発生部60は、第2変形例のパルスエア発生部50において、回転羽根53に代えて複数の塊状体61がケーシング51の内部に設けられて構成されている。
【0051】
したがって、第3変形例のパルスエア発生部60において、第2変形例のパルスエア発生部50と同一構成には同一符号を付してその説明を省略することもある。
塊状体61は、例えば発砲スチロールで形成された球体61であり、ケーシング51の内部にフリーの状態で複数装填されている。
そして、塊状体61は空気吹込み口52から吹き込まれた空気によってケーシング51の内部で躍ることによって、空気をノズル54からパルスエアとして吹き出すようになっている。
【0052】
このようなパルスエア発生部60では、ケーシング51の内部に複数設けられた塊状体61に、空気吹込み口52から吹き込まれた空気が当たって、塊状体61がケーシング51の内部で躍るため、ケーシング51の内部の空気は風速、風向が変化し、これによってケーシング51内の空気はパルス状となってノズル54から吹き出すので、パルスエアを容易に発生させることができる。
【0053】
また、図9に示すように、第2変形例のパルスエア発生部50および第3変形例のパルスエア発生部60において、ケーシング51の外側に、ノズル54から吹き出すパルスエアPAに向けてケーシング51の外側の空気OAを誘引する誘引ガイド56が設けられていてもよい。
誘引ガイド56は、ノズル54を挟んで左右一対設けられている。誘引ガイド56はケーシング51の側面51a,51aに沿って延在する板状に形成され、その先端部は下方に向けて延在している。
【0054】
このように誘引ガイド56,56を設けることによって、当該誘引ガイド56,56によって外側の空気OAをノズル54から吹き出すパルスエアPAに向けて誘引するので、パルスエアPAの風量を増大できる。したがって、手をより短時間で乾燥させることができる。
【0055】
なお、図3に示す吹出しノズル11のケーシング11aの外側に、ノズル11cから吹き出すパルスエアに向けてケーシング11aの外側の空気OAを誘引する誘引ガイドを設けてもよい。
また、本実施の形態では、本発明に係る手乾燥装置10をハンドドライヤーに設けた場合を例にとって説明したが、当該手乾燥装置10を手洗い乾燥機に設けてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 手乾燥装置
11c,54ノズル
12,40,50,60 パルスエア発生部
20 ケーシング
21 羽根
22 空気吹込み口
23 空気吹出し口
41,42 スライドダンパ
45 往復動手段
51 ケーシング
52 空気吹込み口
53 回転羽根
56 誘引ガイド
61 塊状体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9