(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B60C13/00 D
(21)【出願番号】P 2019112650
(22)【出願日】2019-06-18
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2018234269
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 聡太郎
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-136487(JP,A)
【文献】特開2013-141903(JP,A)
【文献】特開2013-129233(JP,A)
【文献】特開2014-121978(JP,A)
【文献】特開2013-035313(JP,A)
【文献】特開2016-084042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に接するトレッド部と、
前記トレッド部に連なり、前記トレッド部のタイヤ径方向内側に位置するサイドウォール部と、を含む空気入りタイヤであって、
前記サイドウォール部の外表面には、複数の突起部を有する微小領域が形成され、
前記微小領域は、タイヤ周方向または前記タイヤ径方向に沿って複数形成され、
前記微小領域の面積は、0.3cm2より小さく、
前記突起部の高さは、0.01~0.1mmであ
り、
前記微小領域の面積当たりにおける前記突起部の延在長さの合計は、2mm~15mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
路面に接するトレッド部と、
前記トレッド部に連なり、前記トレッド部のタイヤ径方向内側に位置するサイドウォール部と、を含む空気入りタイヤであって、
前記サイドウォール部の外表面には、複数の突起部を有する微小領域が形成され、
前記微小領域は、タイヤ周方向または前記タイヤ径方向に沿って複数形成され、
前記微小領域の面積は、0.3cm2より小さく、
前記突起部の高さは、0.01~0.1mmであり、
複数の前記微小領域は、装飾領域を形成し、
前記装飾領域には、所定の深さを有する凹部が形成され、
前記凹部には、複数の第2突起部が形成され、
前記第2突起部の高さは、0.1~1.0mmであり、
前記突起部の高さをX、前記第2突起部の高さをYとした場合、比X/Yは、0.3以下であることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項3】
路面に接するトレッド部と、
前記トレッド部に連なり、前記トレッド部のタイヤ径方向内側に位置するサイドウォール部と、を含む空気入りタイヤであって、
前記サイドウォール部の外表面には、複数の突起部を有する微小領域が形成され、
前記微小領域は、タイヤ周方向または前記タイヤ径方向に沿って複数形成され、
前記微小領域の面積は、0.3cm2より小さく、
前記突起部の高さは、0.01~0.1mmであり、
前記突起部は、直線状の突起部と曲線状の突起部とを含み、
前記直線状の突起部と前記曲線状の突起部とが、前記タイヤ周方向または前記タイヤ径方向に沿って交互に形成されることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記突起部の形状は、前記突起部の上面視において線状であり、
隣接する前記微小領域の中央における突起部を中央突起部と定義した場合、前記中央突起部の上面視における角度が異なることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記中央突起部の上面視における角度は、前記タイヤ周方向または前記タイヤ径方向に沿って、周期的に変化することを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記微小領域内には、前記複数の突起部の密集度合いが変化する疎密分布が形成されることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記疎密分布は、前記タイヤ周方向または前記タイヤ径方向に沿って周期的に変化することを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記突起部は、前記突起部の上面視において放射状に形成されることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、サイドウォール部の外表面に存在する凹凸を目立たなくさせる技術が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載されたサイドウォール部には、同じ輪郭形状を成した複数の模様要素がタイヤ周方向に連なって設けられた複数の周方向模様要素列と、複数の模様要素がタイヤ径方向に連なって設けられた複数の径方向模様要素列とが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境保護の要求が高まるに連れて、タイヤについても、さらなる軽量化が求められている。タイヤの軽量化手法の一つとして、サイドウォール部のゲージ厚を薄くすることが知られている。サイドウォール部のゲージ厚を薄くした場合、凹凸が深く形成されず、サイドウォール部の外観性を向上させることが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、サイドウォール部のゲージ厚を薄くした場合でも、サイドウォール部の外観性が向上する空気入りタイヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空気入りタイヤ(空気入りタイヤ1)は、路面に接するトレッド部(トレッド部2)と、トレッド部に連なり、トレッド部のタイヤ径方向内側に位置するサイドウォール部(サイドウォール部3)と、を含む。サイドウォール部の外表面には、複数の突起部(突起部20)を有する微小領域(微小領域10)が形成される。微小領域は、タイヤ周方向またはタイヤ径方向に沿って複数形成される。微小領域の面積は、0.3cm2より小さく、突起部の高さは、0.01~0.1mmである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サイドウォール部のゲージ厚を薄くした場合でも、サイドウォール部の外観性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、空気入りタイヤのタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る突起部の角度について説明する図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の他の実施形態に係る微小領域の配列について説明する図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の他の実施形態に係る微小領域の配列について説明する図である。
【
図9】
図9は、本発明の他の実施形態に係るマークについて説明する図である。
【
図11】
図11は、本発明の他の実施形態に係る突起部について説明する図である。
【
図12】
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係る突起部について説明する図である。
【
図15】
図15は、本発明のさらに他の実施形態に係る突起部について説明する図である。
【
図18】
図18は、複数の突起部の密集度合いが変化する疎密分布を説明する図である。
【
図19】
図19は、本実施形態に係る装飾領域を角度を変えて見たときの外観変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(1)空気入りタイヤの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部断面図である。具体的には、
図1は、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った断面図である。なお、
図1は、タイヤ赤道線CLを基準とした一方側のみを示す。
図2は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の側面図である。
【0011】
図1、2に示すように、空気入りタイヤ1は、トレッド部2、サイドウォール部3、カーカス6、及びビード部7を備える。
【0012】
トレッド部2は、路面(不図示)に接する部分である。トレッド部2には、空気入りタイヤ1の使用環境や装着される車両の種別に応じたパターン(不図示)が形成される。
【0013】
サイドウォール部3は、トレッド部2に連なり、トレッド部2のタイヤ径方向内側に位置する。サイドウォール部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向外側端からビード部7の上端までの領域である。
【0014】
カーカス6は、空気入りタイヤ1の骨格を形成する。カーカス6は、タイヤ径方向に沿って放射状に配置されたカーカスコード(不図示)を有するラジアル構造である。但し、カーカス6は、ラジアル構造に限定されず、カーカスコードがタイヤ径方向に交錯するように配置されたバイアス構造でも構わない。
【0015】
ビード部7は、サイドウォール部3に連なり、サイドウォール部3のタイヤ径方向内側に位置する。ビード部7は、円環状であり、ビード部7を介してカーカス6がタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返されている。
【0016】
図2に示すように、サイドウォール部3の外表面には、装飾領域4が形成される。装飾領域4は、タイヤ周方向に沿って、円環状に形成される。装飾領域4の詳細は後述するが、装飾領域4には、多数の突起部20が形成されたり、標章が形成されたりする。
【0017】
次に、
図3を参照して、
図2に示す装飾領域4の一部の領域(
図2に示す破線で囲まれた領域5)について説明する。
図3は、
図2に示す領域5の拡大図である。
【0018】
図3に示すように、装飾領域4は、複数の微小領域10からなる。微小領域10は、タイヤ周方向及びタイヤ径方向に沿って配列される。また、それぞれの微小領域10は、隣接して配置される。
図3に示すように、タイヤ周方向における微小領域10の長さは、1mmである。同様に、タイヤ周方向における微小領域10の長さも、1mmである。したがって、微小領域10の面積は、1mm
2である。ただし、微小領域10の面積は、これに限定されない。微小領域10の面積は、0.3cm
2より小さければよい。
【0019】
また、
図3に示すように、それぞれの微小領域10には、複数の突起部20が形成される。換言すれば、本実施形態における微小領域10とは、複数の突起部20によって形成される領域である。突起部20の形状は、突起部20の上面視において線状(ブレード状)である。本実施形態では、突起部20の上面視における形状を直線として説明するが、これに限定されない。突起部20の上面視における形状は、曲線であってもよい。また、全ての突起部20は、上面視において放射状に形成される。
図3に示すように、突起部20の上面視における角度は、タイヤ周方向に沿って、周期的に変化する。
【0020】
本実施形態における微小領域10は、所定の単位を構成する。
図3に示すように、所定の単位は、一例として、12mm平方である。つまり、本実施形態では、144個の微小領域10が集合して、所定の単位が構成される。そして、この所定の単位が、タイヤ周方向及びタイヤ経方向に沿って繰り返し配列され、装飾領域4が形成される。
【0021】
次に、
図4を参照して、
図3に示すA―A断面について説明する。
図4に示すように、突起部20の高さは、0.03mmである。ただし、突起部20の高さは、これに限定されない。突起部20の高さは、0.01mm~0.1mmの範囲内であればよい。
【0022】
図4に示すように、突起部20の側面視における形状は、一例として0.02mmの上面を有する台形状である。上面から下面への傾斜角度は、一例として45度である。なお、突起部20の側面視における形状は、矩形状でもよく、ドーム状でもよい。
【0023】
次に、
図5を参照して、突起部20の上面視における角度について説明する。
図5には、微小領域10の中央における突起部20が示される。以下、
図5の説明において、突起部20とは、微小領域10の中央における中央突起部と定義される。
【0024】
図5に示すように、突起部20の上面視における角度は、タイヤ周方向に沿って、周期的に回転するように変化する。隣接する突起部20の上面視における角度はそれぞれ異なる。
図5に示す例では、突起部20の上面視における角度は、タイヤ周方向に沿って、30度ずつ、周期的に変化する。なお、タイヤ周方向における12個の微小領域10が1つの模様列を形成する。また、突起部20の上面視における角度は、タイヤ径方向に沿って、30度ずつ、周期的に変化してもよい。つまり、タイヤ径方向における12個の微小領域10が1つの模様列を形成してもよい。
【0025】
(2)作用・効果
以上説明したように、サイドウォール部3の外表面には、複数の突起部20を有する微小領域10が形成される。微小領域10は、タイヤ周方向またはタイヤ径方向に沿って複数形成される。微小領域10の面積は、0.3cm2より小さく、突起部20の高さは、0.01~0.1mmである。この突起部20が光を反射することにより、光沢感のある外観が得られる。
【0026】
また、突起部20の形状は、突起部20の上面視において線状である。隣接する微小領域10の中央における突起部20を中央突起部と定義した場合、中央突起部の上面視における角度が異なる(
図5参照)。このため、中央突起部の上面視における角度が、タイヤ周方向に沿って周期的に回転するように変化する。これにより、サイドウォール部3に入射した光を反射する角度が、ユーザがサイドウォール部3を見た際の目線の角度ごとに変化する。このため、
図6に示すように、ユーザは、微小領域10ごとに異なる明度を感じる。これにより、ユーザにとって、サイドウォール部3(装飾領域4)があたかも動いているように見える。つまり、空気入りタイヤ1の回転、またはユーザの観測方向の変化に応じて、光が移動していくように感じられる。このように本実施形態によれば、サイドウォール部3のゲージ厚を薄くした場合でも、サイドウォール部3の外観性が向上する。なお、サイドウォール部3の外観性とは、サイドウォール部3の目立ちやすさ、見やすさなどである。
【0027】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0028】
例えば、微小領域10の配列方法は、
図3の例に限定されない。
図7A及び
図8Aに示すように、タイヤ径方向に配列される微小領域10の位置は、適宜変更されてもよい。これにより、
図7B及び
図8Bに示すように、様々な光の反射角度を有するサイドウォール部3(装飾領域4)が実現する。
【0029】
なお、サイドウォール部3(装飾領域4)には、マーク30が形成されてもよい。
図9及び
図10を参照して、マーク30について説明する。マーク30とは、例えば標章である。
【0030】
図9及び
図10に示すように、装飾領域4には、所定の深さを有する凹部50がタイヤ幅方向に沿って形成される。この凹部50に複数の第2突起部40が形成される。マーク30は、複数の第2突起部40によって形成される。
【0031】
凹部50の深さは、一例として0.4mmであるが、これに限定されない。また、
図10に示すように、第2突起部40の高さは、一例として0.35mmであるが、これに限定されない。第2突起部40の高さは、0.1~1.0mmの範囲内であればよい。
【0032】
次に、マーク30の効果について説明する。複数の第2突起部40によって形成されるマーク30は、通常のタイヤ外表面よりも黒さが際立つ。さらに、あたかも動いているように見える微小領域10と、動かないマーク30との対比により、マーク30はより一層目立つことになる。
【0033】
また、上述した例では、微小領域10は放射状に形成されるとして説明したが、これに限定されない。例えば、
図11に示すように、微小領域10は平行に形成されてもよい。また、タイヤ周方向に沿って周期的に変化する上面視における角度は、
図11に示すように、90度であってもよい。この場合でも、上述した効果と同様の効果が得られる。
【0034】
また、微小領域10の面積当たりにおける突起部20の延在長さの合計は、2mm~15mmであってもよい。微小領域10の面積は、一例として1mm2であるため、この1mm2における突起部20の延在長さの合計は、2mm~15mmであってもよい。突起部20の延在長さの合計が上記の値より少ない場合、ユーザは光沢感を感じ取りにくいおそれがある。一方、突起部20の延在長さの合計が上記の値より多い場合、突起部20の影により微小領域10が暗く見え、光沢感が減少するおそれがある。換言すれば、突起部20の延在長さの合計が上記の値であれば、光沢感のある外観が得られる。また、突起部20の延在長さの合計は、7mm~10mmであってもよい。これにより、より一層光沢感のある外観が得られる。なお、突起部20の延在長さとは、突起部20のタイヤ周方向に沿った長さ、突起部20のタイヤ径方向に沿った長さ、及び突起部20のタイヤ周方向またはタイヤ径方向に対する斜め方向に沿った長さを含む。
【0035】
また、突起部20の高さをX、第2突起部40の高さをYとした場合、比X/Yは、0.3以下であってもよい。比X/Yが0.3より大きい場合、マーク30の黒さのコントラストが減少し、マーク30の視認性が減少するおそれがある。換言すれば、比X/Yが、0.3以下であれば、マーク30の視認性は向上する。
【0036】
また、微小領域10には形状の異なる突起部が形成されてもよい。例えば、
図12及び
図13に示すように、微小領域10には形状の異なる突起部20及び突起部21が形成されてもよい。突起部20は、
図3と同様に直線状である。突起部21は、曲線状(波形状)である。直線状の突起部20と曲線状の突起部21は、タイヤ周方向またはタイヤ径方向に沿って交互に形成される。これにより、反射する光の拡散が効果的に得られ、視認性が向上する。また、
図14に示すように、突起部20及び突起部21の上面視における角度は、タイヤ周方向に沿って、周期的に回転するように変化する。これにより、
図5に示す例と同様の効果が得られる。なお、
図12に示す突起部20及び突起部21の高さは、
図4と同様である。なお、曲線状の突起部21の上面視における角度とは、突起部21の端点同士を結んだ直線の角度と定義されてもよい。また、曲線状の突起部21の上面視における角度とは、曲線にかかる振動の中心点を結んだ直線の角度と定義されてもよい。また、曲線状の突起部21の上面視における角度とは、曲線を近似手法(例えば最小二乗法)によって近似した直線の角度と定義されてもよい。
【0037】
また、
図3に示す例では、放射状に形成される突起部20の中心について特に限定しないが、放射状に形成される突起部20の中心は、
図15及び
図16に示すように、微小領域10内に存在してもよい。換言すれば、
図15及び
図16に示すように微小領域10内に存在する中心から放射するように突起部20が形成されてもよい。これにより、反射する光の拡散が効果的に得られ、視認性が向上する。なお、
図15において、上述した所定の単位は、24mm平方である。つまり、
図15では、576個の微小領域10が集合して、所定の単位が構成される。また、
図17に示すように、突起部20の上面視における角度は、タイヤ周方向に沿って、周期的に回転するように変化する。これにより、
図5に示す例と同様の効果が得られる。なお、
図17は12mm分の微小領域10の角度の回転を示すが、残りの12mm分の微小領域10も同様に周期的に回転する。また、
図15に示す突起部20の高さは、
図4と同様である。
【0038】
また、
図18に示すように、複数の突起部20が放射状に形成された微小領域10内には、複数の突起部20の密集度合いが変化する疎密分布が形成されてもよい。複数の突起部20が放射状に形成されることにより、放射の中心付近には突起部20が密集する。これにより、放射の中心付近には突起部20が密集した密領域60が形成される。一方、微小領域10内において、密領域60から遠くなるにしたがい、突起部20同士の間隔は広くなる。これにより、突起部20同士の間隔が広い疎領域70が形成される。密領域60と疎領域70とでは、突起部20による光の反射量(明度)が異なる。したがって、突起部20の密集度合いが変化する疎密分布が形成されることにより、ユーザは明度の変化を感じることができ、外観性が向上する。
【0039】
図18に示すように疎密分布、すなわち、密領域60及び疎領域70は、タイヤ周方向またはタイヤ径方向に沿って周期的に変化する。このような密領域60及び疎領域70の変化と、タイヤの回転とが組み合わされて、装飾領域4があたかも動いているように見えるため、外観性が向上する。また、密領域60の中心付近は、隣接する突起部20同士がくっつき、平滑面となっている。光を強く反射する平滑面が動くことによっても、外観の変化が得られる。
【0040】
なお、密領域60は、隣接する突起部20同士の間隔が疎領域70と比較して狭い領域と表現されてもよく、隣接する突起部20同士の間隔がほぼゼロとみなせる領域と表現されてもよい。また、複数の突起部20の密集度合いは、複数の突起部20の密度と表現されてもよい。
【0041】
図19は、本実施形態における装飾領域4の一例であり、角度を変えて装飾領域4を見たときの外観変化を示す。
図19からわかるように、本実施形態によれば、サイドウォール部3(装飾領域4)の外観性が向上する。
【0042】
特願2018-234269号(出願日:2018年12月14日)の全内容は、ここに援用される。
【符号の説明】
【0043】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 装飾領域
6 カーカス
7 ビード部
10 微小領域
20、21 突起部
30 マーク
40 第2突起部
50 凹部
60 密領域
70 疎領域