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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-31
(45)【発行日】2022-11-09
(54)【発明の名称】フォロアプレートおよびポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 15/02 20060101AFI20221101BHJP
   B65D 25/48 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F04B15/02 Z
B65D25/48 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019125173
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021011831
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-06-01
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500077292
【氏名又は名称】ダイキン潤滑機設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】秦野 淳一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】鶴江 陽介
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-285838(JP,A)
【文献】米国特許第4592491(US,A)
【文献】特開2010-144681(JP,A)
【文献】実開昭49-23351(JP,U)
【文献】特開昭63-138976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 15/02, B65D 25/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状のフォロアプレート本体(15)と、
上記フォロアプレート本体(15)の周縁部に設けられたシール部材(10,100,300)と
を備え、
上記フォロアプレート本体(15)の軸方向の一方側の空間を上記フォロアプレート本体(15)の軸方向の他方側の空間に連通させる機構(12b,112b,300b,C3)が、上記シール部材(10,100,300)に設けられていると共に、
上記シール部材(10,100,300)は、複数のシール片(12,112,312)からなり、
上記複数のシール片(12,112,312)は、上記フォロアプレート本体(15)の外周に沿って周方向に並べられ
互いに隣接する上記シール片(12,112,312)が隙間をあけて隔てられていることを特徴とするフォロアプレート(1,101,301)。
【請求項2】
請求項1に記載のフォロアプレート(1,101)において、
上記機構(12b,112b)は、上記シール部材(10,100)の外周縁部に設けられた切り欠き(12b,112b)であることを特徴とするフォロアプレート(1,101)
【請求項3】
請求項2に記載のフォロアプレート(1,101)において、
上記切り欠き(12b,112b)は、上記フォロアプレート本体(15)の径方向外側から上記フォロアプレート本体(15)の径方向内側に向かって幅が徐々に狭くなる部分を有することを特徴とするフォロアプレート(1,101)
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のフォロアプレート(1,101,301)と、
上記フォロアプレート(1,101,301)が上下方向に移動可能に取り付けられたサクションパイプ(2)と、
上記サクションパイプ(2)の上端に取り付けられ、有底筒状のタンク(20)内に充填された潤滑剤を上記サクションパイプ(2)の下端の吸込口(2a)から吸い込んで外部に送り出すポンプ部(4)と
を備えたことを特徴とするポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォロアプレートおよびポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ装置としては、フォロアプレート本体と、フォロアプレート本体に取り付けられた円環状のシール部材とを有するフォロアプレートを備えたものがある(例えば、特開平8-82282号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
上記ポンプ装置の運転時に、フォロアプレートがドラム缶内の高粘度材の上面に接したときに、ポンプの自重と下降エア圧力によりフォロアプレートが高粘度材の上面に押し付けられてフォロアプレートの円環状のシール部材の外径が拡大することで、シール部材とドラム缶の内周とのシール性を向上させる。
【0004】
また、上記ポンプ装置では、フォロアプレートをドラム缶内に取り付けたり取り出したりする過程において、フォロアプレート本体の自重によりシール部材がその弾性により下方に伸びてシール部材の外径が縮小することにより、シール部材とドラム缶の内周面との間に隙間ができ、エア抜きなどの作業なしにフォロアプレートのドラム缶内への出し入れを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-82282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のポンプ装置のフォロアプレートでは、円環状のシール部材の構造やシール部材の取り付け構造が複雑でコストが高くなるという問題がある。
【0007】
このような従来のポンプ装置に対して、円板状のシール部材を用いた簡単な構造のフォロアプレートでは、フォロアプレートをドラム缶に設置するときにシール部材とドラム缶の内周面との間がシールされているため、空気抜き用のバルブを開いてドラム缶内の空気を抜いた後、再びバルブを閉じるという作業が必要となる。
【0008】
本開示では、ドラム缶などのタンクへの設置作業の手間を軽減できるフォロアプレートおよびそのフォロアプレートを用いたポンプ装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のフォロアプレートは、
円板状のフォロアプレート本体と、
上記フォロアプレート本体の周縁部に設けられたシール部材と
を備え、
上記フォロアプレート本体の軸方向の一方側の空間を上記フォロアプレート本体の軸方向の他方側の空間に連通させる機構が、上記シール部材に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本開示によれば、円板状のフォロアプレート本体の軸方向の一方側の空間をフォロアプレート本体の軸方向の他方側の空間に連通させる機構が、シール部材に設けられていることによって、ドラム缶などのタンク内の空気抜きが容易にでき、タンクへの設置作業の手間を軽減できる。
【0011】
また、本開示の1つの態様に係るフォロアプレートでは、
上記機構は、上記シール部材の外周縁部に設けられた切り欠きである。
【0012】
本開示によれば、シール部材の外周縁部に設けられた切り欠きによって、フォロアプレート本体の軸方向の一方側の空間をフォロアプレート本体の軸方向の他方側の空間に連通させる機構を容易に形成できる。
【0013】
また、本開示の1つの態様に係るフォロアプレートでは、
上記切り欠きは、上記フォロアプレート本体の径方向外側から上記フォロアプレート本体の径方向内側に向かって幅が徐々に狭くなる部分を有する。
【0014】
本開示によれば、上部開口から底部に向かって徐々に縮径のドラム缶などのタンクの場合、フォロアプレートの位置がタンクの上部開口近傍では、切り欠きによりタンク内の空気が抜けるが、フォロアプレートの位置がタンクの底部近傍では、タンク内の空気がほとんど抜けた状態になっているので、シール部材の外周側がタンクの内周面により内側に押されて変形し、切り欠き部分での空気の抜ける隙間が小さくなって、シール性が向上する。
【0015】
また、本開示の1つの態様に係るフォロアプレートでは、
上記シール部材は、上記フォロアプレート本体の外周に沿って配置された複数のシール片からなる。
【0016】
本開示によれば、円環状のシール部材の全周がタンク内の内周に接して内側に変形することで撓んで波打つということがなく、シール片間に隙間を設けることによって撓み量が抑制され、シール部材とタンクの内周とのシール性が向上する。
【0017】
また、本開示のポンプ装置は、
上記のいずれかのフォロアプレートと、
上記フォロアプレートが上下方向に移動可能に取り付けられたサクションパイプと、
上記サクションパイプの上端に取り付けられ、有底筒状のタンク内に充填された潤滑剤を上記サクションパイプの下端の吸込口から吸い込んで外部に送り出すポンプ部と
を備えたことを特徴とする。
【0018】
本開示によれば、フォロアプレートの設置作業の手間を軽減できるポンプ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の第1実施形態のフォロアプレートを備えたポンプ装置の縦断面図である。
図2】第1実施形態のフォロアプレートの上面図である。
図3図2のIII-III線から見た断面図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5】上記フォロアプレートの円板状の基部の上面図である。
図6】上記フォロアプレートのシール部材の上面図である。
図7】上記フォロアプレートの押さえ部材の上面図である。
図8】第1実施形態のポンプ装置によるドラム缶内のグリース残量を示す縦断面図である。
図9】比較例のポンプ装置によるドラム缶内のグリース残量を示す縦断面図である。
図10】本開示の第2実施形態のフォロアプレートの上面図である。
図11】第2実施形態のフォロアプレートのシール部材の上面図である。
図12】本開示の第3実施形態のフォロアプレートの上面図である。
図13】第3実施形態のフォロアプレートのシール部材の上面図である。
図14】本開示の第4実施形態のフォロアプレートの上面図である。
図15】第4実施形態のフォロアプレートのシール部材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の図面上の寸法は、図面の明瞭化と簡略化のために実際の尺度から適宜変更されており、実際の相対寸法を表してはいない。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態のフォロアプレート1を備えたポンプ装置の縦断面図である。
【0022】
この第1実施形態のポンプ装置は、図1に示すように、フォロアプレート1と、フォロアプレート1が上下方向に移動可能に取り付けられたサクションパイプ2と、サクションパイプ2の上端が中央に固定された円板状の蓋部3と、サクションパイプ2の上端に取り付けられたポンプ部4と、ポンプ部4を駆動するモータ部5とを備えている。
【0023】
このポンプ装置は、ドラム缶20内の上側から底側に向かって延在するようにサクションパイプ2を配置した状態で、ポンプ部4によってドラム缶20内に充填されたグリース(潤滑剤)をサクションパイプ2の吸込口2a(下端開口)から吸い込んで外部に送り出すように構成されている。ドラム缶20は、潤滑剤が充填された有底筒状のタンクの一例である。
【0024】
また、ポンプ装置は、サクションパイプ2に上下方向に移動可能に外嵌されたフォロアプレートキャップ6と、フォロアプレートキャップ6に上端が固定され、フォロアプレート1のボス部11aに上下方向に移動可能に挿入され、下端にフランジ7aが設けられたパイプ部7と、サクションパイプ2の吸込口2aに取り付けられたフィルタ8とを備えている。フォロアプレート1は、パイプ部7に上下方向に移動可能に支持されている。
【0025】
また、ポンプ装置は、蓋部3に設けられたエアホース接続部31と、エアホース接続部31と間隔をあけて蓋部3に設けられたドレンホース接続部32とを備えている。エアホース接続部31にエアホース21の一端が接続され、エアホース21の他端がフォロアプレート1に設けられたエアホース接続部33に接続されている。ドレンホース接続部32にドレンホース22の一端が接続され、ドレンホース22の他端がフォロアプレート1に設けられたドレンホース接続部34に接続されている。
【0026】
さらに、ポンプ装置は、ポンプ部4の吐出圧力を計測する圧力計41と、ポンプ部4の吐出側に設けられた安全弁42とを備えている。ポンプ部4の吐出圧力が設定圧力以上になると安全弁42が開いて、ポンプ部4から吐出されたグリースを、ドレンホース22を介してドラム缶20内かつフォロアプレート1の下側に戻すようになっている。
【0027】
図1において、23はボールチェーン、24はボールチェーン23の下端に取り付けられたウェイトである。ウェイト24は、フォロアプレート1上に載置され、フォロアプレート1が最下端の位置でウェイト24の自重によりボールチェーン23を下方に引っ張ることにより、ボールチェーン23の上端に接続されたスイッチ(図示せず)をオンして、ポンプ部4を停止させるようにしている。
【0028】
図2は、フォロアプレート1の上面図であり、図3は、図2のIII-III線から見た断面図である。
【0029】
図2,図3に示すように、フォロアプレート1は、円板状の基部11と、4つのシール片12からなるシール部材10と、4つの押さえ部材13とを有する。円板状の基部11と4つの押さえ部材13で円板状のフォロアプレート本体15を構成している。フォロアプレート1は、外形が約600mmで重量は約9kgである。また、シール部材10は、例えばニトリルゴム等の弾性部材からなる。
【0030】
この第1実施形態では、シール部材10を4つのシール片12に分割したが、シール部材を2または3のシール片に分割してもよいし、5以上のシール片に分割してもよい。
【0031】
フォロアプレート1の円板状の基部11の中央にボス部11aを設けている。また、基部11にボス部11aと間隔をあけてエア供給ポート11bを設けると共に、基部11にボス部11aに対して反対側にドレン供給ポート11cを設けている。エア供給ポート11bにエアホース接続部33(図1に示す)が取り付けられ、ドレン供給ポート11cにドレンホース接続部34(図1に示す)が取り付けられている。
【0032】
図4は、図3の要部Aの拡大図であり、図4に示すように、シール部材10の各シール片12の外周縁部を除く部分が円板状の基部11と押さえ部材13により挟まれた状態で、押さえ部材13をねじ14により円板状の基部11に締め付けることで各シール片12が円板状の基部11に固定されている。なお、シール部材10の各シール片12をフォロアプレート本体15に取り付ける手段はこれに限らない。
【0033】
図5は、フォロアプレート1の円板状の基部11の上面図であり、図5において、11dはねじ14(図4に示す)が挿入される穴である。
【0034】
図5に示すように、エア供給ポート11bとドレン供給ポート11cとの間の中央にボス部11aが位置している。
【0035】
図6は、フォロアプレート1のシール部材10の上面図であり、図6において、12aはねじ14(図4に示す)が挿入される穴である。
【0036】
図6に示すように、シール部材10の各シール片12は、湾曲した帯形状で、かつ、外周縁および内周縁がシール部材10の中心から見た角度が約90degの円弧形状をしている。シール部材10の各シール片12は、互いに隣接するシール片12の対向する端部間に隙間C1(この実施形態では所定の幅W1=0~1mm)を設けて配置されている。
【0037】
また、シール部材10の各シール片12は、互いに隣接するシール片12の対向する端部の外周側に切り欠き12bを設けている。この切り欠き12bは、シール片12の端部を三角形状に切り欠いており、フォロアプレート本体15の径方向外側からフォロアプレート本体15の径方向内側に向かって幅が徐々に狭くなっている。
【0038】
この第1実施形態のシール片12の端部に設けた切り欠き12bは、フォロアプレート本体15の径方向外側からフォロアプレート本体15の径方向内側に向かって幅が徐々に狭くなった三角形状をしているが、フォロアプレート本体15の径方向外側からフォロアプレート本体15の径方向内側に向かって幅が徐々に狭くなっているのは切り欠きの一部でもよく、また、切り欠きの形状はこれに限らず、他の形状の切り欠きでもよい。
【0039】
図7は、フォロアプレート1の押さえ部材13の上面図であり、図7において、13aはねじ14(図4に示す)を螺合するねじ穴である。
【0040】
図7に示すように、シール部材10の各押さえ部材13は、湾曲した帯形状で、かつ、外周縁および内周縁がシール部材10の中心から見た角度が約90degの円弧形状をしている。
【0041】
また、図8は、第1実施形態のポンプ装置によるドラム缶20内のグリース残量を示す縦断面図である。図8の状態からさらにフォロアプレート1が降下することにより、ドラム缶20の内周面にほとんどグリースGが残らない。さらに、フォロアプレート1がドラム缶20内の底面近傍まで下降すると、底面にもほとんどグリースGが残らない。
【0042】
これに対して、図9は、比較例のポンプ装置によるドラム缶20内のグリース残量を示す縦断面図である。この比較例のポンプ装置は、外周にシール部材を備えていない円板形状のフォロアプレート50を備えている。
【0043】
図9に示す比較例では、ドラム缶20の内周面とフォロアプレート50との間の隙間が比較的大きいため、フォロアプレート50がドラム缶20内の底部側の最も下側に下降しても、ドラム缶20内の内周面と底面に多くのグリースGが残った。
【0044】
この第1実施形態のフォロアプレート1によれば、円板状の基部11と4つの押さえ部材13からなるフォロアプレート本体15の軸方向の一方側の空間をフォロアプレート本体15の軸方向の他方側の空間に連通させる機構として、シール部材10の外周縁部に切り欠き12bを設けることによって、フォロアプレート1のドラム缶20への設置時にドラム缶20内の空気が密閉されずに抜けるので、簡単な構成で設置作業の手間を軽減することができる。ここで、シール部材10の外周側がドラム缶20の内周面に接して内周側に押されて上向きに少し変形するが、切り欠き12b部分での空気の抜ける隙間は確保されている。
【0045】
また、上記シール部材10の切り欠き12bが、フォロアプレート本体15の径方向外側からフォロアプレート本体15の径方向内側に向かって幅が徐々に狭くなることによって、フォロアプレート1の位置がドラム缶20の底部近傍では、ドラム缶20内の空気がほとんど抜けた状態になっているので、切り欠き12b部分での空気の抜ける隙間の面積が小さくなるかまたは該隙間が閉じて、シール性が向上する。
【0046】
詳しくは、上部開口から底部に向かって徐々に内径が小さくなるドラム缶20の場合、フォロアプレート1の位置がドラム缶20の上部開口近傍では、切り欠き12bによりドラム缶20内の空気が抜けるが、フォロアプレート1が下降してフォロアプレート1の位置がドラム缶20の底部近傍になると、シール部材10の外周側がドラム缶20の内周面により内周側に押されて上向きの変形量が増え、切り欠き12b部分での空気の抜ける隙間の面積が小さくなるかまたは該隙間が閉じる。
【0047】
また、上部開口から底まで内径が変わらないドラム缶20の場合であっても、シール部材10に設ける切り欠き12bの形状および大きさを適切に設定することによって、ドラム缶20の内周面に切り欠き12bによる筋状のグリースがほとんど残らないようにできる。例えば、シール部材10の外径をドラム缶20の内径よりも所定寸法(例えば5mm)大きくし、シール部材10に設ける複数の切り欠き12bの最内側の部分のそれぞれを接続する仮想円(シール部材10の外周の円と同心の円)の直径をドラム缶20の内径よりも所定寸法(例えば5mm)小さくする。これにより、フォロアプレート1をドラム缶20内に入れたとき、シール部材10の外周側がドラム缶20の内周面により内周側に押されて上向きに変形しても、シール部材10の切り欠き12bのうちの内側部分は閉じずに残って空気の抜ける隙間を確保できる。
【0048】
上記第1実施形態では、湾曲した帯形状のシール片12の周方向の両端かつ外周側に切り欠き12bが設けられているので、シール部材10の加工が容易にできる。また、互いに隣接するシール部材10の切り欠き12bを対向するように設けることにより、シール片12の端部間の隙間の一部を兼ねることができる。
【0049】
また、上記フォロアプレート本体15の外周に沿って配置されたシール部材10を複数のシール片12から構成することによって、円環状のシール部材の全周がドラム缶20の内周面に接して内側に変形することで撓んで波打つということがなく、シール片12間に隙間を設けることによって各シール片12の撓み量が抑制され、シール部材10とドラム缶20の内周とのシール性が向上する。
【0050】
また、フォロアプレート1を備えたポンプ装置によれば、ドラム缶20へのフォロアプレート1の設置作業の手間を軽減できる。
【0051】
〔第2実施形態〕
図10は、本開示の第2実施形態のフォロアプレート101を備えたポンプ装置の縦断面図であり、図11は、フォロアプレート101のシール部材100の上面図である。この第2実施形態のフォロアプレート101は、シール部材100を除いて第1実施形態のフォロアプレート1と同一の構成をしている。
【0052】
この第2実施形態のフォロアプレート101のシール部材100では、図11に示すように、シール部材100の各シール片112は、湾曲した帯形状で、かつ、外周縁および内周縁がシール部材100の中心から見た角度が約90degの円弧形状をしている。シール部材100の各シール片112は、互いに隣接するシール片112の対向する端部間に隙間C2(この実施形態では所定の幅W2=1~10mm)を設けて配置されている。
【0053】
また、シール部材100の各シール片102は、外周縁部の周方向の中間の位置に三角形状の切り欠き112bを設けている。
【0054】
図11において、112aはねじ14(図4に示す)が挿入される穴である。
【0055】
上記第2実施形態のフォロアプレート101は、第1実施形態のフォロアプレート1と同様の効果を有する。
【0056】
上記第2実施形態では、シール片102の外周縁部の周方向の中間に切り欠き112bを設けたが、シール片の外周縁部の周方向に間隔をあけて複数の切り欠きを設けてもよく、切り欠きの形状は、フォロアプレート本体の径方向外側からフォロアプレート本体の径方向内側に向かって幅が徐々に狭くなる三角形などに限らない。
【0057】
〔第3実施形態〕
図12は、本開示の第3実施形態のフォロアプレート201を備えたポンプ装置の縦断面図であり、図13は、本開示の第3実施形態のフォロアプレート201のシール部材200の上面図である。この第3実施形態のフォロアプレート201は、シール部材200を除いて第1実施形態のフォロアプレート1と同一の構成をしている。
【0058】
この第3実施形態のフォロアプレート201のシール部材200では、図13に示すように、円環状をしており、複数のシール片に分割していない。この円環状のシール部材200の外周縁部に周方向に90deg間隔で切り欠き200bを設けている。
【0059】
上記第3実施形態のフォロアプレート201は、シール片間の隙間の効果を除いて第1実施形態のフォロアプレート1と同様の効果を有する。
【0060】
上記第3実施形態では、シール部材200の外周縁部の周方向の90deg間隔で4つの切り欠き200bを設けたが、シール部材の外周縁部の周方向に間隔をあけて5以上の切り欠きを設けてもよく、切り欠きの形状は、フォロアプレート本体の径方向外側からフォロアプレート本体の径方向内側に向かって幅が徐々に狭くなる三角形などに限らない。
【0061】
〔第4実施形態〕
図14は、本開示の第4実施形態のフォロアプレート301を備えたポンプ装置の縦断面図であり、図15は、本開示の第4実施形態のフォロアプレート301のシール部材300の上面図である。この第4実施形態のフォロアプレート301は、シール部材300を除いて第1実施形態のフォロアプレート1と同一の構成をしている。
【0062】
この第4実施形態のフォロアプレート301のシール部材300では、図15に示すように、シール部材300の各シール片312は、湾曲した帯形状で、かつ、外周縁および内周縁がシール部材300の中心から見た角度が約90degの円弧形状をしている。シール部材300の各シール片312は、互いに隣接するシール片312の対向する端部間に隙間C3(この実施形態では所定の幅W3=1~10mm)を設けて配置されている。
【0063】
このシール片312間の隙間C3の幅W3は、第1実施形態のフォロアプレート1のシール片12間の隙間C1の幅W1よりも広くしている。
【0064】
なお、シール部材300の各シール片312には、外周縁部に切り欠きを設けていない。
【0065】
図15において、312aはねじ14(図4に示す)が挿入される穴である。
【0066】
上記構成のフォロアプレート301によれば、フォロアプレート本体(円板状の基部11と4つの押さえ部材13)の軸方向の一方側の空間をフォロアプレート本体15の軸方向の他方側の空間に連通させる機構として、シール部材300のシール片312間に隙間C3を設けることによって、フォロアプレート301のドラム缶20への設置作業の手間を軽減できる。
【0067】
上記第4実施形態のフォロアプレート301は、切り欠きの効果を除いて第1実施形態のフォロアプレート1と同様の効果を有する。
【0068】
上記第1~第4実施形態では、タンクの一例であるドラム缶20内にフォロアプレート1,101,201,301を設置したが、タンクの形態はこれに限らない。
【0069】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1~第4実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
1,101,201,301…フォロアプレート
2…サクションパイプ
2a…吸込口
3…円板状の蓋部
4…ポンプ部
5…モータ部
6…フォロアプレートキャップ
7…パイプ部
7a…フランジ
8…フィルタ
10,100,200,300…シール部材
11…円板状の基部
11a…ボス部
11b…エア供給ポート
11c…ドレン供給ポート
11d…穴
12,112,312…シール片
12a,112a…穴
12b,112b,200b…切り欠き(機構)
13…押さえ部材13
13a…ねじ穴
14…ねじ
15…フォロアプレート本体
20…ドラム缶(タンク)
31…エアホース接続部
32…ドレンホース接続部
33…エアホース接続部
34…ドレンホース接続部
C1,C2,C3…隙間(機構)
G…グリース
図1
図2
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図15